JP5761523B2 - 電動機から発生する電磁音を制御する方法 - Google Patents

電動機から発生する電磁音を制御する方法 Download PDF

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Description

本発明は、電動機から発生する電磁音を制御する方法に関する。より詳細には、本発明は、パルス幅変調インバータのキャリア周波数を変更すること無く、電動車両等に搭載される電動機から発生する電磁音の音色を制御する方法に関する。
当該技術分野においては、昨今の地球環境保護意識の益々の高まりを受け、電動機を動力源とする電動車両の普及が進んでいる。かかる電動車両に搭載される電動機の動作は、一般的に、パルス幅変調インバータによる可変電圧可変周波数制御によって制御される。開発当初の電動車両においては、インバータや電動機から発生する電磁音が騒音として問題視されたが、キャリア周波数を人間にとって耳障りな周波数よりも高い領域にすることにより、低騒音化が実現されるようになった。
しかしながら、電動車両においては、上記のように低騒音化が実現されたことに伴い、新たな問題が顕在化した。具体的には、電気自動車(EV)や内燃機関が稼働していない状態におけるハイブリッド自動車(HV)においては、大きな騒音源である内燃機関が搭載されていない又は稼働していないため、上記のような低騒音化の実現と相まって、非常に高い静音性が実現されている。その結果、車両の近傍に居る人(例えば、歩行者等)が電動車両の接近に気付き難い等の問題が懸念されるようになった。
一方、当該技術分野においては、例えば、バッテリーの容量不足、インバータや電動機の過熱、シフトレバーの位置等の車両の状態を運転者や搭乗者等に報知するための警告音や報知音を、ブザーやスピーカー等の専用の構成要素を追加するのではなく、電動機から発生する電磁音や振動によって発生させようとする試みもなされている。
そこで、当該技術分野においては、例えば、パルス幅変調インバータの制御周期や搬送波周波数(キャリア周波数)を変化させて、電動機に供給される電流のリプル成分(リプル電流)を制御することにより、電動機から発生する電磁音を制御する技術が開発されている(例えば、特許文献1乃至3を参照)。
上記のようにリプル電流を利用して電動機から電磁音を発生させようとする場合、インバータのキャリア周波数を低くすると、リプル電流の高さが大きくなり、電磁音の振幅(音量)が大きくなる一方、リプル電流の幅が大きくなり、電磁音の周波数(音程)が低くなる。逆に、インバータのキャリア周波数を高くすると、リプル電流の高さが小さくなり、電磁音の音量が小さくなる一方、リプル電流の幅が小さくなり、電磁音の音程が高くなる。このように、インバータのキャリア周波数を変化させることにより、電動機から発生する電磁音の音量及び音程を制御することができる。
しかしながら、インバータのキャリア周波数を変化させることにより電動機から発生する電磁音を制御する手法においては、上記のように、電磁音の振幅(音量)及び周波数(音程)を制御することはできるものの、電磁音の周波数成分を制御して、所望の音色を有する電磁音を発生させることは困難である。
以上のように、当該技術分野においては、例えば、車両の近傍に居る人(例えば、歩行者等)に電動車両の接近を知らせるための報知音や、バッテリーの容量不足、インバータや電動機の過熱、シフトレバーの位置等の車両の状態を運転者や搭乗者等に報知するための警告音として、電動機から発生する電磁音を利用しようとする種々の試みが為されているものの、所望の音色を有する電磁音を電動機から発生させることができる技術は未だに確立されていない。
特開平2−179297号公報 特開平7−177601号公報 特開2005−130614号公報
前述のように、当該技術分野においては、例えば、車両の近傍に居る人(例えば、歩行者等)に電動車両の接近を知らせるための報知音として、あるいはバッテリーの容量不足、インバータや電動機の過熱、シフトレバーの位置等の車両の状態を運転者や搭乗者等に報知するための警告音として、電動機から発生する電磁音を利用しようとする種々の試みが為されているものの、所望の音色を有する電磁音を電動機から発生させることができる技術は未だに確立されていない。
即ち、当該技術分野においては、所望の音色を有する電磁音を電動機から発生させることができる技術に対する要求が依然として存在する。本発明は、かかる要求に応えるために為されたものである。即ち、本発明の1つの目的は、所望の音色を有する電磁音を電動機から発生させる方法を提供することである。
本発明の上記1つの目的は、
交流電動機と、
前記交流電動機に交流電力を供給する電力供給手段としてのパルス幅変調インバータと、
前記パルス幅変調インバータを制御して、前記交流電動機の相コイルに流れる電流である相電流を調節する制御手段と、
を備える動力装置において、
前記交流電動機の前記相電流におけるリプル成分に基づいて、前記交流電動機に対するトルク電圧指令値Vq*及び励磁電圧指令値Vd*の少なくとも何れか一方の電圧指令値に変動を生じさせることにより、前記交流電動機から電磁音を発生させる方法であって、
前記パルス幅変調インバータにおいて前記交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、前記相電流における前記リプル成分の周波数成分構成を変更して、前記交流電動機から発生する前記電磁音の音色を変更する、
