JP5760813B2 - チエノチオフェン化合物の製造方法 - Google Patents
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例えば非特許文献1及び特許文献1には、2位にアシル基を有し且つ3位にフルオロ基を有するチエノチオフェン化合物の製造方法と、該チエノチオフェン化合物をモノマー単位として含むコポリマーを用いた有機薄膜太陽電池が記載されている。
非特許文献1には、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物の製造方法として、2位にアシル基を有するチエノチオフェン化合物から、2位のアシル基のカルボニル基をエチレングリコールで保護し、得られた保護基(ケタ−ル基)を有するジヒドロチエノチオフェン化合物に対して、求電子的フッ素化剤を用いたフルオロ基付加を行う工程を経る製造方法が記載されている。
特許文献1には、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物の製造方法として、2位にカルボキシル基を有し且つ3位にフルオロ基を有するジヒドロチエノチオフェン化合物から2位のカルボキシル基を銅触媒とキノリンを用いて脱炭酸した後に、アシル基を付加する工程を経る製造方法が記載されている。
すなわち、2位にアシル基を有し且つ3位にフルオロ基を有するチエノチオフェン化合物のより効率的な製造方法が求められていた。
製造できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]式(1)で表されるチエノチオフェン化合物の製造方法であって、下記(a)〜(c)各工程を含むことを特徴とする、チエノチオフェン化合物の製造方法。
(a)工程:式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程
(b)工程:式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
(c)工程:式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程
[2]前記(a)工程が、前記式(2)で表わされる3−アミノチオフェン化合物から下記式(5)で表わされるジアゾニウム塩化合物を得て、該式(5)で表されるジアゾニウム塩化合物を分解して、前記式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程を含む、[1]に記載のチエノチオフェン化合物の製造方法。
。)
(a)式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程
(b)式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
(c)式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程
具体的には、以下の反応式で示される。
更に、高価な求電子的フッ素化剤の使用を回避することができることから、製造コストが抑制しうる利点がある。また、入手容易な化合物を出発原料として合成可能であり、かつ目的物の収率が高いことから、より大量スケ−ルでの製造が容易となりうる利点がある。
R1の具体例を以下に説明する。
芳香族基としては、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基を用いることができる。
アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基
、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、例えば、メチルエチニル基、フェニルエチニル基およびトリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、エチルヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基、およびt−ブトキシ基など直鎖または分岐のアルコキシ基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基などが挙げられる。
アリ−ルオキシ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
アリ−ルチオ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、例えば、フェニルチオ基等が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、無置換のアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基;並びにジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、カルバゾリル基およびフェニルカルバゾリル基等のアリ−ルアミノ基が挙げられる。
ボリル基としては、無置換の、又は置換基を有する、ボリル基を用いることができる。例えば、アリ−ル基で置換されたジメシチルボリル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、これらは単環基に何ら限定されず、縮合多環式炭化水素基および環縮合炭化水素基であってもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基およびクオーターフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基およびトリフェニレニル基が好ましい。
ジニル基、フェナントロリニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基およびキノキサリニル基等が挙げられる。なかでも、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基又はベンゾチエニル基が好ましい。
式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程としては、式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物におけるアミノ基をフルオロ基とする反応工程であれば特段の制限はない。
求電子的フッ素化剤を用いる製造方法では、アルキルリチウムを使用するために低温条件が必要であることが多いことから、大スケ−ルでの生産を行う場合、反応条件の調整に労力がかかる。一方、本願の製造方法では、低温条件とする必要が無いため、反応条件の調整に労力が比較的かからない点で好ましい。また、再結晶による簡便な精製が可能であるため、大量スケ−ルでの生産が容易になる点で好ましい。具体的には、下記反応式で示される。
[2−1]式(2)で表される化合物
