JP5764883B2 - ウレタン樹脂組成物及び光半導体装置 - Google Patents
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Description
ポリオール成分は、2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物(ポリオール)からなる成分である。ポリオールとしては、例えば、飽和ポリオール、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール及びアクリル樹脂ポリオールが挙げられる。これらの中でも、飽和ポリオールが特に好ましい。
ポリイソシアネート成分は、2以上のイソシアネート基を有する化合物(ポリイソシアネート)からなる成分である。ポリイソシアネートとしては、脂肪族や脂環式ポリイソシアネートが好ましく、脂環基及び2個又は3個のイソシアネート基を有し、少なくとも1個のイソシアネート基が上記脂環基を構成する第二級炭素に結合している脂環式ポリイソシアネート化合物がより好ましい。その具体例としては、イソホロンジイソシアネート又は4,4’−メチレンビス−(シクロヘキシルイソシアネート)が挙げられる。
イミダゾールシラン化合物は、イミダゾール環と、アルコキシシリル基とを有する化合物である。
ウレタン樹脂組成物は、離型性及び透明性を向上させる観点から、離型剤として、下記一般式(2)で表されるポリエーテル変性シリコーン−カプロラクトンブロック共重合体を含んでいてもよい。
ウレタン樹脂組成物には、硬化性を高めるために硬化触媒を加えることができる。硬化触媒としては、亜鉛、ジルコニウムやアルミニウム系の有機金属系触媒、ジブチルスズラウレート等のスズ系、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカン−7−エン)のフェノール塩、オクチル酸塩、アミン、イミダゾール等を使用することができる。その中でも、ステアリン酸亜鉛が、耐熱着色性と、後述するA液、B液の室温での粘度安定性の点で優れるため好適である。ステアリン酸亜鉛の量は、ウレタン樹脂組成物の全質量に対して0.001〜0.5質量%であることが好ましく、特に0.002〜0.1質量%であることが好ましい。ステアリン酸亜鉛の量が0.001質量%未満であると、硬化促進の効果が見られず、一方、0.5質量%を超えると、硬化体が微白濁する傾向がある。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ポリオール成分を主成分として含むA液とイソシアネート成分を主成分として含むB液とからなる2液タイプの樹脂組成物である。ウレタン樹脂組成物の硬化体は、A液とB液とを混合し、これを加熱して反応させることにより製造することができる。
以上のように得られるウレタン樹脂組成物を、液状トランスファー成型又はコンプレッション成型することにより光半導体素子の封止を行い、光半導体装置を製造することができる。このとき、ウレタン樹脂組成物は165℃におけるゲル化時間が25秒〜200秒であることが好ましい。ゲル化時間をこの範囲とすることで、従来の固形トランスファー成型とほぼ同じ成型条件での製造が可能となる。ゲル化時間が25秒より短いと、溶融したウレタン樹脂組成物が成型金型(以下、単に「金型」という。)内の流路を十分に満たす前に硬化し、硬化体の成型物に未充填部位やボイドが発生しやすくなる傾向にある。一方、ゲル化時間が200秒より長いと、硬化不十分な成型物となる傾向がある。
ポリオール成分として、分子量が300、水酸価が540(KOH・mg/g)のポリカプロラクトントリオール(ポリオールA1:ダイセル化学工業製、商品名:プラクセル303)19.7質量部に、トリメチロールプロパン(A2:Perstorp社製)10.6質量部、2級水酸基含有トリアルコキシシリルタイプのイミダゾールシラン化合物(C1:JX日鉱日石金属株式会社製、商品名:IA−100)を0.5質量部加え、加熱攪拌し、均一なポリオール成分A液とした。
