JP5753424B2 - 柱の接合用部材 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼管柱を用いた構造物の柱の接合部に用いられる柱の接合用部材に関するものである。
従来、鋼管柱を用いた構造物において、上下方向に柱を接合する部位がある。このような柱の接合部においては、上下に接合する柱のサイズが異なる場合がある。たとえば、下方の柱に対して、上方の柱のサイズが小さい場合である。このような場合には、接合する柱の間に、テーパ形状の接合部材を用いる方法がある。
しかし、このようなテーパ状部材は、その製造が困難である。また、テーパ状部材とこれと接合される上下の水平面とは斜めに接触するため、テーパ状部材と水平面との接合部に設けられる板状部材である裏当て金の端面と水平面とが面接触ではなく、線接触となる。このため、この部位での溶接が困難であり、溶接不良の原因ともなる。したがって、サイズの異なるより簡易な柱の接合構造が検討されている。
このような柱の接合構造としては、例えば、少なくとも一側面をテーパ形状とする枠状コラム部の上下にダイアフラムを接合し、ダイアフラムの側面と面一となるように枠状コラムのテーパ形状と対応するリブが設けられた接続コラムがある(特許文献1)。
また、上下面に柱との接合部を有し、柱と接合される部位の中央に台形断面形状となる貫通孔等を有する接合部用金物がある(特許文献2)。
実用新案第3053480号公報 実公平7−51524号公報
しかし、特許文献1の接続コラムは、梁との接合部は垂直になるが、テーパ形状の側面を有するため、その製造が困難であり、また、前述のように、テーパ形状の側面の上下の端面と、上下の水平面との接合も困難である。
また、特許文献2に記載の接合部用金物は、テーパ形状側面を有するものではなく、製造は簡易であるが、上下の柱の位置関係のバリエーションを考慮した場合、最適な形状とは言えない。
例えば、上下に接合される柱は、必ずしも同一軸心上に設置されるわけではない。したがって、接続部材に貫通孔等を形成する場合、大きな孔を形成すると、柱との接合部がなくなる恐れがある。一方で、柱の接合位置ごとに別の接合部材を用いたのでは、部材の管理や設置ミス等の原因等なり望ましくない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、上下の柱のサイズが異なる場合において、柱の接合に用いられ、製造が容易で、かつ、柱の設置位置によらず一種類の部材で対応可能であり、接続部位を容易に判別可能な柱の接合用部材を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、柱の接合用部材であって、両面が柱と接合可能な略矩形の平板状の本体部の一方の面に、それぞれ異なる位置に接合される柱の接合部位を示すマークが形成され、前記マークは、略矩形の第1のマークと、前記第1のマークの各辺上に設けられ、各辺を横切るように設けられる複数の第2のマークと、を具備し、前記第1のマークの中心位置は前記本体部の外周に対して偏心しており、前記第1のマークの、前記本体部の一方の側に対する偏心距離と、前記一方の側と直交する他方の側への偏心距離とが略同一であり、前記第1のマークの一方の偏心側であり、かつ他方の偏心側とは反対側に位置する前記柱接合部の角部には、柱の取り付け位置を示す第3のマークが形成されることを特徴とする柱の接合用部材である。ここで、第1のマークの各辺上に設けられ、各辺を横切るように設けられる複数の第2のマークとは、第2のマークが第1のマークと交差する場合や、第1のマークと第2のマークとがT字状、L字状等で接触する場合などを含むものである。
