JP6925099B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、離型フィルムに関する。
フッ素系電解質膜は、耐酸化性や高イオン伝導性を生かし、食塩電解イオン交換膜、固体高分子型燃料電池用電解質膜などに用いられている。
工業的に実施されているフッ素系電解質膜の製造方法は、溶融押出製膜、アルカリによる加水分解、酸による中和、の各工程を含む。また、膜の強度を補うために、フッ素樹脂製の補強膜で補強することが行われており、その場合は、溶融押出製膜、熱ラミネート加工による補強膜との積層、アルカリによる加水分解、酸による中和、の各工程を含む。溶融押出製膜及び熱ラミネート加工と、アルカリによる加水分解及び酸による中和とは、別々のラインで行われることが通常であるが、コストを低減するために同じラインで実施できる方法が求められている。
特に燃料電池用途のフッ素系電解質膜は、発電効率アップのため、膜厚は薄い方が良い。膜厚が薄くなると、加水分解後に膜が破れやすくなり、加工時に離型フィルムを使う必要がある。上記離型フィルムに求められる特性は、熱ラミネート加工に耐える耐熱性と機械的強度、アルカリ及び酸に対する耐薬品性、及び、離型性である。
特許文献1では、離型フィルム(搬送用シート)としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを使用したことが記載されている。しかし、PTFEは、耐薬品性と離型性には問題ないが、高温での機械的強度に劣り、熱ラミネート加工時に表面が変形して均一な膜を得ることができない。
耐熱性や機械的強度に優れた樹脂としては、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などが知られているが、いずれも離型性に劣る。
特開2011−146256号公報
本発明は、上記現状に鑑み、耐熱性、機械的強度、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性に優れた離型フィルムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、融点またはガラス転移温度が200℃以上の熱可塑性樹脂(I)(但し、フッ素樹脂(II)を除く)及びフッ素樹脂(II)からなることを特徴とする離型フィルムである。
熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との質量比(I):(II)が99:1〜30:70であることが好ましく、90:10〜60:40であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との溶融粘度比(I)/(II)が0.3〜5.0であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から得られ、前記組成物中のナトリウムの量が前記組成物に対して120ppm以下またはカルシウムの量が前記組成物に対して15ppm以下であることが好ましい。
フッ素樹脂(II)は、テトラフルオロエチレン及び下記の一般式(1):
CF=CF−Rf (1)
(式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体であることが好ましい。
上記離型フィルムは、熱ラミネート加工用離型フィルムであることが好ましい。
上記離型フィルムは、フッ素系高分子電解質からなるフッ素系高分子電解質膜を製造するために使用されるものであることが好ましい。
上記フッ素系高分子電解質は、COOZ基又はSOZ基(Zはアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、又は、NRを表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は水素を表す。)含有モノマー単位を有することが好ましい。
本発明の離型フィルムは、耐熱性、機械的強度、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性に優れている。また、複数回の使用に耐えることができるので、本発明の離型フィルムを使用すれば、安価にフッ素系高分子電解質膜を製造できる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の離型フィルムは、融点またはガラス転移温度が200℃以上の熱可塑性樹脂(I)(但し、フッ素樹脂(II)を除く)及びフッ素樹脂(II)からなることを特徴とする。
熱可塑性樹脂(I)としては、芳香族ポリエーテルケトン、ポリアリーレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂(I)は、芳香族ポリエーテルケトン、ポリアリーレンサルファイド、及び、ポリイミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。樹脂(I)は、耐アルカリ性の観点から、芳香族ポリエーテルケトン、及び、ポリアリーレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、芳香族ポリエーテルケトンであることがより好ましい。
上記芳香族ポリエーテルケトンとしては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることがより好ましく、ポリエーテルエーテルケトンであることが更に好ましい。
上記芳香族ポリエーテルケトンは、60sec−1、390℃における溶融粘度が0.25〜1.50kNsm−2であることが好ましい。溶融粘度が上記範囲内にあると、フッ素樹脂との複合化が容易になり、得られる樹脂組成物をフィルムに成形しやすくなり、得られるフィルムの機械強度は充分なものとなる。溶融粘度が低い方が加工はしやすいが、低すぎると機械強度が低下する。溶融粘度の好ましい下限は0.80kNsm−2である。溶融粘度の好ましい上限は1.30kNsm−2である。上記芳香族ポリエーテルケトンの溶融粘度は、ASTM D3835に準拠して測定する。
