本発明の第1実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1に示すように、本第1実施形態に係るコンベヤスケール10は、ベルトコンベヤ12を備えている。このベルトコンベヤ12は、例えば屋外に設置されており、そのキャリア側ベルト14上に、図示しない供給装置によってコークスや石灰石等の細状の被輸送物100が連続的に供給される。そして、図1に太実線の矢印16で示される方向(図1において左側から右側)へキャリア側ベルト14が走行することで、当該キャリア側ベルト14上の被輸送物100が同方向16へ連続的に輸送される。
キャリア側ベルト14は、その走行方向16である水平方向に沿って並列に配置された複数の自由回転ローラ(プーリ)18,18,…によって支持されている。これら複数のローラ18,18,…の一部、例えば図1において中央に位置する1つのローラ20は、荷重検出手段としての複数、例えば2台の、ロードセル22および24が付随された計量ローラである。また、この計量ローラ20とは別の1つのローラ18、例えば計量ローラ20の上流側(図1において左側)に隣接するローラ26には、キャリア側ベルト14の走行距離を検出するための走行距離検出手段としてのロータリ式のパルス発生器(PG)28が取り付けられている。さらに、キャリア側ベルト14の上方であって、当該キャリア側ベルト14(および被輸送物100)を挟んで計量ローラ20と対向する位置に、位置検出手段としての複数、例えば3台の、非接触型の距離センサ30,32および34が配置されている。これらの距離センサ30,32および34は、例えば赤外線反射式の一方向測定タイプものであり、図1に破線の矢印36で示すようにそれぞれの真下にある被輸送物100の表面(上面)に向けて赤外線ビームを発射すると共に、これとは逆向きの矢印38で示すように被輸送物100の表面によって反射された当該赤外線ビームの反射光を受け、この間に要する時間に基づいて、それぞれの設置位置から被輸送物100の表面までの距離を測定する。つまり、各距離センサ30,32および34は、各ロードセル22および24による荷重の検出対象部分である図1には明示していない働長Ldの中間位置における被輸送物100の表面をターゲットとして距離を測定する。
具体的には、図2に示すように、各距離センサ30,32および34は、キャリア側ベルト14の走行方向(図2の紙面の表裏方向)に直交する仮想的な平面(図2の紙面に沿う平面:以下、仮想平面と言う。)において、水平方向(図2における左右方向)に沿って一定の間隔uで配置されている。このうちの中央に位置する距離センサ32は、キャリア側ベルト14の(幅方向における)中心Oの真上にある。そして、両端に位置する距離センサ30および34は、キャリア側ベルト14の両側縁よりも内方寄り(中心O寄り)にある。なお、各距離センサ30,32および34は、図示しない適当な支持部材を介して、ベルトコンベヤ12の図示しない基部に固定されている。
また、図2から分かるように、計量ローラ20は、上述の仮想平面において、上方に向かって概略凹状(下方に向かって概略凸状)を成すように言わば概略トラフ形に配置された3つの自由回転ローラ20a,20bおよび20cを有する3槽ローラである。走行距離検出用のローラ26を含む他のローラ18,18,…もまた、同様の3槽ローラである。キャリア側ベルト14は、これらの3槽ローラ18,18,…によって支持されることで、その仮想平面(および当該仮想平面に平行な平面)による断面が概略トラフ形に湾曲するように、つまりは被輸送物100がこぼれ落ち難い形状となるように、整形される。
計量ローラ20は、これを構成する3つの自由回転ローラ20a,20bおよび20cに共通の架台20dを有しており、この架台20dは、仮想平面に沿いかつ水平方向に沿って延伸する部分を有している。そして、この架台20dの延伸部分の一方側(例えば図2における左側)の端部を支持するように、言い換えればキャリア側ベルト14の一方側の縁側近傍を支持するように、一方のロードセル22が設けられている。そして、当該架台20dの延伸部分の他方側端部を支持するように、言い換えればキャリア側ベルト14の他方側の側縁近傍を支持するように、他方のロードセル24が設けられている。そして、各ロードセル22および24は、上述したのとは別の図示しない適当な支持部材を介して、ベルトコンベヤ12の基部に固定されている。なお、走行距離検出用のローラ26を含む他のローラ18,18,…は、図示しないさらに別の支持部材を介して、ベルトコンベヤ12の基部に固定されている。
図1に戻って、各ロードセル22および24は、自身に印加された荷重の大きさに応じた直流電圧値を持つアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2を出力する。これらのアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2は、ベルトコンベヤ12から離れた場所、例えば管理室、に設置された制御装置50に入力される。また、パルス発生器28は、キャリア側ベルト14がΔLzという比較的に短い所定の距離だけ走行するたびに、矩形のパルス信号Spを出力する。このパルス信号Spもまた、制御装置50に入力される。さらに、各距離センサ30,32および34は、自身による距離測定値を表すデジタル態様の距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3を出力する。これらの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3もまた、制御装置50に入力される。
制御装置50は、図3に示すように、各ロードセル22および24からのアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2が個別に入力される2つの増幅回路52および54を有している。これらの増幅回路52および54に入力された各アナログ荷重検出信号Sw1およびSw2は、当該増幅回路52および54によって適当に増幅された後、個別のA/D変換回路56および58に入力される。なお、詳しい図示は省略するが、各増幅回路52および54の前段または後段には、それぞれに入力されるアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2に含まれる比較的に高い周波数帯域のノイズ成分、主に電気的な要因による高周波ノイズ成分を、除去するためのアナログローパスフィルタ回路が設けられている。
各A/D変換回路56および58は、自身に入力されたアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2を、クロックパルス生成手段としてのクロックパルス生成回路60から与えられるクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせてサンプリングする。これによって、各アナログ荷重検出信号Sw1およびSw2は、デジタル態様の信号(以下、これらの信号についてもSw1およびSw2という符合で表す。)に変換される。なお、各A/D変換回路56および58によるサンプリング周期、つまりクロックパルスCLKの周期ΔTsは、パルス発生器28から出力されるパルス信号Spの周期ΔTzよりも遥かに短く、例えばΔTs=1msである。
各A/D変換回路56および58による変換後のデジタル荷重検出信号Sw1およびSw2は、入出力インタフェース(I/O)回路62を介して、演算手段としてのCPU(Central
Processing Unit)64に入力される。また、CPU64には、入出力インタフェース回路62を介して、上述のクロックパルスCLKも入力される。さらに、CPU64には、入出力インタフェース回路62を介して、パルス発生器28からのパルス信号Spが入力されると共に、各距離センサ30,32および34からの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3も入力される。ただし、パルス信号Spについては、その態様、特に電圧値が、CPU64の入力仕様に即さないため、パルス整形回路64によって適当に整形されてからCPU64に入力される。
CPU64は、各デジタル荷重検出信号Sw1およびSw2とパルス信号Spとに基づいて、被輸送物100の輸送量を重量で表す輸送重量値Wを求める。そして、求められた輸送重量値Wを、情報出力手段としてのディスプレイ68に表示する。これにより、重量測定方式による被輸送物100の輸送量の算出が実現される。なお、ディスプレイ68は、入出力インタフェース回路60を介して、CPU64に接続されている。
ところで、重量測定方式の構成要素である各ロードセル22および24は、計量ローラ20を介して常に振動荷重や衝撃荷重を受けている状態にあるため、比較的に故障し易い。また、これら各ロードセル22および24から出力されるアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2は、極めてレベルの小さい信号であるため、周囲の温度や湿度等の環境の変化による影響を受け易い。これは、各ロードセル22および24の性能劣化に繋がり、ひいては故障に繋がる。
そこで、CPU64は、各距離センサ30,32および34からの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3を用いて、各ロードセル22および24に故障等の異常が発生していないかどうかを監視する。この監視は、各距離センサ30,32および34については基本的に故障しない、という前提の下で行われる。即ち、各距離センサ30,32および34は、非接触型の測定系であるので、重量測定系の各ロードセル22および24とは異なり、上述した振動荷重や衝撃荷重を受けず、ゆえに、当該各ロードセル22および24に比べて遥かに故障し難い。また、これら各距離センサ30,32および34からの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3は、元々信号レベルの大きいアナログ態様の信号をデジタル態様に変換した信号であるので、各ロードセル22および24から出力される微小レベルのアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2に比べて環境変化による影響を受け難い。従って、定期的なメンテナンス作業等の保守管理が適切に成されるのであれば、各距離センサ30,32および34については基本的に故障しない、つまり常に正常である、と見なすことができ、上述のような前提を立てることが可能となる。
この各距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3を用いての監視によって各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したことが検知されると、CPU64は、その旨を表すメッセージをディスプレイ68に表示する。さらに、CPU64は、各ロードセル22および24のいずれに当該異常が発生したのかを表すメッセージをもディスプレイ68に表示する。加えて、CPU64は、故障した側のロードセル22または24からのデジタル荷重検出信号Sw1またはSw2に代えて各距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3を用いることで暫定的な輸送重量値W’を求め、この暫定輸送重量値W’をディスプレイ68に表示する。
このCPU64による具体的な処理要領については、この後に詳しく説明するが、当該CPU64の動作は、これに接続された記憶手段としてのメモリ回路70に記憶されている制御プログラムに従って制御される。また、CPU64には、入出力インタフェース回路62を介して、当該CPU64に各種命令を入力するための命令入力手段としての操作キー72も接続されている。この操作キー72は、ディスプレイ68と一体化されたものでもよく、例えばタッチスクリーンによって実現されてもよい。
