JP2016132825A - 銀ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アミン錯体分解法を改善して、反応中のガスの発生速度を制御することによって、安全性を高めた銀ナノ粒子の製造方法を提供する。【解決手段】加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、アルキルアミンと、分子内に炭素原子とヘテロ原子との多重結合またはヘテロ原子同士の多重結合の少なくとも一方を含む化合物と、に由来する錯化合物を生成させる第1工程と、沸点が摂氏100度以上であって錯化合物の一部を溶解可能で溶媒を加えることで粘度が低下な溶媒を添加する第2工程と、反応系を加熱して錯化合物を加熱分解して、アルキルアミンを含む保護膜で被覆された銀ナノ粒子を生成する第3工程と、を含むことを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法。ガスの発生源である錯化合物の一部または全部が溶媒に溶解して、反応系が均一に近づくので、第3工程で気体の発生するペースが制御されて、大量製造時の工程の安全性が向上する。【選択図】図1

Description

本発明は、銀ナノ粒子の製造方法に関し、特に、大量合成する際に問題となる危険要素を排した銀ナノ粒子の製造方法に関する。
近年、市場の傾向として、電子機器を小型化させることが求められている。また、プリンテッドエレクトロニクスの手法を用いて、製造コストを安価に保ったまま、電子機器を小型化させるためには、電子機器の配線の材料となる導電性の微粒子を微小化する技術の開発が必要不可欠であると考えられている。そのため、導電性のナノ粒子の生産技術の開発は注目されている。特に、銀ナノ粒子は、微細配線の材料として適しているため、注目されている。
従来の生産技術としては、特許文献1に記載の銀ナノ粒子の製造方法と、特許文献2に記載の2重結合を有するヘテロ原子を含む化合物を添加することによってアミン錯体分解法を改良してアミン錯体の生成速度を速めた被覆銀微粒子の製造方法と、が知られている。
尚、ヘテロ原子とは、炭素、水素以外の原子のうち、遷移元素を除いた原子を指す。
特許文献1に記載の銀ナノ粒子の製造方法は、アミン錯体分解法と呼ばれている。アミン錯体分解法は、炭素総数6以上の脂肪族炭化水素モノアミン(P)5モル%〜20モル%と、及び炭素総数5以下の脂肪族炭化水素モノアミン(Q)80モル%〜95モル%と、を混合してアミン混合液(R)を調製する。また、アミン混合液(R)と、銀化合物(S)と、を混合して、銀化合物及びアミンを含む錯化合物(T)を生成させ、錯化合物(T)を加熱して熱分解させて、アミン分子に表面を被覆された銀ナノ粒子を形成する。このように、アミン錯体分解法は、一成分である錯化合物(T)が複数成分に熱分解する反応を利用するので、均一な特性の銀ナノ粒子が得られやすい。また、アミン錯体分解法は、無溶媒、且つ、還元剤を用いないので還元剤に由来する副生成物を発生させることなく、高濃度の銀ナノ粒子を製造可能である。
尚、特許文献1に記載されているとおり、例えば、銀化合物(S)にシュウ酸銀をも用いるとき、シュウ酸銀は、単体では、通常200℃程度で熱分解して二酸化炭素と金属銀とを生成する。しかし、シュウ酸銀と、アルキルアミンと、を組み合わせて構成される錯化合物(T)は、100℃程度でシュウ酸イオンが熱分解して、金属銀を生成するので、アミン錯体分解法の熱分解温度は、比較的低い。
特許文献2に記載の被覆銀微粒子の製造方法は、アルキルアミン(V)と、分子内に炭素原子とヘテロ原子との多重結合又はヘテロ原子同士の多重結合の少なくとも一方を含む化合物(W)と、を含む混合液(X)を調製する。また、混合液(X)と、加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物(U)と、を混ぜて錯化合物(Y)を生成してから、錯化合物(Y)を加熱分解させてアルキルアミン(V)を含む保護膜で被覆された銀微粒子を生成する。このとき、銀化合物(U)と、アルキルアミン(V)と、が配位結合して錯化合物(Y)を生成する反応速度は、特許文献2に記載されているように、小さい自由エネルギー変化を駆動力としているため遅いが、化合物(W)を添加する場合、その反応速度は早まる。
