JP6152744B2 - 金属ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、金属ナノ粒子の製造方法に関するものである。
近年、従来のめっき法や蒸着−フォトリソグラフィー法に代わる新たな回路形成(パターニング)方法として、印刷によって直接回路を形成する技術である「プリンテッドエレクトロニクス」が、次世代の産業基盤として注目されている。この技術は、導電性ペースト、導電性インクを基板に印刷することにより、所望の回路パターンを形成するものであり、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクター、コンデンサー等の基本的な回路部品から、電池、ディスプレイ、センサー、RFID (Radio Frequency Identification)、太陽電池等、多数の用途への応用が可能である。これによりエレクトロニクス関連製品の製造工程が、劇的に簡便・時間短縮化され、更なる省資源・省エネルギー化も同時に達成できると期待されている。
プリンテッドエレクトロニクスに用いられる基板として、ガラス・フィルムの何れにも用いる事が可能であるが、フィルム基板の中でもPET(Polyethylene terephthalate)フィルムを用いる事ができれば、コストの面で市場への訴求性が高まると考えられる。しかし、一般にPETフィルムの耐熱性は、120℃程度と言われており、これを超えない温度での熱処理によって十分な導電性、基材との密着性を得られる導電性ペースト、導電性インクの開発が求められている。上記要求を満たすべく種々の提案がなされている。なかでもナノサイズの金属粒子が低温焼結性及び導電性に優れており、有望視されている。
金属ナノ粒子の製造方法としては、例えば、特許文献1には、クエン酸を用いた高い粒子分散性を有する保護層を形成する金属ナノ粒子の製造方法が記載されている。しかしながら、上記方法で得られた金属ナノ粒子が溶液中に希薄な濃度で分散するため、限外ろ過のような特殊な濃縮方法によって回収が必要となるため、工業的に大量生産可能な方法とは言い難い。さらに、クエン酸のように低温の熱処理では脱離せず、焼結性を阻害する保護層が金属粒子の表面に存在している場合、導電材料として使用する際に金属ナノ粒子同士の融着を阻害してしまう。そのため、ナノ粒子の特徴である低温焼結反応が不十分となり、十分な導電性が得られない。従って、上記方法で製造される金属粒子は、金属ナノ粒子の本来の特性を十分に引き出しているものとは言えない。
上記課題に対し、工業的な金属ナノ粒子の製造を見据えた方法もいくつか提案されている。特許文献2には、金属ナノ粒子の連続的な製造方法が記載されている。しかしながら、製造に還元剤としてヒドラジンのように有害かつ爆発性の高いものを用いており、安全性の面での課題が懸念されている。さらに、特許文献3には、バレル−スクリューを用いた連続式の粒子製造装置を用いた製造方法が記載されている。上記方法であれば、連続的に少量ずつ反応させることで、効率的な加熱及び徐熱を行いながら、金属ナノ粒子の製造が可能となる。しかしながら、上記方法において、還元剤又は電気化学的還元を行うことが必要となり、化学的及び機械的安全性の面で課題が懸念される。上記方法は、工業的に大量製造する製造方法としては不十分である。
特許文献4には、蓚酸銀を用いた金属ナノ粒子の製造方法が記載されている。この方法は、上記のような安全面に課題のある還元剤を用いることなく、金属ナノ粒子を濃厚液から回収することが可能なため、生産性に優れた導電性ペースト、導電性インクに用いることのできる金属ナノ粒子の製造方法として、有望視されている。
特許4919595 特許4534098 特表2005−531405 特開2012−162767
しかしながら、本発明者らが、特許文献4に記載の方法にて、金属ナノ粒子の製造を試みたところ、金属ナノ粒子を工業的に製造するには、蓚酸の熱分解によって発生する副生ガス(主に炭酸ガス)によって以下の二つの課題を有することが明らかとなった。
第一の課題は、熱分解反応によって発生する副生ガス中には、反応に用いるアミン化合物が含まれており、環境への悪影響を排除するため、熱交換器を経由して排気する必要がある。しかしながら、副生ガスの発生量が多い為に能力の高い熱交換器が必要となり、設備コストが増加する。
第二の課題は、熱分解反応によって副生ガスの発生によって反応液の液面が上昇してしまうため、反応容器から内容物が漏洩するおそれがある。これを防止するため、反応容器の容積量当たりの使用率が抑える必要があるため、1バッチ当たりの生産量の低下、さらには製造コストが上昇する。従って、本発明は、副生ガスの発生に起因する上記課題を解決し、安全面、環境面に配慮し、低コスト化で金属ナノ粒子の工業的製造方法を提供することを課題とする。
項1.アルキルアミン(a)、及び加熱により炭酸ガスを伴って分解し単体金属又は合金が生成する金属化合物(b)を含有する組成物を調製する工程と、
上記組成物を連続的に反応容器に導入し、反応容器内で金属化合物(b)の熱分解反応を進行させる反応工程と、
を含む平均粒径1nm以上200nm以下の金属ナノ粒子の製造方法であって、
金属化合物(b)が、カルボン酸金属塩又は炭酸金属塩であり、
反応工程において、上記組成物の反応容器への導入量が、熱分解反応によって1分間当たりに発生する炭酸ガス発生量を反応容器の容積に対して300%以下とすることを特徴とする。
項2. 金属化合物(b)が、蓚酸金属塩である項1に記載の製造方法。
項3. 熱分解反応の温度が、250℃以下である項1または2に記載の製造方法。
