JP5553516B2 - 金属超微粒子分散体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
分散剤として、還元能を持つ部位(原子団)を有するハイパーブランチポリマーを用いた。このハイパーブランチポリマーを溶液中で金属イオンと反応させ、金属超微粒子分散体を得た。ハイパーブランチポリマーの内に誘導された金属イオンは、ハイパーブランチポリマーの還元能を持つ部位の非共有電子対と相互作用して、ハイパーブランチポリマーの分子鎖骨格内部にとどまる。ついで、前記還元能を持つ部位は、そこに相互作用により補足されている金属イオンを還元し、金属超微粒子を析出させる。この還元作用は、ハイパーブランチポリマー内に誘導された金属イオンのみに作用し、ハイパーブランチポリマーの外の溶液中の金属イオンはそのまま溶液中に溶存する。その結果、溶液(分散体)全体にわたって、粒径が均一かつ小さな金属超微粒子の調製が可能になる。さらに、上記ハイパーブランチポリマーの還元能を持つ部位(原子団)として好適な原子団をスクリーニングして金属超微粒子の特性を詳細に評価したところ、特定の官能基(アミノ基またはスルフィド基)において粒径の均一さ及び小ささという特性に最も優れた金属超微粒子を調製できることを見出した。
以下、本発明の各構成要素について、詳しく説明する。
本発明に用いられる分散体の主体であるハイパーブランチポリマーとは、分子内に多数の分岐点を有するポリマーの総称で、デンドリマーと共にデンドリティック(樹枝状)ポリマーとして分類されている。従来の線状ポリマーとは物性面で異なる点が多数あり、一例を挙げると、表面多官能性、低粘度、非晶性などがある。特に、表面多官能性ゆえにポリマー表面官能基に、さらに別の化合物を縮合させることができる。
測定条件は、例えば、前述のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定のラインにWyatt社製の多角度光散乱検出器(商品名「DAWN DSP−F」)を接続して行うことができ、後述する実施例においても、この条件にて測定している。
で表される化合物(a)を含むグリシジルエーテル化合物(イ)を塩基性触媒(ロ)の存在下で付加重合させることにより得られる、末端にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーである。
かかるハイパーブランチポリマーについて、以下に詳しく説明する。
上記ハイパーブランチポリマーを得るための出発物質として、「水酸基と水酸基よりも多い数のグリシジルエーテル基を持つ化合物」を含むグリシジルエーテル化合物(イ)を用いる。係る出発物質(イ)に含まれる「水酸基と水酸基よりも多い数のグリシジルエーテル基を持つ化合物」として、上記一般式(I)で表される化合物(a)を用いる。 一般式(I)で表される化合物(a)は、1以上の水酸基と、該水酸基より多い数のグリシジルエーテル基とを含む化合物であり、2つ以上の反応性等価なグリシジルエーテル基をグリセロール骨格内に持つ化合物とも言い換えられる。
また、上記ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルとしては、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテルが挙げられる。
上記一般式(I)で示される化合物(a)以外のグリシジルエーテル化合物としては、下記一般式(I−2):
上記ハイパーブランチポリマーを合成するには、上記一般式(I)で表される化合物(a)のみからなるグリシジルエーテル化合物(イ)、もしくは一般式(I)で表される化合物(a)を含むグリシジルエーテル化合物(イ)を出発物質として、この出発物質(イ)について、塩基性触媒(ロ)を使用した開環付加重合を行う。塩基性触媒(ロ)は水酸基に作用してエポキシ基と反応させるものであり、エポキシ基に直接作用するものではない。そのため最終的にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーを得ることができる。
すなわち、GPC(Shodex社製、商品名「RI−71」)測定の値及び多角度光散乱検出器:MALLS(Wyatt社製、商品名「DAWN DSP−F」)により得られる絶対分子量の値を用いて、GPC測定の値とMALLSの値との差異に応じて判断することができ、後述の実施例もこれに従った。
本発明で言う「還元能」とは、電子を付与して金属イオンを還元する性能をいう。金属イオンを還元した場合、金属単体の超微粒子が生成する。
また、本発明で言う「還元能を持つ部位」とは、金属イオンを還元する性能を有する原子団(官能基など)をいう。「還元能を有する部位」は、金属イオンに電子を付与して還元し、自身は酸化される。
還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマーは、以下(i)〜(iii)の3通りの方法により準備することができる。
