JP4522669B2 - キャップ及びキャップ付きボトル缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に飲料用等の容器として使用されるボトル缶の口金部に被着されるキャップ、及びそのキャップ付きボトル缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、飲料用等の容器として、薄肉のアルミニウム(若しくはアルミニウム合金)からなるボトル缶が広く使用されている。この種のボトル缶は、大径の缶胴と、この缶胴の上端から上方へ向かうに従い漸次縮径した肩部と、この肩部の上端から上方先端に向かって延出した小径の口金部とを備えており、前記口金部にキャップが被着されることで、リシール可能なキャップ付きボトル缶とされている。
【0003】
前記キャップは、天面部と、この天面部の周縁から略垂下した円筒状の側面部とを備えている。側面部には、その上端から下端方向に向けて、開栓・閉栓する際に指の把持部分となるナール部と、ねじ部を形成する際のねじ形成用ローラの導入溝となるグルーブと、ねじ部を形成する部分となるねじ形成部と、破断を可能とするスコア及びブリッジ部と、ボトル缶のかぶら部に巻き締めるフレアーとが設けられている。また、天面部の内側には、合成樹脂等からなるライナーが装着され、キャップがボトル缶口金部に装着された状態において、ライナーにボトル缶の口金部の先端部が食い込むことによってボトル缶の内容物の密封性を保持できるようになっている。
【0004】
上記のキャップは、キャップ搬送装置によってキャッピング装置に搬送され、キャッピング装置によってボトル缶に被着されることになる。キャップ搬送装置は、多数のキャップが投入されたホッパーを備えており、キャッピング装置の定められた位置に充填物の充填されたボトル缶が順次搬送されてきたときに、ボトル缶の搬送タイミングに同期させてキャップを一個ずつボトル缶へ順次搬出させるようになっている。
【0005】
キャッピング装置においては、内容物の充填されたボトル缶の口金部にキャップが被せられ、キャッピング装置のプレッシャーブロックが、ボトル缶の口金部に被せられたキャップの天面部を缶底方向に押す。この際、プレッシャーブロックが天面部の周縁部を缶底方向に押圧しながら所望の深さ及び径方向に絞り加工することで、天面部の周縁部に段差部が形成される。これにより、前述したように、ボトル缶の口金部の先端部がライナーに食い込んで高い密封性が得られることになる。
【0006】
そして、キャッピング装置のねじ形成用のローラにより、キャップのねじ形成部をボトル缶の口金部に設けられたねじ部に沿ってねじ部を形成しつつ巻締め、さらにキャップのフレアー部をボトル缶のかぶら部に巻締めることにより、当該キャップがボトル缶の口金部に被着されることになる。
【0007】
このように構成されたキャップ付きボトル缶においては、キャップを利用者が開栓すると、スコアー同士の間のブリッジが破断され、キャップのスコアーより下方の部分がボトル缶に残存し、上方の部分が取り外されることになる。ここで、キャップの前記下方の部分は、フレアー下端がボトル缶口金部のかぶら部に巻締められてピルファープルーフ部を構成し、この部分がボトル缶口金部のかぶら部に残存することになる。
【0008】
ところで、ボトル缶に被着されるキャップにあっては、ボトル缶内の内容物が天然果汁を含む果汁飲料である場合、キャップが一旦開栓されることで内容物が大気と接触するので、その状態で長時間高温下に曝されると、キャップ内の内容物が発酵し、ボトル缶の内圧が著しく上昇することがあり、そのため、キャップがリシールされているにも拘わらず、ボトル缶の内圧によってキャップがボトル缶から脱落するという問題がある。
【0009】
このような問題を解決するための手段として、キャップに内圧開放用のスリットを形成しておき、缶内圧が過剰に上昇した場合に、この内圧を前記スリットから開放させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特公平04−40268号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のスリットの設けられたキャップは、このキャップを形成した後に、前述したようにホッパーに投入し、このホッパーから順次取り出す工程等を経るため、次のような不具合が発生することが想定される。
すなわち、前記スリットは、キャップ側面部の外表面における前記スリットの開口周縁部は他の部分より強度が低下しており、さらに、ホッパーに投入されたキャップは取り出されるまでの間に、キャップ同士が互い衝突し合うことになるため、前記開口周縁部に凹みが発生し易く、前記スリットの開口部が大形となってしまうことが想定される。
【0012】
さらに、このキャップをボトル缶口金部に被着する際には、このボトル缶の内容物の密封性を確保するために、キャップをボトル缶口金部に被せた状態で、前述したように天面部の周縁部を径方向かつ缶底方向に押圧することにより、この周縁部に段差部を形成するが、この際前記スリットの開口部がさらに大形となってしまうことが想定される。
このように前記スリットの開口部が大形化し、その周縁部が変形した場合には、キャップの外観について意匠上の劣化を来たすとともに、スリットに手が引っ掛かったり、同スリットからキャップの内部にゴミ類が入る等の問題がある。
