JP2020033399A - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
その一つに、フィッシュアイと呼ばれる外観欠点が極力無く、かつ、高いヘイズ値で粗面化された表面形状を有するマット調フィルムがある。用途としては、例えば、その外観を活かした意匠性に優れた包装材料や、その表面形状を活かした粘着フィルムの非粘着面用材料などが挙げられる。
かかるフィルムを得る手段の一つとして、フィルム表面に対して艶消し印刷を行うことや、和紙の様な外観の材料をラミネートすることなどが挙げられる。しかし、環境保護や生産性向上の観点からは、包装材の軽量化や工程の簡素化は喫緊の課題であり、従来の包装材としての特性を損なうことがなく、フィルム単体でマットな外観を有することが好ましい。
フィルム単体でマットな外観を有するためには、高ヘイズ、かつ、粗面性を発現できる樹脂組成物を用いることが重要である。
この様な樹脂組成物を得る方法の例として、ポリプロピレン樹脂に対してシリカ、タルク、炭酸カルシウムといった無機微粒子を配合する方法がある。
また、無機粒子に頼らない方法として、特定のポリプロピレン系樹脂組成物、所謂プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いる方法(例えば、特許文献1、2を参照。)や、ポリプロピレン樹脂に対して高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンを配合する方法(例えば、特許文献3、4、5を参照。)が提案されている。
しかし、いずれの方法においても、高ヘイズを得るためには、フィッシュアイの増加やフィルム剛性を始めとする物性への影響を避けることができない。したがって、年々厳しくなる市場からの外観欠点抑制の要求に応えるためにも、これまでに無い高いレベルでの高機能化・高バランス化がなされた樹脂材料の登場が望まれていた。
本発明は、各々特定の範囲で設定されたポリプロピレン樹脂(a)と、高密度ポリエチレン樹脂(b)と、高密度ポリエチレン樹脂(c)と、低密度ポリエチレン樹脂(d)と、エチレン−α―オレフィン樹脂(e)とを配合してなるポリオレフィン樹脂組成物(X)を得ることを、本発明の主要な特徴とするものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(a)〜(e)の各成分を配合してなり、各々の配合割合が(a)/(b)/(c)/(d)=14〜36/26〜34/26〜34/12〜18(重量比;ただし、(b)≧(c)>(d)、かつ、(a)+(b)+(c)+(d)=100)であり、さらに、(a)〜(d)の合計100重量部に対して、(e)を3〜20重量部の割合で配合することを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物(X)が提供される。
・ポリプロピレン樹脂(a):融点が115〜170℃であり、メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が2.0〜20.0g/10分であること。
・高密度ポリエチレン樹脂(b):密度が0.935〜0.970g/cm3であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.1〜1.0g/10分であること。
・高密度ポリエチレン樹脂(c):密度が0.935〜0.970g/cm3であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.01g/分以上0.1g/10分未満であること。
・低密度ポリエチレン樹脂(d):密度が0.910g/cm3以上0.935g/cm3未満であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.05〜0.5g/10分であること。
・エチレン−α−オレフィン樹脂(e):密度が0.860g/cm3以上0.910g/cm3未満であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第2の発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物から形成された層を少なくとも1層備えることを特徴とする多層フィルムが提供される。
1.ポリプロピレン樹脂(a)
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いるポリプロピレン樹脂(a)は、好ましくはプロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が2重量%未満のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であり、より好ましくはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。プロピレンとの共重合成分であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィン、より好ましくはエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはエチレン又は1−ブテンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、プロピレン単独重合体及びプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
ポリプロピレン樹脂(a)の融点は、115〜170℃であることが必要であり、さらには120〜165℃であることが好ましい。
融点が115℃以上であれば、得られたポリオレフィン樹脂組成物(X)の融点が低下しすぎることはなく、十分に耐熱性を有したフィルムを得ることができる。また、融点が170℃以下であれば、ポリプロピレン樹脂(Y)とのブレンド使用時において、ポリオレフィン樹脂組成物(X)が未溶融物となることを抑制することができる、
ポリプロピレン樹脂(a)の230℃、2.16kg荷重でのMFR(a)は、2.0〜20.0g/10分であることが必要であり、さらには5.0〜15.0g/10分であることが好ましい。
MFR(a)が2.0g/10分以上であれば、得られたポリオレフィン樹脂組成物(X)の粘度が低下しすぎることはなく、造粒又はフィルム成形における押出し負荷を低減することが可能となり、優れた生産性を確保することができる。また、MFR(a)が20.0g/10分以下であれば、配合する(b)、(c)、(d)、(e)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(b)は、エチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体である。主成分であるエチレ
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(b)の密度(b)は、0.935〜0.970g/cm3であることが必要であり、さらには0.940〜0.965g/cm3であることが好ましい。
