1.実施形態
本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、開閉可能な前面枠10を備え、前面枠10の内側には、遊技盤2が配されている。前面枠10には遊技に使用する遊技球を貯留しておく球受け皿6が設けられている。球受け皿6は、図示しない賞球払出装置から払い出された賞球を含む遊技球を一時貯留すると共に、遊技球を整列状態として球送り装置(図示せず)に送る流路となる。また、前面枠10の右下部には遊技球を発射させるためのハンドル11が設けられている。その他、前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設されている。
遊技盤2には、ハンドル11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材12で囲まれて形成されている。レール部材12は、図2に示すように、外レール部(外側ガイドレール)56と内レール部(内側ガイドレール)57とを備えている。外レール部56と内レール部57とは、遊技領域3の内外方向に所定の間隔をおいて、正面から見て円弧状に曲げられて遊技盤2の前面に配されている。外レール部56と内レール部57との間は、ハンドル11操作により発射された遊技球を遊技領域3の上流部3cに案内する球通路部58となっている。内レール部57には、後述するバックストップ60が取り付けられている。また、図1に示すように、遊技盤2には、盤ランプ19が設けられている。また、遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設されている。
ここで、本明細書中、上下方向および左右方向は、図1に示す遊技盤2の表面側(遊技領域3側)を基準とし、また、前後方向は、遊技盤2の表面側(遊技領域3側)を前方とし、遊技盤2の裏面側を後方とする。また、内外方向とは、略円形状の遊技領域3の中心に向かう方向を内方とし、遊技領域3の中心から遊技領域3の外へ向かう方向を外方として定めるものとする。
図1に示すように、遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の演出画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、表示部4aの周縁部前方に配設された枠体部31を備えている。枠体部31の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口から後述するステージ部41へ遊技球を流出するワープ部40が配設されている。枠体部31の下部には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部41が形成されている。
遊技領域3の左右方向における中央下部には、第1始動入賞装置5aが設けられている。第1始動入賞装置5aは、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aを備えている。第1始動口51aへは、遊技領域3の左部3aを流下するように遊技球を打ち込むことにより、遊技球を入賞(入球)させる。
第1始動入賞装置5aの右方には、電動チューリップ(以下、「電チュー」という。)52により開閉される第2始動口51bを備えた第2始動入賞装置5bが設けられている。電チュー52は、電チューソレノイド(図示せず)により駆動される。第2始動口51bは、電チュー52が開いているときのみ遊技球が入賞可能となる。第2始動口51bへは、遊技領域3の右部3bを流下するように遊技球を打ち込むこと(いわゆる右打ち)により、遊技球を入賞させる。
第2始動入賞装置5bの下方には、大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド(図示せず)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。大入賞口71へは、右打ちにより遊技球を入賞させる。
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9は、第1始動入賞装置5aの左方に配置されている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。ゲート8は、第2始動入賞装置5bの右方に配置されている。普通入賞口90へは、遊技領域3の左部3aを流下するように遊技球を打ち込むことにより、遊技球を入賞させ、ゲート8へは、右打ちにより遊技球を通過させる。
