JP5763520B2 - 原子力プラント構成部材の洗浄方法 - Google Patents

原子力プラント構成部材の洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、原子力プラント構成部材の洗浄方法に係り、特に、沸騰水型原子力プラントに適用するのに好適な原子力プラント構成部材の洗浄方法に関する。
沸騰水型原子力プラントでは、原子炉圧力容器内の炉心で発生した蒸気を主蒸気配管によりタービンに導き、タービンをこの蒸気で回転させている。タービンから排気された蒸気は、復水器内で伝熱管内を流れる海水によって凝縮されて水になる。この水が、給水として復水器から給水配管を通して原子炉圧力容器内に供給される。このような沸騰水型原子力プラントでは、復水器内の伝熱管の損傷によって、海水が復水器内で伝熱管外に漏洩し、給水配管を通して原子炉圧力容器内に導かれる可能性がある。
伝熱管から漏洩した海水が原子炉圧力容器内に入り込むことを想定して、復水脱塩装置が給水配管に設けられている。復水脱塩装置には陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂が充填されており、復水器内の伝熱管から海水が漏えいした場合に、この海水の漏洩によって生じる塩素イオンを復水脱塩装置内の陰イオン交換樹脂によって除去する(日本原子力学会編、原子炉水化学ハンドブック、198頁、コロナ社(2000))。これにより、海水漏えい時における塩素イオンの原子炉圧力容器内への流入が阻止される。
海水の成分組成は、腐食防食協会編、腐食防食ハンドブック、171頁、丸善社(2000)に記載されており、表1に示す。
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海水成分の主なものは、塩素イオン、ナトリウムイオン、硫酸イオン及びマグネシウムイオンである。海水成分は、沸騰水型原子力プラントの一次冷却水の導電率を上昇させ、機器及び配管等の原子力プラント構成部材うちステンレス鋼製の構成部材における応力腐食割れの発生を助長する可能性がある。伝熱管から復水器内に漏洩した海水成分が、原子力プラント構成部材である機器、配管及び燃料集合体等の冷却水と接触する表面に付着する場合、特に、その冷却水に含まれる塩素がその表面に付着した場合には、原子力プラント構成部材の腐食が助長される。したがって、短期間で一次冷却水を浄化して原子力プラント構成部材の表面に付着した海水成分を洗浄することができれば、その構成部材の健全性の向上に貢献することができる。
沸騰水型原子力プラントにおいては、原子炉圧力容器に接続される配管内を流れる一次冷却水の浄化は、給水配管に設けられた復水脱塩装置及び原子炉浄化系に設けられた浄化装置で行われる。
また、一次冷却水が流れる配管内面に付着した放射性物質を除去する技術として、化学除染がある。さらに、特許第2808970号公報は、沸騰水型原子力プラントの一次系冷却水、例えば、炉水の水質制御について述べている。この水質制御では、炉水に炭酸ガスを注入して、炉水のpHを室温で5.6〜6.8に調節している。
特許第2808970号公報
日本原子力学会編、原子炉水化学ハンドブック、198頁、コロナ社(2000) 腐食防食協会編、腐食防食ハンドブック、171頁、丸善社(2000)
海水の主成分である塩化ナトリウムは溶解度が高く、水に溶けやすい。このため、原子力プラント構成部材の付着した塩素イオン及びナトリウムイオンは、水洗により容易に洗浄することができる。しかしながら、復水器内の伝熱管から海水の漏洩が生じたとき、海水に含まれる水酸化マグネシウム(Mg(OH))は、溶解度が小さくて原子力プラント構成部材の表面、特に、この表面の喫水面に容易に析出する。原子力プラント構成部材の表面に析出した水酸化マグネシウムは、水洗では長時間の洗浄が必要になる。
本発明の目的は、原子力プラント構成部材の表面に析出した水酸化マグネシウムを容易に除去することができる原子力プラント構成部材の洗浄方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、pHが3.0以上で5.6未満の範囲にあり温度が15℃〜70℃の範囲にある洗浄水を、原子力プラント構成部材の表面に接触させ、その表面に付着している海水成分である水酸化マグネシウムを前記洗浄水により除去することにある。
pHが3.0以上で5.6未満の範囲にあり温度が15℃〜70℃の範囲にある洗浄水を原子力プラント構成部材の表面に接触させて、原子力プラント構造部材の、海水成分である水酸化マグネシウムが付着しているその表面を洗浄するので、原子力プラント構成部材の表面に析出した水酸化マグネシウムを容易に除去することができ、その表面からの水酸化マグネシウムの除去を短時間で行うことができる。