密度(b)が0.935g/cm3以上であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な高ヘイズ発現効果を付与することができる。また、密度(b)が0.970g/cm3以下であれば、配合する(a)、(c)、(d)、(e)の各樹脂との密度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、密度(b)は、主としてエチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとの量比等で調整できる。ここで、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
高密度ポリエチレン樹脂(b)の190℃、2.16kg荷重でのMFR(b)は、0.1〜1.0g/10分であることが必要であり、さらには0.2〜0.8g/10分であることが好ましい。
MFR(b)が0.1g/10分以上であれば、配合する(a)、(c)、(d)、(e)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、MFR(b)が1.0g/10分以下であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
なお、これら高密度ポリエチレン樹脂(b)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(c)は、エチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体である。主成分であるエチレンとの共重合成分(副成分)であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはプロピレン又は1−ブテンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、エチレン単独重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(c)の密度(c)は、0.935〜0.970g/cm3であることが必要であり、さらには0.940〜0.965g/cm3であることが好ましい。
密度(c)が0.935g/cm3以上であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な高ヘイズ発現効果を付与することができる。また、密度(c)が0.970g/cm3以下であれば、配合する(a)、(b)、(d)、(e)の各樹脂との密度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、密度(c)は、主としてエチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとの量比等で調整できる。ここで、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
高密度ポリエチレン樹脂(c)の190℃、2.16kg荷重でのMFR(c)は、0.01g/10分以上0.1g/10分未満であることが必要であり、さらには0.02〜0.09g/10分であることが好ましい。
MFR(c)が0.01g/10分以上であれば、配合する(a)、(b)、(d)、(e)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、MFR(c)が0.1g/10分未満であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
なお、これら高密度ポリエチレン樹脂(c)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる低密度ポリエチレン樹脂(d)は、高圧法のエチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体である。主成分であるエチレンとの共重合成分(副成分)であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはプロピレン又は1−ブテンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、エチレン単独重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる低密度ポリエチレン樹脂(d)の密度(d)は、0.910g/cm3以上0.935g/cm3未満であることが必要であり、さらには0.915〜0.930g/cm3であることが好ましい。
密度(d)が0.910g/cm3以上であれば、高密度ポリエチレン樹脂(b)及び(c)との密度差が大きくなりすぎることがなく、また、密度(d)が0.935g/cm3未満であれば、ポリプロピレン樹脂(a)との密度差が大きくなりすぎることがないため、配合する(a)、(b)、(c)、(e)の各樹脂との密度差を緩和し、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、密度(d)は、主としてエチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとの量比等で調整できる。ここで、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
低密度ポリエチレン樹脂(d)の190℃、2.16kg荷重でのMFR(d)は、0.05〜0.5g/10分であることが必要であり、さらには0.06〜0.45g/10分であることが好ましい。
MFR(d)が0.05g/10分以上であれば、配合する(a)、(b)、(c)、(e)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、MFR(d)が0.5g/10分以下であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
なお、これら低密度ポリエチレン樹脂(d)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いるエチレン−α−オレフィン樹脂(e)は、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを含有し、エチレンに基づく単量体単位を主成分とする共重合体である。エチレンとの共重合成分(コモノマー;副成分)であるα−オレフィンは、主たるモノマーであるエチレンと構造が異なる炭素数3〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、必要に応じてさらに炭素数4〜10のアルカジエンをコモノマーに併用してもよい。コモノマーとしては、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン又は1−オクテン、さらに好ましくはプロピレン又は1−ブテンが挙げられる。また、コモノマーの含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物(X)の、ポリプロピレン樹脂(Y)に対する十分な相溶性を付与するためにも10重量%以上50重量%未満であることが望ましい。
エチレン−α−オレフィン樹脂(e)の好ましい代表例としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン−1−オクテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−イソプレンランダム共重合体、エチレン−エチレン−ブチレン−エチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブチレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。これら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いるエチレン−α−オレフィン樹脂(e)の密度(e)は、0.860g/cm3以上0.910g/cm3未満であることが必要であり、さらには0.865〜0.905g/cm3の範囲であることが好ましい。