R2の具体例を以下に説明する。R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。R2をこれらの基とすることにより、ジアゾニウム化又はフルオロ化工程において副反応が起こりにくく収率低下が抑えられるという点で好ましい。R2が置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である場合の炭素数は、(a)工程の収率向上の点から通常1以上30以下である。
芳香族基としては、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を用いることができる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、これらは単環基、縮合多環式炭化水素基および環縮合炭化水素基のいずれであってもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基又はクオーターフェ
ニル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基又はトリフェニレニル基が好ましい。
[2−2] 式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から、フッ素原子を有するアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩化合物である式(5)で表される化合物を得る工程
式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から、フッ素原子を有するアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩化合物である式(5)で表される化合物を得る工程は、特段の制限はない。公知文献(Chem.Commun.2010,46(18),3131−3133、J.Am.Chem.Soc.2010,132(40),14039−14041、Synlett.2010,(12),1803−1806、Synlett.2010,(5),804−808、Heterocycles 1985,23,1431−1435、Synthesis 2008,No.15,2333−2336)などを参考に実施することができる。なかでも、式(2)の化合物のアミノ基を、対イオンとして1価のフッ素原子を有するアニオン存在下でジアゾニウム基にする反応を経ることにより、式(5)で表される化合物を得る工程が好ましい。または、式(2)の化合物のアミノ基を、対イオンとして硫酸水素イオン(HSO4 −)、硫酸イオン(SO4 2−)、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、リン酸イオン(PO4 3−)又は酢酸イオン(CH3COO−)などのフッ素原子を有さないアニオン存在下でジアゾニウム基にする反応を経ることにより式(6)で表される化合物を得る工程、次いで、式(6)で表される化合物の対イオンを1価のフッ素原子を有するアニオンとする反応を経ることにより式(5)で表される化合物を得る工程、が好ましい。
合成工程を簡略化できる点で、前者が好ましい。合成収率向上の点で、後者がより好ましい。
式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物のアミノ基を、対イオンとして硫酸水素イオン(HSO4 −)、硫酸イオン(SO4 2−)、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、リン酸イオン(PO4 3−)又は酢酸イオン(CH3COO−)などのフッ素原子を有さないアニオン存在下でジアゾニウム基にする反応を経ることにより、式(6)で表される化合物を得る工程は、特段の制限はない。公知文献(Heterocycles 1985,23,1431−1435)記載の方法により実施することができる。
酸性条件下にするためには、酸を反応系に存在させる。
酸としては、特段の制限は無いが、塩酸、臭化水素酸若しくは硫酸等の無機酸又は酢酸若しくはトリフルオロ酢酸等の有機酸を使用することができる。これらの酸は、水や有機溶媒と混合して使用することもできる。
反応温度は、特段の制限はないが、通常−50℃以上、好ましくは−20℃以上、一方、100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。
雰囲気は、特段の制限はないが、空気中、又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
[2−2−2]式(6)で表される化合物
式(6)中のR2は式(2)におけるR2と同義である。
B−は、1価のフッ素原子を有するアニオンでなければ特段の制限は無いが、通常、硫酸水素イオン(HSO4 −)、硫酸イオン(SO4 2−)、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−),リン酸イオン(PO4 3−)又は酢酸
イオン(CH3COO−)などが挙げられる。なかでも、クロリド(Cl−)又はブロミド(Br−)などが好ましい。なお、B−は1価以上のアニオンを示す。
式(6)で表される化合物の対イオンを1価のフッ素原子を有するアニオンとする反応を経ることにより、式(5)で表される化合物を得る工程は、特段の制限はない。公知文献(Heterocycles 1985,23,1431−1435)記載の方法を参考に実施することができる。
;ヘキサフルオロリン酸(HPF6); LiPF6、NaPF6、KPF6、(NH4)PF6、(Bu4N)PF6又はAgPF6などのヘキサフルオロリン酸塩が挙げられる。
なかでも、テトラフルオロホウ酸(HBF4)又はヘキサフルオロリン酸(HPF6)が、収率が高い点で好ましい。
反応温度は、特段の制限はないが、通常−50℃以上、好ましくは−20℃以上、一方、100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。
反応圧力は、特段の制限はないが、通常大気圧下である。
[2−2−4]式(5)で表される化合物
R2は、式(2)におけるR2と同義である。
A−は、1価のフッ素原子を有するアニオンであれば特段の制限はないが、好ましくは、テトラフルオロボレ−ト(BF4 −)又はヘキサフルオロホスフェイト(PF6 −)である。
式(5)で表される化合物を分解し、式(3)を得る工程としては、特段の制限は無い。公知文献(Heterocycles 1985,23,1431−1435、Synthesis 2008、No.15、2333−2336)に記載の方法を参考に実施することができる。
また、アシル基を有するチオフェン化合物であって、ジアゾニウム基と1価のフッ素原子を有するアニオンとのジアゾニウム塩化合物の場合には、熱分解によりフルオロ基とする反応を行う場合には、熱分解の反応過程中にアシル基が脱離する可能性がある。その為、ジアゾニウム塩の熱分解によりフルオロ基とする反応を行う工程は、チオフェン化合物にエステル基又はカルボキシル基を有した状態であることが好ましい。