上記芳香族ポリエーテルケトンは、ガラス転移温度が130℃以上であることが好ましい。より好ましくは、135℃以上であり、更に好ましくは、140℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内にあると、耐熱性に一層優れる。上記ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)装置によって測定される。
上記芳香族ポリエーテルケトンは、融点が300℃以上であることが好ましい。より好ましくは、320℃以上である。融点が上記範囲内にあると、耐熱性に一層優れる。上記融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置によって測定される。
上記ポリアリーレンサルファイドとしては、例えば、下記式:
−(Ar−S)−
(式中、Arはアリーレン基、Sは硫黄を示す)で表わされる繰り返し単位を有するものが挙げられ、樹脂中の前記繰り返し単位の含有割合は70モル%以上が好ましい。
アリーレン基としては、p−フェニレン、m−フェニレン、o−フェニレン、アルキル置換フェニレン、フェニル置換フェニレン、ハロゲン置換フェニレン、アミノ置換フェニレン、アミド置換フェニレン、p,p’−ジフェニレンスルホン、p,p’−ビフェニレン、p,p’−ビフェニレンエーテル等を挙げることができる。
なお、ポリアリーレンサルファイドは、架橋や分岐構造を有する樹脂(架橋型)、架橋や分岐構造が実質的に有さない樹脂(リニア型)に大別することができるが、本発明では架橋型、リニア型のいずれでも問題なく使用することができる。
上記ポリイミドとしては、例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸および/またはその無水物を重縮合反応して得られるポリイミド前駆体を主成分とするワニスを熱処理(焼き付け)することで得ることができる。また、成形加工性に優れることから、熱可塑性ポリイミドを好適に使用できる。
フッ素樹脂(II)は、テトラフルオロエチレン(TFE)及び下記の一般式(1):
CF=CF−Rf (1)
(式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体であることが好ましい。
フッ素樹脂(II)としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。上記Rfが、−ORfである場合、上記Rfは炭素数が1〜3のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
上記離型フィルムは、上記フッ素樹脂(II)を含むことによって、耐熱性、機械的強度、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性を兼ね備える。例えば、離型フィルムが非溶融加工性のポリテトラフルオロエチレンを含む場合、フィルムの溶融加工温度においても溶融していないポリテトラフルオロエチレンが粗大粒子として存在するため、均一な薄膜フィルムを成形することは困難である。
一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物としては、耐熱性、機械的強度、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性の観点から、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ヘキサフルオロプロピレン及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
フッ素樹脂(II)としては、耐熱性、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性の観点から、パーフルオロポリマーが好ましい。
上記フッ素樹脂(II)は、80〜99モル%のTFE及び1〜20モル%の上記一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物から構成されることが好ましい。上記フッ素樹脂(II)を構成するTFEの含有量の下限は、85モル%がより好ましく、87モル%が更に好ましく、90モル%が特に好ましく、93モル%が殊更に好ましい。上記フッ素樹脂(II)を構成するTFEの含有量の上限は、97モル%がより好ましく、95モル%が更に好ましい。
また、上記フッ素樹脂(II)を構成する上記一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の含有量の下限は、3モル%がより好ましく、5モル%が更に好ましい。上記フッ素樹脂(II)を構成する上記一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の含有量の上限は、15モル%がより好ましく、13モル%が更に好ましく、10モル%が特に好ましく、7モル%が殊更に好ましい。
上記フッ素樹脂(II)は、60sec−1、390℃における溶融粘度が0.1〜3.0kNsm−2であることが好ましい。溶融粘度が上記範囲内にあると、熱可塑性樹脂(I)との複合化が容易になり、得られる樹脂組成物をフィルムに成形しやすくなり、得られるフィルムの機械強度は充分なものとなる。溶融粘度が低い方が加工はしやすいが、低すぎると機械強度が低下する。溶融粘度のより好ましい下限は、0.2kNsm−2である。溶融粘度のより好ましい上限は2.5kNsm−2であり、更に好ましくは2.0kNsm−2である。上記フッ素樹脂(II)の溶融粘度は、ASTM D3835に準拠して測定する。