密度(e)が0.860g/cm3以上であれば、配合する(a)、(b)、(c)、(d)の各樹脂との密度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、密度(e)が0.910g/cm3未満であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)のポリプロピレン樹脂(Y)に対する相溶性の向上が可能となる。
なお、密度(e)は、主としてエチレンと共重合する炭素数3〜10のα−オレフィンとの量比等で調整できる。ここで、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
エチレン−α−オレフィン樹脂(e)の190℃、2.16kg荷重でのMFR(e)は、0.5〜10g/10分であることが必要であり、さらには0.8〜8g/10分であることが好ましい。
MFR(e)が0.5g/10分以上であれば、配合する(a)、(b)、(c)、(d)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、MFR(e)が10g/10分以下であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
なお、これらエチレン−α−オレフィン樹脂(e)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)は、ポリプロピレン樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)、エチレン−α−オレフィン樹脂(e)の各成分を配合してなる。その配合割合は(a)/(b)/(c)/(d)=14〜36/26〜34/26〜34/12〜18(重量比;ただし、(b)≧(c)>(d)、かつ、(a)+(b)+(c)+(d)=100)であることが必要であり、19〜31/28〜32/28〜32/13〜17であることが好ましい。さらに、(a)〜(d)の合計100重量部に対して、(e)を3〜20重量部の割合で配合することが必要であり、5〜15重量部であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(a)の配合割合を14重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)とのブレンド時において、ポリオレフィン樹脂組成物(X)のポリプロピレン樹脂(Y)に対する相溶性を確保することができる。また、ポリプロピレン樹脂(a)の配合割合を36重量%以下とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
高密度ポリエチレン樹脂(b)の配合割合を26重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。また、高密度ポリエチレン樹脂(b)の配合割合を34重量%以下とすることで、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
高密度ポリエチレン樹脂(c)の配合割合を26重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。また、高密度ポリエチレン樹脂(c)の配合割合を34重量%以下とすることで、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
低密度ポリエチレン樹脂(d)の配合割合を12重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)を含む成形品において、均一に粗面化された表面を得ることができる。また、低密度ポリエチレン樹脂(d)の配合割合を18重量%以下とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化発現効果を付与することができる。
エチレン−α−オレフィン樹脂(e)の配合割合を、(a)〜(d)の合計100重量部に対して3重量部以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)へポリプロピレン樹脂(Y)に対する十分な相溶性を付与し、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、エチレン−α−オレフィン樹脂(e)の配合割合を、(a)〜(d)の合計100重量部に対して20重量部以下とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)の有する粗面化発現効果を阻害せず、高いヘイズ値で高い表面粗度のフィルムを得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いるポリプロピレン樹脂(Y)は、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)と共に配合して用いることのできるポリプロピレン樹脂であり、好ましくはプロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が2重量%未満のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であり、より好ましくはプロピレン単独重合体である。プロピレンとの共重合成分であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィン、より好ましくはエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはエチレン又は1−ブテンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、プロピレン単独重合体及びプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
また、ポリプロピレン樹脂(Y)は、ポリオレフィン樹脂組成物(X)中のポリプロピレン樹脂(a)と同一組成でもよく、又は、異なる組成でもよいが、プロピレン単独重合体が特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂(Y)の融点は、特に制限はないが、115〜170℃であることが好ましく、さらには120〜165℃であることが好ましい。
融点が115℃以上であれば、十分な耐熱性や剛性を有したフィルムを得ることができる。また、融点が170℃以下であれば、フィルム押出し成形時の溶融温度を過度に高くする必要がないため、樹脂劣化物の発生を抑制することが可能となり、優れた品質安定性を確保することができる。
ポリプロピレン樹脂(Y)の230℃、2.16kg荷重でのMFR(Y)は、特に制限はないが、フィルムの押出し成形に適した範囲として、2.0〜20.0g/10分であることが好ましく、さらには5.0〜15.0g/10分であることが好ましい。