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄(特別図柄)により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄又は小当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する当たり遊技が行われる。
特別図柄の変動表示中または当たり遊技中に、遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板(図示せず)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部(図示せず)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部(図示せず)に、保留記憶として記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったときに、記憶しておいた保留記憶に基づいて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。なお、メイン制御基板は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものであり、CPU、ROM、RAM等を備えて構成され、RAM内に、第1保留記憶部及び第2保留記憶部を有している。
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部、第2保留記憶部に記憶されている保留記憶の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部、第2保留記憶部に記憶される保留記憶の個数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部に4個の保留記憶がある状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部に4個の保留記憶がある状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対して大当たり乱数等の乱数は取得されない。
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、電チュー52を開く補助遊技が行われる。
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
図2に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1では、レール部材12は、前後方向の長さ寸法L1(図4(a)参照)を約18mmとする長尺状の板金(ステンレス鋼)とされ、正面から見て円弧状に曲げられて遊技盤2に配されて固定されている。遊技盤2の左部において、レール部材12は、外レール部56と内レール部57とから構成されている。外レール部56と内レール部57との間は、遊技者のハンドル11操作により遊技領域3の下方に位置する球受け皿6内から発射された遊技球を、遊技領域3の上流部3cに誘導するための球通路部58となっている。遊技者のハンドル11操作により発射された遊技球は、球通路部58を外レール部56に沿って転動して、遊技領域3の上流部3cへ至る(図9参照)。内レール部57の先端部(上端部ともいう)57aには、発射されて遊技領域3に至った遊技球が球通路部58に逆流するのを防止するためのバックストップ60が取り付けられている。
バックストップ60は、図3に示すように、揺動部材61と、揺動部材61が軸支されるハウジング部材67とを備えている。ハウジング部材67は、揺動部材61の揺動を許容しつつ揺動部材61を収納可能な収納部77を上部側に有し、かつ、内レール部57の先端部57aに対してバックストップ60を取り着けるための第1取付部68を下部側に有する。第1取付部68は、開口68aを有し、開口68aに内レール部57の先端部57aを挿通させて嵌合させることにより、バックストップ60を、内レール部57の先端部57aに対して固着させる(図4(a)参照)。
収納部77は、互いに平行に配された後壁部78(遊技盤2に近い側の壁部)及び前壁部79(遊技盤2から遠い側の壁部)を備える。後壁部78及び前壁部79の各内面には、それぞれ軸受部82a,82bが設けられている。この一対の軸受部82a,82bは、遊技盤2の表面に対し垂直に配される支持軸83を保持する。支持軸83には、揺動部材61が回動自在に嵌められる。