項4. さらに、組成物に有機溶媒(c)を含む、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5. 有機溶媒(c)が、常圧下での沸点が100℃以上350℃以下、水に対して10g/L以上溶解(20℃)するものであり、
組成物中の有機溶媒(c)の含有量が、金属化合物(b)100重量部に対して、50重量部以上500重量部以下である項4に記載の製造方法。
項6. 組成物中におけるアルキルアミン(a)の含有量が、金属化合物(b)の物質量(mol)に対して、1当量以上10当量以下である項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7. さらに、脂肪酸(d)を含有することを特徴とする項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8. 組成物中における脂肪酸(d)とアルキルアミン(a)の含有量の合計の物質量が、金属化合物(b)の物質量(mol)に対して、1当量以上10当量以下である項7に記載の製造方法。
本発明によれば、熱分解により金属ナノ粒子を生成する組成物を反応容器への時間当たりの組成物の導入量を制御することによって、熱分解反応により発生する副生ガスの発生量の制御を可能とすることにより、低温焼結性に優れた金属ナノ粒子の量産化に適した製造方法の提供を可能とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
製造方法に用いる組成物
本発明の製造に用いる組成物は、アルキルアミン(a)、及び加熱により副生ガスを伴って分解し単体金属又は合金が生成する金属化合物(b)を含有するものである。さらに、必要に応じて有機溶媒(c)、及び/又は脂肪酸(d)を含有してもよい。上記組成物を本発明の製造方法に用いることで金属ナノ粒子を製造することができる。
本発明に用いる組成物は、反応容器へ導入し、熱分解反応に付することにより金属ナノ粒子を生成させるため、組成物は流動性(即ち、液体であること)を有している事が好ましい。組成物の液体としての物性は、反応容器に導入することが可能なものであれば特に制限なく、本発明の製造方法に用いることができる。製造に用いる組成物の粘度は、約40Pa・s以下であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる金属ナノ粒子は、導電性インク、及び導電性ペースト中で凝集を防止し、所望の溶媒中で良好に分散させるために、金属ナノ粒子の表面が保護層若しくは分散層(以下、保護層と記載する)で被覆されていることを要する。そのため、本発明の製造方法では、金属ナノ粒子を生成させる前の金属化合物(b)に保護層、若しくは保護層となり得る置換基を有するアルキル化合物を組成物中に含有していることを要する。なお、アルキル化合物の置換基としては、アルデヒド基、ヒドロキシ基、スルホ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、シアナト基、イソシアナト基、イソチオシアナト基等を例示することができ、中でも、アミノ基、カルボキシル基を好適に用いることができる。
アルキル化合物として具体的には、アルキルアミン(a)、又は脂肪酸(d)を例示することができる。これら化合物を製造に用いる組成物に含有させることによって、金属化合物(b)と結合し、かつ熱分解により金属ナノ粒子が生成した際に、その表面で保護層として機能し、導電性インク中で良好に金属ナノ粒子が分散状態を維持することができる。なお、上述した以外のアルキル化合物として、アルキルチオール、アルキルアルデヒド、アルキルシアネート、アルキルイソシアネート、アルキルイソチオシアネート、アルキルスルホン酸、アルカンニトリル等を用いることも可能である。
本発明の製造に用いる組成物には、必要に応じて本発明の効果に影響を与えない範囲で添加剤を含有させることが可能である。具体的な添加剤としては、粘度調整剤、乾燥防止剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤等を例示することができる。
アルキルアミン(a)
本発明に用いるアルキルアミン(a)は、金属化合物(b)と結合する能力を有し、かつ金属ナノ粒子が生成した際に、金属ナノ粒子の表面上で保護層として、機能するものであれば制限なく用いることができる。
アルキルアミン(a)のアルキル基は、炭素数3以上18以下のものであればよく、炭素数4以上12以下のものが好ましい。組成物中におけるアルキルアミン(a)の添加量としては、金属化合物(b)の物質量(mol)に対して、約1当量以上約10当量以上であればよく、約1.5当量以上約5当量以上が好ましく、約2当量以上約5当量以上がより好ましい。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。なお、アルキルアミン(a)は、金属ナノ粒子を配合した導電性インク、導電性ペースト等を熱処理に付して導電膜を形成する際の熱処理によって、組成物中に含有されるアルキルアミン(a)のほとんどが金属ナノ粒子の表面から脱離するため、組成物中にアルキルアミン(a)を多量に含有しても回路を形成した際の導電膜の導電性にほとんど影響を与えない。