MFR(Y)が2.0g/10分以上であれば、フィルム成形における押出し負荷を低減することが可能となり、優れた生産性を確保することができる。また、MFR(Y)が20.0g/10分以下であれば、配合するポリオレフィン樹脂組成物(X)との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)を配合してなり、各々の配合割合が(X)/(Y)=5〜25/95〜75(重量比;ただし、(X)+(Y)=100)であることが必要であり、さらには、10〜20/90〜80であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物(X)の配合割合を5重量%以上とすることで、高いヘイズ値で、かつ、高い表面粗度のフィルムを得ることができる。また、ポリオレフィン樹脂組成物(X)の配合割合を25重量%以下とすることで、十分な耐衝撃性を有したフィルムを得ることができる。
なお、ポリプロピレン樹脂(Y)を主原料としたフィルムの生産を想定すると、サイロやフィーダーなどの原料供給における設備上の制約から配合樹脂の割合を大きくすることが困難な場合が散見されるが、ポリオレフィン樹脂組成物(X)の配合割合が25重量%以下であればフィルム生産時の設備制約に該当する可能性は相当に小さいと見込まれる。
9.その他成分
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)においては、本発明の効果を損なわない範囲内で、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる各種成分とは組成の異なるプロピレン−エチレンブロック共重合体やプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体などのポリプロピレン樹脂、オレフィン系エラストマー、又はスチレン系エラストマーなどを、適宜配合してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、臭気吸着剤、抗菌剤、顔料、無機質及び有機質の充填剤並びに種々の合成樹脂などの公知の添加剤を必要に応じて随時添加することができる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)は、ポリプロピレン樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)、エチレン−α−オレフィン樹脂(e)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどを、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化した後に、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサーなどの混練機により190〜260℃の温度範囲で溶融混練してペレット化する方法によりペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)として得られることを例示できる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)を配合してなる樹脂組成物であり、好ましい製造法の態様として、(1)ポリオレフィン樹脂組成物(X)、ポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどを、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化した後に、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサーなどの混練機により190〜260℃の温度範囲で溶融混練してペレット化する方法(溶融ブレンド法)、(2)ペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)、ペレット状のポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどをペレット状の形態にて、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化する方法(ドライブレンド法)、(3)ペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)、ペレット状のポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどをペレット状の形態にて、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化(ドライブレンド法)した後に、フィルム成形機に供給してフィルムとする方法(溶融ブレンド法)、(4)ペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)、ペレット状のポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどをペレット状の形態にて、複数のホッパー又は上流にメインホッパーと下流に少なくとも一つのサイドフィード供給口とを備えたフィルム成形機の前記複数のホッパー又はメインホッパーと少なくとも一つのサイドフィード供給口とにそれぞれ投入した後に、各所定量をフィルム成形機に供給してフィルムとする方法(溶融ブレンド法)、によりそれぞれペレット状又はフィルム状のポリプロピレン系樹脂組成物として得られることを例示できる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)を含むポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の溶融押出製膜法によってフィルムとして得られる。
例えば、一般に工業的に行われているTダイキャスト法による未延伸フィルム、キャスト後に熱延伸を行う一軸延伸フィルムや二軸延伸フィルム、又は水や大気雰囲気にて冷却を行うインフレーション法などの製膜方法にてフィルムの製造が可能である。
このようにして製造されるフィルムは、単層フィルムとしても多層(積層)フィルムとしても用いることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物から形成されるフィルムを製造するにあたって、ポリプロピレン樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)、エチレン−α―オレフィン樹脂(e)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどを混合し均一化した後に混練機により溶融混練してペレット化したペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)とを配合してなるペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を、フィルム成形機に供給してフィルムとすることが好ましい。
また、多層フィルムを製造するにあたり、多層フィルムが本発明のポリプロピレン系樹脂組成物以外の樹脂組成物から得られる層を備える場合、該層の材料としては、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる各種成分とは組成の異なるプロピレン−エチレンブロック共重合体やプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、又はスチレン系エラストマーなどを、適宜使用することができる。