加熱温度に特段の制限は無いが、通常50℃以上、好ましくは100℃以上であり、一方、通常500℃以下、好ましくは300℃以下である。加熱温度が50℃以上では、反応を円滑に進行させる点で好ましく、加熱温度が500℃以下では、副反応を抑制する点で好ましい。
R2は式(2)におけるR2と同義である。
[3](b)工程:式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程としては、特段の制限は無いが、チオフェン化合物にハロメチル基を付加する反応を経てハロメチル体を得る工程、ハロメチル体から4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程、及びエステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る工程の計三つの工程を含むことが好ましい。
工程
チオフェン化合物にハロメチル基を付加する反応を経てハロメチル体を得る工程(工程A−1、工程B−2、工程C−1)は、特段の制限は無い。公知文献(J.Org.Chem.1966,31,3363−3365 又はBioorganic & Medicinal Chemistry 2008,16,2499−2512)等を参考に実施することができる。
式(3)又は(9)に表される化合物に対するルイス酸の量比は、通常1当量以上であ
る。一方、通常20当量以下、好ましくは5当量以下、さらに好ましくは3当量以下である。
反応温度は、特段の制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、200℃以下、好ましくは100℃以下である。
雰囲気は、特段の制限はないが、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[3−2]ハロメチル体から4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
ハロメチル体から4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程(工程A−2、工程B−3、工程C−3)は、特段の制限はない。公知文献(J.Org.Chem.1966,31,3363−3365.)等を参考に実施することができる。硫黄又は硫化ナトリウムを作用させる方法が好ましい。反応収率向上の点から、硫化ナトリウムを作用させる方法がより好ましい。なお、硫化ナトリウムは、無水物又は水和物(例えば5水和物)を用いることができる。
溶媒としては、特段の制限は無いが、アルコ−ル溶媒が好ましく用いられる。用いられるアルコ−ル溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル又はブタノ−ルなどが挙げられる。水との混合溶媒を用いることもできる。
反応圧力は、特段の制限はないが、通常大気圧下である。
雰囲気は、特段の制限はないが、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
エステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る工程(工程A−3、工程B−1、工程C−2)は、特段の制限は無い。エステル基又はカルボキシル基を有する化合物からアミド基を有する化合物を得る周知の反応方法を用いて実施することができる。
縮合剤は、カルボン酸とアルコ−ル又はアミンとの反応において、エステル基又はアミド基を形成する反応に用いることのできる縮合剤であれば特段の制限は無い。具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルジイミダゾ−ル、ジフェニルリン酸アジド又はヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾ−ル−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム等が挙げられる。なかでも、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はカルボニルジイミダゾ−ルが好ましい。
式(3)、(7)又は(8)で表される化合物に対するアミンの量比は、通常1当量以上が用いられ、一方、通常、30当量以下であり、好ましくは10当量以下である。
反応を効率良く進行させる為に、トリエチルアミン又はN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの3級アミンを共存させてもよい。
溶媒は、特段の制限は無いが、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル又は1,4−ジオキサンなどのエ−テル溶媒; クロロホルム又はジクロロメタンなどのハロゲン溶媒;
N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒; トルエン、キシレン又はピリジンなどの芳香族溶媒; アセトニトリルなどのニトリル系溶媒等を好ましく用いることができる。
圧力は特段の制限は無く、通常、大気圧下で実施される。
雰囲気は、特段の制限はないが、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
式(4)で表される化合物が有するカルボニル基とYとでアミド結合を有することは、後の工程において、アシル基を効率良く導入できる点で好ましい。
アミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基又はN,N−ジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基; N,N−ジフェニルアミノ基又はN
,N−ジトリルアミノ基等のアリ−ルアミノ基; N,N−ジメトキシアミノ基、N,N−ジエトキシアミノ基又はN−メチル−N−メトキシ基等のN−アルコキシ置換基を有するアミノ基; ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、イミダゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、1,3,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、1,2−ジヒドロピリジル基、1,2,3,4−テトラヒドロピリジル基、1,2,3,4−テトラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基又はベンゾトリアゾリル基等の窒素原子を有する複素環基が挙げられる。
