第1実施形態
図1は、本発明にかかるパターン描画装置の一実施形態を示す正面図である。また、図2は図1のパターン描画装置の平面図である。また、図3は光学ユニットの構成を示す図である。また、図4は照射位置シフト機構の構成を模式的に示す図である。さらに、図5は図1のパターン描画装置の電気的構成を示すブロック図である。パターン描画装置100は、レジスト等の感光材料の層が形成された基板Wの上面に光を照射して、パターンを描画する装置である。なお、基板Wは、半導体基板、プリント基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板などの各種基板のいずれでもよい。図示例では円形の半導体基板の表面に形成された下地に重ねて描画パターンが描画される。
パターン描画装置100は、本体フレーム101で構成される骨格の天井面および周囲面にカバーパネル(図示省略)が取り付けられることによって形成される本体内部と、本体フレーム101の外側である本体外部とに、各種の構成要素を配置した構成となっている。
パターン描画装置100の本体内部は、処理領域102と受け渡し領域103とに区分されている。これらの領域のうち処理領域102には、主として、ステージ10、ステージ移動機構20、ステージ位置計測部30、光学ユニット40、アライメントユニット60が配置される。一方、受け渡し領域103には、処理領域102に対する基板Wの搬出入を行う搬送ロボットなどの搬送装置70が配置される。
また、パターン描画装置100の本体外部には、アライメントユニット60に照明光を供給する照明ユニット61が配置される。また、同本体外部には、パターン描画装置100が備える装置各部と電気的に接続されて、これら各部の動作を制御する制御部90が配置される。
なお、パターン描画装置100の本体外部で、受け渡し領域103に隣接する位置には、カセットCを載置するためのカセット載置部104が配置される。また、カセット載置部104に対応し、本体内部の受け渡し領域103に配置された搬送装置70は、カセット載置部104に載置されたカセットCに収容された未処理の基板Wを取り出して処理領域102に搬入(ローディング)するとともに、処理領域102から処理済みに基板Wを搬出(アンローディング)してカセットCに収容する。カセット載置部104に対するカセットCの受け渡しは、図示しない外部搬送装置によって行われる。この未処理基板Wのローディング処理および処理済基板Wのアンローディング処理は制御部90からの指示に応じて搬送装置70が動作することで行われる。
ステージ10は、平板状の外形を有し、その上面に基板Wを水平姿勢に載置して保持するものである。ステージ10の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を付与することによって、ステージ10上に載置された基板Wをステージ10の上面に固定保持することができるようになっている。
また、ステージ10上面において、基板Wを載置する領域の副走査方向SD一方側には、平板状のガラス基板12が固定的に配置されている。そして、このガラス基板12の上面には、複数の基準線Lrが副走査方向Xに所定ピッチで並んで形成されている。これら基準線Lrは、ステージ10の位置を求めるために用いられるものであるが、その詳細については後述することとする。
また、ステージ10はステージ移動機構20により移動させられる。このステージ移動機構20は、ステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、及び回転方向(Z軸周りの回転方向(θ軸方向))に移動させる機構である。ステージ移動機構20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25とを備える。回転機構21、副走査機構23、及び主走査機構25は、次のように構成されるとともに、制御部90の露光制御部91に電気的に接続されており、露光制御部91からの指示に応じてステージ10を移動させる。
回転機構21は、支持プレート22上で、基板Wの上面に垂直な回転軸を中心としてステージ10を回転させる。
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた図示しない移動子とベースプレート24の上面に敷設された図示しない固定子とにより構成されたリニアモータ23aを有している。また、支持プレート22とベースプレート24との間には、副走査方向Xに延びる一対のガイド部23bが設けられている。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイド部23bに沿って支持プレート22が副走査方向Xに移動する。
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子とパターン描画装置100の基台106上に敷設された固定子とにより構成されたリニアモ−タ25aを有している。また、ベースプレート24と基台106との間には、主走査方向に延びる一対のガイド部25bが設けられている。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台106上のガイド部25bに沿ってベースプレート24が主走査方向Yに移動する。
