JP5749080B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体に関するものである。さらに詳しくは、強度に優れ、着色時の色映えに優れ、さらに成形品の外観特性にも優れるポリカーボネート樹脂組成物及び、それを成形してなる成形体に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、耐衝撃強度、耐熱性、寸法安定性、外観性において優れた樹脂として広く用いられている。しかしながら、携帯端末機器に代表されるように、機器の小型化・軽量化の流れは顕著であり、ポリカーボネート樹脂をそのハウジング(筐体)やカバー類のような薄肉成形品に用いる場合には、強度、剛性の向上が求められている。剛性を付与する手段としてはガラス繊維を使用する方法がよく行われる。
近年、携帯端末機器、デジカメ等は、利用者の嗜好に合わせて、多くのカラーバリエーションを用意することが必要となっている。白色に着色するには、チタンホワイト、すなわち白色着色剤として酸化チタンを配合する(例えば、特許文献1参照)。さらに、白色以外の色に着色する場合も、その色の顔料に加えて酸化チタンを併用する。酸化チタンを含有することで色映えが良くなるためである。
しかしながら、ガラス繊維と酸化チタンとを配合したポリカーボネート樹脂材料を製造しようとすると、そのコンパウンディング時にガラス繊維が破砕して、機械的特性が低下し、特に携帯端末機器等のハウジングやカバー類における重要な特性である製品落下時の破損防止のための耐衝撃性を大きく低下させるという欠点があった。
耐衝撃性を改良する手段としては、エラストマーに代表される、耐衝撃改良剤を使用する方法が知られているが、射出成形時にゲート近傍や偏肉部等でポリカーボネート樹脂と相分離を起こしたり、分散不良を起こしフローマーク、シルバー等の外観不良の原因となり、さらに、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂の射出成形で一般に使用される高温成形において、熱劣化を起こし、十分な耐衝撃性が得られず、黄変等の色斑やシルバー等の外観不良が生じさせるという欠点があった。
従って、外観特性が特に要求される携帯端末機器のハウジングやカバー類のような薄肉成形品において、強度、剛性、耐衝撃性を同時に満足させ、且つ着色時の色映えが良く、外観特性に優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂を得ることは困難であった。
特開平10−147700号公報
本発明の目的は、強度に優れ、着色時の色映えに優れ、さらに成形品の外観特性にも優れる、且つ多数のカラーバリエーションを必要とする用途に特に好適な、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、芳香族ポリカーボネート樹脂と特定のアスペクト比を有するガラス繊維に、硫化亜鉛および硫酸バリウムの混合物を特定量含有するポリカーボネート樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜95質量%と平均アスペクト比が5〜300のガラス繊維(B)5〜60質量%の(A)および(B)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および酸化亜鉛(C−3)を、(C−1)/(C−2)/(C−3)の質量比が90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5の比率で含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)20〜90質量%と平均アスペクト比が5〜300のガラス繊維(B)5〜60質量%とポリカーボネートオリゴマー(E)5〜20質量%の(A)と(B)と(E)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および酸化亜鉛(C−3)を、(C−1)/(C−2)/(C−3)の質量比が90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5の比率で含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、混合物(C)は、化亜鉛(C−3)を、(C−1)〜(C−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1ないし第3のいずれかの発明において、JIS K7105に準じて測定した1mm厚みでの全光線透過率が11%以下であるポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1ないし第のいずれかの発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第の発明において、成形体が、携帯電子機器の筐体であることを特徴とする成形体が提供される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度、剛性、耐衝撃性を同時に満足させ、且つ外観特性にも優れる。また、各種の色に着色する時の色映えにも優れ、さらに、成形時の収縮率は、酸化チタンが配合されたものとほぼ同等であるので、黒、白、赤、ピンク等種々のカラーバリエーションの中で、個々の色ごとに金型を変更する必要がない。
このため、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度、剛性、耐衝撃性、さらに多くのカラーバリエーションが要求される、携帯電話、携帯オーディオプレーヤー、PDA、デジタルカメラ、ノートブックパソコン、タブレット型コンピューター、電子ブック、電子辞書等の筐体等に好適に使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する際に使用可能な押出機に好ましく使用されるニーディングディスク構成の一例を示す図である。 本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する際に使用可能な押出機に好ましく使用されるニーディングディスクの説明図である。
