JP6323924B2 - 人工呼吸器装着用の固定具 - Google Patents
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Description
上記非侵襲的陽圧換気用マスクの種類としては、図7(a)(b)(c)に示すように、ネーザルマスクS1、フルフェイスマスS2、トータルフェイスマスクS3などがある。これらの人工呼吸器装着用の固定具(ヘッドギヤ)としては、額から頭部にかけて周方向に固定する額側固定用バンド(上方側バンド)と、口元から首部にかけて周方向に固定する口元側固定用バンド(下方側バンド)を備えるものが多い。一本の固定用バンドが使用される場合もあるが、圧/酸素ポートとの連結、人工呼吸器との連結の確実性を担保するために、より安定で正確な位置においてずれを生じ難くする上下の二本タイプが主流である。
また、特許文献2には、「呼吸可能なガスを患者に届ける人工呼吸器アセンブリであって、本体と前記本体の各側方に設けられているサイドフレーム部材とを有するフレームであって、各サイドフレーム部材は第一のコネクタ部を有しているフレームと、前記フレームの前記本体に取り外し可能に取り付けることができるクッションと、ストラップを備える、前記フレームに取り外し可能に取り付け可能であるヘッドギアアセンブリであって、前記ヘッドギアアセンブリは、前記フレーム上に設けられた前記第一のコネクタ部と取り外し可能に連結されるように適合され、前記フレームに設けられた歯部と係合して、前記クッションに対する所定の複数の回転位置において、前記ヘッドギアアセンブリの回転を固定するために設けられる少なくとも1つの固定凹部を備える、前記ストラップに設けられた第二のコネクタ部を有す、ヘッドギアアセンブリとを備えており、前記クッションは、前記クッションと前記フレームとが係合するときに前記フレームが提供する第二の係合面に係合する第一の係合面を有する側壁を有しており、前記第一の係合面および前記第二の係合面は、前記クッションを前記フレームに取り外し可能に取り付けるように係合し、前記ヘッドギアアセンブリは前記クッションに対して回転調節可能であることを特徴とするアセンブリ。」(その請求項1)が開示されている。
しかしながら、特許文献3では、組立て立体型マスクずれ防止具のゴム紐止めクリップに、既存人工呼吸用マスクの余りゴム紐を、引っかけて挟み込むもので、患者の顔の移動に対しては全体的に位置ずれが生じやすいものである。また、特許文献1や2では、額から頭部にかけて周方向に固定する額側固定用バンドと、口元から首部にかけて周方向に固定する口元側固定用バンドを備えるが、これらのみでは、人工呼吸器が周囲方向にずれて移動するおそれがある。また、人工呼吸器を患者の顔の正面の口から鼻の位置にかけて正確に、かつ、迅速に装着させなければならない。
また、従来の人工呼吸器装着用の固定具(ヘッドギヤ)では、伸縮性の部材で構成されてはいるが、大人が装着することを想定しており、これを子供に使用しようとすると、大きさの相違が著しいことから、子供の場合には伸縮性が有効に機能しなくなる問題を有する。この点、特許文献1では、柔軟でフレキシブルな素材から構成されているとされているが、実際には、複数の布地を重ね合わせたもので、革製品のような伸縮性しか得られないものであるとともに、通気性に欠ける問題を有していた。また、特許文献1では、柔軟でフレキシブルな素材から構成されているが、面ファスナーがその素材のすべての箇所で接着するので、いたるところで接着し合い、人工呼吸器の着脱の際にも予定していない箇所で接着が生じて、着脱の操作の邪魔になる問題を有していた。さらに、人工呼吸器装着用の固定具(ヘッドギヤ)は洗浄して繰り返して使用されるが、洗浄効果に優れているとはいえず、洗浄後の収納・保管する場合も嵩張るなどの問題を有していた。
また本発明の人工呼吸器装着用の固定具は、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドに前記人工呼吸器が顔正面からずれないようにするための滑り止め部材が設けられ、前記滑り止め部材に通気性の孔が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記人工呼吸器が顔正面からずれないようにするための滑り止め部材が備えられているため、人工呼吸器を顔の正面側に確実に固定し、また前記滑り止め部材に多数の孔が形成されているため通気性が確保されるとともに、その多数の孔により伸縮性(上下左右方向の伸縮性)が高められ、装着感が良好で使用者が動いたとしても前記人工呼吸器がずれることなく装着することが可能となる。
