JP5912886B2 - 化学除染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化学除染方法に係り、特に、沸騰水型原子力プラントに適用するのに好適な化学除染方法に関する。
沸騰水型原子力プラントでは、作業従事者の放射線被ばく低減が重要な課題である。放射線被ばくは、原子炉に接続された配管及び配管に設けられて原子炉の外部に配置された機器(以下、炉外機器という)の炉水と接触する表面(接水面)に付着した放射性物質が放射線源である。
作業従事者の放射線被ばく低減する方法として化学除染があげられる。化学除染は、放射性物質が付着した配管及び炉外機器の接水面を、化学薬品を含む溶液に暴露して、その放射性物質を化学薬品を含む溶液に溶解させることによって、配管及び炉外機器の接水面から放射性物質を除去する方法である。
化学薬品である過マンガン酸を含む酸化除染液による配管内面の酸化除染、及び化学薬品であるシュウ酸及びヒドラジンを含む還元除染液による配管内面の還元除染を行い、配管内面及び炉外機器表面に付着した、放射性核種が取り込まれたクラッド等の酸化物を化学薬品により溶解して除去する化学除染方法が、特開平11−344597号公報に開示されている。酸化除染は、還元除染の前または還元除染の後で実施され、シュウ酸を含む溶液はヒドラジンの添加によってpHを2から3に調整されている。
化学除染においては、放射性廃棄物の発生量を少なくすることが重要である。放射性廃棄物は施設内に保管する必要があり保管量に限度があるためである。このため、化学除染終了後において化学除染に使用された化学薬品を分解減容する技術が必要である。還元除染終了後において還元除染液に含まれるシュウ酸及びヒドラジンを過酸化水素と触媒を用いて分解する還元除染方法が、特開2000−105295号公報に記載されている。シュウ酸は二酸化炭素と水に分解され、ヒドラジンは窒素とに分解される。
沸騰水型原子力プラントでは、原子炉圧力容器内の炉心で発生した蒸気を主蒸気配管によりタービンに導き、タービンをこの蒸気で回転させている。タービンから排気された蒸気は、復水器内で、復水器に設けられた伝熱管内を流れる海水によって凝縮されて水になる。この水は、給水として、復水器から復水脱塩装置を設置している給水配管を通って原子炉圧力容器内に供給される。このような沸騰水型原子力プラントでは、復水器内の伝熱管が損傷した場合には、その伝熱管内を流れる海水が、その伝熱管外に漏洩して給水配管を通って原子炉圧力容器内に流入する可能性がある。
復水脱塩装置は、伝熱管から漏洩した海水が入り込むことを想定して給水配管に設けられている。復水脱塩装置は、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を有している。復水器の伝熱管からの海水漏洩が生じたとき、海水に含まれる塩素イオンが復水脱塩装置内の陰イオン交換樹脂によって除去される。
特開平11−344597号公報 特開2000−105295号公報
復水脱塩装置が設置されているにもかかわらず、万が一、復水器内の伝熱管が損傷し伝熱管から流出した海水が、万が一、原子炉内に流入した場合には、原子炉に接続された配管及び配管に設置される炉外機器の接水面への海水成分の析出に伴いそれらの接水面に放射性物質が付着する場合がある。海水は、ナトリウム、マグネシウム及びカルシウムなどの陽イオンを含んでいる。これらのうちマグネシウムは加水分解して水酸化マグネシウムになって析出する可能性があり、カルシウムは炭酸カルシウムとして析出する可能性がある。水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムは、中性の水中では溶解し難いため水による洗浄が困難である。したがって、配管及び機器の接水面に析出した水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムは、前述したシュウ酸のような酸溶液を用いて溶解させる必要がある。
シュウ酸を用いた化学除染において放射性廃棄物の発生量を低減するためには、化学除染によって配管及び炉外機器の接水面に水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムとともに付着した放射性物質を除去した後において、シュウ酸を分解する必要がある。シュウ酸を分解するためには、化学除染装置に、触媒を充填した触媒塔及び触媒塔に酸化剤を注入する設備を設置する必要がある。また、シュウ酸の分解工程を含むことは、それだけ、化学除染作業に要する時間が長くなる。
本発明の目的は、マグネシウムイオンやカルシウムイオンの析出により原子力プラントの配管及び炉外機器の少なくとも1つの接水面に付着した放射性核種を除去することができる化学除染方法を提供することにある。
上記した課題を解決するため本発明の特徴は、海水成分である水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが付着した、原子力プラントの構造部材である配管及び炉外機器の少なくとも1つの接水面に、pHが3以上5.6未満の範囲内にある炭酸水を接触させ、この炭酸水により、その接水面に付着した水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムを、その接水面に付着した放射性核種と共に除去することある。
