JP2021091115A - ポリプロピレン系多層延伸フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系多層延伸フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無機充填材含有PP系樹脂多層延伸フィルムを提供する。【解決手段】層Fと層Nとを含み、層Fは成分(A1)および(A2)からなる0.1〜15g/10分のMFRを有するポPP系樹脂(成分(A))と無機充填材(成分(B))を含む樹脂組成物からなり、成分(A1):任意にプロピレン以外のα−オレフィン由来単位を含むプロピレン(共)重合体100〜60重量%、成分(A2):特定量のエチレン由来単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体0〜40重量%、層Fにおける(B)/[(A)+(B)]が0.5〜60重量%であり、層Nは熱可塑性樹脂と成分(B)とを含む樹脂組成物から形成され、(B)/[熱可塑性樹脂+(B)]が0〜10重量%であり、前記フィルムの原反シートにおける層Fに相当する層(層f)、層Nに相当する層(層n)の融点(Tmf、Tmn)が、Tmf−Tmn≦60℃の関係を満たす、多層延伸フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系多層延伸フィルムおよびその製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂は幅広い分野に使用されているが、食品容器等の用途においてより剛性を高めたいという要求がある。例えば特許文献1には剛性を高めるために安息香酸塩等の特定の造核剤を添加したポリプロピレン系樹脂組成物を特定の条件で成形する方法が開示されている。
特開2000−334823号公報
一般に、無機充填材を含有するポリプロピレン系樹脂組成物は高い剛性を有することが知られている。当該樹脂組成物は射出成形用途においては極めて有用であるが、延伸フィルム(一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム)とすることはできなかった。延伸時に無機充填材を起点としてフィルムが破断するからである。したがって、無機充填材を含有する樹脂組成物を延伸フィルムとすることはこれまで検討されて来なかった。無機充填材を含有するポリプロピレン系樹脂組成物から延伸フィルムを得ることができれば、従来にない優れたフィルムとなる。かかる事情を鑑み、本発明はポリプロピレン系樹脂と無機充填材を含有する多層延伸フィルム(一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム)を提供することを課題とする。
発明者らは、特定の層構造とし、かつ製造条件を最適化することで前記課題が解決できることを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1]層Fと層Nとを含む多層延伸フィルムであって、
前記層Fは成分(A)と(B)とを含む樹脂組成物から形成され、
前記成分(A)は、成分(A1)および任意の成分(A2)からなるポリプロピレン系樹脂であり、
成分(A1)はエチレン、C4〜C10−α−オレフィン、およびこれらの組合せからなる群より選択されるコモノマー由来単位を0〜1重量%含むプロピレン(共)重合体100〜60重量%、
成分(A2)はエチレン由来単位を10〜90重量%含むエチレン−α−オレフィン共重合体0〜40重量%であり、
成分(A)のMFR(230℃、荷重2.16kg)が0.1〜15g/10分であり、
成分(B)は無機充填材であり、
前記層Fにおける成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が0.5〜60重量%であり、
前記層Nは熱可塑性樹脂と任意に前記成分(B)とを含む樹脂組成物から形成され、
成分(B)/[熱可塑性樹脂+成分(B)]の重量比が0〜10重量%であり、
前記多層延伸フィルムの前駆体である原反シートにおける層Fに相当する層(層f)および層Nの相当する層(層n)の融点をそれぞれTmfおよびTmnとするとき、
Tmf−Tmn≦60℃の関係を満たす、多層延伸フィルム。
[2]前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂である、[1]に記載の多層延伸フィルム。
[3]多層二軸延伸フィルムである[1]または[2]に記載の多層延伸フィルム。
[4]前記無機充填材が板状無機充填材である、[1]〜[3]のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
[5]前記板状無機充填材がタルクである、[4]に記載の多層延伸フィルム。
[6]前記層Fにおける成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が20〜55重量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
[7]層N/層F/層Nの構造を備え、
当該構造における厚さ比が(0.05〜1.2)/1/(0.05〜1.2)である、請求項1〜6のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
[8]層N/層Fの構造を備え、
当該構造における厚さ比が1/(1〜10)である、[1]〜[6]のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
[9]層F/層N/層Fの構造を備え、
当該構造における厚さ比が(1〜5)/1/(1〜5)である、[1]〜[6]のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