ステージ位置計測部30は、ステージ10の位置を計測する機構である。ステージ位置計測部30は、制御部90の露光制御部91と電気的に接続されており、制御部90からの指示に応じてステージ10の位置を計測する。ステージ位置計測部30は、例えばステージ10に向けてレーザ光を照射し、その反射光と出射光との干渉を利用して、ステージ10の位置を計測する機構により構成されているが、その構成動作はこれに限定されるものではない。この実施形態では、ステージ位置計測部30は、レーザ光を出射する出射部31と、ビームスプリッタ32と、ビームベンダ33と、第1干渉計34と、第2干渉計35とを備える。これら出射部31、各干渉計34、35は、制御部90と電気的に接続されており、制御部90からの指示に応じてステージ10の位置を計測する。
出射部31から出射されたレーザ光は、まずビームスプリッタ32に入射し、ビームベンダ33に向かう第1分岐光と、第2干渉計35に向かう第2分岐光とに分岐される。第1分岐光は、ビームベンダ33により反射され、第1干渉計34に入射するとともに、第1干渉計34からステージ10の第1の部位に照射される。そして、第1の部位で反射した第1分岐光が、再び第1干渉計34へと入射する。第1干渉計34は、ステージ10の第1の部位に向かう第1分岐光と第1の部位で反射された第1分岐光との干渉に基づいて第1の部位の位置に対応した位置パラメータを計測する。
一方、第2分岐光は、第2干渉計35に入射するとともに、第2干渉計35からステージ10の第2の部位(ただし、第2の部位は、第1の部位とは異なる位置である。)に照射される。そして、第2の部位で反射した第2分岐光が、再び第2干渉計35へ入射する。第2干渉計35は、ステージ10の第2の部位に向かう第2分岐光とステージ10の第2の部位で反射された第2分岐光との干渉に基づいて第2の部位の位置に対応した位置パラメータを計測する。
制御部90の露光制御部91は、第1干渉計34及び第2干渉計35の各々から、ステージ10の第1の部位の位置に対応した位置パラメータ及びステージ10の第2の部位の位置に対応した位置パラメータを取得する。そして、取得した各位置パラメータに基づいて、ステージ10の位置を算出する。
アライメントユニット60は、基板Wの上面に形成された図示しないアライメントマークを撮像する。アライメントユニット60は、照明ユニット61のほか、鏡筒、対物レンズ、およびCCDイメージセンサ62(図3)を備える。アライメントユニット60が備えるCCDイメージセンサ62は、例えばエリアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)により構成される。
照明ユニット61は、鏡筒とファイバ601を介して接続され、アライメントユニット60に対して照明用の光を供給する。照明ユニット61から延びるファイバ601によって導かれる光は、鏡筒を介して基板Wの上面に導かれ、その反射光は、対物レンズを介してCCDイメージセンサ62(図5)で受光される。これによって、基板Wの上面が撮像されて撮像データが取得されることになる。CCDイメージセンサ62は、制御部90のデータ処理部92と電気的に接続されており、制御部90からの指示に応じて撮像データを取得し、取得した撮像データを制御部90に送信する。なお、アライメントユニット60はオートフォーカス可能なオートフォーカスユニットをさらに備えていてもよい。
CCDイメージセンサ62から与えられる撮像データに基づき制御部90は、アライメント処理を行い、またデータ処理部92で描画パターンを描画するためのストライプデータを作成して露光制御部91に与え、光学ユニット40によるパターン描画を行う。
本実施形態では、光学ユニット40は、光照射部41、2つの光学ヘッド42、43およびラインカメラ50をヘッドフレーム49で支持した構成を有している。これらラインカメラ50と光学ヘッド42、43は副走査方向Xに直線状に並んだ状態で、ヘッドフレーム49に固定されている。このように、ヘッドフレーム49によって、ラインカメラ50と光学ヘッド42、43の相対位置関係が保持されている。
このラインカメラ50は、ステージ10上面の基準線Lrを撮像して、その撮像結果を露光制御部91に送信するものである。露光制御部91では、受信した撮像結果からステージ10と光学ヘッド42、43との相対的な位置関係が算出され、この算出結果に基づいて光学ヘッド42、43により基板Wに形成するパターンの位置が調整されるが、その詳細については後述することとする。
光学ヘッド42、43はともに同一構成を有しており、光照射部から与えられるレーザ光を上記ストライプデータに基づき変調する。ここでは、図1、図3および図4を参照しつつ光照射部41および光学ヘッド42に関連する構成について説明するが、光学ヘッド43についても同様に構成されている。
光照射部41は、レーザ駆動部411、レーザ発振器412および照明光学系413を有している。この光照射部41では、レーザ駆動部411の作動によりレーザ発振器412からレーザ光が出射され、照明光学系413を介して光学ヘッド42に導入される。この光学ヘッド42は、光照射部41からの光を光学ヘッド42内に導入する入射部44と、導入された光を変調するための空間光変調素子45と、入射部44からの光を空間光変調素子45へと導く光学系46と、空間光変調素子45で変調された光の光軸をシフトさせ、基板Wの上面において描画位置を副走査方向に相対的にシフトさせるための照射位置シフト機構47と、照射位置シフト機構47を介した光を基板Wの上面に導く投影光学系48とを備える。
空間光変調素子45は、回折格子型の変調素子であり、半動体装置製造技術を利用して製造され、格子の深さを変更することができる回折格子となっている。回折格子型の光変調素子としては、例えば、GLV(Graiting Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ社の登録商標)を使用する。なお、GLVによる光の変調原理については、既知であるため詳細については説明を省略する。