海水成分である水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが付着した、原子力プラントの構造部材である配管及び炉外機器の少なくとも1つの接水面に、pHが3以上5.6未満の範囲内にある炭酸水を接触させるので、マグネシウムイオンやカルシウムイオンの析出により原子力プラントの配管及び炉外機器の少なくとも1つの接水面に付着した放射性核種を除去することができる。
炉外機器とは、具体的には、原子炉に接続された配管に設けられて原子炉の外部に配置された弁、ポンプ及び熱交換器等の機器である。
本発明によれば、マグネシウムイオンやカルシウムイオンの析出により原子力プラントの配管及び炉外機器の少なくとも1つの接水面に付着した放射性核種を除去することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の化学除染方法に用いられる化学除染装置の構成図である。 水酸化マグネシウムからのマグネシウムイオン飽和濃度のpH依存性を示す説明図である。 金属部材に付着した水酸化マグネシウムの炭酸水による洗浄効果を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2の化学除染方法に用いられる化学除染装置の構成図である。 本発明の他の実施例である実施例3の化学除染方法の説明図である。 本発明の他の実施例である実施例4の化学除染方法に用いられる化学除染装置の構成図である。
発明者らは、マグネシウムイオンやカルシウムイオンの析出により原子力プラントの配管及び炉外機器の接水面に付着した放射性物質の除去について検討を行った。その結果、この放射性物質が炭酸水を用いることによって析出したマグネシウムイオンやカルシウムイオンとともに配管及び炉外機器の接水面から除去できることを、発明者らは見出した。炭酸水は、水(例えば、純水)中に二酸化炭素を通気して二酸化炭素を溶解した水溶液である。なお、純水とは、イオン交換樹脂などで不純物を除去した水で、好ましくは電気伝導率が10μS/m以下の水である。
復水器内の伝熱管から海水が漏洩した場合において、原子力プラントの配管及び炉外機器に付着した塩化ナトリウムは水洗により簡単に洗浄することができる。これに対し、海水に含まれる、溶解度の小さいカルシウム塩及びマグネシウム塩は原子力プラント構成部材の表面に析出し易い。特に、溶解度が0.004g/kgと小さい水酸化マグネシウム(Mg(OH))は原子力プラントの配管及び炉外機器の接水面に析出し易い。炭酸カルシウムも容器度が低いので、配管及び炉外機器の接水面に析出し易い。
図2は、25℃での水のpHと水酸化マグネシウム(Mg(OH))からのマグネシウムイオン(Mg2+)の飽和溶解度との関係を示している。図2によれば、25℃でのpHが低くなるほど、Mg2+の飽和溶解度が高くなる。25℃での水のpHを中性の7から3.9まで低下させると、水酸化マグネシウムからのマグネシウムイオン飽和濃度は約5桁増加する。
発明者らは、水酸化マグネシウムを外面に付着させた金属製の試験片(チューブ)を炭酸水に浸漬させて炭酸水による洗浄効果を確認する実験を行った。試験片は炭酸水に約30分浸漬させた。この実験結果を図3に示す。水酸化マグネシウムを外面に付着させた試験片の炭酸水暴露前におけるその外面は、図3の(A)ようになっていた。これに対し、その試験片を炭酸水に、約30分間、暴露した後における試験片の外面は、図3の(B)のようになり、試験片の外面に付着した水酸化マグネシウムがほとんど除去されている。
この実験結果から、水酸化マグネシウムの除去により、原子力プラントの配管及び炉外機器の接水面への水酸化マグネシウムの析出と共にそれらの接水面に付着した放射性物質も除去することができる。
原子力プラントの配管及び炉外機器の接水面に析出した炭酸カルシウムは、それらの接水面に炭酸水を接触させることにより、炭酸水素カルシウムになって炭酸水中に溶解する。このため、炭酸カルシウムの析出に伴い原子力プラントの配管及び炉外機器の接水面に付着した放射性物質も除去できる。
配管及び炉外機器の接水面に付着した放射性物質を除去した後、炭酸水が陽イオン交換樹脂塔に導かれ、陽イオン交換樹脂によって炭酸水に含まれたその放射性物質を除去する。さらに、炭酸水中に窒素ガスまたはアルゴンガスを通気して炭酸水中の二酸化炭素を除去する。
上記の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の化学除染方法を、図1を用いて説明する。本実施例の化学除染方法は、沸騰水型原子力プラントに適用される。
まず、本実施例の化学除染方法に用いられる化学除染装置1を、図1を用いて説明する。化学除染装置1は、二酸化炭素供給装置2、窒素供給装置6、タンク10、炭酸水戻り配管12、炭酸水供給配管16、陽イオン交換樹脂塔18及び混床樹脂塔22を備えている。
二酸化炭素供給装置2は、二酸化炭素ボンベ3、供給配管4及び流量調節弁5を有する。流量調節弁5を設けた供給配管4が二酸化炭素ボンベ3に接続され、供給配管4の他端部はタンク10内に挿入されている。流量計(図示せず)が流量調節弁5の下流で供給配管4に設けられる。窒素供給装置6は、窒素ボンベ7、供給配管8及び流量調節弁9を有する。供給配管4及び8の先端部は、タンク10内でタンク10の底部付近まで達している。流量調節弁9を設けた供給配管8が窒素ボンベ7に接続され、供給配管8の他端部はタンク10内に挿入されている。流量計(図示せず)が流量調節弁9の下流で供給配管8に設けられる。開閉弁26を設けた排水管39がタンク10の底部に接続される。開閉弁(図示せず)を設けたベント配管がタンク10の上端部に接続される。図示されていないが、pH測定器(または電気伝導率測定器)がタンク10に設けられる。