本発明によれば、原子力プラント構成部材の表面に析出した水酸化マグネシウムを容易に除去することができ、その表面からの水酸化マグネシウムの除去を短時間で行うことができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力プラント構成部材の洗浄方法の説明図である。 沸騰水型原子力プラントの概要を示す構成図である。 海水に含まれる各成分の溶解度を示す説明図である。 25℃での水のpHと水酸化マグネシウム(Mg(OH))からのMg2+の飽和溶解度との関係を示す特性図である。 水の温度と水酸化マグネシウム(Mg(OH))からのMg2+の飽和溶解度との関係を示す特性図である。 本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラント構成部材の洗浄方法の説明図である。
発明者らは、構成部材に付着している水酸化マグネシウム(Mg(OH))の洗浄による除去について種々の検討を行った。この検討の結果、発明者らは、温度が15℃〜70℃の範囲で炭酸ガスの注入により25℃でのpHが3.0以上で5.6未満の範囲にある水で水酸化マグネシウムが付着した原子力プラント構成部材を洗浄することによって、原子力プラント構成部材に付着した水酸化マグネシウムを容易に除去できることを見出した。
発明者らが行った上記の検討について以下に説明する。
海水の主成分の溶解度を図3に示す。塩化ナトリウム(NaCl)は100g/kg以上の飽和溶解度を有するため、復水器内の伝熱管から海水が漏えいした場合において、原子力プラント構成部材に付着した塩化ナトリウムは水洗により簡単に洗浄することができる。これに対し、海水に含まれる、溶解度の小さいカルシウム塩及びマグネシウム塩は原子力プラント構成部材の表面に析出し易い。特に、溶解度が0.004g/kgと小さい水酸化マグネシウム(Mg(OH))は原子力プラント構成部材の表面に析出し易い。
図4は、25℃での水のpHと水酸化マグネシウム(Mg(OH))からのMg2+の飽和溶解度との関係を示している。図4によれば、25℃でのpHが低くなるほど、Mg2+の飽和溶解度が高くなる。また、図5は、水の温度と水酸化マグネシウム(Mg(OH))からのMg2+の飽和溶解度との関係を示している。図5によれば、水温が15℃〜300℃の範囲では水温が低くなるほどMg2+の飽和溶解度が高くなる。
これらの特性を考慮して検討した結果、温度が15℃〜70℃の範囲で炭酸ガスの注入により25℃でのpHが3.0以上で5.6未満の範囲にある水で水酸化マグネシウムが付着した原子力プラント構成部材を洗浄すれば良いとの結論に達しました。
原子力プラント構成部材は金属製(例えば、ステンレス鋼製)であるが、一般的に金属は酸性溶液中で腐食するが、低温における腐食反応速度は遅い。このため、上記の温度範囲及びpH範囲での短時間における洗浄では、原子力プラント構成部材に与える損傷は無視することができる。
前述の特許第2808970号公報では、沸騰水型原子力プラントの炉水の水質制御において、炉水への炭酸ガスの注入により、炉水のpHを室温で5.6〜6.8に調節している。このpH調節は、炉水中の60Co及び鉄を親核種とする放射性核種の濃度を低減し、一次系冷却水と接触する原子力プラント構成部材の線量率を低減するために行われる。なお、特許第2808970号公報には、復水器内の伝熱管の損傷による海水の漏えいによって原子力プラント構成部材の表面に付着した水酸化マグネシウム(Mg(OH))を、洗浄によって除去することが記載されていない。
前述の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力プラント構成部材の洗浄方法を、図1及び図2を用いて説明する。
まず、本実施例の原子力プラント構成部材の洗浄方法を実施する沸騰水型原子力プラントの概要を、図2及び図6を用いて説明する。沸騰水型原子力プラントは、原子炉建屋4内に設置された原子炉1を有する。原子炉1は、原子炉圧力容器2を備え、複数の燃料集合体(図示せず)を装荷した炉心3を原子炉圧力容器2内に配置している。原子炉圧力容器2は、原子炉建屋4内に設置された原子炉格納容器(図示せず)内に配置される。燃料プール7及びドライヤセパレータプール8が、原子炉建屋4内でかつ原子炉格納容器の外で原子炉圧力容器2の上方に配置されている。
原子炉圧力容器2に接続された主蒸気配管50が、原子炉格納容器を貫通して原子炉建屋4外に伸び、タービン建屋(図示せず)内に設置されたタービン51に接続される。復水器52がタービン51の下方に配置され、復水器52に接続された給水配管53が原子炉圧力容器2に接続される。復水脱塩器54、給水ポンプ56及び給水加熱器57が、この順番に復水器52から原子炉圧力容器2に向かって給水配管53に設置されている。弁63を有するドレン配管66が原子炉圧力容器2の底部に接続される。
原子炉浄化系は、浄化系配管58、浄化系ポンプ59、再生熱交換器60、非再生熱交換器(図示せず)及び浄化装置61を有する。浄化系配管58が原子炉圧力容器2及び給水配管53に連絡され、浄化系ポンプ59、再生熱交換器60、非再生熱交換器及び浄化装置61がこの順番に上流から下流に向かって浄化系配管58に設けられる。浄化装置61よりも下流では、浄化系配管58は非再生熱交換器を通らないで再生熱交換器60を経て給水配管53に達している。サンプリング配管62が非再生熱交換器と浄化装置61の間で浄化系配管58に接続される。
本実施例の原子力プラント構成部材の洗浄方法に用いられる原子力プラント構成部材洗浄装置20を、図1を用いて説明する。