特開2013−142173号公報 特願2012−182765号公報
しかしながら、特許文献1または特許文献2に記載の銀ナノ粒子の製造方法は、大量にガスの発生する工程において、反応速度の制御は困難なので、しばしば突発的に大量のガスが発生して、反応中の系の体積が不安定に変化する。そのため、大量合成をする場合、反応容器の内圧が不安定に変化することによって、製造方法の安全性が損なわれてしまうという問題があった。
特許文献2に記載の被覆銀微粒子の製造方法のガスの直接的な発生源は、例えば、銀化合物(U)にシュウ酸銀を用いるとき、錯化合物(Y)に含まれるシュウ酸イオンである。その場合、錯化合物(Y)は固体の性状を有するので、錯化合物(Y)に含まれるシュウ酸イオンが二酸化炭素ガスに変化するプロセスは、固体−気体プロセスである。また、物質が固体から気体に相転移するとき、通常、その物質の体積は、数百倍〜千数百倍に変化するので、分子構造の一部が固体から気体にかわる反応において、系の体積は大きく変化する。また、固体として存在する錯化合物(Y)の表面積は制御されていない。以上の影響を受けて、従来の被覆銀微粒子の製造方法の系の体積は不安定に変化するので、反応容器の内圧は不安定に変化して、大量生産するときの安全性は損なわれていた。
本発明は、上述した課題を解決して、いわゆるアミン錯体分解法により銀ナノ粒子を製造する方法において、所定の溶媒を加えることで反応系の粘度を低下させることにより、ガスの発生する速度を制御して、安全性を高めた銀ナノ粒子の製造方法を提供するものである。
この課題を解決するために、請求項1に記載の銀ナノ粒子の製造方法は、加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、アルキルアミンと、分子内に炭素原子とヘテロ原子との多重結合またはヘテロ原子同士の多重結合の少なくとも一方を含む化合物と、に由来する錯化合物を生成させる第1工程と、沸点が摂氏100度以上であって前記錯化合物の一部を溶解可能な溶媒を加えることで前記錯化合物を含む反応系の粘度を低下させる第2工程と、前記反応系を加熱して前記錯化合物を加熱分解し、前記アルキルアミンを含む保護膜で被覆された銀ナノ粒子を生成する第3工程と、を含むことに特徴を有する。
また、請求項2記載の銀ナノ粒子の製造方法は、前記溶媒がアルコールであることに特徴を有する。
また、請求項3記載の銀ナノ粒子の製造方法は、前記溶媒が1−ヘキサノールであることに特徴を有する。
また、請求項4記載の銀ナノ粒子の製造方法は、前記銀化合物がシュウ酸銀であることに特徴を有する。
また、請求項5記載の銀ナノ粒子の製造方法は、前記アルキルアミンと、前記溶媒と、の体積比が4:1.5〜1:1であることに特徴を有する。
請求項1の発明によれば、反応系の粘度が低下することにより加熱時に気体の発生するペースが制御されて、大量製造するときの安全性が向上する。
請求項2の発明によれば、メタノール等の一般有機溶媒を使用した精製プロセスによって、生成物から除去できるため、溶媒が生成物に残留しない。
請求項3の発明によれば、添加する溶媒が1−ヘキサノールであることにより、粘度が小さくかつ生成物からの除去が容易になる。
請求項4の発明によれば、均一な特性の銀ナノ粒子を安定的に得ることができる。(従来例の効果と同じでよいと思います)
請求項5の発明によれば、反応系の中に固体として存在する錯化合物の量は適切に制御されて、ガスの発生するペースは適切に制御されると共に、反応系の反応速度が遅くなる虞は小さくなる。
以上より、本発明によれば、溶媒を加えて反応系の粘度を低下させることによって、ガスの発生するペースを制御し、銀ナノ粒子の製造方法の安全性を向上させることができる。
第1実施形態で得られた銀焼成膜(焼成条件:100℃、60分間)の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