ポンプ15及び開閉弁17を設けた炭酸水供給配管16がタンク10に接続され、ポンプ11、開閉弁13及び流量調節弁14を設けた炭酸水戻り配管12がタンク10に接続される。流量調節弁14をバイパスする配管19の両端部が炭酸水戻り配管12に接続され、陽イオン交換樹脂塔18及び開閉弁20,21が配管19に設けられている。陽イオン交換樹脂塔18及び開閉弁20,21をバイパスする配管23の両端部が配管19に接続され、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂が充填された混床樹脂塔22、及び開閉弁24,25が配管23に設けられている。流量計(図示せず)が例えばポンプ15と開閉弁17の間で炭酸水供給配管16に取り付けられ、流量計(図示せず)が例えば流量調節弁14の下流で炭酸水戻り配管12に取り付けられる。
沸騰水型原子力プラントが運転されているとき、原子炉の原子炉圧力容器内の冷却水が、原子炉圧力容器内の炉心に装荷された各燃料集合体内に供給される。この冷却水は、各燃料集合体内でこの燃料集合体に含まれる核燃料物質の核分裂により発生する熱で加熱され、一部が蒸気になる。発生した蒸気は、原子炉圧力容器内に設置された気水分離器及び蒸気乾燥器で水分を除去され、その後、主蒸気配管に吐出される。この蒸気は、主蒸気配管を通ってタービンに導かれ、タービンを回転させる。タービンに連結された発電機も回転し、これにより電力が発生する。
タービンから復水器に排気された蒸気は、復水器内に設けられた伝熱管内を流れる海水によって冷却され、凝縮されて水になる。この水は、給水ポンプで昇圧され、給水として、給水配管を通って原子炉圧力容器内に供給される。給水は、給水配管内を流れる間に、復水脱塩装置で浄化され、給水加熱器によって加熱される。
沸騰水型原子力プラントの運転時において、復水器内の伝熱管が損傷して伝熱管内を流れる海水が伝熱管から復水器内に多量に漏洩したことを想定する。多量の海水を含んだ給水が給水配管を通して原子炉圧力容器内に流入する。漏洩した海水が多量であるため、海水の主成分を復水脱塩装置で除去することができず、その主成分の一部が原子炉圧力容器内に流入する。原子炉圧力容器内の海水を含む冷却水が再循環系配管及び原子炉浄化系の浄化系配管にも導かれる。漏洩した海水に含まれる水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが、再循環系配管及び浄化系配管のそれぞれの接水面(内面)、及びそれぞれぞれの配管に設けられた炉外機器(例えば、バルブ、ポンプ及び熱交換器)の接水面に析出する。これらの析出に伴って冷却水に含まれた放射性物質がそれらの接水面に付着する。
復水器内で海水の漏洩が生じたとき、炉心内に全制御棒が全挿入され、沸騰水型原子力プラントが緊急停止される。沸騰水型原子力プラントが緊急停止された後、再循環系配管等の接水面に対する化学除染が実施される。この化学除染には、図1に示す化学除染装置1が用いられる。一例として、化学除染装置1を用いて沸騰水型原子力プラントの再循環系配管を対象に行われる本実施例の化学除染方法を以下に説明する。本実施例における除染対象物は再循環系配管である。再循環系配管は沸騰水型原子力プラントの構造部材である。
炭酸水供給配管16が再循環ポンプの上流側で沸騰水型原子力プラントの再循環系配管に接続され、炭酸水戻り配管12が再循環ポンプの下流側で化学除染対象部位を確保できるように再循環系配管に接続される。炭酸水供給配管16及び炭酸水戻り配管12を再循環系配管に接続することにより、炭酸水供給配管16、再循環系配管、炭酸水戻り配管12及びタンク10を含む、炭酸水が流れる閉ループが形成される。
炭酸水戻り配管12及び炭酸水供給配管16を再循環系配管に接続したときには、開閉弁13,17,19,21,23,25及び26、及び流量調節弁5,9、及び14がすべて閉じられている。再循環系配管の化学除染を実施するに際して、まず、タンク10に接続された給水配管(図示せず)の開閉弁(図示せず)を開いて給水配管からタンク10内に水、例えば、純水を供給する。純水の供給時には、開閉弁13,17及び流量調節弁14が開いている。タンク10内に供給された純水は、炭酸水供給配管16及び炭酸水戻り配管12に流入する。少なくとも炭酸水供給配管16及び炭酸水戻り配管12内が満水になり、タンク10内に所定水位まで純水が溜まったとき、ポンプ11,15を駆動する。タンク10内の純水は、ポンプ11,15の駆動により、炭酸水供給配管16、再循環系配管、炭酸水戻り配管12及びタンク10を含む閉ループ内を循環する。この純水の循環によりタンク10内の純水の水位が低下した場合には、給水配管からタンク10内に純水が供給される。純水の循環により、再循環系配管の化学除染対象部位も純水で満たされる。次に、開閉弁20,21を開いて、流量調整弁14の開度を調整して炭酸水戻り配管12内を流れる純水の一部が陽イオン交換樹脂塔18を流れるようにする。供給配管4及び8の先端部は、タンク10内で純水の水面よりも下方に位置している。