原子力プラント構成部材洗浄装置20は、洗浄容器19、炭酸ガス注入系21及び炭酸ガス処理系35を備えている。炭酸ガス注入系21は、脱塩フィルタ24、マイクロバブル発生装置25、炭酸ガス注入装置26、加熱装置70、冷却装置72及び水循環管路27を備えている。水循環管路27の流入口29が燃料プール7内に配置された洗浄容器19内に配置される。水循環管路27には複数の流出口(図示せず)が形成され、これらの流出口は洗浄容器19内に置かれた燃料ラック9内においてこの燃料ラック9内に収納された各燃料集合体15の下方にそれぞれ配置される。水循環管路27として、配管またはホースが用いられる。脱塩フィルタ24、開閉弁71、加熱装置70及びマイクロバブル発生装置25が、この順番で、上流から下流に向かって水循環管路27に取り付けられる。開閉弁71及び加熱装置70をバイパスする配管74の両端が、水循環管路27に接続される。配管74には、上流側から、開閉弁73及び冷却装置72が設置される。開閉弁30がマイクロバブル発生装置25の下流で水循環管路27に取り付けられる。pH計32及び温度計33もマイクロバブル発生装置25の下流で水循環管路27に取り付けられる。
炭酸ガス注入装置26は、注入器22、及び炭酸ガスが充填されたボンベ23を有する。注入器22が配管74と水循環管路27の接続点とマイクロバブル発生装置25の間で水循環管路27に取り付けられる。注入器22は、開閉弁31を有する炭酸ガス供給管34によってボンベ23に接続される。
炭酸ガス処理系35は、炭酸ガス処理装置36、循環ポンプ37及び水循環管路38を備えている。水循環管路38の一端である流出口39が洗浄容器19内に配置される。水循環管路38として、配管またはホースが用いられる。燃料ラック9内に収納された各燃料集合体15の上端部をそれぞれ覆うキャップ42A,42B,42Cに別々に接続された管路であるホース40A,40B,40Cが、水循環管路38の上流側の端部にそれぞれ接続される。開閉弁41Aがホース40Aに取り付けられ、開閉弁41Bがホース40Bに取り付けられ、開閉弁41Cがホース40Cに取り付けられる。開閉弁48、炭酸ガス処理装置36、開閉弁46及び循環ポンプ37が、この順番で上流から下流に向かって水循環管路38に取り付けられる。開閉弁45を有するサンプリング配管44が、ホース40Cと水循環管路38の接続点と炭酸ガス処理装置36の間で水循環管路38に接続される。サンプリング配管44は海水成分濃度計測装置43に接続される。脱塩フィルタ24の上流で水循環管路27に接続された管路47が、サンプリング配管44と水循環管路38の接続点と炭酸ガス処理装置36の間で水循環管路38に接続される。
沸騰水型原子力プラントが運転されているとき、原子炉圧力容器2内の冷却水が、炉心3に装荷された各燃料集合体内に供給される。この冷却水は、各燃料集合体内でこの燃料集合体に含まれる核燃料物質の核分裂により発生する熱で加熱され、一部が蒸気になる。発生した蒸気は、原子炉圧力容器2内に設置された気水分離器(図示せず)及び蒸気乾燥器(図示せず)で水分を除去され、その後、主蒸気配管50にトシュツされる。この蒸気は、主蒸気配管50を通ってタービン51に導かれ、タービン51を回転させる。タービン51に連結された発電機も回転し、これにより電力が発生する。
タービン51から復水器52に排気された蒸気は、復水器52内に設けられた伝熱管内を流れる海水によって冷却され、凝縮されて水になる。この水は、給水ポンプ56で昇圧され、給水として、給水配管53を通って原子炉圧力容器2内に供給される。給水は、給水配管53内を流れる間に、復水脱塩器54で浄化され、給水加熱器57によって加熱される。
原子炉圧力容器2内の冷却水は、浄化系配管58内に流出し、浄化系ポンプ59で昇圧される。昇圧された冷却水は、再生熱交換器60及び非再生熱交換器で冷却されて浄化装置61に供給され、浄化装置61にて浄化される。浄化された冷却水は、非再生熱交換器60で加熱され、浄化系配管58より給水配管53を通って原子炉圧力容器2内に戻される。
沸騰水型原子力プラントの運転時において、復水器52内の伝熱管(図示せず)が損傷して伝熱管内を流れる海水が伝熱管から復水器52内に多量に漏洩したことを想定する。多量の海水を含んだ給水が給水配管53を通して原子炉圧力容器2内に流入する。漏洩した海水が多量であるため、海水の主成分を復水脱塩器54で除去することができず、その主成分の一部が原子炉圧力容器2内に流入する。原子炉圧力容器2内の海水を含む冷却水が炉心3に供給される。海水の主成分、例えば、水酸化マグネシウム(Mg(OH))が、炉心3に装荷されている各燃料集合体の、冷却水と接触する表面に析出して付着する。各燃料集合体は、複数の燃料棒、これらの燃料棒を束ねる複数の燃料スペーサ、各燃料棒の下端部を支持する下部タイプレート、各燃料棒の上端部を保持する上部タイプレート、及び上部タイプレートに取り付けられて燃料スペーサで束ねられた燃料棒側の周囲を取り囲み、下部タイプレートまで伸びているチャンネルボックスを有する。燃料集合体において水酸化マグネシウムが付着する表面は、冷却水と接触する各燃料棒の外面、燃料スペーサ、下部タイプレート及び上部タイプレートの各表面、及びチャンネルボックスの内面及び外面である。また、複数の使用済燃料集合体が、燃料プール7内に設置された燃料ラック内に収納されて保管されている。