ここで、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドの正面中心位置に前記滑り止め部材を頭部(後頭部)から滑らないように設けることが好ましい。
本発明によれば、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドの正面中心位置に前記滑り止め部材26が固定されているため、使用者が動いても前記人工呼吸器がずれにくく、長時間良好に装着することが可能となる。また、本発明によれば、前記滑り止め部材が使用者の皮膚に触れない箇所に備えられているため皮膚が損傷することなく、良好な装着感で使用することが可能となる。
また本発明は、前記固定用バンドが多数の孔が形成されたメッシュ生地の伸縮性生地からなる帯状部材で構成されるか、及び/又は、ストレッチ率が100〜300%の伸縮性生地からなる帯状部材で構成されたことを特徴とする。
ここで、ストレッチ率とは、JIS L1096に記載されている0.5kg荷重時の伸長率(定荷重方法)を意味する。ここでは、加重をかけないときを100%とする。
本発明によれば、多数の孔が形成されたメッシュ生地の伸縮性生地からなる帯状部材で構成されるか、及び/又は、ストレッチ率が100〜300%の伸縮性生地からなる帯状部材により、抜群の伸縮性能を持って人工呼吸器を着脱できるようになる。すなわち、多数の孔が形成されたメッシュ生地では通気性が確保されるが、多数の孔が伸張性にも影響を与える。これと同じように、ストレッチ率が100〜300%の伸縮性生地の伸縮性は格段に良くなり、人工呼吸器の装着に優れる。
本発明によれば、これら各連結用バンドが多数の孔が形成されたメッシュ生地の伸縮性生地からなる帯状部材で構成されるか、及び/又は、ストレッチ率が100〜300%の伸縮性生地からなる帯状部材で構成されていることを特徴とする。すなわち、上記各連結用バンドとの組み合わせにより、縦横のみならず斜め方向に伸縮性を発揮して、帽子のように一度に被って顔の正面に人工呼吸器を配置して、除去するときも一度に除去するような組み立てが可能になる。
本発明によれば、前記面ファスナーを介して着脱する箇所が決まっており、それ以外の箇所では着脱しないので、従来のように取り付け動作の途中で他の予定していない箇所での接着が生じることがなく操作しやすいものとなる。メッシュ生地は、多数の孔の箇所では、面ファスナーが接着し難く作用させることができる。
また、額側固定用バンドと口元側固定用バンドは、分離可能に構成されることで、これら面ファスナー等の連結手段材を介して連結させることで、例えば大人と子供が使用する場合のようにその大きさが大きく異なる場合でも、長さ調整が容易でかつ正確に顔の正面に位置ずれなく装着することが可能である。
また本発明は、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドとは、これらをその一方側で連結する前記連結用バンドにより、面ファスナー等の連結手段を介してのみ着脱するものであり、その他方側は予め縫合等で連結されていることを特徴とする。
本発明によれば、片側のみ連結用バンドで連結させるので、連結バンドの両側を接続させる場合と比較して操作が行ないやすい。
本発明によれば、前記周方向に配される額側固定用バンドを頭部側において連結する頭部側連結用バンドを有するので、人工呼吸器が頭部側にずれるような心配はなくなる。また、予め周方向に配される額側固定用バンドを頭部側において連結する頭部側連結用バンドを連結させておくことで、帽子を被せるようにした着脱が可能である。また、顔の左右の側方側において額側固定用バンドと口元側固定用バンドとを連結する左右側連結用バンドを備えるので、人工呼吸器を顔の正面側において位置ずれを生じ難くすることとなる。
