JP5757459B2 - 封着材料 - Google Patents

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Description

本発明は、封着材料に関し、特にプラズマディスプレイパネル(以下、PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FED)、蛍光表示管(以下、VFD)等の平面表示装置の封着に好適な封着材料に関する。
封着材料は、PDPの製造工程において、以下の熱処理工程を経る。まずPDPの背面ガラス基板の外周縁部にビークル内に分散された封着材料を塗布した後、仮焼成を行い、高温でビークル成分を熱分解又は焼却する。仮焼成工程は、ビークルに使用される樹脂が完全に熱分解する温度条件、例えば350〜500℃程度で行われる。次に、封着工程でPDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板を封着する。封着工程は、封着材料が軟化変形する温度条件、例えば450〜500℃程度で行われる。最後に、排気管を通してPDP内部を真空排気した後、希ガスを必要量注入して排気管を封止する。この真空排気工程は420〜480℃程度で行われる。
上記のように作製されたPDPでは、所望の特性を得るためにガラス基板間の間隙寸法を厳密に規制する必要がある。
詳細に説明すると、表示領域におけるガラス基板間の間隙寸法は、隔壁等の高さ寸法により規定される。しかし、ガラス基板の周縁部では、隔壁等が形成されていないため、表示エリアの間隙寸法より小さくなる場合がある。この場合、ガラス基板の周縁部が湾曲して、PDPの画質を低下させる虞が生じる。なお、この現象は、熱処理工程(特に封着工程と真空排気工程)で、軟化し得る状態の封着層が大気圧等の力を受けることで生じると考えられている。
このような事態を防止するため、特許文献1〜3には、表示エリアの間隙寸法に相当するガラスビーズを封着材料中に添加する方法が提案されている。
特開2001−236896号公報 特開2003−36794号公報 特開2003−217464号公報
しかし、従来のガラスビーズは、溶融性、成形性、耐失透性が不十分であるため、寸法精度を高め難く、結果として、ガラス基板間の間隙寸法を均一化することが困難であった。一方、ガラスビーズの選別検査を厳格化すれば、寸法精度のバラツキを低減し得るが、この場合、ガラスビーズの生産効率が低下してしまう。
更に、従来のガラスビーズは、耐熱性が不十分であるため、複数回の熱処理工程でガラスビーズが熱変形や熱収縮し、結果として、ガラス基板間の間隙寸法を厳密に規制することが困難であった。一方、ガラスビーズ中のSiO等の含有量を増加させると、耐熱性を高めることが可能になるが、この場合、溶融性、成形性が低下して、寸法精度を高めることが困難になる。
そこで、本発明は、溶融性、成形性、及び耐失透性が高いと共に、複数回の熱処理工程を経ても、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し得る封着用ガラスビーズ及びこれを用いた封着材料を創案することを技術的課題とする。
本発明者等は、鋭意努力の結果、ガラスビーズの形状、ガラス組成を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料は、少なくともガラス粉末とガラスビーズとを含む封着材料において、ガラスビーズの平均粒子径D50が35〜270μmであり、ガラスビーズの重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上であり、ガラスビーズが、ガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 0〜10%、NaO+KO 1〜20%、MgO+CaO 0〜20%、SrO 2〜15%、SrO+BaO 3〜30%を含有することを特徴とする。ここで、「ガラスビーズ」は、真球形状のガラスに限定されるものではなく、重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上(望ましくは0.8以上、特に0.9以上)のガラスを指す。「平均粒子径D50」は、レーザ回折法で測定した値を指し、レーザ回折法で測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒径を表す。「NaO+KO」は、NaOとKOの合量を指す。「MgO+CaO」は、MgOとCaOの合量を指す。「SrO+BaO」は、SrOとBaOの合量を指す。
本発明の封着材料は、上記のようにガラスビーズのガラス組成が規制されている。このようにすれば、溶融性、成形性、耐失透性、及び耐熱性を高めることができる。
