JP5752154B2 - 折り畳み式ヘッドクレードルを有するレスピレーターハーネス - Google Patents

Description

本発明は、使用位置から容易に折り畳んで、マスク本体が顔から離れた収納状態に置かれたときにレスピレーターのハーネスが着用者の首の後ろで楽に静置することができる、レスピレーターのヘッドクレードルに関する。

レスピレーターは通常、ハーネスと共に提供されて、使用中にマスク本体を着用者の顔に支持する。レスピレーターのハーネスによっては、使用していないときにマスク本体を着用者の顎下に都合よく配置させることができる「ドロップダウン式」アセンブリと共に提供されるものがある。職場では、レスピレーターの着用者が汚染領域から離れているときには一時的にマスク本体を顔から外すことが必要とされることがよくある。例えば、着用者は、他の人と少しだけ話をする短時間の間、汚染領域を一時的に離れる場合がある。マスク本体の簡単な取り外し及び顔から離れた顎下での一時的な収納の必要性を満たすために、レスピレーターの設計者は、この目的のためにこれらの「ドロップダウン式」フェイスマスクアセンブリを作り出した。

米国特許第６，７１５，４９０号（Ｂｙｒａｍ）は、ヘッドクレードル、即ちクラウン部材と、マスク本体を着用者の頭部に支持するための一対のストラップと、を有するドロップダウン式レスピレーターを開示している。一時的な顔から離れた収納を提供するために、Ｂｙｒａｍのハーネスは、実質的に平らで可撓性のあるストラップ及び湾曲した細長いスロットを含む要素を使用する。平らなストラップが湾曲した細長いスロットに通されると、スロットの湾曲した形状により、平らなストラップは湾曲した形状に変形する。このストラップの変形により、ストラップはこの要素と摩擦により係合し、それによってレスピレーター本体は、着用者の顔から徐々に引き抜かれ、その結果、レスピレーター本体は一時的に着用者の顎下に収納されることができ、かつ各ストラップの自由端を単に引き上げることによって鼻及び口を覆って都合よく再配置されることができる。

米国特許第６，７３２，７３３号（Ｂｒｏｓｔｒｏｍら）は、マスク本体に配置され、かつキャレッジの４つの相隔たるガイド部材に通されているストラップに係合するように構成されたキャリッジを有する。ガイド部材により、ストラップは、４つの係合点に対して交差形状になっている。この構造により、支持ハーネスを着用者の頭部から取り外さずに、マスク本体が第２の位置に保持され、着用者の顔の下に下ろされる。

米国特許第６，４９７，２３２号（Ｆｅｃｔｅａｕら）は、レスピレーターで用いる取り外しの容易な機構及びヘッドピース又はクラウン部材について説明している。ヘッドピースは、マスク本体を着用者の頭部に支持するために一対のストラップに結合している。取り外しの容易な機構は、ヨークに枢動可能に取り付けられて上方緊張ストラップの張力を制御するカムラッチを有する。ラッチされた位置では、上方緊張ストラップがヨークを横切って、レスピレーターのマスクを着用者の顔に対して支持し密封する。ラッチされていない位置では、上方緊張ストラップは、マスク本体を着用者の顎下で休止位置に緩く支持する。Ｆｅｃｔｅａｕらは、マスクをその使用位置から休止位置に動かすのにカムラッチを含めることに頼っている。

したがって、Ｂｙｒａｍ、Ｂｒｏｓｔｒｏｍら、及びＦｅｃｔｅａｕの特許に記載される既知のドロップダウン式ハーネスアセンブリでは、マスク本体は顎下に下ろされるが、一方でクラウン部材は着用者の頭部に留まる。

既知のドロップダウン式レスピレーターとは異なり、本発明は、一時的な顎下への移動をもたらすのに、ストラップに対するマスクの動きに頼らない。本発明では、マスク本体を着用者の鼻及び口を覆うように戻すときに、ストラップを再調整又は再締結する必要はない。本発明の便利さは、折り畳み可能なクラウン部材、即ちヘッドクレードルが一時的な顔から離れた収納を提供することによるものである。上述されるように、既知のドロップダウン式レスピレーターは、マスク本体をハーネスストラップに対して移動させて一時的な顔から離れた収納を提供していた。

短く要約すると、本発明は、（ａ）マスク本体と、（ｂ）ハーネスであって、（ｉ）１つ以上のストラップと、（ｉｉ）１つ以上のストラップに結合され、第１及び第２の横方向に延びる部材並びにラッチを含むヘッドクレードルと、を含むハーネスと、を含むレスピレーターを提供する。ラッチは、横方向に延びる部材を相隔たる第１の開位置に固定して、ヒトの頭部に配置できるようにすることができ、かつ解放し、その結果、部材は、第２の折り畳み位置に移動して顔から離して収納できるようにすることができる。

