JP5553516B2 - 金属超微粒子分散体およびその製造方法 - Google Patents

金属超微粒子分散体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハイパーブランチポリマーにより金属超微粒子を溶液中に均一に分散してなる金属超微粒子分散体およびその製造方法に関する。
金属超微粒子は、金属イオンを含む溶液中にて金属イオンを還元させることで得られる。かかる金属超微粒子分散体の製造において、還元によって溶液中に生成した金属超微粒子は粒子間に分子間力が働くためきわめて凝集しやすい。分子間力は粒子が小さければ小さいほど大きくなる。
従来、金属超微粒子の製造においては、凝集を抑制するために、あらかじめ溶液中に分散剤を添加している(特許文献1、非特許文献1)。すなわち、金属イオンを含む溶液中に分散剤を添加しておき、この金属イオンと分散剤を含む溶液に還元剤を添加し、還元によって生じた金属超微粒子を分散剤により分散状態に保持して、粒子の凝集を抑制している。
例えば、特許文献1では、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、疎水性セグメント(c)とを有する高分子化合物(X)を分散体として用い、この分散体と、金属の塩又は金属のイオン溶液(Y)と、還元剤(Z)とを混合し、この混合溶液中の金属イオンを還元し、混合溶液中に金属ナノ粒子(金属超微粒子)を析出させるとともに分散させている。
かかる金属超微粒子の製造において、さらに金属超微粒子の分散性能を高めるために、分散剤として樹枝状ポリマーを用いる方法が提案されている(特許文献2)。この方法では、樹枝状ポリマーの内部に形成されている空間に金属イオンを導入し、前記空間を金属超微粒子の生成の場とすることで、従来技術よりもさらに小さい、粒子径分布の揃ったナノ粒子が生成できるとしている。
上記特許文献1および特許文献2では、溶液中の金属イオンを金属超微粒子に析出させるための還元手段として還元剤を使用しているが、還元剤を使用する替わりに、金属イオンと分散剤(デンドリマー)とを含む溶液に化学線を照射することにより金属イオンを還元する方法も提案されている(特許文献3)。
上記従来の金属超微粒子分散体は、金属イオン、分散剤を含む溶液から構成された「金属超微粒子を分散状態で保持した溶液」であり、触媒、電子材料、磁気材料、光学材料、センサー材料、色材、医療検査用材料などの各種用途に応じた組成物と混合されて使用に供される。例えば、導電性ペーストに用いる場合は、金属超微粒子分散体をペースト組成物に混合して用いられる。
特開2008−37949号公報 特開2006−225669号公報 特開2002−179820号公報
N Toshima and T. Takahashi, Bull. Chem. Soc. Jpn, 65, 400 (1992)
上記従来の方法では、分散剤中の金属イオンを還元するために、溶液全体に還元剤を添加するか、溶液全体に還元作用のある化学線を照射する必要がある。還元剤あるいは化学線は、溶液全体に添加あるいは印加するため、樹枝状ポリマーなどの分散剤の外部の溶液中に存在している金属イオンも同時に還元することになる。かかる溶液全体に対して行われる還元作用の結果、例えば、分散剤として樹枝状ポリマーを用いた場合には、分散剤(樹枝状ポリマー)内部で金属イオンから析出する金属超微粒子と、ポリマー外の溶液中で析出する金属超微粒子の2種類の金属超微粒子が存在することとなる。これら2種類に金属超微粒子の内の後者の金属超微粒子は、分散剤(樹脂状ポリマー)により固定されていないため粒子間で凝集が生じやすく、凝集により粒径の大きな金属超微粒子と、さらに粒径が大きくなって生成した沈殿物とが形成される。このような現象が生じるために、従来の方法により得られた金属超微粒子分散体は、金属超微粒子の粒径に大きなばらつきが生じ、金属沈殿物も含まれることになり、各種用途に使用するには品質的に不十分なものである。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、金属超微粒子の粒径および分散性が均一で、保存安定性の高い金属超微粒子分散体と、その製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが種々実験、検討を重ねたところ、下記のような知見を得るに至った。
分散剤として、還元能を持つ部位(原子団)を有するハイパーブランチポリマーを用いた。このハイパーブランチポリマーを溶液中で金属イオンと反応させ、金属超微粒子分散体を得た。ハイパーブランチポリマーの内に誘導された金属イオンは、ハイパーブランチポリマーの還元能を持つ部位の非共有電子対と相互作用して、ハイパーブランチポリマーの分子鎖骨格内部にとどまる。ついで、前記還元能を持つ部位は、そこに相互作用により補足されている金属イオンを還元し、金属超微粒子を析出させる。この還元作用は、ハイパーブランチポリマー内に誘導された金属イオンのみに作用し、ハイパーブランチポリマーの外の溶液中の金属イオンはそのまま溶液中に溶存する。その結果、溶液(分散体)全体にわたって、粒径が均一かつ小さな金属超微粒子の調製が可能になる。さらに、上記ハイパーブランチポリマーの還元能を持つ部位(原子団)として好適な原子団をスクリーニングして金属超微粒子の特性を詳細に評価したところ、特定の官能基(アミノ基またはスルフィド基)において粒径の均一さ及び小ささという特性に最も優れた金属超微粒子を調製できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記構成を採用した金属超微粒子分散体およびその製造方法を提供する。
[1] 還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマー(A)と、金属イオンを含む溶液(B)とが混合されて得られた金属超微粒子分散体であって、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に誘導された金属イオンのみが前記還元能を持つ部位により還元されて該ハイパーブランチポリマー(A)内にのみ金属超微粒子が形成されていることを特徴とする金属超微粒子分散体。
[2] 前記ハイパーブランチポリマー(A)が直径1nm以上100nm未満の球状分子であることを特徴とする、上記[1]に記載の金属超微粒子分散体。
[3] 前記還元能を有する部位がアミノ基またはスルフィド基である、上記[1]または[2]に記載の金属超微粒子分散体。
[4] 前記ハイパーブランチポリマー(A)が前記金属超微粒子の保護層を有することを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の金属超微粒子分散体。
[5] 還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマー(A)を準備する第1の工程と、金属イオンを含む溶液(B)を準備する第2の工程と、前記ハイパーブランチポリマー(A)と前記溶液(B)とを混合することにより、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に金属イオンを誘導するとともに、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に誘導された金属イオンのみを前記還元能を持つ部位により還元して該ハイパーブランチポリマー(A)内にのみ金属超微粒子を形成させる第3の工程と、を有することを特徴とする金属超微粒子分散体の製造方法。
[6] 前記ハイパーブランチポリマー(A)が直径1nm以上100nm未満の球状であることを特徴とする、上記[5]に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