後述する実施例2,実施例3,実施例4の実験から、無呼吸症候群の患者に対して本発明の人工呼吸器装着用の固定具を使用すると、従来の人工呼吸器装着用の固定具と比較して、ストレッチ性が非常に優れているためマスクが適度に顔に密着し、ずれ難く、その結果マスクからの空気の漏れ(リーク量)が少なくなり、無呼吸や低呼吸の回数(AHI,AI)が少なくなるという結果を得た。本発明の人工呼吸器装着用の固定具は、無呼吸症候群の患者の治療に最適である。
さらに本発明の人工呼吸器装着用の固定具によれば、前記人工呼吸器が顔正面からずれないようにするための滑り止め部材が備えられているため、人工呼吸器を顔の正面側に確実に固定し、また前記滑り止め部材に多数の孔が形成されているため通気性が確保されるとともに、その多数の孔により伸縮性(上下左右方向の伸縮性)が高められ、装着感が良好で使用者が動いたとしても前記人工呼吸器がずれることなく装着することが可能となる。
また、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドの正面中心位置に前記滑り止め部材を頭部(後頭部)から滑らないように設けられているため、使用者が動いても前記人工呼吸器がずれにくく、長時間良好に装着することが可能となるうえ、前記滑り止め部材が使用者の皮膚に触れない箇所に備えられているため皮膚が損傷することなく、良好な装着感で使用することが可能となる。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具1を例示する斜視図である。図2は、上記第1の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具の展開図である。
本実施形態の人工呼吸器装着用の固定具1は、額から頭部にかけて周方向に固定する上方側バンド(額側固定用バンド)と、口元から首部にかけて周方向に固定する下方側(口元側固定用バンド)を備える。これら固定用バンド2,3は、多数の孔1aが形成されたメッシュ生地であり、所定幅の申請の高い織物が使用され、この多数の孔1aによりストレッチ性並びに伸縮性が高められている。固定用バンド2,3としては、伸縮性細幅編み物(ゴム入りの細幅編み物)や、天然ゴム、伸縮性帯状プラスチック、シリコンゴム等を使用する可能である。また、固定用バンドの先端折り曲げ部7a,7bは、折り返し長さ調整用バンドとされている。着脱は、面ファスナーを使用している。折り返し長さ調整用バンド連結用ホルダーSbを介して長さ調節して固定する。中央金具を固定する左右の折り返し部が左右に設けられている。符号3aは、圧/酸素ポートとの連結部であり、符号Seは、人工呼吸器との連結部のエルボーと呼ばれる部材である。ネーザルマスクS1、 フルフェイスマスS2、トータルフェイスマスクS3がある。これら医療用の人工呼吸マスクの固定具(ヘッドギヤ)としては、額から頭部にかけて周方向に固定する額側固定用バンド(上方側バンド)と、口元から首部にかけて周方向に固定する口元側固定用バンド(下方側バンド)を備えるものが多い(図7(a)(b)(c))。一本の固定用バンドが使用される場合もあるが、圧/酸素ポートとの連結、人工呼吸器との連結の確実性を担保するために、より安定で正確な位置においてずれを生じ難くする上下の二本タイプが主流である。
頭部側連結用バンド6は、人工呼吸器S1を帽子を被るように操作することを目的として、本実施の形態では、1本であるが、複数本配置したり、幅の広いものを使用しても良い。
左右の側方側連結用バンド4は、顔の左右における耳よりも顔の正面側の側面に位置にするように配置されるものである。したがって、これらの固定用バンド4,4と、前記額側固定用バンド2と口元側固定用バンド3とを合わせると、人工呼吸器S1の大きさ程度に四角形に囲むようになり(顔の正面側のみを狭い四角形に囲むようになる)、人工呼吸器S1を顔の正面側に位置ずれしないように固定することができる。
上記構成の本実施の形態では、装着するときは、帽子を被るように一度に患者に装着でき、取り外すときも、一度に外すことができる。
また、前記額側固定用バンド2と口元側固定用バンド3を連結する連結用バンド4,5,6により、面ファスナー8a,8b,9a,9b等の連結手段を介してのみ着脱する構成になっている。このため、片側のみ連結用バンド4,5,6で連結させるので、連結バンド4,5,6の両側を接続させる場合と比較して操作が行ないやすい(図2、図5)。なお、連結バンド4,5,6の両側を接続させることは実施に応じ可能である。
