JP5764386B2 - アズルミン酸混合液及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アズルミン酸混合液及びその製造方法に関する。
青酸を重合させるとアズルミン酸と呼ばれる青酸重合物が得られる。そのアズルミン酸は、従来、青酸からアミノ酸が生成する化学進化の研究論文等の一部に登場するが、近年はほとんど報告されていない。アズルミン酸は溶媒に不溶であるため(例えば、非特許文献1参照)、その構造について未だに明確にされておらず、その用途についても、ほとんど検討されていない。
こうした中で、本発明者は、アズルミン酸の用途開発として、先に、アズルミン酸を炭化させることによって多くの窒素を含有した窒素含有炭素材料が得られることを見出し(特許文献1参照)、得られた窒素含有炭素材料がリチウムイオン二次電池の電極などとして優れた機能を有することを見出している(特許文献2参照)。
ところで、一般に、重合物を溶媒に溶解させることができれば、その構造解析を行いやすくなり用途開発の知見が得られ、また、直接的な応用を検討するのも容易になると考えられる。検討され得る応用例としては、重合物の溶解液を得ることによって、粉末では困難な製膜化が可能になることが挙げられる。また、重合物を他の有機化合物や高分子と混合して反応させたりすることも可能になり、新規材料の開発も行いやすくなるなどその用途が大きく広がる。
アズルミン酸は青酸というニトリル基を有するモノマーの重合物であるにもかかわらず、アズルミン酸を良好に溶解する溶媒は知られていない。そのため、構造解析が十分になされていない。アズルミン酸が溶媒に不溶又は難溶であることは、実用的な観点から、その用途の広がりを阻害している要因となっている。
こうした中で、本発明者は、先に、アズルミン酸をエチレンジアミンやシクロヘキシルアミン等のアミノ基を有する溶媒と混合することによって、アズルミン酸を溶解させた溶液を得ることができることを見出している(特許文献3参照)。
国際公開第2007/043311号パンフレット 国際公開第2008/123380号パンフレット 特開2010−260773号公報
Angew.Chem.72巻、p379−384(1960年)
しかしながら、特許文献3に開示されている方法によっても、アズルミン酸の溶解性はいまだ十分ではない。また、特許文献3において最も優れた溶解性を示すエチレンジアミンは、空気中で白煙が発生するため扱い難いという問題があり、アミノ基を有する溶媒は独特のアミン臭があり扱い難いという問題もある。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、アズルミン酸の溶解性が高いアズルミン酸混合液の製造方法及びアズルミン酸を含有する混合液を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、アズルミン酸が有機酸に溶解性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
アズルミン酸とカルボキシル基を有する有機酸とを含有するアズルミン酸混合液。
〔2〕
前記有機酸が、アルデヒド基をさらに有する、前項〔1〕に記載のアズルミン酸混合液。
〔3〕
前記有機酸が、水酸基をさらに有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載のアズルミン酸混合液。
〔4〕
前記有機酸の分子量が、500以下である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液。
〔5〕
前記アズルミン酸の青酸単位のモル数に対する前記有機酸のモル数の比が、1以上100000以下である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液。
〔6〕
アズルミン酸とカルボキシル基を有する有機酸とを共存させる工程を有する、アズルミン酸混合液の製造方法。
〔7〕
前記有機酸が、アルデヒド基をさらに有する、前項〔6〕に記載のアズルミン酸混合液の製造方法。
〔8〕
前記有機酸が、水酸基をさらに有する、前項〔6〕又は〔7〕に記載のアズルミン酸混合液の製造方法
〔9〕
前記有機酸の分子量が、500以下である、前項〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液の製造方法。
〔10〕
前記アズルミン酸の青酸単位のモル数に対する前記有機酸のモル数の比が、1以上100000以下である、前項〔6〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液の製造方法。
本発明によれば、アズルミン酸の溶解性が高いアズルミン酸混合液及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態のアズルミン酸混合液の製造方法は、アズルミン酸と有機酸とを共存させる工程を有するものであり、その工程に先立って、アズルミン酸を製造する工程を有していてもよい。