具体的には、本発明の単層フィルムは、上述した本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)を含むポリプロピレン系樹脂組成物を溶融押出製膜して得られ、厚み30μmにおける全ヘイズが50%以上であり、かつ、長辺0.2mm以上のフィッシュアイ、より詳細にはポリマーゲルを核とする外観欠点であるフィッシュアイの数が、1m2当たりで5個以下であることが好ましい。また、本発明の多層フィルムは、上述した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を少なくとも1層に用い、溶融押出製膜して得られることが好ましい。
フィルムの厚みは、特に限定されないが5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
フィルムの表面には、表面の濡れ適性向上のためにコロナ又はプラズマ等の放電処理、火炎処理、オゾン処理などを行うことも可能である。
[物性の測定方法]
本発明の詳細な説明及び実施例中の各項目の物性測定や分析値などは、下記の方法に従ったものである。
(1)融点(単位:℃)
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。
(2)MFR(単位:g/10分)
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃ 公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.000mm
ポリエチレン樹脂及びエチレン−α−オレフィン樹脂のMFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Dに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:190℃ 公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.000mm
(3)フィルムのヘイズ(単位:%)
フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間以上調整した後、JIS−K7136に準拠してヘイズ(HAZE)を測定し、これを「全ヘイズ(%)」とした。得られた値が大きいほど不透明であることを意味する。
(4)フィルムの剛性(単位:MPa)
下記の条件にて、フィルムの引張弾性率を測定し、得られた値を剛性の尺度とした。引張弾性率の計算方法は、JIS K7127に準拠した。なお、サンプル長辺がMD(フィルム押出成形時の流れ方向)となるようサンプリングを行った。
サンプル長さ:150mm サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm クロスヘッド速度:1mm/分
厚み30μm、MD300mm×TD(フィルム押出成形時の流れ方向の垂直方向)200mmの大きさのフィルムを用い、長辺0.2mm以上のフィッシュアイを、目視にてカウントした。フィルム10枚に対して同様の作業を行い、1枚当たりの平均フィッシュアイ個数を求めた上で、面積1m2当たりのフィッシュアイ個数に算出した。
(6)フィルムの耐衝撃性(単位:kJ/m)
雰囲気温度23℃において、JIS P8134に準拠した装置を用い、固定したフィルム試験片を25.4mmの半球型の金属製貫通部で打撃させ、貫通破壊に要した仕事量(J)を測定した後、フィルム試験片の厚みで除して求めた
(7)フィルムの表面粗度
フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間以上調整した後、JIS B−0601に準拠して、フィルム成形時におけるダイ直後の冷却ロールとの接触面について、カットオフ0.25mmでの中心面平均値(Ra)を測定し、フィルム表面粗度の指標とした。得られた値が大きい程、フィルム表面の凹凸が大きいことを示す。
表面凹凸が大きく十分に粗面であり、深みのあるマット調を得るためには、この値が0.35以上であることが好ましく、0.37以上であることがより好ましい。また、フィルム巻取時の意図せぬ凹凸転写や空気の巻き込みを抑制するためにも、この値は0.50以下であることが好ましく、0.48以下であることがより好ましい。
実施例及び比較例に使用した各種樹脂を以下に記す。
[ポリプロピレン樹脂(a)]
a−1:日本ポリプロ(株)製、商品名ウィンテック(登録商標)、グレード名WFX4M
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
融点125℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10分
a−2:日本ポリプロ(株)製、商品名ノバテック(登録商標)PP、グレード名FX4G
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体
融点126℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=5g/10分
a−3:日本ポリプロ(株)製、商品名ノバテック(登録商標)PP、グレード名EG7F
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
融点143℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=1.3g/10分
a−4:日本ポリプロ(株)製、商品名ウィンテック(登録商標)、グレード名WMG03
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
融点142℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=30g/10分
b−1:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)HD、グレード名HB530
密度 0.962g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)=0.3g/10分
b−2:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)HD、グレード名HF560
密度 0.963g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)=7g/10分
c−1:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)HD、グレード名HF313
密度 0.950g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)=0.05g/10分
d−1:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)LD、グレード名LF128
密度 0.922g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)=0.25g/10分
d−2:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)LD、グレード名LF443
密度 0.924g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.5g/10分