アルキル基としては、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基および炭素数2〜20の芳香族複素環基が好ましく、好ましくはフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。
式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程としては、特段の制限は無い。なかでも、アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物を得る工程及び4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物からチエノチオフェン化合物を得る工程を含むことが好ましい。
このことにより、さらに求核剤が求核付加したアルコ−ル体の生成を抑えられるために、反応収率が向上する点で好ましい。
さらに、上述の理由により、求核剤を過剰に用いた場合でも副反応を抑えることができ、アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物への反応収率を向上させることが容易となる点で好ましい。
さらに、過剰の求核剤の使用により原料を効果的に消費でき、且つ反応収率が高いことから、アシル基を有する化合物の精製工程を簡略化できる点で好ましい。
具体的には、式(4)で表される化合物、式(11)で表される化合物、そして式(1
)で表される化合物と、その順を経るル−トD又は式(4)で表される化合物、式(12)で表される化合物そして式(1)で表される化合物と、その順を経るル−トEが挙げられる。ル−トDを経る製造方法は、副生成物が少なくなる点で好ましい。具体的には、以下の反応式で示される。
[4−1]アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物を得る工程
アミド基を有する化合物からアシル基を有する化合物を得る工程(工程D−1、工程E−2)は、特段の制限はないが、公知文献(Eur.J.Org.Chem.2002,3341−3350)を参考に実施することができる。有機金属試薬を用いる方法が好ましい。
Grignard試薬としては、特段の制限は無いが、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化n−ヘプチルマグネシウム又は臭化2−エチルヘキシルマグネシウム等が挙げられる。
有機リチウム試薬としては、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘプチルリチウウム又は2−エチルヘキシルリチウム等などのアルキルチリウム; フェニルチリウム等のアリ−ルリチウム等が挙げられる。
選択性又は反応性を向上させる為に、金属塩を共存させてもよい。
Grignard試薬及び金属塩を用いる方法又はアルキルリチウム等の有機リチウム試薬を用いる方法が、チエノチオフェン骨格への求核反応が進行しにくい点で好ましい。金属塩の種類は、特段の制限は無いが、銅(I)塩、銅(II)塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩又はセリウム(III)塩などが挙げられる。チエノチオフェン骨格への求核反応を効果的に抑制する為には、塩化セリウム(III)等のセリウム(III)塩が好ましい。
溶媒は、式(4)又は(12)で表される化合物を溶解し、有機金属試薬と反応しない溶媒であれば特段の制限は無いが、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン又はジエチルエ−テル等のエ−テル溶媒; トルエン又はキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
圧力は特段の制限はないが、通常大気圧下で実施される。
雰囲気は、有機金属試薬が水と反応し失活し易いことから、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物からチエノチオフェン化合物を得る工程(工程D−2、工程E−1)は、特段の制限はない。公知文献(国際公報第2011/011545号)等を参考に実施することができる。酸化剤を作用させる方法が好ましい。
なかでも、4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物をベンゾキノン、クロラニル又はDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン)等のキノン類と反応させる方法は、反応工程を簡略化できる点で好ましく、又は4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物を過酢酸、m−クロロ過安息香酸又は過安息香酸等の過酸類と反応後に、反応物を酸無水物中で加熱する方法は、副生物が少ないという点で好ましい。
溶媒としては、酸化剤と反応しない溶媒であれば特段の制限は無い。酢酸エチルなどのエステル溶媒; クロロホルム又はジクロロメタンなどのハロゲン溶媒; 酢酸などの有機酸が好ましく用いられる。
圧力は特段の制限は無いが、通常大気圧下で実施することができる。
雰囲気は、特段の制限はなく、空気中又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
酸化剤として過酢酸、m−クロロ過安息香酸又は過安息香酸などの過酸類を使用する場合には、4,6−ジヒドロチエノチオフェン化合物と酸化剤との反応物を、トリフルオロ酢酸無水物又は無水酢酸等の酸無水物中で加熱することにより、チエノチオフェン化合物が得られる。
温度は、通常50℃以上、好ましくは100℃以上であり、一方、無水酢酸の沸点以下であれば制限はないが、通常は140℃以下である。
雰囲気は、特段の制限はなく、空気中又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。形成されたチエノチオフェン化合物がさらに酸化することを防ぐために、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
上記で得られた式(1)で表される化合物は、精製してもよい。具体的には、シリカゲルカラムグラフィ−などの周知の精製方法を用いることができる。
式(1)で表される化合物は、有機半導体材料又はその部分構造として有用である。具体的には、光電変換素子のp型半導体ポリマーを構成するモノマー単位又は低分子p型半導体の部分構造として有用である。また、n型半導体ポリマーを構成するモノマー単位又は低分子n型半導体の部分構造として有用である。
具体的には、式(13)で表される化合物は、p型半導体ポリマーを構成するモノマー単位として用いることができる。
式(13)中、R1は式(1)におけるR1と同義である。式(13)中のX2及びX3は、モノマー単位として同一又は別のモノマーと結合すれば特段の制限はないが、各々独立して、ハロゲン原子、スタニル基又はボリル基が挙げられる。その中でも、ハロゲン原子が好ましい。なお、合成容易な点でX2及びX3が同一である場合が好ましい。