アズルミン酸とは、主として青酸(シアン化水素)を重合して得られる重合物の総称である。青酸は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、その製造方法は特に限定されない。例えば、青酸は、プロピレン、イソブチレン、tert−ブチルアルコール、プロパン又はイソブタン等をアンモニア及び酸素含有ガスと触媒存在下で反応させる気相接触反応によってアクリロニトリルやメタクリロニトリルを製造する方法において副生する。この方法によれば、青酸を非常に安価に得ることが可能である。なお、この種の気相接触反応は公知の反応であるため、その反応条件も公知のものであればよい。またアクリロニトリルやメタクリロニトリルの製造において、副生する青酸を増産するために、例えば、アンモ酸化反応によって青酸を生成するような原料(例えば、メタノール等)を、反応器に供給してもよい。
青酸は、天然ガスの主成分であるメタンをアンモニア及び酸素含有ガスと触媒存在下で反応させるアンドリュッソー法によっても生成する。この方法も、青酸を非常に安価に得ることが可能である。
もちろん、青酸は、青化ソーダ等を用いる実験室的な製造方法によっても生成でき、このようにして得られたものも用いることができる。ただし、青酸を多量且つ安価に製造できる観点から、アクリロニトリルやメタクリロニトリルの製造やアンドリュッソー法のように工業的に製造されたものが好ましい。
アズルミン酸を製造する工程では、上述のようにして得られる青酸を含む原料を重合して、黒色から黒褐色の重合物であるアズルミン酸を得る。ここで、高純度のアズルミン酸を得る観点から、上記原料において、青酸以外の重合性物質の含有量が、原料の全体量に対して40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。言い換えると、上記原料中の青酸の含有量は、原料の全体量に対して60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。
アズルミン酸は、青酸及び場合によっては少量のそれ以外の重合性物質を種々の方法で重合させることにより製造することができる。その重合方法としては、例えば、液化青酸又は青酸水溶液を加熱する方法、それらを長時間放置する方法、それらに塩基を添加する方法、それらに光を照射する方法、それらに高エネルギーの放射をする方法、それらの存在下で種々の放電を行う方法、シアン化カリウム水溶液を電気分解する方法が挙げられる。
液化青酸又は青酸水溶液に塩基を添加してその塩基の存在下に青酸を重合させる方法において、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、有機塩基、アンモニア、アンモニア水を例示することができる。有機塩基としては、例えば、一級アミン(R1NH2)、二級アミン(R12NH)、三級アミン(R123N)、四級アンモニウム塩(R1234+)が挙げられる。ここで、R1、R2、R3及びR4は、互いに同一又は異なってもよい炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、シクロヘキシル基、又はこれらが結合して得られる基を示し、これらはさらに置換基を有していてもよい。これら有機塩基の中でも、脂肪族又は環式脂肪族の第三級アミンが好ましい。そのような第三級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンN−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)が挙げられる。上記例示した塩基は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、プロピレン等のアンモ酸化工程で副生する青酸の精製工程で、装置の付着物を回収することによってアズルミン酸を得ることもできる。
アズルミン酸の組成は、CHN分析計を用いて測定することができる。アズルミン酸中の炭素原子のモル数に対する窒素原子のモル数の比((窒素原子のモル数)/(炭素原子のモル数))は、0.2〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0、さらに好ましくは0.6〜0.95である。
本実施形態で用いるアズルミン酸は、波数1000〜2000cm-1のレーザーラマン分光分析によるスペクトル図において、ラマンシフトが1300〜1400cm-1、1500〜1600cm-1のいずれの位置にもピークを示すことが好ましく、1360〜1380cm-1、1530〜1550cm-1のいずれの位置にもピークを示すことが特に好ましい。
本実施形態で用いるアズルミン酸は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図の10〜50°の範囲において、回折角(2θ)が26.8±1°の位置に強いピークを示すものである。このピークは、好ましくは26.8±0.5°の位置に、より好ましくは26.8±0.2°の位置に示される。また、前述のピークに加えて、本実施形態で用いるアズルミン酸は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図の10〜50°の範囲において、回折角(2θ)が12.3±1°の位置に、好ましくは12.3±0.5°の位置にピークを示してもよい。
本実施形態で用いるアズルミン酸は、N1sのXPSスペクトル図において、399.0±0.7eVに、好ましくは399.0±0.4eVに、特に好ましくは399.0±0.2eVに主ピークを有することが好ましい。