さて、CPU64は、上述のパルス信号Spが1パルス入力されるたびに(厳密にはパルス信号Spの立ち上がり(または立ち下がり)を捉えるたびに)、つまりキャリア側ベルト14がΔLzという所定距離(以下、1パルス相当距離と言う。)だけ走行するたびに、各デジタル荷重検出信号Sw1およびSw2に基づいて、働長Ld上にある被輸送物100の重量(質量)による各ロードセル22および24への印加荷重、いわゆる瞬間荷重Wd1〈q〉およびWd2〈q〉(q:パルス信号Spの入力順を表すインデックス)を、求める。なお、働長Ldの定義ならびに瞬間荷重Wd1〈q〉およびWd2〈q〉の求め方については公知であるので、ここでの説明は省略する。さらに、CPU64は、次の式1および式2に基づいて、1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の重量による各ロードセル22および24への印加荷重W1〈q〉およびW2〈q〉を求めた後、これらの印加荷重W1〈q〉およびW2〈q〉を加算することで、つまり式3に基づいて、当該1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の輸送重量値W〈q〉を求める。
《式1》
W1〈q〉=Wd1〈q〉・(ΔLz/Ld)
《式2》
W2〈q〉=Wd2〈q〉・(ΔLz/Ld)
《式3》
W〈q〉=W1〈q〉+W2〈q〉
そして、CPU64は、パルス信号SpがQパルス(Q:1以上の整数)入力されるたびに、つまりキャリア側ベルト14がΔLz・Qという一定の距離だけ走行するたびに、その期間を1区分m(m:区分の番号を表すインデックス)とし、次の式4に基づいて、当該1区分m分の輸送重量値W[m]を求める。
《式4》
W[m]=ΣW〈q〉 where q=1〜Q
CPU64は、この式4に基づいて求められた輸送重量値W[m]をディスプレイ68に表示する。これ以降、同じ要領で1区分mごとに輸送重量値W[m]を求め、この新たに求められた輸送重量値W[m]をディスプレイ66に順次表示し、つまり当該ディスプレイ66に表示された輸送重量値W[m]を順次更新する。なお、パルス信号Spの入力順を表すインデックスqの値は、区分mが更新されるたびにリセット(q=1)される。また、CPU64は、操作キー72からの命令に応じて、重量測定値W[m]を累積し、この累積値ΣW[m]をディスプレイ66に表示することもできる。
併せて、CPU64は、図2に示した仮想平面において、図4に示すようなx−y直交座標を形成する。具体的には、キャリア側ベルト14の(上面の)中心Oが、原点とされる。そして、この原点Oを通る水平な直線が、x軸とされ、当該原点Oを通る鉛直線が、y軸とされる。なお、図4は、キャリア側ベルト14の下流側から当該キャリア側ベルト14の上流側に向かう視線で仮想平面を示した図であり、この図4においては、y軸よりも右側が、x軸の正領域とされ、y軸よりも左側が、x軸の負領域とされる。そして、x軸よりも上方側が、y軸の正領域とされ、x軸よりも下方側が、y軸の負領域とされる。
このx−y直交座標において、各距離センサ30,32および34の設置位置(例えば赤外線ビームの発受光位置)に注目すると、当該各距離センサ30,32および34の設置位置のx軸値は、それぞれ−u,0およびuとなる。従って例えば、図4において左端にある距離センサ30は、−uというx軸値上における被輸送物100の表面をターゲット位置P1とし、自身の設置位置からこのターゲット位置P1までの距離H1を測定する。そして、中央の距離センサ32は、y軸上における被輸送物100の表面をターゲット位置P2とし、自身の設置位置からこのターゲット位置P2までの距離H2を測定する。さらに、右端にある距離センサ34は、uというx軸値上における被輸送物100の表面をターゲット位置P3とし、自身の設置位置からこのターゲット位置P3までの距離H3を測定する。なお、各距離センサ30,32および34の設置位置のy軸値は、いずれもHsという既知の値である。
CPU64は、パルス信号Spが1パルス入力されるたびに、各距離センサ30,32および34からの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3を取り込み、当該各距離センサ30,32および34による距離測定値H1,H2およびH3を認識し、厳密には現時点qでの距離測定値H1〈q〉,H2〈q〉およびH3〈q〉を認識する。そして、CPU64は、これらの距離測定値H1〈q〉,H2〈q〉およびH3〈q〉に基づいて、各距離センサ30,32および34によるターゲット位置P1〈q〉,P2〈q〉およびP3〈q〉を特定し、つまりx−y直交座標における座標値を特定する。
ここで、CPU64は、各距離センサ30,32および34の設置位置のx軸値を境界として、仮想平面による被輸送物100の断面、言わば分布を、x軸方向において4つの領域に分割する。詳しくは、x軸値が−u未満の領域と、x軸値が−u以上かつ0未満の領域と、x軸値が0以上かつu未満の領域と、x軸値がu以上の領域とに、分割する。そして、これら4つの領域の境界線上にある各ターゲット位置P1〈q〉,P2〈q〉およびP3〈q〉と、仮想平面によるキャリア側ベルト14の上面の断面形状と、に基づいて、各領域の面積A1〈q〉,A2〈q〉,A3〈q〉およびA4〈q〉を求める。さらに、各領域の面積A1〈q〉,A2〈q〉,A3〈q〉およびA4〈q〉それぞれに1パルス相当距離ΔLzを乗ずることによって、つまり次の式5に基づいて、当該各領域(立体領域)それぞれにおける1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の輸送体積値V1〈q〉,V2〈q〉,V3〈q〉およびV4〈q〉を求める。
《式5》
V1〈q〉=A1〈q〉・ΔLz
V2〈q〉=A2〈q〉・ΔLz
V3〈q〉=A3〈q〉・ΔLz
V4〈q〉=A4〈q〉・ΔLz
このようにしてそれぞれの領域の輸送体積値V1〈q〉,V2〈q〉,V3〈q〉およびV4〈q〉を求めた後、CPU64は、当該領域ごとの重心位置を求め、詳しくはx軸上における重心位置g1〈q〉,g2〈q〉,g3〈q〉およびg4〈q〉を求める。そして、各ロードセル22および22の一方、例えば図4(図2)において左側にあるロードセル22、の設置位置(厳密には計量ローラ20(架台20d)との接点である支持位置)を基準位置とし、この基準位置から各領域の重心位置g1〈q〉,g2〈q〉,g3〈q〉およびg4〈q〉までの距離d1〈q〉,d2〈q〉,d3〈q〉およびd4〈q〉を求める。さらに、次の式6に基づいて、1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の重量による一方のロードセル22への印加荷重W1〈q〉を推定し、言わば印加荷重推定値W1’〈q〉を求める。なお、この式6におけるDは、各ロードセル22および24の設置位置間の距離であり、Kは、被輸送物100の見かけ比重値である。また、V22〈q〉は、一方のロードセル22への印加荷重W1〈q〉に相当する体積値である。
《式6》
W1’〈q〉=K・{V1〈q〉・(D−d1〈q〉)+V2〈q〉・(D−d2〈q〉)+V3〈q〉・(D−d3〈q〉)+V4〈q〉・(D−d4〈q〉)}/D
=K・V22〈q〉
where V22〈q〉={V1〈q〉・(D−d1〈q〉)+V2〈q〉・(D−d2〈q〉)+V3〈q〉・(D−d3〈q〉)+V4〈q〉・(D−d4〈q〉)}/D
この式6に基づく印加荷重推定値W1’〈q〉は、一方のロードセル22が正常であるときに上述の式1に基づいて求められる印加荷重、言わば荷重検出値W1〈q〉、の推定値でもある。従って例えば、一方のロードセル22が正常であるときは、この印加荷重推定値W1’〈q〉は荷重検出値W1〈q〉と同値または近似した値になる。つまり、次の式7の関係が成立する。これに対して、一方のロードセル22に異常が発生したときは、荷重検出値W1〈q〉が異常値になるため、当該荷重検出値W1〈q〉と印加荷重推定値W1’〈q〉とは互いに乖離する。つまり、式7の関係が崩れる。
《式7》
W1〈q〉≒W1’〈q〉
これと同様に、CPU64は、次の式8に基づいて、1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の重量による他方のロードセル24への印加荷重W2〈q〉を推定し、つまり印加荷重推定値W2’〈q〉を求める。なお、この式8におけるV24〈q〉は、他方のロードセル24への印加荷重W2〈q〉に相当する体積値である。
《式8》
W2’〈q〉=K・{V1〈q〉・d1〈q〉+V2〈q〉・d2〈q〉+V3〈q〉・d3〈q〉+V4〈q〉・d4〈q〉}/D
=K・V24〈q〉
where V24〈q〉={V1〈q〉・d1〈q〉+V2〈q〉・d2〈q〉+V3〈q〉・d3〈q〉+V4〈q〉・d4〈q〉}/D
この式8に基づく印加荷重推定値W2’〈q〉は、他方のロードセル24が正常であるときに上述の式2に基づいて求められる荷重検出値W2〈q〉の推定値でもある。従って例えば、他方のロードセル24が正常であるときは、この印加荷重推定値W2’〈q〉は荷重検出値W2〈q〉と同値または近似した値になる。つまり、次の式9の関係が成立する。これに対して、他方のロードセル24に異常が発生したときは、荷重検出値W2〈q〉が異常値になるため、当該荷重検出値W2〈q〉と印加荷重推定値W2’〈q〉とは互いに乖離する。つまり、式9の関係が崩れる。
《式9》
W2〈q〉≒W2’〈q〉
これらの点に着目して、CPU64は、式7の関係が成立するか否かに基づいて、一方のロードセル22に異常が発生していないかどうかを判定すると共に、式9の関係が成立するか否かに基づいて、他方のロードセル24に異常が発生していないかどうかを判定する。ただし、式7および式9のそれぞれの関係が成立するか否かを、当該式7および式9のそれぞれから直接的に判定することはできないので、厳密には、次のようにして判定が成される。
まず、一方のロードセル22について、CPU64は、上述の式1に基づく荷重検出値W1〈q〉と式6に基づく印加荷重推定値W1’〈q〉との相互比率、言わば一方側比率R1〈q〉を、次の式10に基づいて求める。
《式10》
R1〈q〉=W1〈q〉/W1’〈q〉
この一方側比率R1〈q〉は、理想的にはR1〈q〉=1である。CPU64は、この一方側比率R1〈q〉がその理想値である1を中心とする所定の許容範囲内に入るとき、詳しくは次の式11が満足されるとき、一方のロードセル22は正常である、と判定する。そして、式11が満足されないときに、一方のロードセル22に異常が発生したものと判定する。なお、この式11における許容下限値Rminは、例えば0.6〜0.8程度が適当であり、許容上限値Rmaxは、例えば1.2〜1.4程度が適当である。勿論、これ以外の値であってもよい。これら許容下限値Rminおよび許容上限値Rmaxは、後述する事前の調整作業において適宜に設定される。
《式11》
Rmin≦R1〈q〉≦Rmax
これと同様に、他方のロードセル24について、CPU64は、上述の式2に基づく荷重検出値W2〈q〉と式8に基づく印加荷重推定値W2’〈q〉との相互比率、言わば他方側比率R2〈q〉を、次の式12に基づいて求める。
《式12》
R2〈q〉=W2〈q〉/W2’〈q〉
そして、CPU64は、この他方側比率R2〈q〉が上述の式11に倣う次の式13を満足するとき、他方のロードセル24は正常であると判定する。これとは反対に、式13が満足されないときは、他方のロードセル24に異常が発生したものと判定する。
《式13》
Rmin≦R2〈q〉≦Rmax
この判定要領によれば、一方のロードセル22および他方のロードセル24それぞれについて、異常の有無が個別に判定される。従って、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したときに、これを検知することができる。また、当該各ロードセル22および24の両方が同時に異常となったときにも、これを検知することができる。ただし、各ロードセル22および24の両方が同時に異常となることは極めて稀であるので、ここでは、そのようなケースについては想定しないこととする。
この判定要領によって各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したと判定されると、CPU64は、上述の如くその旨を表すメッセージをディスプレイ68に表示する。併せて、CPU64は、各ロードセル22および24のいずれに当該異常が発生したのかを表すメッセージをもディスプレイ24に表示する。さらに、CPU64は、異常が発生した側のロードセル22または24が正常であれば得られるであろう当該ロードセル22または24による荷重検出値W1〈q〉またはW2〈q〉を推定する。