図6(a)(b)は、本発明を適用した第2の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具11を例示する図である。本実施の形態では、前記口元側固定用バンド3を顎部を覆うように連結する顎部側連結用バンド10を更に備えている。符号10aは、面ファスナーによる固定用バンド3との連結箇所を示す。上記顎部側連結用バンド10を加えると、全体形状は半球状のスキー帽子のような形状になり、着脱操作が行い易くなる。
本実施の形態によれば、患者によっては、人工呼吸器(マスク)S1が上のほうにずれて外れるおそれがあることから(特に就寝中)、この上のほうに向かってずれる事態を防止することができる。
図10は本発明を適用した第3の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具を示す背面図であり、図11は上記第3の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具を示す正面図である。
第1の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具1は、前記側方側連結用バンド4と頭部後方側連結用バンド5と頭部側連結用バンド6を備えており、第2の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具11は、上述の連結用バンド4,5,6に加えて更に顎部側連結用バンド10を備えていた。第3の実施形態の人工呼吸器装着用の固定具21は、構成を簡素化して一対の頭部後方側連結用バンド25と、額側固定用バンド2と口元側固定用バンド3の正面中央(頭部後方が接触する箇所)に滑り止め部材26を備えたものである。その他の構成は第1、第2の実施形態と同様であるため、共通する構造については同一の符号を用いて重複する説明は省略する。
前記額側固定用バンド2は、額から頭部上後方にかけて周方向に巻いて固定するものであり、頭部上後方に巻いた状態で前記人工呼吸器Sを固定する。
前記口元側固定用バンド3は、口元から頭部下後方にかけて周方向に巻いて固定するものであり、頭部下後方に巻いた状態で前記人工呼吸器Sを固定する。
前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3の正面中央位置には滑り止め部材26が、紙面上左右端部には先端折り曲げ部27a,27bが固定されている。
前記滑り止め部材26は、前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3が頭部から滑って前記人工呼吸器Sが顔正面からずれないようにするためのものであり、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂等の滑らず、かつ使用者にとって装着感が良好な素材で形成されており、また多数の孔1aが形成され、通気性が確保されている。そして、前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3の多数の孔(メッシュ生地)1aと連続して通気性が確保されている。
また前記滑り止め部材26は後頭部後方に接触すると頭髪があるため装着感が良好であるが、使用者の頭部側面の皮膚に前記滑り止め部材26が接触すると皮膚と滑り止め部材26の間で摩擦が生じ皮膚が損傷する可能性があるため、前記滑り止め部材26の固定位置は皮膚と接触しない前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3の正面中央位置に固定する。
前記先端折り曲げ部27a,27bは、前記人工呼吸器Sの上下左右端に設けられる固定具取付部材に固定するもので、面ファスナー等の着脱可能な部材で構成され、前記先端折り曲げ部27aがフック状の部材で、前記先端折り曲げ部27bがループ状の部材となっている。前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3紙面上左右端部から前記先端折り曲げ部27b、前記先端折り曲げ部27aの順に固定されており、前記人工呼吸器Sの前記固定具取付部材に前記先端折り曲げ部27aを通して背面側に折り返し、折り返した前記先端折り曲げ部27aを前記先端折り曲げ部27bに押し当てると接着する。前記先端折り曲げ部27aの折り返し位置を調整することで、前記人工呼吸器装着用の固定具21を人工呼吸器Sに装着した場合の長さを変更することができ、使用者の頭部の大きさによって調整することが可能である。