電磁音制御方法によって達成される。
本発明に係る電磁音制御方法においては、交流電動機に交流電力を供給するパルス幅変調インバータにおいて、交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更する。これにより、本発明に係る電磁音制御方法によれば、所望の音色を有する電磁音を交流電動機から発生させることができる。その結果、例えば、車両の近傍に居る人(例えば、歩行者等)に電動車両の接近を知らせるための報知音として、あるいはバッテリーの容量不足、インバータや電動機の過熱、シフトレバーの位置等の車両の状態を運転者や搭乗者等に報知するための警告音として、利用することができる。
パルス幅変調インバータによって制御される交流電動機の相電流のキャリア周波数による変化を表す模式図である。 パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらすことにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更する仕組みを説明する模式図である。 パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらすことにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更する仕組みを説明する模式図である。 パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらすことにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更する仕組みを説明する模式図である。 相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とを一致させた場合における、交流電動機のV−W相間電圧及び各相電流の変化を表す模式図である。 相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらした場合における、交流電動機のV−W相間電圧及び各相電流の変化を表す模式図である。
前述のように、本発明は、所望の音色を有する電磁音を電動機から発生させる方法を提供することを1つの目的とする。本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、交流電動機に交流電力を供給するパルス幅変調インバータにおいて、交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更して、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更することにより、所望の音色を有する電磁音を交流電動機から発生させることができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
即ち、本発明の第1の実施態様は、
交流電動機と、
前記交流電動機に交流電力を供給する電力供給手段としてのパルス幅変調インバータと、
前記パルス幅変調インバータを制御して、前記交流電動機の相コイルに流れる電流である相電流を調節する制御手段と、
を備える動力装置において、
前記交流電動機の前記相電流におけるリプル成分に基づいて、前記交流電動機に対するトルク電圧指令値Vq*及び励磁電圧指令値Vd*の少なくとも何れか一方の電圧指令値に変動を生じさせることにより、前記交流電動機から電磁音を発生させる方法であって、
前記パルス幅変調インバータにおいて前記交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、前記相電流における前記リプル成分の周波数成分構成を変更して、前記交流電動機から発生する前記電磁音の音色を変更する、
電磁音制御方法である。
上記のように、本実施態様に係る電磁音制御方法は、交流電動機と、当該交流電動機に交流電力を供給する電力供給手段としてのパルス幅変調インバータと、当該パルス幅変調インバータを制御して、当該交流電動機の相コイルに流れる電流を調節する制御手段と、を備える動力装置において、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更する。具体的には、上記パルス幅変調インバータにおいて、交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更する。これにより、本発明に係る電磁音制御方法によれば、所望の音色を有する電磁音を交流電動機から発生させることができる。その結果、例えば、車両の近傍に居る人(例えば、歩行者等)に電動車両の接近を知らせるための報知音として、あるいはバッテリーの容量不足、インバータや電動機の過熱、シフトレバーの位置等の車両の状態を運転者や搭乗者等に報知するための警告音として、利用することができる。
上記交流電動機は、特定の構成を有するタイプに限定されるものではなく、例ば同期電動機、誘導電動機等の何れの交流電動機であってもよい。また、上記交流電動機の相数についても、特に限定されるものではない。例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグイン・ハイブリッド自動車(PHV)等の電動車両の動力源として使用される交流電動機としては、三相の永久磁石型同期電動機が一般的に用いられている。