例えば、一方のロードセル22に異常が発生した場合、CPU64は、次の式14に基づいて、当該一方のロードセル22による荷重検出値W1〈q〉の正常値を推定し、言わば推定荷重検出値W1”〈q〉を求める。
《式14》
W1”〈q〉=(W1’〈q〉/W2’〈q〉)・W2〈q〉
=R’〈q〉・W2〈q〉
where R’〈q〉=W1’〈q〉/W2’〈q〉
この式14において、R’〈q〉は、上述の式6に基づく印加荷重推定値W1’〈q〉と式8に基づく印加荷重推定値W2’〈q〉との相互比率W1’〈q〉/W2’〈q〉、言わば推定比率である。この式14から分かるように、CPU64は、一方のロードセル22による荷重検出値W1〈q〉の正常値が、他方のロードセル24による荷重検出値W2〈q〉との間で、W1’〈q〉/W2’〈q〉という推定比率R’〈q〉と同じ比率の関係にある、という根拠に基づいて、その推定値である推定荷重検出値W1”〈q〉を求める。そして、CPU64は、一方のロードセル22による荷重検出値W1〈q〉に代えて、この式14に基づく推定荷重検出値W1”〈q〉を用いて、1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の暫定的な輸送重量値W’〈q〉を求める。つまり、上述の式3に準拠する次の式15に基づいて、暫定輸送重量値W’〈q〉を求める。
《式15》
W’〈q〉=W1”〈q〉+W2〈q〉
さらに、CPU64は、上述の式4に準拠する次の式16に基づいて、1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求める。
《式16》
W’[m]=ΣW’〈q〉 where q=1〜Q
そして、CPU64は、それまでディスプレイ68に表示されていた言わば正常時の輸送重量値W[m]に代えて、この式16に基づく暫定輸送重量値W’[m]をディスプレイ68に表示する。
これとは反対に、他方のロードセル24に異常が発生した場合、CPU64は、次の式17に基づいて、当該他方のロードセル24による荷重検出値W2〈q〉の正常値を推定し、つまり推定荷重検出値W2”〈q〉を求める。
《式17》
W2”〈q〉=W1〈q〉/(W1’〈q〉/W2’〈q〉)
=W1〈q〉/R’〈q〉
この式17から分かるように、CPU64は、他方のロードセル24による荷重検出値W2〈q〉の正常値が、一方のロードセル22による荷重検出値W1〈q〉との間で、W1’〈q〉/W2’〈q〉という推定比率R’〈q〉と同じ比率の関係にある、という根拠に基づいて、その推定値である推定荷重検出値W2”〈q〉を求める。そして、CPU64は、他方のロードセル24による荷重検出値W2〈q〉に代えて、この式17に基づく推定荷重検出値W2”〈q〉を用いて、1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の暫定的な輸送重量値W’〈q〉を求める。つまり、上述の式3に準拠する次の式18に基づいて、当該暫定輸送重量値W’〈q〉を求める。
《式18》
W’〈q〉=W1〈q〉+W2”〈q〉
さらに、CPU64は、上述の式16に基づいて、1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求める。そして、それまでディスプレイ68に表示されていた正常時の輸送重量値W[m]に代えて、当該式16に基づく暫定輸送重量値W’[m]をディスプレイ68に表示する。
このように、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したとしても、暫定輸送重量値W’[m]がディスプレイ68に表示される。即ち、被輸送物100の輸送量を求めるというコンベヤスケール12本来の機能が維持される。
なお、例えば一方のロードセル22に異常が発生したとき、当該一方のロードセル22による荷重検出値W1〈q〉に代えて、式14に基づく推定荷重検出値W1”〈q〉を用いるのではなく、上述の式6に基づく印加荷重推定値W1’〈q〉を用いて、1パルス相当距離ΔLz分の暫定輸送重量値W’〈q〉を求め、ひいては1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求めることも、考えられる。そして、他方のロードセル24に異常が発生したときには、当該他方のロードセル22による荷重検出値W2〈q〉に代えて、式17に基づく推定荷重検出値W2”〈q〉を用いるのではなく、上述の式8に基づく印加荷重推定値W2’〈q〉を用いて、1パルス相当距離ΔLz分の暫定輸送重量値W’〈q〉を求め、ひいては1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求めることも、考えられる。
しかし、式6に基づく一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’〈q〉は、当該式6から分かるように、その算出要素として被輸送物100の見かけ比重値Kを含む。式8に基づく他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’〈q〉もまた、その算出要素として見かけ比重値Kを含む。この見かけ比重値K(厳密には後述する実測見かけ比重値Kr)は、事前の調整作業において実測されるが、実際の稼働時において時間の経過と共に変化する。これは、見かけ比重値Kが、被輸送物100の状態によって変化し、例えば当該100被輸送物が濡れているか乾燥しているかや、粉粒状であるか塊状であるか等によって変化するからである。従って、見かけ比重値Kが変化すると、これに伴い、式6に基づく印加荷重推定値W1’〈q〉に誤差が生じ、式8に基づく印加荷重推定値W2’〈q〉にも誤差が生じる。ゆえに、このような誤差を持つ印加荷重推定値W1’〈q〉およびW2’〈q〉を用いて暫定輸送重量値W’[m]が求められるのは、好ましくない。
これに対して、式14に基づく一方のロードセル22についての推定荷重検出値W1”〈q〉は、見かけ比重値Kとは無関係である。即ち、改めて式14に注目すると、この式14には、一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’〈q〉と他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’〈q〉との相互比率W1’〈q〉/W2’〈q〉である推定比率R’〈q〉が含まれているので、一見すると、当該式14に基づく一方のロードセル22についての推定荷重検出値W1”〈q〉は、見かけ比重値Kを含んでいるように思われる。ところが、推定比率R’〈q〉を詳細に表すと、次の式19のようになる。
《式19》
R’〈q〉=W1’〈q〉/W2’〈q〉
={V1〈q〉・(D−d1〈q〉)+V2〈q〉・(D−d2〈q〉)+V3〈q〉・(D−d3〈q〉)+V4〈q〉・(D−d4〈q〉)}/{V1〈q〉・d1〈q〉+V2〈q〉・d2〈q〉+V3〈q〉・d3〈q〉+V4〈q〉・d4〈q〉}
=V22〈q〉/V24〈q〉
この式19において、見かけ比重値Kが相殺されており、つまり、推定比率R’〈q〉は、当該見かけ比重値Kとは無関係な値であることが分かる。また、推定比率R’〈q〉は、一方のロードセル22への印加荷重W1〈q〉に相当する体積値V22〈q〉と、他方のロードセル24への印加荷重W2〈q〉に相当する体積値V24〈q〉と、の相互比率V22〈q〉/V24〈q〉でもある。従って、この推定比率R’〈q〉と他方のロードセル24による荷重検出値W2〈q〉とを算出要素とする式14に基づく一方のロードセル22についての推定荷重検出値W1”〈q〉は、見かけ比重値Kとは無関係である。そして、式17に基づく他方のロードセル24についての推定荷重検出値W2”〈q〉もまた、見かけ比重値Kとは無関係である。ゆえに、異常発生時に、これらの推定荷重検出値W1”〈q〉またはW2”〈q〉を用いることで、見かけ比重値Kの如何に拘らず精確な暫定輸送重量値W’[m]求めることができる。言い換えれば、異常発生時においても、コンベヤスケール12本来の機能を比較的に高い精度で維持することができる。
より具体的に説明すると、CPU64は、上述の如くパルス信号Spの入力に合わせて各距離センサ30,32および34による距離測定値H1〈q〉,H2〈q〉およびH3〈q〉を認識すると、これらの距離測定値H1〈q〉,H2〈q〉およびH3〈q〉を当該各距離センサ30,32および34の設置位置のy軸値Hsから差し引くことによって、つまり次の式20に基づいて、図5に示すように、x−y直交座標における各ターゲット位置P1〈q〉,P2〈q〉およびP3〈q〉のy軸値b1〈q〉,b2〈q〉およびb3〈q〉を求める。
《式20》
b1〈q〉=Hs−H1〈q〉
b2〈q〉=Hs−H2〈q〉
b3〈q〉=Hs−H3〈q〉
これと同じ要領で、CPU64は、上述の1区分mにわたって各ターゲット位置P1〈q〉,P2〈q〉およびP3〈q〉のy軸値b1〈q〉,b2〈q〉およびb3〈q〉を求め、つまり当該y軸値b1〈q〉,b2〈q〉およびb3〈q〉をQ個ずつ求める。そして、次の式21に基づいて、それぞれのy軸値b1〈q〉,b2〈q〉およびb3〈q〉ごとに、1区分にわたっての平均値b1a[m],b2a[m]およびb3a[m]を求める。
《式21》
b1a[m]={Σb1〈q〉}/Q
b2a[m]={Σb2〈q〉}/Q
b3a[m]={Σb3〈q〉}/Q
where q=1〜Q
さらに、CPU64は、この式21に基づく平均y軸値b1[m],b2[m]およびb3[m]を利用して、上述した4つの領域それぞれの1区分mにおける平均面積A1a[m],A2a[m],A3a[m]およびA4a[m]を求める。例えば、A2a[m]という平均面積を持つ領域(図5において左側から2番目の領域)については、次の式22に基づいて、当該平均面積A2a〈q〉を求める。この式22によれば、図5に破線102で示される直線を一辺とする矩形の面積として、当該平均面積A2a〈q〉が近似的に求められる。
《式22》
A2a[m]≒{(b1a[m]+b2a[m])/2}・u
これと同様に、CPU64は、A3a[m]という平均面積を持つ領域(図5において左側から3番目の領域)について、次の式23に基づいて、当該平均面積A3a[m]を求める。この式23によれば、図5に破線104で示される直線を一辺とする矩形の面積として、当該平均面積A3a[m]が近似的に求められる。
《式23》
A3a[m]≒{(b2a[m]+b3a[m])/2}・u
そして、A1a[m]という平均面積を持つ領域(図5において左端の領域)については、CPU64は、この領域における被輸送物100の表面の形状が次の式24のような1次関数式f1(x)[m]に近似するものと仮定して、その平均面積A1a[m]を求める。なお、この式24におけるnは、被輸送物100の種類や性状等によって種々の値を取り得る正数の比例係数であり、後述する事前の調整作業によって決定される。
《式24》
f1(x)[m]=(1/n)・(x+u)+b1a[m]
この式24の1次関数式f1(x)[m]によれば、A1a[m]という平均面積を持つ領域における被輸送物100の表面形状は、図5に破線106で示されるように、1/nという一定の傾きを持つと共に、左端の距離センサ30による平均ターゲット位置P1[m]を通る直線によって、近似的に表現される。なお、この直線106がx軸と成す角度θが、被輸送物100の安息角に当たる。この安息角θは、比例係数nによって決まる。また、比例係数nによって、直線106とx軸との交点P1’[m]の位置も変わる。
その一方で、x−y直交座標におけるキャリア側ベルト14の上面形状が、所定の関数式によって、例えば2次関数式fb(x)によって、予め近似表現される。この2次関数式fb(x)は、例えばキャリア側ベルト14の上面形状(および寸法)の実測結果、或いは設計値に基づいて、決定される。
CPU64は、この2次関数式fb(x)に従う曲線(14)と、式24の1次関数式f1(x)[m]に従う直線106と、−uというx軸値を通りかつy軸に平行な直線と、によって囲まれる領域が、A1a[m]という平均面積を持つ領域であると仮定する。そして、この領域の平均面積A1a[m]を、次の式25に基づいて求める。なお、式25における−α1[m]は、1次関数式f1(x)[m]に従う直線106と2次関数式fb(x)に従う曲線(14)との交点P1”[m]のx軸値であり、f1(x)[m]=fb(x)の解として一義的に決まる。