スタニル基は、トリメチルスタニル基又はトリブチルスタニル基等のアルキルスタニル基が好ましい。
ハロゲン原子を導入する方法として、臭素若しくはヨウ素等のハロゲンを作用させる方法、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、ジブロモイソシアヌル酸(DBI)若しくは1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)等のハロゲン化剤などを作用させる方法、又はチエノ[3,4−b]チオフェン骨格上の水素原子を塩基で引き抜いてアニオン化させた後、臭素若しくはヨウ素
などを作用させる方法などが挙げられる。
溶媒は、ハロゲン化剤と反応しなければ特段の制限は無いが、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)又はDMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)などのアミド系溶媒;酢酸又はフルオロ酢酸等の有機酸; 硫酸など無機酸; ジクロロメタン又はクロロホルム等のハロゲン溶媒が好ましく用いられる。
圧力は、特段の制限は無いが、通常大気圧下で実施される。
雰囲気は、特段の制限は無く、空気中又は不活性ガス雰囲気下で行われるが、原料、生成物等が余計な酸化反応や分解反応を起こさないために、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
[実施例1]
<合成例1:3−フルオロ−2−メトキシカルボニルチオフェンの合成>
得られた化合物の1HNMR(400MHz、CDCl3):3.89(s,3H)、6.71(d,2H,J=5.2Hz)、7.41−7.44(m,1H)
<合成例2:4,5−ビス(クロロメチル)−3−フルオロ−2−メトキシカルボニルチオフェンの合成>
<合成例3:3−フルオロ−2−メトキシカルボニル−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
<合成例4:3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボン酸の合成>
)及び水(40mL)を加えて溶解させた。
ここに、炭酸カリウム(2.65g、19.2mmol)を入れ、窒素雰囲気下55℃で加熱した。約30時間後、室温に戻し、水を加えた後、有機溶媒を減圧留去した。残った水溶液を分液漏斗に移し、酢酸エチルで3回洗浄後、水層を1N塩酸(39.7mL)で中和した。酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮することで、目的物(3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボン酸)を収率90%(1.76g、8.63mmol)で得た。
得られた化合物の1HNMR(400MHz、CDCl3):4.02(t,2H,J=3.2Hz)、4.19(d,2H,J=3.2Hz)
<合成例5:2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)カルボニル−3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体を塩化メチレンに溶解し、カラムクロマトグラフィ−(中性シリカゲル、ヘキサン:塩化メチレン=90:10〜75:25)に供することで、目的物(2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)カルボニル−3−フルオロ−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン)を収率82%(2.06g)で得た。
<合成例6:3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物を塩化メチレンに溶解し、中性シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:塩化メチレン=60:40〜0:100)に供し、目的物(3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−4,6−ジヒドロチエノ[3,4−b]チオフェン)を収率76%(707mg)で得た。
<合成例7:3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−チエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
,7.69(d,1H,2.4Hz)
[実施例2]
<合成例8:4,6−ジブロモ−3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−チエノ[3,4−b]チオフェンの合成>
さらに約10分攪拌後、上記反応液を、5重量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(13mL)の入った三角フラスコ中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出後の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体を塩化メチレンに溶解し、カラムクロマトグラフィ−(中性シリカゲル、ヘキサン:塩化メチレン=100:0〜82:18)に供することで、目的物(4,6−ジブロモ−3−フルオロ−2−n−ヘプチルカルボニル−チエノ[3,4−b]チオフェン)を収率86%(906mg)で得た。
実施例1においては、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物が高収率にて得られている。また実施例2においては、2位にアシル基を有する3−フルオロチエノチオフェン化合物のハロゲン付加体が高収率にて得られている。
Claims (3)
- 式(1)で表されるチエノチオフェン化合物の製造方法であって、下記(a)〜(c)各工程を含むことを特徴とする、チエノチオフェン化合物の製造方法。
(a)工程:式(2)で表される3−アミノチオフェン化合物から式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物を得る工程
(b)工程:式(3)で表される3−フルオロチオフェン化合物から式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物を得る工程
(c)工程:式(4)で表されるジヒドロチエノチオフェン化合物から式(1)で表されるチエノチオフェン化合物を得る工程
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