上記電力供給手段としてのパルス幅変調インバータは、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換して、例えば、EV、HV、PHV等の電動車両に動力源として搭載される交流電動機に供給することができる限り、特定の構成に限定されるものではない。即ち、上記パルス幅変調インバータとしては、例えば、EV、HV、PHV等の電動車両に搭載される交流電動機の相コイルに交流電力を供給して、交流電動機に所望の動作(例えば、回転速度やトルク等)をさせるために必要とされるトルク電圧Vq及び励磁電圧Vdを交流電動機において生じさせる電力供給手段として一般的に用いられているパルス幅変調インバータを使用することができる。
また、上記パルス幅変調インバータに供給される直流電力は、例えば、商用の交流電源から供給される交流電力を例えばコンバータ等によって直流電力に変換して得られるものであってもよい。あるいは、上記パルス幅変調インバータに供給される直流電力は、例えば、EV、HV、PHV等の電動車両等に搭載される直流電源(例えば、リチウムイオン電池等の二次電池等)から供給されるものであってもよい。
上記パルス幅変調インバータは、上記コンバータ又は上記直流電源から供給される直流電力を、蓄電手段が配設された入力段に受け、交流電力に変換して、当該交流電力を交流電動機に供給する。パルス幅変調インバータの構成については当該技術分野において周知であるので、ここでは詳細には説明しないが、例えば、パルス幅変調インバータは、上記直流電源の出力を平滑化する蓄電手段と、蓄電手段の両端子にそれぞれ接続された複数対のスイッチング素子と、各スイッチング素子に並列に接続された整流素子とを備え、スイッチング素子のON/OFFの制御により直流電源の直流電力を交流電力に変換する。
上記スイッチング素子としては、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を挙げることができる。また、上記整流素子としては、例えば、ダイオードを挙げることができる。また、上記インバータがその入力段に備える上記蓄電手段は、例えば、コンデンサ(キャパシタ)等によって構成され、上記直流電源の出力を平滑化する機能を果たす。具体的には、上記蓄電手段は、直流電源から供給される直流電圧の変動に応じて、充電及び放電を行うことにより、インバータに供給される直流電圧を平滑化する。
上記制御手段は、上記電力供給手段としてのパルス幅変調インバータを制御して、交流電動機の相コイルに流れる電流(相電流)を調節する。より具体的には、上記制御手段は、例えば、交流電動機に所望の動作(例えば、回転速度やトルク等)をさせるために必要とされるトルク電圧指令値Vq*及び励磁電圧指令値Vd*に対応する相電流を算出し、斯くして算出された相電流に対応する相電圧を交流電動機の相コイルに印加するように電力供給手段としてのパルス幅変調インバータを制御する。これにより、上記制御手段は、交流電動機の動作(例えば、回転速度やトルク等)を制御することができる。
より詳細には、上記電力供給手段としてのパルス幅変調インバータから交流電動機に印加される交流電圧は、交流電動機を励磁する成分である励磁電圧成分Vdと、交流電動機にトルクを付与する成分であるトルク電圧成分Vqとに分けて捉えることができる。上記動力装置においては、交流電動機に求められる出力(トルク及び回転数)に応じて、励磁電圧成分Vdの目標値である励磁電圧指令値Vd*及びトルク電圧成分Vqの目標値であるトルク電圧指令値Vq*が、電力供給手段としてのパルス幅変調インバータを制御する制御手段によって設定され、斯くして設定された励磁電圧指令値Vd*及びトルク電圧指令値Vq*に従って、励磁電圧成分Vd及びトルク電圧成分Vqが制御手段によってそれぞれ制御される。このように回転子の回転角度に応じて励磁電圧成分Vd及びトルク電圧成分Vqをきめ細かく制御することにより、交流電動機において高い効率を引き出すことができる。
例えば、上記動力装置が電動車両に搭載される動力装置である場合、当該車両が備える電子制御装置(ECU)が、アクセル信号、ブレーキ信号、シフトポジション信号等の入力信号に基づいて、励磁電圧指令値Vd*及びトルク電圧指令値Vq*(ひいては励磁電流指令Id*及びトルク電流指令Iq*)を算出し、算出した励磁電圧指令値Vd*及びトルク電圧指令値Vq*に基づき、パルス幅変調(PWM)信号を生成することにより、交流電動機の相コイルに流れる電流(相電流)を制御する。交流電動機が三相電動機である場合、電動機の各相電流Iu、Iv、及びIwを励磁電流成分Id及びトルク電流成分Iqに変換し、また励磁電圧指令値Vd*及びトルク電圧指令値Vq*(ひいては励磁電流指令Id*及びトルク電流指令Iq*)を各相電圧指令値Vu*、Vv*、及びVw*(ひいては各相電流指令値Iu*、Iv*、及びIw*)に変換して、上記のような制御を実現することができる。但し、本発明は、交流電動機に対する供給電流(Iu、Iv、及びIw)の励磁電流成分Id及びトルク電流成分Iqへの変換を伴わないベクトル制御手法にも適用することができる。