《式25》
A1a[m]≒∫−α1[m] −u{f1(x)[m]−fb(x)}・dx
これと同様に、CPU64は、A4a[m]という平均面積を持つ領域(図5において右端の領域)について、この領域がA1a[m]という平均面積を持つ領域と互いに共役な関係があるものと仮定して、当該平均面積A4a[m]を求める。つまりまず、このA4a[m]という平均面積を持つ領域における被輸送物100の表面形状が、次の式26のような1次関数式f2(x)[m]に近似するものと仮定する。
《式26》
f2(x)[m]=−(1/n)・(x−u)+b3[m]
この式26の1次関数式f2(x)[m]によれば、A4a[m]という平均面積を持つ領域における被輸送物100の表面形状は、図5に破線108で示されるように、−1/nという一定の傾きを持つと共に、右端の距離センサ34による平均ターゲット位置P3[m]を通る直線によって、近似的に表現される。そして、比例係数nによって、この直線108とx軸とが成す角度θ、および当該直線108とx軸との交点P3’[m]の位置が変わる。
CPU64は、この式26の1次関数式f2(x)[m]に従う直線108と、上述のキャリア側ベルト14の上面形状を表す2次関数式fb(x)に従う曲線と、uというx軸値を通りかつy軸に平行な直線と、によって囲まれる領域が、A4a[m]という平均面積を持つ領域であると仮定する。そして、この領域の平均面積A4a[m]を、次の式27に基づいて求める。なお、式27におけるα3[m]は、1次関数式f2(x)[m]に従う直線108と2次関数式fb(x)に従う曲線(14)との交点P3”[m]のx軸値であり、f2(x)[m]=fb(x)の解として一義的に決まる。
《式27》
A4a[m]≒∫u α3[m]{f2(x)[m]−fb(x)}・dx
このようにして各領域の1区分mにおける平均面積A1a[m],A2a[m],A3a[m]およびA4a[m]が求められた後、CPU64は、これらの平均面積A1a[m],A2a[m],A3a[m]およびA4a[m]のそれぞれに1パルス相当距離ΔLzを乗ずることで、つまり上述の式5に準拠する次の式28に基づいて、当該それぞれの領域における1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の平均輸送体積値V1a[m],V2a[m],V3a[m]およびV4a[m]を求める。
《式28》
V1a[m]=A1a[m]・ΔLz
V2a[m]=A2a[m]・ΔLz
V3a[m]=A3a[m]・ΔLz
V4a[m]=A4a[m]・ΔLz
さらに、CPU64は、それぞれの領域ごとの平均重心位置を求め、詳しくはx軸上における当該領域ごとの平均重心位置g1a[m],g2a[m],g3a[m]およびg4a[m]を求める。例えば、A2a[m]という平均面積を持つ領域については、上述の如く矩形領域として近似表現されるので、この領域のx軸上における平均重心位置g2a[m]はg2a[m]≒−u/2とされる。そして、A3a[m]という平均面積を持つ領域についても同様に、矩形領域として近似表現されるので、この領域のx軸上における平均重心位置g3a[m]はg3a[m]≒u/2とされる。
また、A1a[m]という平均面積を持つ領域については、CPU64は、左端の距離センサ30による平均ターゲット位置P1[m]と、この平均ターゲット位置P1[m](または−uというx軸値)を通りかつy軸に平行な直線とキャリア側ベルト14の上面形状を表す上述の2次関数式fb(x)に従う曲線との交点B1と、当該2次関数式fb(x)に従う曲線(14)と上述の式24の1次関数式f1(x)[m]に従う直線106との交点P1”[m]と、を頂点とする三角形P1[m]B1P1”[m]によって近似表現する。そして、この三角形P1[m]B1P1”[m]のx軸上における重心位置を求め、この重心位置を当該A1a[m]という平均面積を持つ領域の平均重心位置g1a[m]とする。なお、B1という頂点に代えて、x軸上の−uという点C1を頂点とする三角形P1[m]C1P1”[m]によって、A1a[m]という平均面積を持つ領域を近似表現し、ひいては平均重心位置g1a[m]を求めてもよい。勿論、これ以外の要領によって、当該平均重心位置g1a[m]を求めてもよい。
これと同様に、A4a[m]という平均面積を持つ領域については、CPU64は、右端の距離センサ34による平均ターゲット位置P3[m]と、この平均ターゲット位置P3[m](またはuというx軸値)を通りかつy軸に平行な直線と2次関数式fb(x)に従う曲線(14)との交点B3と、当該2次関数式fb(x)に従う曲線(14)と上述の式26の1次関数式f2(x)[m]に従う直線108との交点P3”[m]と、を頂点とする三角形P3[m]B3P3”[m]によって近似表現する。そして、この三角形P3[m]B3P3”[m]のx軸上における重心位置を求め、この重心位置を当該A4a[m]という平均面積を持つ領域の平均重心位置g4a[m]とする。なお、B3という頂点に代えて、x軸上のuという点C3を頂点とする三角形P3[m]C3P3”[m]によって、A4a[m]という平均面積を持つ領域を近似表現し、ひいては平均重心位置g4a[m]を求めてもよい。勿論、これ以外の要領によって、当該平均重心位置g4a[m]を求めてもよい。
このようにして各領域の平均重心位置g1a[m],g2a[m],g3a[m]およびg4a[m]が求められると、CPU64は、図4を参照しながら説明したように、一方のロードセル22の設置位置である基準位置から当該各領域の平均重心位置g1a[m],g2a[m],g3a[m]およびg4a[m]までの距離d1a[m],d2a[m],d3a[m]およびd4a[m]を求める。そして、上述の式6に準拠する次の式29に基づいて、1区分mにおける一方のロードセル22への1パルス相当距離ΔLz分の平均印加荷重推定値W1a’[m]を求める。なお、この式29におけるKrは、見かけ比重値Kの実測値であり、後述する事前の調整作業によって実測される。また、V22a[m]は、1区分mにおける一方のロードセル22への1パルス相当距離ΔLz分の平均印加荷重W1a[m]に相当する体積値である。
《式29》
W1a’[m]=Kr・{V1a[m]・(D−d1a[m])+V2a[m]・(D−d2a[m])+V3a[m]・(D−d3a[m])+V4a[m]・(D−d4a[m])}/D
=Kr・V22a[m]
where V22a[m]={V1a[m]・(D−d1a[m])+V2a[m]・(D−d2a[m])+V3a[m]・(D−d3a[m])+V4a[m]・(D−d4a[m])}/D
これと同様に、CPU64は、上述の式8に準拠する次の式30に基づいて、1区分mにおける他方のロードセル24への1パルス相当距値ΔLz分の平均印加荷重推定値W2a’[m]を求める。なお、この式30におけるV24a[m]は、1区分mにおける他方のロードセル24への1パルス相当距離ΔLz分の平均印加荷重W2a[m]に相当する体積値である。
《式30》
W2a’[m]=Kr・{V1a[m]・d1a[m]+V2a[m]・d2a[m]+V3a[m]・d3a[m]+V4a[m]・d4a[m]}/D
=Kr・V24a[m]
where V24a[m]{V1a[m]・d1a[m]+V2a[m]・d2a[m]+V3a[m]・d3a[m]+V4a[m]・d4a[m]}/D
これと並行して、CPU64は、次の式31に基づいて、1区分mにおける一方のロードセル22による1パルス相当距離ΔLz分の平均荷重検出値W1a[m]を求めると共に、式32に基づいて、当該1区分mにおける他方のロードセル24による1パルス相当距離ΔLz分の平均荷重検出値W2a[m]を求める。
《式31》
W1a[m]={ΣW1〈q〉}/Q where q=1〜Q
《式32》
W2a[m]={ΣW2〈q〉}/Q where q=1〜Q
その上で、CPU64は、式29に基づく一方のロードセル22への平均印加荷重推定値W1a’[m]と、式31に基づく当該一方のロードセル22による平均荷重検出値W1a[m]と、の相互比率W1a[m]/W1a’[m]である一方側平均比率R1a[m]を、上述の式10に準拠する次の式33に基づいて求める。
《式33》
R1a[m]=W1a[m]/W1a’[m]
そして、CPU64は、この一方側平均比率R1a[m]が上述の式11に準拠する次の式34を満足するとき、一方のロードセル22が正常であると判定する。これとは反対に、式34が満足されないときは、一方のロードセル22に異常が発生したものと判定する。
《式34》
Rmin≦R1a[m]≦Rmax
これと同様に、CPU64は、式30に基づく他方のロードセル24への平均印加荷重推定値W2a’[m]と、式32に基づく当該他方のロードセル24による平均荷重検出値W2a[m]と、の相互比率W2a[m]/W2a’[m]である他方側平均比率R2a[m]を、上述の式12に準拠する次の式35に基づいて求める。
《式35》
R2a[m]=W2a[m]/W2a’[m]
そして、CPU64は、この他方側平均比率R2a[m]が上述の式13に準拠する次の式36を満足するとき、他方のロードセル24が正常であると判定する。これとは反対に、式36が満足されないときは、他方のロードセル24に異常が発生したものと判定する。
《式36》
Rmin≦R2a[m]≦Rmax
この判定要領によって各ロードセル22およびのいずれかに異常が発生したと判定されると、CPU64は、その旨を表すメッセージをディスプレイ68に表示する。併せて、CPU64は、各ロードセル22および24のいずれに当該異常が発生したのかを表すメッセージをもディスプレイ24に表示する。さらに、CPU64は、異常が発生した側のロードセル22または24が正常であれば得られるであろう当該ロードセル22または24による平均荷重検出値W1a[m]またはW2a[m]を推定する。
例えば、一方のロードセル22に異常が発生した場合、CPU64は、上述の式14に準拠する次の式37に基づいて、当該一方のロードセル22が正常であれば得られるであろう平均荷重検出値W1a[m]を推定し、言わば推定平均荷重検出値W1a”[m]を求める。
《式37》
W1a”[m]=(W1a’[m]/W2a’[m])・W2a[m]
=Ra’[m]・W2a[m]
where Ra’[m]=W1a’[m]/W2a’[m]
そして、CPU64は、一方のロードセル22による平均荷重検出値W1a[m]に代えて、この式37に基づく推定平均荷重検出値W1a”[m]を用いて、1区分mにおける1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求める。つまり、上述の式15(および式3)に準拠する次の式38に基づいて、当該暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求める。
《式38》
Wa’[m]=W1a”[m]+W2a[m]
さらに、CPU64は、この式38に基づく暫定平均輸送重量値Wa’[m]に1区分m分のパルス信号Spのパルス数Qを乗ずることで、つまり次の式39に基づいて、当該1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求める。そして、それまでディスプレイ68に表示されていた正常時の輸送重量値W[m]に代えて、この式39に基づく暫定輸送重量値W’[m]をディスプレイ64に表示する。
《式39》
W’[m]=Wa’[m]・Q
これとは反対に、他方のロードセル24に異常が発生した場合、CPU64は、上述の式17に準拠する次の式40に基づいて、当該他方のロードセル24が正常であれば得られるであろう平均荷重検出値W2a[m]を推定し、つまり推定平均荷重検出値W2a”[m]を求める。
《式40》
W2a”[m]=W1a[m]/(W1a’[m]/W2a’[m])
=W1a[m]/Ra’[m]
そして、CPU64は、他方のロードセル24による平均荷重検出値W2a[m]に代えて、この式40に基づく推定平均荷重検出値W2a”[m]を用いて、1区分mにおける1パルス相当距離ΔLz分の被輸送物100の暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求める。つまり、上述の式18(および式3)に準拠する次の式41に基づいて、当該暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求める。