[10]層Nの総厚さ/[層Nの総厚さ+層Fの総厚さ]の比が0.01〜0.6である、[1]〜[9]のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
[11]前記[1]〜[10]のいずれかに記載の多層延伸フィルムの製造方法であって、
原反シートとして、前記層fと、前記層nとを含む共押出シートを調製する工程1、および
前記原反シートを、以下を満たす温度T(℃)で一軸または二軸延伸する工程2
−3≦T−Tmf≦3
(Tmfは原反シートにおける層fの融点(℃)である)
を備える、製造方法。
[12]前記工程1が、成分(A)と(B)とを多軸機溶融混練することを含む、[11]に記載の製造方法。
[13]前記[11]または[12]に記載の方法で製造された、多層延伸フィルム。
本発明によってポリプロピレン系樹脂と無機充填材を含有する多層延伸フィルム(一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム)を提供できる。
本発明において、フィルムとは薄い板状または膜状の部材をいう。フィルムの厚さは限定されないが、好ましくは150μm未満である。厚さが150μm以上の前記部材をシートと記載することがある。また、「X〜Y」は、両端の値すなわちXとYとを含む。
1.多層延伸フィルム
多層延伸フィルム(一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム)は、層Fと層Nとを備える。層Fは、ポリプロピレン系樹脂(成分(A))と比較的多量の無機充填材(成分(B))とを含む樹脂組成物から形成される。層Nは熱可塑性樹脂と比較的少量の無機充填材(成分(B))を含む樹脂組成物、または熱可塑性樹脂を含むが成分(B)を含まない樹脂組成物から形成される。便宜上、層Fを「フィラー層F」、層Nを「ニート層N」ともいう。
(1)ポリプロピレン系樹脂(成分(A))
ポリプロピレン系樹脂とはポリプロピレンを主成分とする樹脂である。本発明の多層延伸フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂は100〜60重量%の成分(A1)および0〜40重量%の成分(A2)からなる。成分(A2)が0重量%超である場合、成分(A)は、成分(A1)を重合し、当該成分の存在下で成分(A2)を重合して得られる、いわゆるヘテロ相共重合体(HECO)であってもよいし、別個に重合して調製した成分(A1)と成分(A2)をブレンドしたものであってもよいが、より少ない製造工程で成分(A)が得られる点においてHECOであることが好ましい。
[成分(A1)]
成分(A1)はエチレン、C4〜C10−α−オレフィン、およびこれらの組合せからなる群より選択されるコモノマー由来単位を0〜1重量%含むプロピレン(共)重合体である。コモノマーを含む場合は経済性の観点からエチレンが好ましい。当該コモノマー由来単位の量が上限を超えるとフィルムの剛性が低下することがある。この観点から、成分(A1)はコモノマー由来単位を含まないこと、すなわち、プロピレン単独重合体であることが好ましい。あるいは成分(A1)がコモノマー由来単位を含む場合、その量は0重量%を超え0.5重量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂中、成分(A1)の含有量は60〜100重量%である。成分(A1)の含有量が少ないとポリプロピレン系樹脂の製造が困難になりうる。よって、成分(A1)の前記含有量は好ましくは70〜100重量%であり、さらに好ましくは75〜100重量%である。
成分(A)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は0.1〜15g/10分である。MFRが上限値を超えると前記多層延伸フィルムの前駆体である原反シートの延伸が困難となり、また下限値未満であると成分(A)の製造が困難となる。この観点から、前記MFRの下限値は、好ましくは1g/10分以上であり、より好ましくは2g/10分以上であり、その上限値は、好ましくは10g/10分以下であり、より好ましくは8g/10分以下である。
[成分(A2)]
成分(A2)は、10〜90重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体である。エチレン由来単位が下限値未満または上限値を超える場合は、耐寒衝撃性が低下する。この観点から、エチレン由来単位の含有量は好ましくは15〜85重量%であり、より好ましくは20〜80重量%である。α−オレフィンは、エチレン以外であれば限定されないが、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくはプロピレン、1−ブテンであり、さらに好ましくはプロピレンである。
ポリプロピレン系樹脂中、成分(A2)の含有量は0〜40重量%である。成分(A2)の含有量が過度に多いとポリプロピレン系樹脂の製造が困難になりうる。よって、成分(A2)の前記含有量は好ましくは0〜35重量%であり、さらに好ましくは0〜30重量%である。
(2)無機充填材(成分(B))
無機充填材は主に材料の剛性を向上する目的で添加される。無機充填材としては物質の観点から、例えば、以下のものが挙げられる。
タルク、カオリナイト、クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイト、マイカ等の天然珪酸または珪酸塩;含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸等の合成珪酸または珪酸塩;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の酸化物。