前記先端折り曲げ部27bは、上述のように使用者の頭部の大きさによって調整することを想定して長尺に形成され、前記額側固定用バンド2,前記口元側固定用バンド3の両端部と前記先端折り曲げ部27bが重ね合った状態で固定される。
前記一対の頭部後方側連結用バンド25は、前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3の中央付近に略垂直に間隔を空けて固定され、前記額側固定用バンド2から前記口元側固定用バンド3へ掛け渡すように配置される。上述のように掛け渡された前記一対の頭部後方側連結用バンド25は前記人工呼吸器Sを装着した場合に、前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3が頭部後方でずれないように固定し、また前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3とともに前記人工呼吸器Sを顔正面に固定する。
前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3と前記一対の頭部後方側連結用バンド25は、多数の孔1aが形成されたメッシュ生地であり、この多数の孔1aによりストレッチ性並びに伸縮性が高められ、伸縮性細幅織編み物(ゴム入りの細幅織編み物)や、天然ゴム、伸縮性帯状プラスチック、シリコンゴム等を使用することが可能である。そのメッシュ生地を介して通気性が確保されるとともに、その多数の孔1aにより一層の伸縮性(上下左右方向の伸縮性)が確保されている。そして、前記滑り止め部材26の多数の孔1aと連続して通気性が確保されている。
前記先端折り曲げ部27aと前記先端折り曲げ部27bとの接合方法、前記先端折り曲げ部27bと前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3の接合方法、前記一対の頭部後方側連結用バンド25と前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3の接合方法、そして前記滑り止め部材26と前記額側固定用バンド2と口元側固定用バンド3の接合方法は、熱圧着、縫製、または貼り合わせ等適宜選択可能である。
また、前記一対の頭部後方側連結用バンド25と前記額側固定用バンド2と口元側固定用バンド3は面ファスナー等の着脱手段で着脱可能に固定されていてもよい。着脱可能に固定されていれば、前記一対の頭部後方側連結用バンド25を前記額側固定用バンド2,前記口元側固定用バンド3から取り外すことで、前記人工呼吸器Sの取り付け取り外しをさらに簡単に行なうことが可能となる。
上記構成の本実施の形態では、装着する際に帽子を被るように一度に患者に装着でき、取り外す際にも、一度に取り外すことが可能となる。
また、前記一対の頭部後方側連結用バンド25と前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3が多数の孔1aが形成されたメッシュ生地で形成されており、前記滑り止め部材26にも多数の孔1aが形成されているため通気性が確保されるとともに、その多数の孔1aにより伸縮性(上下左右方向の伸縮性)が高められ、装着感が良好で使用者が動いたとしても前記人工呼吸器Sがずれることなく装着することが可能となる。
そして、前記額側固定用バンド2と前記口元側固定用バンド3の正面中心位置に前記滑り止め部材26が固定されているため、前記人工呼吸器Sがずれることなく、長時間良好に装着することが可能となる。
さらに、前記人工呼吸器装着用の固定具21を構成する部材が少ないため安価で製造することが可能となる。
実施例1では人工呼吸器装着用の固定具A,B,Cを作成して装着感等の実験を行なった。