[第1実施形態]
以下、本発明の銀ナノ粒子の製造方法を図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態で得られた銀焼成膜(焼成条件:100℃、60分間)の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
第1実施形態の銀ナノ粒子の製造方法1は、特許文献1または特許文献2に記載された製造方法と同様に、いわゆるアミン錯体分解法によって、銀ナノ粒子を生成させる製造方法である。
銀ナノ粒子の製造方法1は、銀化合物(A)と、アルキルアミン(B)と、分子内に炭素原子とヘテロ原子との多重結合を含む化合物(C)と、脂肪族カルボン酸(D)と、添加溶媒(E)と、を材料として銀ナノ粒子を合成する。
(第1実施形態の構成:工程)
銀ナノ粒子の製造方法1は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、を経て銀ナノ粒子を製造する。
銀ナノ粒子の製造方法1は、第1工程において、アルキルアミン(B)と、分子内に炭素原子とヘテロ原子との多重結合を含む化合物(C)と、脂肪族カルボン酸(D)と、を混合した混合液が調製される。また、その混合液と、銀化合物(A)と、が混合されるとき、固体成分の錯化合物(F)が生成されて、錯化合物(F)と余剰の混合液とによってスラリーが形成される。
銀ナノ粒子の製造方法1は、第2工程において、錯化合物(F)と、余剰の混合液と、によって形成されるスラリーに、添加溶媒(E)が添加される。このとき、固体として存在していた錯化合物(F)の一部、または全部は溶解するので、スラリー粘度が低下する。
銀ナノ粒子の製造方法1は、第3工程において、系全体が110℃程度に加熱される。また、加熱によって系の温度が上昇すると、錯化合物(F)に含まれる銀化合物(A)は分解して、アルキルアミン(B)の存在下で、原子状の銀が生成される。また、アルキルアミン(B)の存在下で、分散状態を制御された状態で生成された銀原子同士は、凝集しようとする力を抑制された状態のまま凝集して、アルキルアミン(B)の保護膜に保護された銀ナノ粒子が形成される。
銀ナノ粒子の製造方法1の生成物は、少量のメタノールを加えてから遠心分離する操作を数回繰り返されることによって、洗浄される。
(第1実施形態の構成:銀化合物(A))
銀化合物(A)は、銀を含む化合物の中で、加熱によって容易に分解して原子状の銀を生成する銀化合物(A)が好適に用いられ、シュウ酸銀がより好適に用いられる。また、シュウ酸銀以外の銀化合物(A)としては、例えば、蟻酸、酢酸、マロン酸、安息香酸、フタル酸、等に代表されるカルボン酸と銀原子とからなるカルボン酸銀、または、塩化銀、硝酸銀、炭酸銀、等を用いることができる。銀化合物(A)にシュウ酸銀を用いる場合、副生成物は二酸化炭素であると共に二酸化炭素は不燃性なので、第3工程の危険性は小さくなる。また、二酸化炭素は、反応の系に対して不活性なので、二酸化炭素が反応の系に与える化学的な影響は小さい。また、二酸化炭素はガスなので容易に系から分離可能であると共に、二酸化炭素を安価に回収する手段は種々存在するので、二酸化炭素を除去しさえすれば、銀ナノ粒子の製造方法1が環境に付加を与える虞は小さくなる。
(第1実施形態の構成:アルキルアミン(B))
アルキルアミン(B)は、銀ナノ粒子の表面に対して、孤立電子対を有するアミノ基を介した配意結合を形成可能とするために、1級アミン、または、2級アミンであることが好ましい。また、特許文献1に記載されているように、アルキルアミン(B)の炭化水素基は、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。