《式41》
Wa’[m]=W1a[m]+W2a”[m]
さらに、CPU64は、この式41に基づく暫定平均輸送重量値Wa’[m]に1区分m分のパルス信号Spのパルス数Qを乗ずることで、つまり上述の式39に基づいて、当該1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求める。そして、それまでディスプレイ68に表示されていた正常時の輸送重量値W[m]に代えて、この暫定輸送重量値W’[m]をディスプレイ64に表示する。
ところで、上述した事前の調整作業においては、操作キー72の操作によって許容下限値Rminおよび許容上限値Rmaxが適宜に設定される。併せて、次の要領で実測見かけ比重値Krが求められると共に、比例係数nが決定される。
まず、各ロードセル22および24がいずれも正常であることが確認された上で、実測見かけ比重値Krを求めるべく、所定(既知)の体積Vr分の被輸送物100の重量Wrが、本第1実施形態のコンベヤスケール10によって実測される。なお、この実測は、本第1実施形態のコンベヤスケール10とは別の計量器によって行われてもよい。そして、次の式42に基づいて、実測見かけ比重値Krが求められる。求められた実測見かけ比重値Krは、メモリ回路70に記憶される。
《式42》
Kr=Wr/Vr
続いて、比例係数nを決定するべく、所定期間、例えば1区分mにわたって、上述の式20に基づいて、各距離センサ30,32および34によるターゲット位置P1〈q〉,P2〈q〉およびP3〈q〉のy軸値b1〈q〉,b2〈q〉およびb3〈q〉が求められる。そして、式21に基づいて、当該1区分mにわたっての平均y軸値b1a[m],b2a[m]およびb3a[m]が求められる。これと並行して、式4に基づいて、1区分m分の輸送重量値W[m]が求められる。そして、この輸送重量値W[m]が、1区分m分のパルス信号Spのパルス数Qによって除されることで、つまり次の式43に基づいて、当該1区分mにおける1パルス相当距離ΔLz分の平均輸送重量値Wa[m]が求められる。
《式43》
Wa[m]=W[m]/Q
ここで、式21に基づく平均y軸値b1a[m],b2a[m]およびb3a[m]から求められる上述した4つの領域の各平均面積A1a[m],A2a[m],A3a[m]およびA4a[m]と、式43に基づく平均輸送重量値Wa[m]と、の間には、理想的には次の式44によって表される関係がある。
《式44》
Kr・(A1a[m]+A2a[m]+A3a[m]+A4a[m])・ΔLz=Wa[m]
この式44の左辺は、比例係数nによって変わる。言い換えれば、この式44が満足されるような比例係数nが求められれば、この比例係数nを含む上述の式24および式26によって被輸送物100の(A1a[m]という平均面積を持つ左端の領域およびA4a[m]という平均面積を持つ右端の領域それぞれの)表面形状が適切に近似表現される。そこで、この式44が満足されるような比例係数nが求められる。そして、求められた比例係数nは、メモリ回路70に記憶される。これをもって、事前の調整作業が終了する。
以上のように、本第1実施形態によれば、重量測定系の各ロードセル22および24とは別に、当該重量測定系の働長Ld内をターゲットとするように非接触型測定系の複数の距離センサ30,32および34が設置されており、これら複数の距離センサ30,32および34からの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3を利用して、各ロードセル22および34に故障等の異常が発生していないかどうかの監視が行われる。従って、各ロードセル22および24に異常が発生したときに、これを正確に検知することができる。しかも、この異常検知は、コンベヤスケール10が稼働したままの状態で、つまり当該コンベヤスケール10を停止させることなく、実現される。さらに、異常が発生したときでも、被輸送物100の暫定輸送量W’[m]が精確に求められ、つまりコンベヤスケール10本来の機能が高精度で維持される。
なお、本第1実施形態で説明した内容は、本発明を実現するための1つの具体例であり、本発明を限定するものではない。
例えば、ディスプレイ68に表示されるメッセージを、これに代えて、またはこれに加えて、音声で出力してもよい。勿論、ブザー等の警告音を出力してもよい。
そして、上述した比例係数nの決定に際して、式44が満足されるような当該比例係数nが決定されることとしたが、これに限らない。例えば、次の要領に従ってもよい。
即ち、複数区分M(M;2以上の整数)にわたって1区分mごとに式44に準拠する次の式45が組み立てられる。なお、この式43における平均輸送重量値Wa[m]は、上述の式41に基づいて求められたものである。
《式45》
Ki[m]=Wa[m]/{(A1a[m]+A2a[m]+A3a[m]+A4a[m])・ΔLz}
この式45において、左辺のKi[m]は、仮の見かけ比重値であり、この仮の見かけ比重値Ki[m]は、当該式45の右辺(のA1a[m]およびA4a[m])に含まれる比例係数nによって変わる。そこで、この比例係数nとして種々の値が適用されたときの当該式45に基づく仮の見かけ比重値Ki[m]が、複数区分Mにわたって1区分mごとに求められる。そして、この複数区分Mにわたる(つまり比例係数nごとにM個の)仮の見かけ比重値Ki[m]のバラツキが最小となる比例係数nが、その最終的な値として決定されてもよい。
さらに、実際の稼働時に、適宜のタイミングで、例えば定期的に或いは操作キー72からの命令に応じて、比例係数nが更新されてもよい。この場合、各ロードセル22および24のいずれも正常であることが条件とされる。また、式44および式45のいずれに基づく当該比例係数nの決定要領が採用されてもよい。
加えて、上述した式33に基づく一方側平均比率R1a[m]が式34を満足するか否かによって一方のロードセル22が正常であるか否かが判定されると共に、式35に基づく他方側平均比率R2a[m]が式36を満足するか否かによって他方のロードセル24が正常であるか否かが判定されることとしたが、これに限らない。例えば、一方のロードセル22については、上述の式29に基づく当該一方のロードセル22への平均印加荷重推定値W1a’[m]と、式31に基づく当該一方のロードセル22による平均荷重検出値W1a[m]と、の相対差ΔW1a[m]が、次の式46に基づいて求められると共に、この相対差ΔW1a[m]が所定の許容相対差ΔWq以下(ΔW1a≦ΔWq)であるときに、当該一方のロードセル22が正常であると判定され、そうでないときに(ΔW1a>ΔWq)、当該一方のロードセル22に異常が発生したものと判定されてもよい。なお、許容相対差ΔWqの具体値としては、例えば平均荷重検出値W1a[m]の正常値として想定される値の10%〜30%程度の値が適当である。
《式46》
ΔW1a[m]=|W1a[m]−W1a’[m]|
これと同様に、他方のロードセル24については、上述の式30に基づく当該他方のロードセル24への平均印加荷重推定値W2a’[m]と、式32に基づく当該他方のロードセル24による平均荷重検出値W2a[m]と、の相対差ΔW2a[m]が、次の式47に基づいて求められると共に、この相対差ΔW2a[m]が許容相対差ΔWq以下(ΔW2a≦ΔWq)であるときに、当該他方のロードセル24が正常であると判定され、そうでないときに(ΔW2a>ΔWq)、当該他方のロードセル24に異常が発生したものと判定されてもよい。
《式47》
ΔW2a[m]=|W2a[m]−W2a’[m]|
なお、これらの式46および式47を用いての判定要領によれば、平均荷重検出値W1a[m](およびW2a[m])の正常値として想定される値の大きさによって、つまり被輸送物100の輸送量の規模によって、言わば判定基準である許容相対差ΔWqの適当値が変わる。従って、被輸送物100の輸送量の規模に応じて、当該許容相対差ΔWqを適宜に設定する必要がある。これに対して、式33〜式36を用いての判定要領によれば、そのような必要はないので、簡潔かつ確実な判定が実現される。
さらに、一方のロードセル22に異常が発生したとき、上述の式37に基づいて、当該一方のロードセル22についての推定平均荷重検出値W1a”[m]が求められたが、これに限らない。例えば、次の式48に基づいて、当該推定平均荷重検出値W1a”[m]が求められてもよい。この式48は、一方のロードセル22による平均荷重検出値W1a[m]の正常値が、当該一方のロードセル22についての推定平均荷重検出値W1a’[m]との間で、W2a[m]/W2a’[m]という他方側比率R2a[m]と同じ比率の関係にある、という根拠に基づく。
《式48》
W1a”[m]=R2a[m]・W1a’[m]
=(W2a[m]/W2a’[m])・W1a’[m]
∵ R2a[m]=W2a[m]/W2a’[m]
これと同様に、他方のロードセル24に異常が発生したとき、上述の式40に基づいて、当該他方のロードセル24についての推定平均荷重検出値W2a”[m]が求められたが、これに代えて、次の式49に基づいて、当該推定平均荷重検出値W2a”[m]が求められてもよい。この式49は、他方のロードセル24による平均荷重検出値W2a[m]の正常値が、当該他方のロードセル24についての推定平均荷重検出値W2a’[m]との間で、W1a[m]/W1a’[m]という一方側比率R1a[m]と同じ比率の関係にある、という根拠に基づく。
《式49》
W2a”[m]=R1a[m]・W2a’[m]
=(W1a[m]/W1a’[m])・W2a’[m]
∵ R1a[m]=W1a[m]/W1a’[m]
また、各距離センサ30,32および34は、各ロードセル22および24を含む重量測定系の働長Ldの中間位置をターゲットとするよう設置されたが、働長Ld内における当該中間位置以外の位置をターゲットとするよう設置されてもよいし、働長Ld以外の位置をターゲットとするよう設置されてもよい。ただし、各距離センサ30,32および34が働長Ldの中間位置以外の位置、特に当該働長Ld以外の位置を、ターゲットとするよう設置される場合は、次のようなタイミング補正が施されるのが、望ましい。例えば、各距離センサ30,32および34が働長Ldの中間位置よりも或る距離Lsだけ上流側の位置をターゲットとするよう設置される場合は、当該各距離センサ30,32および34からの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3がLs/ΔLzだけ遅延(時間的にシフト)される。そして、この遅延後の距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3に基づいて、各ロードセル22および24についての印加荷重推定値W1’およびW2’が求められ、この言わばタイミング補正後の印加荷重推定値W1’およびW2’が、各ロードセル22および24についての異常の有無の判定のための当該各ロードセル22および24による荷重検出値W1およびW2との比較や、それ以降の処理に供せられる。これとは反対に、各距離センサ30,32および34が働長Ldの中間位置よりも或る距離Lsだけ下流側の位置をターゲットとするよう設置される場合は、各ロードセル22および24からの荷重検出信号Sw1およびSw2がLs/ΔLzだけ遅延される。そして、この遅延後の荷重検出信号Sw1およびSw2が、各距離センサ30,32および34からの距離測定信号Sd1,Sd2およびSd3に基づく印加荷重推定値W1’およびW2’との比較や、それ以降の処理に供せられる。このようなタイミング補正が施されることによって、各距離センサ30,32および34が重量測定系の働長Ldの中間位置にあるときと同様の結果が得られる。なお、タイミング補正の要領は、ここで説明した以外にも種々考えられるが、いずれの要領が採用されてもよい。
