JP5752028B2 - 改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、並びにポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法及びこれにより得られるポリプロピレン系樹脂成形体 - Google Patents

改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、並びにポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法及びこれにより得られるポリプロピレン系樹脂成形体 Download PDF

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本発明は、無機系充填剤を使用せずに機械的強度及び剛性が向上されたポリプロピレン系樹脂成形体を提供することが可能な改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、並びに無機系充填剤を使用せずに機械的強度及び剛性が向上されたポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法及び上記方法により得られるポリプロピレン系樹脂成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、低比重で成形性に優れていることから、自動車部品や家電部品用など様々な分野において成形体として用いられている(特許文献1)。
ポリプロピレン系樹脂を用いてなるポリプロピレン系樹脂成形体は、その機械的強度及び剛性が低いことから、機械的強度及び剛性の双方に優れていることが求められる用途に用いられる成形体として直接用いることができない場合があった。そこで、ポリプロピレン系樹脂にタルク、ガラス繊維、及び炭酸カルシウムなどの無機系充填剤を添加することにより、得られるポリプロピレン系樹脂成形体の機械的強度及び剛性の向上が図られている。
特開2002−194023号公報
しかしながら、無機系充填剤を用いることによりポリプロピレン系樹脂成形体の機械的強度及び剛性を向上させる場合、多量の無機系充填剤が必要となり、ポリプロピレン系樹脂成形体の重量が重くなる問題があった。そのため、無機系充填剤を使用せずにポリプロピレン系樹脂成形体の機械的強度及び剛性を向上させることが望まれている。
したがって、本発明の目的は、無機系充填剤を使用せずに機械的強度及び剛性が向上されたポリプロピレン系樹脂成形体を提供することが可能な改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、並びに無機系充填剤を使用せずに機械的強度及び剛性が向上されたポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法及び上記方法によって製造されてなるポリプロピレン系樹脂成形体に関する。
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂(I)を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、上記第一押出機、上記第二押出機、及び上記第三押出機を共に接続させている共押出ダイから、上記ポリプロピレン系樹脂、上記ポリエステル系樹脂、及び上記ポリエチレン系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムを得、この積層フィルムから改質用樹脂組成物を得る工程と、
ポリプロピレン系樹脂(II)100重量部と、上記改質用樹脂組成物5〜30重量部とを溶融混練する工程とを有することを特徴とする。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、上記第一押出機、上記第二押出機、及び上記第三押出機を共に接続させている共押出ダイから、上記ポリプロピレン系樹脂、上記ポリエステル系樹脂、及び上記ポリエチレン系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムを得、この積層フィルムから改質用樹脂組成物を得る工程と、
ポリプロピレン系樹脂100重量部と、上記改質用樹脂組成物5〜30重量部とを溶融混練することにより溶融状態の改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得、この溶融状態の改質ポリプロピレン系樹脂組成物を金型内に射出して成形する工程とを有することを特徴とする。
さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂(I)を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、上記第一押出機、上記第二押出機、及び上記第三押出機を共に接続させている共押出ダイから、上記ポリプロピレン系樹脂(I)、上記ポリエステル系樹脂、及び上記ポリエチレン系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムから得られる改質用樹脂組成物5〜30重量部と、ポリプロピレン系樹脂(II)100重量部とを溶融混練した後、金型内に射出することにより成形されてなることを特徴とする。
本発明の方法により得られた改質ポリプロピレン系樹脂組成物では、ポリプロピレン系樹脂(I)及び(II)中でポリエステル系樹脂が高度且つ均一に分散されている。したがって、このような改質ポリプロピレン系樹脂組成物によれば、無機系充填剤を使用せずに機械的強度及び剛性が向上されていると共に、軽量であるポリプロピレン系樹脂成形体を提供することができる。
本発明の方法では、先ず、ポリプロピレン系樹脂(I)を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、上記第一押出機、上記第二押出機、及び上記第三押出機を共に接続させている共押出ダイから、上記ポリプロピレン系樹脂、上記ポリエチレン系樹脂、及び上記ポリエステル系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムを作製する。