前記第2のマークは、前記第1のマークの前記本体部に対するそれぞれの偏心方向と反対側の各辺上に設けられ、前記本体部の各辺の中心位置に形成される一対の中柱用マークと、前記第1のマークの前記本体部に対する他方の偏心方向の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置に形成されるマークと、前記第1のマークの前記本体部に対する一方の偏心方向と反対側の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置から他方の偏心方向にずれた位置に形成されるマークとからなる一対の側柱用マークと、前記第1のマークの前記本体部に対する他方の偏心方向の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置から一方の偏心方向にずれた位置に形成されるマークと、前記第1のマークの前記本体部に対する一方の偏心方向の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置から他方の偏心方向にずれた位置に形成されるマークとからなる一対の隅柱用マークと、からなることが望ましい。
ここで、第1のマークに対応する本体部の辺とは、平面視において、同一方向の辺を指す。
前記中柱用マーク、前記側柱用マーク、前記隅柱用マークを構成するそれぞれ一対のマークがつながっており、それぞれのマークの組み合わせが識別可能であることが望ましい。
前記中柱用マーク、前記側柱用マーク、前記隅柱用マークの識別は、それぞれのマークの色によって識別可能であってもよい。また、前記中柱用マーク、前記側柱用マーク、前記隅柱用マークの識別は、それぞれのマークの線種によって識別可能であってもよい。
前記第3のマークが形成される角部とは異なる第1のマークの少なくとも2つの角部には、それぞれの角部を識別可能な第4のマークが形成されてもよい。
前記第1のマーク、前記第2のマーク、前記第3のマークは本体部の表面に形成されたけがき線であってもよい。
前記本体部の、前記第1のマーク、前記第2のマーク、前記第3のマークが設けられる面とは反対側の面に、略環状のリブが設けられ、前記リブの外形の中心位置は前記本体部の中心位置と略一致し、
前記リブの内部には、前記リブを除く他の部位に対して前記反対側の面から凹状に形成された薄肉部が設けられてもよい。
本発明によれば、柱の接合位置を示す第1のマークの中心が接合用部材の中心から偏心し、柱の接合位置が第1のマーク及び第2のマークで示されているため、柱の接合位置を確実に把握することができる。特に、柱の接合部を示すマークの本体部に対する偏心距離が、一の方向とこれと直交する他の方向(例えば、矩形の平板状部材であれば、各辺に平行なそれぞれの方向)それぞれに対して同一であるため、上下の柱の接合位置のずれが一方向である場合も、二方向である場合にも適用可能である。すなわち、側柱や隅柱に対しても、同一の部材で、柱の接合位置を把握することができる。
ここで、本発明では、接合される柱は矩形であることが望ましいが、その他の形状であってもよい。また、柱のサイズとは、柱が矩形断面であればその柱の幅を指し、円断面であれば外径を指す。なお、下方の柱よりもサイズの小さな柱とは、柱が略正方形であれば、各辺の長さが下方の柱よりも短いことを指し、略長方形であれば、長辺側または短辺側の少なくともいずれか一方が下方の柱よりも小さいことを指す。
また、中柱、側柱、隅柱それぞれの柱の接合位置に応じたマークが設けられ、接合される柱の互いに直交する二辺の中心位置を、対応するマークに合わせることで、容易に柱の接合位置を合わせることができる。この際、それぞれの柱位置を示すマークが一対のマークで構成され、一対のマークがつながっていれば、どのマークに柱を合わせるべきか、容易に把握することができ、柱の接合位置を誤ることがない。
また、それぞれの柱の位置を示す各マークが、色や線種で識別可能であれば、より確実に各柱の接合位置を把握することができ、柱の接合位置を間違えることがない。
また、柱接合部の一部に、柱の取り付け位置を示す第3のマークが形成されるため、柱接合部材の接合方向を間違えることがない。特に、マークの形状が、接合対象の柱の接合位置に応じて、それぞれの柱の角の外形を重ね合わせた形状とすることで、接合部材の接合方向を容易に認識することができる。
