JP5529437B2 - アズルミン酸混合液及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アズルミン酸混合液及びその製造方法に関する。
青酸を重合させるとアズルミン酸と呼ばれる青酸重合物が得られる。そのアズルミン酸は、従来、青酸からアミノ酸が生成する化学進化の研究論文等の一部に登場するが、近年はほとんど報告されていない。アズルミン酸は溶媒に不溶であるため(例えば、非特許文献1参照)、その構造について未だに明確にされておらず、その用途についても、ほとんど検討されていない。
本発明者らは、先に、アズルミン酸を炭化させることによって多くの窒素を含有した窒素含有炭素材料が得られることを見出し(特許文献1参照)、得られた窒素含有炭素材料がリチウムイオン二次電池の電極などとして優れた機能を有することを見出している(特許文献2参照)。
国際公開第2007/043311号パンフレット 国際公開第2008/123380号パンフレット Angew.Chem.72巻、p379−384(1960年)
ところで、一般に、重合物を溶媒に溶解させることができれば、その構造解析を行いやすくなり応用検討なども容易になる。具体的には、重合物の溶解液から製膜したり、あるいは、他の有機化合物や高分子と混合して反応させたりするることが可能になり、その用途が大きく広がる。
アズルミン酸は青酸というニトリル基を有するモノマーの重合物であるにもかかわらず、これまでは、アズルミン酸を良好に溶解する溶媒との組合せが見当たらなかったために、その構造解析が困難となっている。また、アズルミン酸が溶媒に不溶又は難溶であることは、実用的な観点から、その用途の広がりを阻害している要因となっている。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、アズルミン酸が良好に溶解したアズルミン酸混合液及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とを混合することによって、驚くべきことに、アズルミン酸を良好に溶解した溶液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
(1)アズルミン酸にアミノ基を有する溶媒を添加する工程と、前記アズルミン酸と添加した前記アミノ基を有する溶媒とを混合する工程と、を有する、アズルミン酸混合液の製造方法。
(2)前記アミノ基を有する溶媒は、アンモニアを除くアミノ基を有する溶媒である、上記(1)に記載の製造方法。
(3)前記アミノ基を有する溶媒は、ジアミン及びトリアミンからなる群より選ばれる1種以上の溶媒である、上記(1)又は(2)に記載の製造方法。
本発明によれば、アズルミン酸が良好に溶解したアズルミン酸混合液及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態のアズルミン酸混合液の製造方法は、アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とを混合する工程を有するものであり、その工程に先立って、アズルミン酸を製造する工程を有していてもよい。
アズルミン酸とは、主として青酸(シアン化水素)を重合して得られる重合物の総称である。青酸は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、その製造方法は特に限定されない。例えば、青酸は、プロピレン、イソブチレン、tert−ブチルアルコール、プロパン又はイソブタン等をアンモニア及び酸素含有ガスと触媒存在下で反応させる気相接触反応によってアクリロニトリルやメタクリロニトリルを製造する方法において副生する。この方法によれば、青酸を非常に安価に得ることが可能である。なお、この種の気相接触反応は従来公知の反応であるため、その反応条件も公知のものであればよい。また、青酸を増産するために、例えば、アンモ酸化反応によって青酸を生成するような原料(例えば、メタノール等)を、反応器に供給してもよい。
また、青酸は、天然ガスの主成分であるメタンをアンモニア及び酸素含有ガスと触媒存在下で反応させるアンドリュッソー法によっても生成される。この方法も、青酸を非常に安価に得ることが可能である。
もちろん、青酸は、青化ソーダ等を用いる実験室的な製造方法によっても生成され、このようにして得られたものも用いることができる。ただし、青酸を多量且つ安価に製造できる観点から、上記の工業的に製造されたものを用いることが好ましい。