上記フッ素樹脂(II)は、372℃、5000g荷重の条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であることが好ましく、5〜40g/10分であることがより好ましく、10〜40g/10分であることが更に好ましい。MFRが上記範囲内にあると、熱可塑性樹脂(I)との複合化が容易になり、得られる樹脂組成物をフィルムに成形しやすくなり、得られるフィルムの機械強度は充分なものとなる。溶融粘度が低い方が加工はしやすいが、低すぎると機械強度が低下する。MFRの更に好ましい下限は12g/10分であり、特に好ましい下限は15g/10分である。動摩擦係数の低減の観点から、MFRの更に好ましい上限は38g/10分であり、特に好ましい上限は35g/10分である。上記フッ素樹脂(II)のMFRは、ASTM D3307−01に準拠し、メルトインデクサーを用いて測定する。
上記フッ素樹脂(II)の融点は特に限定されないが、成形する際に用いる熱可塑性樹脂(I)が溶融する温度で既にフッ素樹脂(II)が溶融していることが成形において好ましいため、上記熱可塑性樹脂(I)の融点以下の温度であることが好ましい。例えば、フッ素樹脂(II)の融点は、230〜350℃であることが好ましい。フッ素樹脂(II)の融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めたものである。
上記フッ素樹脂(II)は、公知の方法によりフッ素ガス処理したものであってもよいし、アンモニア処理したものであってもよい。
上記離型フィルムにおいて、熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との質量比(I):(II)は、99:1〜30:70であることが好ましく、90:10〜60:40であることがより好ましい。質量比が上記範囲内にあると、耐熱性、機械的強度、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性に一層優れる。熱可塑性樹脂(I)が多すぎると、耐アルカリ性、耐酸性、離型性に劣るおそれがあり、熱可塑性樹脂(I)が少なすぎると、耐熱性、機械的強度に劣るおそれがある。
熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との溶融粘度比(I)/(II)は、0.01〜5.0であることが好ましい。溶融粘度比(I)/(II)の下限は、0.02であることがより好ましく、0.025であることが更に好ましく、0.03であることが特に好ましい。溶融粘度比(I)/(II)の上限は、4.0であることがより好ましく、3.0であることが更に好ましく、2.5であることが特に好ましく、2.0であることが殊更に好ましく、1.8であることが最も好ましい。溶融粘度比(I)/(II)が上記範囲内にあると、熱可塑性樹脂(I)との複合化が容易になる。
上記離型フィルムにおいて、フッ素樹脂(II)が熱可塑性樹脂(I)中に粒子状に分散していることが好ましい。上記離型フィルムが上記構成を有するものであると、耐熱性、機械的強度に一層優れる。
上記離型フィルムにおいて、フッ素樹脂(II)が熱可塑性樹脂(I)中に粒子状に分散しており、フッ素樹脂(II)の平均分散粒子径が3.0μm未満であることが好ましい。平均分散粒子径は、2.0μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましい。平均分散粒子径が上記範囲内にあると、耐熱性、機械的強度及び離型性に一層優れる。
上記離型フィルムにおいて、フッ素樹脂(II)が熱可塑性樹脂(I)中に粒子状に分散しており、最大分散粒子径が0.8μm以下であることが好ましい。最大分散粒子径は、0.75μm以下であることがより好ましく、0.70μm以下であることが更に好ましい。最大分散粒子径が上記範囲内にあると、機械的強度及び離型性に一層優れる。
フッ素樹脂(II)の平均分散粒子径及び最大分散粒子径は、共焦点レーザー顕微鏡にて上記離型フィルムの顕微鏡観察を行ったり、上記離型フィルムから超薄切片を切り出し、当該超薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)にて顕微鏡観察を行ったりして、得られた画像を光学解析装置にて二値化処理することにより求めることができる。
上記離型フィルムは、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)からなるものであるが、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては特に限定されないが、チタン酸カリウム等のウィスカ、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、アラミド繊維、その他の高強度繊維等の繊維状の強化材;炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレイ、カーボン粉末、グラファイト、ガラスビーズ等の無機充填材;着色剤;難燃剤等通常使用される無機又は有機の充填材;ミネラル、フレーク等の安定剤;シリコーンオイル、二硫化モリブデン等の潤滑剤;顔料;カーボンブラック等の導電剤;ゴム等の耐衝撃性向上剤;その他の添加剤等を用いることができる。
上記離型フィルムの厚みは、目的とする用途等により適宜設定すればよいが、通常、0.001〜1mmである。取扱いのしやすさや機械強度の観点から、フィルムの厚みは、0.01mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましい。また、0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