また、各柱位置に応じて、それぞれの位置に応じた柱の角部の位置を認識可能な第4のマークを形成することで、柱の角部の位置と、前述した柱の中心位置の両者で、柱の接合位置を把握することができる。このため、柱の接合位置を容易に把握することができる。また、柱の接合位置が、第1のマークの一つの角部およびこの角部を挟む二辺に合わせることができるため、柱の位置や向きがずれることがない。
また、柱接合部の裏面に薄肉部を形成し、薄肉部の周囲にリブが形成され、リブの外形の中心が本体部の中心と一致するため、軽量化と強度とを両立させることができる。強度が不要である部位には、薄肉部が形成されるため、軽量かつ低コストである柱の接合用部材を得ることができる。
本発明によれば、上下の柱のサイズが異なる場合において、柱の接合に用いられ、製造が容易で、かつ、柱の設置位置によらず一種類の部材で対応可能であり、接続部位を容易に判別可能な柱の接合用部材を提供することができる。
接合部材3を用いた、柱の接合構造1を示す斜視図。 柱の接合構造1を示す立面図であり、図1のA−A線断面図。 接合部材3を示す斜視図であり、(a)は裏面斜視図、(b)は表面斜視図。 接合部材3を示す底面図。 接合部材3のリブ12の形状を示す図であり、(a)は底面図、(b)は図4のB−B線断面図、(c)は図4のC−C線断面図。 接合部材3を示す平面図。 構造体25の柱の配置を示す模式図。 接合部材3に対する柱5cの配置を示す図。 柱位置マーク16b近傍の拡大図。 他の実施の形態の接合部材の平面図。
以下、本発明の実施の形態にかかる柱の接合構造1について説明する。図1は、柱の接合構造1を示す斜視図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。柱の接合構造1は、下方から柱5a、5b、5cが鉛直方向に配置され、それぞれの柱間には柱の接合用部材である接合部材3a、3が設けられる。下方の接合部材3aの下面17aには柱5aの上端が接合され、上面11aには柱5bの下端が接合される。また、柱5bの上端は上方の接合部材3の下面17と接合される。さらに上方の接合部材3の上面11には柱5cの下端が接合される。なお、接合部材3aは、通常の平板形状の接合部材でよい。
柱5a、5bは同一サイズの中空の角型鋼管である。柱5cは、柱5a、5bよりもサイズの小さな中空の角型鋼管である。接合部材3は、柱5bのサイズよりもわずかに大きなサイズの矩形形状の平板状部材である。なお、接合部材3は例えば鋼製であり、概ね300〜1000mm角程度の大きさであるが、接合される柱のサイズにより任意に設定することができる。
接合部材3、3aで挟まれた範囲の柱5bには、水平方向に梁7が接合される。したがって、梁7のフランジ部の端部は、接合部材3、3aの側面に接合され、梁7のウェブ部の端部が柱5bの側面と接合される。すなわち、上下の接合部材3、3aの設置間隔(柱5bの長さ)は、梁7の高さとほぼ一致する。なお、梁7のウェブ部の上下端部(フランジ部近傍)は、接合部材3、3aとの干渉を避けるため、切欠きが設けられる。
次に、接合部材3について詳細を説明する。図3(a)は接合部材3を示す裏面斜視図、図3(b)は表面斜視図である。接合部材3は、略矩形の平板状部材である本体部の両面における柱接合部15a、15bが、柱5b、5cとの接合部となる。接合部材3の本体部の下面側(裏面側)には、薄肉部13が設けられる。薄肉部13は、他の部位に対して厚みが薄く凹んだ部位である。
接合部材3の下面17側には、薄肉部13の周囲にリブ12が形成される。リブ12は、本体部側(リブの基部側)が略矩形であり、リブ先端側(頂部側)に行くにつれて円形となる形状である。したがって、薄肉部13は略円形となる。下面17のリブ12の周囲には、柱接合部15aが形成される。柱接合部15aは、下面17において他の部位よりもわずかに肉厚が厚く形成される。柱接合部15aは、下面側において柱と接合される範囲となる。なお、柱接合部15aおよびリブ12の基部(略矩形部)のそれぞれの中心線は、接合部材3の本体部(外形)の中心線と一致する。