また、無機充填材としては形状の観点から、例えば、以下のものが挙げられる。
含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸等の合成珪酸または珪酸塩等の粉末状充填材;タルク、カオリナイト、クレー、マイカ等の板状充填材;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、およびエレスタダイト等のウィスカー状充填材;ガラスバルン、フライアッシュバルン等のバルン状充填材;ガラスファイバー等の繊維状充填剤。
当該無機充填材として1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの充填材の分散性を向上させるため、必要に応じて無機充填材の表面処理を行ってもよい。本発明に用いる無機充填材は限定されないが、延伸フィルムにおけるポリプロピレン結晶のフィルム面に沿った方向の配向を促進することにより剛性および耐衝撃性を高める観点から、板状無機充填材が好ましい。板状無機充填材としてはタルク、カオリナイト、クレー、マイカ等の公知のものを使用できるが、ポリプロピレン系樹脂との親和性や原料としての調達容易性や経済性等を考慮すると、好ましくはタルク、マイカであり、さらに好ましくはタルクである。板状無機充填材の体積平均粒子径は、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜7μmである。体積平均粒子径が前記下限値未満の場合、延伸フィルムの剛性が低くなることがある。体積平均粒子径が前記上限値を超える場合、二次加工性に劣り原反シートを延伸する際に破断しやすくなる。前記体積平均粒子径は、レーザ回折法(JIS R1629に基づく)によって体積基準の積算分率における50%径として測定できる。
(3)熱可塑性樹脂
層Nに使用される熱可塑性樹脂としては公知のものを使用できるが、原反シートにおける層Fおよび層Nに相当する層fおよび層nの融点をそれぞれTmfおよびTmnとするとき、Tf−Tmn≦60℃の関係を満たすように選択される。融点の差が上限を超えるとベタツキ等のハンドリング面で多層フィルムの製造が困難となる。この観点から、当該融点の差は、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。当該融点の差の下限は好ましくは0℃以上である。融点はJIS K7271に従いDSCを用いて室温(23℃)から融解温度(230℃)まで10℃/分の条件で加熱した際に観測される、最も高温側にあるピークトップ温度である。
層Fとの親和性の観点から、熱可塑性樹脂としてはポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・共役ジエン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。ポリプロピレンは、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンのいずれであってもよい。ポリエチレンは、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのいずれであってもよい。ポリオレフィンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリオレフィンの中でも、層Fとの相性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。特に、フィラー層Fとの密着性を鑑みると、熱可塑性樹脂は、0〜10重量%未満のエチレン、C4〜C10−α−オレフィン、およびこれらの組合せからなる群より選択されるコモノマー由来単位を含むプロピレン(共)重合体100〜60重量%と、10〜90重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体0〜40重量%(任意成分)からなるポリプロピレン系樹脂であることがより好ましい。
(4)フィラー層F
フィラー層Fにおける成分(A)と(B)の重量比は、以下のとおりである。
成分(B)/[成分(A)+成分(B)]=0.5〜60重量%
成分(B)の量が少ないと多層延伸フィルムの剛性が十分でなく、成分(B)の量が多いと多層延伸フィルムの製造が困難となりうる。この観点から、前記重量比は、好ましくは5〜55重量%であり、より好ましくは10〜55重量%であり、さらに好ましくは20〜55重量%である。
(5)ニート層N
ニート層Nにおける熱可塑性樹脂と(B)の重量比は、以下のとおりである。
成分(B)/[熱可塑性樹脂+成分(B)]=0〜10重量%
また、前述のとおり熱可塑性樹脂はポリプロピレン系樹脂であることが好ましいので、重量比は以下であることが好ましい。
成分(B)/[ポリプロピレン系樹脂+成分(B)]=0〜10重量%
成分(B)の量が多いと多層延伸フィルムの製造が困難となるので、前記重量比は5重量%以下が好ましい。より好ましくは5重量%未満、さらに好ましく1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0重量%である。ただし、ニート層Nにおける前記重量比は、フィラー層Fにおける前記重量比よりも小さい。
(6)厚さ比
多層延伸フィルムは、一態様において層N/層F/層Nの構造を備える。層Nが厚くなると剛性が低下する場合があり、層Fが厚くなると多層延伸フィルムの製造が困難となりうる。この観点から、前記構造の厚さ比は、好ましくは(0.05〜1.2)/1/(0.05〜1.2)であり、より好ましくは(0.06〜0.4)/1/(0.06〜0.4)、さらに好ましくは(0.07〜0.2)/1/(0.07〜0.2)である。本態様の多層延伸フィルムは、層N/層F/層Nの構造に加えて、層N、層F、または他の層を含んでいてもよいし含んでいなくてもよいが、層N/層F/層Nからなる二種三層フィルムであることが好ましい。