上記離型フィルムは、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)からなる樹脂組成物を調製する工程、及び上記樹脂組成物を成形してフィルムを得る成形工程を含む製造方法により製造することができる。
上記樹脂組成物は、成形用組成物を調製するために通常用いられる配合ミル、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等の混合機を用いて、通常の条件により調製することができる。フッ素樹脂(II)の平均分散粒子径を小さくすることができることから、混合機としては二軸押出機が好ましく、二軸押出機のスクリュー構成はL/D=35以上が好ましく、更に好ましくはL/D=40以上であり、特に好ましくはL/D=45以上である。なお、L/Dは、スクリューの有効長さ(L)/スクリュー直径(D)である。
上記のことから、上記樹脂組成物は、樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を、L/Dが35以上であるスクリュー構成の二軸押出機で混合することにより得られるものであることが好ましい。
上記樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を、溶融状態で混合する方法が挙げられる。熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)とを充分に混練することによって、所望の分散状態を有する樹脂組成物を得ることができる。分散状態はフィルムの耐熱性、機械的強度、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性に影響を与えるので、上記樹脂組成物から得られるフィルムにおいて所望の分散状態が得られるように、混練方法の選択は適切に行われるべきである。
上記樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を適切な割合で混合機に投入し、所望により上記他の成分を添加し、熱可塑性樹脂(I)及び(II)の融点以上で溶融混練することにより製造する方法等が挙げられる。上記他の成分は、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)に予め添加して混合しておいてもよいし、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を配合するときに添加してもよい。
上記溶融混練時の温度としては、用いる熱可塑性樹脂(I)、フッ素樹脂(II)の種類等によって適宜設定すればよいが、例えば、340〜400℃であることが好ましい。混練時間としては、通常、1分〜30分である。
上記成形工程において、上記樹脂組成物を成形する温度は340℃以上であることが好ましい。また、成形温度は、上記フッ素樹脂(II)の分解温度と上記熱可塑性樹脂(I)の分解温度のうち低い方の温度未満の温度であることが好ましい。このような成形温度としては、例えば340〜400℃であることが好ましく、360〜400℃がより好ましい。上記成形工程は、340℃以上の温度で上記樹脂組成物を成形した後、成形されたフィルムを冷却するものであることが好ましい。上記冷却は、例えば、150℃未満の温度まで行ってよい。
上記樹脂組成物を成形する方法としては、溶融押出成形、カレンダー成形、プレス成形、流延成形等が挙げられる。均一な薄膜が得られる観点からは、溶融押出成形が好ましい。
溶融押出成形は例えば、Tダイフィルム成形機を使用して、上記樹脂組成物を溶融させ、ダイから溶融したフィルムを吐出、その後、冷却ロールにて巻き取ることによって行うことができる。Tダイフィルム成形機のシリンダー温度は、上記樹脂組成物が溶融する範囲で設定できるが、例えば340〜400℃で成形することができる。
上記離型フィルムは、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から得られるものであることが好ましく、上記組成物中のナトリウムの量が上記組成物に対して120ppm以下またはカルシウムの量が上記組成物に対して15ppm以下であることが好ましい。上記樹脂組成物中のナトリウムの量またはカルシウムの量が上記の範囲内にあると、熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)の複合化が容易になる。ナトリウム又はカルシウムの量を調整するには、上述した樹脂組成物を調製する工程において、ナトリウムの量が120ppm以下、または、カルシウムの量が合計で15ppm以下となるように、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)の組み合わせを選択すればよい。
上記樹脂組成物は、カルシウムの量が上記組成物に対して15ppm以下であることがより好ましい。また、上記樹脂組成物は、組成物中のナトリウムの量が上記組成物に対して120ppm以下、かつカルシウムの量が上記組成物に対して15ppm以下であることも好ましい。
上記ナトリウムの量は、上記組成物に対して100ppm以下であることが好ましく、80ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることが更に好ましく、40ppmであることが特に好ましく、30ppm以下であることが殊更に好ましく、20ppm以下であることが最も好ましい。下限は0ppmであってよいが、0.5ppmであってもよい。
上記カルシウムの量は、上記組成物に対して10ppm以下であることが好ましく、8ppm以下であることがより好ましく、6ppm以下であることが更に好ましく、5ppm以下であることが特に好ましく、4ppm以下であることが最も好ましい。下限は0ppmであってよいが、0.5ppmであってもよい。