柱接合部15aは、本体部と略同一の矩形形状であり、それぞれの辺における中央位置には、中心マーク18がそれぞれ設けられる。中心マーク18は、柱接合部15aの周囲に形成される突起部である。柱を柱接合部15aに接合する際に、柱のそれぞれの辺の中心位置と中心マーク18の位置とを合わせることで、柱と接合部材3とがずれて接合されることを防止することができる。なお、下面に柱が接合される際には、リブ12は、中空柱の内部に位置する。
接合部材3の上面11側は、略平坦に形成される。上面11には、第1のマークである略矩形の柱位置マーク16aが設けられる。柱位置マーク16aは、例えばけがき線や微小な溝、インク等により描かれた線等である。柱位置マーク16aの内部は柱接合部15bとなる。柱接合部15bは、接合部材3の上面側に接合される柱との接合部である。なお、以下に説明する各種のマークは柱位置マーク16aと同様の方法で構成されればよい。
柱位置マーク16aは、接合部材3の本体部に対して偏心して配置される。柱位置マーク16aの偏心位置については詳細を後述する。
柱位置マーク16aの各辺を横切るように(交差するように)、第2のマークである柱位置マーク19a、19b、19cが設けられる。柱位置マーク19a、19b、19cは、柱を柱接合部15bに接合する際に、柱のそれぞれの辺の中心位置と合わせることで、柱と接合部材3とがずれて接合されることを防止し、柱の接合位置を把握するためのものである。
柱位置マーク19a、19b、19cは、それぞれ、柱位置マーク16aの辺と交差するように形成される一対のマークからなる。一対のマークは、柱位置マーク16aの隣り合う二辺に対して形成され、それらが柱位置マーク16aの内部でつながるように設けられる。すなわち、柱位置マーク19a、19b、19cは、それぞれL字状に形成され、柱位置マーク16aの隣り合う二辺にまたがるように形成される。
なお、一対のマークがつながっていれば、必ずしもL字状である必要はなく、柱位置マーク16aの内部において、本体の辺に対して斜めにつなげてもよく、または円弧状につなげてもよい。すなわち、柱位置マーク19a、19b、19cそれぞれの一対のマークが互いに識別可能であればよい。
ここで、柱位置マーク19a、19b、19cとしては、前述したようにけがき線等であればよいが、柱位置マーク19a、19b、19cそれぞれをより容易に識別するために、けがき線等の線種(例えば、線の太さや、破線、実線、一点差線等)をそれぞれ代えてもよく、線の色を分けてもよい。なお、これらの線種を変える場合には、必ずしも各柱位置マーク19a、19b、19c全体の線種を変更する必要はなく、柱位置マーク19a、19b、19cと柱位置マーク16aとの交差部近傍のみ(柱位置マーク16aを横切る位置の近傍のみ)識別できればよい。
柱位置マーク16aの所定の角部には、第3のマークである柱位置マーク16bが形成される。柱位置マーク16bは、柱位置マーク16aの角の一部が切欠かれたように形成される。柱位置マーク16aの他の角部には、それぞれの角部を識別可能なように、第4のマークである、柱位置マーク16c、16dが設けられる。柱位置マーク16c、16dは、例えば、柱位置マーク16aの角に各辺に対して約45°の角度で設けられた線であり、1本線、2本線のように、互いに識別可能である。なお、柱位置マーク16c、16dの識別は、図示したような線の本数による識別ではなく、角部に他の記号等を設けてもよい。
次に、リブ12について詳細を説明する。図4は接合部材3の底面図である。前述の通り、リブ12の基部(略矩形部)における外周の中心位置および薄肉部13は、接合部材3の本体部の中心位置と略一致する。ここで、図4において、線D、Eは、接合部材3の本体部の各辺に平行な中心線を示す。
図5は、リブ12のそれぞれの角部におけるリブ12の形状を示す図であり、図5(a)は底面図、図5(b)は図4のB−B線断面図、図5(c)は図4のC−C線断面図である。リブ12は、薄肉部13の周囲を囲むように形成される。