[7] 前記第1の工程で準備するハイパーブランチポリマー(A)が、それ自身還元能を有するハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、上記[5]又は[6]に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
[8] 前記第1の工程で準備するハイパーブランチポリマー(A)が、それ自身は還元能を有さないが、pH調整剤と接触することで還元能が付与されたハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、上記[5]又は[6]に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
[9] 前記第1の工程で準備するハイパーブランチポリマー(A)が、それ自身は還元能を有さないが、別途化合物を縮合させることで還元能が付与されたハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、上記[5]又は[6]に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
[10] 前記還元能を有する部位がアミノ基またはスルフィド基である、上記[5]〜[9]のいずれか1項に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
[11] 前記還元能を有する部位が前記金属超微粒子の保護層として機能していることを特徴とする、上記[5]〜[10]のいずれか1項に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
本発明にかかる金属超微粒子分散体は、還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマー(A)と、金属イオンを含む溶液(B)とが混合されて得られた金属超微粒子分散体である。したがって、溶液中の金属イオンがハイパーブランチポリマー(A)内に誘導されると、ハイパーブランチポリマーの還元能を持つ部位の非共有電子対が金属イオンの空軌道と相互作用して、金属イオンはハイパーブランチポリマーの分子鎖骨格内部にとどまる。ついで、前記還元能を有する部位がその部位に相互作用により補足されている金属イオンを還元し、その部位に金属超微粒子が析出する。
本発明における上述の機構に基づけば、分散剤としてのハイパーブランチポリマー自身が還元剤としての働きも担うため、従来法でのように、溶液全体に還元作用を生じさせる必要がなく、その結果、金属イオンは、ハイパーブランチポリマーの分岐鎖骨格内部でのみ還元されて金属分子として生成され、成長し、金属超微粒子を形成する。
このように、本発明にかかる金属超微粒子分散体およびその製造方法では、ハイパーブランチポリマーの外側の溶液中に存在する金属イオンは還元剤との接触や光照射による還元作用にさらされることがなく、金属超微粒子となることがないので、溶液中に粒径の大きな金属超微粒子が形成されることも、それらが凝集して沈殿することもない。本発明では、溶液中に存在する金属イオンの反応は起こらずに、そのままイオンとして溶液中に溶存し、分散剤であるハイパーブランチポリマー内のみの金属イオンが還元されて、粒径が非常に小さく、粒径分布が狭い複数の金属超微粒子が生成される。しかも、生成した全ての金属超微粒子はハイパーブランチポリマーの分岐鎖骨格で保護されているため、分散体中の金属超微粒子の分散安定性は大変高いものとなる。
本発明の金属超微粒子分散体は、還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマー(A)と、金属イオンを含む溶液(B)とが混合されて得られた金属超微粒子分散体であって、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に誘導された金属イオンのみが前記還元能を持つ部位により還元されて該ハイパーブランチポリマー(A)内にのみ金属超微粒子が形成されていることを特徴とする。
以下、本発明の各構成要素について、詳しく説明する。
(ハイパーブランチポリマー)
本発明に用いられる分散体の主体であるハイパーブランチポリマーとは、分子内に多数の分岐点を有するポリマーの総称で、デンドリマーと共にデンドリティック(樹枝状)ポリマーとして分類されている。従来の線状ポリマーとは物性面で異なる点が多数あり、一例を挙げると、表面多官能性、低粘度、非晶性などがある。特に、表面多官能性ゆえにポリマー表面官能基に、さらに別の化合物を縮合させることができる。
本発明で用いるハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(Mw)は、500〜100,000であることが好ましく、6,000〜28,000であることがより好ましい。ここで、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、0.5質量%の水溶液を調製し、温度40℃でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行って求めることができる。例えば、測定装置としてShodex社製の「RI−71(商品名)」を用い、移動溶媒としては水を用い、標準物質としてはポリエチレングリコールを使用することにより、求めることができる。後述の実施例においても、この条件で測定している。また、ポリマーの多分散度(Mw/Mn)は1〜10であるのが好ましく、1〜5であるのがさらに好ましい。なお、上記多分散度(Mw/Mn)の分母のMnは数平均分子量である。
さらに、ハイパーブランチポリマーの絶対分子量は、1,000〜1,000,000であることが好ましく、28,000〜154,000であることがより好ましい。ここで、ハイパーブランチポリマーの絶対分子量は、多角度光散乱検出器(MALLS; multi-angle laser light scattering)により測定することができる。
測定条件は、例えば、前述のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定のラインにWyatt社製の多角度光散乱検出器(商品名「DAWN DSP−F」)を接続して行うことができ、後述する実施例においても、この条件にて測定している。
本発明の金属超微粒子分散体における分散剤の主体として用いられるハイパーブランチポリマーは、上述の特性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、中でも用いて好ましいハイパーブランチポリマーは、グリシジルエーテル基と水酸基を含む下記一般式(I):
Figure 0005553516
(式(I)中、Xは分子中にヘテロ原子を有していてもよい置換アルカンを示し、グリシジルエーテル基および水酸基は置換アルカンXを構成する炭素のうち共通の炭素に結合していてもよいし、それぞれ異なる炭素に結合されていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、m>n>0である。)
で表される化合物(a)を含むグリシジルエーテル化合物(イ)を塩基性触媒(ロ)の存在下で付加重合させることにより得られる、末端にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーである。
かかるハイパーブランチポリマーについて、以下に詳しく説明する。
(出発物質(イ))
上記ハイパーブランチポリマーを得るための出発物質として、「水酸基と水酸基よりも多い数のグリシジルエーテル基を持つ化合物」を含むグリシジルエーテル化合物(イ)を用いる。係る出発物質(イ)に含まれる「水酸基と水酸基よりも多い数のグリシジルエーテル基を持つ化合物」として、上記一般式(I)で表される化合物(a)を用いる。 一般式(I)で表される化合物(a)は、1以上の水酸基と、該水酸基より多い数のグリシジルエーテル基とを含む化合物であり、2つ以上の反応性等価なグリシジルエーテル基をグリセロール骨格内に持つ化合物とも言い換えられる。