アズルミン酸を製造する工程では、上述のようにして得られる青酸を含む原料を重合して、黒色から黒褐色の重合物であるアズルミン酸を得る。ここで、高純度のアズルミン酸を得る観点から、上記原料において、青酸以外の重合性物質の含有量が、原料の全体量に対して40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。言い換えると、上記原料中の青酸の含有量は、原料の全体量に対して60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。
アズルミン酸は、青酸及び場合によっては少量のそれ以外の重合性物質を種々の方法で重合させることにより製造することができる。その重合方法としては、例えば、液化青酸又は青酸水溶液を加熱する方法、それらを長時間放置する方法、それらに塩基を添加する方法、それらに光を照射する方法、それらに高エネルギーの放射をする方法、それらの存在下で種々の放電を行う方法、シアン化カリウム水溶液を電気分解する方法が挙げられる。
液化青酸又は青酸水溶液に塩基を添加してその塩基の存在下に青酸を重合させる方法において、上記塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、有機塩基、アンモニア、アンモニア水を例示することができる。有機塩基としては、例えば、一級アミン(R1NH2)、二級アミン(R12NH)、三級アミン(R123N)、四級アンモニウム塩(R1234+)が挙げられる。ここで、R1、R2、R3及びR4は、互いに同一又は異なってもよい炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、シクロヘキシル基、又はこれらが結合して得られる基を示し、これらはさらに置換基を有していてもよい。これら有機塩基の中でも、脂肪族又は環式脂肪族の第三級アミンが好ましい。そのような第三級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)が挙げられる。上記例示した塩基は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、アズルミン酸は、プロピレン等のアンモ酸化工程で副生する青酸の精製工程から回収することによっても得ることができる。
本実施形態で用いるアズルミン酸の組成は、CHN分析計を用いて測定することができる。アズルミン酸中の炭素原子のモル数に対する窒素原子のモル数の比((窒素原子のモル数)/(炭素原子のモル数))は、0.2〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.9、さらに好ましくは0.4〜0.9である。
本実施形態で用いるアズルミン酸は、波数1000〜2000cm-1のレーザーラマン分光分析によるスペクトル図において、ラマンシフトが1300〜1400cm-1、1500〜1600cm-1のいずれの位置にもピークを示すことが好ましく、1360〜1380cm-1、1530〜1550cm-1のいずれの位置にもピークを示すことが特に好ましい。
本実施形態で用いるアズルミン酸は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図の10〜50°の範囲において、回折角(2θ)が26.8±1°の位置に強いピークを示すものである。このピークは、好ましくは26.8±0.5°の位置に、より好ましくは26.8±0.2°の位置に示される。また、前述のピークに加えて、本実施形態で用いるアズルミン酸は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図の10〜50°の範囲において、回折角(2θ)が12.3±1°の位置に、好ましくは12.3±0.5°の位置にピークを示してもよい。
本実施形態で用いるアズルミン酸は、N1sのXPSスペクトル図において、399.0±0.7eVに、好ましくは399.0±0.4eVに、特に好ましくは399.0±0.2eVに主ピークを有することが好ましい。
なお、アズルミン酸は、その製造方法、組成、製造ロットが異なるもの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
次に、混合する工程において、アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とを混合してアズルミン酸混合液を得る。