揺動部材61は、支持軸83を挿通させ支持軸83回りに回動可能な回動部62と、回動部62から外レール部56に接近する方向に延びる薄板状の弁部63と、回動部62から弁部63とは反対側に延びる錘部65とを備えて構成される。錘部65は、弁部63より重く、揺動部材61を原位置(図2に示す位置)に保持したり、球通路部58を通過する遊技球が弁部63に当たることにより揺動した揺動部材61を原位置(図2に示す位置)に復帰させたりする作用を発揮する。揺動部材61が原位置に戻るとき又は戻ったときにおいては、遊技領域3に入った遊技球が遊技釘等によって跳ね返されて弁部63に当たっても、収納部77(ハウジング部材67)により錘部65の移動が規制されるので揺動部材61は支持軸83を中心として揺動することができず、遊技球の球通路部58への逆流は阻止される。なお、原位置では、錘部65は、ハウジング部材67に設けられた収納部77内に収納され、収納部77の側壁部80に当接している。また、原位置において、弁部63の先端と外レール部56との間の距離は、遊技球の直径よりも小さく設定されている。
また、バックストップ60は、前面側に、合成樹脂製の表示板部85を備えている。表示板部85は、前壁部79の前面側から延設されており、前後方向を薄肉として内レール部57に沿って延びる薄板形状とされている。詳しく述べれば、表示板部85は、正面から見て、遊技領域3の内外方向を短手方向としており、内レール部57に沿う方向を長手方向として延びている、すなわち、正面から見て円弧状に湾曲して遊技盤2に配されている内レール部57と略同じ曲率で湾曲するように延びている。内レール部57を基準とした遊技領域3への突出長さL2(図9参照)は、遊技球の直径である11mmより小さく5mm程度とされている。また、表示板部85の前後方向の長さ寸法は、図10に示すように前面枠10が備えるガラス板45の後面45aと、表示板部85の前面85aとが接触しない程度に設定されている。なお、ガラス板45は、遊技領域3の前方に配されて、ガラス板45越しに遊技領域3を視認可能にするものである。
図3に示すように、表示板部85の前面85aには、スペックシール92が貼付される。スペックシール92には、各入賞口51a,51b,71,90に遊技球が入賞した際の賞球数、パチンコ遊技機1の機種名、通常遊技状態(低確遊技状態)における大当たり確率、確変割合、が記載されている。確変割合とは、当選した大当たりがその大当たり遊技後の遊技状態を通常遊技状態よりも大当たり確立の高い確変遊技状態へ移行させる大当たりである確率である。なお、これらのような遊技機に関する情報が、「所定の情報」に相当する。
具体的には、「15&10&3」との賞球数の表示は、大入賞口71への入賞に対する賞球数が15個で、普通入賞口90への入賞に対する賞球数が10個で、第1始動口51aおよび第2始動口51bへの入賞に対する賞球数が3個であることを示している。
また、「低確率1/198.6」との低確率の表示は、通常遊技状態(低確率遊技状態)での大当たり確率が、1/198.6であることを示している。
また、「確変割合200/200」との確変割合の表示は、大当たりに当選した場合に、その大当たりが、大当たり遊技終了後の遊技状態を通常遊技状態より大当たり確率の高い確変遊技状態に移行させる大当たりである割合が、200/200であることを示している。
また、「CR○○○○」との遊技機の機種名の表示は、この遊技機の機種名が、「CR○○○○」であることを示している。なお、近年では、この機種名の表示の文字数が多い遊技機が増えている。機種名の表示の文字数が多くなると、その分、所定の情報を表示するためのスペースを大きくとる必要が生じる。実施形態のパチンコ遊技機1のように、内レール部57の先端部57aから内レール部57の延設方向に沿って延びる表示板部85を備えている場合、機種名の表示の文字数が多くなっても、表示板部85を内レール部57の延設方向に沿ってさらに延ばして形成するだけで、所定の情報を表示するスペースを容易に確保することができる。
また、このスペックシール92は、背景部分を黒色とし、「15&10&3」などの文字部分を赤色としている。これは遊技者に文字をはっきり視認させ、所定の情報の表示を見やすくするためである。すなわち、遊技者に対して所定の情報を見易く表示する点からは、スペックシール92の背景部分や文字部分は、無色透明又は有色透明とするよりも、非透明とすることが望ましい。