積層フィルムの作製に用いられるポリプロピレン系樹脂(I)中におけるプロピレン成分の含有量は、50重量%以上が好ましく、65〜99重量%がより好ましく、70〜95重量%が特に好ましい。プロピレン成分の含有量が50重量%未満であるポリプロピレン系樹脂では、得られる成形体の機械的強度及び剛性を充分に向上することができない虞れがある。
ポリプロピレン系樹脂(I)として、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体において、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン以外の成分であって、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、及び1−デセン等が挙げられる。また、プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ブロック共重合体及びランダム共重合体の何れであってもよい。
ポリプロピレン系樹脂(I)としては、プロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、プロピレン−エチレン共重合体がより好ましく、プロピレン−エチレンランダム共重合体が特に好ましい。これらは、ポリエステル系樹脂に対する相溶性に優れており、得られる成形体の機械的強度及び剛性を向上させることができる。
ポリプロピレン系樹脂(I)の重量平均分子量は、20万〜100万が好ましく、30万〜80万がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂(I)の重量平均分子量が小さ過ぎると、得られる成形体の剛性が低下する虞れがある。また、ポリプロピレン系樹脂(I)の重量平均分子量が大き過ぎると、得られる改質ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、改質ポリプロピレン系樹脂組成物の成形性が低下する虞れがある。
なお、本発明において、ポリプロピレン系樹脂(I)の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算として測定された値を意味する。例えば、次の要領で測定することができる。なお、後述するポリプロピレン系樹脂(II)の重量平均分子量の測定も同様にして行うことができる。
ポリプロピレン系樹脂(I)1.5gに、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びオルトジクロロベンゼン(o-DCB)を含む溶液(BHT:o-DCB(重量比)=50:50)1000ミリリットルを添加して得られた混合液を溶解ろ過装置(TOSHO社製 DF-8020)により、混合液の温度を145℃、回転速度25rpmとして、2時間振とうさせて、ポリプロピレン系樹脂(I)を溶解させて測定試料を得る。得られた測定試料に基づいて、ポリプロピレン系樹脂(I)のポリスチレン換算した重量平均分子量をGPC法によって測定することにより得ることができる。
そして、ポリプロピレン系樹脂(I)におけるGPC法による重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSHO社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
ポリプロピレン系樹脂(I)のメルトフローレイト(MFR)は、0.5〜5g/10分が好ましく、1〜3g/10分がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂(I)のメルトフローレイトが小さ過ぎると、ポリプロピレン系樹脂(I)の溶融粘度が低くなり過ぎ、薄く且つ均一な厚みを有するポリプロピレン系樹脂(I)フィルムが得られなくなる虞れがある。また、ポリプロピレン系樹脂(I)のメルトフローレイトが大き過ぎると、ポリプロピレン系樹脂(I)の溶融粘度が高くなり過ぎ、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムを形成できなくなる虞れがある。
なお、本発明において、ポリプロピレン系樹脂(I)及び後述するポリプロピレン系樹脂(II)のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210に準拠して、230℃、荷重21.18Nの条件で測定されたものをいう。
次に、積層フィルムの作製に用いられるポリエチレン系樹脂中におけるエチレン成分の含有量は、50重量%超過が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上が特に好ましい。エチレン成分の含有量が50重量%未満であるポリエチレン系樹脂では、ポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶性を充分に向上できない虞れがある。
ポリエチレン系樹脂として、具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なかでも、ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく挙げられ、直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましく挙げられる。これらによれば、積層フィルムに含まれているポリエステル系樹脂と後述するポリプロピレン系樹脂(II)との相溶性を向上させ、得られるポリプロピレン系樹脂成形体の機械的強度及び剛性を向上させることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.91〜1g/cm3が好ましく、0.92〜0.96g/cm3がより好ましく、0.93〜0.95g/cm3が特に好ましい。なお、本発明において直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、JIS K7112に準拠して測定されたものをいう。
ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量は、2万〜20万が好ましく、3万〜15万がより好ましい。ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量が小さ過ぎると、ポリエチレン系樹脂の溶融粘度が低くなり過ぎ、ポリエチレン系樹脂フィルムを形成できなくなる虞れがある。また、ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量が大き過ぎると、ポリエチレン系樹脂の溶融粘度が高くなり、薄く且つ均一な厚みを有するポリエチレン系樹脂フィルムが得られなくなる虞れがある。
なお、本発明において、ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算として測定された値を意味する。例えば、ポリプロピレン系樹脂(I)の重量平均分子量の上述した測定方法において、ポリプロピレン系樹脂(I)に代えてポリエチレン系樹脂を用いることにより、ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量を測定することができる。
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、0.5〜5g/10分が好ましく、1〜3g/10分がより好ましい。ポリエチレン系樹脂のメルトフローレイトが小さ過ぎると、ポリエチレン系樹脂の溶融粘度が低くなり過ぎ、ポリエチレン系樹脂フィルムを形成できなくなる虞れがある。また、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレイトが大き過ぎると、ポリエチレン系樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎ、薄く且つ均一な厚みを有するポリエチレン系樹脂フィルムが得られなくなる虞れがある。
なお、本発明において、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210に準拠して、190℃、荷重21.18Nの条件で測定されたものをいう。
次に、積層フィルムの作製に用いられるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、及びポリブチレンサクシネートアジペートなどが挙げられる。これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なかでも、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく挙げられる。積層フィルムに用いられているポリエチレン系樹脂によって、ポリプロピレン系樹脂(II)に対するポリエチレンテレフタレートの相溶性を特に向上させることができ、得られるポリプロピレン系樹脂成形体の機械的強度及び剛性を向上させることができる。
ポリエステル系樹脂の極限粘度は、0.8〜1.3が好ましく、0.9〜1.2がより好ましい。ポリエステル系樹脂の極限粘度が低過ぎると、ポリエステル系樹脂の溶融粘度が低くなり過ぎ、ポリエステル系樹脂フィルムを形成できなくなる虞れがある。また、ポリエステル系樹脂の極限粘度が高過ぎると、ポリエステル系樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎ、薄く且つ均一な厚みを有するポリエステル系樹脂フィルムが得られなくなる虞れがある。なお、ポリエステル系樹脂の極限粘度は、JIS K7367−1に準拠して測定された値をいう。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、230〜270℃が好ましく、235〜255℃が好ましい。ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が低過ぎると、後述する改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練する際に、改質用樹脂組成物中に含まれているポリエステル系樹脂がポリプロピレン系樹脂(I)及び(II)中に分散せずに溶融し、得られる成形体の機械的強度や剛性を向上できない虞れがある。また、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が高過ぎると、ポリエステル系樹脂のポリプロピレン系樹脂に対する相溶性を充分に向上させることができず、ポリプロピレン系樹脂中でポリエステル系樹脂を高分散させることができずに得られる成形体の機械的強度や剛性を向上できない虞れがある。なお、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121−1987に準拠して測定された値をいう。
次に、積層フィルムの製造方法について説明する。積層フィルムの製造には、第一押出機、第二押出機、及び第三押出機を同一の共押出ダイに接続させてなる多層押出装置が用いられる。そして、ポリプロピレン系樹脂(I)を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、共押出ダイから、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、上記ポリエステル系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムを得る。
本発明の方法では、上記の通りにして得られた積層フィルムを切断又は溶融混練して改質用樹脂組成物とした上で、後述するポリプロピレン系樹脂(II)とを混合することによって、機械的強度及び剛性が向上されたポリプロピレン系樹脂成形体を提供することが可能な改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。このような効果が得られる理由は、明らかではないが、以下のことが考えられる。