復水器52内で海水の漏洩が生じたとき、炉心3内に全制御棒(図示せず)が全挿入され、沸騰水型原子力プラントが緊急停止される。その後、燃料ラック9が収納された洗浄容器19が、天井クレーン13に吊り下げられて燃料プール7内に搬送される。この洗浄容器19は、使用済燃料集合体を収納した燃料ラックが設置されていない、燃料プール7内の領域で燃料プール7の底に置かれる。さらに、仕切り壁14が、天井クレーン13に吊り下げられて燃料プール7内に搬送され、燃料プール7内に設置される。設置された仕切り壁14は、燃料プール7内で、洗浄容器19が置かれた領域と使用済燃料集合体を収納した燃料ラックが置かれた領域を隔離する。洗浄容器19を置く領域が、燃料プール7内において、仕切り壁14よりも原子炉ウェル6側に配置されている。
原子炉圧力容器2の真上に形成された原子炉ウェル6と燃料プール7は、ゲート11により仕切られている。沸騰水型原子力プラントが緊急停止された時点では、燃料プール7内には冷却水が充填されているが、原子炉ウェル6内には冷却水が充填されていない。
沸騰水型原子力プラントが緊急停止後に、原子炉ウェル6とドライヤセパレータプール8を仕切っているゲート10が天井クレーン13で吊り上げられて取り除かれる。ゲート10の除去により、冷却水が充填されていない原子炉ウェル6とドライヤセパレータプール8が連通される。
沸騰水型原子力プラントが停止された後、原子炉圧力容器2の上蓋(図示せず)、原子炉圧力容器2内に設置された蒸気乾燥器及び気水分離器が順番に天井クレーン13に吊り下げられて搬送される。原子炉圧力容器2の上蓋が取り外された後、冷却水が原子炉ウェル6及びドライヤセパレータプール8内に充填される。原子炉圧力容器2から取り出された蒸気乾燥器及び気水分離器は、ドライヤセパレータプール8内に移送され、このプール8内に保管される。原子炉ウェル6内に冷却水が充填された後、原子炉ウェル6と燃料プール7を仕切っているゲート11が、天井クレーン13に吊り下げられて取り除かれる。これにより、冷却水が充填された燃料プール7が、冷却水が充填された原子炉ウェル6と連通する。
水酸化マグネシウム(Mg(OH))が表面に付着している燃料集合体15が、燃料交換機12の掴み装置(図示せず)に掴まれて炉心3及び原子炉圧力容器2から取り出され、原子炉ウェル6内に移動される。原子炉建屋4内の運転床5上を移動する燃料交換機12が原子炉ウェル6の上方から燃料プール7内の洗浄容器19の真上、具体的には、洗浄容器19内に置かれた燃料ラック9の真上まで移送される。この燃料集合体15は、燃料交換機12によって下降され、洗浄容器19内に置かれた燃料ラック9に収納される(図1参照)。炉心3内の各燃料集合体15が、燃料交換機12により順番に洗浄容器19内に置かれた燃料ラック9内へ移送される。
洗浄容器19内に燃料ラック9に収納された各燃料集合体15の上端部が、キャップ(例えば、キャップ42A,42B,42C等)で覆われる。これらのキャップは、燃料交換機12(または、天井レーン13)によって燃料集合体15の上端部を覆い、燃料ラック9の上端に置かれる。キャップ42A,42B,42Cには、前述したように、ホース40A,40B,40Cが接続されている。
原子力プラント構成部材洗浄装置20の脱塩フィルタ24、マイクロバブル発生装置25、炭酸ガス処理装置36及び循環ポンプ37が、運転床5上に設置される。
原子力プラント構成部材洗浄装置20を用いた、洗浄容器19内の燃料ラック9に収納された燃料集合体15の洗浄について説明する。マイクロバブル装置25よりも下流で水循環管路27内の水の温度が温度計33で測定される。温度計33は、マイクロバブル装置25よりも下流ではなく、脱塩フィルタ24の上流で水循環管路27に取り付けても良い。脱塩フィルタ24の上流で水循環管路27に温度計33が取り付けられた場合には、この温度計33が脱塩フィルタ24に流入する冷却水の温度を測定する。
温度計33で測定された温度が、後述の目標温度(例えば、25℃)よりも高い場合には、開閉弁73を開ける。このとき、開閉弁71は閉じている。開閉弁30が開けられてマイクロバブル装置25が駆動され、洗浄容器19内の冷却水が、流入口29から水循環管路27内に流入する。マイクロバブル装置25はポンプの機能を有する。水循環管路27内に流入した冷却水が脱塩フィルタ24に導かれ、ここで、冷却水に含まれている放射性物質等が除去される。脱塩フィルタ24は放射線遮へい体で取り囲まれている。脱塩フィルタ24から流出した冷却水は、冷却装置72で25℃まで冷却される。冷却水を冷却装置72に供給する理由は、洗浄容器19内の冷却水が、燃料ラック9に収納された燃料集合体15に含まれる核燃料物質の崩壊熱によって加熱され、この冷却水の温度が目標温度である25℃よりも高くなっているからである。開閉弁31が開放され、ボンベ23内の炭酸ガスが、炭酸ガス供給管34を通って注入器22に到達し、注入器22から、脱塩フィルタ24から排出されて水循環管路27内を流れる25℃の冷却水に注入される。炭酸ガスが注入された冷却水は洗浄水である。水循環管路27内を流れる、炭酸ガスを含む25℃の洗浄水は、pHが低下する。炭酸ガスを含む洗浄水は、マイクロバブル装置25で昇圧され、水循環管路27の各流出口から燃料ラック9内の各燃料集合体15に向かって放出される。マイクロバブル装置25の駆動により、注入器22から水循環管路27内を流れる洗浄水に含まれる炭酸ガスの気泡が微細化され、炭酸ガスのマイクロバブルが洗浄水中に生成される。このため、燃料ラック9内の各燃料集合体15に向かって放出される洗浄水は、炭酸ガスのマイクロバブルを含んでいる。炭酸ガスをマイクロバブル化することにより、少量の炭酸ガスを効率的に洗浄水に溶解させることができる。
