JP5760813B2 - チエノチオフェン化合物の製造方法 - Google Patents

チエノチオフェン化合物の製造方法 Download PDF

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本発明はチエノチオフェン化合物の製造方法に関し、より詳しくは2位にアシル基を有し且つ3位にフルオロ基を有するチエノ[3,4−b]チオフェン化合物の製造方法に関する。
有機薄膜太陽電池の材料としてチエノ[3,4−b]チオフェン化合物(本明細書中では、この後、チエノ[3,4−b]チオフェンを単に「チエノチオフェン」と記述する場合がある)をモノマー単位として含むコポリマーが知られている。
例えば非特許文献1及び特許文献1には、2位にアシル基を有し且つ3位にフルオロ基を有するチエノチオフェン化合物の製造方法と、該チエノチオフェン化合物をモノマー単位として含むコポリマーを用いた有機薄膜太陽電池が記載されている。
国際公報第2011/011545号
J. Mater. Chem 2011,21,10920−10928
発明者らは、上記非特許文献1および特許文献1に記載のチエノチオフェン化合物の製造方法を検討したところ、収率等に課題があることが判明した。
非特許文献1には、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物の製造方法として、2位にアシル基を有するチエノチオフェン化合物から、2位のアシル基のカルボニル基をエチレングリコールで保護し、得られた保護基(ケタ−ル基)を有するジヒドロチエノチオフェン化合物に対して、求電子的フッ素化剤を用いたフルオロ基付加を行う工程を経る製造方法が記載されている。
しかしながら、求電子的フッ素化剤を用いたフルオロ基付加反応の収率及び再現性が悪いこと、目的物と未反応物の精製が困難であること、さらにケタール基を酸性条件下で脱保護した際に、ジヒドロチエノチオフェン骨格が強酸と反応することによる副生成物が副生されることなどから、目的物の収率が低下するおそれがある。
特許文献1には、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物の製造方法として、2位にカルボキシル基を有し且つ3位にフルオロ基を有するジヒドロチエノチオフェン化合物から2位のカルボキシル基を銅触媒とキノリンを用いて脱炭酸した後に、アシル基を付加する工程を経る製造方法が記載されている。
しかしながら本方法においては、カルボキシル基を脱離する工程の収率が低いと考えられる。
すなわち、2位にアシル基を有し且つ3位にフルオロ基を有するチエノチオフェン化合物のより効率的な製造方法が求められていた。
発明者らは鋭意検討の結果、特定の工程を経て合成することにより本化合物が効率的に
製造できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]式(1)で表されるチエノチオフェン化合物の製造方法であって、下記(a)〜(c)各工程を含むことを特徴とする、チエノチオフェン化合物の製造方法。
(a)工程:式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程
(b)工程:式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
(c)工程:式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程
Figure 0005760813
(式(1)〜(4)中、R1は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Yは置換基を有していてもよいアミノ基を示す。)
[2]前記(a)工程が、前記式(2)で表わされる3−アミノチオフェン化合物から下記式(5)で表わされるジアゾニウム塩化合物を得て、該式(5)で表されるジアゾニウム塩化合物を分解して、前記式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程を含む、[1]に記載のチエノチオフェン化合物の製造方法。
Figure 0005760813
(式(5)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Aは1価のフッ素原子を有するアニオンを示す。)[3] [1]又は[2]に記載の方法により式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得た後、該式(1)で表されるチエノチオフェン化合物から式(13)で表されるチエノチオフェン化合物を得る、チエノチオフェン化合物の製造方法。
Figure 0005760813
(式(13)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、X及びXは、ハロゲン原子、スタニル基又はボリル基を示す
。)
本発明によれば、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン化合物を効率よく得ることができる。
本発明は、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン化合物である式(1)で表される化合物の製造方法であって、以下の各工程を含むものである。
(a)式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程
(b)式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
(c)式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程
Figure 0005760813
なお、式(1)〜(4)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Yは置換基を有していてもよいアミノ基を示す。
具体的には、以下の反応式で示される。
Figure 0005760813
本発明の製造方法は、上記(a)工程、(b)工程及び(c)工程をこの順で経由することにより、フルオロ基やアシル基を導入する反応の収率を向上することができる点で好ましい。また、フルオロ基導入工程において収率が高く、副生物が産生しにくいことから、精製工程が簡略になる点でも好ましい。
更に、高価な求電子的フッ素化剤の使用を回避することができることから、製造コストが抑制しうる利点がある。また、入手容易な化合物を出発原料として合成可能であり、かつ目的物の収率が高いことから、より大量スケ−ルでの製造が容易となりうる利点がある。
[1] 式(1)で表されるチエノチオフェン化合物
Figure 0005760813
式(1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。Rをこれらの基とすることにより、有機溶媒への溶解性が優れたものとなりやすくなる点で好ましい。Rの炭素数は、溶解性向上及び合成容易性向上の点から通常1以上50以下である。
の具体例を以下に説明する。
アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−エチルヘキシル基、およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
芳香族基としては、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基を用いることができる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、これらは単環基に何ら限定されず、縮合多環式炭化水素基および環縮合炭化水素基であってもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基又はクオーターフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基又はトリフェニレニル基が好ましい。
芳香族複素環基としては、炭素数2〜20のものが好ましい。例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェニルカルバゾリル基、フェノキサチエニル基、キサンテニル基、ベンゾフラニル基、チアントレニル基、インドリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基又はキノキサリニル基等が挙げられる。これらの中でも、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基又はベンゾチエニル基が好ましい。