ポリエステル系樹脂は機械的強度及び剛性に優れていることから、このようなポリエステル系樹脂を用いることによって、ポリプロピレン系樹脂成形体の機械的強度及び剛性を向上することが可能である。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は極性が低い樹脂である一方、ポリエステル系樹脂は極性が高い樹脂であるため、ポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶性は低い。そのため、単に、ポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂とを溶融混練した上で成形することにより成形体を作製したとしても、このような成形体中では、ポリプロピレン系樹脂中にポリエステル系樹脂を高度に分散させることができず、ポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂との界面の密着強度が低くなるため、得られる成形体の機械的強度や剛性がかえって低下する。
また、ポリエチレン系樹脂の極性は、ポリプロピレン系樹脂の極性とポリエステル系樹脂の極性との中間程度にあることから、ポリエチレン系樹脂を用いることによって、ポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶性を向上できることが期待できる。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂と、ポリエチレン系樹脂と、ポリエステル系樹脂とを単に溶融混練しただけでは、依然としてポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶性を向上させることができず、機械的強度や剛性が向上された成形体を得ることはできなかった。
そこで、本発明の方法では、初めに、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムを製造する。この積層フィルムの製造工程では、第二押出機内でポリエチレン系樹脂をこれが熱分解や熱劣化しない限界の温度で溶融混練することによって、溶融状態のポリエチレン系樹脂を活性化させた状態とすることができる。このような溶融状態のポリエチレン系樹脂と共に、第一押出機及び第三押出機でそれぞれ溶融混練することにより得られた溶融状態のポリプロピレン系樹脂(I)及びポリエステル系樹脂を共押出し、各樹脂を溶融させた状態で積層させることで、活性化されているポリエチレン系樹脂によって、溶融状態のポリエステル系樹脂と溶融状態のポリプロピレン系樹脂(I)との極性を近い状態にすることができ、溶融状態のポリエステル系樹脂と溶融状態のポリプロピレン系樹脂(I)との相溶性を向上させることができる。そして、溶融状態のポリエステル系樹脂と溶融状態のポリプロピレン系樹脂(I)との相溶性が向上された状態は、溶融状態のそれぞれの樹脂が冷却固化されて積層フィルムの形態となった後にも維持されている。
したがって、このような積層フィルムを切断又は溶融混練して改質用樹脂組成物とした上で、後述するポリプロピレン系樹脂(II)と溶融混練することによって、改質用樹脂組成物中に含まれているポリエステル系樹脂のポリプロピレン系樹脂(I)に対する相溶性は依然として高い状態を維持していることから、ポリプロピレン系樹脂(I)と同種であるポリプロピレン系樹脂(II)に対する上記ポリエステル系樹脂の相溶性も高く、これによりポリプロピレン系樹脂(I)及び(II)が混合されてなるマトリックス中に、ポリエステル系樹脂が細長い島状に高度に且つ均一に分散されている海島構造を有している改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。
そして、このような改質ポリプロピレン系樹脂組成物を成形することによって得られるポリプロピレン系樹脂成形体中においても、上記海島構造を形成することができ、これによりポリプロピレン系樹脂成形体は優れた機械的強度及び剛性を有する。
第一押出機内でポリプロピレン系樹脂(I)を溶融混練する温度は、200〜230℃が好ましく、210〜225℃がより好ましい。第一押出機内におけるポリプロピレン系樹脂(I)の溶融混練温度が低過ぎると、ポリプロピレン系樹脂(I)の溶融粘度が低下して、溶融状態のポリプロピレン系樹脂(I)の押出物が厚くなるため、ポリエチレン系樹脂によってポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶性を向上させることが困難になる虞れがある。また、第一押出機内におけるポリプロピレン系樹脂(I)の溶融混練温度が高過ぎると、ポリプロピレン系樹脂(I)の溶融粘度が高くなり過ぎ、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムを形成できなくなる虞れがある。
第二押出機内でポリエチレン系樹脂を溶融混練する温度は、350〜400℃に限定されるが、350〜380℃がより好ましい。第二押出機内におけるポリエチレン系樹脂の溶融混練温度が低過ぎると、積層フィルムに用いられるポリエステル系樹脂とポリプロピレン系樹脂との相溶性を充分に向上させることができない虞れがある。また、第二押出機内におけるポリエチレン系樹脂の溶融混練温度が高過ぎると、ポリエステル系樹脂が熱分解や熱劣化して溶融状態のポリエチレン系樹脂の活性が低下し、溶融状態のポリエステル系樹脂と溶融状態のポリプロピレン系樹脂(I)との相溶性を充分に向上させることができない虞れがある。
第三押出機内でポリエステル系樹脂を溶融混練する温度は、230〜260℃が好ましく、240〜250℃がより好ましい。第三押出機内におけるポリエステル系樹脂の溶融混練温度が低過ぎると、ポリエステル系樹脂の溶融粘度が低下して、溶融状態のポリエステル系樹脂の押出物が厚くなるため、ポリエチレン系樹脂によってポリプロピレン系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶性を向上させることが困難になる虞れがある。また、第三押出機内におけるポリエステル系樹脂の溶融混練温度が高過ぎると、ポリエステル系樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎ、ポリエステル系樹脂フィルムを形成できなくなる虞れがある。