ハイパーブランチポリマーとして合成された時点で既に「還元能を持つ部位」を有するハイパーブランチポリマーをそのまま使用する。このような自身が還元能を有するハイパーブランチポリマーとしては、主に「還元能を持つ部位」が水酸基であるものを挙げることができ、市販のものとしては、ポリエチレンイミン(関東化学社製)、ポリアミドアミンデンドリマー(シグマアルドリッチ社製)などが挙げられる。
自身は還元能を有さないハイパーブランチポリマーを原料とし、このハイパーブランチポリマーに、別途pH調整剤(NaOH等)を添加することで後天的に還元能を持つ部位を付与する。
自身は還元能を有さないハイパーブランチポリマーを原料とし、このハイパーブランチポリマーに、別途化合物を縮合させることで後天的に還元能を持つ部位を付与する。
上記還元能を持つ部位の付与は、例えば、以下のようにして行うことができる。
HBP−RG + R−NH2 → HBP−NH−R
HBP−RG + R−SH → HBP−S−R
(式中、HBPは元来還元能を持つ部位を有さないハイパーブランチポリマー、RGはハイパーブランチポリマーの反応部位、Rは有機基を示す。)
アミノ基を導入するための化合物としては、特に限定はされず、3級アミン、2級アミン、1級アミン、その他の芳香族アミン類を使用することができる。
スルフィド基を導入するための化合物としては、特に限定はされず、チオール基含有化合物であるアルキルチオール類(例えば、α−チオグリセロール、メチルメルカプタン、エチルメルカプタンなど)、アリールチオール類(例えば、チオフェノール、チオナフトール、ベンジルメルカプタンなど)、アミノ酸又はその誘導体(例えば、システイン、グルタチオンなど)、ペプチド化合物(例えば、システイン残基を含むジペプチド化合物、トリペプチド化合物、テトラペプチド化合物、5以上のアミノ酸残基を含むオリゴペプチド化合物など)、又は蛋白質(例えば、メタロチオネインやシステイン残基が表面に配置された球状蛋白質など)などを挙げることができる。これらのうち、少なくとも一つ以上のスルフィド基を分子内に有するものであればよい。
本発明が対象とする金属超微粒子分散体に用いることのできる金属は、特に限定されるものでないが、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Zn,Cd、Hg、Ni、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Os、Mn、Cr、V、Ti、Al、Ga等を挙げることができる。
これら金属の超微粒子分散体を得るために用いられる金属イオンの供給源としては、上記金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、過塩素酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
上記金属イオンは溶液中に存在させるが、この溶液の溶媒としては、水、アルコール類などの極性溶媒が主に用いられるが、金属が溶解する溶媒であれば、そのような非極性溶媒も使用可能である。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを挙げることができ、その他の極性溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アセトン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができる。
保護層とは、金属イオンが還元されて生成した金属超微粒子の分散安定性を向上させる原子団をいう。保護層はハイパーブランチポリマーの末端官能基に保護層導入化合物を縮合させることで導入できる。
保護層としてハイパーブランチポリマーの末端官能基に縮合する化合物としては、例えば、ヒドロキシ基、ケトン基、アセチル基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル基、チオエステル基、硝酸エステル基、リン酸エステル基、アミド基、チオアミド基、イミド基、アミジン基、アミノ基、シアノ基、オキシム基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホン酸基、ウレア基、ウレタン基、ニトロ基、エーテル基等を挙げることができる。
実施例で用いる還元能を持つ部位を有するハイパーブランチポリマーとして以下の13種類の還元能を持つ官能基を有するハイパーブランチポリマー(HBP−1〜HBP−12)を準備した。
(HBP−1):東栄産業社製、「トップブレイン(商品名)」、還元能を持つ部位は水酸基。
(HBP−2):ダイセル化学工業社製、「ポリグリセリン−X(商品名)」、還元能を持つ部位は水酸基。
(HBP−3):ハイパーポリマーズ社製、「PG−2(商品名)」、還元能を持つ部位は水酸基。
(HBP−4):シグマアルドリッチ社製、「PAMAMデンドリマー」、還元能を持つ部位は水酸基又はアミノ基。
(HBP−5〜12):新規合成品(以下に合成経過を示す)
攪拌機、環流冷却器および窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、グリセロールジグリシジルエーテル100g、炭酸カリウム15gを入れ、攪拌しながら、窒素導入管を介して4つ口セパラブルフラスコ内に窒素ガスを導入した。つづいて、窒素ガスが導入された4つ口セパラブルフラスコを、140℃のオイルバスで300分加温した。加温した後、反応混合物をメタノールに溶解させ、濾過により固形分を除去した後、溶媒を留去することで、粘性液体のハイパーブランチポリマー(I)を得た。