また、図3に示すように、表示板部85の裏面85bには、内外方向の略中央に、第2取付部87が設けられている。第2取付部87は、表示板部85の下端部85c側(他端側に相当する)に設けられて、前方から内レール部57に対して取り付けられるものであり、内レール部57を厚さ方向(内外方向)で挟持することにより、バックストップ60を内レール部57に対して取り付け固定するものである。なお、第1取付部68は、表示板部85の上端部85d側(一端側に相当する)に設けられている、言い換えれば、表示板部85における第2取付部87が設けられている側の端部(下端部85c)とは反対側の端部(上端部85d)側に設けられている。また、表示板部85の上端は、前壁部79の上端と上下方向においてほぼ一致した位置にある。
次に、バックストップ60の内レール部57への取り付けについて説明する。まず、図4(a)に示すように、内レール部57の先端部57aに設けられた係合部59に対して、下方に向かって開口している第1取付部68を挿入する。挿入すると、係合部59の係合孔59aに第1取付部68に設けられた係合爪69の係合突起69aが係合する。これにより、バックストップ60が内レール部57から容易にはずれるのが規制される。この状態が、図4(b)に示す状態である。なお、第1取付部68を挿入する際は、バックストップ60を、内レール部57の延設方向に沿って、右上から左下に向かって移動させる(図4(a)の矢印a参照)。
ここで、図4(a)に示す状態から図4(b)に示す状態にする際、すなわち、第1取付部68を内レール部57に取り付ける際、表示板部85の裏面85bから後方へ向かって突出している第2取付部87が内レール部57と干渉してしまうことがある(図4(a)二点鎖線参照)。言い換えれば、第2取付部87が第1取付部68を取り付ける際の邪魔となることがある。そこで、第1取付部68を内レール部57に取り付ける際は、図4(a)に実線で示すように、表示板部85の下端部85cを前方へ撓ませて、第2取付部87が内レール部57と干渉するのを避けてから(図4(a)の矢印b参照)、第1取付部68を内レール部57に取り付ける。これにより、第2取付部87が第1取付部68を取り付ける際に邪魔となるのを防止することができる。ここで、表示板部85における第2取付部87が設けられている位置と第1取付部68が設けられている位置との間の弾性変形可能な部分(図4(a)にトーンを付して示した部分)を、弾性変形部(変形部に相当する)86という。弾性変形部86は、このように第2取付部87の第1取付部68に対する位置を変化させることを可能にし、第1取付部68を内レール部57に取り付ける際に第2取付部87が内レール部57と干渉するのを防止する効果を発揮する。
第1取付部68を内レール部57に取り付けた後は、図4(b)に示すように、弾性変形部86を変形前の状態に戻して、第2取付部87を前方から後方へ向かって移動させ(図4(b)の矢印c参照)、第2取付部87を内レール部57に対して取り付ける(図4(b)二点鎖線参照)。これにより、内レール部57は第2取付部87によって挟持され、バックストップ60の内レール部57への取り付けが完了する。この状態が、図5(a),(b)に示す状態である。
ここで、図4(b)に示す状態、すなわち、第1取付部68を取り付けた後第2取付部87を取り付けていない状態では、表示板部85は、図6(a)に示すように内レール部57を基準として外レール部56側に片寄っていたり、図6(b)に示すように内レール部57を基準として遊技領域3側に片寄っていたりすることがある。これは、表示板部85の内外方向の長さ寸法L3(図6(c)参照)が10mm程度と短く表示板部85が内外方向に撓むことがあるためである。そこで、実施形態のパチンコ遊技機1では、第2取付部87を内レール部57に対して取り付けることにより、表示板部85の配置位置を調整し、表示板部85の内外方向の中央部が、円弧状に湾曲した内レール部57の前端部に沿って配されるようにしている。すなわち、表示板部85が、図6の(a)又は(b)に示す状態ではなく図6の(c)に示す状態で配されるようにしている。このような第2取付部87の取り付けにより、バックストップ60が内レール部57に対して安定して取り付けられるとともに、表示板部85を湾曲した内レール部57に沿ってきれいに配置させることが可能となっている。