【0013】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、スリットが変形するのを防止して当該スリットの機能を正常に維持させることができ、信頼性の高いキャップ、及びそのキャップ付きボトル缶を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、天面部と、該天面部の周縁から略垂下してなる側面部とを備え、前記側面部には、その周方向に延在して前記側面部の内外を連絡すると共に、該側面部の周長の4%以上23%以下の長さを有するスリットが少なくとも一つ設けられたキャップにおいて、前記側面部には、上端部に凹部と凸部が繰り返して形成されたナールと、このナールの下端に連続するとともにナールより小径に形成されたグルーブと、を備え、前記ナールと同一列に前記スリットが設けられ、このスリットは、前記天面部が上方に向けて膨らんだときに、上下方向に開くように変形する構成とされており、前記側面部の前記スリットと前記天面部間に補強部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係るキャップによれば、側面部のスリットと天面部間に補強部が設けられているので、キャップ搬送装置のホッパー内においてスリットが変形するのを防止できるばかりでなく、キャッピング装置による押圧力によってもスリットが変形するのを防止する。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のキャップにおいて、前記天面部に、前記補強部の機能を調整する補強力調整部が設けられていることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、補強力調整部によって補強部の機能が良好に調整されるので、スリットの変形が的確に防止される。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のキャップにおいて、前記補強力調整部は、前記天面部の前記補強部と対向する領域内に設けられ、凹又は凸に形成されたディンプルであることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、補強力調整部がディンプルからなっているので、補強部の補強力が過大になるのを防ぐことができると共に、補強力調整部を良好に構成することができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項2記載のキャップにおいて、前記補強力調整部は、前記天面部の前記補強部と対応する領域の外周部に設けられたビードであることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、補強力調整部がビードからなっているので、補強部の補強力が過大になるのを防ぐことができると共に、補強力調整部を良好に構成することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項2記載のキャップにおいて、前記補強力調整部は、前記天面部の前記スリットと対応する領域を除く外周部に設けられ、かつ圧印強化によって形成された圧印強化部であることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、補強力調整部が圧印強化部からなっているので、補強部の補強力が過大になるのを防ぐことができると共に、補強力調整部を良好に構成することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、前記補強部は、前記側面部に対して凹と凸とが周方向に繰り返し設けられて形成されていることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、補強部が凹と凸とが繰り返して形成されているので、補強部によってスリットが変形するのを確実に防止することができ、従って、補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0021】
請求項7に係る発明は、請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、前記補強部は、前記側面部に対して凸又は凹が周方向に断続的に設けて形成されていることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、補強部が凸又は凹が断続的に設けて形成されるので、補強部によってスリットが変形するのを防止することができ、従って、従って、補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項7記載のキャップにおいて、前記側面部におけるスリットの下方に、前記補強部と同様に形成された第2補強部を有していることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、スリットの下方に第2補強部が設けられているので、スリットを上下方向から保護することができ、スリットの変形防止をいっそう的確に行える。
【0023】