得られたハイパーブランチポリマー(I)のGPCによる換算分子量(重量平均分子量)は6000、MALLSによる絶対分子量は28000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の4.7であった。
得られた反応液を透析膜へ移し、イオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−5))を得た。
得られたHBP−5の還元能を持つ部位は水酸基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は75000、MALLSによる絶対分子量は31000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の4.1であった。
上記ハイパーブランチポリマー(I)20gをメタノール10gに溶解し、ジエチルアミン(還元能を持つ部位導入成分)3.6gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ジエチルアミノ−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−6))を得た。
得られたHBP−6の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は13000、MALLSによる絶対分子量は49000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の3.8であった。
上記ハイパーブランチポリマー(I)20gをメタノール7.2gに溶解し、A液とした。また、αチオグリセロール(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)5.2gをカリウムメトキシド(28%メタノール溶液)1.2gに溶解し、アルゴン雰囲気にて常温常圧下、1時間攪拌し、これをB液とした。
上記A液にB液をゆっくり滴下して添加し、65℃還流条件下18時間過熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、チオグリセロール−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−7))を得た。
得られたHBP−7の還元能を持つ部位はスルフィド基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は12000、MALLSによる絶対分子量は65000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の5.4であった。
上記ハイパーブランチポリマー(I)10gをメタノール10gに溶解し、N−メチル−D−グルカミン(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)4.8g、テトラブチルアンモニウムブロミド(縮合触媒)0.16gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へうつしイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、メチルグルカミン−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−8))を得た。
得られたHBP−8の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は13000、MALLSによる絶対分子量は69000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の5.3であった。
上記ハイパーブランチポリマー(I)30gをメタノール32mLに溶解し、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)7.7g、テトラブチルアンモニウムブロミド(縮合触媒)0.47gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、メチルアミノプロパンジオール−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−9))を得た。
得られたHBP−9の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は22000、MALLSによる絶対分子量は154000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の7.0であった。