本明細書中における「有していてもよい置換基」としては、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、エステル基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、スルホニル基、シリル基、ボリル基、ニトリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、芳香族基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。なかでも、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基
、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、例えば、ビニル基、スチリル基およびジフェニルビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、例えば、メチルエチニル基、フェニルエチニル基およびトリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、エチルヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基、およびt−ブトキシ基など直鎖または分岐のアルコキシ基が挙げられる。
アシル基としては、炭素数2〜16のものが好ましく、例えば、アセチル基およびフェニルカルボニル基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基などが挙げられる。
アリ−ルオキシ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メチルチオ基およびエチルチオ基等が挙げられる。
アリ−ルチオ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、例えば、フェニルチオ基等が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、無置換のアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基;並びにジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、カルバゾリル基およびフェニルカルバゾリル基等のアリ−ルアミノ基が挙げられる。
シリル基としては、無置換の、又は置換基を有する、シリル基を用いることができる。例えば、トリメチルシリル基、ジメチルフェニル基およびトリフェニルシリル基などの、置換基としてアルキル基またはアリ−ル基を有するシリル基が挙げられる。
ボリル基としては、無置換の、又は置換基を有する、ボリル基を用いることができる。例えば、アリ−ル基で置換されたジメシチルボリル基などが挙げられる。
芳香族基としては、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基を用いることができる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、これらは単環基に何ら限定されず、縮合多環式炭化水素基および環縮合炭化水素基であってもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基およびクオーターフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基およびトリフェニレニル基が好ましい。
芳香族複素環基としては、炭素数2〜20のものが好ましい。例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェニルカルバゾリル基、フェノキサチエニル基、キサンテニル基、ベンゾフラニル基、チアントレニル基、インドリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、アクリジニル基、フェナントリ
ジニル基、フェナントロリニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基およびキノキサリニル基等が挙げられる。なかでも、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基又はベンゾチエニル基が好ましい。
上記置換基はさらに置換基を有していてもよい。置換基がアルキル基の場合には、ハロゲン原子をさらに置換基として有することが好ましい。式(1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限られるものではない。
Figure 0005760813
[2](a)工程:式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程
式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程としては、式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物におけるアミノ基をフルオロ基とする反応工程であれば特段の制限はない。
(a)工程は、式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物のアミノ基をフルオロ基とする反応収率が高いために好ましい。また、N−フルオロベンゼンスルホンアミド等の高価な求電子的フッ素化剤を使用しなくてよい点で好ましい。
求電子的フッ素化剤を用いる製造方法では、アルキルリチウムを使用するために低温条件が必要であることが多いことから、大スケ−ルでの生産を行う場合、反応条件の調整に労力がかかる。一方、本願の製造方法では、低温条件とする必要が無いため、反応条件の調整に労力が比較的かからない点で好ましい。また、再結晶による簡便な精製が可能であるため、大量スケ−ルでの生産が容易になる点で好ましい。具体的には、下記反応式で示される。
Figure 0005760813
なかでも、式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物からフッ素原子を有するアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩化合物である式(5)で表される化合物を得る工程、次いで、式(5)で表される化合物を分解し、式(3)を得る工程を含むことが好ましい。
[2−1]式(2)で表される化合物
Figure 0005760813
式(2)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。
の具体例を以下に説明する。Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。Rをこれらの基とすることにより、ジアゾニウム化又はフルオロ化工程において副反応が起こりにくく収率低下が抑えられるという点で好ましい。Rが置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である場合の炭素数は、(a)工程の収率向上の点から通常1以上30以下である。
アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
芳香族基としては、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を用いることができる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、これらは単環基、縮合多環式炭化水素基および環縮合炭化水素基のいずれであってもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基又はクオーターフェ
ニル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基又はトリフェニレニル基が好ましい。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、これらは単環基、縮合多環式炭化水素基および環縮合炭化水素基のいずれであってもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基又はクオーターフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基又はトリフェニレニル基が好ましい。