流量調整弁5を開いて流量調整弁5の開度を調整することにより、二酸化炭素ボンベ3内の二酸化炭素がタンク13の純水中に通気される。ガス状の二酸化炭素が純水に溶解し、タンク10内で炭酸水が生成される。本実施例では、この炭酸水が化学除染液として用いられる。タンク10に設けられたpH測定器によってタンク10内の炭酸水のpHを測定する。pH測定値がpH設定値よりも小さいときには、流量調節弁5の開度を増大してタンク10内に供給する二酸化炭素の流量を増大させる。逆に、pH測定値がpH設定値よりも大きいときには、流量調節弁5の開度を減少してタンク10内に供給する二酸化炭素の流量を減少させる。炭酸水のpHは3以上で5.6未満の範囲内の或るpHに調節すればよく、本実施例ではそのpHを5.0に調節した。pH測定器によって計測された炭酸水のpHの値が5.0になったとき、流量調節弁5が閉じられ、二酸化炭素ボンベ3からタンク10への二酸化炭素ガスの供給が停止される。そのpHの値が5.0よりも大きくなったときには、流量調節弁5が開いてタンク10への二酸化炭素ガスの供給が再開される。
ポンプ11,15が駆動されているので、タンク10内で生成されたpH5.0の炭酸水が炭酸水供給配管16を通って沸騰水型原子力プラントの再循環系配管に供給される。再循環系配管の内面(接水面)、及び再循環系配管に設けられた再循環ポンプ及び弁の接水面に析出している水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが付着している炭酸水に溶解し、水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムのそれらの接水面への析出に伴ってそれらの接水面に付着した放射性物質(放射性核種、例えば、コバルト60)も各接水面から除去される。再循環系配管に設けられた再循環ポンプ及び弁も、沸騰水型原子力プラントの構造部材である。除去された水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質を含む炭酸水は再循環系配管から炭酸水戻り配管12に流出し、この炭酸水の一部が配管19により陽イオン交換樹脂塔18に導かれる。陽イオンであるマグネシウムイオン、カルシウムイオン及び放射性核種が陽イオン交換樹脂塔18で除去される。陽イオン交換樹脂18を通過した炭酸水及び流量調節弁14を通過した炭酸水は、タンク10内に流入する。この炭酸水のpHがpH設定値である5.0よりも大きいときには、流量調節弁5が開いて二酸化炭素ボンベ3から二酸化炭素がタンク10内の炭酸水に通気され、この二酸化炭素ガスの炭酸水への溶解により炭酸水のpHが5.0に低下する。pHが5.0の炭酸水が、1時間から5時間、例えば3時間の間、上記した閉ループ内を循環して、再循環系配管、再循環ポンプ及び弁のそれぞれの接水面の化学除染を行い、それらの接水面に付着している水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性核種を除去する。炭酸水による化学除染を実施している間に、開閉弁26を何回か開いて排水管39から化学除染液である炭酸水を採水し、採取した炭酸水から放出される放射線の強度を放射線検出器で検出して検出された放射線がバックグラウンドレベルまで減少したとき、炭酸水による化学除染を終了する。そして、流量調整弁5が全閉にされる。
炭酸水による化学除染によって上記の各接水面から除去された水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質(放射性核種)が炭酸水に含まれるので、炭酸水の放射線強度は増大する。水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質の陽イオン交換樹脂塔18での除去により炭酸水の放射線強度は減少するが、炭酸水の放射線強度は、炭酸水によりそれらの接水面から炭酸水中に放出された水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質による放射線強度の増加と陽イオン交換樹脂塔18によるそれらの除去による放射線強度の低下でバランスし、或る放射線強度に保持される。炭酸水によりそれらの接水面から炭酸水中に放出された水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質の量が減少するに伴い、炭酸水の放射線強度が低下する。やがて、排水管39から採取した炭酸水から放出される放射線の強度がバックグラウンドレベル(設定放射線強度)まで減少する。
その後、流量調整弁9を開いて流量調節弁9の開度を調節し、窒素ガスボンベ17内の不活性ガスである窒素ガスを、供給配管4を通してタンク10内の炭酸水中に通気する。窒素ガスを、所定時間の間、タンク10内の炭酸水中に通気することにより、炭酸水に含まれる二酸化炭素をタンク10内の炭酸水液面より上方に形成された気体領域に放出する。この二酸化炭素は、タンク10に接続されてその気体領域に連絡されたベント配管によりその気体領域から外部環境に放出される。所定時間の間に窒素ガスを通気するのではなく、開閉弁26を開いて排水管39を通してタンク10内の炭酸水を採取し、採取した炭酸水のpHを計測してこのpHの計測値に基づいて窒素ガスをタンク10内に通気する期間を決めてもよい。この場合pHが5.6以上になったとき、二酸化炭素の放出が完了したと判定して流量調節弁9を閉じる。炭酸水への窒素ガスの通気により、炭酸水に含まれる二酸化炭素がタンク10内の液体領域に放出されるため、炭酸水の二酸化炭素の濃度が低下し、やがて、炭酸水は普通の水になる。窒素ガスの替りに不活性ガスである希ガス、例えば、アルゴンガスを炭酸水中に通気しても良い。アルゴンガスの通気により、炭酸水中の二酸化炭素を放出することができる。