ポリエチレンイミン10g(還元能を持つ部位導入成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをA液とした。また、グリシドール24.6g(保護層形成成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをB液とした。
上記A液を65℃還流条件下攪拌後、滴下ロートにてB液を2時間かけて滴下し、滴下終了時を反応開始時とした。反応開始18時間後に反応を終了し、内容物をナスフラスコに移しエバポレータにてメタノールを留去した。得られた残存物を透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ポリエチレンイミン−ポリグリセリンハイパーブランチポリマー(ハイパーブランチポリマー(HBP−10))を得た。
得られたHBP−10の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は24000、MALLSによる絶対分子量は108000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の4.5であった。
ポリエチレンイミン10g(還元能を持つ部位導入成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをA液とした。また、グリシドール49.2g(保護層形成成分)をメタノール10.9gに溶解し、これをB液とした。
上記A液を65℃還流条件下攪拌後、滴下ロートにてB液を2時間かけて滴下し、滴下終了時を反応開始時とした。反応開始18時間後反応を終了し、内容物をナスフラスコに移しエバポレータにてメタノールを留去した。得られた残存物を透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ポリエチレンイミン−ポリグリセリンハイパーブランチポリマー(ハイパーブランチポリマー(HBP−11))を得た。
得られたHBP−11の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は28000、MALLSによる絶対分子量は141000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の5.0であった。
上記ハイパーブランチポリマー(I)30gをメタノール32mlに溶解し、ジイソプロピルアミン7.7g(還元能を持つ部位導入成分+保護層形成成分)、テトラブチルアンモニウムブロミド(縮合触媒)0.47gを加え、65℃還流条件下18時間加熱攪拌をした。得られた反応物からエバポレーターにより溶媒留去し、透析膜へ移しイオン交換水にて3日間透析を行った。透析後、イオン交換水をエバポレーターで留去し、ジイソプロピルアミノ−ハイパーブランチポリグリセリン(ハイパーブランチポリマー(HBP−12))を得た。
得られたHBP−11の還元能を持つ部位はアミノ基であり、また、GPCによる換算分子量(重量平均分子量)は11000、MALLSによる絶対分子量は89000であり、MALLSによる絶対分子量の値がGPCによる重量平均分子量の値の8.1であった。
(CP−1):ポリビニルピロリドン(東京化成社製)
(CP−2):ポリビニルアルコール(クラレ社製)
(CP−3):ポリエチレングリコール(関東化学社製)
前記ハイパーブランチポリマーHBP−1〜12の各溶液にHAuCl4水溶液を加え、室温で3時間攪拌し,Au超微粒子水溶液(金超微粒子分散体)を得た。各溶液中の成分濃度は、分散剤=0.5wt%、金イオン=0.05wt%となるようにした。
なお、実施例1〜5、10及び11は、参考例である。
比較用の各分散剤ポリマー(CP−1,3)水溶液にHAuCl4水溶液を加え、室温で30分攪拌した。その後、還元剤として所定量のNaBH4水溶液を加え、さらに室温で3時間攪拌し、Au超微粒子水溶液(金超微粒子分散体)を得た。なお、各溶液中の成分濃度は、分散剤ポリマー=0.5wt%、金イオン=0.05wt%、NaBH4=0.05wt%となるようにした。
前記ハイパーブランチポリマーHBP−1〜4,6〜12の各溶液にAg2SO4水溶液を加え、室温で3時間攪拌し,Ag超微粒子分散水溶液(銀超微粒子分散体)を得た。なお、各溶液中の各成分濃度は分散剤=0.5wt%、銀イオン=0.05 wt%となるようにした。
なお、実施例13〜16、21及び22は、参考例である。
比較用の各分散剤ポリマー(CP−1〜3)溶液にAg2SO4水溶液を加え、室温で30分攪拌した。その後、還元剤として所定量のNaBH4水溶液を加え、さらに室温で3時間攪拌し,Ag超微粒子分散水溶液(銀超微粒子分散体)を得た。なお、各溶液中の成分濃度は、分散剤ポリマー=0.5wt%、銀イオン=0.05wt%、NaBH4=0.05 wt%となるようにした。
上記各例において金属超微粒子分散体が形成されるか否か、そして形成された金属超微粒子分散体が実用的に十分な性能を有するか否かについて下記のように評価し、それらの結果を(表1)〜(表3)、及び(表4)〜(表6)に示した。
上記各例において金属超微粒子が生成する否かを目視により確認した。Auナノ粒子及びAgナノ粒子は、それぞれナノ粒子が生成したことに起因する,表面プラズモン吸収に基づく溶液の色変化が起こるため、前者は赤色、後者は黄色に変化することでナノ粒子生成確認の判断基準とすることができる。金属超微粒子が生成し、安定して分散している場合は ○印で示し、金属超微粒子は生成するものの直ぐに凝集して沈殿した場合は×印で示した。