[1.発明の概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜95質量%と平均アスペクト比が5〜300のガラス繊維(B)5〜60質量%の(A)および(B)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および酸化亜鉛(C−3)を、(C−1)/(C−2)/(C−3)の質量比が90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5の比率で含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とする。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[2.芳香族ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整したポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくは、ビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。更には、上述した芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、成形性、強度等の点から、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量[Mv]で、10,000〜40,000、更には15,000〜30,000のものが好ましい。このように、粘度平均分子量を15,000以上とすることで機械的強度がより向上するものとなり、30,000以下とすることで流動性低下をより抑制し改善する傾向にあり、成形加工性容易の観点からより好ましい。
粘度平均分子量は中でも、10,000〜25,000、更には15,000〜24,000、特に17,000〜23,000であることが好ましい。また粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この際には、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。この場合、混合物の粘度平均分子量は上記範囲となるのが望ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、フィルター性能を低下させる可能性があるためである。
[3.ガラス繊維(B)]
本発明の樹脂組成物に使用するガラス繊維(B)は、Aガラス、Cガラス、Eガラス等のガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)がポリカーボネート樹脂に悪影響を及ぼさない点で好ましい。
ガラス繊維(B)は、本発明の組成物中において、平均アスペクト比、すなわち長さ(L)と直径(D)の比(L/D)が、5〜300であることが好ましく、より好ましくは10〜200であり、さらに好ましくは10〜100、特に好ましくは10〜80である。アスペクト比が5未満では補強効果が少なく、300を超えると概観が悪化する。
ガラス繊維の断面形状は、一般的な真円状の他に、異形断面形状のものを使用しても良い。
アスペクト比を上記範囲に調整するには、例えば、長さが1.5〜4mm程度のガラス繊維チョップドストランドを用い、混練強度の調整により樹脂組成物中で所望のアスペクト比を得る。具体的には、2軸押出機を用いてガラス繊維フィード後のニーディング部における剪断速度が100〜1,000sec−1の条件で混練を行う等の方法で可能である。
ポリカーボネート樹脂組成物中のガラス繊維のアスペクト比は、以下の手順で測定することができる。
1.組成物を600〜700℃で燃焼、またはメチレンクロライドに溶解させ樹脂分を取り除き、ガラス繊維を単離する。
2.取り出したガラス繊維をガラス上に極力重ならない様に広げ、光学顕微鏡にて40〜100倍で観察、撮影を行う。
3.得られた写真から、ガラス繊維の長さ(L)と直径(D)をノギスにて測定しアスペクト比を求める。本発明では、1,000個の測定を行い、加算平均を求める。
使用するガラス繊維(B)の繊維径は、平均繊維径が1〜25μmであることが好ましく、より好ましくは5〜17μmである。このような範囲にあると、成形加工性、表面外観、強度に優れるので好ましい。
このようなガラス繊維は、連続的に巻き取ったガラスロービングを切り揃えたもの、長さ1〜10mmに切りそろえたチョップドストランド等を用いることができる。
また、ガラス繊維(B)は、ポリカーボネート樹脂とガラス繊維の親和性を増し密着性を増大するために、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理されているものが好ましい。シランカップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系等がある。これらの中では、アミノシラン系のものが好ましい。
ガラス繊維(B)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100質量%基準、または、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)と後述するポリカーボネートオリゴマー(E)の合計100質量%基準で、5〜60質量%であり、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは15〜30質量%である。ガラス繊維の含有量が5質量%未満では補強効果が不十分であり、60質量%を超えると成形性が悪化し、外観を損ないやすい。
[4.硫化亜鉛(C−1)と硫酸バリウム(C−2)の混合物(C)]
本発明の樹脂組成物には、硫化亜鉛(C−1)および硫酸バリウム(C−2)の混合物(C)を白色顔料として使用する。硫化亜鉛(C−1)と硫酸バリウム(C−2)の混合割合は、硫化亜鉛(C−1)50〜99.5質量%および硫酸バリウム(C−2)0.5〜50重量%である。
混合物(C)は、ガラス繊維(B)の破砕を起こしにくく、樹脂組成物の強度低下、特に弾性率の低下を引き起こすことなく白度に優れた着色を可能にすることができる。
混合物(C)の平均粒子径に制限はないが、0.1〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.12〜1μmである、特に好ましくは0.15〜0.5μmである。平均粒子径が小さすぎると、遮光性が低下する傾向となり、平均粒子径が大きすぎると、概観が悪化する傾向が生じる。