水循環管路27内を流れる洗浄水のpHがpH計32で測定される。pH計32で測定されたpHの値が、3.0以上で5.6未満の範囲内の設定値、例えば、5.0以上であるとき、オペレータが開閉弁31の開度を増加させて注入器22から水循環管路27内に注入する炭酸ガスの量を増大させる。また、測定されたpHの値が5.0未満であるとき、開閉弁31の開度を減少させて注入器22から水循環管路27内に注入する炭酸ガスの量を低減させる。このように、開閉弁31の開度を調節して水循環管路27内に注入する炭酸ガスの量を制御することによって、各燃料集合体15内に放出する洗浄水のpHを設定値に調節することができる。
水循環管路27内を流れる洗浄水の温度が温度計33で測定される。
炭酸ガスを含んでpHが5.0で温度が目標温度である25℃になっている洗浄水が、水循環管路27から各燃料集合体15内に排出され、それぞれの燃料集合体15内を上昇する。pHが5.0で温度が25℃の洗浄水は、燃料集合体15内を上昇する際に、燃料集合体15の表面(複数の燃料棒の外面等)に付着した水酸化マグネシウム(Mg(OH))に接触する。水酸化マグネシウムはpHが5.0で温度が25℃の洗浄水に溶解し易いので、燃料集合体15の表面(複数の燃料棒の外面等)に付着した水酸化マグネシウムが除去される。各燃料集合体15内を上昇した洗浄水は、キャップ42A,42B,42C内に到達し、ホース40A,40B,40C内に流入する。開閉弁41A,41B,41Cが開いて開閉弁48が閉じている。ホース40A,40B,40C内に流入した洗浄水は、水循環管路38及び管路47を通って水循環管路27内に達する。この洗浄水は、脱塩フィルタ24で浄化され、注入器22から炭酸ガスを注入されて洗浄容器19内の燃料ラック9に収納された燃料集合体15内に放出される。このように、炭酸ガスを含んでpHが5.0になっている洗浄水が、水循環管路27、燃料ラック9に収納された燃料集合体15、キャップ42A,42B及び42C、水循環管路38、管路47及び水循環管路27と循環する。洗浄水は、燃料ラック9に収納された燃料集合体15内を上昇する間に、燃料集合体15に含まれる核燃料物質の崩壊熱によって加熱され、温度が25℃よりも上昇する。しかしながら、温度が上昇した洗浄水は、冷却装置72で冷却されて25°Cになる。炭酸ガスを含んでpHが5.0で温度が25℃になっている洗浄水が、循環しながら、洗浄容器19内の燃料ラック9に収納された燃料集合体15内を上昇して燃料集合体15の表面(複数の燃料棒の外面等)を洗浄する。やがて、燃料集合体15の表面(複数の燃料棒の外面等)に付着した水酸化マグネシウムが、pHが5.0で温度が25℃になっている洗浄水に溶解し、やがて、燃料集合体15の表面(複数の燃料棒の外面等)から除去される。水酸化マグネシウムが洗浄水に溶解することによって洗浄水内で生成されるMg2+は、脱塩フィルタ24で除去される。
開閉弁45を開くことによって、水循環管路38内を流れる洗浄水の一部がサンプリング配管44に流入して海水成分濃度計測装置43に導かれる。サンプリング配管44によってサンプリングされた洗浄水に含まれる海水成分、例えば、水酸化マグネシウムの濃度が設定濃度に到達したとき、燃料集合体15の洗浄水による洗浄が終了する。
燃料集合体15の洗浄終了により、マイクロバブル発生装置25の駆動が停止され、開閉弁31及び30が閉じられて開閉弁48が開き、ポンプ37が駆動される。ポンプ37の駆動により、それぞれの燃料集合体15内を上昇してキャップ42A,42B及び42Cに到達した洗浄水は、水循環管路38内に流出して炭酸ガス処理装置36へと導かれる。炭酸ガス処理装置36内では、流入した洗浄水中に窒素ガスをバブリングし、洗浄水に含まれた炭酸ガスを除去する。炭酸ガス処理装置36から排出された洗浄水のpHが、ポンプ37の下流で水循環配管38に取り付けられたpH計28で測定される。
ポンプ37で昇圧された洗浄水は、水循環配管38の流出口39から、洗浄容器19と燃料ラック9の間の領域に排出される。洗浄容器19内に排出された洗浄水は、燃料ラック9の底部に形成された開口部(図示せず)から燃料ラック9内に流入し、燃料ラック9内の各燃料集合体15内に供給される。
炭酸ガスを含んでpHが5.0である洗浄水が、キャップ42A,42B及び42C、水循環管路38(炭酸ガス処理装置36及びポンプ37を含む)、洗浄容器19と燃料ラック9の間の領域、燃料ラック9の底部に形成された各開口部及び各燃料集合体15を循環する間に、炭酸ガス処理装置36で洗浄水に含まれる炭酸ガスが除去される。pH計28で測定された洗浄水のpH値が、5.6〜8.6の範囲内の設定値、例えば、6.0になったとき、ポンプ37が停止されて、炭酸ガス処理装置36による洗浄水から炭酸ガスを除去する処理が終了する。