尚、ベクトル制御は、永久磁石同期モータ等の交流電動機を高速・高精度に制御するのに有効な電動機制御技術である。ベクトル制御とは、電動機の電流や鎖交磁束をベクトルの瞬時値として把握し、それらのベクトルを瞬時値で制御することにより、電動機の瞬時トルクを指令に追従させる技術である。ベクトル制御は、電動機のモデルとしての電圧方程式に基づいて構成される。かかる電動機のモデルとしての電圧方程式は、例えば、以下の式(1)によって表される。
Figure 0005761523
上式中、Vd及びVqは各軸(それぞれd軸及びq軸)の一次電圧(励磁電圧成分及びトルク電圧成分)であり、Id及びIqは各軸(それぞれd軸及びq軸)の一次電流(励磁電流成分及びトルク電流成分)であり、ωは交流電動機の回転子の回転角速度(電気角速度)であり、Ld及びLqは各軸(それぞれd軸及びq軸)のインダクタンスであり、Rは一次抵抗であり、φは鎖交磁束の大きさであり、そしてPは微分演算子(d/dt)である。
上記のように交流電動機、電力供給手段、及び制御手段を備える動力装置において所望の周波数及び音量を有する電磁音を交流電動機から発生させようとする場合、従来技術においては、前述のように、例えば、電力供給手段としてのインバータのキャリア周波数を変化させて、交流電動機に供給される電流のリプル成分を制御することにより、交流電動機から発生する電磁音の周波数(音程)及び振幅(音量)を制御しようとしてきた。
ここで、図1を参照しながら、より詳細に説明する。図1は、前述のように、パルス幅変調インバータによって制御される交流電動機の相電流のキャリア周波数による変化を表す模式図である。先ず、図1(a)は、キャリア周波数が高い場合において交流電動機の相電流に生ずるリプル成分の波形を表す。個々の鋸刃状の波形がリプル100を表し、当該波形に対応するリプル幅110及びリプル高120を呈する。これに対し、図1(b)は、キャリア周波数が低い場合において交流電動機の相電流に生ずるリプル成分の波形を表す。キャリア周波数が高い(a)の相電流と比較して、個々のリプル100がより大きくなっており、これに対応して、リプル幅110及びリプル高120もより大きくなっている。
上記の結果、図1(b)のようにキャリア周波数を下げた場合は、キャリア周波数が高い(a)の場合と比較して、リプル幅110がより大きいことから、交流電動機から発生する電磁音の周期も長くなり(即ち、周波数(音程)が下がる)、リプル高120もより大きいことから、電磁音の振幅(音量)もより大きくなる。逆に、図1(a)のようにキャリア周波数を上げた場合は、キャリア周波数が低い(b)の場合と比較して、リプル幅110がより小さいことから、交流電動機から発生する電磁音の周期も短くなり(即ち、周波数(音程)が上がる)、リプル高120もより小さいことから、電磁音の振幅(音量)もより小さくなる。このように、パルス幅変調インバータのキャリア周波数を変化させて交流電動機の相電流におけるリプル成分の波形を制御することにより交流電動機から発生する電磁音の音程及び音量を制御することができる。しかしながら、かかる手法においては、交流電動機から発生する電磁音の音程及び音量を制御することができるが、交流電動機から発生する電磁音の周波数成分の構成を制御することは困難であるため、電磁音の音色を制御することは困難である。
一方、本実施態様に係る電磁音制御方法においては、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらすことにより、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更することができる。より詳しくは、本実施態様に係る電磁音制御方法においては、上述のように、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更する。これにより、図1(c)に示すように、交流電動機の相電流におけるリプル成分の波形が不揃いとなる。即ち、交流電動機の相電流におけるリプル成分の周波数成分構成が変化する。その結果、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更することができる。このようにして、本実施態様に係る電磁音制御方法においては、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更することができる。
ここで、本実施態様に係る電磁音制御方法において、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更して、交流電動機から発生する前記電磁音の音色を変更する仕組みにつき、図2a乃至図2cを参照しながら、より詳細に説明する。図2a乃至図2cは、前述のように、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらすことにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更する仕組みを説明する模式図である。