照射位置シフト機構47は、図4に示すように、2個のウェッジプリズム471と、ウェッジプリズム移動機構472とを備えており、空間光変調素子45によって描画パターンに応じて空間変調された光を副走査方向Xに沿ってシフトさせる。本実施形態では、これらのウェッジプリズム471は、光が入射する光学面と出射する光学面が非平行となるプリズムであり、互いに略同一の構造を有しており、例えば、頂角、屈折率がいずれも同一となる構造を有している。そして、これらのうち一方のウェッジプリズム471が、ウェッジプリズム移動機構472によって、他方のウェッジプリズム471に対して入射光の光軸Lの方向に沿って直線的に移動させる。
また、2個のウェッジプリズム471は、固定ステージ473、可動ステージ474にそれぞれ固定され、対向する光学面が互いに平行となり、かつ、互いに逆向きとなるように、入射光の光軸Lの方向に沿って並んで配置される。各ウェッジプリズム471は、例えば固定バンド475を用いて各ステージ473、474に固定される。
一方のウェッジプリズム471が配置される固定ステージ473は、ベース部476上に固定されている。他方のウェッジプリズム471が配置される可動ステージ474は、ベース部476上に配置された一対のガイドレール4721に沿って移動可能とされている。ガイドレール4721は、ベース部476上に、Z軸方向に沿って延在して形成されている。
ベース部476には、回転モータ4722によって回転させられるボールねじ4723が配置されている。ボールねじ4723は、ガイドレール4721の延在方向に沿って延在しており、可動ステ−ジ474のブラケット4741の雌ねじ部に螺合されている。この構成において、ボールねじ4723が回転モータ4722によって回動されることで、可動ステージ474がガイドレール4721に沿ってZ方向に移動する。
つまり、可動ステージ474、ガイドレール4721、回転モータ4722、およびボールねじ4723により、他方のウェッジプリズム471を入射光の光軸Lの方向に沿って直線的に移動させるウェッジプリズム移動機構472が構成される。ウェッジプリズム移動機構472は、他方のウェッジプリズム471を、一方のウェッジプリズム471に対して光軸Lの方向に沿って直線的に移動させることによって、2個のウェッジプリズム471の光軸Lの方向に沿う離間距離を変化させる。
上記構成を備える照射位置シフト機構47においては、2個のウェッジプリズム471の光軸Lに沿う離間距離を変化させることによって、ウェッジプリズム471に入射する光の経路をX軸方向に沿ってシフトさせることができる。なお、シフト量Δxは、2つのウェッジプリズム471の離間距離に応じて定まる。
照射位置シフト機構47によってシフト量Δxだけシフトされた光は投影光学系48に入射される。この投影光学系48は、対物レンズ482と、対物レンズ482を光軸に沿って移動させるアクチュエータとから構成されるフォーカス機構481を備えている。フォーカス機構481により対物レンズ482がZ軸方向に移動することによって、空間光変調素子45によって変調された光の焦点位置が調整させる。焦点位置が調整された光は、基板Wの上面に照射され、基板W上の感光材料の層を露光することにより、ストライプデータに対応した描画パターンが未処理基板Wに形成されている下地に対して重ねて描画される。
また、上記ストライプデータを生成するために、制御部90はデータ処理部92を有している。このデータ処理部92はCPU(Central Processing Unit)や記憶部921等を有するコンピュータで構成されており、露光制御部91とともに電装ラック(図示省略)内に配置されている。また、データ処理部92内のCPUが所定のプログラムに従って演算処理することにより、ランレングスデータ生成部922、補正量算出部923、データ補正部924およびデータ生成部925が実現される。例えば下地に重ね合わせて描画する描画パターンは外部のCAD等により生成されたベクトル形式の設計データで記述されており、その設計データがデータ処理部92に入力されると、記憶部921に書き込まれて保存される。そして、当該設計データ211に対してデータ処理が施されて複数のストライプデータが生成され、露光制御部91を介して光学ヘッド42、43に供給されて描画パターンが基板W上に描画される。
ランレングスデータ生成部922は、ベクトル形式の設計データ921aをラスタライズしてランレングスデータ921bを生成して記憶部921に保存する。なお、この実施形態では、ストライプ単位に分割して記憶部921に保存している。つまり、描画パターンを複数本の分割パターンに分割し、各分割パターンに対応する分割描画データをストライプデータとしている。また、ランレングスデータ921bの準備後、または、ランレングスデータ921bの準備と並行して、上記のようにしてカセットCに収納されている未処理の基板Wが搬送装置70により搬出され、搬送装置70によってステージ10に載置される(ローディング処理)。
その後、データ処理部92から与えられるグローバルアライメント用の基準マークの設計位置情報に基づきステージ移動機構20によりステージ10がCCDイメージセンサ62の直下位置に移動して基板W上の各基準マークを順番にCCDイメージセンサ62の撮像可能位置に位置決めし、CCDイメージセンサ62によるマーク撮像が実行される(グローバル用アライメント計測)。このCCDイメージセンサ62から出力される画像信号は電装ラック内の画像処理回路(図5において図示省略)により処理され、基準マークのステージ10上の位置が正確に求められる。そして、これらの計測位置情報に基づき回転機構21が作動してステージ10を鉛直軸回りに微小回転させて基板Wへのパターン描画に適した向きにアライメント(位置合わせ)される。なお、ステージ10を光学ヘッド42、43の直下位置に移動させた後で当該アライメントを行ってもよい。