上記樹脂組成物に含まれるナトリウム及びカルシウムの量は、試料1gを600℃で灰化したのち、残渣を塩酸に溶解し、その溶液についてICP発光分析を行うことにより測定することができる。
上記離型フィルムは、更に、フッ素樹脂からなる層を含むものであってもよい。フッ素樹脂層を積層することによって、更に優れた離型性を実現できる。フッ素樹脂層からなる層は、熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)からなる層に、フッ素樹脂の分散液又は溶液を塗布して焼き付ける方法、フッ素樹脂シートをラミネートする方法等が挙げられる。フッ素樹脂としては、フッ素樹脂(II)として上述したものが好適である。
上記離型フィルムは、耐熱性に優れることから、熱ラミネート加工用離型フィルムとして好適に利用することができる。上記離型フィルムは過酷な条件で実施される熱ラミネート加工にも耐えるが、例えば、100〜300℃で種類の異なる2つのポリマーシートを積層する際に使用する熱ラミネート加工用離型フィルムとして好適である。また、100〜300℃でフッ素系高分子電解質膜とフッ素樹脂製の補強膜とを積層する際に使用する熱ラミネート加工用離型フィルムとしても好適である。
上記離型フィルムは、耐熱性、耐アルカリ性、耐酸性及び離型性を有することから、フッ素系高分子電解質からなるフッ素系高分子電解質膜を製造するために使用される離型フィルムとして好適に利用できる。
上記フッ素系高分子電解質膜は、SO基又はCOZ基(Zはハロゲン元素を表し、Zは炭素数1〜3のアルコキシ基、又はハロゲン元素を表す。)を有するフッ素系高分子電解質前駆体の膜を得る工程、上述の離型フィルム上に上記フッ素系高分子電解質前駆体膜を設置する工程、上記フッ素系高分子電解質前駆体膜と補強膜とを熱ラミネート加工により積層して積層体を得る工程、上記積層体を上記離型フィルム上に設置したままで、アルカリ又は酸により処理することによって、COOZ基又はSOZ基(Zはアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、又は、NRを表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は水素を表す。)を有するフッ素系高分子電解質膜を得る工程、及び、上記フッ素系高分子電解質膜を上記離型フィルムから剥離する工程を含む製造方法により、好適に製造することができる。
上記離型フィルムは、全ての工程で採用される製造条件に耐えることができる。上記製造方法は、上記離型フィルムを使用するものであることから、同じラインで全ての工程を連続して実施でき、生産性が高く、経済的にも有利である。
上記製造方法により得られたフッ素系高分子電解質膜も有用である。上記離型フィルムは、全ての工程で採用される製造条件に耐えることができるので、上記離型フィルムを使用する上記製造方法により得られたフッ素系高分子電解質膜は、品質が優れている。
上記フッ素系高分子電解質膜は、厚みが1μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以上100μm以下、更により好ましくは5μm以上50μm以下である。
上記フッ素系高分子電解質は、SOZ基又はCOOZ基(Zはアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、又は、NRを表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は水素を表す。)含有モノマー単位を有することが好ましい。
上記フッ素系高分子電解質において、SOZ基又はCOOZ基含有モノマー単位は、全単量体単位の10〜95モル%であることが好ましい。ここで「全単量体単位」とは、フッ素系高分子電解質の分子構造上、モノマーに由来する部分の全てを示す。
上記SOZ基又はCOOZ基含有モノマー単位は、一般に、下記一般式(I)
CF=CF(CF−O−(CFCFY−O)−(CFY−A (I)
(式中、Yは、F、Cl又はパーフルオロアルキル基を表す。kは0〜2の整数、lは0又は1、nは、0〜8の整数を表し、n個のYは、同一でも異なっていてもよい。YはF又はClを表す。mは0〜6の整数を表す。ただし、m=0の場合は、l=0、n=0となる。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。AはSOZ又はCOOZ、Zはアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、又は、NRを表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は水素を表す。)で表されるCOOZ基又はSOZ基含有モノマーに由来するものである。
上記一般式(I)において、合成面及び操作性の観点から、kは0であることがより好ましく、lは1であることがより好ましく、nは0又は1であることがより好ましく、nは0であることが更に好ましく、また、YはFであり、mは2〜6の整数であることがより好ましく、YはFであり、mは2又は4であることが更に好ましく、YはFであり、mは2であることが特に好ましい。
上記SOZ基又はCOOZ基含有モノマー単位としては、CF=CF−(OCFCF(CF))−O−(CF−SOH、CF=CF−O−(CF−SOH等が挙げられる。
上記フッ素系高分子電解質において、上記SOZ基又はCOOZ基含有モノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のフッ素系高分子電解質は、上記SOZ基又はCOOZ基含有モノマーに由来する繰り返し単位(α)と、SOZ基又はCOOZ基含有モノマーと共重合可能なエチレン性フルオロモノマーに由来する繰り返し単位(β)とを含む共重合体であることが好ましい。