積層フィルムの厚みは、30〜200μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。
積層フィルム中において、ポリエチレン系樹脂フィルムの厚みE(μm)に対するポリエステル系樹脂フィルムの厚みT(μm)の比(T/E)は、0.5〜3が好ましく、1〜2.5がより好ましい。上記比(T/E)が低過ぎると、過剰なポリエチレン系樹脂が得られる成形体の機械的強度や剛性を低下させる虞れがある。また、上記比(T/E)が高過ぎると、ポリエチレン系樹脂によって、ポリプロピレン系樹脂に対する相溶性が向上されたポリエステル系樹脂を含むポリエステル系樹脂フィルムが得られない虞れがある。
また、積層フィルム中において、ポリエチレン系樹脂フィルムの厚みE(μm)に対するポリプロピレン系樹脂(I)フィルムの厚みP(μm)の比(P/E)は、0.1〜2.5が好ましく、0.5〜2.5がより好ましい。上記比(P/E)が低過ぎると、過剰なポリエチレン系樹脂が得られる成形体の機械的強度や剛性を低下させる虞れがある。また、上記比(P/E)が高過ぎると、ポリエチレン系樹脂によって、ポリプロピレン系樹脂に対する相溶性が向上されたポリエステル系樹脂を含むポリエステル系樹脂フィルムが得られない虞れがある。
なお、本発明において、積層フィルム中の各フィルムの厚みは、積層フィルムの断面を走査電子顕微鏡を用いて10,000倍以上の倍率で撮影し、得られた撮影像から各フィルムにおいてそれぞれ任意の10箇所以上の厚みを測定し、その相加平均値として求めることができる。
次に、本発明の方法では、上述の通りにして得られた積層フィルムを、切断又は溶融混練することにより改質用樹脂組成物とする。
共押出ダイから押出されてなる積層フィルムは、通常は、所定の長さを有しているため、積層フィルムを切断又は溶融混練して好ましくはペレット状の改質用樹脂組成物とすることによって、改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを均一に溶融混練することができる。
改質用樹脂組成物は、積層フィルムを切断又は溶融混練することによって得ることができるが、積層フィルムを溶融混練することによって改質用樹脂組成物を得る方が好ましい。
積層フィルムを溶融混練する温度は、220〜250℃が好ましく、220〜240℃がより好ましい。このような温度で積層フィルムを溶融混練することにより、積層フィルム中に含まれていたポリエステル系樹脂のポリプロピレン系樹脂に対する相溶性が向上された状態を維持したまま改質用樹脂組成物を得ることができる。また、積層フィルムの溶融混練は、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなどの溶融混練機を用いて行えばよい。
積層フィルムを溶融混練することにより改質用樹脂組成物を得る場合、積層フィルムを切断した上で溶融混練することが好ましい。
そして、積層フィルムを溶融混練した後、冷却固化させることにより改質用樹脂組成物を得ることができる。改質用樹脂組成物の形状は、特に制限されないが、ペレット状とすることが好ましい。ペレット状の改質用樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(II)と均一に溶融混練することができる。
次に、本発明の方法では、上述の通りにして得られた改質用樹脂組成物と、ポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練することによって、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得る。
ポリプロピレン系樹脂(II)中におけるプロピレン成分の含有量は、50重量%以上が好ましく、65〜99重量%がより好ましく、70〜95重量%が特に好ましい。プロピレン成分の含有量が50重量%未満であるポリプロピレン系樹脂では、得られる成形体の機械的強度及び剛性を充分に向上することができない虞れがある。
ポリプロピレン系樹脂(II)として、具体的には、上述したポリプロピレン系樹脂(I)と同様のものが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂(II)としては、プロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、プロピレン−エチレン共重合体がより好ましく、プロピレン−エチレングロック共重合体が特に好ましい。これらは、ポリエステル系樹脂に対する相溶性に優れており、得られる成形体の機械的強度及び剛性を向上させることができる。
ポリプロピレン系樹脂(II)の重量平均分子量は、3万〜50万が好ましく、5万〜40万がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂(II)の重量平均分子量が小さ過ぎると、得られる成形体の剛性が低下する虞れがある。また、ポリプロピレン系樹脂(II)の重量平均分子量が大き過ぎると、改質ポリプロピレン系樹脂組成物の成形性を低下させて厚みが薄い成形体を成形できなかったり、得られる成形体の機械的強度が低下する虞れがある。
ポリプロピレン系樹脂(II)のメルトフローレイト(MFR)は、5〜100g/10分が好ましく、8〜70g/10分がより好ましく、10〜30g/10分が特に好ましい。ホモポリプロピレン(A)のメルトフローレイトが大き過ぎると、改質用樹脂組成物と均一に溶融混練することができない虞れがある。また、ポリプロピレン系樹脂(II)のメルトフローレイトが小さ過ぎると、改質ポリプロピレン系樹脂組成物の成形性を低下させて厚みが薄い成形体を成形できなかったり、得られる成形体の機械的強度や剛性が低下したりする虞れがある。
改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練する際、ポリプロピレン系樹脂(II)に対する改質用樹脂組成物の重量比が、少な過ぎると、得られる成形体の衝撃強度及び剛性を充分に向上できない虞れがあり、多過ぎると、ポリプロピレン系樹脂中にポリエステル系樹脂を高分散させることが困難となる虞れがある。