図5に示す補正量算出部923は、画像処理回路にて求められた基板W上の基準マークの計測位置情報、および基板Wの向きの修正量を取得し、グローバルアライメント後の基準マークの位置導出、並びに、設計データで記述された描画パターンの下地に対する位置ズレ量を求める。
一方、データ補正部924はランレングスデータ921bを読み出し、位置ズレ量に基づいて各ランレングスデータの補正を行った上で、データ生成部925へと送る。
データ生成部925は、補正後の各ランレングスデータからデータを切り出すとともに、それらを連結してY方向に延びるラインデータを生成し、さらにこうして生成されたラインデータを連結して分割領域に対応する描画データ、すなわち、1つのストライプ(つまり分割パターン)に相当するストライプデータ(分割描画データ)を生成し、露光制御部91に出力する。
以上が、本実施形態におけるパターン描画装置の概略構成である。上述したように、このパターン描画装置100は、ストライプデータに基づいて光学ヘッド42、43それぞれが基板W表面に光を照射して、基板Wにパターンを形成する。続いては、このパターン形成動作の詳細について説明する。
図6および図7はそれぞれ、基板へのパターン形成動作の一例を模式的に示す図である。特に、図6はパターン形成動作を実行する機械的構成を主走査方向Yから見た場合を示しており、図7は同機械的構成を副走査方向Xから見た場合を示している。概略的には、ステージ10に対して光学ヘッド42、43を主走査方向Yに相対移動させて、基板表面に主走査方向Yへ延びるパターンを形成する動作が、ステージ10に対して光学ヘッド42、43を副走査方向Xに間欠的に相対移動させながら順次実行される。これによって、基板W表面の全体に図7の破線で示すようなパターンが形成される。なお、図7では、基板W表面に形成されるパターンを示す破線に、矢印で向きが示されている。これは、各パターンが、ステージ10に対して矢印方向に相対移動する光学ヘッド42、43によって形成されたことを示すものである。
図6、図7に示すように、光学ヘッド42、43は、副走査方向Xにユニット間隔Paを空けて並んでいる。このユニット間隔Paは、基板W表面におけるパターン描画範囲(露光範囲)が副走査方向Xに有する幅Peを光学ヘッドの個数(ここでは、2個)で割った値(Pa=Pe/2)に設定されている。そして、光学ヘッド42、43は、この間隔Paを有する領域へのパターン形成をそれぞれ分担している。具体的には、図6および図7において、基板Wの中央から左側の幅Pa(=Pe/2)の領域へは光学ヘッド42がパターンを形成する一方、基板Wの中央から右側の幅Pa(=Pe/2)の領域へは光学ヘッド43がパターンを形成する。なお、このパターン形成はステージ移動機構20によってステージ10を移動させることで、ステージ10に対して光学ヘッド42、43を相対移動させつつ実行される。具体的には次のとおりである。
まず、光学ヘッド42、43は、それぞれが分担する領域の左端(副走査方向Xの一端)に位置決めされる。この状態から、ステージ10が主走査方向Yに移動を開始する一方、光学ヘッド42、43のそれぞれはステージ10に伴って主走査方向Yに移動する基板Wの表面を露光する。このとき、光学ヘッド42、43のそれぞれは、副走査方向Xに並ぶ8000画素分を一度に露光する。つまり、本実施形態では1画素が1[μm]に相当ため、副走査方向Xに8000画素分に相当する8[mm]の幅を有する範囲が一度に露光される。そして、主走査方向Yに相対移動する基板Wに対してこのような露光が順次繰り返されることで、基板Wには主走査方向Yに長尺でかつ副走査方向Xに8[mm]の幅を有する短冊状のパターンが形成される。この際、露光制御部91は、ステージ10(換言すればこれに固定される基板W)と光学ヘッド42、43との主走査方向Yへの相対位置をステージ位置計測部30の計測結果に基づいて制御しながら、ステージ10を主走査方向Yに移動させて、短冊状のパターンを形成する。こうして、光学ヘッド42は担当領域の左端にパターンIa1を形成するとともに、光学ヘッド43は担当領域の左端にパターンIb1を形成する。
これらパターンIa1、Ib1の形成が完了すると、ステージ10は主走査方向Yへの移動を停止した後に、副走査方向Xに間欠ピッチPxだけ移動する。そして、ステージ10は、パターンIa1、Ib1を形成したときと逆方向を向いて、主走査方向Yに移動を開始する。そして、光学ヘッド42、43のそれぞれは先程と同様にステージ10に伴って主走査方向Yに移動する基板Wの表面を露光する。こうして、光学ヘッド42は担当領域の左端から2番目にパターンIa2を形成するとともに、光学ヘッド43は担当領域の左端から2番目にパターンIb2を形成する。
このように、このパターン描画装置100は、基板W表面に主走査方向Yへ延びるパターンを形成する動作を、ステージ10を副走査方向Xに間欠ピッチPxだけ間欠的に移動させつつ順次実行する。そして、光学ヘッド42、43がそれぞれ担当する幅Puの領域全体にパターンを形成することで、基板Wにおいて幅Pe(=Pu×2)を有するパターン描画範囲の全体にパターンが形成される。
ところで、上述のように、ステージ10に対して光学ヘッド42、43を副走査方向Xに相対移動させつつ、基板Wにパターンを形成する構成においては、基板Wの所定位置に正確に光を照射してパターンを形成することが求められる。そこで、パターン描画装置100では、ステージ10上面に形成された基準線Lrをラインカメラ50により撮像した結果に基づいて、ステージ10と光学ヘッド42、43との相対的な位置関係が算出される。そして、この算出結果に基づいて、光学ヘッド42、43により基板W表面に形成するパターンの位置が調整される。