なお、アズルミン酸は、その製造方法、組成、製造ロットが異なるもの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、アズルミン酸と有機酸とを共存させる工程では、それらを共存させることで、アズルミン酸混合液を製造することができる。この際、共存状態が得られるのであれば、これらのどちらをどちらに添加してもよい。すなわち、アズルミン酸が収容された容器に有機酸を添加してもよいし、逆に有機酸が収容された容器にアズルミン酸を添加してもよいし、それらを同時に容器内に投入してもよい。
有機酸としては、カルボキシル基を有する有機化合物、及び、スルホン基を有する有機化合物を例示できる。
具体的には、カルボキシル基を有する有機化合物としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、サリチル酸、トリヒドロキシ安息香酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、メリト酸、ピルビン酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタアクリル酸及びトリフルオロ酢酸を例示できる。
スルホン基を有する有機化合物としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びシクロヘキサンスルホン酸を例示できる。
これらの中で、有機酸は、溶解性が高いという観点から、好ましくはカルボキシル基を有する有機化合物である。有機酸は、同様の観点から、より好ましくはカルボキシル基とアルデヒド基とを有する有機化合物、及び、カルボキシル基と水酸基とを有する有機化合物である。好ましい有機酸の例として、蟻酸、酢酸、グリコール酸及びトリフルオロ酢酸を例示できる。カルボキシル基とアルデヒド基とを有する有機化合物の例として、蟻酸を例示できる。カルボキシル基と水酸基とを有する有機化合物の例として、グリコール酸を例示できる。
また、例えば、アズルミン酸混合液を薄膜等に成形した後に、有機酸を加熱乾燥又は減圧乾燥等により揮発させて除去するという観点から、分子量の低い有機酸が好ましい。有機酸の分子量は500以下が好ましく、より好ましくは200以下であり、更に好ましくは100以下である。
混合液中で十分な量のアズルミン酸が溶けた又は混合された状態を得る観点から、有機酸のモル数は、アズルミン酸の青酸単位のモル数に対してモル比で1以上であることが好ましい。ここで、「アズルミン酸の青酸単位のモル数」とは、アズルミン酸の質量(g)を青酸の分子量である27で割って得られた値である。上記モル比は、より好ましくは5以上であり、更に好ましくは10以上である。有機酸とアズルミン酸とを分離するのに要するエネルギーが多過ぎないようにする観点から、上記モル比は10万以下であると好ましく、より好ましくは10000以下であり、更に好ましくは1000以下である。
有機酸はそれ自体を溶媒として用いてもよいし、水及び/又は有機溶媒と混合して溶液として用いてもよい。有機酸水溶液の場合、有機酸の濃度(質量基準)は特に限定されないが、一般的には10〜90%が好ましく、より好ましくは20〜80%である。なお有機酸は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アズルミン酸を混合液の状態、好ましくは溶液状態にすると、粉末状態に比べて実用的な観点から有利となる。例えば、アズルミン酸を容易に製膜化することができたり、アズルミン酸を他の有機化合物や高分子と混合して、それらとの反応を促進させることが可能になったりする。また、基礎研究の観点から、構造解析を進めやすくなり、その構造解析が進めば、アズルミン酸の実用的な用途の研究においても広がりをみせることが可能になる。
アズルミン酸混合液のより具体的な製造方法の一例について以下、説明する。
なお、混合液を製造する前の段階で、アズルミン酸は粉末又は塊状であってもよい。また、粉末又は塊状のアズルミン酸は、予めボールミル等で粉砕してから混合液の原料とすることが好ましい。
アズルミン酸と有機酸とを共存させる工程において、アズルミン酸の粉末が収容された容器内に有機酸又はその溶液を添加、有機酸又はその溶液が収容された容器内にアズルミン酸の粉末を添加、あるいは、両者を同時に容器内に投入した後、その容器を振とうしたり攪拌したり、その容器に対して超音波をかけたりして混合することが好ましい。このときに、アズルミン酸の溶解を容易にする観点から、容器を加熱してもよい。
それらを混合する際の温度は特に限定されないが、0〜200℃が好ましく、より好ましくは10〜150℃である。その温度は、アズルミン酸の溶解性や有機酸の安定性の観点から20〜70℃であると更に好ましい。
それらを混合する際の圧力は特に限定されないが、2MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましく、更に好ましくは0.2MPa以下である。また、混合時間としては、例えば、1分間〜100時間であってもよく、好ましくは10分間〜20時間であり、より好ましくは30分間〜2時間である。