炭酸ガス処理装置36による洗浄水から炭酸ガスの除去が終了したとき、原子力プラント構成部材の表面の洗浄が終了しその表面に付着した水酸化マグネシウムの除去が終了する。
水酸化マグネシウムが除去された燃料集合体15が、次の運転サイクルの期間の間で使用できる程度の燃焼度を有していれば、この燃料集合体15は炉心3内に再装荷されて使用される。水酸化マグネシウムが除去された燃料集合体15が、次の運転サイクルの期間の間で使用できる程度の燃焼度を有していない場合には、この燃料集合体は、使用済燃料集合体として燃料プール7内に保管される。
洗浄水の目標温度を崩壊熱で加熱される洗浄水の温度よりも高い70℃にした場合、すなわち、温度計33で測定された洗浄水の温度が目標温度である70℃よりも低い場合には、開閉弁73を閉じて開閉弁71を開けて、脱塩フィルタ24から流出した洗浄水を加熱装置70に導いて加熱装置70で加熱し、洗浄水の温度を70℃にする。70℃の洗浄水に注入器22から炭酸ガスを注入する。
本実施例によれば、万が一、原子炉圧力容器2内に海水が流入して、海水成分である水酸化マグネシウムが、原子力プラント構成部材である燃料集合体の、原子炉圧力容器2内の冷却水と接触する表面(例えば、各燃料棒の外面、燃料スペーサ、下部タイプレート及び上部タイプレートの各表面、チャンネルボックスの内面及び外面)に析出して付着したとしても、温度が15℃〜70℃の範囲内でpHが3〜5.6の範囲内である洗浄水を用いることによって、燃料集合体の冷却水と接触する表面に付着した水酸化マグネシウムを容易に溶解させて除去することができる。このため、燃料集合体の冷却水と接触する表面に付着した水酸化マグネシウムの洗浄に要する時間を短縮することができる。
本実施例では、燃料プール7内に置いた洗浄容器19で制限された洗浄容器19内に、水酸化マグネシウムが表面に付着した複数の燃料集合体15を配置し、上記の洗浄水を制限された洗浄容器19内に供給しているので、各燃料集合体の表面に付着した水酸化マグネシウムの除去効率が向上してさらに短時間に燃料集合体の表面を洗浄することができる。
本実施例では、燃料プール7内に設置した仕切り壁14により、燃料プール7内を、燃料集合体15を収納する洗浄容器19を置かれた領域と使用済燃料集合体を収納した燃料ラックが置かれた領域を隔離している。このため、原子炉圧力容器2内に流入した海水成分である水酸化マグネシウムが、燃料プール内に置かれた燃料ラックに収納された使用済燃料集合体の表面に付着することを防止することができる。さらに、洗浄容器19を置く領域が燃料プール7内において仕切り壁14よりも原子炉ウェル6側(ドライヤセパレータプール8側)に配置されているため、使用済燃料集合体の表面への水酸化マグネシウムの付着を防止しながら、炉心3内の燃料集合体15を洗浄容器19内に移送することができる。
また、水酸化マグネシウムが表面に付着している燃料集合体15の洗浄が終了した後、この洗浄に用いた洗浄水に含まれている炭酸ガスを分離して洗浄水のpHを5.6〜8.6の範囲内にするので、この洗浄水を、燃料プール7内に置かれた燃料ラックに収納された使用済燃料集合体の冷却水として再利用することができる。pHが5.6〜8.6の範囲内にある洗浄水は、原子炉圧力容器2内の冷却水としても利用できる。
燃料ラック9を内蔵する洗浄容器19をドライヤセパレータプール8内に置いて、前述の、原子力プラント構成部材洗浄装置20を用いた燃料集合体15の洗浄を行ってもよい。この場合には、表面に水酸化マグネシウムが付着した燃料集合体15が、ドライヤセパレータプール8内に置かれた燃料ラック9内に移送される。
本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラント構成部材の洗浄方法を、図6を用いて説明する。本実施例の原子力プラント構成部材の洗浄方法も沸騰水型原子力プラントで実施される。本実施例の原子力プラント構成部材の洗浄方法では、実施例1のように燃料プール7内に置かれた洗浄容器19内に移送された燃料集合体15を対象に洗浄を実施するのではなく、炉心3に装荷されている燃料集合体を洗浄する。このため、原子炉圧力容器2が洗浄容器19として使用される。
本実施例の原子力プラント構成部材の洗浄方法に用いられる原子力プラント構成部材洗浄装置20Aは、炭酸ガス注入系21A及び炭酸ガス処理系35Aを備えている。炭酸ガス注入系21Aは、脱塩フィルタ24、マイクロバブル発生装置25、炭酸ガス注入装置26及び水循環管路27を備えており、実施例1で用いられる原子力プラント構成部材洗浄装置20の炭酸ガス注入系21と実質的に同じ構成を有する。炭酸ガス注入系21Aは、炭酸ガス注入系21において開閉弁30を削除し、替りに、開閉弁64,65を設けた構成を有する。開閉弁64は脱塩フィルタ24とマイクロバブル発生装置25の間で水循環管路27に取り付けられ、開閉弁65は水循環管路27の上流端部に設けられる。炭酸ガス注入系21Aの他の構成は炭酸ガス注入系21と同じである。原子力プラント構成部材洗浄装置20Aの炭酸ガス処理系35Aは、炭酸ガス処理装置36、循環ポンプ37及び水循環管路38を備えている。この炭酸ガス処理系35Aは、水循環管路38の接続箇所が原子力プラント構成部材洗浄装置20の炭酸ガス処理系35と異なっているだけであり、炭酸ガス処理系35と実質的に同じ構成を有する。水循環管路38の上流端は、開閉弁71,73よりも上流で脱塩フィルタ24よりも下流において、水循環管路27に接続される。温度計33は、水循環管路27と水循環管路38の接続点と脱塩フィルタ24の間で、水循環管路27に取り付けても良い。