また、本発明の封着材料は、ガラスビーズの平均粒子径D50が35〜270μmに規制されている。ガラスビーズの平均粒子径D50を35μm以上に規制すれば、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し易くなると共に、熱処理工程でガラスビーズの成分がガラス粉末中に溶け込む事態を防止し易くなる。一方、ガラスビーズの平均粒子径D50を270μm以下に規制すれば、PDP等の薄型化を推進しつつ、ガラス基板等にクラックが発生する事態を防止し易くなる。
発明の封着材料は、ガラスビーズの歪点が550℃以上であることが好ましい。ここで、「歪点」は、ASTM C336−71等の方法に基づいて測定した値である。なお、歪点は、耐熱性の指標となる特性である。
発明の封着材料は、ガラスビーズの含有量が0.01〜3質量%であることが好ましい。
発明の封着材料は、ガラスビーズの熱膨張係数が60〜90×10−7/℃であることが好ましい。ここで、「熱膨張係数」は、30〜300℃の温度範囲で測定した平均値を指す。
発明の封着材料は、更に耐火性フィラーを含むことが好ましい。
発明の封着材料は、PDPの封着に用いることが好ましい。
発明の封着用ガラスビーズは、ガラスビーズの重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上であり、平均粒子径D50が35〜270μmであり、且つガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 0〜10%、NaO+KO 1〜20%、MgO+CaO 0〜20%、SrO 2〜15%、SrO+BaO 3〜30%を含有することを特徴とする。
本発明の封着材料において、ガラスビーズの平均粒子径D50は35〜270μm、好ましくは50〜200μmであり、より好ましくは80〜150μmである。ガラスビーズの平均粒子径D50が大き過ぎると、PDP等の薄型化を図り難くなると共に、ガラスビーズがガラス基板の厚み方向に重なり合うと、ガラス基板等にクラックが発生する虞がある。一方、ガラスビーズの平均粒子径D50が小さ過ぎると、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し難くなると共に、熱処理工程でガラスビーズの表層部分がガラス粉末中に溶け込み易くなり、結果として、封着材料の熱的安定性を低下させる虞が生じる。
本発明の封着材料において、ガラスビーズは、ガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 0〜10%、NaO+KO 1〜20%、MgO+CaO 0〜20%、SrO 2〜15%、SrO+BaO 3〜30%を含有する。上記のように、ガラスビーズのガラス組成範囲を限定した理由を下記に示す。
SiOは、ガラスのネットワークフォーマーであり、その含有量は50〜70%、好ましくは54〜70%である。SiOの含有量が多過ぎると、溶融性が低下し、また少な過ぎると、歪点が低下して、熱処理工程でガラスビーズが熱変形や熱収縮し易くなる。
Alは、歪点を高める成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%である。Alの含有量が多過ぎると、高温粘度が不当に上昇して、ビーズ形状に成形し難くなる。
NaO+KOは、熱膨張係数を調整する成分であり、また溶融性を高める成分であり、その含有量は1〜20%、好ましくは5〜15%である。NaO+KOの含有量が多過ぎると、歪点が低下して、熱処理工程でガラスビーズが熱変形や熱収縮し易くなり、また少な過ぎると、高温粘度が不当に上昇して、ビーズ形状に成形し難くなる。
NaOは、熱膨張係数を調整する成分であり、また溶融性を高める成分であり、その含有量は0〜10%、特に1〜7%が好ましい。NaOの含有量が多過ぎると、歪点が低下して、熱処理工程でガラスビーズが熱変形や熱収縮し易くなる。
Oは、熱膨張係数を調整する成分であり、また溶融性を高める成分であり、その含有量は0〜10%、特に2〜10%が好ましい。KOの含有量が多過ぎると、歪点が低下して、熱処理工程でガラスビーズが熱変形や熱収縮し易くなる。
MgO+CaOは、溶融性や成形性を高める成分であり、また歪点を高める成分であり、その含有量は0〜20%、好ましくは1〜9%である。MgO+CaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下して、ガラスビーズの生産効率が低下し易くなる。
MgOは、溶融性や成形性を高める成分であり、また歪点を高める成分であり、その含有量は0〜10%、特に1〜9%が好ましい。MgOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下して、ガラスビーズの生産効率が低下し易くなる。
CaOは、溶融性や成形性を高める成分であり、また歪点を高める成分であり、その含有量は0〜10%、特に0〜6%が好ましい。CaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下して、ガラスビーズの生産効率が低下し易くなる。