先ず、図2aは、極短い期間(図2aにおいてはキャリアの3周期分)におけるキャリアの信号強度と交流電動機の各相に流れる相電流を変調するための変調波の強度(電圧指令値)との関係を模式的に表す。当該技術分野において周知であるように、パルス幅変調インバータにおいては、キャリアの信号強度と各相の信号強度値との大小関係の変化に応じてパルス幅変調インバータのスイッチング素子のON/OFFの制御が行われ、その結果、交流電動機の各相に出力される矩形波におけるデューティ比が制御され、交流電動機の各相に流れる相電流の振幅及び周波数が制御される。従って、実際のパルス幅変調インバータによる交流電動機の制御においては、交流電動機の各相に流そうとする相電流の振幅及び周波数に応じて変調波の強度(電圧指令値)も変動するが、図2aにおいては、説明を判り易くすることを目的として、上記極短い期間(キャリアの3周期分)においては、相電流を変調するための変調波の強度(電圧指令値)は一定であるものとして図示している。
図2aにおいて、実線で描かれた三角波はキャリアを表す。当該キャリアの振幅の最大値と最小値との中心(振幅中心)における信号強度は、点線で描かれた矢印(図中、「50%(センタ)」として示す)によって表す。図2aに示す例において、通常は、交流電動機の各相に流れる相電流を変調するための変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)もまた、上記キャリアの振幅振幅中心における信号強度(50%(センタ))と一致するものとする。従って、図2aに示す例において、通常は、交流電動機の各相に流れる相電流を変調するための変調波の強度(電圧指令値)もまた、キャリアと同様に、図中の点線で描かれた矢印に対応する信号強度を中心として、交流電動機の各相に流そうとする相電流の振幅及び周波数に応じて変動する。即ち、図2aに示す例において、通常は、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差が0(ゼロ)である。
尚、図2aにおいては、かかる通常時における交流電動機のV相及びW相の電圧指令値を実線によって表す。図2aにおける「V相電圧指令(50%)」及び「W相電圧指令(50%)」に示すように、この時点においては、V相の電圧指令値はV相及びW相の変調波の振幅中心(即ち、上記キャリアの振幅振幅中心における信号強度(50%(センタ)))よりも若干高く、W相の電圧指令値はV相及びW相の変調波の振幅中心(即ち、上記キャリアの振幅振幅中心における信号強度(50%(センタ)))よりも若干低い。その結果、図2aに示すように、交流電動機のV相及びW相の電圧指令値がキャリアの信号強度と一致するタイミングが若干ずれ、これにより、パルス幅変調インバータの各相に対応するスイッチング素子のON/OFFのタイミングも若干ずれる。これにより、図2aにおけるキャリアの波形の下に図示した3行の格子状の部分のうち、1行目に図示した「V−W相間電圧(50%)」における網掛け部分によって示すように、V−W相間電圧が一定の周期(1/f50)のタイミングにて印加される。
ところで、本実施態様に係る電磁音制御方法においては、前述のように、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらすことにより、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更する。より詳しくは、本実施態様に係る電磁音制御方法においては、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更する。
例えば、図2aにおける一点鎖線によって示すように、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を、上記キャリアの振幅中心における信号強度(50%(センタ))から、上記キャリアの信号強度の最小値に向かってずらすことができる。図2aにおける一点鎖線によって示す例においては、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を、上記キャリアの振幅中心における信号強度(50%(センタ))から、上記キャリアの信号強度の最小値と最大値との差の40%に相当する分だけ、上記キャリアの信号強度の最小値に向かってずらしている。即ち、図2aにおける一点鎖線によって示す例においては、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差が40%である。この場合、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)は、上記キャリアの信号強度の最大値から、上記キャリアの信号強度の最小値と最大値との差の90%(=50%+40%)に相当する分だけ、上記キャリアの信号強度の最小値に向かってずれた信号強度となるように設定されている。
上記の場合においても、図2aにおける一点鎖線「V相電圧指令(90%)」及び「W相電圧指令(90%)」によって示すように、この時点においては、V相及びW相の変調波の振幅中心よりも若干高く、W相の電圧指令値はV相及びW相の変調波の振幅中心よりも若干低い。但し、この場合、上記のように、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)が上記キャリアの振幅中心における信号強度(50%(センタ))からずれている。その結果、図2aにおけるキャリアの波形の下に図示した3行の格子状の部分のうち、2行目に図示した「V−W相間電圧(90%)」における網掛け部分によって示すように、交流電動機のV相及びW相の電圧指令値がキャリアの信号強度と一致するタイミングのずれに起因するスイッチング素子のON/OFFのタイミングのずれによって生ずるV−W相間電圧が印加されるタイミングの周期が、1/f90に変化する。