この点についてさらに詳しく述べる。実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の情報を示す文字を2行で表示したスペックシール92を採用し、このスペックシール92の形状に合わせて表示板部85を構成したが、図7,8に示す変形例のように、所定の情報を示す文字を1行で表示したスペックシール92Aを採用し、このスペックシール92Aの形状に合わせてバックスストップ60Aの表示板部85Aを構成した場合には、表示板部85Aの長手方向の長さは、上下方向において表示部4aの中央位置を越える程度まで長くなり(図8参照)、表示板部85Aの短手方向の長さ寸法L4(図7,8参照)は、遊技領域3への突出量が2〜3mm程度と短くなる。よって、このようなバックストップ60Aを内レール部57へ取り付ける場合は、図6に示す実施形態のバックストップ60を内レール部57へ取り付ける場合と比べて、表示板部85Aの短手方向の長さ寸法が短い分だけ表示板部85Aは内外方向へ撓みやすくなり、図8に二点鎖線で示すように、内レール部57を基準として外方へ大きくずれたり、内レール部57を基準として内方へ大きくずれたりしやすくなる。そこで、これを直して図8に実線で示すように表示板部85Aを内レール部57に沿ってきれいに配置するために、第2取付部87Aを内レール部57に対して取り付けることが特に必要となる。なお、このように表示板部85Aの長手方向の長さが上下方向でみて表示部4aの中央位置を越える程度まで長い場合には、表示板部85Aを内レール部57に対してきれいに沿わせるために、表示板部85Aの下端部に設けた第2取付部87Aを内レール部57に取り付けるだけでなく、表示板部85Aの長手方向の略中央部に第3取付部88を設けて、第3取付部88によっても表示板部85Aを内レール部57に対して取り付けることが望ましい。そして、このような場合には、表示板部85Aにおける第1取付部68Aと第3取付部88との間に、第3取付部88の第1取付部68Aに対する位置を変えるための弾性変形部86A(図7にトーンを付して示す)を設けるとともに、表示板部85Aにおける第3取付部88と第2取付部87Aとの間に、第2取付部87Aの第3取付部88に対する位置を変えることが可能な弾性変形部86B(図7にトーンを付して示す)を設けて、バックストップ60Aの取り付け時に第2取付部87A及び第3取付部88が内レール部57に干渉するのを防止できるように構成する。
次に、図9に基づいて、実施形態のバックストップ60が取り付けられたパチンコ遊技機1において、遊技球が発射された場合について説明する。図9に示すように、球通路部58を通過した遊技球Bは、遊技領域3の上流部3cに流入し、遊技領域3を流下していく。このとき、遊技領域3を流下する遊技球Bが、表示板部85の後方を流下することがある。実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技球Bが表示板部85の後方に隠れて前方から視認できなくなることがないよう、表示板部85の遊技領域3への突出長さL2(図9,10参照)を、遊技球の直径未満、すなわち、11mm未満としている。したがって、図9に示すように、遊技領域3を流下する遊技球Bが表示板部85の後方を流下しても、遊技球Bの一部は必ず前方から視認可能であり、遊技球Bの全部が表示板部85の後方に隠れてしまい、遊技者が確認できなくなることはない。
なお、実施形態のパチンコ遊技機1では、センター役物装置30の枠体部31における左上部分の縁と、内レール部57との離隔距離L5(図9参照)は、遊技球の直径(11mm)の1.5倍から2倍程度とされている。近年ではセンター役物装置が遊技領域の大部分を占める遊技機が多く、センター役物装置の枠体部における左上部分の縁と内レール部との離隔距離を、遊技球の直径(11mm)の1.5倍から4倍程度としているものが多い。ここで、実施形態のように離隔距離L5を遊技球の直径の2倍程度としているパチンコ遊技機1に対して、文字を4行程度にわたって記載したスペックシールを採用し、そのスペックシールの形状に合わせて表示板部を構成した場合、表示板部の内側の縁がセンター役物装置30の枠体部31における左上部分の縁に当たり、表示板部とセンター役物装置30とが一連のデザインのようになってしまい、遊技機の意匠性を阻害してしまうおそれがある。また、センター役物装置30の枠体部31の左上部分と内レール部57との間の遊技領域3が表示板部により覆われて、その遊技領域3を流下する遊技球が正面から見えなくなってしまう。実施形態のパチンコ遊技機1では、表示板部85を内レール部57に沿って延びる形状に構成し、表示板部85の遊技領域3への突出長さL2(図9,10参照)を遊技球の直径未満としているため、このように遊技機の意匠性が阻害されることはなく、遊技領域3を流下する遊技球が正面から見えなくなってしまうこともない。
以上説明したように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技者の操作により発射された遊技球を遊技領域3へ誘導するための球通路部58を形成する内レール部57と外レール部56とを、遊技盤2に備え、内レール部57の先端部57a近傍に、球通路部58から遊技領域3へ流入した遊技球が球通路部58に戻るのを規制するバックストップ60(規制部材)を備えている。バックストップ60は、前面側に、内レール部57の延設方向を長手方向として延びる表示板部85を備えている。そしてパチンコ遊技機1は、表示板部85に、所定の情報を表示している。なお、表示板部85は、前後方向を薄肉とする略板形状で、正面から見て遊技領域3の内外方向を短手方向とし、内レール部57の延設方向を長手方向として延びるものである。