芳香族複素環基としては、炭素数2〜20のものが好ましい。例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェニルカルバゾリル基、フェノキサチエニル基、キサンテニル基、ベンゾフラニル基、チアントレニル基、インドリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基又はキノキサリニル基等が挙げられる。これらの中でも、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基又はベンゾチエニル基が好ましい。式(2)の製造方法は、特段の制限はないが、公知文献(特開2006−25221号公報、Synthetic Communications 1979、9、731−734.及びSynthetic Communications 2002、32、2565−2568.)に記載の方法により、実施することができる。
なお、式(2)で表される化合物において、Rがメチル基である化合物は、市販品として入手可能である(例えば、東京化成社製、Aldrich社製、関東化学社製又は和光純薬社製)。
[2−2] 式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から、フッ素原子を有するアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩化合物である式(5)で表される化合物を得る工程
式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から、フッ素原子を有するアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩化合物である式(5)で表される化合物を得る工程は、特段の制限はない。公知文献(Chem.Commun.2010,46(18),3131−3133、J.Am.Chem.Soc.2010,132(40),14039−14041、Synlett.2010,(12),1803−1806、Synlett.2010,(5),804−808、Heterocycles 1985,23,1431−1435、Synthesis 2008,No.15,2333−2336)などを参考に実施することができる。なかでも、式(2)の化合物のアミノ基を、対イオンとして1価のフッ素原子を有するアニオン存在下でジアゾニウム基にする反応を経ることにより、式(5)で表される化合物を得る工程が好ましい。または、式(2)の化合物のアミノ基を、対イオンとして硫酸水素イオン(HSO )、硫酸イオン(SO 2−)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)、リン酸イオン(PO 3−)又は酢酸イオン(CHCOO)などのフッ素原子を有さないアニオン存在下でジアゾニウム基にする反応を経ることにより式(6)で表される化合物を得る工程、次いで、式(6)で表される化合物の対イオンを1価のフッ素原子を有するアニオンとする反応を経ることにより式(5)で表される化合物を得る工程、が好ましい。
合成工程を簡略化できる点で、前者が好ましい。合成収率向上の点で、後者がより好ましい。
[2−2−1]式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物のアミノ基を、対イオンとしてフッ素原子を有さないアニオン存在下でジアゾニウム基にする反応を経ることにより、式(6)で表される化合物を得る工程
式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物のアミノ基を、対イオンとして硫酸水素イオン(HSO )、硫酸イオン(SO 2−)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)、リン酸イオン(PO 3−)又は酢酸イオン(CHCOO)などのフッ素原子を有さないアニオン存在下でジアゾニウム基にする反応を経ることにより、式(6)で表される化合物を得る工程は、特段の制限はない。公知文献(Heterocycles 1985,23,1431−1435)記載の方法により実施することができる。
なかでも、式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物と、亜硝酸t−ブチル若しくは亜硝酸アミル等の亜硝酸エステルと反応する工程又は酸性条件下において、亜硝酸ナトリウム若しくは亜硝酸カリウム等の亜硝酸塩と反応する工程が好ましい。なお、式(2)で表される化合物の代わりに、式(2)で表される化合物のアミノ基をプロトン化した化合物、例えば、(2)の塩酸塩又は臭化水素酸塩等を使用してもよい。
酸性条件下としては、通常pH4以下である。下限に特段の制限はない。
酸性条件下にするためには、酸を反応系に存在させる。
酸としては、特段の制限は無いが、塩酸、臭化水素酸若しくは硫酸等の無機酸又は酢酸若しくはトリフルオロ酢酸等の有機酸を使用することができる。これらの酸は、水や有機溶媒と混合して使用することもできる。
亜硝酸塩又は亜硝酸エステルの式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物に対する量比は、特段の制限はないが、通常1当量以上、一方、通常10当量以下、好ましくは2当量以下である。
反応温度は、特段の制限はないが、通常−50℃以上、好ましくは−20℃以上、一方、100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。
反応圧力は、特段の制限はないが、通常大気圧下である。
雰囲気は、特段の制限はないが、空気中、又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
[2−2−2]式(6)で表される化合物
Figure 0005760813
式(6)中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。Bはフッ素原子を有さないアニオンを示す。
式(6)中のRは式(2)におけるRと同義である。
は、1価のフッ素原子を有するアニオンでなければ特段の制限は無いが、通常、硫酸水素イオン(HSO )、硫酸イオン(SO 2−)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I),リン酸イオン(PO 3−)又は酢酸
イオン(CHCOO)などが挙げられる。なかでも、クロリド(Cl)又はブロミド(Br)などが好ましい。なお、Bは1価以上のアニオンを示す。
[2−2−3]式(6)で表される化合物の対イオンを1価のフッ素原子を有するアニオンとする反応を経ることにより、式(5)で表される化合物を得る工程
式(6)で表される化合物の対イオンを1価のフッ素原子を有するアニオンとする反応を経ることにより、式(5)で表される化合物を得る工程は、特段の制限はない。公知文献(Heterocycles 1985,23,1431−1435)記載の方法を参考に実施することができる。
ジアゾニウム基の対イオンを、テトラフルオロボレ−ト(BF )又はヘキサフルオロホスフェイト(PF )等の1価のフッ素原子を有するアニオンにする反応に用いるフッ素化合物としては、テトラフルオロホウ酸(HBF); LiBF、NaBF、KBF、(NH)BF又は(n-BuN)BF等のテトラフルオロホウ酸塩
;ヘキサフルオロリン酸(HPF); LiPF、NaPF、KPF、(NH)PF、(BuN)PF又はAgPFなどのヘキサフルオロリン酸塩が挙げられる。
なかでも、テトラフルオロホウ酸(HBF)又はヘキサフルオロリン酸(HPF)が、収率が高い点で好ましい。
フッ素化合物の式(6)で表される化合物に対する量比は、特段の制限はないが、通常1当量以上、一方、通常200当量以下、好ましくは20当量以下である。
反応温度は、特段の制限はないが、通常−50℃以上、好ましくは−20℃以上、一方、100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。
反応圧力は、特段の制限はないが、通常大気圧下である。
雰囲気は、特段の制限はないが、空気中、又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