炭酸水からの二酸化炭素の放出が終了して炭酸水が実質的に水になった後、開閉弁24及び25を開いて開閉弁20及び21を閉じる。炭酸水戻り配管12内を流れる水の一部が、陽イオン交換樹脂18ではなく、混床樹脂塔22に供給される。開閉弁26を開いて排水管39を通してタンク10内の水を採取し、採取された水の電気伝導率を計測し、この電気伝導率が設定値以下になったとき、開閉弁24及び25を閉じ、混床樹脂塔22への水の供給を停止する。具体的には、混床樹脂塔22に供給される水の電気伝導率が10μS/m以下になったとき、開閉弁24及び25が閉じられる。
その後、ポンプ11,15の運転が停止され、閉ループ内での水の循環を停止する。除染対象物である再循環系配管内に純水をためておく必要がある場合には、開閉弁13,17を閉じる。再循環系配管内に純水をためておく必要がない場合には、開閉弁13,17を開いたままにし、開閉弁26を開いて排水管39からから排水する。
再循環系配管の炭酸水による化学除染が終了し、沸騰水型原子力プラントの他の部分の保守点検が終了した後、化学除染された再循環系配管を有する沸騰水型原子力プラントは、起動され、定格出力運転に入る。
本実施例によれば、復水器の伝熱管の破損により漏洩した海水が、万が一、原子炉圧力容器内に流入し、漏洩した海水に含まれた水酸化マグネシウムや炭酸カルシウムの析出により沸騰水型原子力プラントの再循環系配管、及び炉外機器である、再循環系配管に設けられた再循環ポンプ及び弁のそれぞれの接水面に付着した放射性核種を除去することができる。
本実施例では、炭酸水を用いた化学除染によるによる放射性物質等の除去が終了した後、炭酸水に窒素ガスを通気して炭酸水に含まれている二酸化炭素を除去し、炭酸水を普通の水にするので、除染終了後に、除染対象物である配管及び炉外機器が炭酸水に接触することがなくなり、配管及び炉外機器が炭酸水により腐食する可能性を解消することができる。また、炭酸水を混床樹脂塔22に供給すると、炭酸水に含まれる炭酸イオンが混床樹脂塔22内のイオン交換樹脂に吸着されるため、混床樹脂塔22内のイオン交換樹脂のイオン交換能力を無駄に使うことになり、イオン交換樹脂の交換回数が増大し、放射性廃棄物量を増大させることになる。本実施例は、窒素ガスを炭酸水内に通気し炭酸水に含まれる二酸化炭素を放出し、炭酸水を実質的に水にしているので、混床樹脂塔22内のイオン交換樹脂の交換回数が減少し、放射性廃棄物の発生量が減少する。
化学除染装置1の炭酸水供給配管16を原子炉浄化系の浄化系配管に設けられた浄化系ポンプの上流側で浄化系配管に接続し、化学除染装置1の炭酸水戻り配管12を、原子炉浄化系の非再生熱交換器と浄化装置の間で浄化系配管に接続し、炭酸水供給配管16と浄化系配管の接続部と、炭酸水戻り配管12と浄化系配管の接続部との間で、浄化系配管内に化学除染装置1から炭酸水を供給してもよい。浄化系配管の接水面、及び浄化系配管に設けられた浄化系ポンプ、弁、再生熱交換器及び非再生熱交換器のそれぞれの接水面に付着している水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性核種を、この炭酸水によって、除去することができる。浄化系配管、及び浄化系配管に設けられた浄化系ポンプ、弁、再生熱交換器及び非再生熱交換器も、沸騰水型原子力プラントの構造部材である。
実施例1では、タンク10内の純水中に二酸化炭素を通気して二酸化炭素を溶解させ、炭酸水を生成したが、ドライアイスをタンク10内の純水中に投入して純水中に二酸化炭素を溶解させてもよい。ドライアイスを用いることによって、二酸化炭素ボンベ3及び供給配管4が不要となり、化学除染装置をコンパクト化することができる。
本発明の他の実施例である実施例2の化学除染方法を、図4を用いて説明する。本実施例の化学除染方法は、沸騰水型原子力プラントに適用される。
本実施例の化学除染方法に用いられる化学除染装置1Aは、実施例1に用いる化学除染装置1においてタンク10を除染対象物収納容器27に替え、さらに、炭酸水戻り配管12及び炭酸水供給配管16を循環配管29に替えた構成を有する。流量調節弁14及びポンプ28を設けた循環配管29の両端部を除染対象物収納容器27にそれぞれ接続し、供給配管4及び8の各先端部を除染対象物収納容器27内で底部付近にそれぞれ配置する。化学除染装置1Aの他の構成は化学除染装置1と同じである。
化学除染装置1Aを用いる本実施例の化学除染方法を以下に説明する。本実施例では、実施例1のように、沸騰水型原子力プラントの再循環系及び原子炉浄化系の配管系に炭酸水を供給するのではなく、配管系から取り外した除染対象物37である例えば炉外機器を除染対象物収納容器27内に収納し、除染対象物収納容器27内において、炭酸水を用いてこの炉外機器の化学除染が行われる。
沸騰水型原子力プラントでは、復水器の伝熱管が損傷して伝熱管から漏洩した海水が原子炉圧力容器内に流入したとする。海水に含まれる水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが再循環系配管及び浄化系配管の内面に析出する。