アルキルアミン(a)として、具体的には、エチルアミン、n‐プロピルアミン、イソプロピルアミン、1,2‐ジメチルプロピルアミン、n‐ブチルアミン、イソブチルアミン、sec‐ブチルアミン、tert‐ブチルアミン、イソアミルアミン、tert‐アミルアミン、3‐ペンチルアミン、n‐アミルアミン、n‐ヘキシルアミン、n‐ヘプチルアミン、n‐オクチルアミン、2‐オクチルアミン、2‐エチルヘキシルアミン、n-ノニルアミン、n‐アミノデカン、n‐アミノウンデカン、n‐ドデシルアミン、n‐トリデシルアミン、2‐トリデシルアミン、n‐テトラデシルアミン、n‐ペンタデシルアミン、n‐ヘキサデシルアミン、n‐ヘプタデシルアミン、n‐オクタデシルアミン、n‐オレイルアミン、N‐エチル‐1,3‐ジアミノプロパン、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン、N,N‐ジメチルアミノプロパン、N,N‐ジブチルアミノプロパン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N‐ジイソブチル‐1,3‐ジアミノプロパン、N‐ラウリルジアミノプロパン等を例示することができる。さらに、2級アミンであるジブチルアミンや環状アルキルアミンであるシクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン等も用いることができる。このうち、金属ナノ粒子を用いて導電性インク、導電性ペーストを作製した際の溶媒中のおける分散安定性、及び導電膜形成時に低温処理で金属ナノ粒子の表面から容易に脱離する点で、n‐プロピルアミン、イソプロピルアミン、シクロプロピルアミン、n‐ブチルアミン、イソブチルアミン、sec‐ブチルアミン、tert‐ブチルアミン、シクロブチルアミン、n‐アミルアミン、n‐ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n‐オクチルアミン、2‐エチルヘキシルアミン、n‐ドデシルアミン、n‐オレイルアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンが好ましく、n‐ブチルアミン、n‐ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n‐オクチルアミン、n‐ドデシルアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンがより好ましい。上述したアルキルアミン(a)は、金属ナノ粒子の製造に用いる組成物中に少なくとも1種以上含まれていれば良く、異なる炭素数のものを2種以上用いてもよい。
金属化合物(b)
本発明に用いる加熱により副生ガスを伴って分解し単体金属又は合金が生成する金属化合物(b)として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、チオール塩、塩化物、硝酸塩、炭酸塩等の金属塩を例示することができる。中でも、金属が生成した後、対イオン由来の物質の除去が容易である点で、有機金属化合物及び炭酸塩が好ましく、蟻酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、安息香酸、フタル酸等のカルボン酸塩がより好ましく、熱分解の容易さの点から、蓚酸塩がさらに好ましい。また、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、加熱により副生ガスを伴って分解し単体金属又は合金が生成する金属化合物(b)は、市販品を購入して用いることが可能である。また、特開2012−162767等に開示されている方法に従い製造することも可能である。
金属化合物の熱分解反応により発生する副生ガスとしては、水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄、硫化水素、塩素、塩化水素、二酸化炭素、二酸化硫黄などの硫黄酸化物、二酸化窒素などの窒素酸化物等を例示することができる。なお、カルボン酸塩、特に蓚酸塩の熱分解反応においては、副生ガスとして二酸化炭素(炭酸ガス)が発生する。
金属化合物(b)の金属種としては、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル等を例示することができる。中でも、導電性、及び耐酸化性の点で、金、銀、白金が好ましく、コスト及び低温焼結性の点で、銀がより好ましい。
本発明の金属化合物(b)として、蓚酸銀、蓚酸銅、蓚酸ニッケル、蓚酸アルミニウム
等を例示することができる。組成物中における金属化合物(b)の添加量は、組成物中に
おける金属化合物(b)の添加量は、組成物全体重量に対して、約12〜55重量%であ
ればよく、約15〜50重量%が好ましく、約20〜40重量%がより好ましい。上記範
囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
有機溶媒(c)
本発明に用いる組成物には、作業効率の点で、さらに有機溶媒(c)を添加してもよい
。有機溶媒(c)は、組成物に流動性を付与するものであればよい。有機溶媒(c)とし
て組成物の粘度が低くなる(例えば、約20Pa・sであればよく、約10Pa・s以下
であることが好ましい。)ものであれば、特に問題なく使用することができる。
有機溶媒(c)として、具体的にはアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル
類、非プロトン性極性溶媒等を例示することができ、反応容器に導入された組成物が、蒸
発乾固しない程度に金属化合物(b)の熱分解反応より高沸点のものが好ましい。例えば
、常圧下での沸点が約100℃以上約350℃以下のものであればよく、約150℃以上