e−1:日本ポリエチレン(株)製、商品名カーネル(登録商標)、グレード名KF260T
密度 0.901g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)=2.0g/10分
e−2:日本ポリエチレン(株)製、商品名カーネル(登録商標)、グレード名KS240T
密度 0.880g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)=2.2g/10分
Y−1:日本ポリプロ(株)製、商品名ノバテック(登録商標)PP、グレード名FA3KM
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体
融点163℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=10g/10分
Y−2:ポリプロピレン樹脂(a−1)に同じ
Y−3:ポリプロピレン樹脂(a−4)に同じ
[ポリオレフィン樹脂組成物(X)のペレット化]
上述のポリプロピレン樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)、及びエチレン−α−オレフィン樹脂(e)の各ペレットを、表1に示した割合でタンブラーにてそれぞれ混合し均一化した後に、以下の溶融混練条件に従って35mm径の二軸押出機により230℃で溶融混練し、ポリオレフィン樹脂組成物(X)の各ペレットを得た。
得られたポリオレフィン樹脂組成物(X)と上述のポリプロピレン樹脂(Y)の各ペレットを、表1に示した割合でタンブラーにてそれぞれ混合し均一化して得られたペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を、Tダイ成形機のホッパーへ投入し、以下のフィルム成形条件に従ってTダイ成形機にて未延伸フィルムを得た。得られた実施例1〜9、比較例1〜16の各フィルムについての物性を、前記測定法に準拠し測定した。表1にその評価結果を記載する。
また、樹脂(a)〜(e)の各樹脂と、ポリプロピレン樹脂(Y)を、表1に示した割合でタンブラーにてそれぞれ混合し均一化した後に、以下の溶融混練条件に従って35mm径の二軸押出機により230℃で溶融混練したペレットを用い、以下のフィルム成形条件に従ってTダイ成形機にて未延伸フィルムを得た。これを比較例17とした。
混練機:東芝機械社製35mm径同方向二軸混練機 混練温度:230℃
スクリュー回転数:250rpm フィーダー回転数:50rpm
(フィルム成形条件)
Tダイ成形機:プラコー社製35mm径単軸成形機 押出温度:240℃
ダイス幅:330mm リップ開度:0.8mm
冷却ロール温度:30℃ 引取速度:18.0〜20.0m/分
フィルム厚み:30μm
表1から明らかなように、本発明によるポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)を原料として用いたフィルムは、表面が荒れており、かつ、高ヘイズであると共に、外観欠点であるフィッシュアイが抑制され耐衝撃性にも優れたフィルムを得ることができる(実施例1〜9)。
一方で、(1)ポリプロピレン樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)、エチレン−α−オレフィン樹脂(e)のうちの少なくとも一つが、上述した要件のいずれかを満たさないポリオレフィン樹脂組成物(X)を配合したポリプロピレン系樹脂組成物である場合(比較例1、3〜14)、(2)ポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)の配合割合(重量比)が上述した特定の範囲から外れたポリプロピレン系樹脂組成物である場合(比較例2、15、16)、又は、(3)予め製造したポリオレフィン樹脂組成物(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と配合しない、具体的には樹脂(a)〜(e)の各樹脂を1回以上溶融混練することなくポリプロピレン樹脂(Y)と混合した後に溶融混練して得られたペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物である場合(比較例17)、いずれも得られたフィルムは高ヘイズ、表面粗度、低フィッシュアイ、耐衝撃性の各特性をバランスよく確保することが出来ない(比較例1〜17)。
また、比較例3〜6、8、9、13、16、17では、フィルムに多数のフィッシュアイが存在していたため、フィッシュアイ以外の物性評価は実施しなかった。
以上の結果より、本発明の各実施例においては、各比較例に比して、粗面フィルムの各性能が、バランス良く押しなべて顕著に優れており、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を明示しているといえる。
Claims (4)
- 下記(a)〜(e)の各成分を配合してなり、各々の配合割合が(a)/(b)/(c)/(d)=14〜36/26〜34/26〜34/12〜18(重量比;ただし、(b)≧(c)>(d)、かつ、(a)+(b)+(c)+(d)=100)であり、さらに、(a)〜(d)の合計100重量部に対して、(e)を3〜20重量部の割合で配合することを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物(X)。
・ポリプロピレン樹脂(a):融点が115〜170℃であり、メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が2.0〜20.0g/10分。
・高密度ポリエチレン樹脂(b):密度が0.935〜0.970g/cm3であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.1〜1.0g/10分。
・高密度ポリエチレン樹脂(c):密度が0.935〜0.970g/cm3であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.01g/10分以上0.1g/10分未満。
・低密度ポリエチレン樹脂(d):密度が0.910g/cm3以上0.935g/cm3未満であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.05〜0.5g/10分。
・エチレン−α−オレフィン樹脂(e):密度が0.860g/cm3以上0.910g/cm3未満であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分。 - 請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)を配合してなり、各々の配合割合が(X)/(Y)=5〜25/95〜75(重量比;ただし、(X)+(Y)=100)であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から形成され、厚み30μmにおける全ヘイズが50%以上であり、かつ、長辺0.2mm以上のフィッシュアイの数が、1m2当たりで5個以下であることを特徴とする単層フィルム。
- 請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から形成された層を少なくとも1層備えることを特徴とする多層フィルム。
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