多層延伸フィルムは、別態様において層N/層Fの構造を備える。前述の理由から、当該構造の厚さ比は、好ましくは1/(1〜10)であり、より好ましくは1/(2〜9)、さらに好ましくは1/(3〜8)である。本態様における多層延伸フィルムは、層N/層Fの構造の他に層N、層F、または他の層を含んでいてもよいし含んでいなくでもよいが、層N/層Fからなる二種二層フィルムであることが好ましい。
多層延伸フィルムは、さらなる別態様において層F/層N/層Fの構造を備える。前述の理由から、当該構造の厚さ比は、好ましくは(1〜5)/1/(1〜5)であり、より好ましくは(1.5〜4.5)/1/(1.5〜4.5)である。本態様の多層延伸フィルムは、層F/層N/層Fの構造の他に層N、層F、または他の層を含んでいてもよいし含んでいなくでもよいが、層F/層N/層Fからなる二種三層フィルムであることが好ましい。
前述の理由から、すべての態様において、層Nの総厚さ/[層Nの総厚さ+層Fの総厚さ]の比は、好ましくは0.01〜0.6である。さらに好ましくは0.1〜0.6であり、0.1〜0.4であることがより好ましく、0.12〜0.3であることが特に好ましい。層Nの総厚さとは、多層フィルムにおける層Nの厚さの総和である。層Fについても同様である。
(7)原反シートの特性
原反シートの厚さは最終的に得る多層延伸フィルムの厚さに依存するが、好ましくは0.15〜4mmであり、さらに好ましくは0.2〜3.5mmである。原反シートは、フィラー層Fとニート層Nの原料を共押出して製造することもできるし、フィラー層Fとニート層Nの前駆体をそれぞれ準備してこれらを熱圧着することによっても製造できるが、前者が好ましい。
(8)多層延伸フィルムの特性
[厚さ]
製造容易性の観点から、多層延伸フィルム厚さの上限は、好ましくは150μm未満であり、より好ましくは100μm以下であり、その下限は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μmであり、さらに好ましくは15μm以上である。
[剛性]
本発明の多層延伸フィルムの引張弾性率(JIS K7161−2)は、好ましくは2500MPa以上、より好ましくは3500MPa以上、さらに好ましくは5000MPa以上である。
[耐寒衝撃性]
本発明の多層延伸フィルムは、−30℃において、好ましくは0.1J以上、より好ましくは0.2J以上、さらに好ましくは0.5J以上の面衝撃強度(JIS K7211−2)を有する。
(9)他の成分
本発明の多層延伸フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、塩素吸収剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶核剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の顔料等の当該分野で通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン以外の合成樹脂または合成ゴムを含有してもよい。当該合成樹脂または合成ゴムは1種でもよいし2種以上でもよい。
2.製造方法
本発明の多層延伸フィルムは、以下の工程を備える方法で製造されることが好ましい。
原反シートとして、前記層Fの前駆体である層fと、前記層Nとの前駆体である層nとを含む共押出シートを調製する工程1。
前記原反シートを、以下を満たす温度T(℃)で一軸または二軸延伸する工程2。
Tmfは原反シートにおける層fの融点(℃)であり、−3≦T−Tmf≦3を満たす。
(1)工程1
当該工程は公知の方法で実施できる。例えば、ポリプロピレン系樹脂(成分(A))と無機充填材(成分(B))と必要に応じて他の成分を準備して、予めドライブレンドする、または溶融混練することにより層f用の樹脂組成物を調製することができる。また、熱可塑性樹脂(好ましくは成分(A))をそのまま層nの原料としてもよいし、熱可塑性樹脂(好ましくは成分(A))に加えて、必要に応じて無機充填材(成分(B))と他の成分を準備し、同様にして層n用の樹脂組成物を調製することができる。前記樹脂組成物または原料を調製するにあたり、溶融混練しペレット状にする工程を設けることが好ましい。溶融混練時の条件は公知のとおりとしてよいが、混練効率を高めるために多軸押出機にて混練(多軸機溶融混練)を行うことが好ましい。この際、作業性や動力等経済性の観点から、二軸押出機にて行うことがより好ましい。
得られた樹脂組成物は、Tダイ等を用いた共押出成形によって原反シートとされる。原反シートとは二次加工前、すなわち一軸または二軸延伸を行う前のシート(前駆体)である。共押出成形において樹脂組成物を可塑化する際に、スクリュー構成として通常の単軸機を装着した押出成形機の他に、二軸機等の多軸機を装着した溶融混練を行うこともできる。原反シートの調製に際しては、多軸機溶融混練工程を含むことが好ましい。
(2)工程2
本工程では、原反シートを温度Tにおいて二次加工、すなわち一軸または二軸延伸する。延伸温度Tは−3≦T−Tmf≦3を満たす。すなわち、延伸温度Tは、前記における層fの融点Tmfを中心として±3℃の温度範囲から選択される。この温度範囲において延伸することで、原反シートが破断することなく多層延伸フィルムを得ることができる。この理由は限定されないが、無機充填材表面において部分的に溶融したポリプロピレンがエピタキシャルな結晶を形成するため両者の親和性が向上し、さらに前記Tの温度領域では形成された結晶が保持される結果、この親和性が損なわれないためであると推察される。