つまり、図6、図7に示すように、ステージ10の上面では、基板Wの保持位置11に対して副走査方向Xの一方側にガラス基板12が固定的に取り付けられている。このガラス基板12は、XY面内において副走査方向Y方向に長尺な長方形状を有して、Z軸方向に薄いガラス平板である。このとき、ステージ10の上面からガラス基板12の表面(上面)までの高さhは、ステージ10の上面から基板Wの表面までの高さhに等しく、ガラス基板12の上面と基板Wの表面は面一となっている。
そして、このガラス基板12の上面には、複数の基準線Lrが副走査方向Xに配列ピッチPlx(配列間隔Plx)で並んで形成されている。ちなみに、この配列ピッチPlxは、間欠ピッチPx以下に設定されている。各基準線Lrは主走査方向Yに延びる直線部(第1直線部)で構成されており、ガラス基板12の上面にクロムCr等の金属をパターニングして形成される。これら複数の基準線Lrは、光学ヘッド42、43それぞれがパターン形成を担当する範囲の幅Pu以上の幅Prxに渡って形成されている(Prx≧Pu)。これによって、パターン描画の実行中に光学ヘッド42、43がステージ10に対して副走査方向Xに相対移動するのに伴い、ラインカメラ50の撮像領域が副走査方向Xに相対移動する範囲Puに渡って、複数の基準線Lrは並んで形成されることとなる。
さらに、複数の基準線Lrのそれぞれは、基板W表面におけるパターン描画範囲(露光範囲)が主走査方向Yに有する幅以上の幅Pryに渡って形成されている。これによって、パターン描画の実行中に光学ヘッド42、43がステージ10に対して主走査方向Yに相対移動するのに伴い、ラインカメラ50の撮像領域が主走査方向Yに相対移動する範囲に渡って、基準線Lrは主走査方向Yに延設されることとなる。なお、この実施形態では、基板Wは円形状であり、基板W表面におけるパターン描画範囲(露光範囲)も基板Wよりやや小さい略円形状であるため、パターン描画範囲(露光範囲)が主走査方向Yに有する幅は副走査方向Xへの幅Peと等しく、式Pry≧Peが成立している。
一方、これら複数の基準線Lrに対しては、ラインカメラ50が対向している。上述のとおり、このラインカメラ50は、ヘッドフレーム49(図2)によって光学ヘッド42、43との相対位置関係が固定されている。このヘッドフレーム49は剛性部材で構成されており、それを支える支持部材の熱応力や支持部材から伝達される振動による変形を十分に抑えることができる高い剛性を備えており、基板Wを固定・保持するステージ10以上の高い剛性を備えている。ラインカメラ50は、主走査方向Yに延びる細長い形状の撮像領域を有しており、この撮像領域の内部に位置した撮像対象物を撮像する。具体的には、ラインカメラ50は、複数の基準線Lrのうち撮像領域内部にある1の基準線Lrを撮像して、その撮像結果を露光制御部91に送信する。
一方、ラインカメラ50の撮像対象である基準線Lrは、ステージ10に固定的に形成されているため、ステージ10の間欠的な移動に伴って副走査方向Xに移動する。そのため、ステージ10の間欠的な移動に伴って、ラインカメラ50により撮像される基準線Lrが変化する。したがって、露光制御部91は、ラインカメラ50が撮像した基準線Lrから、光学ヘッド42、43とステージ10(に保持される基板W)との相対位置関係を求めることができる。具体的には、露光制御部91は、ステージ10が基板Wを保持する保持位置11と基準線Lrとの距離を示すテーブル(図8)を記憶しており、これを参照することで光学ヘッド42、43と基板との相対位置関係を求める。ここで、図8は、ステージが基板を保持する保持位置と基準線との距離を示すテーブルを表した図である。
つまり、ラインカメラ50と光学ヘッド42との副走査方向Xへの距離Da、およびラインカメラ50と光学ヘッド43との副走査方向への距離Db(=Da+Pu)はそれぞれ既知であり、露光制御部91に記憶されている。したがって、例えばラインカメラ50が複数の基準線Lrのうち基準線Lr4を撮像した場合は、図8のテーブルから求められる基準線Lrと基板Wの保持位置11までの距離D4を、距離Da、Dbから引き算することで、保持位置11で保持される基板Wと光学ヘッド42、43との相対位置関係(Da−D4、Db−D4)を求めることができる。
露光制御部91は、こうして求めた基板Wと光学ヘッド42、43との相対位置関係に基づいてステージ移動機構20を動作させることで、ステージ10を移動させて、ステージ10の保持位置11で保持される基板Wと光学ヘッド42、43との副走査方向Xへの相対的な位置関係を調整する。そして、露光制御部91は。この位置調整により副走査方向Xへのステージ10の位置を決めた後に、ステージ10の主走査方向Yへの移動を開始して、主走査方向Yに延びる短冊状のパターンの形成を開始する。つまり、ラインカメラ50の撮像結果から実測した基板Wと光学ヘッド42、43との副走査方向Xへの相対的位置関係に基づいて、基板W表面におけるパターンの形成位置が副走査方向Xに調整される。
以上説明したように、この実施形態では、基板Wを支持するステージ10と、基板Wににパターンを描画する光学ヘッド42、43とを用いて、基板Wにパターンが描画される。具体的には、ステージ10に対して光学ヘッド42、43を主走査方向Yに相対移動させることで基板W上において主走査方向Yへパターンを形成する動作を、ステージ10に対して光学ヘッド42、43を副走査方向Xに相対移動させながら順次実行して、基板Wへのパターン描画が実行される。つまり、基板Wへのパターン描画は、ステージ10に対して副走査方向Xに相対移動する光学ヘッド42、43によって、ステージ10に保持される基板Wにパターンを順次形成することで実行される。そして、このような構成では、副走査方向Xにおけるパターンの形成位置を適切に制御することが重要となる。そこで、この実施形態にかかるパターン描画装置100は次のような構成を備える。