固定具Aは、固定用バンド2,3は、その長さ(先端折り曲げ部7a,7b,27a,27bを除く)が320mmで、その幅が50〜65mmであり、左右の側方側連結用バンド4は、その長さが(連結部8a,8bを含む)が140mmで、その幅が25mmであり、又、東部側連結用バンド6は、その長さが(連結部8a,8bを含む)が130mmで、その幅が25mmである。そして、ストレッチ率が140〜180%の伸縮性生地からなる帯状部材で構成されている。ここで、ストレッチ率とは、JIS L1096に記載されている0.5kg荷重時の伸長率(定荷重方法)を意味する。
そして、メッシュ生地の固定具Aと固定具Bでは、メッシュ生地ではない固定具Cと比較して、縦方向と横方向のみならず、斜めなどの方向にも伸縮性を発揮して、全体が柔軟性を発揮して、装着感と着脱操作において良好になることが分かった。これは、固定具Aと固定具Bの各々多数の孔1aがその生地に対して伸縮力を発揮させるが、前記額側固定用バンドと口元側固定用バンド2,3を横方向にして連結用バンド4,5,6を縦方向にして連結されて組み立てると、多数の孔1aを介して斜め方向にも伸縮力を発揮することが分かった。例えると、ウール製の帽子(冬用の帽子)のように全体に伸縮力を発揮することによると考えられる。
実施例2では、従来の人工呼吸器装着用の固定具と本発明の人工呼吸器装着用の固定具を使用して、保持力の比較実験を行った。
図15は従来の人工呼吸器装着用の固定具D(人工呼吸器用ヘッドギア(RESMED製))を示す写真であり、図16は本発明の人工呼吸器装着用の固定具Eを示す写真である。
従来の人工呼吸器装着用の固定具として、人工呼吸器用ヘッドギア(RESMED製)(人工呼吸器装着用の固定具D)(図15)を使用した。
本発明の人工呼吸器装着用の固定具として本発明の第3の実施形態で説明を行った人工呼吸器装着用の固定具E(図16)を使用した。人工呼吸器装着用の固定具Eの全長L1は約63.0cm、前記人工呼吸器装着用の固定具Eの幅L5は約13.5cm、前記額側固定用バンド2,前記口元側固定用バンド3の長さL2は約35.0cm、前記額側固定用バンド2,前記口元側固定用バンド3の幅L6は約4.0cm、前記前記滑り止め部材26の長さL3は約11.0cm、前記頭部後方側連結用バンド25の幅L4は約3.5cm、前記先端折り曲げ部27a,27bの幅L7は約2.0cmである。
前記人工呼吸器装着用の固定具D,Eを取り付けるマスクMとして、フルフェイスマスク(RESMED製)、ネーザルマスク(RESMED製)を使用した。
前記人工呼吸器装着用の固定具D,Eを取り付けたマスクを装着する擬似頭部Hとして、頭囲55cm、顔の長さ20cm、材質が発泡スチロール製であるマネキンヘッドを使用した。
図17は、実施例2の実験において装着初期圧力を計測する際の糸の装着箇所を示す模式図であり、図18は実施例2の実験において装着初期圧力を計測する際の引張力の方向を示す模式図である。図19は実施例2の実験においてマスク保持力を計測する際の引張力の方向、バネ秤の装着箇所を示す模式図である。
保持力の実験では、以下(1)〜(3)の計測を行った。
マスクMに人工呼吸器装着用の固定具D,Eを取り付け、擬似頭部HにマスクMと人工呼吸器装着用の固定具D,Eを装着した状態で装着初期圧力、マスク保持力、最大伸びをバネ秤で計測した。また、マスクMの種類としてフルフェイスマスク、ネーザルマスクそれぞれに対して計測を行った。
(1)装着初期圧力:マスクMと人工呼吸器装着用の固定具Dとの取り付け箇所(Pd1,Pd2,Pd3,Pd4)の4箇所にそれぞれ糸の一端を取り付け、糸の他端はマスクFの正面中心周辺箇所に集めて結合する。同様に、マスクMと人工呼吸器装着用の固定具Eとの装着箇所(Pe1,Pe2,Pe3,Pe4)の4箇所にそれぞれ糸の一端を取り付け、糸の他端はマスクMの正面中心周辺箇所に集めて結合する(図17)。前記糸を結合した箇所にバネ秤を取り付けて、F1方向(図18)にひっぱり、マスクMが顔から離れる瞬間の引張力を人工呼吸器装着用の固定具D,Eそれぞれバネ秤で測定する。
(2)マスク保持力:人工呼吸器装着用の固定具D,EのPd5,Pe5の2箇所に、それぞれバネ秤を取り付け、F2、F3方向にひっぱり、マスクMがずれた瞬間の平均引張力(kg)、最小引張力(kg)、最大引張力(kg)をそれぞれバネ秤で測定する(図19)。