ポリオール成分として、上記(A1)19.7質量部、上記(A2)10.6質量部、2級水酸基を含有しないトリアルコキシシリルタイプのイミダゾールシラン化合物(C2:JX日鉱日石金属株式会社製、商品名:IM−100)を0.5質量部加えて、加熱攪拌し、均一なポリオール成分A液とした。一方、上記(A2)1.0質量部を上記(B1)14.4質量部に加え、窒素雰囲気下にて100℃で1時間反応させ、イソシアネート基残存プレポリマーPB液を作製した。また、イソシアネート成分として、上記プレポリマー15.4質量部に上記(B2)15.1質量部、上記(B3)39.2質量部、上記酸化防止剤0.1質量部を混合後、酢酸ブチルを減圧下で加熱脱溶した。その後に、ラウリン酸(一般式(3)において、R5が炭素数11の直鎖状アルキル基。D2:花王株式会社製、商品名:ルナックL−98)2.0質量部とX−22−4952(信越化学工業株式会社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル、商品名)の両端にポリカプロラクトンを開環付加したm/n=0.6になるポリエーテル変性シリコーン−カプロラクトンブロック共重合体E2を2.0質量部加えて、80℃で2時間加熱した。その後に硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を0.05質量部加え、B−2液とした。上記A液30.3質量部およびB−2液74.3質量部を混合(水酸基当量/イソシアネート基当量の比1.0)、減圧脱泡し、樹脂組成物を作製し、評価した。
ポリオール成分として、上記(A1)19.7質量部、上記(A2)10.6質量部、イミダゾールシラン化合物(C1)0.1質量部を加えて、加熱攪拌し、均一なポリオール成分A液とした。一方、上記(A2)1.0質量部を上記(B1)14.4質量部に加え、窒素雰囲気下にて100℃で1時間反応させ、イソシアネート基残存プレポリマーPB液を作製した。また、イソシアネート成分として、上記プレポリマー15.4質量部に上記(B2)15.1質量部、上記(B3)39.2質量部、上記酸化防止剤0.1質量部を混合後、酢酸ブチルを減圧下で加熱脱溶した。その後に、D1イソステアリン酸1.0質量部とX−22−4272(信越化学工業株式会社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル、商品名)の両端にポリカプロラクトンを開環付加したm/n=0.5になるポリエーテル変性シリコーン−カプロラクトンブロック共重合体E3を1.0質量部加えて、80℃で2時間加熱した。その後にステアリン酸亜鉛を0.05質量部加え、B−3液とした。上記A液30.3質量部およびB−3液74.3質量部を混合(水酸基当量/イソシアネート基当量の比1.0)、減圧脱泡し、樹脂組成物を作製し、評価した。
上記(B2)48.2質量部をイソシネート成分Bとして、一方、上記(A1)51.7質量部、イミダゾールシラン化合物(C1)2.0質量部を加えて攪拌し、ポリオール成分A液とした。上記B液、D1イソステアリン酸2.0質量部とポリエーテル変性シリコーン−カプロラクトンブロック共重合体E1、2.0質量部を80℃で2時間加熱した。その後に硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を0.05質量部加え、B−4液とした。上記A液50.2質量部及びB−4液53.8質量部を混合(水酸基当量/イソシアネート基当量の比1.0)、減圧脱泡し、樹脂組成物を作製し、評価した。
ポリオール成分として、上記(A1)19.7質量部、上記(A2)10.6質量部、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(C3:信越化学工業株式社製、商品名:KBE−9007)を0.5質量部加えて、加熱攪拌し、均一なポリオール成分A液とした。一方、上記(A2)1.0質量部を上記(B1)14.4質量部に加え、窒素雰囲気下にて100℃で1時間反応させ、イソシアネート基残存プレポリマーPB液を作製した。また、イソシアネート成分として、上記プレポリマー15.4質量部に上記(B2)15.1質量部、上記(B3)39.2質量部、上記酸化防止剤0.1質量部を混合後、酢酸ブチルを減圧下で加熱脱溶した。その後にD1イソステアリン酸2.0質量部とポリエーテル変性シリコーン−カプロラクトンブロック共重合体E1を2.0質量部80℃で2時間加熱した。その後に硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を0.05質量部加え、B−5液とした。上記A液30.3質量部及びB−5液74.3質量部を混合(水酸基当量/イソシアネート基当量の比1.0)、減圧脱泡し、樹脂組成物を作製し、評価した。