約330℃以下のものが好ましく、約150℃以上約300℃以下のものより好ましい。
さらに、本発明の用いる有機溶媒(c)は、金属ナノ粒子の精製の際に生成した金属ナノ
粒子を容易に固液分離できる点で、常圧下20℃の水に対して、約10g/L以上溶解で
きるものであればよく、約100g/L以上溶解できるものが好ましい。
また、組成物中に有機溶媒(c)を添加する場合における有機溶媒(c)の添加量は、金属化合物(b)100重量部に対して、約50重量部以上約500重量部以下であればよく、約75重量部以上約400重量部以下であることが好ましい。
有機溶媒(c)として、具体的には、炭素数6〜18の直鎖若しくは分岐アルカン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、ベンゾニトリル等の芳香族類、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチル、蟻酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオール類、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルコール、シクロヘキサノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類若しくはグリコールエーテル類、さらには、メチル−n−アミルケトン、メチルエチルケトンオキシム、トリアセチン、γ−ブチロラクトン、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、ジメチルスルホキシド、またテルピネオール等のテルペン類を例示することができる。
上記の有機溶媒(c)は単独で用いてもよく、2種以上を混合して、好適な組成物の粘度に調整して用いることが可能である。中でも、常圧での沸点、極性及び溶媒の粘度に起因する取扱いの容易さの点で、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチロラクトンが好ましい。
脂肪酸(d)
本発明に用いる組成物には、必要に応じてさらに脂肪酸(d)を添加してもよい。脂肪酸(d)は、金属ナノ粒子の表面に強く結合するため、導電性インク、又は導電性ペースト中における金属ナノ粒子の分散性向上に寄与する。脂肪酸(d)は、金属化合物(b)と結合する能力を有し、金属ナノ粒子が生成した際に、金属ナノ粒子の表面上で保護層として機能するものであれば、特に制限なく使用することができる。
脂肪酸(d)のアルキル基の炭素数は、3以上18以下のものであればよく、炭素数4
以上18以下のものが好ましい。なお、組成中に脂肪酸(d)を添加する場合は、アルキ
ルアミン(a)と組み合わせて添加することを要する。組成物中における脂肪酸(d)の
添加量としては、金属化合物(b)の物質量(mol)に対して、アルキルアミン(a)
と脂肪酸(d)の合計の物質量が、約1当量以上約10当量以上であればよく、約1.5
当量以上約5当量以上が好ましく、約2当量以上約5当量以上がより好ましい。なお、脂
肪酸(d)は金属ナノ粒子と強く結合することが知られており、金属ナノ粒子を配合した
導電性インク、導電性ペースト等を熱処理に付し導電膜を形成する際に、組成物中に含ま
れる脂肪酸の多くは金属ナノ粒子の表面に残留するため、過剰に存在すると導電性に悪影
響を及ぼす。そのため、アルキルアミン(a)と脂肪酸(d)を組成物に添加する場合の
アルキルアミン(a)と脂肪酸(d)のモル比は、アルキルアミン(a):脂肪酸(d)
が、約90:10〜約99.9:0.1の範囲であればよく、約95:5〜約99.9:
0.1の範囲であることが好ましく、約95:5〜約99.5:0.5の範囲であること
がより好ましい。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
脂肪酸(d)として、具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸等を例示することができる。また、シクロヘキサンカルボン酸のような環状アルキルカルボン酸も適宜使用することができる。中でも、金属ナノ粒子生成時の反応液中における分散安定性の点で、カプロン酸、2−エチルヘキシル酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸が好ましい。上記脂肪酸(d)は、組成物中で単独又は2種以上混合して用いることができる。
金属ナノ粒子の製造方法
本発明は、アルキルアミン(a)、及び加熱により副生ガスを伴って分解し単体金属又は合金が生成する金属化合物(b)を含有する組成物を調製する工程と、
上記組成物を連続的に反応容器に導入し、反応容器内で金属化合物(b)の熱分解反応を進行させる反応工程と、
を含む平均粒径1nm以上200nm以下の金属ナノ粒子の製造方法であって、
反応工程において、上記組成物の反応容器への導入量が、熱分解反応によって1分間当たりに発生する副生ガス発生量を反応容器の容積に対して300%以下とすることを特徴とするものである。さらに、本発明の製造方法では、反応工程で生成した金属ナノ粒子を精製する工程を含んでいてもよい。
調製工程