上記一般式(I)中のXは置換アルカンを示す。本発明において「置換アルカン」とは、アルカンを構成する水素原子のうちの少なくとも一部または全部が置換基に置き換えられたものを意味する。上記一般式(I)の置換アルカンXは、アルカンを構成する水素原子の少なくとも一部又は全部がグリシジルエーテル基または水酸基との化学結合で置換されたアルカンである。
上記置換アルカンを構成する炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることが特に好ましい。20を上回る場合、所望の分岐度を確保できないおそれがある。
上記置換アルカンの構造は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよく、それらの2以上を含むものであってもよい。また、上記置換アルカンを構成する水素原子のうちグリシジルエーテル基や水酸基で置換されていない水素原子については、ハロゲン原子で置換されていてもよい。さらに、置換アルカンの一部に酸素原子や窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。すなわち、置換アルカンの一部に、例えば−C(=O)O−(エステル結合)、−C(=O)NH−(アミド結合)、−O−(エーテル結合)などの結合を有していてもよい。また、置換アルカンの一部が脱水素した形で、二重結合あるいは三重結合を有していてもよい。
具体的に、上記置換アルカンを構成するアルカンとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
一般式(I)において、グリシジルエーテル基および水酸基の置換アルカンXへの結合部位は、特に限定されない。すなわち、各グリシジルエーテル基および水酸基が、置換アルカンXを構成する炭素のうち共通の炭素に結合していてもよいし、それぞれ異なる炭素に結合するものであってもよい。例えば、グリシジルエーテル基と水酸基とが交互に結合していてもよいし、それぞれが一部に偏在していてもよい。
一般式(I)中のmとnは、それぞれ、一般式(I)で示される化合物中のグリシジルエーテル基および水酸基の結合数を示す。mは2以上の整数である。mが大きい場合、多様な官能基に変換できるエポキシ基の残存数が増えるため、好ましい。ただし、エポキシ基の数が水酸基の数に比べて過剰に多い場合、反応が進まなくなるおそれがあるため、mの上限は10であることが好ましく、5がより好ましく、3がより一層好ましい。nは1以上の整数を示し、mとの間で、m>n>0の関係にある。すなわち、nはmよりも小さい整数である。
一般式(I)で表される化合物(a)としては、グリセロール骨格を有する化合物であることが好ましい。グリセロール骨格とは、グリセリン(グリセロール)の3つの水酸基の水素が外れた骨格を意味する。なお、上記グリセリンはアルキル基等の置換基を持つ誘導体を含む意味である。グリセロール骨格は異なる3つの炭素原子に酸素原子が結合しているため、グリシジルエーテル基の反応性が等価という利点がある最小分子であり、分岐度の高いハイパーブランチポリマーが得られる。また、グリセリンが油脂産業における余剰物質としてその素材展開を求められていることからも、一般式(I)で表される化合物は、用いて好ましい化合物と言える。
一般式(I)で表される化合物(a)の製造条件には、特に限定はなく、例えば、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンクエリスリトール、ソルビトール、庶糖、分解澱粉等の2つ以上の水酸基を持つ化合物とエビクロロヒドリンとにより誘導される化合物が挙げられる。
上記誘導化合物として具体的に好ましい化合物名を挙げるならば、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロール−1−グリシジル−3−(プロピル−3−クロロ−2−グリシジルエーテル)エーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等である。
上記ジグリセロールポリグリシジルエーテルとしては、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテルが好ましい。
また、上記ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルとしては、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテルが挙げられる。
上記具体例の中でも、グリセロールジグリシジルエーテルが好ましい。グリセロールジグリシジルエーテルとしては、下記構造式(II)〜(IV)に示されるグリセロール−1,3−ジグリシジルエーテル(式(II))、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル(式(III))、および1−(2−オキシラニルメトキシ)−3−[2−クロロ−3−(2−オキシラニルメトキシ)プロポキシ]プロパン−2−オール(式(IV))を挙げることができ、これらの中でも、特に、構造式(II)に示すグリセロール−1,3−ジグリシジルエーテルが好ましい。これらの具体的グリセロールジグリシジルエーテルは、例えば、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズより入手できる。なお、このナガセケムテックス社製の製品は、構造式(II)〜(IV)に示されるジグリシジルエーテル化合物、すなわち、一般式(I)で表されるジグリシジルエーテル化合物(a)を含有するジグリシジルエーテル化合物であり、一般式(I)で表されるジグリシジルエーテル化合物(a)のみからなる化合物ではない。すなわち、上記市販品は、一般式(I)で表されるジグリシジルエーテル化合物(a)と他のグリシジルエーテル化合物との混合物である。
Figure 0005553516
Figure 0005553516
Figure 0005553516
また、本発明の有効成分保持体の保持主体として用いるハイパーブランチポリマーを得るための開環付加重合の開始物質(イ)には、上記の一般式(I)で表される化合物(a)の他に、上記一般式(I)で示される化合物(a)以外のグリシジルエーテル化合物を含んでいてもよい。
(一般式(I)で示される化合物(a)以外のグリシジルエーテル化合物)
上記一般式(I)で示される化合物(a)以外のグリシジルエーテル化合物としては、下記一般式(I−2):
Figure 0005553516
(式(I−2)中、Yは水酸基を含有しない置換基を示し、kは1以上の整数を示す。)
で表される化合物(a2)、及び下記一般式(I−3):
Figure 0005553516
(式(I−3)中、Zはエポキシ基を含有しない置換基を示し、lは1以上の整数を示す。)
で表される化合物(a3)からなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
上記一般式(I−2)で表される化合物(a2)としては、特に限定はなく、例えば、1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、オキシラニルシクロヘキサン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルプロピルエーテル、グリシジルブチルエーテル、グリシジルペンチルエーテル、グリシジルヘキシルエーテル、グリシジルシクロヘキシルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,2:5,6−ジエポキシヘキサン、1,2:7,8−ジエポキシオクタン、が挙げられる。