融点Tmfは、JIS K7271に従いDSCを用いて室温(23℃)から融解温度(230℃)まで10℃/分の条件で加熱した際に観測される、最も高温側にあるピークトップ温度である。
二次加工としての延伸(一軸延伸、二軸延伸)は公知の方法によって行うことができる。すなわち、一軸延伸の方法としては、Tダイにより得られた原反シートをオーブン等で加熱して、延伸ロールや巻き取り器で延伸する方法等が挙げられる。また、二軸延伸の方法としては、熱板成形、延伸成形、圧伸成形、絞り加工成形、圧接成形、融着成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、インフレーション成形等が挙げられる。さらには、縦方向と横方向の延伸工程を同時に実施する同時二軸延伸と、縦方向の延伸工程を実施した後に横方法の延伸工程を実施する逐次二軸延伸が挙げられるが、本発明ではいずれを採用してもよい。逐次二軸延伸においては、縦方向および横方向のいずれが先であってもよい。また、加飾性や表面改質等の目的で、特殊フィルムを本発明の多層延伸フィルムの表面に貼り付けてもよい。貼り付けるフィルムとしては、例えば、防曇フィルム、低温シールフィルム、接着性フィルム、印刷フィルム、エンボス加工フィルム、レトルトフィルム等が挙げられる。最表面のフィルムの厚さは特に制限されない。しかし、厚くなりすぎると多層延伸フィルムの特性を損なう可能性があり、また、特殊フィルムは一般的にコストが高く経済的にも好ましくないことから、薄いことが好ましい。本発明の多層延伸フィルムは、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれでもよいが、フィルムの特性において異方性が小さいとの観点から、二軸延伸フィルムが好ましい。
このようにして得られる多層延伸フィルムは、軽量でありながら従来にない高い剛性を有し、かつ耐寒衝撃性やバリア性に優れる。よって、本発明の多層延伸フィルムは、延伸テープ、包装用バンド、装飾用リボン、食品・飲料包装容器、化粧用包装容器、電池包装用容器をはじめとする包装部材、工業資材、農業資材、建築建設資材、医療用資材、物流用資材として、あるいは日用品、レジャー用品、自動車内外装部品、電機電子機器筐体・部品、玩具、雑貨、衣料用品、鞄類、靴類等の幅広い分野に適用できる。特に、障子・襖・壁紙等の建築内装部材、菓子等の食品用の包装袋として好ましく適用できる。
以下に示す材料を用いた。
(1)成分(A)
[重合体a]
重合に用いる固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。当該固体触媒は、MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。当該固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が11、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、−5℃で5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を重合反応器に導入した後、水素とプロピレンをフィードし、重合温度、水素濃度を、それぞれ75℃、0.23モル%とし、圧力を調整することよって、MFRが7.0g/10分のプロピレン単独重合体aを製造した。
[重合体b]
重合体aの重合反応器において、水素濃度を0.11モル%に変更して、MFRが3.2g/10分のプロピレン単独重合体bを製造した。
[重合体c]
重合体aの重合反応器において、水素濃度を0.08モル%に変更して、MFRが2.5g/10分のプロピレン単独重合体cを製造した。
[重合体d]
重合体aの重合反応器において、水素濃度を0.07モル%に変更して、MFRが2.2g/10分のプロピレン単独重合体dを製造した。
[重合体e]
重合体aの重合反応器において、水素とプロピレンに加えエチレンをフィードするとともに、エチレン濃度を0.10モル%、水素濃度を0.09モル%として、MFRが2.5g/10分、0.4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン共重合体eを製造した。
[重合体f]
重合体aの製造過程で得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、液相状態のプロピレンをフィードして成分(A1)であるプロピレン単独重合体を製造し、二段目の気相重合反応器で成分(A2)であるエチレン−プロピレン共重合体を製造し、成分(A1)と成分(A2)からなる重合混合物であるMFRが7.0g/10分の重合体fを得た。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と反応物の比率は、一段目の重合反応器では、重合温度、水素濃度がそれぞれ75℃、0.42モル%、二段目の重合反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ75℃、1.44モル%、0.53モル比であった。なお、成分(A2)の含有割合が20重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。得られた重合体fにおける成分(A2)のエチレン由来単位含有割合とキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)は、それぞれ55重量%と2.7dl/gであった。
[重合体g]
重合体aの重合反応器において、水素濃度を0.31モル%に変更して、MFRが10g/10分のプロピレン単独重合体gを製造した。