また、アルキルアミン(B)は、特許文献1に記載されているのと同様に、アルキル基の一部に1つのアミノ基が結合したアルキルモノアミン、または、アルキル基の一部に2つのアミノ基が結合したアルキルジアミン、等が好適に用いられる。また、1−アミノヘキサンがより好適に用いられる。アルキルアミン(B)に、1−アミノヘキサンが用いられる場合、1−アミノヘキサンは比較的安価であるため、銀ナノ粒子の製造方法1の製造コストは小さくなる。また、1−アミノヘキサンの炭化水素基は、印刷に用いる汎用溶媒と親和性が高いので、1−アミノヘキサンを分散剤とした銀ナノ粒子は、既存の印刷材料の技術を応用して、インク化することが容易となる。また、1−アミノヘキサンの沸点は、131℃前後なので、1−アミノヘキサンを分散剤とした銀ナノ粒子は、エンジニアリングプラスチックのガラス転移温度よりも低い温度で焼結させることが可能となる。
(第1実施形態の構成:化合物(C))
化合物(C)は、特許文献2に記載されているのと同様の銀化合物(A)と、アルキルアミン(B)と、によって形成される錯化合物(F)の生成する速度を速める化合物が用いられる。また、化合物(C)には、銀化合物(A)の結晶等を効率的に解砕し、アルキルアミン(B)の分子が銀化合物(A)の分子に接触する機会を高める性質を備えた化合物が好適に用いられる。また、化合物(C)には、アルキルアミン(B)との相溶性に優れた化合物が好適に用いられる。また、尿素は、以上の条件を満たすので、化合物(C)に好適に用いられる。化合物(C)に尿素を用いる場合、尿素は、極性が高いので、メタノール等の銀ナノ粒子を精製する際に用いられる一般有機溶媒に溶解させて、容易に除去可能である。また、尿素は安価なので、銀ナノ粒子の製造方法1の製造コストは小さくなる。
(第1実施形態の構成:脂肪族カルボン酸(D))
脂肪族カルボン酸(D)は、特許文献1に記載されているように、銀ナノ粒子の分散液への分散性をさらに向上させるために、安定剤として用いられる。また、脂肪族カルボン酸(D)には、飽和または不飽和の脂肪族カルボン酸が用いられ、オレイン酸がより好適に用いられる。オレイン酸以外の脂肪族カルボン酸(D)としては、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、等の炭素数4以上の飽和脂肪族モノカルボン酸が好適に用いられる。また、例えば、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、等の炭素数8以上の不飽和脂肪族モノカルボン酸が好適に用いられる。脂肪族カルボン酸(D)としてオレイン酸が用いられるとき、オレイン酸は比較的安価なので、銀ナノ粒子の製造方法1の製造コストは小さくなる。
(第1実施形態の構成:添加溶媒(E))
添加溶媒(E)は、系の中に固体として存在する錯化合物(F)の一部を溶かして、錯化合物(F)の固体表面の量を減らす溶媒が好適に用いられる。また、錯化合物(F)を効率的に解砕して、錯化合物(F)の粒子の表面積のばらつきを揃えて、錯化合物(F)の粒子の表面積を均一化させる溶媒が好適に用いられ、1−ヘキサノールがより好適に用いられる。ただし、添加溶媒(E)は、アルキルアミン(B)との相溶性が高く、且つ、沸点が銀化合物(A)の分解する温度より高く、且つ、メタノール等の銀ナノ粒子を精製する洗浄剤との相溶性が高い溶媒であればよく、1−ヘキサノールに限定されるものではない。添加溶媒(E)に、1−ヘキサノールが用いられる場合、1−ヘキサノールはアルコール類の中では比較的安価なので、銀ナノ粒子の製造方法1の製造コストは小さくなる。また、ヘキサノールの粘度は比較的に小さい(5.2cP/20℃)ので、1−ヘキサノールの添加によって反応系の流動性が阻害されることはなく、機械攪拌によって系を均一な状態に保つことはより容易になる。また、1−ヘキサノールの沸点は158℃なので、例えば、銀ナノ粒子を精製する過程で十分に1−ヘキサノールが除去されなかったとしても、170℃程度の温度で蒸発する。そのため、1−ヘキサノールは、例えば、エンジニアリングプラスチック等の材料からなる基材に対して使用するインクに添加するとき、インクを乾燥させる工程に与える影響は小さい。
また、添加溶媒(E)には、1−ヘキサノール以外に、1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノールを用いることができる。また、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノールを用いることができる。また、1−ウンデカノール、1−ドデカノールを用いることができる。
