JP2016098242A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】剛性・耐力と成形性・流動性の両方の特性をより高いレベルで同時に達成するポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】粘度平均分子量が18,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50質量%超〜90質量%以下および熱可塑性ポリエステル樹脂(B)10質量%以上50質量%未満を含有するポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、無機充填材(C)を5〜25質量部、不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)を3〜15質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物および成形品に関し、詳しくは、剛性・耐力及び成形性・流動性の両方をより高いレベルで同時に達成したポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。
従来より、ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性などにも優れることから、電気・電子機器部品、OA機器部品、機械部品、車輌用部品等の幅広い分野で使用されている。
さらに、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂からなるポリマーアロイは、ポリカーボネート樹脂の上記の優れた特長を活かしつつ、芳香族ポリカーボネート樹脂の欠点である耐薬品性や成形加工性が改良された材料であり、車輌内装・外装部品、各種ハウジング部材やその他幅広い分野で使用されている。
そして、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂からなるポリマーアロイは、その剛性や寸法安定性を向上させるために、無機充填材を配合させることがよく行われている。しかし、無機充填材を含有する樹脂組成物は成形加工性(流動性)が低下するという問題がある。
また、近年、上記した各種部品用途においては、薄肉高剛性化の要求が極めて強く、無機フィラーを多く含有しても、高い剛性や耐力を有し、かつ、流動性、成形性に優れることが強く求められている。
ポリカーボネート樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂からなるポリマーアロイの成形性や流動性を向上させるには、樹脂自体の粘度を下げることで可能であるが、剛性や耐力が低下する。剛性や耐力と、成形性や流動性は背反する関係にあり、両者をバランス良く解決することが必要である。
本出願人は、特許文献1にて、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂にウォラストナイトを含有する樹脂組成物において、ウォラストナイトがポリカーボネート樹脂相中に存在することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が、剛性、流動性、耐衝撃性等に優れることを提案している。そして、各種のゴム性重合体を耐衝撃性の向上のために配合することも記載され、実施例においては各種のコア/シェル型グラフト共重合体を用いた例も開示されている。しかしながら、剛性・耐力と成形性・流動性の両方をより高度なレベルでバランスさせるという点では必ずしも十分とはいえない。
特開2009−35616号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、剛性・耐力と成形性・流動性の両方の特性をより高いレベルで同時に達成するポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の粘度平均分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂に熱可塑性ポリエステル樹脂及び無機充填材をそれぞれ特定量で配合し、これに不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体を特定の量で配合すると、剛性・耐力と成形性・流動性の両方の特性をより高いレベルで同時に達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物および成形品である。
[1]粘度平均分子量が18,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50質量%超〜90質量%以下および熱可塑性ポリエステル樹脂(B)10質量%以上50質量%未満を含有するポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、無機充填材(C)を5〜25質量部、不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)を3〜15質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]無機充填材(C)が針状無機充填材である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]無機充填材(C)がウォラストナイトである上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]熱可塑性ポリエステル樹脂(B)がポリブチレンテレフタレートである上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)が、不飽和カルボン酸変性されたSEBS樹脂である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品は、剛性・耐力と成形性・流動性の両方の特性をより高いレベルで同時に達成することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が、かかる効果を発現する理由は、数あるゴム性重合体の中から不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)を配合することにより、無機充填材の表面官能基を、スチレン系ゴム性重合体(D)にグラフトしているカルボン酸が化学的に捕捉することで接着効果がもたらされ、さらに、マトリックス樹脂である芳香族ポリカーボネート樹脂と、スチレン系ゴム性重合体(D)のハードセグメントであるポリスチレンブロックの相溶性により、通常は結晶核となってポリエステル樹脂(B)中に存在しやすい個々の無機充填材(C)が、不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)に包接される形で存在し、これがポリカーボネート樹脂マトリックス中に均一に分散することにより、界面密着性が格段に向上し、靭性(引張伸度等)を向上させているものと考えられる。かかる形態制御が実現されることにより、マトリックス樹脂である芳香族ポリカーボネート樹脂中でスチレン系ゴム性重合体(D)が無機充填材(C)の緩衝相として作用するものと推測され、射出成形時のせん断−流動方向への追従性が増すことにより、流動性が向上するものと考えられる。
図1は、このような効果を樹脂組成物のモルフォロジーから確認するために行った観察結果を示す図である。右側の図1−bは実施例1で得られた樹脂組成物のミクロ形態を観察した結果を示す図である。図中、黒い棒状が無機充填材(C)であるが、不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)に周囲を囲まれる形で存在し、ポリカーボネート樹脂マトリックス中に均一に分散していることが確認できた。一方、図1−aは不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)以外のゴム性重合体を配合した比較例4のミクロ形態図であるが、図に示すように、無機充填材(C)は結晶核になってポリエステル樹脂(B)中に存在してしまっていることが確認された。
樹脂組成物のミクロ形態を観察した結果を示す図であり、図1−bは実施例1の樹脂組成物のミクロ形態図であり、図1−aは比較例4の樹脂組成物のミクロ形態図である。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