SrO+BaOは、溶融性や成形性を高める成分であり、また歪点を高める成分であり、その含有量は3〜30%、好ましくは7〜25%である。SrO+BaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下して、ガラスビーズの生産効率が低下し易くなり、また少な過ぎると、高温粘度が不当に上昇して、ビーズ形状に成形し難くなる。
SrOは、溶融性や成形性を高める成分であり、また歪点を高める成分であり、その含有量は〜15%、特に2〜13%が好ましい。SrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下して、ガラスビーズの生産効率が低下し易くなる。
BaOは、溶融性や成形性を高める成分であり、また歪点を高める成分であり、その含有量は0〜15%、特に1〜12%が好ましい。BaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下して、ガラスビーズの生産効率が低下し易くなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
ZrOは、歪点を高める成分であり、その含有量は0〜10%、特に1〜6%が好ましい。ZrOの含有量が多過ぎると、高温粘度が不当に上昇して、ビーズ形状に成形し難くなる。
は、溶融性や成形性を高める成分であるが、歪点を著しく低下させる成分である。よって、Bの含有量は5%以下が好ましい。Bの含有量が多過ぎると、歪点が低下して、熱処理工程でガラスビーズが熱変形や熱収縮し易くなる。
上記成分以外にも、例えば、TiO、CeOを各々5%まで、成形性を高めるためにY、La、Nbを各々3%まで、耐水性を高めるためにZnOを5%まで、耐クラック性を高めるためにPを4%まで添加することができる。さらにAs、Sb、SO、SnO、Cl等の清澄剤成分を合量で1%まで、Fe、CoO、NiO、Cr等の着色剤成分を各々1%まで添加することができる。
本発明の封着材料において、ガラスビーズの歪点は550℃以上、570℃以上、58
0℃以上、590℃以上、特に600℃以上が好ましい。ガラスビーズの歪点が低過ぎると、熱処理工程でガラスビーズが熱変形や熱収縮し易くなる。
本発明の封着材料において、ガラスビーズの含有量は0.01〜3質量%、0.03〜0.5質量%、特に0.04〜0.15質量%が好ましい。ガラスビーズの含有量が多過ぎると、ガラスビーズ同士が隣接し易くなり、その間に形成された空洞により、気密リークが発生する虞が生じる。一方、ガラスビーズの含有量が少な過ぎると、基板間の間隙寸法を均一化し難くなり、基板の周縁部の湾曲を抑制し難くなる。
本発明の封着材料において、ガラスビーズの熱膨張係数は60〜90×10−7/℃、68〜90×10−7/℃、特に80〜88×10−7/℃が好ましい。このようにすれば、封着層に不当な応力が残存する事態を防止し易くなる。
本発明の封着材料において、種々のガラスが、ガラス粉末として利用可能であり、例えば、PbO−B系ガラス、Bi−B系ガラス、SnO−P系ガラス、V−P系ガラス等が利用可能である。特に、Bi−B系ガラス、SnO−P系ガラス、V−P系ガラスは、低融点特性、及び耐水性に優れるため、好ましい。ここで、「〜系ガラス」とは、明示の成分を必須成分として含有し、且つ明示の成分の合量が30モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上のガラスを指す。なお、ガラス粉末は、環境的観点から、ガラス組成中に実質的にPbOを含まない、つまりPbOの含有量が1000ppm(質量)以下であることが好ましい。
Bi−B系ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、Bi 30〜50%、B 20〜40%、ZnO 1〜30%(好ましくは10〜25%)、BaO 0〜15%(好ましくは1〜15%)、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜20%(好ましくは3〜15%)を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を規制すれば、良好な低融点特性、及び熱的安定性を得ることができる。ここで、「MgO+CaO+SrO+BaO」は、MgO、CaO、SrO、及びBaOの合量を指す。
SnO−P系ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、SnO 40〜70%、P 20〜40%、SiO 0〜10%、ZnO 0〜25%(好ましくは1〜20%)、B 0〜25%(好ましくは1〜20%)を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を規制すれば、良好な低融点特性、熱的安定性、及び耐水性を得ることができる。