[2−2−4]式(5)で表される化合物
Figure 0005760813
式(5)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Aは1価のフッ素原子を有するアニオンを示す。
は、式(2)におけるRと同義である。
は、1価のフッ素原子を有するアニオンであれば特段の制限はないが、好ましくは、テトラフルオロボレ−ト(BF )又はヘキサフルオロホスフェイト(PF )である。
[2−3]式(5)で表される化合物を分解し、式(3)を得る工程
式(5)で表される化合物を分解し、式(3)を得る工程としては、特段の制限は無い。公知文献(Heterocycles 1985,23,1431−1435、Synthesis 2008、No.15、2333−2336)に記載の方法を参考に実施することができる。
なかでも、熱分解反応、銅触媒による反応又は光分解反応が好ましい。より好ましくは、熱分解反応である。収率良くフルオロ基が導入されやすい点で好ましい。
また、アシル基を有するチオフェン化合物であって、ジアゾニウム基と1価のフッ素原子を有するアニオンとのジアゾニウム塩化合物の場合には、熱分解によりフルオロ基とする反応を行う場合には、熱分解の反応過程中にアシル基が脱離する可能性がある。その為、ジアゾニウム塩の熱分解によりフルオロ基とする反応を行う工程は、チオフェン化合物にエステル基又はカルボキシル基を有した状態であることが好ましい。
溶媒が共存していても、無溶媒でも良い。溶媒を使用する場合には、熱分解を効率良く行う為に、高沸点の溶媒を用いることが好ましい。溶媒の沸点は、通常80℃以上であり、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。溶媒としては、トルエン、キシレン、o−ジクロロベンゼン又はテトラリン等が挙げられる。
加熱温度に特段の制限は無いが、通常50℃以上、好ましくは100℃以上であり、一方、通常500℃以下、好ましくは300℃以下である。加熱温度が50℃以上では、反応を円滑に進行させる点で好ましく、加熱温度が500℃以下では、副反応を抑制する点で好ましい。
[2−4]式(3)で表される化合物
Figure 0005760813
式(3)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。
は式(2)におけるRと同義である。
[3](b)工程:式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程としては、特段の制限は無いが、チオフェン化合物にハロメチル基を付加する反応を経てハロメチル体を得る工程、ハロメチル体から4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程、及びエステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る工程の計三つの工程を含むことが好ましい。
具体的には、式(3)で表される化合物、式(7)で表される化合物、式(8)で表される化合物、そして式(4)で表される化合物と、その順を経るル−トA、式(3)で表される化合物、式(9)で表される化合物、式(10)で表される化合物、そして式(4)で表される化合物と、その順を経るル−トB、又は式(3)で表される化合物、式(7)で表される化合物、式(10)で表される化合物、そして式(4)で表される化合物と、その順を経るル−トCが挙げられる。ル−トA及びル−トBのいずれか一方のル−トを経ることは、エステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る工程の反応効率が良い点で好ましい。さらに、ハロメチル体から4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程の反応収率が高い点で、ル−トAがより好ましい。
式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程は、具体的には以下の反応式で示される。
Figure 0005760813
式(4)中、Yは後述する置換基を有していてもよいアミノ基を示す。式(7)及び(8)中に記載のRは、式(3)におけるRと同義である。式(9)及び(10)中に記載のYは、式(4)におけるYと同義である。式(7)及び(10)に記載のXは、ハロゲン原子を示す。ハロゲン原子とは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子又は臭素原子である。
[3−1]チオフェン化合物にハロメチル基を付加する反応を経てハロメチル体を得る
工程
チオフェン化合物にハロメチル基を付加する反応を経てハロメチル体を得る工程(工程A−1、工程B−2、工程C−1)は、特段の制限は無い。公知文献(J.Org.Chem.1966,31,3363−3365 又はBioorganic & Medicinal Chemistry 2008,16,2499−2512)等を参考に実施することができる。
触媒にルイス酸を用いて(クロロメチル)メチルエ−テル等のクロロメチル化試薬を作用させる方法又は臭化水素酸若しくは塩酸存在下で、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物を作用させる方法が好ましい。反応収率向上の点から、触媒にルイス酸を用いて(クロロメチル)メチルエ−テル等のクロロメチル化試薬を作用させる方法がより好ましい。
触媒にルイス酸を用いる場合、その種類に特段の制限はなく、塩化亜鉛(II)、四塩化チタン(IV)又は四塩化スズ(IV)などを用いることができる。
式(3)又は(9)に表される化合物に対するルイス酸の量比は、通常1当量以上であ
る。一方、通常20当量以下、好ましくは5当量以下、さらに好ましくは3当量以下である。
式(3)又は(9)に表される化合物に対する(クロロメチル)メチルエ−テル等のクロロメチル化試薬の量比は、特段の制限はないが、通常2当量以上用いられる。一方、通常300当量以下、好ましくは30当量以下である。
反応温度は、特段の制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、200℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応圧力は、特段の制限はないが、通常大気圧下である。
雰囲気は、特段の制限はないが、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[3−2]ハロメチル体から4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
ハロメチル体から4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程(工程A−2、工程B−3、工程C−3)は、特段の制限はない。公知文献(J.Org.Chem.1966,31,3363−3365.)等を参考に実施することができる。硫黄又は硫化ナトリウムを作用させる方法が好ましい。反応収率向上の点から、硫化ナトリウムを作用させる方法がより好ましい。なお、硫化ナトリウムは、無水物又は水和物(例えば5水和物)を用いることができる。
式(7)又は(10)に表される化合物に対する硫化ナトリウムの量比は、特段の制限はないが、通常0.35当量以上が用いられ、好ましくは0.40当量以上である。一方、通常1当量以下、好ましくは0.7当量以下、さらに好ましくは0.6当量以下である。
溶媒としては、特段の制限は無いが、アルコ−ル溶媒が好ましく用いられる。用いられるアルコ−ル溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル又はブタノ−ルなどが挙げられる。水との混合溶媒を用いることもできる。
反応温度は、特段の制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常150℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応圧力は、特段の制限はないが、通常大気圧下である。
雰囲気は、特段の制限はないが、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[3−3]エステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る工程
エステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る工程(工程A−3、工程B−1、工程C−2)は、特段の制限は無い。エステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る周知の反応方法を用いて実施することができる。
エステル基(R=アルキル基又は芳香族基)を有する化合物とアミンとの反応により、直接アミド基を有する化合物を得る方法、エステル基(R=アルキル基又は芳香族基)を有する化合物をアルキルカルボニルオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシカルボニル基又はイミダゾリル基を有する化合物とする反応後に、アミンとの反応によりアミド基を有する化合物を得る方法、カルボキシル基(R=H)を有する化合物をクロロカルボニル基、アルキルカルボニルオキシカルボニル基又はアリールカルボニルオキシカルボニル基を有する化合物とする反応後に、アミンとの反応によりアミド基を有する化合物を得る方法又はカルボキシル基(R=H)を有する化合物を縮合剤と反応させた後に、アミンとの反応によりアミド基を有する化合物を得る方法が好ましい。
反応操作や反応材料の取り扱いが簡便なことや、強酸性条件や高温条件を必要としない等の反応条件が穏やかであり、副反応が起こりにくいことから、カルボキシル基(R=H)を有する化合物を縮合剤と反応させた後に、アミンとの反応によりアミド基を有する化合物を得る方法がより好ましい。
縮合剤は、カルボン酸とアルコ−ル又はアミンとの反応において、エステル基又はアミド基を形成する反応に用いることのできる縮合剤であれば特段の制限は無い。具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルジイミダゾ−ル、ジフェニルリン酸アジド又はヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾ−ル−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム等が挙げられる。なかでも、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はカルボニルジイミダゾ−ルが好ましい。
式(3)、(7)又は(8)で表される化合物に対する縮合剤の量比は、通常1当量以上が用いられ、一方、通常、10当量以下であり、好ましくは3当量以下、さらに好ましくは2当量である。
式(3)、(7)又は(8)で表される化合物に対するアミンの量比は、通常1当量以上が用いられ、一方、通常、30当量以下であり、好ましくは10当量以下である。
縮合剤と反応させた後、アミンを加えてもよく、縮合剤とアミンとを共存させておいてもよい。
反応を効率良く進行させる為に、トリエチルアミン又はN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの3級アミンを共存させてもよい。
溶媒は、特段の制限は無いが、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル又は1,4−ジオキサンなどのエ−テル溶媒; クロロホルム又はジクロロメタンなどのハロゲン溶媒;
N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒; トルエン、キシレン又はピリジンなどの芳香族溶媒; アセトニトリルなどのニトリル系溶媒等を好ましく用いることができる。
温度は、特段の制限は無く、通常−20℃以上、好ましくは−5℃以上、一方、通常100℃以下、好ましくは50℃以下である。
圧力は特段の制限は無く、通常、大気圧下で実施される。
雰囲気は、特段の制限はないが、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
[3−4]式(4)で表される化合物
Figure 0005760813
式(4)中、Yは置換基を有していてもよいアミノ基を示す。
式(4)で表される化合物が有するカルボニル基とYとでアミド結合を有することは、後の工程において、アシル基を効率良く導入できる点で好ましい。
アミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基又はN,N−ジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基; N,N−ジフェニルアミノ基又はN
,N−ジトリルアミノ基等のアリ−ルアミノ基; N,N−ジメトキシアミノ基、N,N−ジエトキシアミノ基又はN−メチル−N−メトキシ基等のN−アルコキシ置換基を有するアミノ基; ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、イミダゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、1,3,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、1,2−ジヒドロピリジル基、1,2,3,4−テトラヒドロピリジル基、1,2,3,4−テトラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基又はベンゾトリアゾリル基等の窒素原子を有する複素環基が挙げられる。
上記アミノ基又は窒素原子を有する複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基又は芳香族基である。
アルキル基としては、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基および炭素数2〜20の芳香族複素環基が好ましく、好ましくはフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。
なかでも好ましくは、N−アルコキシ置換基を有するアミノ基又は窒素原子を有する複素環基であり、より好ましくは、N−メチル−N−メトキシアミノ基、ピロリル基、モルホリニル基、イミダゾリル基又はベンゾトリアゾリル基である。後述するアミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物を得る工程において、アルコ−ル体などの副生物の生成を効果的に抑えられ、収率を向上できる点で好ましい。式(4)としては、具体的には以下の化合物が挙げられる。ただし、これらに限定されることはない。
Figure 0005760813
[4](c)工程:式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程
式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程としては、特段の制限は無い。なかでも、アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物を得る工程及び4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物からチエノチオフェン化合物を得る工程を含むことが好ましい。
アミンが結合したカルボニル基からアルキルカルボニル基やアリ−ルカルボニル基への反応工程における求核剤がカルボニル基に求核付加した際に、反応中間体であるアニオンが安定化する点で好ましい。
このことにより、さらに求核剤が求核付加したアルコ−ル体の生成を抑えられるために、反応収率が向上する点で好ましい。
また、分子内に安定なアニオンが生成することにより、求核剤により4,6−ジヒドロチエノチオフェン骨格やチエノチオフェン骨格がアニオン化する、又は求核剤が4,6−ジヒドロチエノチオフェン骨格やチエノチオフェン骨格へと求核付加するなどの副反応を効果的に抑えることができるために、反応収率が向上する点で好ましい。
さらに、上述の理由により、求核剤を過剰に用いた場合でも副反応を抑えることができ、アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物への反応収率を向上させることが容易となる点で好ましい。
次に、求核剤の使用量を厳密に制御する必要が無いことから、容易な操作で再現性良くアシル基を有する化合物を得ることができる点で好ましい。
さらに、過剰の求核剤の使用により原料を効果的に消費でき、且つ反応収率が高いことから、アシル基を有する化合物の精製工程を簡略化できる点で好ましい。
具体的には、式(4)で表される化合物、式(11)で表される化合物、そして式(1