沸騰水型原子力プラントの運転時において、復水器52内の伝熱管(図示せず)が損傷して伝熱管内を流れる海水が伝熱管から復水器52内に多量に漏洩し、多量の海水を含んだ給水が給水配管53を通して原子炉圧力容器2内に流入したとする。
復水器52内で海水の漏洩が生じたとき、炉心3内に全制御棒(図示せず)が全挿入され、沸騰水型原子力プラントが緊急停止される。その後、原子炉ウェル6とドライヤセパレータプール8を仕切っているゲート10が天井クレーン13で吊り上げられて取り除かれる。ゲート10の除去により、冷却水が充填されていない原子炉ウェル6とドライヤセパレータプール8が連通される。そして、原子炉圧力容器2の上蓋(図示せず)、原子炉圧力容器2内に設置された蒸気乾燥器及び気水分離器が順番に天井クレーン13に吊り下げられて搬送される。原子炉圧力容器2内に冷却水の水面が形成されている。
炭酸ガス注入系21Aの脱塩フィルタ24、マイクロバブル発生装置25及び炭酸ガス注入装置26、及び炭酸ガス処理系35Aの炭酸ガス処理装置36及び循環ポンプ37は、原子炉建屋4内の運転床5上に設置される。炭酸ガス注入系21Aの水循環管路27の上流端が、開閉弁63の下流でドレン配管66に接続される。水循環管路27の下流端部が原子炉圧力容器2内に挿入され、水循環管路27の下流端に形成される流出口67が原子炉圧力容器2内で冷却水の液面より下方に位置する。炭酸ガス処理系35Aの水循環管路38の上流端が、脱塩フィルタ24と開閉弁64の間で水循環管路27に接続される。水循環管路38の下流端部も原子炉圧力容器2内に挿入され、水循環管路38の下流端に形成される流出口39が原子炉圧力容器2内で冷却水の液面より下方に位置する。
前述のように、海水が原子炉圧力容器2内に流入したとき、海水の主要成分である水酸化マグネシウムが炉心3内に到達し、炉心3に装荷されている燃料集合体の冷却水と接触する表面に析出して付着する。炉心3に装荷されている燃料集合体では、前述したように、冷却水と接触する各燃料棒の外面、燃料スペーサ、下部タイプレート及び上部タイプレートの各表面、及びチャンネルボックスの内面及び外面に、水酸化マグネシウムが付着する。さらに、原子炉圧力容器2内に設けられた炉心シュラウド、上部格子板及び炉心支持板等の炉内構造物の冷却水と接触する表面に付着する。これらの炉内構造物も、原子力プラント構成部材である。
燃料集合体及び炉内構造物の表面を洗浄水で洗浄する場合には、開閉弁63,65,64を開いて、開閉弁48を閉じる。温度計33で測定された温度が、目標温度(例えば、70℃)よりも低いので、開閉弁71を閉じて開閉弁73を開ける。マイクロバブル装置25が駆動され、原子炉圧力容器2内の冷却水がドレン配管66から水循環管路27内に流入する。水循環管路27内に流入した冷却水が脱塩フィルタ24で浄化される。脱塩フィルタ24から流出した冷却水は、冷却装置72で25℃まで冷却される。開閉弁31が開放され、ボンベ23内の炭酸ガスが、注入器22から、脱塩フィルタ24から排出されて水循環管路27内を流れる25℃の冷却水に注入される。水循環管路27内を流れる、炭酸ガスを含む洗浄水は、pHが低下する。マイクロバブル装置25で昇圧された、炭酸ガスを含む洗浄水は、水循環管路27の流出口67から原子炉圧力容器2内の炉心3の上方に排出される。マイクロバブル装置25の駆動により、洗浄水に含まれる炭酸ガスの気泡が微細化されるため、炭酸ガスのマイクロバブルが洗浄水に含まれる。pH計32によって測定された、水循環管路27を流れる洗浄水のpHに基づいて開閉弁31の開度を調節し、洗浄水のpHを3.0以上5.6未満の範囲内に調節する。
また、水循環管路27内を流れる洗浄水の温度が温度計33で測定される。
pHが3.0以上5.6未満の範囲内にあって温度が15℃〜70℃の範囲内にあって流出口67から排出された25℃の洗浄水は、上方より炉心3に流入して、炉心3に装荷された燃料集合体内を下降し、ドレン配管66に向かって流れる。洗浄水は、燃料集合体内を下降する間に、燃料集合体に含まれる核燃料物質の崩壊熱によって加熱され、温度が25℃よりも上昇する。この洗浄水は、ドレン配管66から水循環管路27に流入し、水循環管路27、原子炉圧力容器2及びドレン配管66と循環する。洗浄水が、原子炉圧力容器2内を下降する間に、燃料集合体及び炉内構造物の各表面を洗浄し、付着している水酸化マグネシウムをそれらの表面から除去する。水酸化マグネシウムが洗浄水に溶解することによって洗浄水内で生成されるMg2+は、脱塩フィルタ24で除去される。また、燃料集合体内を下降する間に温度が上昇した洗浄水は、冷却装置72で冷却されて25°Cになる。
開閉弁45を開くことによってサンプリング配管44でサンプリングされた洗浄水に含まれる海水成分、例えば、水酸化マグネシウムの濃度が設定濃度に到達したとき、燃料集合体及び炉内構造物の洗浄水による洗浄が終了する。