つまり、ステージ10に固定的に形成された複数の基準線Lrが副走査方向Xに並んでいる。また、光学ヘッド42、43との相対位置関係が固定された状態で基準線Lrに対向するラインカメラ50が設けられており、このラインカメラ50によって基準線Lrを撮像するように構成されている。このような構成では、パターン描画を行なうために、ステージ10に対して光学ヘッド42、43が副走査方向Xに相対移動するのに応じて、複数の基準線Lrに対するラインカメラ50の相対位置も変わり、その結果、ラインカメラ50が撮像する基準線Lrも変わる。つまり、ラインカメラ50による基準線Lrの撮像結果が、ステージ10に対する光学ヘッド42、43の相対位置関係を実質的に示していると言える。そこで、ラインカメラ50の撮像結果が示すステージ10と光学ヘッド42、43の相対位置関係に基づいて、基板Wに形成されるパターンの副走査方向Xへの位置が制御される。このように、この実施形態では、副走査方向Xに並んで形成された基準線Lrをラインカメラ50で撮像するといった構成を備えるものであり、エンコーダを用いた従来技術と比較してより簡便な構成によって、基板Wに形成されるパターンの副走査方向Xへの位置を制御することができる。その結果、コストの低減を図ることが可能となっている。
ところで、上記構成では、パターン描画を行うためにステージ10に対して光学ヘッド42、43が主走査方向Yに相対移動するのに伴って、ラインカメラ50の撮像領域も主走査方向Yに相対移動する。この際、上述のようにラインカメラ50の撮像結果によりパターンの形成位置を制御する構成においては、このようなラインカメラ50の主走査方向Yへの相対移動に拘わらず、ラインカメラ50の撮像領域に基準線Lrを常に捉えて、ラインカメラ50により基準線Lrを撮像しておくことが好ましい。そこで、この実施形態では、パターン描画の実行中に光学ヘッド42、43がステージ10に対して主走査方向Yに相対移動するのに伴い、ラインカメラ50の撮像領域が主走査方向Yに相対移動する範囲に渡って、基準線Lrは主走査方向Yに延設されているように構成されている。このように基準線Lrを主走査方向Yに延設しておくことで、パターン描画に伴うラインカメラ50の主走査方向Yへの相対移動に拘わらず、ラインカメラ50により基準線Lrをきっちりと撮像することができる。
また同様に、上記構成では、パターン描画を行うためにステージ10に対して光学ヘッド42、43が副走査方向Xに相対移動するのに伴って、ラインカメラ50の撮像領域も副走査方向Xに相対移動する。この際、上述のようにラインカメラ50の撮像結果によりパターンの形成位置を制御する構成においては、このようなラインカメラ50の副走査方向Xへの相対移動に拘わらず、ラインカメラ50の撮像領域に基準線Lrを捉えて、ラインカメラ50により基準線Lrを撮像しておくことが好ましい。そこで、この実施形態では、パターン描画の実行中に光学ヘッド42、43がステージ10に対して副走査方向Xに相対移動するのに伴い、ラインカメラ50の撮像領域が副走査方向Xに相対移動する範囲に渡って、複数の基準線Lrは並んでいる。このような範囲に渡って複数の基準線Lrを並べておくことで、パターン描画に伴うラインカメラ50の副走査方向Xへの相対移動に拘わらず、ラインカメラ50により基準線Lrを撮像することができる。
ちなみに、この実施形態では、複数の光学ヘッド42、43が副走査方向Xに所定間隔Puで並んで配置され、各光学ヘッド42、43が副走査方向Xに互いに異なる範囲に対してパターン描画を行う。このような構成では、これら複数の光学ヘッド42、43が副走査方向Xに並ぶ間隔Puが、パターン描画の実行中に光学ヘッド42、43がステージ10に対して副走査方向Xに相対移動する範囲の幅Puとなり、すなわち、ラインカメラ50の撮像領域が副走査方向Xに相対移動する範囲の幅Puとなる。そこで、この実施形態では、複数の基準線Lrは、副走査方向Xにおいて複数の光学ヘッド42、43が並ぶ間隔Pu以上の幅Prxに渡って並んで形成されている。これによって、パターン描画に伴うラインカメラ50の副走査方向Xへの相対移動に拘わらず、ラインカメラ50により基準線Lrを常に撮像しておくことができる。
また、この実施形態では、露光制御部91は、基板W上面において主走査方向Yへパターンを形成する動作を、ステージ10に対して光学ヘッド42、43を副走査方向Xに所定の間欠ピッチPxで間欠的に相対移動させながら順次実行する。そして、上記実施形態では、複数の基準線Lrは、副走査方向Xに間欠ピッチPx以下の間隔Plxで並べて形成されている。このように、複数の基準線Lrの間隔Plxを設定することで、光学ヘッド42、43とステージ10との相対的位置関係をラインカメラ50の撮像結果に適切に反映させることができ、基板W上に形成されるパターンの副走査方向Xへの位置を高精度に制御することができる。
また、この実施形態では、基準線Lrはガラス基板12に形成されている。このような構成では、基準線Lrとその回りのガラス基板12との間のコントラストが大きくなるため、ラインカメラ50は基準線Lrの輪郭をくっきりと撮像することができ、ラインカメラ50の撮像結果に基づくパターン形成位置の制御を高精度に実行可能となる。
さらに、この実施形態では、基準線Lrを金属膜で形成している。これによって、基準線Lrの輪郭をよりくっきりと撮像することができ、ラインカメラ50の撮像結果に基づくパターン形成位置の制御をより高精度に実行可能となる。