復水器の伝熱管が損傷したとき、沸騰水型原子力プラントが緊急停止される。その後、例えば、原子炉浄化系の浄化系配管に設けられた炉外機器である弁及び浄化系ポンプが浄化系配管から取り外されて除染対象物37として除染対象物収納容器27内に収納される。沸騰水型原子力プラントの構造部材であるこれらの弁及び浄化系ポンプの各接水面には、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性核種が付着している。弁及び浄化系ポンプの除染対象物収納容器27への収納の際には、供給配管4及び8が取り付けられた除染対象物収納容器27の上蓋が取り外されている。弁及び浄化系ポンプが除染対象物収納容器27内に収納された後に、その上蓋は除染対象物収納容器27に取り付けられる。
実施例1と同様に、除染対象物収納容器27に接続された給水配管(図示せず)の開閉弁(図示せず)を開いてこの給水配管から除染対象物収納容器27内に水、例えば、純水を供給する。純水の供給時には、流量調節弁14が開いている。ポンプ28を駆動して循環配管29内を純水で満たし、さらに、開閉弁20,21を開く。流量調節弁14の開度を調節して、純水を配管19及び陽イオン交換樹脂塔18内に供給する。除染対象物収納容器27内の純水の水位が低下したときには、給水配管により純水を所定水位になるまで除染対象物収納容器27内に供給する。除染対象物収納容器27内の除染対象物である弁及び浄化系ポンプは、純水中に浸漬されている。このとき、流量調節弁14及び開閉弁20,21は開いており、流量調節弁5,9及び開閉弁24,25は閉じている。
実施例1と同様に、流量調節弁5を開いて二酸化炭素ボンベ3内の二酸化炭素がタンク13を純水中に通気させ、ガス状の二酸化炭素を純水に溶解させる。これにより、除染対象物収納容器27内で炭酸水が生成される。この炭酸水のpHが、例えば、5.0になるまで除染対象物収納容器27内に二酸化炭素を供給する。ポンプ28が駆動しているので、除染対象物収納容器27内の炭酸水が循環配管29内を循環し、循環配管29内を流れる一部の炭酸水が陽イオン交換樹脂塔18に供給される。除染対象物収納容器27内に収納された弁及び浄化系ポンプは、炭酸水に浸漬された状態で炭酸水により化学除染される。炭酸水は、弁及び浄化系ポンプの接水面(浄化系配管に取り付けられた状態での接水面)に付着している水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性核種を除去する。それらの接水面から除去された水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性核種を含む炭酸水は、循環配管29に流出し、一部の炭酸水が陽イオン交換樹脂塔18に導かれる。炭酸水に含まれるマグネシウムイオン、カルシウムイオン及び放射性核種が陽イオン交換樹脂塔18内の陽イオン交換樹脂によって除去される。
排水管39から採取した炭酸水から放出される放射線の強度がバックグラウンドレベル(設定放射線強度)まで減少したとき、除染対象物収納容器27内の除染対象物37に対する化学除染が終了し、流量調節弁14及び開閉弁20,21が閉じられる。その後、流量調節弁9を開いて、窒素ガスボンベ17内の窒素ガスを除染対象物収納容器27内の炭酸水に通気する。これにより、炭酸水に含まれた酸化炭素を、除染対象物収納容器27内で炭酸水の液面よりも上方に形成された気体領域に排出し、さらに、除染対象物収納容器27に接続されて上記の気体領域に連絡されたベント配管(図示せず)を通して外部環境に排出される。窒素ガスの通気により、除染対象物収納容器27内の炭酸水のpHが設定pH以上になったとき、二酸化炭素の放出が完了した判定して流量調節弁9を閉じる。
その後、開閉弁20,21を閉じて開閉弁24,25を開いて炭酸水を混床樹脂塔22に通水する。炭酸水の電気伝導率が10μS/m以下になったとき、開閉弁24,25を閉じて混床樹脂塔22への通水を停止する。そして、ポンプ28の駆動を停止して、炭酸水の循環を停止する。
炭酸水による化学除染が終了した除染対象物37(弁及び浄化系ポンプ)が、除染対象物収納容器27から取り出され、この除染対象物37が取り付けられていた元の位置で、沸騰水型原子力プラントに取り付けられる。さらに化学除染を行う別の除染対象物37がある場合には、この除染対象物37を除染対象物収納容器27内に収納して、上記のように炭酸水による化学除染を実施する。化学除染を行う除染対象物37がなくなった場合には、化学除染が終了する。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、除染対象物収納容器27内で炭酸水による除染対象物37の化学除染が行われるので、化学除染に必要とされる炭酸水の量を少なくすることができ、炭酸ガスの通気による炭酸水のpH調整、及び炭酸水への窒素ガスの通気による二酸化炭素の除去のそれぞれに要する時間を短縮することができる。
炭酸水による化学除染を実施するために除染対象物収納容器27内に収納する除染対象物37は、炉外機器である例えば弁及びポンプ以外に配管であっても良い。沸騰水型原子力プラントに設けられている配管の一部を新しい配管と交換する場合、沸騰水型原子力プラントに設置されている配管を切断して取り外し、沸騰水型原子力プラントにおいて取り外された配管の替りに新しい配管が接続される。取り外された配管は放射性廃棄物として処理されるが、放射線量が高いために化学除染を行った後にその処理が行われる。取り外された配管が、前述した炉外機器の除染対象物37と同様に、除染対象物収納容器27内に収納されて炭酸水により化学除染される。取り外された配管が長い場合には、この配管は、除染対象物収納容器27内に収納可能な長さで複数に切断された後に、除染対象物収納容器27内に収納される。化学除染終了後、配管が、除染対象物収納容器27から取り出され、放射性廃棄物として処理される。