逆に、図2aにおける破線によって示すように、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を、上記キャリアの振幅中心における信号強度(50%(センタ))から、上記キャリアの信号強度の最大値に向かってずらすこともできる。図2aにおける破線によって示す例においては、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を、上記キャリアの振幅中心における信号強度(50%(センタ))から、上記キャリアの信号強度の最小値と最大値との差の40%に相当する分だけ、上記キャリアの信号強度の最大値に向かってずらしている。即ち、図2aにおける破線によって示す例においても、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差が40%である。この場合、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)は、上記キャリアの信号強度の最大値から、上記キャリアの信号強度の最小値と最大値との差の10%(=50%−40%)に相当する分だけ、上記キャリアの信号強度の最小値に向かってずれた信号強度となるように設定されている。
上記の場合においても、図2aにおける破線「V相電圧指令(10%)」及び「W相電圧指令(10%)」によって示すように、この時点においては、V相及びW相の変調波の振幅中心よりも若干高く、W相の電圧指令値はV相及びW相の変調波の振幅中心よりも若干低い。但し、この場合、上記のように、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)が上記キャリアの振幅中心における信号強度(50%(センタ))からずれている。その結果、図2aにおけるキャリアの波形の下に図示した3行の格子状の部分のうち、3行目に図示した「V−W相間電圧(10%)」における網掛け部分によって示すように、交流電動機のV相及びW相の電圧指令値がキャリアの信号強度と一致するタイミングのずれに起因するスイッチング素子のON/OFFのタイミングのずれによって生ずるV−W相間電圧が印加されるタイミングの周期が、1/f10に変化する。
但し、図2aに示す例においては、図2aにおけるキャリアの波形の下に図示した3行の格子状の部分のうち、2行目に図示した「V−W相間電圧(90%)」と3行目に図示した「V−W相間電圧(10%)」の周期(それぞれ、1/f90及び1/f10)の長さは同一である。本実施態様に係る電磁音制御方法において、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を種々に変化させることにより、かかる相間電圧の周期を種々に変化させることができる。但し、このように相間電圧の周期が変動してもデューティ比は変化しないため、交流電動機の制御そのものに影響は及ばない。
ここで、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を種々に変化させた場合における、交流電動機の相電流の変化につき、図2bを参照しながら詳細に説明する。図2bの上段は、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を種々に変化させた場合における、V相における相電流(I)の波形を表す。図2bの下段は、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を種々に変化させた場合における、V相における相電流(I)の周波数解析結果を表す。
また、図2bの向かって左側、中央、及び右側の列は、それぞれ、交流電動機のV相及びW相の変調波の振幅中心における強度(電圧指令値)を、キャリアの信号強度の最大値から、キャリアの信号強度の最小値と最大値との差の50%、70%、及び90%だけ、キャリアの信号強度の最小値に向かってずらした信号強度となるように設定した場合に該当する。即ち、図2bに示す3つの例においては、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差が、キャリアの信号強度の最小値と最大値との差の、それぞれ0%、20%、及び40%となっている。
図2bの上段に示すV相における相電流(I)の波形からも判るように、相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とのずれが大きくなるほど、相電流(I)の波形の乱れが大きくなっている。また、図2bの下段に示すV相における相電流(I)の周波数解析結果における破線によって囲まれている部分からも判るように、相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とのずれが大きくなるほど、V相における相電流(I)に含まれる周波数成分が多様になっている。このように、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更した結果、交流電動機の相電流の周波数成分の構成が変化している。これは、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更した結果、図2cに示すように、交流電動機の相電流におけるリプル成分の波形が変化して、リプル成分の周波数成分構成が変化したことに起因する。その結果、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更することができる。