混合物(C)は、さらに酸化亜鉛(C−3)を、硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および酸化亜鉛(C−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することが好ましい。
硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および硫化亜鉛(C−3)の比率は、(C−1)/(C−2)/(C−3)の質量比で、90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5であることが好ましい。
混合物(C)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。含有率が10質量部を超える場合は、機械的性質、特に強度が低下し、また、含有率が0.1質量部より小さい場合は、十分な白色度が得られなくなる。
[5.ポリシロキサン(D)]
本発明の樹脂組成物は、ポリシロキサン(D)を含有することが好ましい。ポリシロキサンを含有することで、混合物(C)の表面にポリシロキサンが付着することで、ポリカーボネート樹脂組成物中での均一分散性および分散状態の安定性を向上させる。
ポリシロキサン(D)としては、なかでも混合物(C)の表面と反応する反応性の官能基を持つ反応性官能基含有有機珪素化合物が好ましい。反応性の官能基としては、Si−H基、Si−OH基、Si−NH基、Si−OR基が挙げられるが、Si−H基、Si−OH基、Si−OR基を持つものがより好ましく、Si−H基をもつSi−H基含有有機珪素化合物が、特に好ましい。
Si−H基含有有機珪素化合物としては、分子中にSi−H基を持つ化合物であれば特に制限されず、適宜選択して用いればよいが、なかでも、ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリシクロ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(エチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(フェニルハイドロジェンシロキサン)、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(エチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ヘキシルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(オクチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(フェニルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)((2−メトキシエトキシ)メチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)(フェノキシメチルシロキサン)]コポリマー等のポリオルガノ水素シロキサンが好ましい。
ポリシロキサン(D)の含有量としては、混合物(C)100質量部に対し、0.3〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部、さらには0.5〜3質量部である。
[6.ポリカーボネートオリゴマー(E)]
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネートオリゴマー(E)を含有することが好ましく、ポリカーボネートオリゴマー(E)を含有することでガラス繊維(B)の浮きによる外観不良の発生を防止することができる。
ポリカーボネートオリゴマー(E)としては、粘度平均分子量が1,000〜10,000のものが好ましく、2,000〜8,000のものがより好ましい。分子量が1,000未満では機械的強度が低下し、10,000を越えると外観の改良効果が小さい。
ポリカーボネートオリゴマー(E)は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンで代表的に例示される芳香族二価フェノール系化合物とホスゲンで代表されるカーボネート前駆体との反応や、芳香族二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応によって得られるものが好ましく、芳香族二価フェノール系化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。
ポリカーボネートオリゴマーの重合度の調整は、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すれば良い。
ポリカーボネートオリゴマー(E)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)とポリカーボネートオリゴマー(E)の合計100質量%基準で、5〜20質量%であり、好ましくは6〜15質量%、より好ましくは8〜12質量%である。ポリカーボネートオリゴマーの含有量が20質量%を越えると、強度が不満足となりやすい。
[7.カプロラクトン系重合体(F)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、カプロラクトン系重合体(F)を含有することも好ましい。カプロラクトン系重合体を含有することで、ガラス繊維(B)の浮きによる外観不良の発生を防止することができる。
カプロラクトン系重合体とは、重合体中にε−カプロラクトン由来の構成単位を、通常70質量%以上含有する重合体又は共重合体である。ε−カプロラクトンと共重合するモノマーとしては、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、ブチロラクトンなどのラクトンモノマー、エチレンオキシド、1,2−プロピオンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエン等の不飽和モノマー及びテレフタル酸ジメチル、ジフェニルカーボネート等のカップリング剤等が挙げられる。