係る他のグリシジルエーテル化合物としては、例えば、上記以外のグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、庶糖、分解澱粉等の水酸基がグリシジルエーテル基で置換されたもの;脂肪族、芳香族、脂環族のグリシジルエーテル、グリシジルエステル、それらのEOPO(ethylene oxide and propylene oxide)付加体等が挙げられる。
また、上記一般式(I−3)で表される化合物(a3)としては、特に限定はなく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、o−ヒドロキシアニソール、m−ヒドロキシアニソール、p−ヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、が挙げられる。
本発明の有効成分保持体の保持主体として用いられるハイパーブランチポリマーを得るための開環重合が、一般式(I)で表される化合物(a)とそれ以外のグリシジルエーテル基を持つ化合物との混合物を用いて行われる場合、一般式(I)で表される化合物(a)が前記混合物全体の30質量%以上、より好ましくは、50質量%以上であることが高分岐度を保つためには、望ましい。
本発明に用いられるハイパーブランチポリマーを得るための開始物質(イ)として、一般式(I)で表される化合物(a)とそれ以外のグリシジルエーテル基を持つ化合物との混合物を用いて、ハイパーブランチポリマー(共重合体)を得る場合では、その混合割合を調節することにより、得られるハイパーブランチポリマーの分岐度を制御することができる。
(塩基性触媒(ロ))
上記ハイパーブランチポリマーを合成するには、上記一般式(I)で表される化合物(a)のみからなるグリシジルエーテル化合物(イ)、もしくは一般式(I)で表される化合物(a)を含むグリシジルエーテル化合物(イ)を出発物質として、この出発物質(イ)について、塩基性触媒(ロ)を使用した開環付加重合を行う。塩基性触媒(ロ)は水酸基に作用してエポキシ基と反応させるものであり、エポキシ基に直接作用するものではない。そのため最終的にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーを得ることができる。
塩基性触媒(ロ)としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、それらの水素化物、アルコキシド、水酸化物、アルキル化物、炭酸塩等を挙げることができる。このうち、例えば、炭酸カリウム、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が好ましい。
上記ハイパーブランチポリマーの合成においては、一般式(I)で表される化合物(a)のみからなるグリシジルエーテル化合物(イ)、もしくは一般式(I)で表される化合物(a)を含むグリシジルエーテル化合物(イ)を出発物質として、この出発物質(A)を塩基性触媒(ロ)の存在下で、付加重合(開環重合、開環付加重合ともいう。)させればよく、重合の際の条件については特に限定されない。
使用する塩基性触媒(ロ)の配合量は、出発物質(イ)に対して、0.1〜30質量%であることが望ましく、1〜20質量%であることが好ましい。
塩基性触媒(ロ)を導入する方法としては、反応槽に予め添加しておく方法、または連続的に反応槽に滴下する方法、または一定時間毎に分割して反応槽に滴下する方法等が挙げられる。
開環付加重合は、溶媒の存在なしに進行するが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
また、反応濃度[溶媒に対する一般式(I)で表される化合物(a)(-=出発物質(イ)の場合)の濃度、あるいは出発物質(イ)としてグリシジルエーテル基を有する他の化合物も同時に用いる場合、該化合物と上記一般式(I)で表される化合物(a)との合計の溶媒に対する濃度]は、1質量%〜100質量%(溶媒なし)、好ましくは、10質量%〜100質量%、より好ましくは、30質量%〜100質量%である。
開環付加重合は、好ましくは、不活性ガス(Ar、Nなど)下にモノマー溶液と触媒を混合させる。この時、モノマー溶液は、一度に混合させても、反応系に滴下してもどちらでも良い。反応温度は、30℃〜180℃が好ましく、より好ましくは、60℃〜160℃である。反応時間は0.5〜10時間、より好ましくは、1〜7時間として、重合を完結させる。
付加重合における反応温度と反応時間の選択は、分岐度、分子量に影響する。本発明におけるエポキシ開環重合では、エポキシ基の開環により、まず、2級アルコキシドが選択的に調製し、その後、プロトン交換平衡により、1級アルコキシドへと変換される。活発なプロトン交換が、分岐度を向上させることから、迅速なプロトン交換を促し、高分岐重合体を得るためには、高温での反応(例えば、50℃以上、好ましくは80〜150℃)が望ましい。モノマーの消費が完了した後も反応温度が高い状態にあると、末端のエポキシ基が、系内の水分等によって、開環してしまう恐れがあるため、反応温度は、重合が終了した時点で速やかに室温まで低下させることが望ましい。
重合終了後、重合物から触媒を、濾過、イオン交換、中和等によって、除去することができる。この際、必要に応じて、重合物を好適な溶媒、例えば、メタノールに溶解させる。また、引き続き、再沈によって重合物を精製しても良い。
開環重合で得られたハイパーブランチポリマーのうち、例えば、グリセロール骨格を持つハイパーブランチポリマーは、調製物の13C−NMRを測定したところ、参考文献(Macromolecules 1999,32,4240−4246,Macromolecules 2000,33,8158−8166)に示されるように、分岐単位の三置換炭素原子に特異的な、79〜81ppmの共鳴を強く示すことから、多分岐体であることが確認できる。
本発明において分散体の主体として用いて好適なハイパーブランチポリマーは、上述のように多分岐体であるので、その構造は、通常、球状である。球状構造であることの確認は、GPCで測定した重量平均分子量とMALLSで測定した絶対分子量との間が大きく異なるかどうかによって行うことができる(Frechet,M.et al.Am.Chem.Soc.1999,121,2313.;Sawamoto,et al.Macromolecules,2001,34,7629.)。
すなわち、GPC(Shodex社製、商品名「RI−71」)測定の値及び多角度光散乱検出器:MALLS(Wyatt社製、商品名「DAWN DSP−F」)により得られる絶対分子量の値を用いて、GPC測定の値とMALLSの値との差異に応じて判断することができ、後述の実施例もこれに従った。
GPC測定の値とMALLSの値とが大きく異なる場合、球状のポリマーであると判断することができる。通常は、MALLSで測定した絶対分子量が、GPCで測定した重量平均分子量の2倍以上、好ましくは3倍以上であれば、球状構造と判断することができる。また、上限は特に規定されないが、通常は10倍以下である。
本発明において分散体の主体として用いて好適なハイパーブランチポリマーは、末端にエポキシ基を有し、分子内に水酸基を有する。末端とは、ポリマーを構成する分岐鎖の末端を意味する。分岐鎖には途中に−C(=O)O−(エステル結合)、−C(=O)NH−(アミド結合)、エーテル結合(−O−)などを含むアルカンから形成され、水酸基などの酸素を含む置換基を豊富に有している。
(還元能)
本発明で言う「還元能」とは、電子を付与して金属イオンを還元する性能をいう。金属イオンを還元した場合、金属単体の超微粒子が生成する。
(還元能を持つ部位)