実施形態のパチンコ遊技機1によれば、表示板部85が内レール部57の延設方向を長手方向として延びているので、内レール部57の先端部57a近傍の遊技領域3が表示板部85により覆われにくい(図9参照)。よって、内レール部57の先端部57a近傍の遊技領域3を流下する遊技球の良好な視認を確保できる。
詳しく述べれば、表示板部85の内縁がセンター役物装置30の枠体部31における左上部分の縁に対して接近しすぎると、内レール部57とセンター役物装置30との間の遊技領域3を表示板部85が覆って、その遊技領域3を流下する遊技球をみえなくしてしまうところ、実施形態のパチンコ遊技機1では、表示板部85が遊技領域3へ突出する突出量(図9に示すL2参照)を遊技球の直径未満に構成し、表示板部85に表示する情報の量(スペックシール92に表示する文字の量)にあわせて、内レール部57に沿う方向に表示板部85を延設することとしている。よって、表示板部85が内レール部57とセンター役物装置30との間の遊技領域3を覆いすぎることがなく、流下する遊技球の良好な視認を確保することできる。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、バックストップ60が表示板部85を備えているため、バックストップ60を内レール部57に対して取り付けるだけで、遊技機に関する所定の情報を表示することができる。また、実施形態のパチンコ遊技機1では、異なる機種間に共通の部品であるバックストップに表示板部を設けたため、表示板部85を含むバックストップ60を異なる機種間に共通の部品として利用でき、便利である。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、内レール部57は、略円弧状に湾曲して遊技盤2に配され、バックストップ60(規制部材)は、表示板部85の上端部85d側(一端側)に設けられた第1取付部68と、表示板部85の下端部85c側(他端側)に設けられた第2取付部87とを備え、第1取付部68は、内レール部57の先端部57a(上端部)近傍に取り付けられ、第2取付部87は、内レール部57に取り付けられている。
したがって、表示板部85の上端部85d側(一端側)が第1取付部68により固定され、表示板部85の下端部85c側(他端側)が第2取付部87により固定されるため、内レール部57の延設方向を長手方向として延びる表示板部85を、略円弧状に湾曲して遊技盤2に配されている内レール部57に対してきれいに沿わせて配置することができる(図6(c)参照)。具体的には、実施形態のように第2取付部87が表示板部85の後面85bの内外方向の中心位置に設けられている場合には、表示板部85の内外方向の中心が内レール部57の前端部に略沿うように、バックストップ60を内レール部57に対して配置することが可能となる。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、表示板部85は、第1取付部68に対する第2取付部87の位置を変位させることが可能な弾性変形部86(変形部)を備えている。
したがって、第1取付部68を内レール部57の先端部57a近傍に取り付ける際に、第2取付部87が邪魔になる場合には、弾性変形部86を変形させて第1取付部68に対する第2取付部87の位置を変えることで、第2取付部87が邪魔になるのを避けることができ、第1取付部68を容易に取り付けることができる(図4参照)。
この点について詳しく述べれば、実施形態のパチンコ遊技機1では、バックストップ60(規制部材)は、内レール部57の先端部57a(上端部)から内レール部57の延設方向に沿って第1取付部68を移動させることにより、内レール部57の先端部57aに第1取付部68を取り付け、表示板部85の後面85bから後方へ向かって設けられた第2取付部87を、前方から後方へ向かって移動させることにより、内レール部57の前端側から内レール部57に対して第2取付部87を取り付けるよう構成され、表示板部85は、第1取付部68に対する第2取付部87の位置を少なくとも前方へ変位させることが可能な弾性変形部86を備えている。