カプロラクトン系重合体(F)の数平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜50,000、特に10,000〜30,000であるのが好ましい。数平均分子量がこの程度のものを用いると、透明性のより優れた赤外線フィルターが得られる。
カプロラクトン系重合体(F)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100質量部に対し、0.01〜8質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部、更には0.08〜4質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部である。
[8.その他配合成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
[8.1 離型剤]
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5,000以下である。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100質量部、あるいは芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)とポリカーボネートオリゴマー(E)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[8.2 熱安定剤]
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイトが好ましい。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、アデカ社製(商品名、以下同じ)「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、熱安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
熱安定剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100質量部、あるいは芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)とポリカーボネートオリゴマー(E)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[8.3 染顔料]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、白色顔料混合物(C)以外の他の染顔料を配合して着色することができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、他の染顔料を含有することにより、色映え良く、各種の色に着色でき、意匠性も高めることができる。
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック;カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
[9.樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、任意の方法が採用される。
例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、ガラス繊維(B)、白色顔料混合物(C)及び適宜その他の添加剤等をV型ブレンダー等の混合手段を用いて混合し、一括ブレンド品を調整した後、ベント付き押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。あるいは、二段階練込法として、予め、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、白色顔料(C)及び適宜その他の添加剤等を、十分混合後、ベント付き押出機で溶融混練りしてペレットを製造した後、そのペレットとガラス繊維(B)を混合後、ベント付き押出機で溶融混練りする方法が挙げられる。
更に、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、白色顔料混合物(C)及び適宜その他の添加剤等を、V型ブレンダー等で十分混合したものを予め調整しておき、それをベント付き二軸押出機の第一シュートより供給し、ガラス繊維(B)は押出機途中の第二シュートより供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられる。
押出機の混練ゾーンのスクリュー構成は、混練を促進するエレメントを上流側に、昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置されることが好ましい。
混練を促進するエレメントとしては、順送りニーディングディスクエレメント、直交ニーディングディスクエレメント、幅広ニーディングディスクエレメント、および順送りミキシングスクリューエレメント等が挙げられる。
ニーディングディスクによって構成される混練部は、例えば、楕円形状、三角形状、四角形状等のニーディングディスクの複数枚を、二本のスクリュー間で噛み合うように、又は噛み合わないように、規則的に方向をずらせて重列させることにより構成される。
例えば、楕円形状のニーディングディスクの5枚を用いて順送りのディスク構成とした場合について説明すると、図1に示すように、一方のスクリューの各ニーディングディスクをスクリューの送り方向に、図2に示すような楕円形状のニーディングディスクをねじれ角度θ(樹脂流れ方向の上流側から下流側に見て、時計回りの角度)ずつずらせて、5枚を重列させ、他方のスクリューの各ニーディングディスクを同じく送り方向に、一方のスクリューに対して位相をずらせて5枚を重列させる。
前記順送りニーディングディスクエレメントは、羽根が2枚以上で、かつその羽根ねじれ角度θが10度から75度である。羽根の幅La/D=0.08〜0.4であり、通常Rニーディングと呼ばれている。ねじれ角度θは、10度より小さくても、75度より大きくても搬送能力は低下する。また羽根の幅La/Dが0.08より小さくても、0.4より大きくても搬送能力は不足する。
なお、本願明細書において、ニィーディングディスクの一枚当たりの羽根の幅La/Dとは、ニィーディングディスクの長さLをスクリュー径Dで割り、更に羽根枚数で割った値である。