本発明に用いる組成物の各成分は、反応容器内で効率的に金属化合物(b)の熱分解反応を進行させるため、反応容器に導入する前に各成分を均一に分散した状態の組成物として調製する(調製工程)ことを要する。各成分の添加順序、及び混合方法は、組成物中で各成分が均一に分散された状態となる方法であれば、特に制限なく用いることができる。混合方法として、メカニカルスターラー、マグネティックスターラー、ボルテックスミキサー、遊星ミル、ボールミル、三本ロール、ラインミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバー等を例示でき、製造設備の規模や生産能力に応じて、上記方法から適宜選択して実施することができる。なお、調製工程において、混合時の溶解熱、摩擦熱等の影響で組成物の温度が上昇し、金属化合物(b)の熱分解反応が開始する可能性があるため、混合は組成物の温度が約60℃以下となるように行うことが好ましく、約40℃以下に抑えながら行うこと事がより好ましい。調製工程においては、必要に応じて組成物を冷却しながら、混合をおこなってもよい。また、調製工程における各成分の混合時間は、各成分が組成物中に均一に混合した状態となれば、特に限定させず、例えば、1分〜数時間の範囲であればよい。なお、熱分解反応を行う反応槽とは別に調製槽を設け、組成物の各成分を添加して、調製した組成物を反応容器に導入することが好ましい。
反応工程
上記調製工程で調製した組成物を反応容器で反応に付することにより、金属化合物の熱分解反応が起こり、金属ナノ粒子が生成する。反応容器に組成物を導入する方法としては、熱分解反応で発生する副生ガスの発生量を抑えながら、金属化合物の熱分解反応を効率的に進行する導入量(導入速度)に調製することができる方法であれば、特に制限なく用いることができる。
反応工程における組成物の反応容器への導入方法としては、組成物の貯蔵槽からの自由落下、加圧による反応容器への落液、各種ポンプを用いる方法等を例示することができる。特に、組成物が高粘度である場合には、加圧による落液、又はチューブポンプが好適に用いられる。なお、反応容器への導入速度は、反応容器の容積や反応に用いる組成物の成分・粘度、熱分解反応時に発生する副生ガス等の発生量に応じて適宜調整することができ、反応容器内で組成物の熱分解反応が完了する導入量(導入速度)であれば良い。また、熱分解反応中に反応容器への組成物の導入量(導入速度)を後述する副生ガス等の発生量の範囲内に応じて変更することも可能である。
反応容器への組成物の導入量(導入速度)としては、金属化合物(b)の熱分解反応により生じる1分間当たりの副生ガスの発生量が、反応容器の容積の300%を超えない範囲であることが好ましく、反応容器の容積の200%以下であることがより好ましい。ここで、反応容器の容積とは反応容器本体の容積を指し、導入、抜き取り部や熱交換器、その他付帯設備に起因する容積は除く。上記範囲であれば、時間当たりの金属化合物の反応量を増加させても工業的スケールにおいて安全に製造することが可能である。本発明における金属化合物の熱分解反応により発生する副生ガスとして、金属塩として蓚酸の金属塩等を用いた場合は、主に炭酸ガスの発生が考えられる。この際、組成物中に含まれるアルキルアミンの揮発分、脂肪酸の揮発分、有機溶媒の揮発分等の熱分解反応によらず発生するガスは、副生ガスに含めないものとする。
本発明における熱分解反応によって生じる副生ガスの発生量として、上述した金属化合物の熱分解反応によって発生する副生ガスのみを指標として扱う。また、理想気体として気体の状態方程式(PV=nRT)を用いて、副生ガスの発生量を算出するものとする。具体的には、P=ガス発生下の圧力(反応容器外部へ放出された際の体積として計算するため1気圧とする。)、V=発生したガスの体積、n=発生したガスのモル数(例えば、組成物中に蓚酸の金属塩を用いる場合、蓚酸の2倍モル当量となる)、R=気体定数、T=熱分解反応時の温度(絶対温度)として、規定して算出する。
本発明の反応工程における熱分解反応の反応温度としては、熱分解反応が進行し、金属ナノ粒子が生成する温度であればよく、約250℃以下であればよく、より具体的には、約50℃以上約250℃以下であり、約100℃以上約240℃以下が好ましく、約120℃以上約240℃以下の範囲であることがより好ましい。反応容器内部の温度が上記温度範囲であれば、効率よく金属ナノ粒子を得ることができる。
本発明の反応工程における熱分解反応の方式としては、半回分式、連続式、又は循環式等のいずれであってもよい。即ち、本発明の製造方法は、反応容器への組成物の導入量(導入速度)を熱分解反応によって発生する副生ガスの発生量を反応容器の容積の300%以下とすれば、特に反応の方式には限定されない。なお、作業性の点で、連続式、半回分式が好ましい。
本発明における半回分式とは、反応容器内に予め組成物に用いる成分の一部を添加し加熱しておき、そこに別途調製した各成分を含有する組成物を逐次反応容器へ導入する反応方式を意味する。従って、この方法は熱分解反応に用いる全ての組成物を反応容器に導入してから反応を開始し、反応終了後に生成した混合物を回収する回分式(バッチ式)、又は組成物を反応容器へ連続的に導入し、且つ生成した金属ナノ粒子を含有する混合物を連続的に回収する連続式とは異なるものである。なお、半回分式にて熱分解反応を行う場合であっても、反応容器への組成物の導入量(導入速度)を熱分解反応によって発生する副生ガスの発生量を反応容器の容積の300%以下とすることで、本発明の課題を解決することができる。