また、上記実施形態では、基準線Lrが形成されたガラス基板12の面は、ステージ10に保持された基板Wの表面と面一となっている。このような構成は、基準線Lrの撮像結果に基づいて基板Wでのパターンの形成位置を高精度に制御するのに有利となる。
第2実施形態
上記実施形態では、主走査方向Yに伸びる直線のみから基準線Lrを構成していた。しかしながら、基準線Lrの構成はこれに限られず種々の変形が可能である。具体例を挙げると、図9に示すように基準線Lrを構成しても良い。ここで、図9は、基準線の変形例を示す図である。図9では、2本の基準線Lrのみが示されているが、第2実施形態においても第1実施形態と同様の範囲に渡って多数の基準線Lrが形成されている。また、これから説明する第2実施形態と上述の第1実施形態との違いは、基準線Lrの構成のみであるので、以下ではこの違いについて主に説明することとして、共通部分については相当符号を付して説明を省略する。また、共通構成を備えることで、第1実施形態と同様の効果が第2実施形態においても得られることは言うまでも無い。
図9に示すように、第2実施形態では、各基準線Lrは、主走査方向Yに延びる第1直線部l1と、副走査方向Xに延びて第1直線部に直交する複数の第2直線部l2とで構成されている。これら複数の第2直線部l2は、主走査方向YにピッチPlyで並んで形成されている。このピッチPlyは、光学ヘッド42、43が1ショットで形成するパターンの主走査方向Yへの幅以下に設定されている。
そして、このような構成では、ステージ10の副走査方向Xへの間欠的な移動に伴って、ラインカメラ50により撮像される第1直線部l1が変化する。したがって、露光制御部91は、ラインカメラ50が撮像した第1直線部l1から、光学ヘッド42、43とステージ10(に保持される基板W)との相対位置関係を求めることができる。さらに、第2実施形態の各基準線Lrは、主走査方向YにピッチPlyで並ぶ複数の第2直線部l2を有している。そのため、ステージ10の主走査方向Yへの移動に伴って、ラインカメラ50により撮像される第2直線部l2が変化する。したがって、露光制御部91は、ラインカメラ50が撮像した第2直線部l2から、光学ヘッド42、43とステージ10(に保持される基板W)との相対位置関係を求めることができる。
具体的には、露光制御部91は、ステージ10が基板Wを保持する保持位置11と基準線Lrとの距離を示すテーブル(図10)を記憶しており、これを参照することで光学ヘッド42、43と基板との相対位置関係を求める。ここで、図10は、ステージが基板を保持する保持位置と基準線との距離を示すテーブルを表した図である。
例えば、ラインカメラ50が基準線Lr3の第1直線部l1を撮像するとともに、主走査方向Yへの位置がp32の第2直線部l2を撮像しているとき、露光制御部91はラインカメラ50の撮像結果から、基準線Lrから基板Wの保持位置11までの距離をD32と求める。そして、この距離D32を、距離Da、Dbから引き算することで、保持位置11で保持される基板Wと光学ヘッド42、43との相対位置関係(Da−D32、Db−D32)を求めることができる。
露光制御部91は、こうして求めた基板Wと光学ヘッド42、43との相対位置関係に基づいてステージ移動機構20を動作させることで、ステージ10を移動させて、ステージ10の保持位置11で保持される基板Wと光学ヘッド42、43との主走査方向Yおよび副走査方向Xへの相対的な位置関係を調整する。そして、露光制御部91は。この位置調整を行いながら、主走査方向Yに延びる短冊状のパターンを形成する。つまり、ラインカメラ50の撮像結果から実測した基板Wと光学ヘッド42、43との主走査方向Yおよび副走査方向Xへの相対的位置関係に基づいて、基板W表面におけるパターンの形成位置が主走査方向Yおよび副走査方向Xに調整される。
このように、第2実施形態においても、複数の基準線Lrが副走査方向XにピッチPlxで並んでおり、換言すれば、複数の第1直線部l1が副走査方向XにピッチPlxで並んでいる。したがって、パターン描画を行なうために、ステージ10に対して光学ヘッド42、43が副走査方向Xに相対移動するのに応じて、副走査方向Xに並ぶ複数の第1直線部l1に対するラインカメラ50の相対位置も変わり、その結果、ラインカメラ50が撮像する第1直線部l1も変わる。つまり、ラインカメラ50による第1直線部l1の撮像結果が、ステージ10に対する光学ヘッド42、43の副走査方向Xにおける相対位置関係を実質的に示していると言える。そこで、露光制御部91は、ラインカメラ50が基準線Lrの第1直線部l1を撮像した結果が示すステージ10と光学ヘッド42、43の相対位置関係に基づいて、基板Wに形成されるパターンの副走査方向Xへの位置を制御することができる。これによって、副走査方向Xにおけるパターンの形成位置を高精度に制御することが可能となる。
また、各基準線Lrでは、第1直線部l1に交差する複数の第2直線部l2が主走査方向Yに並んで形成されている。このような構成では、パターン描画を行なうために、ステージ10に対して光学ヘッド42、43が主走査方向Yに相対移動するのに応じて、複数の第2直線部l2に対するラインカメラ50の相対位置も変わり、その結果、ラインカメラ50が撮像する第2直線部l2も変わる。つまり、ラインカメラ50による第2直線部l2の撮像結果が、ステージ10に対する光学ヘッド42、43の主走査方向Yにおける相対位置関係を実質的に示していると言える。そこで、露光制御部91は、ラインカメラ50が第2直線部l2を撮像した結果が示すステージ10と光学ヘッド42、43の相対位置関係に基づいて、基板Wに形成されるパターンの主走査方向Yへの位置を制御して、パターン描画を実行するように構成することができる。これによって、主走査方向Yにおけるパターンの形成位置を高精度に制御することができる。