また、本明細書において、特に断りのない限り、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
[概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、粘度平均分子量が18,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50質量%超〜90質量%以下および熱可塑性ポリエステル樹脂(B)10質量%以上50質量%未満を含有するポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、無機充填材(C)を5〜25質量部、不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)を3〜15質量部含有することを特徴とする。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、その種類に制限は無く、また、1種のみを用いてもよく、2種以上を、任意の組み合わせ及び任意の比率で、併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、一般式−(−O−X−O−C(=O)−)−で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。式中、Xは、芳香族炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂とは、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素であるポリカーボネート樹脂をいう。芳香族ポリカーボネートは、各種ポリカーボネートのなかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、優れている。
芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限は無いが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしても良い。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いても良い。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このような芳香族ポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、以下のとおりである。
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。
これらのなかでもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、なかでもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて、具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、芳香族ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによって芳香族ポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体のなかでもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、なかでも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になるようにコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、なかでも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、なかでも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、なかでも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、芳香族ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、なかでも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が、熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式のいずれの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし、芳香族ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
構造粘性指数Nとは、文献「化学者のためのレオロジー」(化学同人、1982年、第15〜16頁)にも詳記されているように、溶融体の流動特性を評価する指標である。通常、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、数式:γ=a・σにより表示することができる。なお、前記式中、γ:剪断速度、a:定数、σ:応力、N:構造粘性指数、を表す。
上述の数式において、N=1のときはニュートン流動性を示し、Nの値が大きくなるほど非ニュートン流動性が大きくなる。つまり、構造粘性指数Nの大小により溶融体の流動特性が評価される。一般に、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂は、低剪断領域における溶融粘度が高くなる傾向がある。このため、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂を別のポリカーボネート樹脂と混合した場合、得られる成形品の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。ただし、得られるポリカーボネート樹脂組成物の成形性を良好な範囲に維持するためには、このポリカーボネート樹脂の構造粘性指数Nは過度に大きくないことが好ましい。
従って、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、構造粘性指数Nが、通常1.2以上、好ましくは1.25以上、より好ましくは1.28以上であり、また、通常1.8以下、好ましくは1.7以下のポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
このように構造粘性指数Nが高いことは、ポリカーボネート樹脂が分岐構造を有することを意味し、このように構造粘性指数Nが高いポリカーボネート樹脂を含有することにより、ポリカーボネート樹脂成形品の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。
なお、構造粘性指数Nは、例えば特開2005−232442号公報に記載されているように、上述の式を誘導した、Logη=〔(1−N)/N〕×Logγ+Cによって表示することも可能である。なお、前記式中、N:構造粘性指数、γ:剪断速度、C:定数、η:見かけの粘度、を表す。この式から分かるように、粘度挙動が大きく異なる低剪断領域におけるγとηからN値を評価することもできる。例えば、γ=12.16sec−1及びγ=24.32sec−1でのηからN値を決定することができる。
構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報に記載されているように、溶融法(エステル交換法)によって芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを反応させる際、触媒の条件または製造条件を選択することにより、分岐剤を添加することなく、構造粘性指数が高く、加水分解安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また、構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂は、常法に従って、ホスゲン法あるいは溶融法(エステル交換法)で製造する際に、分岐剤を使用する方法によって製造することもできる。
分岐剤の具体例としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、また3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノールなどが挙げられる。