ポリオール成分として、上記(A1)19.7質量部、上記(A2)10.6質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C4:信越化学工業株式社製、商品名:KBM−403)を0.5質量部加えて、加熱攪拌し、均一なポリオール成分A液とした。一方、上記(A2)1.0質量部を上記(B1)14.4質量部に加え、窒素雰囲気下にて100℃で1時間反応させ、イソシアネート基残存プレポリマーPB液を作製した。また、イソシアネート成分として、上記プレポリマー15.4質量部に上記(B2)15.1質量部、上記(B3)39.2質量部、上記酸化防止剤0.1質量部を混合後、酢酸ブチルを減圧下で加熱脱溶した。その後に、ポリエーテル変性シリコーン−カプロラクトンブロック共重合体E2を2.0質量部加えて、80℃で2時間加熱した。その後に硬化促進剤としてステアリン酸亜鉛を0.05質量部加え、B−6液とした。上記A液30.3質量部およびB−6液74.3質量部を混合(水酸基当量/イソシアネート基当量の比1.0)、減圧脱泡し、樹脂組成物を作製し、評価した。
ポリオール成分として、上記(A1)19.7質量部、上記(A2)10.6質量部加えて、加熱攪拌し、均一なポリオール成分A液とした。一方、上記(A2)1.0質量部を上記(B1)14.4質量部に加え、窒素雰囲気下にて100℃で1時間反応させ、イソシアネート基残存プレポリマーPB液を作製した。また、イソシアネート成分として、上記プレポリマー15.4質量部に上記(B2)15.1質量部、上記(B3)39.2質量部を混合後、酢酸ブチルを減圧下で加熱脱溶した。その後に、離型剤D1イソステアリン酸1.0質量部を80℃で2時間加熱した。その後にステアリン酸亜鉛を0.05質量部加え、B−7液とした。上記A液30.3質量部およびB−7液74.3質量部を混合(水酸基当量/イソシアネート基当量の比1.0)、減圧脱泡し、樹脂組成物を作製し、評価した。
液状トランスファー成形機を用い、金型温度165℃、硬化時間20秒で40×40mm、厚み1mmの試験片を成形し、150℃、3時間で後硬化した。得られた試験片を日立製の分光光度計U−3310(商品名)を用いて波長460nmの光透過率を測定した。単位は%とし、70%以上のものを(A)、70%未満のものを(B)とした。結果を表1及び表2に示す。
各部材との接着強度は、各部材に硬化体を形成し、その剥離強度を測定して、擬似的に評価した。以下、図2を用いて具体的に説明する。図2は、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物の硬化体のせん断接着強度の測定方法を模式的に表した図である。まず、銀めっきを施した銅板2上にウレタン樹脂組成物、シリコンチップ4の順に載せて、80℃/1時間、100℃/1時間、125℃/1時間、150℃/2時間で加熱し、大きさが2×2mmの四角柱状の硬化体1を形成した。上記硬化体1を株式会社アークテック製のdayeシリーズ4000を用いて、測定温度を165℃とし、ツール移動速度を100μm/sとして、シェアツール3をX方向に移動し、せん断接着強度を測定した。単位はMPaとした。その結果を表1、2に示す。
成型後及び吸湿リフロー後のLEDパッケージにおいて、ウレタン樹脂とリードフレームとの剥離を顕微鏡で観察した。吸湿リフローの試験条件は、85℃、湿度85%で、9時間吸湿後、保持温度が150℃で120秒、最高到達温度が260℃、5秒間のプロファイルのリフロー処理を行った。結果を表1、2に示す。成型後の剥離及び、リフロー後の剥離の評価において、分母と分子の数値は、それぞれ、評価サンプル総数と、剥離したパッケージ数とを表す。
Claims (4)
- ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、イミダゾールシラン化合物と、を含み、
前記ポリイソシアネート成分が、脂環基及び2個又は3個のイソシアネート基を有し、少なくとも1個のイソシアネート基が前記脂環基を構成する第二級炭素に結合している脂環式ポリイソシアネート化合物を、全イソシアネート成分の30質量%以上含有する、ウレタン樹脂組成物。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のウレタン樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体からなる封止部材を備える、光半導体装置。
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