)で表される化合物と、その順を経るル−トD又は式(4)で表される化合物、式(12)で表される化合物そして式(1)で表される化合物と、その順を経るル−トEが挙げられる。ル−トDを経る製造方法は、副生成物が少なくなる点で好ましい。具体的には、以下の反応式で示される。
Figure 0005760813
式(11)のR及び式(12)中のYは、式(1)におけるR及び式(4)におけるYと同義である。
[4−1]アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物を得る工程
アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物を得る工程(工程D−1、工程E−2)は、特段の制限はないが、公知文献(Eur.J.Org.Chem.2002,3341−3350)を参考に実施することができる。有機金属試薬を用いる方法が好ましい。
有機金属試薬としては、特段の制限は無いが、Grignard試薬、有機亜鉛試薬又は有機リチウム試薬などを用いる方法が挙げられる。
Grignard試薬としては、特段の制限は無いが、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化n−ヘプチルマグネシウム又は臭化2−エチルヘキシルマグネシウム等が挙げられる。
有機亜鉛試薬、特段の制限は無いが、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛又はジ−n−ヘプチル亜鉛等が挙げられる。
有機リチウム試薬としては、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘプチルリチウウム又は2−エチルヘキシルリチウム等などのアルキルチリウム; フェニルチリウム等のアリ−ルリチウム等が挙げられる。
これらの有機金属試薬は、2種類以上を混合して用いてもよい。
選択性又は反応性を向上させる為に、金属塩を共存させてもよい。
Grignard試薬及び金属塩を用いる方法又はアルキルリチウム等の有機リチウム試薬を用いる方法が、チエノチオフェン骨格への求核反応が進行しにくい点で好ましい。金属塩の種類は、特段の制限は無いが、銅(I)塩、銅(II)塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩又はセリウム(III)塩などが挙げられる。チエノチオフェン骨格への求核反応を効果的に抑制する為には、塩化セリウム(III)等のセリウム(III)塩が好ましい。
式(4)又は(12)で表される化合物に対する有機金属試薬の化合物の量比は、特段の制限はないが、通常1当量、好ましくは1.2当量以上が用いられる。一方、通常100当量以下、好ましくは10当量以下、さらに好ましくは3当量以下である。
溶媒は、式(4)又は(12)で表される化合物を溶解し、有機金属試薬と反応しない溶媒であれば特段の制限は無いが、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン又はジエチルエ−テル等のエ−テル溶媒; トルエン又はキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
温度は、特段の制限はないが、通常−100℃以上、好ましくは−78℃以上、一方、通常80℃以下、好ましくは20℃以下である。
圧力は特段の制限はないが、通常大気圧下で実施される。
雰囲気は、有機金属試薬が水と反応し失活し易いことから、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[4−2]4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物からチエノチオフェン化合物を得る工程
4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物からチエノチオフェン化合物を得る工程(工程D−2、工程E−1)は、特段の制限はない。公知文献(国際公報第2011/011545号)等を参考に実施することができる。酸化剤を作用させる方法が好ましい。
酸化剤としては、ベンゾキノン、クロラニル又はDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン)等のキノン類; 過酢酸、m−クロロ過安息香酸又は過安息香酸などの過酸類;CAN(硝酸アンモニウムセリウム); 臭素又はヨウ素などのハロゲンなどが用いられる。
なかでも、4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物をベンゾキノン、クロラニル又はDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン)等のキノン類と反応させる方法は、反応工程を簡略化できる点で好ましく、又は4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を過酢酸、m−クロロ過安息香酸又は過安息香酸等の過酸類と反応後に、反応物を酸無水物中で加熱する方法は、副生物が少ないという点で好ましい。
式(4)又は(11)で表される化合物に対する酸化剤の量比は、特段の制限はないが、通常1当量以上が用いられる。一方、通常、20当量以下であり、好ましくは3当量以下である。
溶媒としては、酸化剤と反応しない溶媒であれば特段の制限は無い。酢酸エチルなどのエステル溶媒; クロロホルム又はジクロロメタンなどのハロゲン溶媒; 酢酸などの有機酸が好ましく用いられる。
温度は、通常−78℃以上、好ましくは−50℃以上であり、一方、通常150℃以下、好ましくは100℃以下である。
圧力は特段の制限は無いが、通常大気圧下で実施することができる。
雰囲気は、特段の制限はなく、空気中又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
酸化剤として過酢酸、m−クロロ過安息香酸又は過安息香酸などの過酸類を使用する場合には、4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物と酸化剤との反応物を、トリフルオロ酢酸無水物又は無水酢酸等の酸無水物中で加熱することにより、チエノチオフェン化合物が得られる。
式(4)又は(11)で表される化合物に対する酸無水物の量比は、特段の制限はないが、通常1当量以上、好ましくは10当量以上である。一方、通常、1000当量以下である。
温度は、通常50℃以上、好ましくは100℃以上であり、一方、無水酢酸の沸点以下であれば制限はないが、通常は140℃以下である。
圧力は特段の制限は無いが、通常大気圧下で実施することができる。
雰囲気は、特段の制限はなく、空気中又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。形成されたチエノチオフェン化合物がさらに酸化することを防ぐために、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
上記で得られた式(1)で表される化合物は、精製してもよい。具体的には、シリカゲルカラムグラフィ−などの周知の精製方法を用いることができる。
[5]式(1)で表される化合物の用途
式(1)で表される化合物は、有機半導体材料又はその部分構造として有用である。具体的には、光電変換素子のp型半導体ポリマーを構成するモノマー単位又は低分子p型半導体の部分構造として有用である。また、n型半導体ポリマーを構成するモノマー単位又は低分子n型半導体の部分構造として有用である。
光電変換素子のp型半導体ポリマーを構成するモノマー単位について、以下に説明する。合成方法等の詳細は公知文献(国際公報第2011/011545号)の記載を参考に実施できる。
具体的には、式(13)で表される化合物は、p型半導体ポリマーを構成するモノマー単位として用いることができる。
Figure 0005760813
式(13)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。X及びXは、ハロゲン原子、スタニル基又はボリル基を示す。
式(13)中、Rは式(1)におけるRと同義である。式(13)中のX及びXは、モノマー単位として同一又は別のモノマーと結合すれば特段の制限はないが、各々独立して、ハロゲン原子、スタニル基又はボリル基が挙げられる。その中でも、ハロゲン原子が好ましい。なお、合成容易な点でX及びXが同一である場合が好ましい。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。その中でも、反応性の点から塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、臭素原子及びヨウ素原子がさらに好ましい。取り扱い易さの点から、臭素原子がさらに好ましい。