上記繰り返し単位(β)を構成することとなるエチレン性フルオロモノマーは、エーテル性酸素〔−O−〕を有さず、ビニル基を有するモノマーであるが、ビニル基はフッ素原子により水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。
本明細書において、「エーテル性酸素」とは、モノマー分子を構成する−O−構造を意味する。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、例えば、下記一般式(II)
CF=CF−Rf (II)
(式中、Rfは、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)
で表されるハロエチレン性フルオロモノマー、あるいは下記一般式(III)
CHY=CFY (III)
(式中、YはH又はFを表し、YはH、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)
で表される水素含有フルオロエチレン性フルオロモノマー等が挙げられる。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン〔VDF〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン等が挙げられるが、TFE、VDF、CTFE、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、HFPであることが好ましく、TFE、CTFE、HFPがより好ましく、TFE、HFPが更に好ましく、TFEが特に好ましい。上記エチレン性フルオロモノマーとしては、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のフッ素系高分子電解質は、COOZ基又はSOZ基含有モノマーに由来する繰り返し単位(α)が10〜95モル%、エチレン性フルオロモノマーに由来する繰り返し単位(β)が5〜90モル%、繰り返し単位(α)と繰り返し単位(β)との和が95〜100モル%である共重合体であることが好ましい。
上記COOZ基又はSOZ基含有モノマーに由来する繰り返し単位(α)は、より好ましい下限が15モル%、更に好ましい下限が20モル%、より好ましい上限が60モル%、更に好ましい上限が50モル%である。
上記エチレン性フルオロモノマーに由来する繰り返し単位(β)は、より好ましい下限が35モル%、更に好ましい下限が45モル%、より好ましい上限が85モル%、更に好ましい上限が80モル%である。
本発明におけるフッ素系高分子電解質は、上記以外の第3成分モノマーに由来する繰り返し単位として、SOZ基又はCOOZ基含有モノマー以外のビニルエーテルに由来する繰り返し単位(γ)を、好ましくは0〜5モル%、より好ましくは4モル%以下、更に好ましくは3モル%以下有するものであっても差し支えない。
なお、フッ素系高分子電解質のポリマー組成は、例えば、300℃における溶融NMRの測定値から算出することができる。
繰り返し単位(γ)を構成することとなるSOZ基又はCOOZ基含有モノマー以外のビニルエーテルとしては、SOZ基又はCOOZ基を含有しないものであれば特に限定されず、例えば、下記一般式(IV)
CF=CF−O−Rf (IV)
(式中、Rfは、炭素数1〜9のフルオロアルキル基又は炭素数1〜9のフルオロポリエーテル基を表す。)
で表されるフルオロビニルエーテル、より好ましくはパーフルオロビニルエーテル、あるいは下記一般式(V)
CHY=CF−O−Rf (V)
(式中、Yは、H又はFを表し、Rfは、炭素数1〜9のエーテル基を有していてもよい直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)
で表される水素含有ビニルエーテル等が挙げられる。上記ビニルエーテルとしては、1種又は2種以上を用いることができる。
上記製造方法は、SO基又はCOZ基(Zはハロゲン元素を表し、Zは炭素数1〜3のアルコキシ基、又はハロゲン元素を表す。)を有するフッ素系高分子電解質前駆体の膜を得る工程を含むことが好ましい。
上記フッ素系高分子電解質前駆体の膜を得る方法としては、フッ素系高分子電解質前駆体の粉末又はペレットを溶融させて上記離型フィルム上に押出す方法が挙げられる。また、フッ素系高分子電解質前駆体のディスパージョン又は溶液を上記離型フィルム上にキャストして成膜する方法も採用することができ、この場合は、フッ素系高分子電解質前駆体の膜を得る工程と、上記離型フィルム上に上記フッ素系高分子電解質前駆体膜を設置する工程とが同時に実施される。
上記フッ素系高分子電解質前駆体は、SO基又はCOZ基(Zはハロゲン元素を表し、Zは炭素数1〜3のアルコキシ基、又はハロゲン元素を表す。)を有するモノマーと、上述したエチレン性フルオロモノマーと、必要に応じて、上述した第3成分モノマーとを重合することにより、製造することができる。
重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知の重合方法が挙げられる。
SO基又はCOZ基を有するモノマーとしては、下記一般式(VI)
CF=CF(CF−O−(CFCFY−O)−(CFY−A (VI)
(式中、Yは、F、Cl又はパーフルオロアルキル基を表す。kは0〜2の整数、lは0又は1、nは、0〜8の整数を表し、n個のYは、同一でも異なっていてもよい。YはF又はClを表す。mは0〜6の整数を表す。ただし、m=0の場合は、l=0、n=0となる。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。AはSO又はCOZを表し、Zはハロゲン元素を表し、Zは炭素数1〜3のアルコキシ基、又はハロゲン元素を表す。)で表されるフッ化ビニル化合物が好ましい。