また、本発明で言う「還元能を持つ部位」とは、金属イオンを還元する性能を有する原子団(官能基など)をいう。「還元能を有する部位」は、金属イオンに電子を付与して還元し、自身は酸化される。
(還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマー)
還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマーは、以下(i)〜(iii)の3通りの方法により準備することができる。
(i)
ハイパーブランチポリマーとして合成された時点で既に「還元能を持つ部位」を有するハイパーブランチポリマーをそのまま使用する。このような自身が還元能を有するハイパーブランチポリマーとしては、主に「還元能を持つ部位」が水酸基であるものを挙げることができ、市販のものとしては、ポリエチレンイミン(関東化学社製)、ポリアミドアミンデンドリマー(シグマアルドリッチ社製)などが挙げられる。
(ii)
自身は還元能を有さないハイパーブランチポリマーを原料とし、このハイパーブランチポリマーに、別途pH調整剤(NaOH等)を添加することで後天的に還元能を持つ部位を付与する。
上記還元能を持つ部位の付与方法としては、ハイパーブランチポリマー溶液にpH調整剤を添加してpH=10〜14になるように調節する方法が、挙げられる。pH調節の結果、ハイパーブランチポリマーの末端水酸基がアルコキシド基に変換されることで、ハイパーブランチポリマー内に「還元能を持つ部位」が形成され、ハイパーブランチポリマー自身が還元能を有することになる。この場合のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液等が用いられる。
このように後天的に「還元能を持つ部位」を付与されたハイパーブランチポリマーも、本発明に係る金属超微粒子分散体に使用可能である。かかるハイパーブランチポリマーとしては、市販品として、ダイセル化学工業社製の「ポリグリセリン−10(商品名)」および「ポリグリセリン−X(商品名)」、ハイパーポリマーズ社製の「PG−2(商品名)」、東栄産業株式会社製の「トップブレイン(商品名)」、シグマアルドリッチ社製の「超分岐2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸ポリエステル(商品名)」、パーストープ社製の「ボルトンH2003(商品名)」,「ボルトンH2004(商品名)」,「ボルトンH30(商品名)」,及び「ボルトンH40(商品名)」などが挙げられる。
(iii)
自身は還元能を有さないハイパーブランチポリマーを原料とし、このハイパーブランチポリマーに、別途化合物を縮合させることで後天的に還元能を持つ部位を付与する。
上記還元能を持つ部位の付与は、例えば、以下のようにして行うことができる。
アミノ基,スルフィド基等を導入するための化合物を、ハイパーブランチポリマーの反応部位(ヒドロキシ基、エポキシ基、イソシアネート基が例示できる)と縮合反応させることで、元来還元能を持つ部位を有さないハイパーブランチポリマー(HBP)に還元能を持つ部位(NH−RやS−Rなど)を導入することができる。かかる反応の反応式を例示すると、以下のようである。
HBP−RG + R−NH → HBP−NH−R
HBP−RG + R−SH → HBP−S−R
(式中、HBPは元来還元能を持つ部位を有さないハイパーブランチポリマー、RGはハイパーブランチポリマーの反応部位、Rは有機基を示す。)
より具体的には、以下の化合物を縮合させることで、還元能を持つ部位(アミノ基、スルフィド基)を有するハイパーブランチポリマーを合成することができる。
(アミノ基)
アミノ基を導入するための化合物としては、特に限定はされず、3級アミン、2級アミン、1級アミン、その他の芳香族アミン類を使用することができる。
上記3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピロリジン、N−エチルピペリジン等が例示できる。
上記2級アミンとしては、N−メチル−D−グルカミン、N−メチルアミノプロパンジオール、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン等が例示できる。
上記1級アミンとしては、D−グルカミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等が例示できる。
上記その他の芳香族アミン類としては、アニリン、o,m,p−トルイジン、o,m,p−エチルアニリン、キシリジン、メシジン、o,m,p−クロロアニリン、クロロトルイジン、ジクロロアニリン、トリクロロアニリン、o,m,p−フルオロアニリン、o,m,p−ブロモアニリン、フルオロクロロアニリン、o,m,p−アミノフェノール、o,m,p−アミノチオフェノール、アニシジン、フェネチジン、o,m,p−アミノ安息香酸、アミノクロロフェノール、アミノベンゾニトリル、クレシジン、トルイジンスルホン酸、スルファニル酸、クロロトルイジンスルホン酸、アミノナフタレンスルホン酸、アミノベンゾトリフルオライド、アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノアセトアニリド、ナフチルアミン、ナフチルアミンスルホン酸又はアミノナフトールスルホン酸、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−エチルトルイジン、ジフェニルアミン、ヒドロキシフェニルグリシン又はN−メチルアミノフェノールサルフェート、N,N−ジメチルアニリン、N−エチル−N−ヒドロキシエチルトルイジン、N,N−ジエチルトルイジン、N−ベンジル−N−エチルアニリン又はN,N−ジグリシジルアニリン、o,m,p−フェニレンジアミン、クロロ−p−フェニレンジアミン、クロロ−m−フェニレンジアミン、フルオロフェニレンジアミン、ジクロロフェニレンジアミン、メチルフェニレンジアミン、ジメチルフェニレンジアミン、クロロメチルフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、トルイレンジアミン等のフェニレンジアミン類、ベンジジン、o−トリジン、ダイアニシジン、ジクロロベンジジン等のベンジジン類、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジクロロジフェニルメタン、ジアミノジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等のジフェニルメタン類、ナフタレンジアミン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノスチルベンジスルホン酸、ジアミノフェノールジハイドロクロライド、ロイコジアミノアンスラキノン、アミノ−N,N−ジエチルアミノトルイジンハイドロクロライド又はアミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−トルイジンサルフェートハイドレートが挙げられる。これらのうち、少なくとも一つ以上のアミノ基を分子内に有するものであればよい。
(スルフィド基)
スルフィド基を導入するための化合物としては、特に限定はされず、チオール基含有化合物であるアルキルチオール類(例えば、α−チオグリセロール、メチルメルカプタン、エチルメルカプタンなど)、アリールチオール類(例えば、チオフェノール、チオナフトール、ベンジルメルカプタンなど)、アミノ酸又はその誘導体(例えば、システイン、グルタチオンなど)、ペプチド化合物(例えば、システイン残基を含むジペプチド化合物、トリペプチド化合物、テトラペプチド化合物、5以上のアミノ酸残基を含むオリゴペプチド化合物など)、又は蛋白質(例えば、メタロチオネインやシステイン残基が表面に配置された球状蛋白質など)などを挙げることができる。これらのうち、少なくとも一つ以上のスルフィド基を分子内に有するものであればよい。