したがって、改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練する際、ポリプロピレン系樹脂(II)100重量部に対する改質用樹脂組成物の重量比は、5〜30重量部に限定され、5〜20重量部が好ましい。
また、改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練する温度は、200〜230℃が好ましく、210〜220℃がより好ましい。改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練する温度が低過ぎると、改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを均一に溶融混練できない虞れがある。また、改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練する温度が高過ぎると、ポリエステル系樹脂がポリプロピレン系樹脂中に溶融し、ポリエステル系樹脂によって得られる成形体の機械的強度や剛性を向上できない虞れがある。
改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)との溶融混練は、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなどの溶融混練機を用いて行えばよい。
改質ポリプロピレン系樹脂組成物の成形方法としては、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、及びプレス成形などの方法が挙げられるが、様々な形状の成形体を容易に製造できることから射出成形が好ましく用いられる。
改質ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形することにより成形体を製造する場合、上述の通りにして、改質用樹脂組成物とポリプロピレン系樹脂(II)とを溶融混練することによって溶融状態の改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を溶融状態のまま金型内に射出することによりポリプロピレン系樹脂成形体を得ることが好ましい。これにより、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた簡易な方法によってポリプロピレン系樹脂成形体を得ることができる。
溶融混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形機の金型のキャビティ内に射出充填した後、冷却、固化させることにより、所定の形状を有するポリプロピレン系樹脂成形体を得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、軽量性を向上させるために、無機系充填剤が含有されていないことが好ましい。このような無機系充填剤としては、例えば、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(カオリン、タルクなど)、ケイ酸(珪藻土、軽質無水ケイ酸、ホワイトカーボンなど)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。本発明のポリプロピレン系樹脂成形体では、このような無機系充填剤を用いなくとも、優れた機械的強度及び剛性を有している。
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、優れた機械的強度及び剛性を有していることが求められる用途に好適に用いられる。このような用途としては、例えば、雨水貯留設備用貯水空間形成部材、自動車用部品、電気製品用部品、電子製品用部品、建築設備部材等が挙げられる。
雨水貯留設備用貯水空間形成部材の一例としては、例えば、特開2011−52400号公報における雨水貯留浸透槽に用いられる樹脂性構造物(図4に示されている樹脂性構造物31)、特開2011−32695号公報における雨水地中浸透施設に用いられる貯水空間形成部材(図4に示されている貯水空間形成部材50)、及び特開2010−185224号公報における雨水流出抑制施設に用いられる貯水空間形成部材(図4に示されている貯水空間形成部材50)などが挙げられる。自動車部品としては、例えば、ドアトリム、サイドモール、フェンダー、オーバーフェンダー、サイドシルガーニッシュ、バンパースカート、スポイラー、マッドガード、インナーパネル、ピラー、インストルメントパネル、及びバンパーなどが挙げられる。また、建築設備部材としては、足場部材、及びコンクリート型枠部材などが挙げられる。
なかでも、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、優れた衝撃強度、曲げ強度及び曲げ弾性率を有していることから、雨水貯留設備用貯水空間形成部材として好ましく用いられる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
1.積層フィルムの作製
第一押出機、第二押出機及び第三押出機を用意し、第一〜三押出機を共に同一の共押出ダイに接続した。
次に、第一押出機に、ポリプロピレン系樹脂(I)(プロピレン成分80重量%含有、重量平均分子量50万、MFR2g/10分、サンアロマー社製 製品名「PL400A」)を供給して、220℃で溶融混練することにより、第一押出機中において溶融状態のポリプロピレン系樹脂を得た。また、第二押出機に、ポリエチレン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.936g/cm3、重量平均分子量10万、MFR3.0g/10分、東ソー社製 製品名「M50」)を供給して、350℃で溶融混練することにより、第二押出機中において溶融状態のポリエチレン系樹脂を得た。そして、第三押出機に、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、極限粘度1.1、ガラス転移温度238℃、ウインテックポリマー社製 製品名「C3030FA」)を供給して、245℃で溶融混練することにより、第三押出機中において溶融状態のポリエステル系樹脂を得た。