直交ニーディングディスクエレメントは、羽根が2枚以上で、かつ羽根のねじれ角度θが75度から105度である。羽根の幅La/D=0.08〜0.4であり、通常Nニーディングと呼ばれている。0.08より狭いと混練が弱くなり、0.4より大きいと混練が強すぎ、樹脂の劣化を引き起こす。
幅広ニーディングディスクエレメントは、羽根が3枚か1枚でかつねじれ角度θが−10度から+10度の範囲であり、羽根の幅La/D=0.3〜2である。通常幅広ニーディングと呼ばれている。La/Dが、0.3より狭いと混練が弱くなり、2より大きいと混練が強すぎ樹脂の劣化を引き起こす。
また、順送りミキシングスクリューエレメントは、スクリューの山(フライト部)を切り欠いた順ネジのミキシングスクリューである。2条でも1条でもよく、切り欠き数は1スクリューリード当たり5〜15個であることが好ましい。また、ギアタイプのミキシングスクリューを含む。
スクリューエレメント長さL/Dは、0.3〜2であることが好ましい。2より長いと強いせん断力が発生し、樹脂の劣化を引き起こし、0.3より短いとせん断力が小さく、樹脂を充分溶融混練するころが出来なくなる。
さらに、前記した昇圧能力のあるエレメントとしては、逆送りニーディングディスクエレメント、逆送りスクリューエレメント、逆送りミキシングスクリューエレメントおよびシールリングエレメント等が挙げられる。
逆送りニーディングディスクエレメントは、羽根が2枚以上で、かつ羽のねじれ角度θが−10度から−75度である。羽根の幅La/Dは、0.08〜0.4であり、通常Lニーディングと呼ばれている。羽根の幅La/Dは、0.08より小さくても、0.4より大きくても樹脂の昇圧力は弱まり、混練不足となる。
逆送りスクリューエレメントは、逆ネジと言われ、リード長さは、L/Dで0.4から2が好ましい。リード長さとは、スクリューが360度回転したときのスクリューの長さであり、ピッチと呼ぶこともある。リードが0.4より短いと圧力が立ちすぎ、2より長いと圧力勾配が低下し、混練不足となる。
スクリューエレメント長さL/Dは、0.3〜2であることが好ましい。2より長いと強いせん断力が発生し、樹脂の劣化を引き起こし、0.3より短いとせん断力が小さく、樹脂を充分溶融混練するころが出来なくなる。
逆送りミキシングスクリューエレメントは、スクリューの山(フライト部)を切り欠いた逆ネジのミキシングスクリューである。2条でも1条でもよく、切り欠き数は1スクリューリード当たり5〜15個であることが好ましい。また、ギアタイプのミキシングスクリューを含む。
スクリューエレメント長さL/Dは、0.3〜2であることが好ましい。2より長いと強いせん断力が発生し、樹脂の劣化を引き起こし、0.3より短いとせん断力が小さく、樹脂を充分溶融混練するころが出来なくなる。
シールリングエレメントは、スクリューエレメントの長径とバレルの隙間がL/D=0.004〜0.1、及びスクリュー長さL/D=0.3〜2である。シールリングと呼ばれている。この隙間が0.004より狭すぎると圧力が立ちすぎ、0.1より広すぎると圧力が立たない。
スクリューエレメント長さL/Dは、2より長いと強いせん断力が発生し、樹脂の劣化を引き起こし、0.3より短いとせん断力が小さく、樹脂を充分溶融混練するころが出来なくなる。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュウー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[10.成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度に優れ、着色時の色映えに優れ、さらに成形品の外観特性にも優れるポリカーボネート樹脂材料であるので、各種用途における成形体として使用できる。
成形体の例を挙げると、電気電子機器、情報端末機器、家電製品、OA機器、機械部品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、医療機器、照明機器等の部品あるいは部材が挙げられる。
電気電子機器、情報端末機器、家電製品、OA機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA(個人用携帯情報端末)、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。
なかでも、携帯電話、携帯オーディオプレーヤー、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ノートブックパソコン、タブレット型コンピューター、電子ブック、電子辞書、携帯型ゲーム機等の携帯型電子機器の筐体等に好適に用いることができる。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は以下の通りである。
(A)ポリカーボネート樹脂:
ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート
商品名:ユーピロン(登録商標)S−3000F
粘度平均分子量21,500、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
(B)ガラス繊維:
平均アスペクト比:230、平均繊維径:13μm
商品名:ECS03T−571 日本電気硝子社製
(C)硫化亜鉛/硫酸バリウム混合物:
(C−1)硫化亜鉛99/硫酸バリウム1(質量比)の混合物
(C−2)硫化亜鉛98/硫酸バリウム1.5/酸化亜鉛0.5(質量比)の混合物
(その他白色顔料)
・酸化チタン
・酸化亜鉛
・硫酸バリウム
(E)ポリカーボネートオリゴマー
4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネートオリゴマー
商品名:ユーピロン(登録商標)AL071
粘度平均分子量5,000、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
(その他)
・ポリエチレンワックス:
商品名:PE520 クラリアントジャパン社製
(実施例1〜12、比較例1〜3及び参考例)
<樹脂ペレット製造>