図5(b)に示すように、表面における後述するマーク16aの偏心方向の角部は、切欠き14となり、リブ12が切欠かれた形状となる。また、図5(b)、図5(c)に示すように、薄肉部13の底部はテーパ状に形成される。
次に、柱接合部15bについて詳細を説明する。図6は、接合部材3の平面図である。ここで、図6において、線D、Eは、接合部材3の本体部の各辺に平行な中心線を示し、図6の線N、Oは、線D、Eとそれぞれ平行な線である。図6に示すように、柱接合部15b(柱位置マーク16a)の中心位置は、接合部材3の中心から偏心した位置に形成される。
柱位置マーク16aは、接合部材3の一方の方向(接合部材3の辺に平行な方向であり、例えば図中右側)に偏心量21aだけずれて形成される。同様に、当該偏心方向と垂直な方向(例えば図中上方)に偏心量21bだけずれて形成される。偏心量21aと偏心量21bとは略同じ偏心量(偏心距離)となる。すなわち、柱位置マーク16aは本体部に対して偏心して形成される。ここで、柱位置マーク16aの偏心方向(図中右上方向)は、裏面における薄肉部13の切欠き14が設けられる方向と一致する。
ここで、柱位置マーク16aの各辺に対して一方の偏心方向(図中右側)であって、他方の偏心方向の反対側(図中下側)の角部には柱位置マーク16bが設けられる。なお、柱位置マーク16aの柱位置マーク16b以外の角部には、前述したように、異なる柱位置マーク16c、16dが設けられ、柱位置マーク16b以外の三つの角をそれぞれ識別可能である。
また、一方の偏心方向(図中右側)の柱位置マーク16aの辺において、対応する本体部の中心位置(中心線D)から他方の偏心方向(図中上側)に偏心量21bだけずれた位置で、柱位置マーク19cの一部が柱位置マーク16aと交差し(図中Z6)、また、他方の偏心方向(図中上側)の柱位置マーク16aの辺において、対応する本体部の中心位置(中心線E)から一方の偏心方向(図中右側)に偏心量21aだけずれた位置で、柱位置マーク19cの一部が柱位置マーク16aと交差する(図中Z5)。
同様に、他方の偏心方向(図中上側)の柱位置マーク16aの辺において、対応する本体部の中心位置(中心線E)で、柱位置マーク19bの一部が柱位置マーク16aと交差し(図中Z4)、また、一方の偏心方向とは反対側(図中左側)の柱位置マーク16aの辺において、対応する本体部の中心位置(中心線D)から他方の偏心方向(図中上側)に偏心量21bだけずれた位置で、柱位置マーク19bの一部が柱位置マーク16aと交差する(図中Z3)。
同様に、一方の偏心方向と反対側(図中左側)の柱位置マーク16aの辺において、対応する本体部の中心位置(中心線D)で、柱位置マーク19aの一部が柱位置マーク16aと交差し(図中Z1)、また、他方の偏心方向とは反対側(図中下側)の柱位置マーク16aの辺において、対応する本体部の中心位置(中心線E)位置で、柱位置マーク19aの一部が柱位置マーク16aと交差する(図中Z2)。
次に、接続部材3を使用する構造体25について説明する。図7は、構造体25を示す平面模式図であり、周囲を外壁27で覆われ、所定間隔で柱5b(5a)が設置される。柱5b(5a)同士は梁7によって接続されている。なお、図7においては簡単のため接合部材3等は図示を省略する。下方に設置された柱5b(5a)上には、柱5b(5a)よりもサイズの小さな柱5cが設置される。
ここで、四方向に梁7が接合される部位の柱を中柱29と称する。また、一方の側に外壁27が形成される部位の柱を側柱31と称する。また、構造体25の隅に形成され、二方向に外壁27が形成される部位の柱を隅柱33と称する。
中柱29は、水平方向の縦横両方に梁7が接合されており、柱5b(5a)に対して、柱5cは同心に配置される。すなわち、下方の柱5b(5a)の中心と、よりサイズの小さな柱5cの中心位置が一致する。