請求項9に係る発明は、請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、前記補強部は、スリットの長さ方向に設けられた凸条部又は凹条部であることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、凸条部又は凹条部によって補強部が形成されるので、スリットが変形するのを防止することができ、従って、補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0024】
請求項10に係る発明は、請求項9記載のキャップにおいて、前記側面部におけるスリットの下方に、前記補強部と同様に形成された第2補強部を有していることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、第2補強部を有することでスリットを上下方向から保護することができ、スリットの変形防止をいっそう的確に行える。
【0025】
請求項11に係る発明は、請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、前記補強部は、前記側面部のスリットと天面部間に、ベントホールを有する凹とベントホールを有しない凸とが側面部の周方向に連続的に繰り返して形成されたベントホール付きナール状部であることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、ベントホール付きナール状部によって補強部が形成されるので、スリットが変形するのを防止することができ、これによっても補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0026】
請求項12に係る発明は、請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、前記補強部は、前記側面部のスリットと天面部間に、凹と凸とが側面部の周方向に連続的に繰り返して形成されたベントホール無しナール状部であることを特徴とする。
この発明に係るキャップによれば、ベントホール無しナール状部によって補強部が形成されるので、スリットが変形するのを防止することができ、これによっても補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0027】
請求項13に係る発明は、請求項1から12のいずれか記載のキャップを、口金部に被着してなることを特徴とする。
この発明に係るボトル缶によれば、キャップに設けられたスリットの変形を防止することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図6はこの発明の一実施の形態に係るキャップを示す図であって、図1はキャップを示す一部破断の外観図、図2は図1のX−X線矢視断面図、図3はキャップがボトル缶に被着された状態を示す説明図、図4はキャップのスリットの機能を示す説明図、図5はキャップに補強部を設けた要部の拡大図、図6は図5のY−Y線断面図である。
図1に示すこの実施形態のキャップ10は、天面部11と、この天面部11の周縁から略垂下された側面部12とから概略構成され、例えばアルミニウム若しくはアルミニウム合金によって形成されている。
【0029】
側面部12には、上端部に全周に亘り凹部と凸部が繰り返して形成されたナール13と、該ナール13の下端に連続すると共にナール13より小径に形成されたグルーブ14と、該グルーブ14の下端に連続すると共にグルーブ14より大径に形成されたねじ部形成予定部15と、このねじ部形成予定部15の下端に連続して設けられ、ねじ部形成予定部15より大径に形成されたビード16と、このビード16の略中央部に周方向に所定の間隙を有して複数形成され、かつ側面部12を貫通するスコアー17と、ビード16の下端に連続して下方に向かうに従い漸次拡径されたフレアー18と、天面部11の内側に装着されたライナー19とを備えている。符号17aは、スコアー17同士を繋ぐブリッジ17aである。
【0030】
このようなキャップ10は、図3に示すようにボトル缶1の口金部4に被着され、ナール13が形成されていると、開栓時に、キャップ10と把持する指との間の摩擦抵抗を増大させることができるので、手を滑らせることなく容易に開栓することができる。また、その場合、スコアー17同士を繋ぐブリッジ17aが切断されることになるので、スコアー17及びブリッジ17aの形成位置を介して上部がボトル缶1の口金部4から取り外され、下部が口金部4に残存することとなる。
【0031】
また、側面部12にはナール13と同一列にスリット20が設けられ、該スリット20は、本例では図2に示すように、キャップ10の軸心Oを中心として対向する位置に二個設けられている。このスリット20は、キャップ20の内外を連絡するように設けられたスリットをなしている。
【0032】
スリット20は、ボトル缶1の口金部4に図3に示すように被着されたキャップ10が、一旦開栓された後で閉栓された状態にあって、かつボトル缶1内の内容物が発酵することで内圧が上昇してキャップ10の天面部11及びライナー19が図4に示す実線のように膨らんだとき、その上下方向に開いてライナー19と口金部4との間のシール面圧を低下させ、これによって内容物のガスをライナー19と口金部4間を通って外気に逃がし、いわゆるガス抜きを容易になす構成とされている。