ここで「アミノ基」は、−NH2で表される1価の基を意味する。アミノ基を有する溶媒として、例えば、第一級アミンを例示することができる。具体的には、アミノ基を有する溶媒として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、アリルアミン等のモノアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンエキサミン等のジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノベンゼン、トリアミノフェノール、メラミン等のトリアミンを例示できる。
これらの中で、好ましくはアンモニア、ジアミン、トリアミンであり、より具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパンが好ましく、エチレンジアミンがより好ましい。ただし、アミノ基を有する溶媒はこれらに限定されない。
アミノ基を有する溶媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、本実施形態のアズルミン酸混合液には、アミノ基を有しない他の溶媒が含まれてもよく、アミノ基を有する溶媒との混合溶媒を形成してもよい。
一般に、溶解し難い重合物の溶解を試みる場合、その重合物をクロロホルムのような極性の大きい溶媒と混合する。本発明者も、アズルミン酸を極性の大きい溶媒に溶解させることを試みた。ところが、アズルミン酸は、溶媒の極性を大きくしても溶解性の改善は得られない一方、アミノ基を有する溶媒に良好に溶解することが明らかになった。アズルミン酸がアミノ基を有する溶媒に良好に溶解する理由は定かではないが、アズルミン酸の特定位置へのアミノ基の配位が関係していると本発明者は想定している。そのため、アミノ基を1つ有する溶媒と比較して、2つ以上有する溶媒の方が溶解度が高いと考えられる。
さらに、構造的な安定化もアズルミン酸の高い溶解度に寄与していると考えられる。すなわち、例えば、溶媒としてエチレンジアミンを用いた場合、その2つのアミノ基がアズルミン酸の特定位置(シアノ基が想定される)に配位した構造が想定される。このような構造になると、エチレンジアミンとアズルミン酸の末端とで6員環(又は5員環)を形成すると考えられる。安定な6員環(又は5員環)を形成することは、アズルミン酸の溶媒への良好な溶解に寄与すると考えられる。
ただし、要因はこれらに限定されない。
アズルミン酸を混合液の状態(溶液状態)にすると、粉末状態に比べて実用的な観点から有利となる。例えば、アズルミン酸を容易に製膜化することができたり、アズルミン酸を他の有機化合物や高分子と混合して反応を促進させることが可能になったりする。また、基礎的な観点から、アズルミン酸を混合液の状態(溶液状態)にすると、構造解析を進めやすくなり、その構造解析が進めば、アズルミン酸の実用的な用途の研究においても広がりをみせることが可能になる。
アズルミン酸混合液のより具体的な製造方法について以下、説明する。
アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とは、それらが互いに均一に分散するよう混合するのが好ましい。例えば、アミノ基を有する溶媒と混合する前にアズルミン酸をボールミル等で粉砕することが好ましい。
アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とを混合する際、アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とを容器中で混合してもよいし、ソックスレーの抽出法を用いてもよい。容器中で混合する場合、振とうしたり攪拌したり超音波をかけたりしてもよく、加熱をしてもよい。
それらを混合する際の温度は特に限定されないが、溶媒の融点以上かつ溶媒の沸点若しくは分解温度以下が好ましい。
また、混合時間としては、例えば1分間〜100時間を例示できる。
アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒との混合比率は、特に限定されない。例えば、アミノ基を有する溶媒の混合比率が、アズルミン酸に対して質量比で0.1〜100万倍であってもよい。その混合比率は、溶媒への溶解性、希釈したい比率、混合方法に応じて決めればよい。例えば、アズルミン酸混合液から製膜する際により薄膜化したい場合は、アミノ基を有する溶媒の混合比率を高めればよい。