(第1実施形態の構成:各成分の量比)
また、銀ナノ粒子の製造方法1の成分は、シュウ酸銀:尿素:1−アミノヘキサン:オレイン酸=1:2:4:0.05のモル量比で合成される。
また、銀ナノ粒子の製造方法1の1−ヘキサノールは、1−アミノヘキサンに対して、1−アミノヘキサン:1−ヘキサノール=2:1の重量比で添加される。
ただし、1−ヘキサノールの添加量は、第1工程で生成される錯化合物(F)を溶解させるのに十分な量が添加されるのであればよく、1−アミノヘキサンに対して、1−アミノヘキサン:1−ヘキサノール=2:1の重量比で添加されなくともよい。1−アミノヘキサンと、1−ヘキサノールと、を2:1の重量比にする場合、1−ヘキサノールは、系の中に固体として存在する錯化合物(F)の殆どを室温で溶かすので、系はほぼ均一になる。そのため、系の中に固体表面は無くなって、系は均一になるので、第3工程のガスの発生速度は均一になる。また、1−アミノヘキサンと、1−ヘキサノールと、を2:1の重量比にする場合、系の濃度が1−ヘキサノールの添加によって希釈される割合は最小となる。そのため、1−ヘキサノールの添加によって、アミン錯体分解法の反応が阻害される虞は小さくなる。
(第1実施形態の構成:銀焼成膜の形成)
銀ナノ粒子の製造方法1によれば、アルキルアミン(B)によって表面が被覆された銀ナノ粒子が、余剰のアルキルアミン(B)と、脂肪族カルボン酸(D)と、の混合液中に均一に分散した分散液が得られる。
分散液を基板上に塗布し、その後、焼成する。
塗布は、キャスト法、スピンコート法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ディスペンサ印刷、凸版印刷(フレキソ印刷)、昇華型印刷、オフセット印刷、凹版印刷(グラビア印刷)、コンタクト印刷、マイクロコンタクト印刷などの公知の方法により行うことができる。微細パターンを形成可能な印刷技術を用いると、微細パターン化された分散液の薄膜が得られ、焼成により、パターン化された銀焼成膜が得られる。
焼成は、200℃以下、例えば室温(25℃)以上150℃以下、好ましくは室温(25℃)以上120℃以下の温度で行われる。しかしながら、短い時間での焼成によって、銀の焼結を完了させるためには、60℃以上200℃以下、例えば80℃以上150℃以下、より好ましくは90℃以上120℃以下の温度で行なわれる。焼成時間は、銀インクの塗布量、焼成温度などを考慮して、適宜定めるとよく、例えば数時間以内、好ましくは1時間以内とするとよい。
銀ナノ粒子を含む分散液は、前述したように構成されているので、このような低温短時間での焼成工程によっても、分散媒や溶媒は揮発すると共に、銀粒子の焼結が進行する。その結果、例えば10μm以下とりわけ5μm以下の比較的薄膜で小さい体積抵抗率を有する銀導電層が形成される。10μm以上の厚膜では分散媒や溶媒を十分飛ばしきる温度と時間が必要になるので、焼成条件は、銀導電層の体積抵抗率との兼ね合いにより決定される。
また、銀ナノ粒子を含む分散液は、低温で焼成可能なので、基板として、ガラス製基板、ポリイミド系フィルムのような耐熱性プラスチック基板の他に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどのポリエステル系フィルム、ポリカーボネートなどの光学フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルムのような耐熱性の低い汎用プラスチック基板をも好適に用いることができる。また、短時間での焼成は、これら耐熱性の低い汎用プラスチック基板に対する負荷を軽減するし、生産効率を向上させる。
(第1実施形態の作用)
次に、本発明である銀ナノ粒子の製造方法1の作用について説明する。