上述のように後天的に「還元能を持つ部位」を付与されたハイパーブランチポリマーも、本発明に係る金属超微粒子分散体に使用可能である。かかるハイパーブランチポリマーとしては、市販品として、上記(ii)で挙げた製品を挙げることができ、ポリ(グリセロール−1,3−ジグリシジルエーテル)誘導体も使用することができる。
(金属イオン)
本発明が対象とする金属超微粒子分散体に用いることのできる金属は、特に限定されるものでないが、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Zn,Cd、Hg、Ni、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Os、Mn、Cr、V、Ti、Al、Ga等を挙げることができる。
これら金属の超微粒子分散体を得るために用いられる金属イオンの供給源としては、上記金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、過塩素酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
(金属イオンを含む溶液の溶媒)
上記金属イオンは溶液中に存在させるが、この溶液の溶媒としては、水、アルコール類などの極性溶媒が主に用いられるが、金属が溶解する溶媒であれば、そのような非極性溶媒も使用可能である。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを挙げることができ、その他の極性溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アセトン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができる。
(保護層)
保護層とは、金属イオンが還元されて生成した金属超微粒子の分散安定性を向上させる原子団をいう。保護層はハイパーブランチポリマーの末端官能基に保護層導入化合物を縮合させることで導入できる。
(保護層導入化合物)
保護層としてハイパーブランチポリマーの末端官能基に縮合する化合物としては、例えば、ヒドロキシ基、ケトン基、アセチル基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル基、チオエステル基、硝酸エステル基、リン酸エステル基、アミド基、チオアミド基、イミド基、アミジン基、アミノ基、シアノ基、オキシム基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホン酸基、ウレア基、ウレタン基、ニトロ基、エーテル基等を挙げることができる。
さらに具体的には、上記ヒドロキシ基としては、例えば、グリシドール、グリセリンが挙げられ、上記エーテル基としては、グリシドール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが挙げられ、上記カルボキシル基としては、クエン酸などのカルボン酸類、カルボン酸無水物類が挙げられる。
なお、還元能を持つ部位としてアミノ基、スルフィド基などの保護層としての機能も併せ持つ原子団が既に付与されている場合には、特に保護層を導入する必要はない。
以下に、本発明にかかる金属超微粒子分散体およびその製造方法の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
(還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマーの準備)
実施例で用いる還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマーとして以下の13種類の還元能を持つ官能基を有するハイパーブランチポリマー(HBP−1〜HBP−12)を準備した。
(HBP−1):東栄産業社製、「トップブレイン(商品名)」、還元能を持つ部位は水酸基。
(HBP−2):ダイセル化学工業社製、「ポリグリセリン−X(商品名)」、還元能を持つ部位は水酸基。
(HBP−3):ハイパーポリマーズ社製、「PG−2(商品名)」、還元能を持つ部位は水酸基。
(HBP−4):シグマアルドリッチ社製、「PAMAMデンドリマー」、還元能を持つ部位は水酸基又はアミノ基。
(HBP−5〜12):新規合成品(以下に合成経過を示す)
(HBP−5)
攪拌機、環流冷却器および窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、グリセロールジグリシジルエーテル100g、炭酸カリウム15gを入れ、攪拌しながら、窒素導入管を介して4つ口セパラブルフラスコ内に窒素ガスを導入した。つづいて、窒素ガスが導入された4つ口セパラブルフラスコを、140℃のオイルバスで300分加温した。加温した後、反応混合物をメタノールに溶解させ、濾過により固形分を除去した後、溶媒を留去することで、粘性液体のハイパーブランチポリマー(I)を得た。
得られたハイパーブランチポリマー(I)のGPCによる換算分子量(重量平均分子量)は6000、MALLSによる絶対分子量は28000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の4.7であった。
上記ハイパーブランチポリマー(I)100gに超純水100gを加え、溶解した。ここへ1%硫酸20gを氷浴中でゆっくり滴下し、滴下終了後、1時間室温で攪拌した。攪拌終了後、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、pHを7付近に調整した。
得られた反応液を透析膜へ移し、イオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−5))を得た。
得られたHBP−5の還元能を持つ部位は水酸基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は75000、MALLSによる絶対分子量は31000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の4.1であった。
(HBP−6)
上記ハイパーブランチポリマー(I)20gをメタノール10gに溶解し、ジエチルアミン(還元能を持つ部位導入成分)3.6gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ジエチルアミノ−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−6))を得た。
得られたHBP−6の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は13000、MALLSによる絶対分子量は49000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の3.8であった。
(HBP−7)
上記ハイパーブランチポリマー(I)20gをメタノール7.2gに溶解し、A液とした。また、αチオグリセロール(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)5.2gをカリウムメトキシド(28%メタノール溶液)1.2gに溶解し、アルゴン雰囲気にて常温常圧下、1時間攪拌し、これをB液とした。
上記A液にB液をゆっくり滴下して添加し、65℃還流条件下18時間過熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、チオグリセロール−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−7))を得た。