本実施態様に係る電磁音制御方法において、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更して、交流電動機から発生する前記電磁音の音色を変更する仕組みにつき、図2a乃至図2cを参照しながら上記において詳しく説明してきた。ここで、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差(即ち、相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とのずれ)に基づく交流電動機の各相間における電圧値及び各相電流の変化につき、図3及び図4を参照しながら改めて説明する。
図3は、前述のように、相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とを一致させた場合における、交流電動機のV−W相間電圧及び各相電流の変化を表す模式図である。図3(a)に示すように、図3に示す例においては、V相及びW相の相電流の変調波の振幅中心は、キャリアの振幅中心と一致するように設定されている。その結果、図3(b)に示すように、V相及びW相の相電流の変調波の信号強度の変化に従って、交流電動機のV相及びW相の電圧指令値がキャリアの信号強度と一致するタイミングがそれぞれ変化し、これにより、パルス幅変調インバータの各相に対応するスイッチング素子のON/OFFのタイミングもそれぞれ変化する。
上記の結果として、図3(c)に示すように、パルス幅変調インバータの各相に対応するスイッチング素子のON/OFFのタイミングの差に対応するデューティ比を有するV−W相間電圧が一定のタイミングにて印加される。斯くして、図3(d)に示すように、パルス幅変調インバータの各相に対応するスイッチング素子のON/OFFのタイミングの差に対応するV相及びW相の相電流がそれぞれ流れる。この際、図3に示す例においては、相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とが一致しているので、V相及びW相の各相電流におけるリプル成分の波形はほぼ一様であり、リプル成分の周波数成分の多様性は低い。
一方、図4は、前述のように、相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とをずらし場合における、交流電動機のV−W相間電圧及び各相電流の変化を表す模式図である。図4(a)に示すように、図4に示す例においては、V相及びW相の相電流の変調波の振幅中心は、キャリアの振幅中心からずらして設定されている。具体的には、図4に示す例においては、V相及びW相の相電流の変調波の振幅中心を、キャリアの振幅中心から、キャリアの信号強度の最小値と最大値との差の30%に相当する分だけ、キャリアの信号強度の最大値に向かってずらした。その結果、図4(b)に示すように、V相及びW相の相電流の変調波の信号強度の変化に従って、交流電動機のV相及びW相の電圧指令値がキャリアの信号強度と一致するタイミングがそれぞれ変化し、これにより、パルス幅変調インバータの各相に対応するスイッチング素子のON/OFFのタイミングもそれぞれ変化する。
上記の結果として、図4(c)に示すように、パルス幅変調インバータの各相に対応するスイッチング素子のON/OFFのタイミングの差に対応するデューティ比を有するV−W相間電圧が印加されるタイミングが図3(c)とは異なっている。但し、前述のように、このように相間電圧の周期が変動してもデューティ比は変化しないため、交流電動機の制御そのものに影響は及ばない。斯くして、図4(d)に示すように、パルス幅変調インバータの各相に対応するスイッチング素子のON/OFFのタイミングの差に対応するV相及びW相の相電流が、図3(d)と同様の周期にて、それぞれ流れる。但し、図4に示す例においては、相電流の変調波の振幅中心とキャリアの振幅中心とがずれているので、V相及びW相の各相電流におけるリプル成分の波形は一様ではなく、リプル成分の周波数成分の多様性は高い。即ち、図3(d)に示す各相電流に基づいて交流電動機から発生する電磁音と、図4(d)に示す各相電流に基づいて交流電動機から発生する電磁音とでは、周波数成分構成が異なることに起因して、音色が異なることになる。
以上のように、本実施態様に係る電磁音制御方法は、交流電動機と、当該交流電動機に交流電力を供給する電力供給手段としてのパルス幅変調インバータと、当該パルス幅変調インバータを制御して、当該交流電動機の相コイルに流れる電流を調節する制御手段と、を備える動力装置において、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更する。具体的には、上記パルス幅変調インバータにおいて、交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更する。これにより、本発明に係る電磁音制御方法によれば、所望の音色を有する電磁音を交流電動機から発生させることができる。その結果、例えば、車両の近傍に居る人(例えば、歩行者等)に電動車両の接近を知らせるための報知音として、あるいはバッテリーの容量不足、インバータや電動機の過熱、シフトレバーの位置等の車両の状態を運転者や搭乗者等に報知するための警告音として、利用することができる。