[重合体h]
重合体eの製造過程において、エチレン濃度を1.30モル%、水素濃度を0.40モル%として、MFRが5.0g/10分、5.3重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン共重合体hを製造した。重合体の特性を表1にまとめた。
(2)成分(B)
タルク(ネオライト興産株式会社製ネオタルクUNI05(レーザ回折法によって測定した体積平均粒子径:5μm)を用いた。
[実施例1]
50重量部の重合体a、50重量部のタルク、酸化防止剤として0.1重量部のBASF社製B225、および中和剤として0.05重量部の淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートをヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合物を得た。次いで、当該混合物をスクリュー温度230℃に設定した押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30α同方向二軸押出機)に供して溶融混練した。さらに、溶融混合物を押出機から吐出し、冷却してストランドを形成し、そのストランドを裁断して、フィラー層F用のペレット状の樹脂組成物を得た。タルクを用いずに重合体aを100重量部用い、同様にしてニート層N用のペレット状の樹脂組成物を得た。次いで、これらの樹脂組成物をスクリュー温度230℃に設定した25mmφ3種3層フィルム・シート成形機(サーモ・プラステイックス工業株式会社製)に供して溶融混練(二軸機溶融混練)して、原反シートとして厚さ2.7mmの層n/層f/層nの二種三層共押出シートを得た。
原反シートの層fの融点Tmfは167℃であった。Bruckner社製フィルム延伸装置(KARO)を用いて、当該原反シートを165℃で120秒間加熱した後、50mm/secの速度で6倍×6倍で同時二軸延伸し、厚さ80μmの三層二軸延伸フィルムを得た。すなわち、二軸延伸温度(T)は165℃であり、T−Tmfは−2℃であった。ここで、融点は、JIS K7271に従いDSCを用いて室温(23℃)から融解温度(230℃)まで10℃/分の条件で加熱した際に観測される、最も高温側にあるピークトップ温度である。原反シートの層nの融点Tmnは166℃であった。また得られた多層フィルムの融点(Tmh)は174℃であった。Tmhは前述の方法で測定され、多層フィルムおける各層の融点のうち最も高い融点に相当する。
[実施例2]
タルク配合量およびT−Tmfを変更した以外は、実施例1と同じ方法で二軸延伸を行って三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例3、4]
原反シートの厚さを変更した以外は、実施例2と同じ方法で二軸延伸を行い厚さ25μm、15μm三層二軸延伸フィルムをそれぞれ製造し、評価した。
[実施例5]
タルク配合量を変更した以外は、実施例2と同じ方法で二軸延伸を行い、三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例6]
重合体bを用い、タルク配合量を変更した以外は、実施例2と同じ方法で二軸延伸を行い、三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例7]
重合体cを用い、タルク配合量を変更した以外は、実施例1と同じ方法で二軸延伸を行い、三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例8]
重合体dを用い、タルク配合量、T−Tmfを変更した以外は、実施例1と同じ方法で二軸延伸を行い、三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例9]
重合体eを用い、タルク配合量を変更した以外は、実施例8と同じ方法で二軸延伸を行い、三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例10]
重合体fを用いた以外は、実施例6と同じ方法で二軸延伸を行い、三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例11]
ニート層Nに重合体hを用いた以外は、実施例2と同じ方法で二軸延伸を行い、三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
[実施例12]
60重量部の重合体a、40重量部のタルク、酸化防止剤として0.1重量部のBASF社製B225、および中和剤として0.05重量部の淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートをヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合物を得た。次いで、当該混合物をスクリュー温度230℃に設定した押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30α同方向二軸押出機)に供して溶融混練した。さらに、溶融混合物を押出機から吐出し、冷却してストランドを形成し、そのストランドを裁断して、フィラー層F用のペレット状の樹脂組成物を得た。タルクを用いずに重合体aを100重量部用い、同様にしてニート層N用のペレット状の樹脂組成物を得た。次いで、これらの樹脂組成物をスクリュー温度230℃に設定した25mmφ3種3層フィルム・シート成形機(サーモ・プラステイックス工業株式会社製)に供して溶融混練(二軸機溶融混練)して、原反シートとして厚さ1.0mmの層n/層fの二種二層共押出シートを得た。