したがって、内レール部57の先端部57a(上端部)から内レール部57の延設方向に沿って第1取付部68を移動させることにより内レール部57の先端部57aに第1取付部68を取り付ける際に、表示板部85の後面85bから後方へ向かって設けられた第2取付部87が内レール部57と干渉して邪魔になることがあるが、弾性変形部86を変形させて第1取付部68に対する第2取付部87の位置を前方へ変えることで、第1取付部68の取り付けの際に、第2取付部87が内レール部57と干渉するのを避けることができる。なお、第2取付部87は、第1取付部57を取り付けた後に弾性変形部86を変形前の状態に戻しながら、内レール部57の前端側から内レール部57に対して取り付けられる。
すなわち、弾性変形部86(変形部)は、少なくとも第2取付部87の内レール部57への取付方向(実施形態では後方)とは反対の方向(実施形態では前方)へ第2取付部87を変位させることができるよう構成されているものであり、第1取付部68の内レール部57への取付方向(実施形態では内レール部57の延設方向)と、第2取付部87の内レール部57への取付方向(実施形態では前後方向)が異なる場合において、第1取付部68を取り付ける際第2取付部87が内レール部57に干渉するのを避ける効果を発揮するものである。なお、弾性変形部86(変形部)の変形可能な量は、少なくとも、バックストップ60を取り付ける際に第2取付部87が内レール部57に当たらない程度とされている。
2.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
(A)
実施形態のパチンコ遊技機1では、表示板部85は、弾性変形可能な弾性変形部86を備える構成としたが、変形部は、図11に示すように、ヒンジ部97により構成してもよい。具体的に説明すれば、図11に示す変更例のバックストップ60Bでは、表示板部94は、上側表示板部95と下側表示板部96とを備え、上側表示板部95と下側表示板部96とは、ヒンジ部97により連結されている。下側表示板部96は、上側表示板部95に対して、ヒンジ部97に挿通されている揺動軸98を揺動中心として揺動可能とされている。下側表示板部96の後面からは、後方へ向かって第2取付部87が延設されている。したがって、第1取付部68を内レール部57の先端部57a(係合部59)に取り付ける際に、図11に実線で示すように、下側表示板部96を前方に揺動させ、第1取付部68を取り付けた後で、図11に二点鎖線で示すように、下側表示板部96を後方に戻して、第2取付部87を内レール部57に取り付けることにより、第1取付部68の取り付け時に第2取付部87が内レール部57に干渉して邪魔になるのを防ぐことができる。なお、この場合、スペックシール93は、上側表示板部95の前面に貼付する上側スペックシール93Aと、下側表示板部96の前面に貼付する下側スペックシール93Bとから構成して、上側スペックシール93Aに、機種名および確変割合を表示し、下側スペックシール93Bに、賞球数および低確率時の大当たり確率を表示する。
(B)
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、表示板部85は、短手方向(内外方向)における略中心部が内レール部57の前端部に沿うように内レール部57に配置したが、図12(a)に示す変更例のバックストップ60Cのように、表示板部85が外レール部56側へ大きく突出するように配置させる、すなわち、表示板部85の内側の端部が内レール部57の前端部に略沿うように配置させてもよい。この場合、第2取付部87は、表示板部85の裏面85bにおいて内側の端部に設けることとする。また、図12(b)に示す変更例のバックストップ60Dのように、表示板部85が遊技領域3側へ大きく突出するように配置させる、すなわち、表示板部85の外側の端部が内レール部57の前端部に略沿うように配置させてもよい。この場合、第2取付部87は、表示板部85の裏面85bにおいて外側の端部に設けることとする。なお、図12(b)に示すように変更して構成した場合も、表示板部85の遊技領域3への突出量が、遊技球Bの直径未満となるように構成する。
(C)