これに対し、側柱31は、下方の柱5b(5a)の中心と、よりサイズの小さな柱5cの中心位置が一致せず、柱5b(5a)に対して、柱5cは一方向に偏心して配置される(例えば図中上方向)。柱5cは、外壁27側に偏心し、柱5b(5a)の外壁27側の側面と柱5cの外壁27側の側面とが同一の位置となるように配置される。すなわち、柱5cは、柱5b(5a)の一方向側(外壁27側)に偏心し、偏心方向とは垂直な方向(例えば図中左右方向)には偏心しない。
一方、隅柱33は、二方向に接する外壁27方向それぞれの方向に偏心する。柱5cは、それぞれの外壁27側に偏心し、柱5b(5a)のそれぞれの外壁27側の側面と柱5cの対応する外壁27側の側面とが同一の位置となるように配置される。すなわち、柱5cは、柱5b(5a)の一方向側(例えば図中上側の外壁27側)に偏心するとともにこれと垂直な方向(例えば図中右側の外壁27側)にも同量だけ偏心する。
図8は、それぞれの柱位置における接合部材3に対する柱5cの配置を示す平面断面図であり、図8(a)は中柱29、図8(b)は側柱31、図8(c)は隅柱33の状態を示す図である。
図8(a)に示すように、中柱29では、柱5b上に接合部材3が設置され、接合部材3の上面11中心に柱5cが設置される。したがって、接合部材3の中心線D、Eは、柱5cの中心線と一致する。なお、接合部材3の下方に設置される柱5bの中心はいずれの配置においても接合部材3の中心と一致する。
一方、図8(b)に示すように、側柱31では、接合部材3を挟んで、下方の柱5bの一方の側面(図中上方)と、上方の柱5cの一方の側面(図中上方)とが一致するように設置される。したがって、接合部材3の中心線Dと、柱5cの中心線Pとが偏心量37aだけ偏心する。なお、側面が一致する側に対して垂直な方向(図中左右方向)は、接合部材3の中心線Eと柱5cの中心線とが一致する。
なお、通常、接合部材3の上下に設置される異なるサイズの柱は、サイズが50mm〜150mm程度異なるものが多い。したがって、偏心量37aは、概ね25mm〜75mmとなる。
同様に、図8(c)に示すように、隅柱33においては、接合部材3を挟んで、下方の柱5bの一方の側面(図中上方)と、上方の柱5cの一方の側面(図中上方)とが一致するように設置され、さらに、これと垂直な方向(図中右側)に対しても柱5bの側面(図中右側)と、上方の柱5cの側面(図中右側)とが一致するように設置される。したがって、接合部材3の中心線Dと柱5cの中心線Pとが偏心量37aだけ偏心し、かつ、中心線Dと直交する接合部材3の中心線Eと、柱5cの中心線Qとが偏心量37bだけ偏心する。
なお、前述の通り、通常、接合部材3の上下に設置される柱は、サイズが50mm〜150mm程度異なるものが多いため、偏心量37bは、偏心量37aと同様に概ね25mm〜75mmとなる。また、偏心量37aと偏心量37bは略同量である。
ここで、接合部材3の中心と柱位置マーク16aの中心との偏心量21a、21b(図6)は、柱5cの偏心量37a、37bと一致する。
柱5cは、いずれの柱位置においても柱位置マーク16aの内部に配置される。すなわち、柱接合部15bは、中柱、側柱および隅柱の全ての配置の柱5cの設置範囲(および溶接代)を包含する範囲となる。また、いずれの柱位置においても、柱5cの四辺の内、必ず二つの辺が柱位置マーク16aの対応する二辺の位置と重なるようになる。また、柱5cの角が、必ず柱位置マーク16aのいずれかの角の位置と一致するようになる。
すなわち、柱5cが中柱の位置で接合される場合には、柱5cは、柱位置マーク16aの偏心方向とは反対側(図8(a)左下方向)の角部に位置が合わされる。この際、当該角部に対応する柱5cの角部を挟む二辺は、柱位置マーク16aの当該方向の二辺(図中下側および左側)と重なるように配置される。この状態では、柱5cの当該二辺の中心位置が、柱位置マーク19a(図6におけるZ1およびZ2)と一致する。このため、柱5cの接合部材3に対する位置を確実に合わせることができる。