本発明における連続式とは、反応に用いる組成物を予め別途調製しておき、これを連続的に反応容器へ導入し熱分解反応させ、熱分解反応により生成した金属ナノ粒子を含有する混合物を連続的に反応容器より回収する反応方式を意味する。上記方式は、単独の反応容器のみを用いて連続的に熱分解反応をおこなってもよく、2以上の反応容器を直列又は並列に設置して、連続的に熱分解反応をおこなってもよい。さらに、本発明の連続式には、通常回分式反応に用いられる攪拌槽型反応器(Continuous Stirred Tank Reactor, CSTR)や管型の反応容器(Plug Flow Reactor, PFR)等を用いて行うことも可能である。なお、連続式にて熱分解反応を行う場合であっても、反応容器への組成物の導入量(導入速度)を熱分解反応によって発生する副生ガスの発生量を反応容器の容積の300%以下とすることで、本発明の課題を解決することができる。また、2以上の反応容器を用いて熱分解反応を行う場合、各反応容器への組成物、及び/又は組成物と金属ナノ粒子を含有する混合物の反応容器への導入量(導入速度)は、熱分解反応によって発生する副生ガスの発生量を反応容器の容積の300%以下とすることで、本発明の課題を解決することができる。
本発明における循環式とは、反応に用いる組成物を連続的に反応容器へ導入して反応させ、熱分解反応により生成した金属ナノ粒子を含有する混合物を連続的に反応容器から回収し、回収ラインより混合物の一部または全量を組成物の導入ラインに循環させる反応方式を意味する。なお、循環式にて熱分解反応を行う場合であっても、反応容器への組成物の導入量(導入速度)を熱分解反応によって発生する副生ガスの発生量を反応容器の容積の300%以下とすることで、本発明の課題を解決することができる。この場合、回収ラインの一部または全部を組成物の導入ラインから反応容器へ導入した際に混合物中に含まれる未反応の金属化合物が反応することによって発生する副生ガスの発生量も上記副生ガスの発生量に含まれるものとして計算するものとする。
精製工程
上記反応工程において熱分解反応により生成した金属ナノ粒子は、有機溶媒(c)や未反応原料(アミン化合物や脂肪酸等)を含む混合物として得られる。反応によって得られた混合物を精製する事によって、目的とする物性を有する金属ナノ粒子を得ることができる。金属ナノ粒子の精製方法としては、通常のフィルターろ過による固液分離方法に加えて、金属ナノ粒子と有機溶媒の比重差を利用した沈殿方法等を例示することができる。固液分離の具体的な方法として、遠心分離やサイクロン式、又はデカンタといった方法を例示することができる。また、精製を実施する際には、低粘度にすることによる作業性の改善、及び未反応物の除去を効率的に行える点で、混合物をアセトン、メタノール等の低沸点溶媒を加えて希釈して行ってもよい。また、上記低沸点希釈溶媒を用いて反応容器内部に付着した生成物の洗浄回収することで回収率を向上させることができる。
本発明の製造方法には、必要に応じて減圧装置、圧力調整装置、活性力線照射装置、外部光の遮蔽機構、不活性ガス充填装置、揮発分の還流又は分離回収機構、保温機構、冷却機構、反応前後の各段階における貯蔵槽等の装置又は設備を用いることが可能である。
上述した製造方法を用いることで、金属ナノ粒子を生成する組成物を反応容器へ連続的に導入し、熱分解反応させることで、時間当たりの反応量を制御することによって、金属化合物の熱分解反応で生じる副生ガスを始めとする内圧上昇因子、及び液面上昇因子の制御を可能にし、金属ナノ粒子を量産可能となる。
本発明の製造方法によって得られる金属ナノ粒子は、反応条件や反応に用いる組成物中の各成分の組成比を適宜調整することで所望する平均粒径の金属ナノ粒子を得ることができる。例えば、平均粒径は約1nm以上〜約200nm以下の範囲であり、約1nm以上〜約100nm以下の範囲であり、約10nm以上〜約60nm以下の範囲であり得る。また、本発明の製造方法によって得られる金属ナノ粒子は、導電性インクや導電ペーストに用いた際に、種々の溶媒に容易に分散することが可能である。さらに、本発明の製造方法によって得られる金属ナノ粒子を用いて形成した回路は、低い体積抵抗値を示すため、種々の導電材料などに用いることが可能である。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
金属ナノ粒子の製造に用いる組成物を構成する各成分として実施例及び比較例に用いたものを以下に示す。
アルキルアミン(a)
a1:n-オクチルアミン(炭素数8、和光純薬工業株式会社製)
a2:n-ブチルアミン(炭素数4、和光純薬工業株式会社製)
a3:N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(炭素数5、和光純薬工業株式会社製)
金属化合物(b)
c1:蓚酸銀
なお、蓚酸銀は特許文献4(特開2012−162767)に記載の方法により、合成した。
有機溶媒(c)
b1:トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃、和光純薬工業株式会社製)
脂肪酸(d)
d1:カプロン酸(炭素数6、和光純薬工業株式会社製)
組成物の調製
各成分を下記の表1に記載の重量部ずつ秤量し、同一容器に投入した後、室温下にてマグネティックスターラーを用いて、約30分間攪拌を実施することによって、組成物1〜4を調製した。また、各組成物の粘度を(E型粘度計BROOKFIELD社製VISCOMETER DV−II+Pro、10rpm)により測定した。測定した各組成物の粘度を表1に示す。
Figure 0006152744
金属ナノ粒子の反応
(実施例1)