ところで、前述のように、当該技術分野においては、交流電動機に交流電力を供給する電力供給手段としてのパルス幅変調インバータのキャリア(搬送波)の周波数(キャリア周波数)を変化させて、交流電動機に供給される相電流におけるリプル成分(リプル電流)を制御することにより、交流電動機から発生する電磁音を制御する技術が開発されている。このようにリプル電流を利用して電動機から電磁音を発生させようとする場合、パルス幅変調インバータのキャリア周波数を低くすると、リプル電流の高さ(振幅)が大きくなり、電磁音の振幅(音量)が大きくなる一方、リプル電流の幅が大きく(周波数が低く)なり、電磁音の周波数(音程)が低くなる。逆に、パルス幅変調インバータのキャリア周波数を高くすると、リプル電流の高さ(振幅)が小さくなり、電磁音の音量が小さくなる一方、リプル電流の幅が小さく(周波数が高く)なり、電磁音の音程が高くなる。このように、インバータのキャリア周波数を変化させることにより、交流電動機から発生する電磁音の音量及び音程を制御することができる。
従って、上記のようにパルス幅変調インバータのキャリア周波数を変化させて、交流電動機に供給される相電流におけるリプル成分を制御することにより、交流電動機から発生する電磁音の音量及び音程を制御する電磁音制御方法に対して、本実施態様に係る電磁音制御方法を更に適用することにより、交流電動機から発生する電磁音の音量及び音程のみならず、当該電磁音の音色をも制御することができる。
即ち、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係る電磁音制御方法であって、
前記パルス幅変調インバータにおける前記キャリアの周波数を変更することにより、前記相電流における前記リプル成分の振幅及び周波数を変更して、前記交流電動機から発生する前記電磁音の音量及び音程を変更する、
電磁音制御方法である。
上記のように、本実施態様に係る電磁音制御方法においては、交流電動機の相電流におけるリプル成分に基づいて、交流電動機に対するトルク電圧指令値Vq*及び励磁電圧指令値Vd*の少なくとも何れか一方の電圧指令値に変動を生じさせることにより、交流電動機から電磁音を発生させる方法において、上述のように、パルス幅変調インバータにおけるキャリアの周波数を変更することにより、相電流におけるリプル成分の振幅及び周波数を変更して、交流電動機から発生する電磁音の音量及び音程を変更すると共に、前述のように、パルス幅変調インバータにおいて交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、相電流におけるリプル成分の周波数成分構成を変更して、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更する。
上記により、本実施態様に係る電磁音制御方法によれば、交流電動機から発生する電磁音の音量及び音程のみならず、当該電磁音の音色をも制御することができる。しかも、本実施態様に係る電磁音制御方法においては、交流電動機から発生する電磁音の音色を変更するためにパルス幅変調インバータにおけるキャリアの周波数を変更する必要は無いことから、交流電動機から発生する電磁音の音量及び音程と、当該電磁音の音色とを独立して制御することができる。その結果、例えば、車両の近傍に居る人(例えば、歩行者等)に電動車両の接近を知らせるための報知音として、あるいはバッテリーの容量不足、インバータや電動機の過熱、シフトレバーの位置等の車両の状態を運転者や搭乗者等に報知するための警告音として、多種多様な電磁音を利用することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施態様について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができることは言うまでも無い。
100…リプル、110…リプル幅、及び120…リプル高。

Claims (1)

  1. 交流電動機と、
    前記交流電動機に交流電力を供給する電力供給手段としてのパルス幅変調インバータと、
    前記パルス幅変調インバータを制御して、前記交流電動機の相コイルに流れる電流である相電流を調節する制御手段と、
    を備える動力装置において、
    記交流電動機に対するトルク電圧指令値Vq*及び励磁電圧指令値Vd*の少なくとも何れか一方の電圧指令値に変動を生じさせることにより、前記交流電動機の前記相電流におけるリプル成分に基づいて前記交流電動機から電磁音を発生させる方法であって、
    前記パルス幅変調インバータにおいて前記交流電動機の相電流を変調するための変調波の振幅中心における信号強度とキャリアの振幅中心における信号強度との差を変更することにより、前記相電流における前記リプル成分の周波数成分構成を変更して、前記交流電動機から発生する前記電磁音の音色を変更し、且つ
    前記パルス幅変調インバータにおける前記キャリアの周波数を変更することにより、前記相電流における前記リプル成分の振幅及び周波数を変更して、前記交流電動機から発生する前記電磁音の音量及び音程を変更する、
    電磁音制御方法。
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