そして、第一〜第三押出機において溶融混練した溶融状態の樹脂を全て共押出ダイに供給して共押出し、第一押出機から押出されてなり且つ厚みが20μmであるポリプロピレン系樹脂(PP(I))フィルムと、第二押出機から押出されてなり且つ厚みが20μmであるポリエチレン系樹脂(PE)フィルムと、第三押出機から押出されてなり且つ厚みが20μmであるポリエステル系樹脂(PET)フィルムとが、この順で積層一体化されてなるシート状の積層フィルムを得た。なお、積層フィルムの総厚は60μmであり、積層フィルム中におけるポリプロピレン系樹脂(I)フィルム(PP)と、ポリエチレン系樹脂フィルム(PE)と、ポリエステル系樹脂フィルム(PET)との厚み比(PP:PE:PET)は、1:1:1であった。
2.改質用樹脂組成物の作製
上記で作製した積層フィルムを、破砕した後、押出機に供給して220℃で溶融混練した後に、押出機からストランド状に押し出してペレタイザを用いてペレット状に切断することによって、改質用樹脂組成物を得た。
3.改質ポリプロピレン系樹脂組成物及びポリプロピレン系樹脂成形体の作製
ポリプロピレン系樹脂(II)(エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン成分80重量%含有、重量平均分子量30万、MFR16g/10分、日本ポリプロ社製 製品名「BC2E」)100重量部と、上記で作製した改質用樹脂組成物5.3重量部とを、射出成形機上に設置したホッパーから供給し、射出成形機のシリンダー内で220℃で溶融混練して、溶融状態の改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を溶融させた状態で30℃に設定された金型のキャビティ内に、射出速度50mm/秒、射出圧力100MPa、射出時間3秒で射出充填した後、20秒間冷却して固化させることにより、平面長方形状のポリプロピレン系樹脂成形体(厚み2.5mm、縦200mm×横300mm)を得た。
(実施例2〜5及び比較例2)
積層フィルム中におけるポリプロピレン系樹脂(I)フィルム(P)と、ポリエチレン系樹脂フィルム(E)と、ポリエステル系樹脂フィルム(T)との厚み比(P:E:T)、及び改質ポリプロピレン系樹脂組成物の作製においてポリプロピレン系樹脂(II)と改質用樹脂組成物との混合比を、表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を作製し、これを用いてポリプロピレン系樹脂成形体を得た。
(比較例1)
ポリプロピレン系樹脂(II)(エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン成分80重量%含有、重量平均分子量30万、MFR16g/10分、日本ポリプロ社製 製品名「BC2E」)100重量部を、射出成形機上に設置したホッパーから供給し、射出成形機のシリンダー内で220℃で溶融混練して、溶融状態のポリプロピレン系樹脂を得た。このポリプロピレン系樹脂を溶融させた状態で30℃に設定された金型のキャビティ内に、射出速度50mm/秒、射出圧力100MPa、射出時間3秒で射出充填した後、20秒間冷却して固化させることにより、平面長方形状のポリプロピレン系樹脂成形体(厚み2.5mm、縦200mm×横300mm)を得た。
(比較例3)
押出機に、ポリエチレン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.936g/cm3、重量平均分子量10万、MFR2.6g/10分、東ソー社製 製品名「M50」)を供給して、200℃で溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられたTダイから押出して、シート状のポリエチレン系樹脂フィルムを得た。なお、ポリエチレン系樹脂フィルムの総厚は0.06mmであった。
実施例1における積層フィルムに代えて、上記で得られたポリエチレン系樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂成形体を作製した。
(比較例4)
押出機に、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、極限粘度1.1、ガラス転移温度238℃、ウインテックポリマー社製 製品名「C3030FA」)を供給して、245℃で溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられたTダイから押出して、シート状のポリエステル系樹脂フィルムを得た。なお、ポリエステル系樹脂フィルムの総厚は0.06mmであった。そして、上記で得られたポリエステル系樹脂フィルムを、実施例1における積層フィルムに代えて用いた以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂成形体を作製した。
(比較例5)
第二押出機に、ポリエチレン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.936g/cm3、重量平均分子量10万、MFR3.0g/10分、東ソー社製 製品名「M50」)を供給して、200℃で溶融混練することにより、第二押出機中において溶融状態のポリエチレン系樹脂を得た以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、この積層フィルムを用いて改質ポリプロピレン系樹脂組成物及びポリプロピレン系樹脂成形体を作製した
(比較例6)
第二押出機としてベント式二軸押出機を用い、このベント式二軸押出機にポリエチレン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.936g/cm3、重量平均分子量10万、MFR3.0g/10分、東ソー社製 製品名「M50」)を供給し、ポリエチレン系樹脂を450℃で溶融混練することにより、第二押出機中において溶融状態のポリエチレン系樹脂を得た以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、この積層フィルムを用いて改質ポリプロピレン系樹脂組成物及びポリプロピレン系樹脂成形体を作製した。なお、ベント式二軸押出機のシリンダー内のスクリュー供給部において、シリンダー内の気体(空気及び揮発成分)を連続的に排出すると共に、その直後にシリンダー内へ窒素ガスを連続的に供給することにより、ポリエチレン系樹脂が燃焼することを抑制しつつポリエチレン系樹脂の溶融混練を行った。