得られたHBP−7の還元能を持つ部位はスルフィド基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は12000、MALLSによる絶対分子量は65000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の5.4であった。
(HBP−8)
上記ハイパーブランチポリマー(I)10gをメタノール10gに溶解し、N−メチル−D−グルカミン(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)4.8g、テトラブチルアンモニウムブロミド(縮合触媒)0.16gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へうつしイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、メチルグルカミン−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−8))を得た。
得られたHBP−8の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は13000、MALLSによる絶対分子量は69000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の5.3であった。
(HBP−9)
上記ハイパーブランチポリマー(I)30gをメタノール32mLに溶解し、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)7.7g、テトラブチルアンモニウムブロミド(縮合触媒)0.47gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、メチルアミノプロパンジオール−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−9))を得た。
得られたHBP−9の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は22000、MALLSによる絶対分子量は154000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の7.0であった。
(HBP−10)
ポリエチレンイミン10g(還元能を持つ部位導入成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをA液とした。また、グリシドール24.6g(保護層形成成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをB液とした。
上記A液を65℃還流条件下攪拌後、滴下ロートにてB液を2時間かけて滴下し、滴下終了時を反応開始時とした。反応開始18時間後に反応を終了し、内容物をナスフラスコに移しエバポレータにてメタノールを留去した。得られた残存物を透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ポリエチレンイミン−ポリグリセリンハイパーブランチポリマー(ハイパーブランチポリマー(HBP−10))を得た。
得られたHBP−10の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は24000、MALLSによる絶対分子量は108000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の4.5であった。
(HBP−11)
ポリエチレンイミン10g(還元能を持つ部位導入成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをA液とした。また、グリシドール49.2g(保護層形成成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをB液とした。
上記A液を65℃還流条件下攪拌後、滴下ロートにてB液を2時間かけて滴下し、滴下終了時を反応開始時とした。反応開始18時間後反応を終了し、内容物をナスフラスコに移しエバポレータにてメタノールを留去した。得られた残存物を透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ポリエチレンイミン−ポリグリセリンハイパーブランチポリマー(ハイパーブランチポリマー(HBP−11))を得た。
得られたHBP−11の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は28000、MALLSによる絶対分子量は141000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の5.0であった。
(HBP−12)
上記ハイパーブランチポリマー(I)30gをメタノール32mlに溶解し、ジイソプロピルアミン7.7g(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)、テトラブチルアンモニウムブロミド(縮合触媒)0.47gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ジイソプロピルアミノ−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−12))を得た。
得られたHBP−11の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は11000、MALLSによる絶対分子量は89000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の8.1であった。
比較例に用いる分散剤として、以下の3種類のポリマー(CP−1〜CP−3)を準備した。
(CP−1):ポリビニルピロリドン(東京化成社製)
(CP−2):ポリビニルアルコール(クラレ社製)
(CP−3):ポリエチレングリコール(関東化学社製)
(実施例1〜12)
前記ハイパーブランチポリマーHBP−1〜12の各溶液にHAuCl水溶液を加え、室温で3時間攪拌し,Au超微粒子水溶液(金超微粒子分散体)を得た。各溶液中の成分濃度は、分散剤=0.5wt%、金イオン=0.05wt%となるようにした。
なお、実施例1〜5、10及び11は、参考例である。
(比較例1,2)
比較用の各分散剤ポリマー(CP−1,3)水溶液にHAuCl水溶液を加え、室温で30分攪拌した。その後、還元剤として所定量のNaBH水溶液を加え、さらに室温で3時間攪拌し、Au超微粒子水溶液(金超微粒子分散体)を得た。なお、各溶液中の成分濃度は、分散剤ポリマー=0.5wt%、金イオン=0.05wt%、NaBH=0.05wt%となるようにした。
(実施例13〜23)
前記ハイパーブランチポリマーHBP−1〜4,6〜12の各溶液にAgSO水溶液を加え、室温で3時間攪拌し,Ag超微粒子分散水溶液(銀超微粒子分散体)を得た。なお、各溶液中の各成分濃度は分散剤=0.5wt%、銀イオン=0.05 wt%となるようにした。
なお、実施例13〜16、21及び22は、参考例である。
(比較例3〜5)
比較用の各分散剤ポリマー(CP−1〜3)溶液にAgSO水溶液を加え、室温で30分攪拌した。その後、還元剤として所定量のNaBH水溶液を加え、さらに室温で3時間攪拌し,Ag超微粒子分散水溶液(銀超微粒子分散体)を得た。なお、各溶液中の成分濃度は、分散剤ポリマー=0.5wt%、銀イオン=0.05wt%、NaBH=0.05 wt%となるようにした。
(超微粒子分散体の評価)
上記各例において金属超微粒子分散体が形成されるか否か、そして形成された金属超微粒子分散体が実用的に十分な性能を有するか否かについて下記のように評価し、それらの結果を(表1)〜(表3)、及び(表4)〜(表6)に示した。