さらに、本第1実施形態においては、2台のロードセル22および24が具備される場合を例に挙げて説明したが、これ以外の台数のロードセルが具備される場合にも、本発明を適用することができる。例えば、図6に示すように、4台のロードセル122,124,222および224が具備される場合、詳しくは2つの計量ローラ120および220が具備されており、一方の計量ローラ120の両端近傍が2台のロードセル122および124によって支持され、他方の計量ローラ220の両端近傍が別の2台のロードセル222および224によって支持されている場合は、これらのロードセル122,124,222および224は、当該各計量ローラ120および220の一方端側にあるものと他方端側にあるものとに分かれて取り扱われる。即ち、各計量ローラ120および220の一方端側にある2台のロードセル122および222からの荷重検出信号Sw11およびSw12が互いに加算されて、一方側の荷重検出信号Sw1として処理される。そして、各計量ローラ120および220の他方端側にある2台のロードセル124および224からの荷重検出信号Sw21およびSw22が互いに加算されて、他方側の荷重検出信号Sw2として処理される。これら2つの荷重検出信号Sw1およびSw2の具体的な処理要領については、上述と同様であるので、ここでの説明は省略する。なお、各距離センサ30,32および34は、各計量ローラ120および220の中間位置、つまり働長Ldの中間位置に、設置される。図6の構成における働長Ldは、例えば計量ローラ120および220を含む各ローラ20,20,…間のピッチがLaであるとき、このピッチLaの2倍(Ld=2・La)である。
そして、距離センサ30,32および34についても、3台に限らず、2台または4台以上であってもよい。例えば、図7に示すように、2台の距離センサ30および32が具備される場合は、これらの距離センサ30および32は、y軸に関して互いに対称な位置に設置されるのが望ましい。詳しくは、一方の距離センサ30は、−uというx軸値でありかつHsというy軸値の位置、つまり図5におけるのと同じ位置に、設置され、他方の距離センサ32は、uというx軸値でありかつHsというy軸値の位置、要するに図5における右端の距離センサ34と同じ位置に、設置される。そして、これらの距離センサ30および32からの距離測定信号Sd1およびSd2に基づいて、当該各距離センサ30および32による距離測定値H1およびH2が認識され、これらの距離測定値H1およびH2に基づいて、当該各距離センサ30および32によるターゲット位置P1およびP2が求められ、厳密には当該各ターゲット位置P1およびP2のy軸値b1およびb2が求められる。さらに、各ターゲット位置P1およびP2を通る直線110とy軸との交点P0が、仮想ターゲット位置として特定される。そして、この仮想ターゲット位置P0についても、そのy軸値b0が求められる。
その上で、仮想ターゲット位置P0を含む各ターゲット位置P1,P0およびP2のx軸値を境界として、仮想平面による被輸送物100の断面がx軸方向において4つの領域に分割される。つまり、図5(および図4)を参照しながら説明したのと同様に、x軸値が−u未満の領域と、x軸値が−u以上かつ0未満の領域と、x軸値が0以上かつu未満の領域と、x軸値がu以上の領域とに、分割される。そして、これらの領域の面積A1,A2,A3およびA4が求められる。各面積A1,A2,A3およびA4の求め方を含め、これ以降の処理については、図5を参照しながら説明したのと同様であるので、ここでの説明を省略する。なお、当該処理に当たっては、図7におけるH2,P2,b2,C2,P2’,P2”およびα2は、図5におけるH3,P3,b3,C3,P3’,P3”およびα3に対応する。そして、図7におけるP0およびb0は、図5におけるP2およびb2に対応する。
加えて、図7の構成において、例えば図5の構成と同様に2台のロードセル22および24が具備されている場合は、次の要領によっても、当該2台のロードセル22および24それぞれに異常が発生していないかどうかを判定することができる。
即ち、一方のロードセル22による荷重検出値W1は、各距離センサ30および32によるターゲット位置P1およびP2のy軸値b1およびb2との間で、次の式50のような関係にある、と仮定される。なお、この式50におけるβ1およびβ2は、一定の係数である。
《式50》
W1≒β1・b12+β2・b22
この式50によれば、左辺の荷重検出値W1は、右辺のb12およびb22という各2乗値、言わば面積値、に相関する、と仮定される。そうすると、右辺の各係数β1およびβ2には、見かけ比重値Kとキャリア側ベルト14の単位走行距離Lとが含まれることになる。
これと同様に、他方のロードセル24による荷重検出値W2は、各距離センサ30および32によるターゲット位置P1およびP2のy軸値b1およびb2との間で、次の式51のような関係にある、と仮定される。なお、この式51におけるγ1およびγ2もまた、一定の係数である。
《式51》
W2≒γ1・b12+γ2・b22
この式51に関しても、左辺の荷重検出値W2は、右辺のb12およびb22という各2乗値によって表される面積値に相関する、と仮定される。そして、右辺の各係数γ1およびγ2には、見かけ比重値Kとキャリア側ベルト14の単位走行距離Lとが含まれる。
このような仮定の下、事前の調整作業において、多数の(例えば1区分m分(つまりQ個)の)各荷重検出値W1およびW2と各y軸値b1およびb2とが取得される。そして、これらが式50および式51に代入されることによって、多数の当該式50および式51が組み立てられ、さらに、これら多数の式50および式51が最小2乗法等の回帰分析法に適用されることによって、各係数β1,β2,γ1およびγ2が求められる。
このようにして各係数β1,β2,γ1およびγ2が求められると、一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’を求めるための次の式52が、上述の式50に準拠して組み立てられる。併せて、他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’を求めるための式53が、式51に準拠して組み立てられる。そして、これらの式52および式53に、当該各係数β1,β2,γ1およびγ2が適用される。
《式52》
W1’≒β1・b12+β2・b22
《式53》
W2’≒γ1・b12+γ2・b22
このうちの式52に基づく印加荷重推定値W1’と一方のロードセル22による実際の荷重検出値W1との比較によって、つまり上述の式33が式34を満足するか否かによって、当該一方のロードセル22に異常が発生していないかどうかの判定が成される。併せて、式47に基づく印加荷重推定値W2’と他方のロードセル24による実際の荷重検出値W2との比較によって、つまり上述の式35が式36を満足するか否かによって、当該他方のロードセル24に異常が発生していないかどうかの判定が成される。このような比較的に簡易な判定要領もある。
さらに、本第1実施形態においては、位置検出手段として、赤外線反射式の距離センサ30,32および34ものを採用したが、レーザ式や超音波式等の当該赤外線反射式以外のものを採用してもよい。また、一方向測定タイプのものではなく、多方向測定タイプのものを採用してもよい。この多方向測定タイプのものであれば、1台のみで足りる。
そして、キャリア側ベルト14については、水平方向に沿って走行するものとしたが、或る傾斜角を持って走行するものであってもよい。加えて、当該キャリア側ベルト14は、概略トラフ形に整形されたものではなく、例えば平らな平ベルトであってもよい。
また、走行距離検出手段として、ロータリ式のパルス発生器28を採用したが、これに限らない。例えば、キャリア側ベルト14を含むコンベヤベルトに、その走行方向に沿って一定間隔で適当なマークを付すと共に、このマークを光学式等の適当なセンサによって検出することで、当該キャリア側ベルト14の走行距離を検出するようにしてもよい。或いは、上述の特許文献2に開示されているのと同様に、位置検出手段としての各距離センサ30,32および34のいずれかの上流側または下流側に同じ仕様の距離センサを設け、これら両センサによって被輸送物100の表面の同じ位置を検知することによって、当該両センサ間の距離に相当する距離をキャリア側ベルト14が走行したことを検出する構成であってもよい(言い換えれば、両センサによって被輸送物100の表面の同じ位置を検知したときの時間差に基づいて、キャリア側ベルト14の走行速度を求めてもよい)。
次に、本発明の第2実施形態について、説明する。
本第2実施形態は、ハードウェア構成としては、上述の第1実施形態と基本的に同様であり、ソフトウェア構成のみ、厳密には各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定要領のみ、当該第1実施形態と異なる。従って、本第2実施形態のうち、第1実施形態と同様部分については、その詳細な説明を省略する。
即ち、上述したように、第1実施形態においては、一方のロードセル22による実際の荷重検出値W1と当該一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’との比較によって、当該一方のロードセル22に異常が発生していないかどうかの判定が成され、他方のロードセル24による実際の荷重検出値W2と当該他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’との比較によって、当該他方のロードセル24に異常が発生していないかどうかの判定が成された。これに対して、本第2実施形態においては、一方のロードセル22による実際の荷重検出値W1と他方のロードセル24による実際の荷重検出値W2との相互比率W1/W2である言わば実測比率Rと、一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’と他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’と相互比率W1’/W2’である推定比率R’と、の比較によって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が成される。
より具体的には、CPU64は、上述の式31に基づいて、1区分mにおける一方のロードセル22による1パルス相当距離ΔLz分の平均荷重検出値W1a[m]を求めると共に、上述の式32に基づいて、当該1区分mにおける他方のロードセル24による1パルス相当距離ΔLz分の平均荷重検出値W2a[m]を求めた後、さらに、次の式54に基づいて、これら各平均荷重検出値W1a[m]およびW2a[m]の相互比率W1a[m]/W2a[m]である平均実測比率Ra[m]を求める。
《式54》
Ra[m]=W1a[m]/W2a[m]
併せて、CPU64は、上述の式19に準拠する次の式55に基づいて、上述の式29に基づく1区分mにおける一方のロードセル22への1パルス相当距離ΔLz分の平均印加荷重推定値W1a’[m]と、上述の式30に基づく当該1区分mにおける他方のロードセル24への1パルス相当距値ΔLz分の平均印加荷重推定値W2a’[m]と、の相互比率W1a’[m]/W2a’[m]である平均推定比率Ra’[m]を求める。
《式55》
Ra’[m]=W1a’[m]/W2a’[m]
={V1a[m]・(D−d1a[m])+V2a[m]・(D−d2a[m])+V3a[m]・(D−d3a[m])+V4a[m]・(D−d4a[m])}/{V1a[m]・d1a[m]+V2a[m]・d2a[m]+V3a[m]・d3a[m]+V4a[m]・d4a[m]}
=V22a[m]/V24a[m]
この式55から分かるように、平均推定比率Ra’[m]は、一方のロードセル22への平均印加荷重W1a[m]に相当する体積値V22a[m]と、他方のロードセル24への平均印加荷重W2a[m]に相当する体積値V22a[m]と、の相互比率V22a[m]/V24a[m]でもある。つまり、当該平均推定比率Ra’[m]は、上述の式29および式30に基づく各平均印加荷重推定値W1a’[m]およびW2a’[m]を算出することなく、言い換えれば被輸送物100の見かけ比重値Kとは無関係に、求めることができる。従って、CPU64は、式29および式30に基づく各平均印加荷重推定値W1a’[m]およびW2a’[m]の算出を行うことなく、直接的にこの式55に基づいて、平均推定比率Ra’[m]を求める。
この式55に基づく平均推定比率Ra’[m](=W1a’[m]/W2a’[m])は、各ロードセル22および24がいずれも正常なときには、式54に基づく平均実測比率Ra[m](=W1a[m]/W2a[m])と同値または近似した値になる。つまり、次の式56が満足される。
《式56》
Ra[m]≒Ra’[m]