第1実施形態の銀ナノ粒子の製造方法1は、第1工程において、1−アミノヘキサンと、尿素と、オレイン酸と、を混合した混合液が調製される。また、その混合液にシュウ酸銀が混合されて、1−アミノヘキサンと、シュウ酸銀と、からなる錯化合物(F)が生成される。また、錯化合物(F)への転化が完了するとき、系は、余剰の混合液と、錯化合物(F)の微粒子と、によって構成されるので、スラリーの性状を呈する。
また、銀ナノ粒子の製造方法1の成分は、シュウ酸銀:尿素:1−アミノヘキサン:オレイン酸=1:2:4:0.05のモル量比で合成される。
このとき、シュウ酸銀と、1−アミノヘキサンと、のモル量比は、シュウ酸銀:1−アミノヘキサン=1:4なので、過剰量の1−アミノヘキサンの分子が、より少ないシュウ酸銀の分子の周囲に効率的に配位して、スムーズに錯化合物(F)が形成される。また、系に尿素が添加されていることによって、1−アミノヘキサンの分子は、シュウ酸銀の分子の周囲により効率的に配位する。
また、銀ナノ粒子の製造方法1は、第2工程において、系に、1−ヘキサノールが添加されて、粘度が低下する。また、1−ヘキサノールは、1−アミノヘキサンに対して、1−アミノヘキサン:1−ヘキサノール=2:1の重量比で添加される。
銀ナノ粒子の製造方法1は、第3工程において、系全体が110℃程度に加熱される。また、加熱によって系の温度が上昇すると、錯化合物(F)に含まれるシュウ酸銀は分解して、1−アミノヘキサンの存在下で、原子状の銀と、二酸化炭素ガスと、が生成される。また、1−アミノヘキサンの存在下で、分散状態を制御された状態で生成された銀原子同士は、分散状態を制御された状態のまま凝集して、1−アミノヘキサンの保護膜に保護された銀ナノ粒子が生成される。
このとき、第2工程で系に添加された1−ヘキサノールが、系の中の錯化合物(F)の殆どを溶解させているので、錯化合物(F)の一部は、系の液中に均一に溶けた溶質となって存在している。そのため、錯化合物(F)が熱分解する速度は、系の中で均一になって、二酸化炭素ガスの発生速度は制御し易くなる。また、系に固体として存在する錯化合物の粒子の大きさは小さくなると共にその量は減るとともに溶媒の添加に伴う粘度の低下により、系の流動性は大きくなる。また、系の流動性が大きくなることによって、気体が発生してから系の外へ飛び去るまでの時間は短くなるので、系全体の体積はより安定となる。また、系の流動性が大きくなることによって、機械攪拌で系をより均一な状態に保つことが可能となるため、系の反応速度は、より均一に保たれるようになる。また、系の反応速度はより均一に保たれるので、気体の発生するペースはより均一になって、大量製造時の危険性は、より小さくなる。
また、生成物は、少量のメタノールを加えてから遠心分離する操作を数回繰り返されて、1−アミノヘキサンの保護膜に保護された銀ナノ粒子と、余剰の1−アミノヘキサンと、オレイン酸と、からなる銀ナノ粒子分散液と1−ヘキサノールとは分離される。また、極性の高い成分である尿素と、合成中に発生した不純物のうち極性の高い分子と、はメタノールに溶けて除去される。
(銀焼成膜の体積低効率)
銀ナノ粒子を含む分散液をキャスト法にてガラス基板上に塗布して塗膜を形成し、予め100℃に加熱しておいた送風乾燥炉に60分間投入して焼成し、銀焼成膜を形成した。なお、銀ナノ粒子を含む分散液を塗布する厚さは、銀焼成膜の厚さが3.8μmとなるようにした。また、得られた銀焼成膜の比抵抗値は、ロレスタEP(MCP−T360、PSPプローブ、三菱化学)を用いて4端子法により測定した。また、10回繰り返した測定の平均値を、測定の結果とした。得られた銀焼成膜の比抵抗値は、2.88E−05Ω・cmであった。
このように上記実施形態の銀ナノ粒子の製造方法1は、加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、アルキルアミンと、分子内に炭素原子とヘテロ原子との多重結合またはヘテロ原子同士の多重結合の少なくとも一方を含む化合物と、に由来する錯化合物を生成させる第1工程と、沸点が摂氏100度以上であって錯化合物の一部を溶解可能な溶媒を加えることで錯化合物を含む反応系の粘度を低下させる第2工程と、反応系を加熱して錯化合物を加熱分解して、アルキルアミンを含む保護膜で被覆された銀ナノ粒子を生成する第3工程と、を含むので、加熱時に気体の発生するペースが制御されて、大量製造するときの安全性が向上する。