原反シートの層fの融点Tmfは166℃であった。Bruckner社製フィルム延伸装置(KARO)を用いて、当該原反シートを165℃で120秒間加熱した後、50mm/secの速度で6倍×6倍で同時二軸延伸し、厚さ25μmの三層二軸延伸フィルムを得た。すなわち、二軸延伸温度(T)は165℃であり、T−Tmfは−1℃であった。得られた二層二軸延伸フィルムのTmhは173℃であった。
[実施例13]
原反シートの層構造を層f/層n/層fとし、厚さを表2に示すように変更した以外は、実施例2と同じ方法で三層二軸延伸フィルムを得て、評価した。
[実施例14、15]
厚さ比を表2に示す値に変更した以外は、実施例2と同じ方法で三層二軸延伸フィルムを得て、評価した。
[参考例1および2]
T-Tmfを変更した以外は、実施例2と同じ方法で三層二軸延伸フィルムの製造を試みたが、製造できなかった。
[比較例1]
100重量部の重合体g、酸化防止剤として0.1重量部のBASF社製B225、および中和剤として0.05重量部の淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートをヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合物を得た。次いで、当該混合物をスクリュー温度230℃に設定した押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30α同方向二軸押出機)に供して溶融混練した。さらに、溶融混合物を押出機から吐出し、冷却してストランドを形成し、そのストランドを裁断して、ペレット状の樹脂組成物を得た。次いで、当該樹脂組成物をスクリュー温度230℃に設定した25mmφ3種3層フィルム・シート成形機(サーモ・プラステイックス工業株式会社製)に供して溶融混練(二軸機溶融混練)して、原反シートとして厚さ0.5mmの一種三層共押出シートを得た。
原反シートの層fの融点Tmfは166℃であった。Bruckner社製フィルム延伸装置(KARO)を用いて、当該原反シートを165℃で120秒間加熱した後、50mm/secの速度で6倍×6倍で同時二軸延伸し、厚さ15μmの三層二軸延伸フィルムを得た。すなわち、二軸延伸温度(T)は165℃であり、T−Tmfは−1℃であった。当該フィルムを評価した。
[比較例2]
重合体hを用い、二軸延伸温度を変更した以外は、実施例9と同じ方法で三層二軸延伸フィルムを製造し、評価した。
これらの結果を表2に示す。本発明の多層二軸延伸フィルムは剛性をはじめとして優れた機械的特性を有する。
Figure 2021091115
Figure 2021091115
Figure 2021091115
評価は以下のように行った。
[二次加工性]
○. 二次加工できた(多層二軸延伸フィルムを作製できた)
×. 二次加工できなかった(二軸延伸の途中で破断した)
[DSCによる融点(Tmn、Tmf、Tmh)]
原反シートの層n、層f、および二軸延伸フィルムより、各々約5mgを電子天秤で秤量し、DSC用試料として採取した。示差熱分析計(DSC)(TA Instruments社製 Q−200)を用いて、30℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で230℃まで加熱して融解曲線を得た。融解曲線の最も高温側にあるピークトップ温度を融点とした。
[剛性(引張弾性率)]
得られたシートから成形体としてJIS K7139に規定するタイプA2の多目的試験片を機械加工し、JIS K7161−2に従い、株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG−X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、試験速度1mm/分の条件で引張弾性率を測定した。
[耐寒衝撃性(面衝撃強度、−30℃)]
得られたシートについて、JIS K7211−2に従い、株式会社島津製作所製ハイドロショットHITS−P10を用い、−30℃に調整した槽内で、内径40mmφの穴の開いた支持台に測定用試験片を置き、内径76mmφの試料押さえを用いて固定した後、半球状の打撃面を持つ直径12.7mmφのストライカーで、1m/秒の衝撃速度で試験片を打撃しパンクチャーエネルギー(J)を求めた。4個の測定用試験片各々のパンクチャーエネルギーの平均値を面衝撃強度とした。
[MFR]
ポリプロピレン系重合体のパウダーに関しては、試料5gに対し本州化学工業株式会社製H−BHTを0.05g添加し、ドライブレンドにより均一化した後、JIS K7210−1に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットについては、JIS K 7210−1に準じ温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
<成分(A1)または成分(A2)におけるコポリマー中のエチレン由来単位の含有量、および成分(A1)と成分(A2)からなる重合混合物における成分(A2)のコポリマーの含有割合>
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、Bruker社製AVANCEIII HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数5000回の条件で13C−NMRのスペクトルを得た。
<成分(A1)または、成分(A1)と成分(A2)からなる重合混合物中の総エチレン量>
上記で得られたスペクトルを用いて、Kakugo,Y.Naito、K.Mizunuma and T.Miyatake、Macromolecules、15、1150-1152(1982)の文献に記載された方法により、試料の総エチレン量(重量%)を求めた。成分(A1)を試料として測定する場合、上記の総エチレン量が成分(A1)のエチレン由来単位の含有量となる。