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、バックストップ60は、内レール部57の先端部57a(上端部)に対して上方から下方へ向かって移動させることにより第1取付部68を取り付け、内レール部57に対して前方から後方へ向かって移動させることにより第2取付部87を取り付けるよう構成したが、図13に示す変更例のバックストップ60Eのように、内レール部57の先端部57a(上端部)に対して左方(外側)から右方(内側)へ向かって移動させることにより第1取付部68Eを取り付け、内レール部57に対して前方から後方へ向かって移動させることにより第2取付部87を取り付けるよう構成してもよい。すなわち、第1取付部68Eの取付方向を左右方向とし、第2取付部87の取付方向を前後方向とする構成としてもよい。なお、このバックストップ60Eにおける第1取付部68Eは、図13にA−A線端面図で示すように、係止爪100,100により内レール部57を厚さ方向で挟持する構成とされている。また、バックストップの第1取付部は、図13に示すバックストップ60Eの第1取付部68Eとは逆方向すなわち、内レール部57の先端部57a(上端部)に対して右方(内側)から左方(外側)へ向かって移動させることにより内レール部57に対して取り付ける構成としてもよい。
また、バックストップは、図14に示す変更例のバックストップ60Fのように、内レール部57に対して前方から後方へ向かって移動させることにより第1取付部68Fおよび第2取付部87を取り付けるよう構成してもよい。すなわち、第1取付部68Fおよび第2取付部87の内レール部57に対する取付方向を前後方向とする構成としてもよい。このバックストップ60Fにおける第1取付部68Fは、後方および下方に開口して内レール部57の先端部57aを挟持可能に構成されている。なお、図14に示す変更例のバックストップ60Fでは、第1取付部68Fを取り付ける際に第2取付部87が内レール部57と干渉しにくく邪魔になりにくいので、実施形態のバックストップ60や図11に示すバックストップ60Bのように、弾性変形部86やヒンジ部97といった変形部を表示板部85Fに設ける必要はない。
(D)
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、バックストップ60は、内レール部57の先端部57a(上端部)の係合部59に第1取付部67を係合させる構成としたが、図15に示す変更例のバックストップ60Gのように、内レール部57の先端部57a(上端部)の上端位置にあわせて位置決めされて、遊技盤2に対してビス止めされる構成としてもよい。この場合、ビス101,101により止められる部分が第1取付部68Gに該当し、第1取付部68Gの取付方向は前後方向となる。またこの場合、第2取付部は、実施形態のバックストップ60が備える第2取付部87と同様の構成、すなわち、表示板部の後面から後方へ向かって突出して内レール部57を挟持する構成としてもよいし、図15に示すように、表示板部85Gの外側の端部に後方へ向かって延設される延設部102を設け、この延設部102に、内レール部57に設けられた被係止部103に対して内側面側から係止される係止部104を設けて、第2取付部87Gとしてもよい。この第2取付部87Gの取付方向は内外方向である。この第2取付部87Gを備える構成とした場合には、第1取付部68Gの取り付け時に、第2取付部87Gが内レール部57と干渉するのを防止できるように、表示板部85Gは、内側に撓んで第2取付部87Gの第1取付部68Gに対する位置を変えることが可能な弾性変形部86G(図15にトーンを付して示す部分参照)を備える構成とする。なお、図15に示すバックストップ60Gの揺動部材61Gは、薄肉の板金とされ、ハンドル11操作により発射された遊技球が当たることにより撓み、遊技球が遊技領域3に入ると元の状態に復帰して、遊技球が球通路部58に戻るのを防止するよう構成されている。
(E)
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、表示板部85の前面85aにスペックシール92を貼付することにより、遊技機に関する所定の情報を表示するよう構成したが、所定の情報を印刷などした樹脂パネルを表示板部に嵌合させる構成や、表示板部85の前面85aに所定の情報を直接印字する構成など、他の構成により表示板部に所定の情報を表示するよう構成してもよい。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技機に関する所定の情報として、「CR○○○○」により遊技機の機種名を表示し、「15&10&3」により賞球数を表示し、「確変割合200/200」により確変割合を表示し、「低確率1/198.6」により低確率時の大当たり確率を表示したが、例えば、遊技機のモチーフに合わせた模様やモチーフのキャラクタの絵などの遊技機を装飾する情報を表示してもよい。また、所定の情報として、「○○株式会社」としてメーカー名を表示したり、「○○ラウンド」として大当たり遊技におけるラウンド数を表示したり、「○カウント」として大当たり遊技1ラウンドあたりのカウント数を表示したり、いわゆるST機では「○○回」として確変最高継続回数を表示したりしてもよい。