実施例1は、反応容器として底部に液抜き口を備えたジャケット付きセパラブルフラスコ(柴田科学株式会社製、300mL、カバー部合わせ、容積は約450mL)を用いた。4ツ口のセパラブルカバーを用い、それぞれメカニカルスターラー、温度計、ジムロート冷却管、およびシリコーンゴム製のセプタムを設置し、直径1mmの金属針を取り付けた100mLのガスタイトシリンジ2本およびシリンジポンプ(KD Scientific社製IC3220)を備え付け、ジャケットに耐熱ポンプ、および耐熱フレキシブルチューブを用いて、130℃に熱したシリコーンオイル(東レダウコーニング社製 SRX310)を通液し、内部を加熱した。表1に示す組成物1を反応容器へシリンジポンプを用いて5.0g/分で導入し、合計150gの組成物1を熱分解反応させ、金属ナノ粒子が生成するかを確認した。得られた金属ナノ粒子は底部のフラッシュバルブより生成物を回収した。導入した組成物の重量と回収した金属ナノ粒子の重量から収率を、さらに、組成物の導入量から理想気体とした場合のガス発生量を算出した。結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例2は、表1に示す組成物2(脂肪酸無添加)を用いた以外は、実施例1に記載する方法と同じ方法で反応を実施した。収率、ガスの発生量を表2に示す。
(実施例3)
実施例3は、表1に示す組成物3(有機溶媒添加)を、合計200g用いた以外は、実施例1に記載する方法と同じ方法で反応を実施した。収率、ガスの発生量を表2に示す。
(実施例4)
実施例4は、表1に示す組成物1を用い、投入量を2倍である10.0g/分とした以外は実施例1に記載する方法と同じ方法で反応を実施した。収率、ガスの発生量を表2に示す。
(比較例1)
比較例1は、従来技術であるバッチ法(特許文献4に記載の方法)で金属ナノ粒子の反応を実施した。具体的には、表1の組成物2を用い、500mL三角フラスコに表1に記載の分量で各成分を投入し、室温にて約30分間マグネティックスターラーにて攪拌混合した。(組成物の体積は、約130mLとなった。)ここから150g(約107mL)を抜き取り、300mLのセパラブルフラスコに一括で投入した。実施例1と同様の方法でジャケットを130℃に加熱して、組成物をメカニカルスターラーにて撹拌しながら、熱分解反応が始まるまで加熱した。収率、ガスの発生量を表2に示す。
(比較例2)
比較例2は、表1に示す組成物1を用いて、実施例1に記載する方法の4倍の速度、20.0g/分で組成物を反応容器へ導入した。収率、ガスの発生量を表2に示す。
(比較例3)
比較例3は、表1に示す組成物4(アルキルアミン無添加)を用いて、実施例1に記載する方法と同じ方法で反応を実施した。収率、ガスの発生量を表2に示す。
金属ナノ粒子の精製
各実施例、及び比較例で得られた金属ナノ粒子を含む混合液の精製は、反応容器より回収された混合液、及び反応容器内をメタノールで洗浄した洗浄液を遠沈管に入れ、さらに混合液と等量程度の洗浄液(メタノール)を添加し、ボルテックスミキサーで分散、混合させた後、遠心分離機(日立工機製 himac 小型冷却遠心機CF7D2)にて3000rpm、1分処理することで銀ナノ粒子を遠沈させ、上澄み液を除去した。この工程を3回繰り返すことにより金属ナノ粒子を精製した。
金属ナノ粒子の評価
各反応によって得られた金属ナノ粒子を用いて、特許文献4に記載の方法により金属ナノ微子分散インクを調製した。具体的には、ブタノール:オクタン混合溶媒(体積比1:4)を得られた銀ナノ粒子(約25.3〜39.8g)と等量投入し、室温下マグネティックスターラーにて攪拌混合することで、50wt%の金属ナノ粒子分散インク(約50.6〜79.6g)を得た。
得られた各金属ナノ粒子分散インクを用い、動的光散乱法粒度分布測定装置(スペクトリス製 ゼータサイザーナノ)にて、得られた各金属ナノ粒子の平均粒径を測定した。また、各金属ナノ粒子分散インクをPETフィルム(帝人化成製 HK188G-AB500H、60×60mmにカットしたもの)上にスピンコート(3000rpm、30秒)したものを、100℃、30分熱処理した。この時の塗膜の厚みをレーザー顕微鏡(レーザーテック製 OPTELICS HYBRID)にて測定し、5回測定の平均塗膜厚を得た。前値及び導電率計(三菱化学アナリテック製 ロレスターAX)にて体積抵抗値を測定することで、導電性を評価した。評価結果を表2に記載した。
Figure 0006152744
実施例1では、連続式で反応を行った。すなわち、組成物1を5.0g/分の速度で反応容器へ導入し熱分解反応を行った。結果、後述する比較例1のような反応容器から内容物の噴出は見られず、安全かつ容易に反応することができた。反応容器へ導入された組成物は、反応容器中で速やかに熱分解反応を開始した。従って、熱分解反応が進行していた時間は組成物の導入時間と等しく30分間であり、これより熱分解反応中の反応による時間当たりの副生ガス発生量は0.42L/分、反応容器の容積の93.2%であった。反応終了後、フラッシュバルブより回収した金属ナノ粒子の収率は96.9%であった。また、得られた金属ナノ粒子の平均粒径は20nm、塗膜の体積抵抗値は6.1μΩ・cmであった。
実施例2では、実施例1の2倍の導入速度で組成物2を用いて反応を行った。結果、実施例1とほぼ同様に熱分解反応が進行した。金属ナノ粒子の収率は94.7%であった。熱分解反応中の反応による炭酸ガスの発生量は0.42L/分であり、反応容器の容積の93.1%であった。また、得られた金属ナノ粒子の平均粒径は21nm、塗膜の体積抵抗値は6.4μΩ・cmであった。