本発明の他の実施例である実施例3の化学除染方法を、図5を用いて説明する。本実施例の化学除染方法は、沸騰水型原子力プラントに適用される。
本実施例の化学除染方法は、実施例2で述べた、取り外されて放射性物質として処理される配管が長い場合に実施される他の化学除染方法である。本実施例では、取り外されて処理される長い配管(除染対象物37A)が、沸騰水型原子力プラントに取り付けられている状態で炭酸水を用いて化学除染される。本実施例の化学除染では、実施例1で用いられる化学除染装置1が使用される。実施例1と同様に、化学除染装置1の炭酸水供給配管16が、沸騰水型原子力プラントに取り付けられている除染対象物37Aである配管、例えば、再循環系配管に接続され、炭酸水戻り配管12が、炭酸水供給配管16と再循環系配管の接続部よりも下流側で再循環系配管に接続される。
その後、この再循環系配管の内面に対する炭酸水を用いた化学除染が、実施例1と同様に実施される。炭酸水による化学除染が終了した後、タンク10内に窒素ガスを通気して炭酸水に含まれる二酸化炭素を除去し、そして、混床樹脂塔22への通水を行う。混床樹脂塔22への通水処理が終了した後、炭酸水供給配管16及び炭酸水戻り配管12が再循環系配管から取り外される。化学除染を行った再循環系配管が、沸騰水型原子力プラントから取り外され、放射性廃棄物として処理される。取り外した再循環系配管の替りに新しい配管が、再循環系配管として沸騰水型原子力プラントに取り付けられる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
本発明の他の実施例である実施例4の化学除染方法を、図6を用いて説明する。本実施例の化学除染方法は、沸騰水型原子力プラントに適用される。
本実施例の化学除染方法に用いられる化学除染装置1Bは、実施例2に用いる化学除染装置1Aに、噴射ノズル30、炭酸水受け(炭酸水受け槽)31、ポンプ32を設けた炭酸水供給配管33、及びポンプ34を設けた炭酸水戻り配管35を追加した構成を有する。実施例2に用いられた除染対象物収納容器27は実施例1で用いられるタンク10に替っている。化学除染装置1Bの他の構成は化学除染装置1Aと同じである。
炭酸水供給配管33の一端がタンク10に接続され、炭酸水供給配管33の他端が噴射ノズル30に接続される。噴射ノズル30は炭酸水受け31の上方に配置される。炭酸水戻り配管35の一端が炭酸水受け31の底部に接続され、炭酸水戻り配管35の他端がタンク10に接続される。
沸騰水型原子力プラントでは、復水器の伝熱管が損傷して伝熱管から漏洩した海水が原子炉圧力容器内に流入したとする。海水に含まれる水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが再循環系配管及び浄化系配管の内面に析出する。
復水器の伝熱管が損傷したとき、沸騰水型原子力プラントが緊急停止される。その後、例えば、再循環系配管に設けられた再循環ポンプが、再循環系配管から取り外されて分解される。沸騰水型原子力プラントの構造部材である再循環ポンプのインペラが、除染対象物38として噴射ノズル30の下方で炭酸水受け31上に置かれる。
実施例1と同様に、タンク10内に純水が充填され、流量調節弁5を開くことによって二酸化炭素ボンベ3内の二酸化炭素がタンク10内の純水中に通気される。二酸化炭素は純粋に溶解され、タンク10内で化学除染液である設定pH値を有する炭酸水が生成される。ポンプ32の駆動によりタンク10内の炭酸水が、炭酸水供給配管33を通って噴射ノズル30に供給され、噴射ノズル30から炭酸水受け31内のインペラ(除染対象物38)に向かって噴射される。インペラの、噴射された炭酸水に曝される表面に付着している水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質(放射性核種)が噴射された炭酸水によって除去される。除去された水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質は炭酸水と共に炭酸水受け31上に落下し、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質を含む炭酸水はポンプ34の駆動により炭酸水戻り配管35を通ってタンク10に導かれる。タンク10内の水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質を含む炭酸水は、ポンプ28の駆動により循環配管29内に流入し、開閉弁20,21が開いているために陽イオン交換樹脂塔18に導かれる。陽イオン交換樹脂塔18において、炭酸水に含まれた水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質が除去される。陽イオン交換樹脂塔18から排出された炭酸水は、タンク10内に戻される。
タンク10内の炭酸水が噴射ノズル30から噴射されることによりインペラに対する化学除染が実施され、タンク10内の炭酸水が循環配管29を循環されるときに、炭酸水に含まれた水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質が陽イオン交換樹脂塔18によって除去される。