ここで、スリット20は、二個全体として、側面部12の周長の4パーセントから23パーセントの範囲内、好ましくは6パーセントから15パーセントの範囲内の長さとされる。例えば、キャップ10の直径が38mmのとき、7mmから18mmの範囲に形成される。このような長さに設定するのは、7mm未満では、缶内圧8kg/cm2を超える場合に確実にガスをリリースすることが困難であり、また、18mmを超える長さにすると、5kg/cm2以下でガスがリリースされ、好ましくないからである。
【0033】
このようなキャップ10が被着されるボトル缶1は、図3に示すように、大径の缶胴2と、この缶胴2の上端から上方に向かうに従い漸次縮径して形成されたテーパ部3と、このこのテーパ部3の上端から上方に延在して形成された小径の口金部4とを備えている。口金部4は、その下端部に径方向に膨出して形成されたかぶら部4aと、このかぶら部4aの上方かつ当該口金部4の略中央部に形成されたねじ部4bと、口金部4の上端縁を径方向外方へ折り曲げて、かつ折り返して形成されたカール部4cとを備えている。
【0034】
このように構成されたボトル缶1は、次のようにして口金部4にキャップ10が被着され、キャップ付きボトル缶が形成される。
即ち、ボトル缶1に内容物が充填された後、キャッピング工程において図1に示すキャップ10が口金部4に被せられると、図示しないキャッピング装置がキャップ10の天面部11を缶底方向に押圧しながら、キャップ10の側面部12を口金部4のねじ部4b及びかぶら部4aに沿う形状に巻締めて形成することで図3に示すように被着され、これによって内容物が漏れることのないようにキャップ10が口金部4にきつく被着されることとなる。
【0035】
一方、キャッピング工程に際しては、キャップ10が図示しないキャップ搬送装置のホッパー内に多数投入され、該ホッパーからキャップ10が一個ずつ順次されることで、内容物が充填されたボトル缶1の口金部4に被せられる。前記ホッパー内のキャップ10は、互いに衝突し合ったりする。
【0036】
この実施形態において、キャップ10の側面部12には、図5に示すようにスリット20と天面部11に補強部21が設けられている。この補強部21は、スリット20の機能が損なわれるように変形するのを防ぐためのものであって、凹21aと凸21bとからなっている。即ち、側面部12におけるスリット20と天面部11との間で、図6に示すように側面部12に対して凹21aと凸21bとが周方向に沿い繰り返し設けられることで形成されている。
【0037】
この実施形態のキャップ10は、上記のように構成されているので、次に、その作用効果について説明する。
まず、キャップ10がボトル缶1に被着される前の段階でキャップ搬送装置のホッパー内に多くのキャップ10が投入されたとき、該ホッパー内でキャップ同士が互いに衝突し合うことで衝撃を受けることとなる。
【0038】
その場合、キャップ10の側面部12に設けられたスリット20と天面部11との間に補強部21が設けられていると、前記衝撃を補強部21が受けることでスリット20に悪影響が及ぶのを防ぐことができる。つまり、補強部21によってスリット20が保護され、スリット20が変形するのを防ぐことができる。
【0039】
また、キャップ10は、キャップ搬送装置のホッパーからキャッピング工程へ一個ずつ順次搬送され、かつボトル缶1の口金部4に被せられると、キャッピング工程においてキャッピング装置により缶底方向に押圧されながら、巻締められるので、そこでもスリット20が変形するおそれがある。
【0040】
しかしながら、上述のように、スリット20と天面部11との間に設けられた補強部21によってスリット20が保護されているので、キャップ10の天面部11がキャッピング装置によって缶底方向の押圧力を受けても、スリット20の機能が損なわれるように変形するのを防ぐことができる。
しかも、上記補強部21が凹21aと凸21bとが繰り返して形成されているので、補強部21を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0041】
従って、キャップ搬送装置のホッパー内においてスリット20が変形するのを防止できるばかりでなく、キャッピング装置による押圧力によってもスリット20が変形するのを防止できる。
したがって、スリット20の周縁部の変形やスリット20が大きく開くことを防止でき、変形によるキャップ10の外観劣化を防止することができるとともに、スリット20に手が引っ掛かる等の不都合を防止でき、さらにスリット20からキャップ10の内部にゴミ類が入り込むのを防止することができる。
【0042】
図7は、この発明の第2の実施の形態に係るキャップの要部を示す説明図である。
この実施形態は、図7に示すように、キャップ10のスリット20と天面部11との間に補強部21が設けられる他、そのスリット20の下方に第2補強部としての下補強部23が設けられている。
【0043】
この場合の補強部21は、図7に示すように、キャップ10のスリット20と天面部11の間において、凸22がスリット20の長さ方向(側面部12の周方向)に沿い適宜の間隔を隔てることで断続的に複数設けて形成されている。下補強部23は、スリット20から若干下がった位置、スリット20を中心として補強部21と略同様の距離分だけ下方の位置に、凸24が同様に断続的に複数設けられることで補強部21と同様に形成されている。
【0044】