これに対して、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生すると、この異常が発生した側の平均荷重検出値W1a[m]またはW2a[m]が異常値になるため、平均実質比率Ra[m]もまた異常値になり、この結果、当該平均実質比率Ra[m]と平均推定比率Ra’[m]とが互いに乖離する。つまり、式56が満足されなくなる。
この点に着目して、CPU64は、式56が満足されるかどうかに基づいて、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかを判定する。つまり、式56が満足されるときは、各ロードセル22および24のいずれも正常であり、当該式56が満足されないときは、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したものと判定する。ただし、式56が満足されるか否かを、当該式56から直接的に判定することはできないので、厳密には、次のようにして判定が成される。
即ち、CPU64は、式54に基づく平均実測比率Ra[m]と、式55に基づく平均推定比率Ra’[m]と、の相互比率Ga[m]を、次の式57に基づいて求める。
《式57》
Ga[m]=Ra[m]/Ra’[m]
この相互比率Ga[m]は、理想的にはGa[m]=1である。CPU64は、この相互比率Ga[m]がその理想値である1を中心とする所定の許容範囲内に入るとき、詳しくは次の式58が満足されるときは、一方のロードセル22および他方のロードセル24のいずれも正常であると判定する。そして、式58が満足されないときには、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したものと判定する。なお、この式58における許容下限値Gminは、例えば0.7〜0.9程度が適当であり、許容上限値Gmaxは、例えば1.1〜1.3程度が適当である。勿論、これ以外の値であってもよい。これらの許容下限値Gminおよび許容上限値Gmaxは、事前の調整作業において適宜に設定される。
《式58》
Gmin≦Ga[m]≦Gmax
この判定要領によって各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したことが検知されると、CPU64は、その旨を表すメッセージをディスプレイ68に表示する。ただし、この判定要領によれば、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したとき、この異常が当該ロードセル22および24のいずれに発生したのかを判定することができない。そこで、CPU64は、当該異常が各ロードセル22および24のいずれに発生したのかの判定をさらに行う。
そのためにまず、CPU64は、上述の式29に基づいて、一方のロードセル22についての平均印加荷重推定値W1a’[m]を求める。つまり、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したときに初めて、当該式29に基づく平均印加荷重推定値W1a’[m]の算出が行われる。
そして、CPU64は、上述の式33に基づいて、一方側平均比率R1a[m]を求め、さらに、この一方側平均比率R1a[m]が上述の式34を満足するか否かに基づいて、一方のロードセル22が正常であるか否かを判定する。つまり、式34が満足されるとき、一方のロードセル22は正常であると判定し、当該式34が満足されないとき、一方のロードセル22に異常が発生したものと判定する。そして例えば、一方のロードセル22に異常が発生したときは、第1実施形態と同様、CPU64は、当該一方のロードセル22に異常が発生したことを表すメッセージをディスプレイ68に表示する。その上で、CPU64は、上述の式37に基づいて一方のロードセル22についての推定平均荷重検出値W1a”[m]を求め、加えて、式38に基づいて暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求め、さらに、式39に基づいて1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求め、これをディスプレイ68に表示する。
なお、一方のロードセル22が正常であるとき、つまり上述の式34が満足されたときは、CPU64は、上述の式30に基づいて、他方のロードセル24についての平均印加荷重推定値W2a’[m]を求める。即ち、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生し、かつ、一方のロードセル22が正常であることが判明したときに初めて、当該式30に基づく平均印加荷重推定値W2a’[m]の算出が行われる。
そして、CPU64は、上述の式35に基づいて、他方側平均比率R2a[m]を求め、さらに、この他方側平均比率R2a[m]が上述の式36を満足するかどうかを確認する。式36が満足されることを確認すると、CPU64は、他方のロードセル24に異常が発生したものと判定し、その旨を表すメッセージをディスプレイ68に表示する。そして、CPU64は、上述の式40に基づいて他方のロードセル24についての推定平均荷重検出値W2a”[m]を求め、式41に基づいて暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求め、さらに、式39に基づいて1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求め、これをディスプレイ68に表示する。
なお、本第2実施形態における事前の調整作業においては、第1実施形態におけるときと同様の要領で、実測見かけ比重値Krが求められると共に、比例係数nが決定される。そして、操作キー72の操作によって、式58における許容下限値Gminおよび許容上限値Gmaxが適宜に設定される。
このように、本第2実施形態によっても、第1実施形態と同様、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したときに、これを正確に検知することができる。そして、この異常が発生したときでも、被輸送物100の輸送量を求めるというコンベヤスケール10本来の機能が高精度で維持される。
また、本第2実施形態においては、上述の式57に基づく相互比率Ga[m]が式58を満足するかどうかによって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が成されるが、この判定要領によれば、被輸送物100の見かけ比重値Kの如何に拘らず正確な判定が実現される。つまり、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかを判定する点では、上述した第1実施形態よりも、本第2実施形態の方が、優越的である。
加えて、本第2実施形態によれば、上述の如く被輸送物100の見かけ比重値Kの如何に拘らず異常の有無の判定を正確に実現することができるので、当該判定の基準となる式58に示した許容範囲を、例えば第1実施形態における式34および式36(式11および式13)に示した許容範囲よりも狭めることができる。従って例えば、異常の程度が小さいうちに、当該異常が発生した側のロードセル22または24を特定し、その異常発生側のロードセル22または24についての推定荷重検出値W1”またはW2”を正常な側のロードセル24および22による荷重検出値W2またはW1に基づいて求め、ひいては精確な暫定輸送重量値W’を求めることができる。つまり、異常発生時に迅速に対処することができる。
なお、本第2実施形態で説明した内容もまた、第1実施形態で説明したのと同様、本発明を実現するための1つの具体例であり、本発明を限定するものではない。つまり、本第2実施形態においても、第1実施形態と同様のバリエーションが考えられる。
特に、上述の式57に基づく相互比率Ga[m]が式58を満足するかどうかによって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が成されることとしたが、これに限らない。例えば、式54に基づく平均実測比率Ra[m]と、式55に基づく平均推定比率Ra’[m]と、の相対差ΔRa[m]が、次の式59に基づいて求められると共に、この相対差ΔRa[m]が所定の許容相対差ΔRq以下(ΔRa[m]≦ΔRq)であるときに、各ロードセル22および24のいずれもが正常であると判定され、そうでないときに(ΔRa[m]>ΔRq)に、当該各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したものと判定されてもよい。なお、許容相対差ΔRqの具体値は、適宜に設定されるのが望ましく、例えば相対差ΔRa[m]のバラツキを考慮して設定されるのが望ましい。
《式59》
ΔRa[m]=|Ra[m]−Ra’[m]|
また、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したときに、この異常が当該各ロードセル22および24のいずれに発生したのかを判定するのに、上述の式33〜式36を用いての判定要領が採用されたが、これに限らない。例えば、第1実施形態で説明した式46に基づく一方のロードセル22についての相対差ΔW1a[m]と、式47に基づく他方のロードセル24についての相対差ΔW2a[m]と、が求められると共に、これらの相対差ΔW1a[m]およびΔW2a[m]が互いに比較されることによって、各ロードセル22および24のいずれに異常が発生したのかの判定が成されてもよい。詳しくは、次の式60が満足されるとき、一方のロードセル22に異常が発生したものと判定され、当該式60が満足されないとき、他方のロードセル24に異常が発生したものと判定されてもよい。
《式60》
ΔW1a[m]>ΔW2a[m]
なお、この式60を用いての判定要領によれば、一方のロードセル22への平均印加荷重W1a[m](体積値V22a[m])と他方のロードセル24への平均印加荷重W2a[m](体積値V24a[m])とが互いに等価であるときは、正確な判定が実現されるが、両者W1a[m]およびW2a[m]に差異があるときは、判定の正確さを欠くことになる。従って、判定の正確さに万全を期するためには、この式60を用いての判定要領よりも、上述の式33〜式36を用いての判定要領の方が、優越的である。
さらに、第1実施形態で説明した式52に基づく一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’と、式53に基づく他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’と、の相互比率W1’/W2’をもって、推定比率R’とされてもよい。そして、この推定比率R’と実測比率R(=W1/W2)との比較によって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が成されてもよい。
加えて、稼働時に実際の見かけ比重値Kが変化した場合に、これに対処するべく、適宜のタイミングで、例えば定期的にまたは操作キー72の操作に応じて、実測見かけ比重値Krが更新されてもよい。具体的には、当該適宜のタイミングで、各ロードセル22および24による荷重検出値W1およびW2に基づいて被輸送物100の所定単位当たりの輸送重量値Wrが求められると共に、各距離センサ30,32および34による距離測定値H1,H2およびH3に基づいて当該輸送重量値Wrに対応する輸送体積値Vrが求められ、さらに、これら輸送重量値Wrと輸送体積値Vrとが上述の式42に適用されることで実測見かけ比重値Krが求められる。そして、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したことが判明すると、この異常が当該各ロードセル22および24のいずれに発生したのかを判定するべく、最新のまたはそれよりも少し前に求められた実測見かけ比重値Krが、上述の式29に適用される。これにより、当該式29に基づく平均印加荷重推定値W1a’[m]が精確に求められ、これ以降、上述の如く式33および式34を用いて一方のロードセル22が正常であるか否かの判定が成される。そして、一方のロードセル22が正常である場合は、式29に適用されたのと同じ実測見かけ比重値Krが、式30に適用される。これにより、当該式30に基づく平均印加荷重推定値W2a’[m]が精確に求められ、これ以降、上述の如く式35および式36を用いて他方のロードセル24が正常であるか否かの判定が成される。このように実測見かけ比重値Krが適宜に更新されることによって、実際の見かけ比重値Kが変化することによる影響、特に異常発生時の当該異常が各ロードセル22および24のいずれに発生したのかの判定に際しての影響が、大いに低減される。