本発明は更に、（ａ）マスク本体と、（ｂ）ハーネスであって、（ｉ）１つ以上のストラップと、（ｉｉ）１つ以上のストラップに結合され、第１及び第２の横方向に延びる部材、並びに横方向に延びる部材を相隔たる第１の開位置に固定して、クレードルをヒトの頭部に配置できるようにすることができ、かつ解放し、その結果、部材は、第２の折り畳み位置に移動してマスク本体を顔から離して収納できるようにする手段を含むヘッドクレードルと、を含むハーネスと、を含むレスピレーターを提供する。

本発明は、マスク本体をヒトの顔上に支持するために使用することができるハーネスを更に提供し、このハーネスは、（ａ）ヘッドクレードルであって、（ｉ）第１及び第２の横方向に延びる部材と、（ｉｉ）横方向に延びる部材を第１の所望位置から第２の所望位置に手で移動させる手段と、を含む、ヘッドクレードルと、（ｂ）ヘッドクレードルに結合されている１つ以上のストラップと、を含む。

本発明は更に、マスク本体を顔上の使用状態から、顔から離れた一時的収納状態に配置する方法を提供し、この方法は、（ａ）ヘッドクレードルを頭上の第１の位置から折り畳むことと、（ｂ）マスク本体が顎の下で支持されるように、折り畳まれたヘッドクレードルを首の後ろの第２の位置に配置することと、を含む。

本発明は、相隔たる第１の開位置から第２の折り畳み位置に動かすことができる第１及び第２の横方向に延びる部材を有するという点で、既知のドロップダウン式ハーネスアセンブリとは異なる。第２の折り畳み位置にあるとき、横方向に延びる部材は、クレードルが着用者の首の後ろに楽に配置されることができるように、互いにもっと近づいていてもよい。折り畳まれたクレードルにより、マスク本体は、着用者の胸部の前で顔から離れた収納位置に都合よく収納される。既知のハーネスではこれまで、クラウン部材、即ちクレードルが折り畳めなかった。そのため、マスクの着用者がマスク本体を顔にある使用位置から外したかったときに、クラウン部材、即ちクレードルは、着用者の首の後ろで楽に配置できなかった。したがって、レスピレーターの設計者は、Ｂｙｒａｍ、Ｂｒｏｓｔｒｏｍら、及びＦｅｃｔｅａｕの特許で上述されるように、ハーネスストラップを介するマスク本体の動きに頼って、一時的な顔から離れた収納を提供していた。

用語

以下に記載される用語は、定義されるような意味を有する。

「ハーネス」は、着用者の顔面上にマスク本体を支持するのを補助する構造体又は部品の組合わせである。

「ヘッドクレードル」とは、別のデバイスを支持するためにヒトの頭部に着用されるように構成された部品又は部品の組み合わせを意味する。

「ラッチ」とは、２つ以上の部材が、相対的に固定された位置又は定位置に一時的に共に結合されることができるようにする部品又は部品の組み合わせを意味する。

「横方向」とは、横切る又は左右を意味する。

「マスク本体」とは、人の少なくとも鼻及び口の上にフィットすることができ、外部気体空間から分離された内部気体空間を画定するのを助ける構造体を意味する。

「レスピレーター」とは、空気がヒトの呼吸器系に入る前にその空気を濾過するために、ヒトによって着用されるデバイスを意味する。

「ストラップ」とは、それだけで又は他のストラップと併せて別の要素を支持するのに十分な強度を有する材料のストリップ（通常は均一な幅）を意味する。

使用中の位置でヒトの顔に配置された、本発明によるレスピレーター１０の斜視図。 本発明によるハーネス１２で使用し得るラッチ２６の例を示す、ヘッドクレードル１６の拡大図。 図２の線２ａ−２ａに沿って切り取ったラッチ２６の断面図。 閉位置にあるヘッドクレードル１６の斜視図。 顔から離れた収納位置にあるマスク本体１４、及び着用者の首の周りで折り畳んだ状態にあるヘッドクレードル１６を示す、レスピレーター１０の斜視図。

本発明の実施において、便利なマスク本体の顔から離れた収納を可能にするハーネスを有するレスピレーターが提供される。これまで行われてきたように、マスク本体をハーネスストラップに対して動かすのではなく、本発明は、マスク本体が着用者の胸部の前で顔から離れた収納位置に置かれることができるように、着用者の首の後ろで静置させることができる折り畳み式ヘッドクレードルを提供する。そのような顔から離れた収納を提供するために、ハーネスは、第１及び第２の横方向に延びる部材並びにラッチを含むヘッドクレードルを含む。ラッチにより、横方向に延びる部材は、ヒトの頭部に配置するために開位置に共に固定されることができる。ラッチは更に、その部材を解放させることができ、その結果、それらは第２の折り畳み位置に移動することができ、そこで着用者の首の後ろに都合よく配置されることができる。