また、溶媒がアルコールなので、メタノール等の一般有機溶媒を使用した精製プロセスによって、生成物から除去できる。
また、溶媒が1−ヘキサノールなので、粘度の比較的小さい1−ヘキサノール(5.2cP/20℃)を添加することによって反応系の流動性は阻害されることがなく、機械攪拌によって系を均一な状態に保つことはより容易になる。
また、銀化合物がシュウ酸銀であるので、第3工程で発生するガスの成分は二酸化炭素となって、銀ナノ粒子の製造方法1の危険性は小さくなる。また、二酸化炭素を回収しさえすれば、本製造方法は環境に付加を掛ける虞は無くなる。
また、アルキルアミン(B)と、添加溶媒(E)と、の体積比が4:1.5〜1:1であるので、反応系の中に固体として存在する錯化合物の量は適切に制御されて、ガスの発生するペースは適切に制御されると共に、反応系の反応速度が遅くなる虞は小さくなる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
上記実施形態では、第2工程は、第1工程と第3工程との間に設けられた構成となっていたが、第2工程は、第1工程の前に実施されてもよい。このことによれば、予め系に添加された添加溶媒(E)が、第1工程で生成される錯化合物(F)を溶かすので、系の中に固体は発生しない。そのため、機械攪拌等の手段を併用することによって第1工程の系の状態をより均一に保つことが可能となって、第1工程で生成される錯化合物(F)の組成はより均一になるので、錯化合物(F)が加熱分解して生成される銀ナノ粒子の性状はより均一になる。
上記実施形態では、添加溶媒(E)にアルコールを用いた構成になっていたが、添加溶媒(E)は錯化合物(F)の一部を溶かして、錯化合物(F)の固体表面の量を減らし、洗浄溶媒(メタノール)に溶解可能な溶媒であればよく、アルコールに限るものではない。
上記実施形態では、反応系に還元剤を用いない構成で銀ナノ粒子を合成したが、錯化合物(F)の生成、及び、錯化合物(F)の加熱分解を阻害しない分量の還元剤を添加する構成であってもよい。
その他、本発明は要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。

Claims (5)

  1. 加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、アルキルアミンと、分子内に炭素原子とヘテロ原子との多重結合またはヘテロ原子同士の多重結合の少なくとも一方を含む化合物と、に由来する錯化合物を生成させる第1工程と、沸点が摂氏100度以上であって前記錯化合物の一部を溶解可能な溶媒を加えることで前記錯化合物を含む反応系の粘度を低下させる第2工程と、前記反応系を加熱して前記錯化合物を加熱分解し、前記アルキルアミンを含む保護膜で被覆された銀ナノ粒子を生成する第3工程と、を含むことを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記溶媒がアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の銀ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記溶媒が1−ヘキサノールであることを特徴とする請求項2に記載の銀ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記銀化合物がシュウ酸銀であることを特徴とする請求項1〜3に記載の銀ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記アルキルアミンと、前記溶媒と、の体積比が4:1.5〜1:1であることを特徴とする請求項3に記載の銀ナノ粒子の製造方法。

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