<成分(A2)のコポリマー中のエチレン由来単位の含有量>
上記で得られたTββの積分強度の替わりに下記式で求めた積分強度を使用した以外は、総エチレン量と同様の方法で計算を行い、コポリマー中のエチレン由来単位の含有量を求めた。
T’ββ= 0.98×Sαγ×A/(1−0.98×A)
ここで、A= Sαγ/(Sαγ+Sαδ)
<成分(A1)と成分(A2)からなる重合混合物における成分(A2)のコポリマーの含有割合>
以下の式で求めた。
コポリマーの含有割合(重量%)=重合混合物の総エチレン量/(コポリマー中のエチレン由来単位の含有量/100)
<重合混合物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)>
以下の方法によって重合混合物のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
重合混合物100質量部と、酸化防止剤(BASF社製B225)0.1質量部と、中和剤(淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレート)0.05質量部とを混合して溶融混練用混合物を得た後、押出機により溶融混練して均一化した試料を得た。得られた試料2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、樹脂組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。

Claims (13)

  1. 層Fと層Nとを含む多層延伸フィルムであって、
    前記層Fは成分(A)と(B)とを含む樹脂組成物から形成され、
    前記成分(A)は、成分(A1)および任意の成分(A2)からなるポリプロピレン系樹脂であり、
    成分(A1)はエチレン、C4〜C10−α−オレフィン、およびこれらの組合せからなる群より選択されるコモノマー由来単位を0〜1重量%含むプロピレン(共)重合体100〜60重量%、
    成分(A2)はエチレン由来単位を10〜90重量%含むエチレン−α−オレフィン共重合体0〜40重量%であり、
    成分(A)のMFR(230℃、荷重2.16kg)が0.1〜15g/10分であり、
    成分(B)は無機充填材であり、
    前記層Fにおける成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が0.5〜60重量%であり、
    前記層Nは熱可塑性樹脂と任意に前記成分(B)とを含む樹脂組成物から形成され、
    成分(B)/[熱可塑性樹脂+成分(B)]の重量比が0〜10重量%であり、
    前記多層延伸フィルムの前駆体である原反シートにおける層Fに相当する層(層f)および層Nに相当する層(層n)の融点をそれぞれTmfおよびTmnとするとき、
    Tmf−Tmn≦60℃の関係を満たす、
    多層延伸フィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂である、請求項1に記載の多層延伸フィルム。
  3. 多層二軸延伸フィルムである請求項1または2に記載の多層延伸フィルム。
  4. 前記無機充填材が板状無機充填材である、請求項1〜3のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
  5. 前記板状無機充填材がタルクである、請求項4に記載の多層延伸フィルム。
  6. 前記層Fにおける成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が20〜55重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
  7. 層N/層F/層Nの構造を備え、
    当該構造における厚さ比が(0.05〜1.2)/1/(0.05〜1.2)である、請求項1〜6のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
  8. 層N/層Fの構造を備え、
    当該構造における厚さ比が1/(1〜10)である、請求項1〜6のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
  9. 層F/層N/層Fの構造を備え、
    当該構造における厚さ比が(1〜5)/1/(1〜5)である、請求項1〜6のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
  10. 層Nの総厚さ/[層Nの総厚さ+層Fの総厚さ]の比が0.01〜0.6である、請求項1〜9のいずれかに記載の多層延伸フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の多層延伸フィルムの製造方法であって、
    原反シートとして、前記層fと、前記層nとを含む共押出シートを調製する工程1、および
    前記原反シートを、以下を満たす温度T(℃)で一軸または二軸延伸する工程2
    −3≦T−Tmf≦3
    (Tmfは原反シートにおける層fの融点(℃)である)
    を備える、製造方法。
  12. 前記工程1が、成分(A)と(B)とを多軸機溶融混練することを含む、請求項11に記載の製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法で製造された、多層延伸フィルム。
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