(3)最大伸び:マスクMと人工呼吸器装着用の固定具Dとの取り付け箇所(Pd1,Pd2,Pd3,Pd4)の4箇所にそれぞれ糸の一端を取り付け、糸の他端はマスクFの正面中心周辺箇所に集めて結合する。同様に、マスクMと人工呼吸器装着用の固定具Eとの装着箇所(Pe1,Pe2,Pe3,Pe4)の4箇所にそれぞれ糸の一端を取り付け、糸の他端はマスクMの正面中心周辺箇所に集めて結合する(図17)。前記糸を結合した箇所にバネ秤を取り付けて、F1方向(図18)に4.5kgの力で引張った場合にマスクMが顔から離れる。マスクMが顔から離れた場合に、顔の中心とマスクMの中心の間隔(伸び長さ)を計測する。
上記(1)〜(3)の保持力の実験結果を下記表1、表2に示す。表1はネーザルマスク使用時の保持力の実験結果であり、表2はフルフェイスマスク使用時の保持力の実験結果である。
実施例3では、睡眠時無呼吸症候群の患者が従来の人工呼吸器装着用の固定具と本発明の人工呼吸器装着用の固定具を実際に装着し数日間使用することで、装着感、リーク量を確認した。
従来の人工呼吸器装着用の固定具と本発明の人工呼吸器装着用の固定具は、実施例2と同様のものを使用した。
睡眠時無呼吸症候群の患者に対して従来の人工呼吸器装着用の固定具(使用期間:2015年2月22日〜2015年3月19日)、本発明の人工呼吸器装着用の固定具(使用期間:2015年3月20日〜2015年4月3日)を治療の際に使用し、装着感の違いを聞き取り調査し、リーク量の計測を行った。
図20は、実施例3の実験において睡眠時無呼吸症候群の患者のリーク量を表すグラフであり、横軸が日付で縦軸がリーク量(L/min)である。
図20のP1の時点で従来の人工呼吸器装着用の固定具から本発明の人工呼吸器装着用の固定具に交換して治療を行ったが、従来の人工呼吸器装着用の固定具を使用している期間(使用期間:2015年2月22日〜2015年3月19日)のリーク量に比べて、本発明の人工呼吸器装着用の固定具(使用期間:2015年3月20日〜2015年4月3日)を使用している期間のリーク量が減少していることがわかる。
また装着感を聞き取り調査した結果、従来の人工呼吸器装着用の固定具と比較して本発明の人工呼吸器装着用の固定具は、固定具に弾力があり、マスクに取り付けられた装着パッドがより顔にフィットして密着感があるように感じた。また従来の人工呼吸器装着用の固定具では、朝起きると顔面に固定具の装着痕が残ることが多かったが、本発明の人工呼吸器装着用の固定具では痕が残ることはほとんどなく、装着感が良かった等の感想であった。
実施例4では、睡眠時無呼吸症候群の患者に対して従来の人工呼吸器装着用の固定具と本発明の人工呼吸器装着用の固定具を実際に装着し数日間使用することで、AHI(無呼吸・低呼吸指数)、AI(無呼吸指数)の変化を計測した。
ここでAHI(無呼吸・低呼吸指数)とは睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数であり、AI(無呼吸指数)とは睡眠1時間あたりの無呼吸の回数を表すものとする。
従来の人工呼吸器装着用の固定具と本発明の人工呼吸器装着用の固定具は、実施例2と同様のものを使用した。
睡眠時無呼吸症候群の患者に対して従来の人工呼吸器装着用の固定具(使用期間:2015年3月13日〜2015年4月8日)、本発明の人工呼吸器装着用の固定具(使用期間:2015年4月9日〜2015年4月21日)を治療の際に使用し、AHI(無呼吸・低呼吸指数)、AI(無呼吸指数)の変化を計測した。
図21は実施例4の実験において睡眠時無呼吸症候群の患者のAHIとAIを表すグラフであり、横軸が日付で縦軸がAHI&AI(回数/時間)であり、図22は実施例4の実験において睡眠時無呼吸症候群の患者の使用時間を表すグラフであり、横軸が日付で縦軸が使用時間である。
図21,図22のP2(2015年4月9日)の時点で、従来の人工呼吸器装着用の固定具から本発明の人工呼吸器装着用の固定具に交換して治療を行ったが、図21のグラフから従来の人工呼吸器装着用の固定具を使用している期間のAHI,AIに比べて、本発明の人工呼吸器装着用の固定具を使用している期間のAHI,AIの値が小さくなる。上述の結果から、本発明の人工呼吸器装着用の固定具を使用すると、従来の人工呼吸器装着用の固定具と比較して、ストレッチ性が非常に優れているためマスクが適度に顔に密着し、ずれ難く、無呼吸や低呼吸の回数(AHI,AI)が少なくなると考えられる。