−P系ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、V 10〜60%、P 5〜40%、Bi 0〜30%(好ましくは1〜10%)、ZnO 0〜40%、TeO 0〜40%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜35%(好ましくは3〜25%)を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を規制すれば、良好な低融点特性、熱的安定性、及び耐水性を得ることができる。
本発明の封着材料において、ガラス粉末の平均粒子径D50は15μm未満、0.5〜10μm、特に1〜5μmが好ましい。ガラス粉末の平均粒子径D50が小さい程、ガラス粉末の軟化点が低下する。
本発明の封着材料は、ガラス粉末とガラスビーズ以外に、更に耐火性フィラーを含むことが好ましい。このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を低下できると共に、封着材料の機械的強度を高めることができる。ガラス粉末と耐火性フィラーの混合割合は、体積%で40〜100%:0〜60%、40〜99.9%:0.1〜60%、45〜90%:10〜55%、50〜80%:20〜50%、50〜70%:30〜50%、特に50〜65%:35〜50%が好ましい。耐火性フィラーの含有量が多過ぎると、ガラス粉末の割合が相対的に少なくなり、封着強度が低下し易くなる。なお、耐火性フィラーの含有量が0.1体積%未満であると、耐火性フィラーによる効果を享受し難くなる。
耐火性フィラーとして、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β−スポジュメン、コーディエライト、ムライト、石英ガラス、β−ユークリプタイト、β−石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO等の[AB(MO]の基本構造をもつ化合物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
若しくはこれらの固溶体が使用可能である。
本発明の封着材料は、粉末状態で使用に供してもよいが、ビークルと均一に混練し、ペースト化すると取り扱い易くなり、好ましい。ビークルは、通常、溶媒と樹脂を含む。樹脂は、ペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて、ガラス基板等の表面に塗布される。
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、水、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
本発明の封着用ガラスビーズは、ガラスビーズの重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上であり、平均粒子径D50が35〜270μmであり、且つガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 0〜10%、NaO+KO 1〜20%、MgO+CaO 0〜20%、SrO 2〜15%、SrO+BaO 3〜30%を含有することを特徴とする。本発明の封着用ガラスビーズの技術的特徴、技術的効果は、本発明の封着材料と同様である。ここでは、便宜上、本発明の封着用ガラスビーズについて、詳細な説明を省略する。
本発明に係るガラスビーズは、種々の方法で作製可能である。例えば、(1)ガラスバッチの微粉砕物を高温の雰囲気中を通過させることにより、ガラスバッチを溶融し、表面張力で球状化させた後、急冷する方法、(2)ガラスバッチを球状になるように造粒した後、得られた造粒物に対して微粉末を添加して、焼成する方法を例示することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1、2は、本発明の実施例(試料No.1〜11)及び比較例(試料No.12〜14)を示している。
次のようにして、表中に記載のガラスビーズを作製した。表中に記載のガラス組成になるように、ガラス原料を調合して、ガラスバッチを得た後、このガラスバッチをボールミルで微粉砕した。次に、表中に記載の平均粒子径D50となるように、得られた微粉砕物を高温の雰囲気中を通過させて、この微粉砕物を溶融し、表面張力で球状化させた後、急冷した。なお、得られたガラスビーズは、重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.9以上であった。
表中に記載のガラスビーズ、ガラス粉末、及び耐火性フィラー粉末を表中に記載の割合で混合して、試料No.1〜14を作製した。なお、ガラス粉末の平均粒子径D50は10μmであった。耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50は10μmであった。
なお、表中のBi−B系ガラスのガラス組成は、モル%で、Bi 40%、B 27%、ZnO 18%、BaO 9%、CuO 6%である。Sn−P系ガラスのガラス組成は、モル%で、SnO 60%、P 25%、ZnO 15%である。V−P系ガラスのガラス組成は、モル%で、V 40%、P 20%、ZnO 20%、TeO 20%である。また、表中の「CDR」は、コーディエライトを指している。