図１は、ハーネス１２及びマスク本体１４を含むレスピレーター１０を示す。ハーネス１２は、クラウン部材、即ちクレードル１６を含み、これは第１の横方向に延びる部材１８及び第２の横方向に延びる部材２０を含む。ストラップ２１は、バックル２２でヘッドクレードル１６に取り付けられている。ストラップ２１は、マスク本体１４からヘッドクレードル１６に、クレードル１６及びマスク本体１４の各側で取り付けられ得る。ストラップ２１は、１つ以上の端部で調節可能であってもよい。ストラップは、バックル２２を使用してクレードル１６の各側面で結合されることができる。

図２は、ヘッドクレードル１６の拡大した状態を図示する。図のように、クレードル１６は、転心２４で第１の横方向に延びる部材１８及び第２の横方向に延びる部材２０を合わせて結合する。転心２４により、第１の横方向に延びる部材１８及び第２の横方向に延びる部材２０は、互いに相対的な点を中心にａ方向及びｂ方向に回転する。転心は、リベット又はその他の適切な手段によって提供され得る。ラッチ２６は、クレードル１６の便利な位置に設けられて、第１の部材１８が第２の部材２０に対して回転するのを防ぐことができる。図２ａに示されるように、第２の部材２０は、外辺部に沿って成型される小さいビード２８を含んでもよい。このビード２８は、横方向に延びる部材２０を適所に保持するアンダーカットボタン３０と係合する。アンダーカットボタン３０は、部材２０がｂ方向に回転するときにアンダーカットボタン３０に引っ掛からずにアンダーカットボタン３０を滑動できるようにテーパー上面３２を有してもよい。わずかに隆起したビード２８は、部材２０がｂ方向に突起部３３を越えて移動したときにアンダーカットボタン３０と係合する。横方向に延びる部材の隆起したビード２８がアンダーカットボタン３０内でそのように配置されると、係合により、横方向に延びる部材２０は、横方向に延びる部材１８に対する回転移動なしに一時的に適所に保持される。マスク本体を顔から離れた位置に設置するために、着用者は、横方向に延びる部材２０を掴み、それをｂ方向に親指で反転させてアンダーカットボタン３０からそれを解放するだけである。次いで、横方向に延びる部材２０を反時計回りに回転させ、その結果、横方向に延びる部材１８により近くに配置されるか、又は横方向に延びる部材１８と重なり合う。

図３は、顔から離れた収納のための位置にある方向に延びる部材を示す図示されるように、横方向に延びる部材２０は、ラッチ２６から解放されている。したがって、部材１８及び２０は互いにもっと近づき、そのため、着用者の首の後ろに楽に設置されることができる。次いで、クレードル１６は頭部から下ろされて、図４に示されるように首の後ろに静置されることができる。横方向に延びる部材の１つ以上には、横方向に延びる部材の長さに沿って延びる湾曲が設けられてもよい。湾曲は、横方向の部材の縦の寸法に垂直な軸周囲の適合性を可能にし得る。そのため、与えられた湾曲は、着用者の頭上でのフィット及び着用者の首の後ろの快適さを更に向上させることができる。与えられた湾曲は、約８〜２０センチメートル（ｃｍ）の半径を有し得る。

クレードル１６は、様々な材料、典型的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、及びＡＢＳ（アクリロニトリルスチレンブタジエン）などのプラスチックから作製されることができる。ストラップも、織布又は編まれたポリエステル、ナイロン、又は綿繊維（若しくはそのブレンド）、及び天然ゴム／ポリイソプレン／ウレタン／ネオプレンゴムのストランドなどの様々な材料から作製されることができる。典型的に、ストラップは、第１及び第２の主表面を有する平らな形状をとる。ストラップは通常、約１〜２センチメートル（ｃｍ）の幅であり、最大６０ｃｍの長さであり得る。ストラップは、着用されたときにマスク本体が着用者の顔に強い圧力を及ぼすことができるように弾性材で作製され得る。ラッチは、図示されているアンダーカットボタン以外の形態をとってもよい。例えば、ラッチは、クレードルの各側に配置された１つ以上のスナップボタンの形態であってもよく、着用者がヘッドクレードルを折り畳みたいときには、各側のボタンを外すだけである。更に、小さい突起部が後部の横方向に延びる部材に成型されて、部材を適所に保持する小さな引っ掛かりとして作用することによって前部の横方向に延びる部材を開位置に保持するのを助けることができる。更に別の実施形態では、バネ式ボールベアリングを使用して、横方向に延びる部材を互いに対して適所に保持することができる。バネ式ボールベアリングは、他方の部材の凹部に係合する。あるいは、別個のバネ式ボールベアリングを使用する代わりに、似たような作用を作り出す機構を備えたプラスチック部品を成型することができる。その機構は、弾性的に変形して、バネ式ボールベアリングと同じ作用を作り出す。更に、フックアンドループ式締結具、又は変形し、横方向に延びる部材の縁部周辺に引っ掛かるよう曲がるタブも、本発明で使用することができる。