また、第2実施形態では、基準線Lrが有する複数の第2直線部l2の撮像結果に基づいて、ステージ10(換言すればこれに固定される基板W)と光学ヘッド42、43との主走査方向Yへの相対位置関係が判る。したがって、第1実施形態のようにステージ位置計測部30の計測結果を参照せずとも、ステージ10(基板W)と光学ヘッド42、43の主走査方向Yへの相対位置関係を求めることができる。したがって、第2実施形態に示した構成を採用するにあたっては、ステージ位置計測部30を排して、構成の簡素化を図っても良い。
その他
以上のように、上記実施形態では、基板Wが本発明の「描画対象物」に相当し、ステージ10が本発明の「保持部」に相当し、光学ヘッド42、43が本発明の「描画部」に相当し、露光制御部91が本発明の「制御部」に相当し、基準線Lrが本発明の「基準パターン」に相当し、ラインカメラ50が本発明の「撮像部」に相当し、パターン描画装置100が本発明の「パターン描画装置」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、露光制御部91は、ラインカメラ50の撮像結果に基づいて、基板Wに形成されるパターンの位置を制御するにあたり、ステージ10と光学ヘッド42、43の相対位置関係を調整して、当該パターン形成位置を制御していた。しかしながら、パターン形成位置を制御する構成はこれに限られない。
つまり、上記実施形態のパターン描画装置100の光学ヘッド42、43は、照射位置シフト機構47により光路を調整して、光の照射位置を副走査方向Xにシフトさせることができる(図4)。そこで、露光制御部91は、ラインカメラ50の撮像結果が示すステージ10と光学ヘッド42、43の相対位置関係に基づいて、光学ヘッド42、43が光を照射する光路を調整することで、基板Wに形成されるパターンの位置を制御するように構成しても良い。
あるいは、次のように構成することもできる。つまり、上記実施形態では、ストライプデータに基づいて光学ヘッド42、43それぞれが基板W表面に光を照射して、基板Wにパターンを形成する。このような構成では、ストライプデータを変更することで、光の照射位置を調整して、パターン形成位置を制御することができる。より詳しくは、露光制御部91は、ラインカメラ50の撮像結果が示すステージ10と光学ヘッド42、43の相対位置関係に基づいて、ストライプデータ(画像信号)を調整することで、基板Wに形成されるパターンの位置を制御すれば良い。
ところで、上述のようにステージ10によって基板Wを支持する構成においては、ステージ10と基板Wとの位置関係が多少ずれることがあり、その結果、基板Wにおけるパターンの形成位置が若干ずれることも有りうる。このような若干のずれが問題となる場合には、次のような構成を備えても良い。すなわち、図1、図2に示したように、上記実施形態のパターン描画装置100は、アライメントユニット60(アライメント部)を備えている。そこで、露光制御部91は、ラインカメラ50の撮像結果が示すステージ10と光学ヘッド42、43の相対位置関係と、アライメントユニット60で求めたステージ10と基板Wの相対位置関係とに基づいて、基板Wに形成されるパターンの位置を制御するように構成しても良い。このように構成することで、ステージ10と基板Wとの位置関係のずれによらず、基板Wにおけるパターンの形成位置を高精度に制御することが可能となる。
また、上記実施形態では、ステージ10に構成された基板Wに対して、副走査方向Xの一方側にのみ複数の基準線Lrを設けていた。しかしながら、この基板Wに対して副走査方向Xの両側それぞれに、複数の基準線Lrとこれらを撮像するラインカメラ50をそれぞれ設けても良い。このような構成では、パターン描画装置100の本体フレーム101等のヨーイングが光学ヘッド42、43とステージ10の相対位置関係に与える影響を排除して、基板Wでのパターンの形成位置をより高精度に制御することが可能となる。
また、上記実施形態では、ラインカメラ50によって基準線Lrの撮像を行なっていた。しかしながら、基準線Lrの撮像を行なう具体的構成はラインカメラ50に限られず、CCDカメラ等の種々の撮像手段を用いることができる。
また、上記実施形態では、ステージ10を移動させることで、光学ヘッド42、43とステージ10とを相対移動させていた。しかしながら、光学ヘッド42、43を移動させることで、光学ヘッド42、43とステージ10とを相対移動させるように構成しても良い。
また、上記実施形態のパターン描画装置100は、2個の光学ヘッド42、43を備えていたが、光学ヘッドの個数はこれに限られず、1個あるいは3個以上であっても良い。
また、基準パターンLrの材質は、上述の金属に限られず、その他の材質によって基準パターンLrを形成しても良い。
また、基準パターンLrはガラス基板12上に形成されていたが、基準パターンLrの形成位置はこれに限られず、例えば、ステージ10上面に直接基準パターンLrを形成しても良い。
また、上記実施形態では、光により基板Wにパターンを描画するパターン描画装置100に対して本発明を適用した場合について詳述した。しかしながら、本発明の適用対象はこれに限られない。したがって、例えば特開2009−285588号公報等に記載されているような、インクジェットやディスペンサーによりパターンを形成する装置に本発明を適用することもできる。また、この際のパターンの材料としては、塗料やペースト状の半田等の種々のものを採用可能である。