上記表1〜2に記したガラス繊維(B)を除く各成分を、後記の表1〜2に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、ガラス繊維(B)を押出機途中より溶融樹脂中へサイドフィードで供給した。スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[試験片の作製]
上記の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(サイキャップM−2、型締め力75T)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度110℃の条件で、ISO多目的試験片(3mm厚、4mm厚)、および長さ80mm、幅40mm、厚さ1mm厚みおよび3.2mm厚みの平板状試験片を射出成形した。
<評価方法>
各評価方法は、以下のとおりである。
[アスペクト比]
ポリカーボネート樹脂組成物中のガラス繊維(B)のアスペクト比の測定方法は、前述したとおりである。
[曲げ強度、曲げ弾性率]
ISO178に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で曲げ強度(単位:MPa)及び、曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
[耐衝撃性評価]
上述の方法で得られたISO多目的試験片(3mm厚)を用い、ISO179に準拠し、23℃の条件で、それぞれノッチ無しシャルピー耐衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
[全光線透過率]
JIS K−7105に準じ、上述の平板状試験片を試験片とし、日本電色工業社製のNDH−2000型濁度計を用い、1mm厚みの全光線透過率(単位「%」)を測定した。
[白色度評価 L値]
各芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の全光線透過率の評価は、上述した3.2mm厚の平板状試験片を用い、JIS K−7105に準拠して、日本電色工業社製のSE2000型分光式色差計で、反射法により、L、a、b値を測定し、ハンターLab白色度W(Lab)を以下の定義式より求めた。
W(%)=100−[(100−L)+(a+b)]0.5
式中、L、a及びbは、それぞれLab系色座標における明度(L)、及び知覚色度指数(a,b)を示す。
[粘度平均分子量]
ウベローデ粘度計を用いて、芳香族ポリカーボネート(熱安定剤、紫外線吸収剤未添加)の塩化メチレン中、20℃における極限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
以上の評価結果を以下の表1および表2に示す。
Figure 0005749080
Figure 0005749080
上記表に示す実施例1〜12から、本発明で規定する要件を満たすポリカーボネート樹脂(A)、ガラス繊維(B)、白色顔料混合物(C)を所定量含有するポリカーボネート樹脂組成物は、強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)に優れ、白色度に優れ、光線透過率、さらに成形品の外観特性と収縮率にも優れる。
一方、上記表2の比較例に示されるように、本発明で規定する要件を満たさない比較例のポリカーボネート樹脂組成物は、強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)、白色度、光線透過率、外観特性と収縮率のバランスを全て満たすことはできず、いずれかの性質が劣ることがわかる。
したがって、上記の実施例及び比較例から、強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)に優れ、白色度に優れ、光線透過率、さらに成形品の外観特性と収縮率を同時に満たすという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度に優れ、着色時の色映えに優れ、さらに成形品の外観特性にも優れるポリカーボネート樹脂材料である、各種用途における成形体として使用でき、電池装置、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品あるいは部材に用いて好適であり、特にカラーバリエーションが必要な携帯電子機器の筐体用の材料として好ましく使用することができるので、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (6)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜95質量%と平均アスペクト比が5〜300のガラス繊維(B)5〜60質量%の(A)および(B)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および酸化亜鉛(C−3)を、(C−1)/(C−2)/(C−3)の質量比が90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5の比率で含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)20〜90質量%と平均アスペクト比が5〜300のガラス繊維(B)5〜60質量%とポリカーボネートオリゴマー(E)5〜20質量%の(A)と(B)と(E)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および酸化亜鉛(C−3)を、(C−1)/(C−2)/(C−3)の質量比が90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5の比率で含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 混合物(C)は、化亜鉛(C−3)を、(C−1)〜(C−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. JIS K7105に準じて測定した1mm厚みでの全光線透過率が11%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  6. 成形体が、携帯電子機器の筐体であることを特徴とする請求項に記載の成形体。
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