その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%の範囲であり、特に好ましくは0.1〜3モル%の範囲である。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂組成物において、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、上述した構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂(以下、このポリカーボネート樹脂を「所定Nポリカーボネート樹脂」と称す場合がある。)を、ポリカーボネート樹脂中、通常20質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上含むことが望ましい。このように所定Nポリカーボネート樹脂と組合せることにより、必要以上に押出し時のトルク上昇を招かないため、生産性の低下を招きにくくなる。すなわち、成形性と生産性をいずれも顕著に発揮できることになる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)中の、所定Nポリカーボネート樹脂の含有量の上限に制限は無く、通常100質量%以下であるが、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
また、所定Nポリカーボネート樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、上述した所定Nポリカーボネート樹脂以外に、構造粘性指数Nが上記の所定範囲外であるポリカーボネート樹脂を含んでいてもよい。その種類に制限は無いが、なかでも直鎖状ポリカーボネート樹脂が好ましい。所定Nポリカーボネート樹脂と直鎖状ポリカーボネート樹脂とを組み合わせることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性(滴下防止性)と成形性(流動性)のバランスをとりやすいという利点が得られる。この観点から、ポリカーボネート樹脂は、所定Nポリカーボネート樹脂と、直鎖状ポリカーボネート樹脂とから構成されるものを用いることが特に好ましい。なお、この直鎖状ポリカーボネート樹脂の構造粘性指数Nは通常1〜1.15程度である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、粘度平均分子量[Mv]で18,000〜50,000である。粘度平均分子量が18,000未満では、機械的強度が十分ではなく、粘度平均分子量が50,000を超えると、流動性が悪く成形性が悪くなる。粘度平均分子量は、好ましくは19,000以上であり、より好ましくは20,000以上、さらに好ましくは21,000以上、特には22,000以上が好ましく、好ましくは45,000以下であり、より好ましくは40,000以下、さらには好ましくは36,000以下、特には33,000以下が好ましい。分子量をこのような範囲に調節するには、後記するような分子量調節剤の量を制御する等の公知の方法で可能である。
本明細書において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量[Mv]は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83 から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
・芳香族ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)にて行われる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、モノマー組成、分子量、末端水酸基濃度等が異なる芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して使用してもよい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂に他の熱可塑性樹脂を混合したアロイ(混合物)として組み合わせて用いてもよい。
さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、芳香族ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、芳香族ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらに芳香族ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれる芳香族ポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[熱可塑性ポリエステル樹脂(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いる熱可塑性ポリエステル樹脂(B)としては、ジカルボン酸類又はその反応性誘導体からなるジカルボン酸成分と、ジオール類又はそのエステル誘導体からなるジオール成分とを主成分とする縮合反応により得られる重合体又は共重合体であるが、好ましくは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、これを脂肪族ジオールを主とするアルコールと重縮合反応させて得られる熱可塑性ポリエステル樹脂を用いる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−タ−フェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸等が挙げられ、これらの置換体(例えば、5−メチルイソフタル酸などのアルキル基置換体など)や反応性誘導体(例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチルなどのアルキルエステル誘導体など)等を用いることもできる。
これらのうち、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそれらのアルキルエステル誘導体がより好ましく、テレフタル酸及びそのアルキルエステル誘導体が特に好ましい。これら芳香族ジカルボン酸は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、該芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等の1種以上併用することも可能である。
ジオール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トランス−又はシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール類;p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)等の芳香族ジオール類等を挙げることができ、これらの置換体も使用することができる。
これらのうち、耐熱性、寸法安定性等の点から、脂肪族ジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールがより好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
ジオールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、ジオール成分として、分子量400〜6,000の長鎖ジオール類、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の1種以上を上記ジオ−ル類と併用して共重合させてもよい。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)には、パラヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸や、その他のカルボン酸、上記ジオール以外のアルコールを共重合させることができ、本発明ではこのような共重合樹脂を用いることもできる。しかしながら、このような共重合成分は少量であるのが好ましく、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の80質量%以上、更には90質量%以上が、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからの成分であるのが好ましい。また芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールは、それぞれその80モル%以上、更には90モル%以上を1種類の化合物が占めるのが好ましい。