試料No.1〜14について、熱的安定性、溶融性/成形性、耐熱性、及び気密性を評価した。その結果を表1、2に示す。
次のようにして、熱的安定性を評価した。まず各試料の密度分の質量を秤量し、φ20mmの圧粉体を成型した。次に、この圧粉体を熱処理炉に投入して、480℃で30分間熱処理した。最後に、得られたボタンの表面を目視観察して、ボタンの表面に光沢があったものを「○」、光沢がなかったものを「×」として評価した。
次のようにして、溶融性/成形性を評価した。ガラスビーズをリメルトして、白金引き上げ法により、ガラスの粘度を測定した。104.0dPa・sにおける温度が1200℃未満であった場合を「○」、1200℃以上であったものを「×」として評価した。
次のようにして、耐熱性を評価した。ガラスビーズを熱処理炉に投入して、530℃で1時間熱処理した。その結果、ガラスビーズに軟化変形が認められなかったものを「○」、軟化変形が認められたものを「×」として評価した。
次のようにして、気密性を評価した。まず試料No.1〜14に対して、ビークル(酢酸エステルにニトロセルロースを添加したもの)を添加、混練して、ペーストを作製した。次に、このペーストを30mm×40mm×1.8mm厚のガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)の外周縁部に沿うように、額縁状に塗布した。なお、膜厚が400μmになるようにペーストを塗布した。続いて、塗布したペーストを150℃で30分間乾燥した後、450℃で30分間熱処理した。更に、この焼成面の上に30mm×40mm×1.8mm厚のガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)を被せた。次に、ガラス基板間を耐熱クリップで挟持した後、熱処理炉に投入して、480℃で30分間熱処理した。最後に、焼成後の封着層の断面を観察して、ガラス基板にクラックが発生していなかったものを「○」、クラックが発生していたものを「×」として評価した。
表1、2から明らかなように、試料No.1〜11は、ガラスビーズの形状、ガラス組成が所定範囲に規制されているため、熱的安定性、溶融性/成形性、耐熱性、及び気密性の評価が良好であった。一方、試料No.12は、ガラスビーズのガラス組成が所定範囲に規制されていないため、耐熱性の評価が不良であった。試料No.13は、ガラスビーズの平均粒子径D50が小さいため、熱的安定性の評価が不良であった。試料No.14は、ガラスビーズの平均粒子径D50が大きいため、気密性の評価が不良であった。なお、試料No.13は、ガラスビーズの平均粒子径D50が小さいため、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し難いと考えられる。

Claims (6)

  1. 少なくともガラス粉末とガラスビーズとを含む封着材料において、
    ガラスビーズの平均粒子径D50が35〜270μmであり、
    ガラスビーズの重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上であり、
    ガラスビーズが、ガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 0〜10%、NaO+KO 1〜20%、MgO+CaO 0〜20%、SrO 2〜15%、SrO+BaO 3〜30%を含有することを特徴とする封着材料。
  2. ガラスビーズの歪点が550℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の封着材料。
  3. ガラスビーズの含有量が0.01〜3質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の封着材料。
  4. ガラスビーズの熱膨張係数が60〜90×10−7/℃であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の封着材料。
  5. 更に耐火性フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の封着材料。
  6. ガラスビーズの重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上であり、平均粒子径D50が35〜270μmであり、且つガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 0〜10%、NaO+KO 1〜20%、SrO 2〜15%、MgO+CaO 0〜20%、SrO+BaO 3〜30%を含有することを特徴とする封着用ガラスビーズ。
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