JP5754983B2 - 金属製容器蓋 - Google Patents
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Description
係る手段では、環状ビードの形成によってスカート壁のスリット下側部分が補強されており、従って、容器口頸部への巻締め時、特に螺子形成のために、スカート壁を容器口頸部に押し付けるときのスリットの下側部分でのスカート壁の変形が防止され、この結果、スリット間の橋絡部の誤破断を効果的に防止することができる。
この方法によれば、確かにスリットが開いてしまうという不都合を効果的に防止することができるのであるが、この場合には、容器内のガス圧が上昇したときにスリットが開いてガス抜きを生じさせるという機能が損なわれてしまうという問題がある。また、ナールは、その深さが深い方が浅いものに比して大きな補強効果を示すが、反面、スカート壁9の上端(天面壁7との境界)に深いナールを形成してしまうと、巻締め時に変形などがかえって生じ易くなってしまう。
前記スカート壁の前記環状溝よりも上方の部分には、周方向に延びている弧状スリットからなる内圧開放領域が、周方向に少なくとも一つ形成されており、
前記環状溝よりも上方の部分の前記スカート壁には、前記内圧開放領域以外の領域において、前記弧状スリットの延長線を跨ぐようにして高さ方向に延びているか又は該延長線の上方に位置する上ナールと下方に位置する下ナールとに分割されている主ナールが形成されており、前記内圧開放領域において、前記弧状スリットの下側に位置する部分にのみ、高さ方向に延びている補助ナールが形成されていることを特徴とする金属製容器蓋が提供される。
(1)前記円形天面壁の中心を基準として、前記弧状スリットは25乃至45度の周方向長さを有しており、該弧状スリットに隣接する内圧開放領域以外の領域は20度以上の周方向長さを有していること、
(2)前記弧状スリットが、周方向に複数本、均等に分布するように形成されていること、
(3)前記主ナールは、前記弧状スリットの延長線の上方に位置する上ナールと、該延長線の下方に位置する下ナールとに区画されており、該下ナールが上ナールよりも深く形成されていること、
(4)前記スカート壁には、前記環状溝と前記主ナール及び補助ナールの下端との間を通るように環状ビードが形成されていること、
が好適である。
即ち、弧状スリット近傍のスカート壁が補助ナールによって補強されていると同時に、弧状スリットが形成されていない領域も主ナールによって補強され、弧状スリットが形成されている部分では、その延長線部分も含め、全周にわたってスカート壁が補強され、巻締め時のスカート壁の変形を防止する形態となっている。
さらに、主ナールは、弧状スリットの延長線の下側のみならず、上側にも形成されており、天面壁との境界近傍にまで延びている。主ナール及び補助ナールは、打痕に比して深く凹部となっているため、主ナールが天面壁との境界近傍にまで延びていることにより、打痕の影響を大きく緩和することができる。即ち、弧状スリットの上方部分に打痕が形成された場合においても、巻締め初期段階でスカート壁の上端部分を偏心することなく回転させることができ、局部的に大きな力が弧状スリットの上部に作用することが防止される。
本発明では、以上のような主ナール及び補助ナールによる効果が総合的に作用して、容器口頸部への巻締めに際しての弧状スリットの開きを有効に回避することができる。
これらのナール21,23は、グリップ性を高め、開栓或いは閉栓のために、手で握っての容器蓋の回転を容易にする機能を有し、この容器蓋の高さ方向に延びている凹凸が周方向に交互に形成されてなるものであり、具体的には、適当な間隔でスカート壁9を押し込んで凹ませることによって形成されたものである。21及び23の番号は、何れも凹部を示している。
一方、容器蓋1のTE裾部13の下端は、図示されていない裾部巻締めローラによって容器口頸部70の顎部75の下側に押し付けられ、これにより、顎部75の下側に沿って変形することとなる。
尚、前述した主ナール21及び補助ナール23は、容器蓋を回転させる際の滑り止めとして機能する。
また、弧状スリット20に隣接する固定領域Bの周方向長さqも巻締め工程での開き防止性に影響を与える。例えば、この固定領域Bの周方向長さqが必要以上に短いと、主ナール21による補強効果や偏心抑制効果が乏しくなり、巻締め時での弧状スリット20の開きを防止することが困難となってしまう。
従って、本発明においては、良好なガス抜き性と巻締め工程での弧状スリット20の開き防止を実現するために、円形天面壁7の中心Oを基準として、弧状スリット20の周方向長さを25乃至45度の範囲とし、この弧状スリット20に隣接する固定領域Bの周方向長さqを20度以上の範囲とすることが好ましい。