(評価)
上記で作製したポリプロピレン系樹脂成形体の曲げ弾性率、曲げ強度、引張強度、及び破断伸びを下記手順に従って測定した。結果を表1に示す。
(曲げ弾性率)
ポリプロピレン系樹脂成形体を切断することにより縦80mm×横10mmの平面長方形状の試験片を得、この試験片の曲げ弾性率(MPa)をJIS K7171に準拠して測定した。そして、上記と同様の手順に従って、試験片を5個用意し、各試験片の曲げ弾性率を測定し、これらの相加平均値をポリプロピレン系樹脂成形体の曲げ弾性率とした。
(曲げ強度)
ポリプロピレン系樹脂成形体を切断することにより縦80mm×横10mmの平面長方形状の試験片を得、この試験片の曲げ強度(MPa)をJIS K7171に準拠して測定した。そして、上記と同様の手順に従って、試験片を5個用意し、各試験片の曲げ強度を測定し、これらの相加平均値をポリプロピレン系樹脂成形体の曲げ強度とした。
(引張強度)
ポリプロピレン系樹脂成形体を切断することによりJIS K7113に準拠した2号試験片(ダンベル形状試験片)を得、この試験片の引張強度(MPa)をJIS K7113に準拠して測定した。そして、上記と同様の手順に従って、試験片を5個用意し、各試験片の引張強度を測定し、これらの相加平均値をポリプロピレン系樹脂成形体の引張強度とした。
(破断伸び)
ポリプロピレン系樹脂成形体を切断することによりJIS K7113に準拠した2号試験片(ダンベル形状試験片)を得、この試験片の破断伸び(%)をJIS K7113に準拠して測定した。そして、上記と同様の手順に従って、試験片を5個用意し、各試験片の破断伸びを測定し、これらの相加平均値をポリプロピレン系樹脂成形体の破断伸びとした。
Figure 0005752028
表1に示すように、本発明の方法によれば、曲げ弾性率が向上されていることにより優れた剛性を有していると共に、曲げ強度、引張強度及び破断伸びが向上されていることにより優れた機械的強度を有しているポリプロピレン系樹脂成形体を提供することができる。また、本発明の方法により得られるポリプロピレン系樹脂成形体は、タルクなどの無機系充填剤を含んでいないことから、軽量性にも優れている。

Claims (6)

  1. ポリプロピレン系樹脂(I)を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、上記第一押出機、上記第二押出機、及び上記第三押出機を共に接続させている共押出ダイから、上記ポリプロピレン系樹脂(I)、上記ポリエステル系樹脂、及び上記ポリエチレン系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムを得、この積層フィルムから改質用樹脂組成物を得る工程と、
    ポリプロピレン系樹脂(II)100重量部と、上記改質用樹脂組成物5〜30重量部とを溶融混練する工程とを有することを特徴とする改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  2. ポリエチレン系樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  3. ポリエチレン系樹脂フィルムの厚み(E)に対するポリエステル系樹脂フィルムの厚み(T)の比(T/E)が0.5〜3であり、且つポリエチレン系樹脂フィルムの厚み(E)に対するポリプロピレン系樹脂(I)フィルムの厚み(P)の比(P/E)が0.5〜3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  4. 積層フィルムを切断した後、溶融混練した上で押出すことにより改質用樹脂組成物を得ることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  5. ポリプロピレン系樹脂(I)を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、上記第一押出機、上記第二押出機、及び上記第三押出機を共に接続させている共押出ダイから、上記ポリプロピレン系樹脂(I)、上記ポリエステル系樹脂、及び上記ポリエチレン系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムを得、この積層フィルムから改質用樹脂組成物を得る工程と、
    ポリプロピレン系樹脂(II)100重量部と、上記改質用樹脂組成物5〜30重量部とを溶融混練した後、金型内に射出して成形する工程とを有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
  6. ポリプロピレン系樹脂(I)を第一押出機に供給して溶融混練し、ポリエチレン系樹脂を第二押出機に供給して300〜400℃で溶融混練し、ポリエステル系樹脂を第三押出機に供給して溶融混練した後、上記第一押出機、上記第二押出機、及び上記第三押出機を共に接続させている共押出ダイから、上記ポリプロピレン系樹脂(I)、上記ポリエステル系樹脂、及び上記ポリエチレン系樹脂を共押出することにより、ポリプロピレン系樹脂(I)フィルムと、ポリエチレン系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとがこの順で積層一体化されてなる積層フィルムから得られる改質用樹脂組成物5〜30重量部と、ポリプロピレン系樹脂(II)100重量部とを溶融混練した後、金型内に射出することにより成形されてなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂成形体。
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