排水管39で採取された炭酸水の放射線強度が設定放射線強度以下になったとき、ポンプ32,34が停止される。その後、炭酸水受け31上のインペラを裏返しにして、再び、ポンプ32,34が駆動され、噴射ノズル30から噴射された炭酸水が、今まで、噴射された炭酸水と接触していなかった、インペラの反対側の表面と接触する。この表面に付着していた水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質が、炭酸水によって除去され、炭酸水と共に炭酸水受け31上に落下する。炭酸水受け31上に落下した、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質を含む炭酸水が、炭酸水戻り配管35を通ってタンク10内に導かれる。インペラの反対側の表面が除染されている間でも、ポンプ28が駆動され、陽イオン交換樹脂塔18で水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び放射性物質が除去される。
インペラの全面が炭酸水で除染された後、排水管39で採取された炭酸水の放射線強度が設定放射線強度以下になったとき、ポンプ32,34が停止され、スプレイノズル30からの炭酸の噴射が停止される。その後、流量調節弁9が開いてタンク10内の炭酸水に窒素ガスボンベ7内の窒素ガスが通気される。この窒素ガスの通気により、炭酸水内の二酸化炭素が除去される。炭酸水のpHが設定pH値よりも大きくなった時、窒素ガスの炭酸水への通気が停止される。化学除染を行う除染対象物38がなくなったとき、排水管39を通して、タンク10内の炭酸水が排出される。
炭酸水により除染されたインペラは取り外されている再循環ポンプ内に組み込まれ、その後、組み立てられた再循環ポンプが沸騰水型原子力プラントの再循環系配管に取り付けられる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は、噴射ノズル30から炭酸水受け31上に置かれた除染対象物38に向かって炭酸水を噴射するので、除染対象物38の除染に使用する炭酸水の量を少なくすることができる。このため、炭酸ガスの通気による炭酸水のpH調整、及び炭酸水への窒素ガスの通気による二酸化炭素の除去のそれぞれに要する時間を短縮することができる。また、沸騰水型原子力プラントから取り外した除染対象物38を、化学除染装置1Bが置かれた場所まで搬送することにより、実施例1のように、沸騰水型原子力プラントに取り付けられている化学除染対象物と化学除染装置1を接続する仮設配管の引き回しが不要になる。
1,1A,1B…化学除染装置、2…二酸化炭素供給装置、3…二酸化炭素ボンベ、6…窒素供給装置、3…窒素ガスボンベ、10…タンク、11,15,28,32,34…ポンプ、12,35…炭酸水戻り配管、16,33…炭酸水供給配管、18…陽イオン交換樹脂塔、22…混床樹脂塔、27…除染対象物収納容器、29…循環配管、30…噴射ノズル、31…炭酸水受け。

Claims (8)

  1. 海水成分である水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが付着した、原子力プラントの構造部材である第1配管及び炉外機器の少なくとも1つの接水面に、pHが3以上5.6未満の範囲内にある炭酸水を接触させ、前記炭酸水により、前記接水面に付着した水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムを、前記接水面に付着した放射性核種と共に除去することを特徴とする化学除染方法。
  2. 前記炭酸水は水に二酸化炭素を溶解させて生成される請求項1に記載の化学除染方法。
  3. 前記炭酸水は水にドライアイスを投入して生成される請求項1に記載の化学除染方法。
  4. 前記接水面に付着した前記水酸化マグネシウム、前記炭酸カルシウム及び前記放射性核種を除去した後、前記炭酸水に不活性ガスを通気する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化学除染方法。
  5. 前記水酸化マグネシウム、前記炭酸カルシウム及び前記放射性核種を含む前記炭酸水を陽イオン交換樹脂塔に供給し、前記炭酸水に含まれるマグネシウムイオン、カルシウムイオン及び前記放射性核種の陽イオンを前記陽イオン交換樹脂塔で除去する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化学除染方法。
  6. 容器に接続された第管を、原子力プラントの原子炉圧力容器に接続された、前記第1配管及び前記炉外機器を有する配管系に接続し、前記第1配管及び前記炉外機器のそれぞれの前記接水面への前記炭酸水の接触は、前記容器内で生成された前記炭酸水を前記第配管により前記配管系に供給することによって行われ、前記配管系内の前記炭酸水を第3配管により前記容器に戻す請求項1に記載の化学除染方法。
  7. 前記原子力プラントから取り外した前記炉外機器を容器内に収納し、前記炉外機器への前記接水面への前記炭酸水の接触を前記容器内で行う請求項1に記載の化学除染方法。
  8. 前記原子力プラントから取り外した前記炉外機器を炭酸水受け槽内に置き、噴射ノズルからこの炉外機器に向かって前記炭酸水を噴射する請求項1に記載の化学除染方法。
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