(超微粒子の生成)
上記各例において金属超微粒子が生成する否かを目視により確認した。Auナノ粒子及びAgナノ粒子は、それぞれナノ粒子が生成したことに起因する,表面プラズモン吸収に基づく溶液の色変化が起こるため、前者は赤色、後者は黄色に変化することでナノ粒子生成確認の判断基準とすることができる。金属超微粒子が生成し、安定して分散している場合は ○印で示し、金属超微粒子は生成するものの直ぐに凝集して沈殿した場合は×印で示した。
(経時安定性)
常温常圧下静置し、1週間後、4週間後、8週間後の超微粒子溶液の外観を目視で観察し、超微粒子が安定に存在する期間をもとめた。金属超微粒子が凝集して容器の側壁または底部に付着した場合には×印で示し、沈殿が生じず分散が良好なままの場合には○印で示した。
(塩添加後の安定性)
上記各例において調製した金属超微粒子分散体に、塩(NaCl)を所定の濃度となるように添加して、5日後の超微粒子溶液の外観を目視で観察した。沈殿が生成した場合は×印で示し、溶液の変化がなく良好な場合は○印で示した。
(再分散性)
上記各例で調製した金属超微粒子分散体(水溶液)からエバポレーターを用いて水を留去した。水を完全に留去した後、再度超純水を添加し、超微粒子溶液の外観を目視で観察し、濃縮再分散の可否(再分散性)を判断した。上記操作を繰り返し、濃縮・再分散が可能な回数をもとめた。回数が多いほど分散体の性能が高いと判断される。
(粒子径と分散度)
上記各例において調製した金属超微粒子分散体を、TEM観察用グリッドに移し、3日間真空乾燥後、TEM観察を行った。得られたTEM像より、金属超微粒子の粒子径を米国サイオンコーポレイション社製の画像解析ソフト「Scion Image(商品名)」を用いて測定した。粒子径の測定はN=200で行った。また、その結果から標準偏差σを算出した。平均粒子径Rと標準偏差σから、以下の一般式(1)
分散度K=(標準偏差σ)/(平均粒径R) (1)
を用いて分散度Kを定義し、それぞれの金属超微粒子について分散度Kを算出した。
Figure 0005553516
Figure 0005553516
Figure 0005553516
Figure 0005553516
Figure 0005553516
Figure 0005553516
上記(表1)〜(表6)から確認されるように、実施例の金属超微粒子分散体は、生成した金属超微粒子の粒径が24nm以下であり、粒径分散度は0.40以下であり、生成した金属超微粒子が小さくかつ粒径が揃っており、金属超微粒子の分散保持の安定性も大変高い。
これに対して、比較例の金属超微粒子分散体では、分散安定性が低く、沈殿が生じやすく、生成した金属超微粒子の粒径が39nm以上であり、粒径分散度は0.40を超えており、生成した金属超微粒子が大きくかつ粒径に大きなばらつきがある。
以上のように、本発明にかかる金属超微粒子分散体は、粒径が小さくかつ分布が均一な金属超微粒子を有しており、しかも金属超微粒子の保存安定性が高い。本発明に係る金属超微粒子分散体の製造方法によれば、粒径が小さくかつ分布が均一な金属超微粒子を有しており、しかも金属超微粒子の保存安定性が高い金属超微粒子分散体を容易に提供することができる。粒径が小さくかつ分布が均一な金属超微粒子を有しており、しかも金属超微粒子の保存安定性が高い金属超微粒子分散体は、産業上の用途が広く、有用である。

Claims (6)

  1. グリシジルエーテル基と水酸基を含む一般式(I)で表される化合物を含むグリシジルエーテル化合物の付加重合により得られる、末端にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーに、1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族アミン及び/又はスルフィド基を分子内に有する化合物を縮合させることで還元能を持つ部位を付与したハイパーブランチポリマー(A)と、金属イオンを含む溶液(B)とが混合されて得られた金属超微粒子分散体であって、
    前記ハイパーブランチポリマー(A)内に誘導された金属イオンのみが前記還元能を持つ部位により還元されて該ハイパーブランチポリマー(A)内にのみ金属超微粒子が形成されていることを特徴とする金属超微粒子分散体。
    Figure 0005553516
    (式(I)中、Xは分子中にヘテロ原子を有していてもよい置換アルカンを示し、グリシジルエーテル基および水酸基は置換アルカンXを構成する炭素のうち共通の炭素に結合していてもよいし、それぞれ異なる炭素に結合していてもよく、mは2以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、m>n>0である。)
  2. 前記ハイパーブランチポリマー(A)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が500〜100,000であって、多角度光散乱検出器(MALLS)で測定した絶対分子量がGPCで測定した重量平均分子量の2倍〜10倍であり、前記ハイパーブランチポリマー(A)が直径1nm以上100nm未満の球状分子であることを特徴とする請求項1に記載の金属超微粒子分散体。
  3. 前記ハイパーブランチポリマー(A)が保護層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属超微粒子分散体。
  4. グリシジルエーテル基と水酸基を含む一般式(I)で表される化合物を含むグリシジルエーテル化合物の付加重合により得られる、末端にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーに、1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族アミン及び/又はスルフィド基を分子内に有する化合物を縮合させることで還元能を持つ部位を付与したハイパーブランチポリマー(A)を準備する第1の工程と、
    金属イオンを含む溶液(B)を準備する第2の工程と、
    前記ハイパーブランチポリマー(A)と前記溶液(B)とを混合することにより、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に金属イオンを誘導するとともに、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に誘導された金属イオンのみを前記還元能を持つ部位により還元して該ハイパーブランチポリマー(A)内にのみ金属超微粒子を形成させる第3の工程と、
    を有し、還元剤や化学線を使用しないことを特徴とする金属超微粒子分散体の製造方法。
    Figure 0005553516
    (式(I)中、Xは分子中にヘテロ原子を有していてもよい置換アルカンを示し、グリシジルエーテル基および水酸基は置換アルカンXを構成する炭素のうち共通の炭素に結合していてもよいし、それぞれ異なる炭素に結合していてもよく、mは2以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、m>n>0である。)
  5. 前記ハイパーブランチポリマー(A)が直径1nm以上100nm未満の球形であることを特徴とする請求項に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
  6. 前記還元能を有する部位が前記金属超微粒子の保護層として機能していることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
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