その洗浄終了後に、マイクロバブル発生装置25の駆動を停止して、開閉弁48を開いて開閉弁64を閉じ、ポンプ37を駆動する。脱塩フィルタ24から吐出された洗浄水が、水循環管路38に流入し、炭酸ガス処理装置36へと導かれる。炭酸ガス処理装置36内で、実施例1と同様に、洗浄水に含まれた炭酸ガスを除去する。炭酸ガス処理装置36から排出された洗浄水のpHがpH計28で測定される。炭酸ガス処理装置36から排出された洗浄水は、排出口39から原子炉圧力容器2内に排出され、原子炉圧力容器2内を下降してドレン配管66内に流入する。この洗浄水は、ドレン配管66、水循環管路27及び38、及び原子炉圧力容器2を、この順に循環しながら、炭酸ガス処理装置36で炭酸ガスが除去される。pH計28で測定された洗浄水のpH値が、5.6〜8.6の範囲内の設定値、例えば、6.0になったとき、ポンプ37が停止されて、炭酸ガス処理装置36による洗浄水から炭酸ガスを除去する処理が終了する。
炭酸ガス処理装置36による洗浄水から炭酸ガスの除去が終了したとき、原子力プラント構成部材の表面の洗浄が終了しその表面に付着した水酸化マグネシウムの除去が終了する。
実施例1と同様に、洗浄水の目標温度を崩壊熱で加熱される洗浄水の温度よりも高い70℃にした場合、すなわち、温度計33で測定された洗浄水の温度が目標温度である70℃よりも低い場合には、開閉弁73を閉じて開閉弁71を開けて、脱塩フィルタ24から流出した洗浄水を加熱装置70に導いて加熱装置70で加熱し、洗浄水の温度を70℃にする。70℃の洗浄水に注入器22から炭酸ガスを注入する。 本実施例によれば、万が一、原子炉圧力容器2内に海水が流入して、海水成分である水酸化マグネシウムが、原子力プラント構成部材である燃料集合体及び炉内構造物の、原子炉圧力容器2内の冷却水と接触するそれぞれの表面に析出して付着したとしても、温度が15℃〜70℃の範囲内でpHが3.0以上5.6未満の範囲内である洗浄水を用いることによって、燃料集合体の冷却水と接触する表面に付着した水酸化マグネシウムを容易に溶解させて除去することができる。このため、燃料集合体の冷却水と接触する表面に付着した水酸化マグネシウムの洗浄に要する時間を短縮することができる。
また、水酸化マグネシウムが表面に付着している燃料集合体15の洗浄が終了した後、この洗浄に用いた洗浄水に含まれている炭酸ガスを分離して洗浄水のpHを5.6〜8.6の範囲内にするので、この洗浄水を、原子炉圧力容器2内の冷却水として利用することができる。
本実施例では、燃料集合体は炉心3に装荷された状態で上記の洗浄水により洗浄することができるため、実施例1のように、洗浄のために、燃料集合体を燃料プール7またはドライヤセパレータプール8に移送することが不要になる。
本実施例は、水酸化マグネシウムが付着した燃料集合体の表面だけでなく、原子炉圧力容器内に存在する、水酸化マグネシウムが付着した炉内構造物の表面をも洗浄することができる。
1…原子炉、2…原子炉圧力容器、3…炉心、4…原子炉建屋、6…原子炉ウェル、7…燃料プール、8…ドライヤセパレータプール、9…燃料ラック、15…燃料集合体、19…水洗容器、20,20A…原子力プラント構成部材洗浄装置、21,21A…炭酸ガス注入系、22…注入器、24…脱塩フィルタ、25…マイクロバブル発生装置、26…炭酸ガス注入装置、27,38…水循環管路、36…炭酸ガス処理装置、37…循環ポンプ、51…タービン、52…復水器。

Claims (4)

  1. pHが3.0以上で5.6未満の範囲にあり温度が15℃〜70℃の範囲にある洗浄水を、原子力プラント構成部材の表面に接触させ、前記表面に付着している海水成分である水酸化マグネシウムを前記洗浄水により除去し、
    表面に前記水酸化マグネシウムが付着した、前記原子力プラント構成部材である燃料集合体を、原子炉圧力容器内の炉心から燃料プールに置かれた洗浄容器内に移送し、前記洗浄容器内に前記洗浄水を供給し、前記表面に付着している水酸化マグネシウムの除去が、前記洗浄容器内で前記洗浄水を前記燃料集合体の表面に接触させることにより行われ、
    前記燃料プール内に仕切り壁を設置し、この仕切り壁により、前記燃料プール内において、前記洗浄容器を置いた第1領域と使用済燃料集合体を収納した燃料ラックが置かれた第2領域を隔離することを特徴とする原子力プラント構成部材の洗浄方法。
  2. 前記燃料プールがドライヤセパレータプールと対向して配置されており、前記第1領域が前記仕切り壁よりも前記ドライヤセパレータプール側に形成される請求項1に記載の原子力プラント構成部材の洗浄方法。
  3. 前記洗浄水への炭酸ガスの注入量を調節することによって、前記洗浄水のpHが3.0以上で5.6未満の範囲内に調節される請求項1または2に記載の原子力プラント構成部材の洗浄方法。
  4. 前記原子力プラント構成部材の前記表面からの前記水酸化マグネシウムの除去が終了した後、前記洗浄水に含まれている炭酸ガスを除去することによって、前記洗浄水のpHを5.6〜8.6の範囲内にする請求項1ないしのいずれか1項に記載の原子力プラント構成部材の洗浄方法。
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