スタニル基は、トリメチルスタニル基又はトリブチルスタニル基等のアルキルスタニル基が好ましい。
ボリル基は、ボロン酸又はボロン酸エステルが好ましい。
ハロゲン原子を導入する方法として、臭素若しくはヨウ素等のハロゲンを作用させる方法、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、ジブロモイソシアヌル酸(DBI)若しくは1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)等のハロゲン化剤などを作用させる方法、又はチエノ[3,4−b]チオフェン骨格上の水素原子を塩基で引き抜いてアニオン化させた後、臭素若しくはヨウ素
などを作用させる方法などが挙げられる。
なかでも、操作の簡便さの点から、臭素若しくはヨウ素等のハロゲンを作用させる方法、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、ジブロモイソシアヌル酸(DBI)若しくは1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)等のハロゲン化剤などを作用させる方法が好ましい。さらに、収率の点からN−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、ジブロモイソシアヌル酸(DBI)又は1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)等のハロゲン化剤を作用させる方法がより好ましい。公知文献(国際公報第2011/011545号)を参考に製造することができる。
式(13)で表される化合物に対するハロゲン化剤の量比は、特段の制限はないが、通常1当量以上が用いられる。一方、通常、10当量以下、好ましくは3当量以下である。
溶媒は、ハロゲン化剤と反応しなければ特段の制限は無いが、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)又はDMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)などのアミド系溶媒;酢酸又はフルオロ酢酸等の有機酸; 硫酸など無機酸; ジクロロメタン又はクロロホルム等のハロゲン溶媒が好ましく用いられる。
温度は、通常−20℃以上、好ましくは0℃以上であり、一方、通常120℃以下、好ましくは50℃以下である。
圧力は、特段の制限は無いが、通常大気圧下で実施される。
雰囲気は、特段の制限は無く、空気中又は不活性ガス雰囲気下で行われるが、原料、生成物等が余計な酸化反応や分解反応を起こさないために、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。
[実施例1]
<合成例1:3−フルオロ−2−メトキシカルボニルチオフェンの合成>
Figure 0005760813
公知文献(Heterocycles,1985,23(6),1431−1435.)に記載の方法を参考にして、3−アミノ−2−メトキシカルボニルチオフェン(東京化成社製)を原料にして、目的物(3−フルオロ−2−メトキシカルボニルチオフェン)を合成した。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):3.89(s,3H)、6.71(d,2H,J=5.2Hz)、7.41−7.44(m,1H)
<合成例2:4,5−ビス(クロロメチル)−3−フルオロ−2−メトキシカルボニルチオフェンの合成>
Figure 0005760813
窒素雰囲気下、50−mLシュレンク管に、合成例1で得られた化合物(800mg、5.00mmol)、塩化亜鉛(II)(681mg、5.00mmol)及びメトキシメチルクロリド(8mL)を入れ、60℃で約2時間加熱した。室温に降温し、氷水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を水洗した。次に、抽出した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過し、濃縮した。これを中性シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=98:2〜95:5)に供することで、目的物(4,5−ビス(クロロメチル)−3−フルオロ−2−メトキシカルボニルチオフェン)を収率88%(1.13g,4.39mmol)で得た。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):3.90(S,3H)、4.54(S,2H)、4.75(S,2H)
<合成例3:3−フルオロ−2−メトキシカルボニル−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
Figure 0005760813
窒素雰囲気下、200−mL四口ナスフラスコ中に、合成例2で得られた化合物(255mg、0.992mmol)及びメタノ−ル(70mL)を入れ、加熱還流した。ここに、硫化ナトリウム・5水和物(167mg、0.992mmol)/メタノ−ル(20mL)を約1時間かけて滴下した。室温に降温し、減圧濃縮した。酢酸エチルに懸濁し、不溶物をろ去した後、濃縮した。これを塩化メチレンに溶解させ、中性シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=93:7)に供することで、目的物(3−フルオロ−2−メトキシカルボニル−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン)を収率60%(129mg、0.591mmol)で得た。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):3.87(S,3H)、4.01(t,2H,J=3.2Hz)、4.17(d,2H,J=3.2Hz)
<合成例4:3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボン酸の合成>
Figure 0005760813
300−mLナスフラスコ中に、合成例3で得られた化合物(2.09g、9.58mmol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF,100mL)、メタノ−ル(100mL
)及び水(40mL)を加えて溶解させた。
ここに、炭酸カリウム(2.65g、19.2mmol)を入れ、窒素雰囲気下55℃で加熱した。約30時間後、室温に戻し、水を加えた後、有機溶媒を減圧留去した。残った水溶液を分液漏斗に移し、酢酸エチルで3回洗浄後、水層を1N塩酸(39.7mL)で中和した。酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮することで、目的物(3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボン酸)を収率90%(1.76g、8.63mmol)で得た。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):4.02(t,2H,J=3.2Hz)、4.19(d,2H,J=3.2Hz)
<合成例5:2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)カルボニル−3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
Figure 0005760813
窒素雰囲気下、200−mLナスフラスコ中に、合成例4で得られた化合物(1.76g、8.617mmol)を加え、THF(150mL)に溶解した。ここに、N,N’−カルボニルジイミダゾ−ル(和光純薬社製:1.677g、10.34mmol)を加えて室温で攪拌した。約2時間後、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(ACROS社製:以下、アミン誘導体と記す場合がある、1.26g、12.93mmol)を加えた。
約3時間攪拌後、THF(40mL)を追加し、アミン誘導体(2.52g、25.86mmol)を加え、40℃で、28時間攪拌した。水を加え、THFを減圧留去した。
酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体を塩化メチレンに溶解し、カラムクロマトグラフィ−(中性シリカゲル、ヘキサン:塩化メチレン=90:10〜75:25)に供することで、目的物(2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)カルボニル−3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン)を収率82%(2.06g)で得た。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):3.31(S,3H)、3.73(S,3H)、4.02(t,2H,J=3.2Hz)、4.17(d,2H,J=3.2Hz)
<合成例6:3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
Figure 0005760813
窒素雰囲気下、300−mLシュレンク中、合成例5で得られた化合物(800mg、3.23mmol)を入れ、THF(48mL)に溶解させた。−78℃に冷却し、1.45M濃度のn−ヘプチルリチウムのジエチルエ−テル溶液(ケミカルソフト開発研究所製、4.45mL、6.46mmol)を滴下し、約20分間攪拌した。
水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物を塩化メチレンに溶解し、中性シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:塩化メチレン=60:40〜0:100)に供し、目的物(3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン)を収率76%(707mg)で得た。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):0.88(t,3H,J=6.8Hz)、1.2−1.4(m,8H),1.68−1.72(m,2H),2.81−2.85(m,2H)4.01(t,2H,J=3.2Hz), 4.17(d,2H,J=3.2Hz)
<合成例7:3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−チエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
Figure 0005760813
窒素雰囲気下、50−mL三口ナスフラスコ中に、合成例6で得られた化合物(707mg、2.47mmol)を加え、クロロホルム(10mL)に溶解した。−50℃に冷却し、ここにm−クロロ過安息香酸(554mg、<3.21mmol)のクロロホルム溶液(5mL)を約20分かけて滴下し、徐々に室温まで昇温した。溶媒を留去し、窒素雰囲気下で無水酢酸(2.33mL、24.68mmol)を加え、140℃で約20分間加熱還流した。室温まで冷却後、少量の塩化メチレンで希釈し、中性シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:塩化メチレン=1:0〜2:1)に供することで、目的物(3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−チエノ[3,4−b]チオフェン)を収率96%(677mg、2.38mmol)で得た。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):0.89(t,3H,J=7.2Hz)、1.2−1.42(m,8H),1.70−1.77(m,2H),2.93−2.97(m,2H),7.28(dd,1H,J=2.4Hz,2.4Hz)
,7.69(d,1H,2.4Hz)
[実施例2]
<合成例8:4,6−ジブロモ−3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−チエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
Figure 0005760813
窒素雰囲気下、50−mLナスフラスコ中に、実施例1の合成例7で得られた化合物(674mg、2.37mmol)を加え、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解した。10℃にて攪拌しながら、ここにN−ブロモスクシンイミド(1.478g、8.31mmol)を加えた。約30分間攪拌後、室温に昇温した。
さらに約10分攪拌後、上記反応液を、5重量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(13mL)の入った三角フラスコ中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出後の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体を塩化メチレンに溶解し、カラムクロマトグラフィ−(中性シリカゲル、ヘキサン:塩化メチレン=100:0〜82:18)に供することで、目的物(4,6−ジブロモ−3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−チエノ[3,4−b]チオフェン)を収率86%(906mg)で得た。
得られた化合物のHNMR(400MHz、CDCl):0.89(t,3H,J=6.8Hz)、1.2−1.42(m,8H),1.71−1.75(m,2H),2.91−2.95(m,2H)
実施例1においては、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物が高収率にて得られている。また実施例2においては、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物のハロゲン付加体が高収率にて得られている。
以上より、本願発明に係る製造方法によれば、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物を効率的に製造できることが判る。

Claims (3)

  1. 式(1)で表されるチエノチオフェン化合物の製造方法であって、下記(a)〜(c)各工程を含むことを特徴とする、チエノチオフェン化合物の製造方法。
    (a)工程:式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程
    (b)工程:式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
    (c)工程:式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程
    Figure 0005760813
    (式(1)〜(4)中、R1は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Yは置換基を有していてもよいアミノ基を示す。)
  2. 前記(a)工程が、前記式(2)で表わされる3−アミノチオフェン化合物から下記式(5)で表わされるジアゾニウム塩化合物を得て、該式(5)で表されるジアゾニウム塩化合物を分解して、前記式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程を含む、請求項1に記載のチエノチオフェン化合物の製造方法。
    Figure 0005760813
    (式(5)中、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Aは1価のフッ素原子を有するアニオンを示す。)
  3. 請求項1又は2に記載の方法により式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得た後、該式(1)で表されるチエノチオフェン化合物から式(13)で表されるチエノチオフェン化合物を得る、チエノチオフェン化合物の製造方法。
    Figure 0005760813
    (式(13)中、R1は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、X2及びX3は、ハロゲン原子、スタニル基又はボリル基を示す。)
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