この実施形態によれば、補強部21によってスリット20を補強するので、基本的には前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。しかも、補強部21の他、下補強部23を有しているので、スリット20を上下方向から補強することができ、そのため、第1の実施形態に比較すると、補強効果をいっそう高めることができる。
なお、補強部21及び下補強部23として、凸22及び24が複数設けられた例を示したが、これに限らず、凹が複数設けられても同様の作用効果を得ることができるのは勿論である。
【0045】
図8は、この発明の第3の実施の形態に係るキャップの要部を示す説明図である。
この場合も、補強部21がキャップ10のスリット20と天面部11との間に設けられる他と、そのスリット20の下方にも第2補強部としての下補強部26が設けられている。
【0046】
補強部21は、キャップ10のスリット20と天面部11の間において、凸条部25がスリット20の長さ方向(側面部12の周方向)に沿って形成されている。下補強部26も、スリット20を中心として補強部21と略同様の距離分だけ下方の位置で、同形状の凸条部25が設けられることで補強部21と同様にして形成されている。
【0047】
この実施形態によれば、補強部21と下補強部26とで形成されているので、基本的には第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、補強部21及び下補強部26のいずれも凸条部25によって形成された例を示したが、凹条部を設けることで形成されても同様の作用効果が得れる。
【0048】
図9は、この発明の第4の実施の形態に係るキャップの要部を示す説明図である。
この場合は、キャップ10のスリット20と天面部11との間に設けられる補強部21として、ベントホール27を有する凹28と、ベントホールを有していない凸29とが側面部12の周方向に適宜の長さをもって形成されることでベントホール付きナール状部をなしている。
ベントホール27は、キャップ10により密封されたボトル缶1を初めて開栓する場合において、キャップ10が図1に示すブリッジ17aを破断しつつ上方に回転操作された際、ライナーとボトル缶口金部との間を経てボトル缶1内のガスを外部へ放出するための開口部である。
【0049】
この実施形態によれば、補強部21によってスリット20を補強するので、基本的には前述した第1から第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、補強部21として、ベントホール27を有する凹28と凸29が適宜の長さで形成されているので、利用者がボトル缶1に被着されたキャップ10を開栓するため、無意識にスリット20の部分に指を当てても、その補強部21に指が引き掛かることで、キャップ10の開栓を良好に行うことができる。従って、ボトル缶1の利用者がスリット20の位置に左右されることなくキャップ10の開栓及び閉栓を良好に行うことができる。
なお、上記補強部21がスリット20の下方にも同様に設けることもできる。
【0050】
図10は、この発明の第5の実施の形態に係るキャップの要部を示す 説明図である。
この場合は、キャップ10のスリット20と天面部11との間に設けられる補強部21として、凹28と凸29とが側面部12の周方向に適宜の長さをもって形成されてベントホール無しナール状部をなしている。
【0051】
この実施形態によれば、補強部21によってスリット20を補強するので、基本的には前述した第1から第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、補強部21として、凹28と凸29が側面部12の周方向に適宜の長さをもって形成されているので、つまり、第4の実施形態のようなベントホール27を有していない凹28と凸29とが周方向に繰り返して設けられただけなので、補強部21としての構成を簡略化することもでき、そのため、補強部21を構成する金型構造の簡素化を図ることもできる。
【0052】
図11から図13は、この発明の第6の実施の形態に係るキャップを示している。この実施形態では、スリット20がキャップ10の側面部12に一個設けられた例を示している。
ところで、キャップ10の側面部12に補強部21(及び下補強部23、26)が設けられると、その補強力が初期値より過大となり、そのため、スリット20がキャップ搬送装置のホッパー内やキャッピング装置の押圧力で変形しない反面、ボトル缶1の内圧が著しく高くなっても、スリット20が正常に機能しなくなるおそれがある。
この実施形態においては、補強部21の補強力を調整する補強力調整部30が図11に示すように設けられている。
【0053】
この補強力調整部30は、図12に示すように、天面部11における補強部21と対向する領域内に半球状に局所的に凹んで形成されたディンプル31をなしていて、天面部11に局所的に剛性の弱い箇所を構成している。
つまり、この補強力調整部30は、図13に示すように、ボトル缶1の内圧Pによって二点鎖線に示す如く先に押し上げられると、その周辺部がそれに追従して矢印方向aに押し上げられることで、天面部11及びライナー19が図4に示すように押し上げられ、これにより、スリット20上下に開いて、ガス抜きが良好になされるようになっている。
【0054】