図示されるハーネスと似たハーネスが、２つの一体バックルを有するクレードルから作製された。着用者の首の後ろで共に繋がることができる２つの弾性ストラップが２つのバックルに結合された。次いで、ハーネスは、レスピレーターのマスク本体に取り付けられた。クレードルは、２つの別個の射出成形部品から作製されて、それらを着用者の頭部に容易に適合される形状に形成した。１つの部材は、製造しやすいように、また縦の寸法に垂直な軸周囲での適合できるように平らに成型された。適合性により、部材は湾曲形状に変形して、着用者の頭部への適合を向上させた。もう一方の構成部品は、約１２ｃｍの半径を有する湾曲に成型したが、これは製造のしやすさと頭部への適合との優れた組み合わせを提供した。クレードルは更に、横方向に延びる２つの部材間の相対的動きを可能にするピボットボタンを含んでいた。この相対的動きにより、部材は収納位置へと折り畳むことができた。使用中は、第１の部材は、これをアンダーカットボタンの下面の突起部にはめ込むことによって第２の部材に維持され、このように頭上のクレードルの形状を形成した。次いで、クレードルは、第１の部材の突起部に係合する第２の部材上のビードによってこの係止した開位置を維持したユーザがクレードルを頭の上に載せると、この開いた使用のための形状を維持した。ユーザが収納のためにマスクを首の周りに掛けたいときは、第２の部材を第１の部材のアンダーカットボタンから外した。次いで、第２の部材は、クレードルを折り畳むように第１の部材に向かって回転された。クレードルは、ポリプロピレン熱可塑性物質から作製された。プラスチックは、意図する使用のために偏向しすぎないよう十分な強度を有していたが、なお可撓性があり頑丈であった。

本発明には、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変更を行うことができる。したがって本発明は上記の記載によって限定されるものではないが、以下の「特許請求の範囲」及びそのあらゆる均等物において記載される限定条件によって規制されるものである。

更に本発明は、ここに具体的に開示されていない要素がなくとも適切に実施可能であり得る。

上記に引用したすべての特許及び特許出願は、「背景技術」の項目において記載されるものを含め、その全容にわたって本文書に援用するものである。そのような組み込まれる文献の開示と上記明細書との間に不一致又は矛盾がある限りにおいては、上記明細書が優先する。

Claims (3)

1. レスピレーターであって、
   （ａ）マスク本体と、
   （ｂ）ハーネスと、を含み、
   前記ハーネスは、
   （ｉ）１つ以上のストラップと、
   （ｉｉ）ヘッドクレードルと、を含み、
   前記ヘッドクレードルは、前記１つ以上のストラップに結合され、第１及び第２の横方向に延びる部材並びにラッチを含み、
   前記第１及び第２の横方向に延びる部材は、前記ハーネスが着用者の頭に置かれると共に前記ラッチが係合されたときに、前記着用者の頭上に載り、
   前記係合されたラッチは、当該レスピレーターが使用されているときに、前記第１及び第２の横方向に延びる部材を相隔たる第１の開位置に固定して、横方向に延びる部材のそれぞれを前記着用者の頭上に配置できるようにすることができ、
   解放されたラッチは、顔から離して収納できるように、前記第１及び第２の横方向に延びる部材が第２の折り畳み位置に移動することを許容し、
   前記第１の横方向に延びる部材は、当該レスピレーターが使用されているときに、前記第２の横方向に延びる部材よりも着用者の背面に近く、
   前記第２の横方向に延びる部材は、当該レスピレーターが使用されているときに、前記ヘッドクレードルを折り畳むように前記第１の横方向に延びる部材に向かって回転可能である、レスピレーター。
2. 前記横方向に延びる部材が、互いに対して或る点を中心に回転することができる、請求項１に記載のレスピレーター。
3. 前記ラッチが、テーパー表面を含むアンダーカットボタンを含む、請求項１に記載のレスピレーター。

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