同様に、柱5cが側柱の位置で接合される場合には、柱5cは、柱位置マーク16aの他方の偏心方向であって一方の偏心方向とは反対側(図中左上方向)の角部(柱位置マーク16c)に位置が合わされる。この際、当該角部に対応する柱5cの角部を挟む二辺は、当該方向の二辺(図中上側および左側)と重なるように配置される。この状態では、柱5cの当該二辺の中心位置が、柱位置マーク19b(図6におけるZ3およびZ4)と一致する。このため、柱5cの接合部材3に対する位置を確実に合わせることができる。
また、柱5cが隅柱の位置で接合される場合には、柱5cは、柱位置マーク16aの両方の偏心方向(図中右上方向)の角部(柱位置マーク16d)に位置が合わされる。この際、当該角部に対応する柱5cの角部を挟む二辺は、当該方向の二辺(図中右上側)と重なるように配置される。この状態では、柱5cの当該二辺の中心位置が、柱位置マーク19c(図6におけるZ5およびZ6)と一致する。このため、柱5cの接合部材3に対する位置を確実に合わせることができる。
また、接合部材3の設置方向を確認するため、柱位置マーク16aの角部には、柱位置マーク16bが設けられる。図9は、柱位置マーク16b近傍の拡大図である。柱位置マーク16bは、柱5cが中柱位置および隅柱位置のそれぞれの接合位置において接合された場合における、柱5cのそれぞれの位置における当該部位に対応する角の外形を重ねた形状となる。したがって、柱5b上に接合部材3を接合する際に、柱5cの位置に応じて、当該柱位置マーク19の向きを決めれば、接合部材3の接合方向を間違えることがない。
本実施の形態にかかる接合部材3によれば、中柱29、側柱31、隅柱33のいずれの位置における柱5cに対しても、同一形状の接合部材3を使用することができる。このため、設置位置によって接合部材を変更する必要がなく、同一形状の部材で対応することができる。また、柱が接続される範囲に柱位置マークが形成されるため、柱の接合位置を間違えることがない。
特に、中柱29、側柱31、隅柱33のいずれの位置における柱5cに対しても、柱5cの角部を合わせる角、および各辺の中心位置があらかじめマークされているため、確実に位置を合わせることができる。この際、柱5cの中心位置が、角部および角部を挟む二辺で合わせられるため、柱のずれが少ない。
また、強度や接合等に対して不要な部分は薄肉部13が形成されるため、不要な重量増やコスト増を防ぐことができる。また、このような薄肉部13が形成されても、柱との接合部とは重ならないため、柱との接合に不都合が生じることがない。
また、薄肉部13の周囲にリブ12が形成され、リブ12の底部(基部)が略矩形であり、頂部が略円形であるため、応力がかかる部位に適切に補強を行うことができる。薄肉部13の周囲の応力が集中しやすい部位の強度を確保することができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、各柱位置マークは、図10に示すようにしてもよい。すなわち、柱位置マーク16aが略矩形に形成されるとは、図10に示すように、矩形マークが全周に渡って連続していなくてもよく、一部が途切れていてもよい。この場合、柱位置マーク19a、19b、19cは、それぞれ、柱位置マーク16aと完全に交差する必要はなく、図示したようにT字状に横切るように形成してもよい。
また、柱位置マーク19a、19b、19cは、それぞれの一対のマーク部が連続していなくてもよい。すなわち、柱位置マーク19a、19b、19cが、柱位置マーク16aを横切る部位の近傍のみに形成されてもよい。この場合には、図10に示すように、柱位置マーク16aの一部が途切れていることで、それぞれの一対の柱位置マーク19a、19b、19cが柱位置マーク16aによってつながっているため識別可能となる。
なお、柱の形状は実施例のような略正方形の角型柱に限られず、略長方形や円断面など柱の形状によらず、本発明は適用可能である。
1………柱の接合構造
3………接合部材
5a、5b、5c………柱
7………梁
11………上面
12………リブ
13………薄肉部
14………切欠き
15a、15b………柱接合部
16a、16b、16c、16d………柱位置マーク
17………下面
19a、19b、19c………柱位置マーク