従って、この実施形態によれば、キャップ10に補強部21が設けられることで、スリット20が正常に機能しなくなるおそれがあっても、補強力調整部30によって天面部11の膨出を促進させることができ、これにより、スリット20の機能を正常に保つことができるので、万一、補強部21の補強力が初期値より大きくなることがあっても、スリット20の機能、即ちスリット20によるガス抜きを良好に行うことができる。
【0055】
また、補強力調整部30として、天面部11を局所的に凹ませたディンプル31からなっているので、良好に構成することができる。
なお、この実施形態のディンプル31は、天面部11を局所的に凹んで形成した例を示したが、それとは反対に局所的に凸として形成してもよい。
【0056】
また、補強力調整部30としては、上記以外に構成することもできる。例えば図14に示すように、天面部11において補強部21と対応する領域の外周部にスリット20の近傍にビード32を形成することで、補強力調整部30を良好に構成することもできる。
【0057】
更には、図15に示すように、天面部11において、スリット部20と対応する領域を除いた部分に、図16に示すように例えばコインニング加工等によって圧印強化することで圧印強化部33を形成し、これによって、天面部11のスリット20付近が内圧上昇で強制的に膨出されるようにしてもよい。
【0058】
従って、要は、キャップ10が閉栓されたボトル缶1の内圧が著しく高くなった場合、キャップ天面部11のスリット20付近が膨出するのを促進させることで、スリット20の正常な機能を維持できる補強力調整部30を構成すればよい。但し、このような補強力調整部30は、キャップ10の径の大きさや材質、スリット20の大きさ及び形状、更にはボトル缶の内容物の種類等によって適宜の大きさに選定されるのはいうまでもない。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、側面部のスリットと天面部間に補強部が設けられ、キャップ搬送装置のホッパーやキャッピング装置による押圧力に拘わることなく、スリットが変形するのを防止することができる。 したがって、スリットの周縁部の変形やスリットが大きく開くことを防止でき、変形によるキャップの外観劣化を防止することができるとともに、スリットに手が引っ掛かる等の不都合を防止でき、さらにスリットからキャップの内部にゴミ類が入り込むのを防止することができる。
【0060】
請求項2に係る発明によれば、補強力調整部によって補強部の機能が調整されるので、スリットの変形を的確に防止できるとともに、スリットのガス抜き機能を良好に維持できる効果が得られる。
【0061】
請求項3に係る発明によれば、補強力調整部がディンプルからなっているので、補強部の補強力が過大になるのを防ぐことができると共に、補強力調整部を良好に構成することができる効果が得られる。
【0062】
請求項4に係る発明によれば、補強力調整部がビードからなっているので、補強部の補強力が過大になるのを防ぐことができると共に、補強力調整部を良好に構成することができる効果が得られる。
【0063】
請求項5に係る発明によれば、補強力調整部が圧印強化部からなっているので、補強部の補強力が過大になるのを防ぐことができると共に、補強力調整部を良好に構成することができる効果が得られる。
【0064】
請求項6に係る発明によれば、補強部が凹と凸とが繰り返して形成されているので、補強部によってスリットが変形するのを確実に防止することができ、従って、補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0065】
請求項7に係る発明によれば、補強部が凸又は凹が断続的に設けて形成されるので、補強部によってスリットが変形するのを防止することができ、従って、従って、補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0066】
請求項8に係る発明によれば、スリットの下方に第2補強部が設けられているので、スリットを上下方向から保護することができ、スリットの変形防止をいっそう的確に行える。
【0067】
請求項9に係る発明によれば、凸条部又は凹条部によって補強部が形成されるので、スリットが変形するのを防止することができ、従って、補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0068】
請求項10に係る発明によれば、第2補強部を有することでスリットを上下方向から保護することができ、スリットの変形防止をいっそう的確に行える効果が得られる。
【0069】
請求項11に係る発明によれば、ベントホール付きナール状部によって補強部が形成されるので、スリットが変形するのを防止することができ、これによっても補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0070】
請求項12に係る発明によれば、ベントホール無しナール状部によって補強部が形成されるので、スリットが変形するのを防止することができ、これによっても補強部を確実に形成することができ、適切な補強機能が得られる。
【0071】