本実施形態のアズルミン酸混合液は、アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とを含有するものであり、アズルミン酸がアミノ基を有する溶媒に完全に溶解していてもよいし、その溶媒に対して部分的に溶解していてもよい。アズルミン酸とアミノ基を有する溶媒とを混合する際にソックスレーの抽出法を用いれば、アズルミン酸を上記溶媒に完全に溶解したアズルミン酸混合液を得やすくなる。また、それらを容器中で混合すると、アズルミン酸を上記溶媒に完全に溶解させたアズルミン酸混合液、一部溶解させて未溶解のものも混在した懸濁状態にあるアズルミン酸混合液のいずれをも得ることができる。また、懸濁状態にあるアズルミン酸混合液をろ過、遠心分離等により固液分離することで、アズルミン酸が完全に上記溶媒に溶解したアズルミン酸混合液を得ることもできる。これらのアズルミン酸混合液の態様は、その用途に応じて使い分ければよい。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、当業者は以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願の特許請求の範囲に包含される。
<製造例>
(アズルミン酸の製造)
水350gに青酸150gを溶解させた水溶液を容器中で調製し、この水溶液の攪拌を行いながら、25%アンモニア水溶液120gを10分かけてその水溶液に添加し、得られた混合水溶液を35℃に加熱した。すると、青酸の重合が始まり黒褐色の重合物が析出し始め、温度は徐々に上昇し45℃となった。重合が始まって2時間後から30質量%青酸水溶液を200g/hの速度で添加し始め、さらに4時間かけて添加した。青酸水溶液の添加中は反応温度を50℃に保つように容器を冷却してコントロールした。青酸水溶液の添加終了後、冷却を停止したところ温度は90℃まで上昇し、この温度で約1時間留まった後、温度は徐々に降下した。その後、そのままの状態で100時間反応を行った。得られた黒色沈殿物をろ過によって分離した。このときの沈殿物の収率は用いた青酸の全量に対して97%であった。分離後の沈殿物を水洗した後、乾燥器にて120℃で5時間乾燥させてアズルミン酸を得た。
<アズルミン酸の分析>
(CHN分析)
ジェイサイエンスラボ社製の元素分析装置(商品名「MICRO CORDER JM10」)を用い、2500μgのアズルミン酸試料を試料台に充填してCHN分析を行った。試料炉の温度を950℃、燃焼炉(酸化銅触媒)の温度を850℃、還元炉(銀粒+酸化銅のゾーン、還元銅のゾーンと酸化銅のゾーンとからなる)の温度を550℃に設定した。また、酸素流量を15mL/分、He流量を150mL/分に設定した。検出器としてTCDを用いた。アンチピリン(Antipyrine)を用いてマニュアルに記載の方法でキャリブレーションを行った。
その結果、上記製造例にて得られたアズルミン酸の組成は、炭素元素40.0重量%、窒素元素29.8重量%、水素元素4.1重量%であった。ここで乾燥した条件では吸着水が残存するため、差分は主に吸着水中の酸素元素と水素元素とに由来するものと考えられる。
(レーザーラマンスペクトルの測定)
アズルミン酸のラマンスペクトルを、アズルミン酸試料をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末用セルに充填して下記の条件で測定した。
装置:Reninshaw社製商品名「System―3000」、光源:Arレーザー(波長540nm、2mW)、ビームサイズ:5μm、操作範囲:1000〜2000cm-1、積算時間:5分。
その結果、上記製造例にて得られたアズルミン酸は、1000〜2000cm-1の間で、1543cm-1、1375cm-1に強いピークを有していた。
(X線回折の測定)
アズルミン酸のX線回折パターンは、アズルミン酸試料をメノウ乳鉢で粉砕後、粉末用セルに充填して下記の条件で測定した。
装置:リガク社製商品名「Rint2500」、X線源:Cu管球(Cu−Kα線)、管電圧:40kV、管電流:200mA、分光結晶:あり、散乱スリット:1°、発散スリット:1°、受光スリット:0.15mm、スキャン速度:2°/分、サンプリング幅:0.02°、スキャン法:2θ/θ法。
また、X線回折角(2θ)の補正には、シリコン粉末について得られたX線回折角データを用いた。
その結果、上記製造例にて得られたアズルミン酸は、5〜50°の間で、27.0°に最も強いピーク、12.3°付近にもブロードなピークを有していた。
<クロロホルム処理>
アズルミン酸10gを、クロロホルム300gを用いたソックスレーの抽出法により5時間洗浄した。なお、この洗浄は、アズルミン酸中に含まれる低分子量体やリニアな構造体など比較的溶媒に可溶な成分を抽出除去し、残存した難溶なアズルミン酸の溶解性を評価することによって、本発明の効果を明確にするための処理である。