なお、本明細書中、「アズルミン酸混合液」は、アズルミン酸が完全に溶解したアズルミン酸溶液を包含する。よって、アズルミン酸が完全に溶解したものでもよいし、部分的に溶解したものでもよい。アズルミン酸の溶解の程度、アズルミン酸混合液の濃度等、アズルミン酸混合液の態様は、その用途に応じて使い分ければよい。
例えば、アズルミン酸混合液の濃度(混合液中のアズルミン酸濃度)は、質量基準で、好ましくは0.000001質量%〜50質量%、より好ましくは0.00001質量%〜30質量%に調製して用いることもできる。薄膜を製造するためにアズルミン酸混合液を用いるのであれば、上記濃度が薄いことが好ましく、0.000001質量%〜0.1質量%を例示できる。一方、厚膜を製造するためにアズルミン酸混合液を用いるのであれば、上記濃度はある程度濃いことが好ましく、0.1〜50質量%を例示できる。他の有機化合物や高分子と混合して反応を促進させるためにアズルミン酸混合液を用いるであれば、濃度はある程度濃いことが好ましく、0.1〜50質量%を例示できる。
本実施形態によれば、アズルミン酸を高い溶解性で溶解できるアズルミン酸混合液及びその製造方法を提供することができる。また、本実施形態のアズルミン酸混合液を製造及び使用する際には、白煙の発生やアミン臭を抑制することが可能となる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、当業者は以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願の特許請求の範囲に包含される。
<製造例>
(アズルミン酸の製造)
水350gに青酸150gを溶解させた水溶液を容器中で調製し、この水溶液を攪拌しながら、25%アンモニア水溶液120gを10分かけて添加し、得られた混合液を35℃に加熱した。すると、青酸の重合が始まり黒褐色の重合物が析出し始め、温度は徐々に上昇し45℃となった。重合が始まって2時間後から30質量%青酸水溶液を200g/hの速度で添加し始め、4時間かけて800g添加した。青酸水溶液の添加中は容器を冷却して反応温度が50℃に保たれるようにコントロールした。この温度で100時間攪拌した。得られた黒色沈殿物をろ過によって分離した。このときの沈殿物の収率は用いた青酸の全量に対して96%であった。分離後の沈殿物を水洗した後、乾燥器にて120℃で4時間乾燥させてアズルミン酸を得た。
<アズルミン酸の分析>
(CHN分析)
ジェイサイエンスラボ社製の元素分析装置(商品名「MICRO CORDER JM10」)を用い、2500μgのアズルミン酸試料を試料台に充填してCHN分析を行った。試料炉の温度を950℃、燃焼炉(酸化銅触媒)の温度を850℃、還元炉(銀粒+酸化銅のゾーン、還元銅のゾーンと酸化銅のゾーンとからなる)の温度を550℃に設定した。また、酸素流量を15mL/分、He流量を150mL/分に設定した。検出器としてTCDを用いた。アンチピリン(Antipyrine)を用いてマニュアルに記載の方法でキャリブレーションを行った。
その結果、上記製造例にて得られたアズルミン酸の組成は、炭素元素40.0重量%、窒素元素29.8重量%、水素元素4.1重量%であった。ここで、上述の乾燥条件では吸着水が残存するため、差分は主に吸着水中の酸素元素と水素元素とに由来するものと考えられる。
(レーザーラマンスペクトルの測定)
アズルミン酸のラマンスペクトルを、アズルミン酸試料をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末用セルに充填して下記の条件で測定した。
装置:Reninshaw社製商品名「System―3000」、光源:Arレーザー(波長540nm、2mW)、ビームサイズ:5μm、操作範囲:1000〜2000cm-1、積算時間:5分。
その結果、上記製造例にて得られたアズルミン酸は、1000〜2000cm-1の間で、1543cm-1、1375cm-1に強いピークを有していた。
(X線回折の測定)
アズルミン酸のX線回折パターンは、アズルミン酸試料をメノウ乳鉢で粉砕後、粉末用セルに充填して下記の条件で測定した。
装置:リガク社製商品名「Rint2500」、X線源:Cu管球(Cu−Kα線)、管電圧:40kV、管電流:200mA、分光結晶:あり、散乱スリット:1°、発散スリット:1°、受光スリット:0.15mm、スキャン速度:2°/分、サンプリング幅:0.02°、スキャン法:2θ/θ法。
また、X線回折角(2θ)の補正には、シリコン粉末について得られたX線回折角データを用いた。
その結果、上記製造例にて得られたアズルミン酸は、5〜50°の間で、27.0°に最も強いピーク、12.3°付近にもブロードなピークを有していた。
<クロロホルム処理>
アズルミン酸10gを、クロロホルム300gを用いたソックスレーの抽出法により5時間洗浄した。なお、この洗浄は、アズルミン酸中に含まれる低分子量体やリニアな構造体など比較的溶媒に可溶な成分を抽出除去するためのものである。残存したアズルミン酸は明らかに難溶性であるが、これに塩基性若しくは酸性水溶液、又は塩基性若しくは酸性水溶液に重合して得られたアズルミン酸を添加することによって、この操作によるアズルミン酸の溶解性を評価することができる。
なお、この洗浄後のクロロホルムは透明無色であり、ほとんどのアズルミン酸が残渣として回収された。
[実施例1]