21a、21b………偏心量
25………構造体
27………外壁
29………中柱
31………側柱
33………隅柱
37a、37b………偏心量

Claims (8)

  1. 柱の接合用部材であって、
    両面が柱と接合可能な略矩形の平板状の本体部の一方の面に、それぞれ異なる位置に接合される柱の接合部位を示すマークが形成され、
    前記マークは、
    略矩形の第1のマークと、
    前記第1のマークの各辺上に設けられ、各辺を横切るように設けられる複数の第2のマークと、を具備し、
    前記第1のマークの中心位置は前記本体部の外周に対して偏心しており、
    前記第1のマークの、前記本体部の一方の側に対する偏心距離と、前記一方の側と直交する他方の側への偏心距離とが略同一であり、
    前記第1のマークの一方の偏心側であり、かつ他方の偏心側とは反対側に位置する前記柱接合部の角部には、柱の取り付け位置を示す第3のマークが形成されることを特徴とする柱の接合用部材。
  2. 前記第2のマークは、
    前記第1のマークの前記本体部に対するそれぞれの偏心方向と反対側の各辺上に設けられ、前記本体部の各辺の中心位置に形成される一対の中柱用マークと、
    前記第1のマークの前記本体部に対する他方の偏心方向の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置に形成されるマークと、前記第1のマークの前記本体部に対する一方の偏心方向と反対側の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置から他方の偏心方向にずれた位置に形成されるマークとからなる一対の側柱用マークと、
    前記第1のマークの前記本体部に対する他方の偏心方向の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置から一方の偏心方向にずれた位置に形成されるマークと、前記第1のマークの前記本体部に対する一方の偏心方向の辺上に設けられ、前記本体部の対応する辺の中心位置から他方の偏心方向にずれた位置に形成されるマークとからなる一対の隅柱用マークと、
    からなることを特徴とする請求項1記載の柱の接合用部材。
  3. 前記中柱用マーク、前記側柱用マーク、前記隅柱用マークを構成するそれぞれ一対のマークがつながっており、それぞれのマークの組み合わせが識別可能であることを特徴とする請求項2記載の柱の接合用部材。
  4. 前記中柱用マーク、前記側柱用マーク、前記隅柱用マークの識別は、それぞれのマークの色によって識別可能であることを特徴とする請求項3記載の柱の接合用部材。
  5. 前記中柱用マーク、前記側柱用マーク、前記隅柱用マークの識別は、それぞれのマークの線種によって識別可能であることを特徴とする請求項3または請求項4記載の柱の接合用部材。
  6. 前記第3のマークが形成される角部とは異なる第1のマークの少なくとも2つの角部には、それぞれの角部を識別可能な第4のマークが形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の柱の接合用部材。
  7. 前記第1のマーク、前記第2のマーク、前記第3のマークは本体部の表面に形成されたけがき線であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の柱の接合用部材。
  8. 前記本体部の、前記第1のマーク、前記第2のマーク、前記第3のマークが設けられる面とは反対側の面に、略環状のリブが設けられ、前記リブの外形の中心位置は前記本体部の中心位置と略一致し、
    前記リブの内部には、前記リブを除く他の部位に対して前記反対側の面から凹状に形成された薄肉部が設けられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の柱の接合用部材。
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