なお、この洗浄後のクロロホルムは透明無色であり、ほとんどのアズルミン酸が残渣として回収された。
[実施例1]
上記クロロホルム処理を経て得られたアズルミン酸0.1gに対し、エチレンジアミンを100g添加し、50℃で1時間加熱しながら攪拌してアズルミン酸混合液を得た。液(溶媒)は黒色に着色した。次に、遠心分離でアズルミン酸混合液の固液分離を行った。得られた上澄み液から、エバポレータを用いて溶媒(エチレンジアミン)を蒸発除去し、析出した固体分を回収した。この固体分は、仕込んだアズルミン酸に対して15%に相当する量であった。
[実施例2]
上記クロロホルム処理を経て得られたアズルミン酸0.1gに対し、シクロヘキシルアミンを100g添加し、50℃で1時間加熱しながら攪拌してアズルミン酸混合液を得た。液(溶媒)は黒色に着色した。次に、遠心分離でアズルミン酸混合液の固液分離を行った。得られた上澄み液から、エバポレータを用いて溶媒(シクロヘキシルアミン)を蒸発除去し、析出した固体分を回収した。この固体分は、仕込んだアズルミン酸に対して3%に相当する量であった。
[実施例3]
上記クロロホルム処理を経て得られたアズルミン酸0.1gに対し、トリメチレンジアミンを100g添加し、50℃で1時間加熱しながら攪拌してアズルミン酸混合液を得た。液(溶媒)は黒色に着色した。次に、遠心分離でアズルミン酸混合液の固液分離を行った。得られた上澄み液から、エバポレータを用いて溶媒(トリメチレンジアミン)を蒸発除去し、析出した固体分を回収した。この固体分は、仕込んだアズルミン酸に対して10%に相当する量であった。
[実施例4]
上記クロロホルム処理を経て得られたアズルミン酸0.1gに対し、1,2,3−トリアミノプロパンを100g添加し、50℃で1時間加熱しながら攪拌してアズルミン酸混合液を得た。液(溶媒)は黒色に着色した。次に、遠心分離でアズルミン酸混合液の固液分離を行った。得られた上澄み液から、エバポレータを用いて溶媒(1,2,3−トリアミノプロパン)を蒸発除去し、析出した固体分を回収した。この固体分は、仕込んだアズルミン酸に対して14%に相当する量であった。
[比較例1]
上記クロロホルム処理を経て得られたアズルミン酸0.1gに対し、アセトニトリルを100g添加し、50℃で1時間加熱しながら攪拌してアズルミン酸混合液を得た。溶媒は無色透明のままであった。次に、遠心分離でアズルミン酸混合液の固液分離を行った。得られた上澄み液から、エバポレータを用いて溶媒(アセトニトリル)を蒸発除去し、析出した固体分を回収した。この固体分は、仕込んだアズルミン酸に対して0.01%以下に相当する量であった。
[比較例2]
上記クロロホルム処理を経て得られたアズルミン酸0.1gに対し、ジメチルホルムアミドを100g添加し、50℃で1時間加熱しながら攪拌してアズルミン酸混合液を得た。溶媒は無色透明のままであった。次に、遠心分離でアズルミン酸混合液の固液分離を行った。得られた上澄み液から、エバポレータを用いて溶媒(ジメチルホルムアミド)を蒸発除去し、析出した固体分を回収した。この固体分は、仕込んだアズルミン酸に対して0.01%以下に相当する量であった。
比較例からもわかるように、アズルミン酸は、代表的な極性溶媒やニトリル溶媒には不溶であるが、本発明によれば、その溶解性が著しく向上する。
本発明によれば、アズルミン酸を良好に溶解したアズルミン酸混合液が得られる。アズルミン酸を溶液状態にすることによって、粉末状態と比較すると、実用的な観点から製膜化を可能としたり、他の有機化合物や高分子と混合して反応を促進させることが可能になるという利点を有する。また、基礎的な観点から、アズルミン酸の構造解析が進みやすくなり、構造解析が進めば、アズルミン酸の実用的な用途についても、さらに研究に広がりをみせることが可能になる。したがって、本発明は、電子材料分野、及びこれを備える電子・電気材料、電子・電気デバイス、並びにそれらを備える各種機器、設備、システム等において、広く且つ有用に利用できる。

Claims (3)

  1. アズルミン酸にアミノ基を有する溶媒を添加する工程と、前記アズルミン酸と添加した前記アミノ基を有する溶媒とを混合する工程と、を有する、アズルミン酸混合液の製造方法。
  2. 前記アミノ基を有する溶媒は、アンモニアを除くアミノ基を有する溶媒である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アミノ基を有する溶媒は、ジアミン及びトリアミンからなる群より選ばれる1種以上の溶媒である、請求項1又は2に記載の製造方法。
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