また、弧状スリット20が形成されていない固定領域Bに形成される主ナール21は、弧状スリット20の延長線Zを跨ぐように、上下に連続して延びていてもよいが、本発明においては、特に、図1等に示されているように、弧状スリット20の延長線Zの上方に位置する上ナール21aと、延長線Zの下方に位置する下ナール21bとに分割されていることが好ましい。即ち、このように主ナール21を上下に分割して設けることにより、その機能を最大限に発揮させることができる。
即ち、図4に示す巻締め工程では、螺子形成用ローラ79によりスカート壁9の螺子形成領域15を容器口頸部70の螺子75に沿って変形させる。従って、該ローラ79が導入される環状溝17に近接している部分では、スカート壁9の変形を生じ易い。しかるに、環状溝17の上部に隣接して環状ビード30を設けておくと、螺子形成用ローラ79の押圧による変形の上方への伝達が該環状ビード30によって遮断され、弧状スリット20の下側部分の変形を有効に防止することができる。即ち、螺子形成時での弧状スリット20の開きも有効に抑制することができる。
厚さ0.25mmのアルミニウム基合金薄板(引張強度215N/mm2)から、図1に示す形態を有し、呼び径33mmのシェルを形成し、次いで、かかるシェルの天面壁に軟化溶融状態の軟質ポリエチレンを供給し、図1に図示するとおりの形態のライナーを型押成形し、図1〜図7に示すとおりの弧状スリット20、主ナール21(上ナール21a,下ナール21b)、補助ナール23及び環状ビード30を有する形態の容器蓋を形成した。かかる容器蓋の仕様は以下の通りである。尚、ナールの数は、凹部の数である。
弧状スリット20(内圧開放ラインA)の周長p:40度
弧状スリット20の個数:3個
固定領域Bの周長q:80度
主ナール21(上ナール21a,下ナール21b)の周方向の数:18個
補助ナール23の数:12個
三菱マテリアル株式会社から販売されている、内容積310mlで呼び径33mmの口頸部(外巻カールの外径は28.75mmであった)を有するアルミニウム薄板製容器を用意し、この容器の口頸部に、上記の試料の容器蓋を図4に示すように巻締めた。50個の試料容器蓋について、全く同様にしてそれぞれ巻締めを行ったところ、弧状スリット20の開きは全く認められなかった。
主ナール21の内、上ナール21aを形成せず、下ナール21bのみに変更した以外は、実験例1と同様にして容器蓋を作製し、且つ同様にして巻締め試験を行った。
巻締め試験の結果、50個の容器蓋について、5個に弧状スリット20の開きが観察された。
9:スカート壁
17:環状溝
20:弧状スリット
21:主ナール
23:補助ナール
30:環状ビード
Claims (5)
- 円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有する金属薄板製シェルと、該シェル内に配設された合成樹脂製ライナーとを具備し、該シェルの該スカート壁には、螺子形成領域と該螺子形成領域の上端部分に位置する環状溝とが形成されている金属製容器蓋において、
前記スカート壁の前記環状溝よりも上方の部分には、周方向に延びている弧状スリットからなる内圧開放領域が、周方向に少なくとも一つ形成されており、
前記環状溝よりも上方の部分の前記スカート壁には、前記内圧開放領域以外の領域において、前記弧状スリットの延長線を跨ぐようにして高さ方向に延びているか又は該延長線の上方に位置する上ナールと下方に位置する下ナールとに分割されている主ナールが形成されており、前記内圧開放領域において、前記弧状スリットの下側に位置する部分にのみ、高さ方向に延びている補助ナールが形成されていることを特徴とする金属製容器蓋。 - 前記円形天面壁の中心を基準として、前記弧状スリットは25乃至45度の周方向長さを有しており、該弧状スリットに隣接する内圧開放領域以外の領域は20度以上の周方向長さを有している請求項1に記載の金属製容器蓋。
- 前記弧状スリットが、周方向に複数本、均等に分布するように形成されている請求項2に記載の金属製容器蓋。
- 前記主ナールは、前記弧状スリットの延長線の上方に位置する上ナールと、該延長線の下方に位置する下ナールとに区画されており、該下ナールが上ナールよりも深く形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の金属製容器蓋。
- 前記スカート壁には、前記環状溝と前記主ナール及び補助ナールの下端との間を通るように環状ビードが形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の金属製容器蓋。
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