実施例3では、実施例1と同じ方法で組成物3(有機溶媒添加)を用いて反応を行った。組成物の反応容器への導入は、有機溶媒を添加したことで組成物の粘度が低くなったため容易であった。なお、冷却器で凝集される成分が実施例1、2と比べてやや多かったが、これは組成物に添加した有機溶媒が揮発したものと考えられる。熱分解反応中の反応による炭酸ガスの発生量は0.40L/分であり、反応容器の容積の89.7%であった。収率は95.3%であった。また、得られた金属ナノ粒子の平均粒径は33nm、塗膜の体積抵抗値は4.2μΩ・cmであった。溶媒で希釈したため、組成物の導入量当たりの金属ナノ粒子回収量は他の方法と比べて少なくなったが、収率は同等の95.3%であった。
実施例4では、実施例1の2倍の導入速度で組成物1を用いて反応を行った。結果、実施例1とほぼ同様に熱分解反応が進行した。金属ナノ粒子の収率は97.1%であった。熱分解反応中の反応による炭酸ガスの発生量は0.84L/分であり、反応容器の容積の186.4%であった。また、得られた金属ナノ粒子の平均粒径は21nm、塗膜の体積抵抗値は6.0μΩ・cmであった。
比較例1は、連続式の反応と比較するため、特許文献4(特開2012−162767)に記載の方法に準じてバッチ式にて反応を実施したものである。加熱開始から熱分解反応の開始までに約30分を要した。さらに、熱分解反応の開始後、10秒程度のうちに多量の炭酸ガスが発生し、液面が急激に上昇して冷却管より内容物が噴出した。この際、熱分解反応の開始から終了(炭酸ガスの発生が停止したことを確認できる)までの時間は約4分間であった。従って、熱分解反応における1分間当たりのガス発生量は3.15Lであり、反応容器の容積に対して約700%の炭酸ガスが発生していた。この結果より、比較例1の方法は安全かつ低コストな工業的製造方法とはなり難いことが確認された。なお、容器内に残った金属ナノ粒子を回収し、収率は61.7%であった。得られた金属ナノ粒子の平均粒径は19nm、塗膜の体積抵抗値は5.8μΩ・cmであった。
比較例2においては、反応容器への組成物の導入速度を実施例1の4倍の速度で実施したところ、熱分解反応開始と同時に多量の炭酸ガスが発生し、冷却器内で凝集された組成物が発生した炭酸ガスとともに噴出し、その後液面が上昇して内容物の一部が反応容器系外に噴出した。熱分解反応中の反応による炭酸ガスの発生量は1.68L/分であり、反応容器の容積の373%であった。結果、金属ナノ粒子の収率は77.5%であった。また、得られた金属ナノ粒子の平均粒径は20nm、塗膜の体積抵抗値は6.0μΩ・cmであった。
比較例3においては、アルキルアミン(a)を含有しない組成物を用いて反応を行った。結果、金属ナノ粒子自体は連続的に生成し、熱分解反応中の反応による時間当たりのガス発生量は0.45L/分、すなわち反応容器の容積の100.6%であった。しかし、金属ナノ粒子の表面を脂肪酸がアルキルアミンよりも強く金属ナノ粒子表面に結合し、塗膜形成後も残留してしまうため、導電性インクとして塗膜を形成した際に導電性が得られなかった。金属ナノ粒子の収率は93.5%であった。また、得られた金属ナノ粒子の平均粒径は23nmであった。
本発明の製造方法は、各種金属ナノ粒子を安全かつ低コストで製造することができる。また、得られた金属ナノ粒子は、種々の方法で導電性インク、若しくは導電性ペーストに用いることにより、各種印刷方法に適用され、電気回路配線、電極形成に用いるプリンテッドエレクトロニクス向け材料として有効に利用することができる。さらには、導電性の接着剤、電磁波吸収体、光反射体等の各分野においても有効に利用することができる。

Claims (8)

  1. アルキルアミン(a)、及び加熱により炭酸ガスを伴って分解し単体金属又は合金が生成する金属化合物(b)を含有する組成物を調製する工程と、
    上記組成物を連続的に反応容器に導入し、反応容器内で金属化合物(b)の熱分解反応を進行させる反応工程と、
    を含む平均粒径1nm以上200nm以下の金属ナノ粒子の製造方法であって、
    金属化合物(b)が、カルボン酸金属塩又は炭酸金属塩であり、
    反応工程において、上記組成物の反応容器への導入量が、熱分解反応によって1分間当たりに発生する炭酸ガス発生量を反応容器の容積に対して300%以下とすることを特徴とする。
  2. 金属化合物(b)が、蓚酸金属塩である請求項1に記載の製造方法。
  3. 熱分解反応の温度が、250℃以下である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. さらに、組成物に有機溶媒(c)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 有機溶媒(c)が、常圧下での沸点が100℃以上350℃以下、水に対して10g/L以上溶解(20℃)するものであり、
    組成物中の有機溶媒(c)の含有量が、金属化合物(b)100重量部に対して、50重量部以上500重量部以下である請求項4に記載の製造方法。
  6. 組成物中におけるアルキルアミン(a)の含有量が、金属化合物(b)の物質量(mol)に対して、1当量以上10当量以下である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. さらに、脂肪酸(d)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 組成物中における脂肪酸(d)とアルキルアミン(a)の含有量の合計の物質量が、金属化合物(b)の物質量(mol)に対して、1当量以上10当量以下である請求項7に記載の製造方法。
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