請求項13に係る発明によれば、スリットの周縁部の変形やスリットが大きく開くことを防止でき、変形によるキャップの外観劣化を防止することができるとともに、スリットに手が引っ掛かる等の不都合を防止でき、さらにスリットからキャップの内部にゴミ類が入り込むのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施の形態に係るキャップを示す一部破断の外観図である。
【図2】 図1のX−X線矢視断面図である。
【図3】 キャップがボトル缶に被着された状態を示す説明図である。
【図4】 キャップのスリットの機能を示す説明図である。
【図5】 キャップに補強部を設けた要部の拡大図である。
【図6】 図5のY−Y線断面図である。
【図7】 この発明の第2の実施の形態に係るキャップの要部を示す説明図である。
【図8】 この発明の第3の実施の形態に係るキャップの要部を示す説明図である。
【図9】 この発明の第4の実施の形態に係るキャップの要部を示す説明図である。
【図10】 この発明の第5の実施の形態に係るキャップの要部を示す説明図である。
【図11】 この発明の第6の実施の形態に係るキャップを示す図であって、天面部のスリットと対応する近傍位置に補強力調整部を設けた平面図である。
【図12】 図11における補強力調整部を示す拡大縦断面である。
【図13】 キャップ天面部における補強力調整部の作用を示す説明図である。
【図14】 補強力調整部の変形例を示す説明用平面図である。
【図15】 この発明の第7の実施の形態に係るキャップを示す説明用平面図である。
【図16】 図15におけるZ−Z線の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ボトル缶
4 口金部
10 キャップ
11 天面部
12 側面部
20 スリット
21 補強部
21a 凹
21b、22、24 凸
23、26 下補強部(第2補強部)
25 凸条部
27 ベントホール
28 凹部
29 凸部
30 補強力調整部
31 ディンプル
32 ビード
33 圧印強化部
Claims (13)
- 天面部と、該天面部の周縁から略垂下してなる側面部とを備え、前記側面部には、その周方向に延在して前記側面部の内外を連絡すると共に、該側面部の周長の4%以上23%以下の長さを有するスリットが少なくとも一つ設けられたキャップにおいて、
前記側面部には、上端部に凹部と凸部が繰り返して形成されたナールと、このナールの下端に連続するとともにナールより小径に形成されたグルーブと、を備え、前記ナールと同一列に前記スリットが設けられ、このスリットは、前記天面部が上方に向けて膨らんだときに、上下方向に開くように変形する構成とされており、
前記側面部の前記スリットと前記天面部間に補強部が設けられていることを特徴とするキャップ。 - 請求項1記載のキャップにおいて、
前記天面部に、前記補強部の機能を調整する補強力調整部が設けられていることを特徴とするキャップ。 - 請求項2記載のキャップにおいて、
前記補強力調整部は、前記天面部の前記補強部と対向する領域内に設けられ、凹又は凸に形成されたディンプルであることを特徴とするキャップ。 - 請求項2記載のキャップにおいて、
前記補強力調整部は、前記天面部の前記補強部と対応する領域の外周部に設けられたビードであることを特徴とするキャップ。 - 請求項2記載のキャップにおいて、
前記補強力調整部は、前記天面部の前記スリットと対応する領域を除く外周部に設けられ、かつ圧印強化によって形成された圧印強化部であることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、
前記補強部は、前記側面部に対して凹と凸とが周方向に繰り返し設けられて形成されていることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、
前記補強部は、前記側面部に対して凸又は凹が周方向に断続的に設けて形成されていることを特徴とするキャップ。 - 請求項7記載のキャップにおいて、
前記側面部におけるスリットの下方に、前記補強部と同様に形成された第2補強部を有していることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、
前記補強部は、スリットの長さ方向に設けられた凸条部又は凹条部であることを特徴とするキャップ。 - 請求項9記載のキャップにおいて、
前記側面部におけるスリットの下方に、前記補強部と同様に形成された第2の補強部を有していることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、
前記補強部は、前記側面部のスリットと天面部間に、ベントホールを有する凹とベントホールを有しない凸とが側面部の周方向に連続的に繰り返して形成されたベントホール付きナール状部であることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から5のいずれか記載のキャップにおいて、
前記補強部は、前記側面部のスリットと天面部間に、凹と凸とが側面部の周方向に連続的に繰り返して形成されたベントホール無しナール状部であることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から12のいずれか記載のキャップを、口金部に被着してなることを特徴とするキャップ付きボトル缶。
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