1a メッシュ生地の多数の孔、
2 額側固定用バンド(上方側固定用バンド)、
3 口元側固定用バンド(下方側固定用バンド)
4 側方側連結用バンド(連結用バンド)、
5,25 頭部後方側連結用バンド(連結用バンド)、
6 頭部側連結用バンド(連結用バンド)、
8a,8b,9a,9b 連結手段(面ファスナー)、
10 顎部側連結用バンド(連結用バンド)、
26 滑り止め部材、
S,S1,S2,S3 人工呼吸器
Claims (12)
- 人工呼吸器を顔の正面側に伸縮性細幅編み物で形成された固定用バンドを使用して着脱する人工呼吸器装着用の固定具であり、前記固定用バンドは、額から頭部にかけて周方向に固定する額側固定用バンドと、口元から首部にかけて周方向に固定する口元側固定用バンドと、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドが頭部でずれないように固定するための頭部後方側連結用バンドおよび/または側方側連結用バンドを備え、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドの中央位置には通気性の孔が形成された滑り止め部材が固定されていることを特徴とする人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記頭部後方側連結用バンドは、前記口元側固定用バンドの中央付近に略垂直に固定されかつ前記額側固定用バンドから前記口元側固定用バンドへ掛け渡すように配置されたことを特徴とする請求項1記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記固定用バンドは、多数の孔が形成されたメッシュ生地で、ストレッチ率が140〜180%の伸縮性生地からなる帯状部材で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記固定用バンドはさらに、前記口元側固定用バンドを顎部を覆うように連結する顎部側連結用バンドを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記固定用バンドはさらに、前記額側固定用バンドを頭部を覆うように連結する頭部側連結用バンドを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記固定用バンドには多数の孔が形成され、前記孔の形状は前記固定用バンドの長手方向に沿った形状をしていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記孔の形状は前記固定用バンドの長手方向に沿う楕円形状または星型形状であることを特徴とする請求項6記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記孔の形状は前記固定用バンドの長手方向に沿う長方形状または菱形形状であることを特徴とする請求項6記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記伸縮性細幅編み物は、ゴム入りの細幅編み物であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記滑り止め部材は、ポリ塩化ビニルで形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドとは、前記頭部後方側連結用バンドおよび/または前記側方側連結用バンドを介して連結手段を使用して着脱するものであることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の人工呼吸器装着用の固定具。
- 前記人工呼吸器装着用の固定具は、睡眠時無呼吸症候群の患者の治療に使用されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の人工呼吸器装着用の固定具。
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