上記一般式(VI)において、合成面及び操作性の観点から、kは0であることが好ましく、lは1であることが好ましい。nは0又は1であることがより好ましく、nは0であることが更に好ましい。また、YはFであり、mは2〜6の整数であることがより好ましく、YはFであり、mは2又は4であることが更に好ましく、YはFであり、mは2であることが特に好ましい。
上記一般式(VI)で表されるフッ化ビニル化合物の具体例としては、
CF=CFO(CF−SOF、
CF=CFOCFCF(CF)O(CF−SOF、
CF=CF(CFP−1−SOF、
CF=CF(OCFCF(CF))−(CFP−1−SOF、
CF=CFO(CF−COR、
CF=CFOCFCF(CF)O(CF−COR、
CF=CF(CF−COR、
CF=CF(OCFCF(CF))−(CF−CO
(式中、Pは1〜8の整数、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)等が挙げられる。
上記製造方法は、更に、上記離型フィルム上に上記フッ素系高分子電解質前駆体膜を設置する工程を含むことが好ましい。この工程において、上記離型フィルムのロールから上記離型フィルムを送り出しながら、上記フッ素系高分子電解質前駆体膜を上記離型フィルム上に設置すれば、連続して上記フッ素系高分子電解質膜を製造することができる。
上記製造方法は、更に、上記フッ素系高分子電解質前駆体膜と補強膜とを熱ラミネート加工により積層して積層体を得る工程を含むことが好ましい。この工程においても、連続して送り出される上記離型フィルム上に設置された上記フッ素系高分子電解質前駆体膜の上に、補強膜を設置して、熱ラミネート加工することにより、連続して上記フッ素系高分子電解質膜を製造することができる。上記熱ラミネート加工の温度条件は、上述したとおり、100〜300℃であってよい。
上記補強膜としては、フッ素樹脂製の布又は多孔膜が挙げられ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の多孔質膜も使用できる。PTFEの多孔質膜を使用すると、多孔質膜の空孔に上記フッ素系高分子電解質前駆体が充填された積層体が得られる。
上記製造方法は、更に、上記積層体を上記離型フィルム上に設置したままで、アルカリ又は酸により処理することによって、COOZ基又はSOZ基(Zはアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、又は、NRを表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は水素を表す。)を有するフッ素系高分子電解質膜を得る工程を含むことが好ましい。
上記工程では、高品質のフッ素系高分子電解質膜を得る観点から、アルカリにより処理し、引き続き酸で処理することも好ましい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液が挙げられる。上記酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸類やシュウ酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類が挙げられる。上記アルカリ又は上記酸により処理した後、水により洗浄することも好ましい。
上記アルカリ又は上記酸による処理は、20〜160℃で行うことができる。上記離型フィルムは、高温のアルカリ又は酸に対しても耐久性を有するので、高温での処理を積極的に採用することが可能である。高温での処理は、処理時間を短縮できる点で有利である。
上記製造方法は、更に、上記フッ素系高分子電解質膜を上記離型フィルムから剥離する工程を含むことが好ましい。この好適により、所望のフッ素系高分子電解質膜を回収することができる。
上述のフッ素系高分子電解質膜を備える膜電極接合体も有用である。電解質膜の両面にアノードとカソードの2種類の電極触媒層が接合したユニットは、膜電極接合体(以下「MEA」と略称することがある)と呼ばれる。電極触媒層のさらに外側に一対のガス拡散層を対向するように接合したものについても、MEAと呼ばれる場合がある。
電極触媒層は、触媒金属の微粒子とこれを担持した導電剤とから構成され、必要に応じて撥水剤が含まれる。電極に使用される触媒としては、水素の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であればよく、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、およびこれらの合金等が挙げられ、その中では、主として白金が用いられる。
電極面積に対する電極触媒の担持量としては、電極触媒層を形成した状態で、好ましくは0.001〜10mg/cm、より好ましくは0.01〜5mg/cm、最も好ましくは0.1〜1mg/cmである。
上記MEA、場合によっては更に一対のガス拡散電極が対向した構造のMEAは、更にバイポーラプレートやバッキングプレート等の一般的な固体高分子電解質型燃料電池に用いられる構成成分と組み合わされて、固体高分子電解質型燃料電池が構成される。
バイポーラプレートとは、その表面に燃料や酸化剤等のガスを流すための溝を形成させたグラファイトと樹脂との複合材料、または金属製のプレート等を意味する。バイポーラプレートは、電子を外部負荷回路へ伝達する機能の他、燃料や酸化剤を電極触媒近傍に供給する流路としての機能を持っている。こうしたバイポーラプレートの間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池が製造される。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
融点の測定