また極端には、異常の発生が検知されたときに初めて、手作業によって(言わばオフライン的に)実測見かけ比重値Krが更新されてもよい。具体的には、一方のロードセル12および他方のロードセル14のいずれかに異常が発生したことが検知されると、手作業によってベルトコンベヤ12(キャリア側ベルト14)上から被輸送物100の一部がサンプルとして採取される。そして、このサンプルの重量Wrが別の計量器等の適当な重量測定手段によって測定されると共に、当該サンプルの体積Vrが適当な体積測定手段によって測定され、さらに、これらの測定値WrおよびVrが上述の式42に適用されることで実測見かけ比重値Krが求められる。求められた実測見かけ比重値Krは、操作キー72から手動入力され、これ以降、上述と同じ要領で、各ロードセル22および24のいずれに異常が発生したのかの判定が成される。即ち、異常発生時の実際の見かけ比重値Kが判定に適用されるので、より正確な判定が実現される。なお、異常発生時から当該異常が各ロードセル22および24のいずれに発生したのかの判定が成されるまでの間は、コンベヤスケール10は正常に機能していない状態にある。従って、この間は、例えばその直前の輸送量によって被輸送物100が輸送されているものとして取り扱われたり、或いは所期の輸送量によって被輸送物100が輸送されているものとして取り扱われたりする等の、適宜の処置が講ぜられる。
続いて、本発明の第3実施形態について、説明する。
本第3実施形態もまた、ハードウェア構成としては、第1実施形態および第2実施形態と基本的に同様であり、ソフトウェア構成のみ、厳密には各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定要領のみ、当該第1実施形態および第2実施形態と異なる。
即ち、本第3実施形態においては、一方のロードセル22による実際の荷重検出値W1と当該一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’との相互比率W1/W1’である一方側比率R1と、他方のロードセル24による実際の荷重検出値W2と当該他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’と相互比率W1’/W2’である他方側比率R2と、の比較によって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が成される。
より具体的には、CPU64は、上述の式31に基づいて、1区分mにおける一方のロードセル22による1パルス相当距離ΔLz分の平均荷重検出値W1a[m]を求めると共に、式29に基づいて、当該1区分mにおける一方のロードセル22への1パルス相当距離ΔLz分の平均印加荷重推定値W1a’[m]を求め、さらに、式33に基づいて、これらの相互比率W1a[m]/W1a’[m]である一方側平均比率R1a[m]を求める。併せて、CPU64は、式32に基づいて、1区分mにおける他方のロードセル24による1パルス相当距離ΔLz分の平均荷重検出値W2a[m]を求めると共に、式30に基づいて、当該1区分mにおける他方のロードセル24への1パルス相当距値ΔLz分の平均印加荷重推定値W2a’[m]を求め、さらに、式35に基づいて、これらの相互比率W2a[m]/W2a’[m]である他方側平均比率R2a[m]を求める。
このようにして求められた一方側平均比率R1a[m](=W1a[m]/W1a’[m])と他方側平均比率R2a[m](=W2a[m]/W2a’[m])とは、各ロードセル22および24がいずれも正常なときは、互いに同値または近似した値になる。つまり、次の式61が満足される。
《式61》
R1a[m]≒R2a[m]
これに対して、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生すると、この異常が発生した側の平均荷重検出値W1a[m]またはW2a[m]が異常値になり、これに伴い、一方側平均比率R1a[m]または他方側平均比率R2a[m]が異常値になる。この結果、一方側平均比率R1a[m]と他方側平均比率R2a[m]とが互いに乖離し、つまり式61が満足されなくなる。
この点に着目して、CPU64は、式61が満足されるかどうかに基づいて、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかを判定する。つまり、式61が満足されるときは、各ロードセル22および24のいずれも正常であり、当該式61が満足されないときは、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したものと判定する。ただし、式61が満足されるか否かを、当該式61から直接的に判定することはできないので、厳密には、次のようにして判定が成される。
即ち、CPU64は、式33に基づく一方側平均比率R1a[m]と、式35に基づく他方側平均比率R2a[m]と、の相互比率Ga’を、次の式62に基づいて求める。
《式62》
Ga’[m]=R1a[m]/R2a[m]
この相互比率Ga’[m]は、理想的にはGa’[m]=1である。CPU64は、この相互比率Ga’[m]がその理想値である1を中心とする所定の許容範囲内に入るとき、詳しくは次の式63が満足されるときは、一方のロードセル22および他方のロードセル24のいずれも正常であると判定する。そして、式63が満足されないときには、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したものと判定する。なお、この式63における許容下限値Gmin’は、例えば0.7〜0.9程度が適当であり、許容上限値Gmax’は、例えば1.1〜1.3程度が適当である。勿論、これ以外の値であってもよい。これらの許容下限値Gmin’および許容上限値Gmax’は、事前の調整作業において適宜に設定される。
《式63》
Gmin’≦Ga’[m]≦Gmax’
この判定要領によって各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したことが検知されると、CPU64は、その旨を表すメッセージをディスプレイ68に表示する。ただし、この判定要領によれば、第2実施形態と同様、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したとき、この異常が当該ロードセル22および24のいずれに発生したのかを判定することができない。そこで、CPU64は、第2実施形態におけるのと同じ要領で、各ロードセル22および24のいずれに異常が発生したのかの判定をさらに行う。そして、その判定結果を表すメッセージをディスプレイ68に表示する。
ここで例えば、一方のロードセル22に異常が発生した場合、CPU64は、上述の式48に基づいて当該一方のロードセル22についての推定平均荷重検出値W1a”[m]を求める。そして、これ以降、第1実施形態および第2実施形態と同じ要領で、式38に基づいて暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求め、さらに、式39に基づいて1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求め、これをディスプレイ68に表示する。
これとは反対に、他方のロードセル24に異常が発生した場合は、CPU64は、上述の式49に基づいて当該他方のロードセル24についての推定平均荷重検出値W2a”[m]を求める。そして、これ以降、第1実施形態および第2実施形態と同じ要領で、式41に基づいて暫定平均輸送重量値Wa’[m]を求め、さらに、式39に基づいて1区分m分の暫定輸送重量値W’[m]を求め、これをディスプレイ68に表示する。
なお、本第3実施形態における事前の調整作業においては、第1実施形態におけるときと同様の要領で、実測見かけ比重値Krが求められると共に、比例係数nが決定される。そして、操作キー72の操作によって、式63における許容下限値Gmin’および許容上限値Gmax’が適宜に設定される。
このように、本第3実施形態によっても、第1実施形態および第2実施形態と同様、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したときに、これを正確に検知することができる。そして、この異常が発生したときでも、被輸送物100の輸送量を求めるというコンベヤスケール10本来の機能が高精度で維持される。
また、本第3実施形態においては、上述の式62に基づく相互比率Ga’[m]が式63を満足するかどうかによって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が成されるが、この判定要領によれば、第2実施形態におけるのと同様、被輸送物100の見かけ比重値Kの如何に拘らず正確な判定が実現される。つまり、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかを判定する点では、第2実施形態と同様、第1実施形態よりも優越的である。
加えて、本第3実施形態によれば、第2実施形態と同様、被輸送物100の見かけ比重値Kの如何に拘らず異常の有無の判定を正確に実現することができるので、当該判定の基準となる式63に示した許容範囲を狭めることができる。従って例えば、異常の程度が小さいうちに、当該異常を検知することができ、ひいては暫定輸送重量値W’を精確に求める等、迅速に対処することができる。
なお、本第3実施形態で説明した内容も、本発明を実現するための1つの具体例であり、本発明を限定するものではない。つまり、本第3実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態と同様のバリエーションが考えられる。
特に、上述の式62に基づく相互比率Ga’[m]が式63を満足するかどうかによって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が成されることとしたが、これに限らない。例えば、式33に基づく一方側平均比率R1a[m]と、式35に基づく他方側平均比率R2a[m]と、の相対差ΔRa’[m]が、次の式64に基づいて求められると共に、この相対差ΔRa’[m]が所定の許容相対差ΔRq’以下(ΔRa’[m]≦ΔRq’)であるときに、各ロードセル22および24のいずれもが正常であると判定され、そうでないときに(ΔRa’[m]>ΔRq’)に、当該各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生したものと判定されてもよい。なお、許容相対差ΔRq’の具体値は、適宜に設定されるのが望ましく、例えば相対差ΔRa’[m]のバラツキを考慮して設定されるのが望ましい。
《式64》
ΔRa’[m]=|R1a[m]−R2a[m]|
ただし、この式64を用いての判定要領によれば、被輸送物100の見かけ比重値Kが変化すると、これに伴い、当該式64に含まれる各比率R1a[m]およびR2a[m]が変化し、ひいては当該式64に基づく相対差Ra’[m]が変化するので、判定の正確さを欠く恐れがある。従って、判定の正確さに万全を期するためには、この式64を用いての判定要領よりも、上述の式62に基づく相互比率Ga’[m]が式63を満足するかどうかによる判定要領の方が、優越的である。
また、本第3実施形態においても、第2実施形態と同様、実測見かけ比重値Krが適宜のタイミングで言わば自動的に更新されてもよいし、極端には手作業(手動)で更新されてもよい。
さらに、上述の式52に基づく一方のロードセル22についての印加荷重推定値W1’と、当該一方のロードセル22による実際の荷重検出値W1と、の相互比較W1/W1’をもって、一方側比率R1とすると共に、式53に基づく他方のロードセル24についての印加荷重推定値W2’と、当該他方のロードセル24による実際の荷重検出値W2と、の相互比率W2/W2’をもって、他方側比率R2としてもよい。そして、これら一方側比率R1と他方側比率R2との比較によって、各ロードセル22および24のいずれかに異常が発生していないかどうかの判定が行われてもよい。