上記クロロホルム処理を経て得られたアズルミン酸1gに対し、溶媒として蟻酸を200g添加し、50℃で1時間攪拌してアズルミン酸混合液を得た。アズルミン酸混合液は黒色に着色していた。次に、得られたアズルミン酸混合液を孔径1μmのフィルターを用いた吸引ろ過に供し、そこから固形分を分離除去して濾液を得た。なお、上記フィルターには、ADVANTEC社製の親水性PTFEフィルター(商品名「H100A090C」を用いた。次いで、得られた濾液から、エバポレータを用いて溶媒を蒸発除去し、回収された析出物の質量を測定することによって、溶媒への溶解率を算出した。溶媒への溶解率は下記式によって表される。
(エバポレータから回収された析出物の質量)/(アズルミン酸混合液中に含まれるアズルミン酸の質量)×100
溶解率の結果及び溶媒からの白煙の発生の有無を表1に示す。なお、溶媒からの白煙の発生の有無は、容器内でアズルミン酸混合液を空気と接触させた際に白煙が発生するか否かを目視により確認して判断した。
[実施例2]
蟻酸を蟻酸水溶液(蟻酸と水を質量比で1:1に混合したもの)に代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[実施例3]
蟻酸を酢酸に代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[実施例4]
蟻酸をトリフルオロ酢酸に代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[実施例5]
蟻酸を20%シュウ酸水溶液に代え、攪拌時の温度を50℃から110℃に代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[実施例6]
蟻酸を70%グリコール酸水溶液に代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[実施例7]
攪拌時の温度を50℃から20℃に代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[実施例8]
攪拌時の温度を50℃から20℃に代えた以外は実施例6と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[比較例1]
蟻酸をエチレンジアミンに代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
[比較例2]
蟻酸をエチレンジアミンに代え、攪拌時の温度を50℃から110℃に代えた以外は実施例1と同様にしてアズルミン酸混合液を得た。そのアズルミン酸混合液について、実施例1と同様にして、溶解率を測定し、溶媒からの白煙の発生の有無を確認した。それらの結果を表1に示す。
Figure 0005764386
上述の結果から、本発明の製造方法によれば、アズルミン酸の溶解性が著しく向上することが分かった。また、本発明に係るアズルミン酸混合液が空気と接触しても、白煙の発生を抑制できることが分かった。
本発明によれば、アズルミン酸を良好に溶解したアズルミン酸混合液が得られる。アズルミン酸を混合液の状態にすることによって、粉末状態と比較すると、製膜化を可能としたり、他の有機化合物や高分子と混合して反応を促進させことを可能にしたりという実用的な利点を有する。また、基礎研究の観点から、混合液としたことでアズルミン酸の構造解析を効率的に進めることができるので、アズルミン酸の実用的な用途についても、更に研究に広がりをみせることが可能になる。したがって、本発明は、電子材料分野、及びこれを備える電子・電気材料、電子・電気デバイス、並びにそれらを備える各種機器、設備、システム等において、広く且つ有用に利用できる。

Claims (10)

  1. アズルミン酸とカルボキシル基を有する有機酸とを含有するアズルミン酸混合液。
  2. 前記有機酸が、アルデヒド基をさらに有する、請求項1に記載のアズルミン酸混合液。
  3. 前記有機酸が、水酸基をさらに有する、請求項1又は2に記載のアズルミン酸混合液。
  4. 前記有機酸の分子量が、500以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液。
  5. 前記アズルミン酸の青酸単位のモル数に対する前記有機酸のモル数の比が、1以上100000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液。
  6. アズルミン酸とカルボキシル基を有する有機酸とを共存させる工程を有する、アズルミン酸混合液の製造方法。
  7. 前記有機酸が、アルデヒド基をさらに有する、請求項6に記載のアズルミン酸混合液の製造方法。
  8. 前記有機酸が、水酸基をさらに有する、請求項6又は7に記載のアズルミン酸混合液の製造方法
  9. 前記有機酸の分子量が、500以下である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液の製造方法。
  10. 前記アズルミン酸の青酸単位のモル数に対する前記有機酸のモル数の比が、1以上100000以下である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のアズルミン酸混合液の製造方法。
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