常温常圧下静置し、1週間後、4週間後、8週間後の超微粒子溶液の外観を目視で観察し、超微粒子が安定に存在する期間をもとめた。金属超微粒子が凝集して容器の側壁または底部に付着した場合には×印で示し、沈殿が生じず分散が良好なままの場合には○印で示した。
上記各例において調製した金属超微粒子分散体に、塩(NaCl)を所定の濃度となるように添加して、5日後の超微粒子溶液の外観を目視で観察した。沈殿が生成した場合は×印で示し、溶液の変化がなく良好な場合は○印で示した。
上記各例で調製した金属超微粒子分散体(水溶液)からエバポレーターを用いて水を留去した。水を完全に留去した後、再度超純水を添加し、超微粒子溶液の外観を目視で観察し、濃縮再分散の可否(再分散性)を判断した。上記操作を繰り返し、濃縮・再分散が可能な回数をもとめた。回数が多いほど分散体の性能が高いと判断される。
上記各例において調製した金属超微粒子分散体を、TEM観察用グリッドに移し、3日間真空乾燥後、TEM観察を行った。得られたTEM像より、金属超微粒子の粒子径を米国サイオンコーポレイション社製の画像解析ソフト「Scion Image(商品名)」を用いて測定した。粒子径の測定はN=200で行った。また、その結果から標準偏差σを算出した。平均粒子径Rと標準偏差σから、以下の一般式(1)
分散度K=(標準偏差σ)/(平均粒径R) (1)
を用いて分散度Kを定義し、それぞれの金属超微粒子について分散度Kを算出した。
これに対して、比較例の金属超微粒子分散体では、分散安定性が低く、沈殿が生じやすく、生成した金属超微粒子の粒径が39nm以上であり、粒径分散度は0.40を超えており、生成した金属超微粒子が大きくかつ粒径に大きなばらつきがある。
Claims (6)
- グリシジルエーテル基と水酸基を含む一般式(I)で表される化合物を含むグリシジルエーテル化合物の付加重合により得られる、末端にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーに、1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族アミン及び/又はスルフィド基を分子内に有する化合物を縮合させることで還元能を持つ部位を付与したハイパーブランチポリマー(A)と、金属イオンを含む溶液(B)とが混合されて得られた金属超微粒子分散体であって、
前記ハイパーブランチポリマー(A)内に誘導された金属イオンのみが前記還元能を持つ部位により還元されて該ハイパーブランチポリマー(A)内にのみ金属超微粒子が形成されていることを特徴とする金属超微粒子分散体。
- 前記ハイパーブランチポリマー(A)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が500〜100,000であって、多角度光散乱検出器(MALLS)で測定した絶対分子量がGPCで測定した重量平均分子量の2倍〜10倍であり、前記ハイパーブランチポリマー(A)が直径1nm以上100nm未満の球状分子であることを特徴とする請求項1に記載の金属超微粒子分散体。
- 前記ハイパーブランチポリマー(A)が保護層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属超微粒子分散体。
- グリシジルエーテル基と水酸基を含む一般式(I)で表される化合物を含むグリシジルエーテル化合物の付加重合により得られる、末端にエポキシ基を有するハイパーブランチポリマーに、1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族アミン及び/又はスルフィド基を分子内に有する化合物を縮合させることで還元能を持つ部位を付与したハイパーブランチポリマー(A)を準備する第1の工程と、
金属イオンを含む溶液(B)を準備する第2の工程と、
前記ハイパーブランチポリマー(A)と前記溶液(B)とを混合することにより、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に金属イオンを誘導するとともに、前記ハイパーブランチポリマー(A)内に誘導された金属イオンのみを前記還元能を持つ部位により還元して該ハイパーブランチポリマー(A)内にのみ金属超微粒子を形成させる第3の工程と、
を有し、還元剤や化学線を使用しないことを特徴とする金属超微粒子分散体の製造方法。
- 前記ハイパーブランチポリマー(A)が直径1nm以上100nm未満の球形であることを特徴とする請求項4に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
- 前記還元能を有する部位が前記金属超微粒子の保護層として機能していることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属超微粒子分散体の製造方法。
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