示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めた。
ガラス転移温度の測定
示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、10℃/分の速度で昇温したときのベースラインの変曲点に対応する温度として求めた。
MFRの測定
ASTM D3307−01に従って、メルトインデクサー((株)東洋精機製作所製)を用いて、372℃、5000g荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)を求めた。
溶融粘度の測定
芳香族ポリエーテルケトン樹脂の溶融粘度は、60sec−1、390℃において、ASTM D3835に準拠して測定した。
フッ素樹脂の溶融粘度は、60sec−1、390℃において、ASTM D3835に準拠して測定した。
弾性率の測定
ASTM D 638にしたがい、測定をおこなった。
荷重たわみ温度の測定
JIS K 7191およびASTM D 648に従い、測定をおこなった。
表面エネルギーの測定
表面エネルギーは、水(表面張力:72.88mN/m)とn−ヘキサデカン(表面張力:27.47mN/m)をフィルムに滴下して、それぞれの接触角を測定し、得られた接触角のデータから、Zismanの式により算出した。
接触角の測定において、液滴量は2μLとした。
実施例1
以下の材料を用いた。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂:ポリエーテルエーテルケトン(溶融粘度;0.70kNsm−2、融点;334℃)
フッ素樹脂1:溶融粘度;0.22kNsm−2、融点;305℃
芳香族ポリエーテルケトン樹脂及びフッ素樹脂1を80/20(質量比)の割合で予備混合を行い、二軸押出機(φ15mm、L/D=60)を使用して、シリンダー温度375℃、スクリュー回転数500rpm(装置によって異なり、他社にヒントになるようなものではない。)の条件下で溶融混練し、樹脂組成物を製造した。
得られた樹脂組成物のペレットを、フィルム成形用Tダイ押出機(φ30mm、L/D=25、ダイス幅150mm、リップ幅0.4mm)に供給し、シリンダー温度380℃、ダイ温度380℃、スクリュー回転数7rpmの条件で、かつ100℃の冷却ロールで厚み25μmの離型フィルムを成形した。この際、押出されたフィルムは冷却ロールに1〜10秒接触する。
得られた離型フィルムの表面エネルギーを表1に示す。また、表1に、上記芳香族ポリエーテルケトン樹脂及び上記フッ素樹脂1の各表面エネルギーを示す。
Figure 0006925099
実施例1の離型フィルムの表面エネルギーは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂及びフッ素樹脂の中間であり、離型性に優れることが分かる。
また、実施例1の離型フィルムの荷重たわみ温度は152℃であった。これは芳香族ポリエーテルケトン樹脂の荷重たわみ温度(153℃)と同等であり、高い耐熱性を有していることが分かる。

Claims (7)

  1. 融点またはガラス転移温度が200℃以上の熱可塑性樹脂(I)(但し、フッ素樹脂(II)を除く)及びフッ素樹脂(II)からなり、
    熱可塑性樹脂(I)は、芳香族ポリエーテルケトン、ポリアリーレンサルファイド、及び、ポリイミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であり、
    フッ素樹脂(II)は、テトラフルオロエチレン及び下記の一般式(1):
    CF=CF−Rf (1)
    (式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体であり、
    フッ素樹脂(II)は、60sec −1 、390℃における溶融粘度が0.1〜3.0kNsm −2 であり、融点が230〜350℃であり、
    フッ素系高分子電解質からなるフッ素系高分子電解質膜を製造するために使用されることを特徴とする離型フィルム。
  2. 熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との質量比(I):(II)が99:1〜30:70である請求項1記載の離型フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との質量比(I):(II)が90:10〜60:40である請求項1又は2記載の離型フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との溶融粘度比(I)/(II)が0.3〜5.0である(ここで、溶融粘度比の算出に使用する溶融粘度は、ASTM D3835に準拠して60sec−1、390℃で測定した値である)請求項1、2又は3記載の離型フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から得られ、前記組成物中のナトリウムの量が前記組成物に対して120ppm以下またはカルシウムの量が前記組成物に対して15ppm以下である請求項1、2、3又は4記載の離型フィルム。
  6. 熱ラミネート加工用離型フィルムである請求項1、2、3、4又は5記載の離型フィルム。
  7. フッ素系高分子電解質は、COOZ基又はSOZ基(Zはアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、又は、NRを表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は水素を表す。)含有モノマー単位を有する請求項1、2、3、4、5又は6記載の離型フィルム。
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