このような熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の好ましい具体例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらは共重合成分を含有していてもよい。本発明では、これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いるのが好ましく、また両者を併用するのも好ましい。なお併用する場合には、その比率はPET:PBT=1:1〜1:8(質量比)が好ましい。
ポリエチレンテレフタレートの製造するための重合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、チタン化合物などが知られているが、本発明ではゲルマニウム化合物を触媒として重合したものを用いるのが好ましい。他の触媒で重合したものを用いると、最終的に得られる芳香族ポリカーボネート樹脂との組成物の熱安定性及びリサイクル性が低下する傾向がある。触媒として用いるゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム酸化物、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシドなどのゲルマニウムアルコキシド、水酸化ゲルマニウムおよびそのアルカリ金属塩、ゲルマニウムグリコレート、塩化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、二酸化ゲルマニウムを用いるのが、得られるポリエチレンテレフタレートの耐溶剤性および熱安定性の点から好ましい。
ゲルマニウム触媒は、生成するポリエチレンテレフタレート中に、ゲルマニウム原子として15ppm〜40ppmとなるように用いるのが好ましい。15ppm未満では重合反応の進行が遅く、40ppmをこえると樹脂中に残存したゲルマニウム化合物によって副反応を生じることがある。
ポリブチレンテレフタレートとしては、チタン化合物を主触媒とし、1族金属化合物や2族金属化合物を助触媒として重合したものを用いるのが好ましい。チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物類;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート類;テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート類等が挙げられる。なかでもチタンアルコラート類を用いるのが好ましい。最も好ましいのはテトラアルキルチタネート類、特にテトラブチルチタネートである。
チタン化合物は、生成するポリブチレンテレフタレート中に、チタン原子換算で20ppm〜50ppm、特に30〜40ppmとなるように用いるのが好ましい。チタン化合物の使用量が多過ぎると、生成するポリブチレンテレフタレートの色調や耐加水分解性が低下したり、チタン触媒の失活による溶液ヘイズや異物増加が生ずる場合がある。逆に少な過ぎてもポリブチレンテレフタレートの重合性が低下しやすい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の分子量としては、フェノールとテトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=50/50)中、30℃で測定される固有粘度(Iv)が0.4〜2.0であるのが好ましい。固有粘度が0.4未満のものを用いたのでは樹脂組成物の機械的強度が劣り、逆に2.0を超えるものでは成形性が低下する傾向がある。熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の好ましい固有粘度は0.6〜1.2である。
なお、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)としては、バージン品だけでなく、使用済みの製品から再生されたもの、いわゆるマテリアルリサイクルされたものも用いることもでき、また、成形に際しての不良品、スプルー、ランナーなどから再生されたものを用いることもでき、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)は、このようなリサイクル材を用いることも好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量%基準で、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)が50質量%超〜90質量%以下、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)10質量%以上50質量%未満である。熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の含有量が10質量%未満の場合は、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐薬品性、硬度および光沢を向上させる効果が充分に得られず、50質量%以上になると、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性、滞留熱安定性や寸法安定性等が悪化する。
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の含有量は、45質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下である。また、15質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらには25質量%以上、特には30質量%以上が好ましい。
[無機充填材(C)]
本発明の(C)成分である無機充填材は、例えば、ウォラストナイト、ゾノトライト、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、セラミックバルーン、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの無機充填材は、1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
無機充填材(C)は、針状、繊維状、フレーク状、球状、中空状等を各種の形状のものを自由に選択できるが、樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上、および寸法安定性のためには針状のものが特に好適である。針状の無機充填材としては、特に針状であるウォラストナイトがウェルド性能に優れるという観点からも好ましい。
ウォラストナイトは、CaO・SiOで示され、天然に産出する白色の針状結晶性鉱物であり、また合成したものであってもよい。
ウォラストナイトの初期の繊維径は平均径2〜30μmが好ましく、より好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは4〜15μm、特に好ましくは5〜10μmである。平均繊維径が2μm未満では加工中に破断しやすく、30μmを超えると補強効果が小さくなりやすい。また、ウォラストナイトの初期の平均アスペクト比(初期の平均繊維長を初期の平均繊維径で除した値)が4〜40であることが好ましく、より好ましくは5〜30、さらに好ましくは6〜20である。
なお、本発明における無機充填材(C)の平均繊維長および平均繊維系は、顕微鏡による拡大下で100個以上の粒子の繊維長および繊維径を測定した平均値である。
無機充填材(C)は、樹脂との接着性を向上させる目的で公知の表面処理剤を用いて処理してもよい。表面処理剤の種類としてはアミノ基やエポキシ基を含有するシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等を例示できる。このような表面処理剤は、予め無機充填材の表面に処理してもよいし、樹脂と無機充填材を混合する際に添加して処理してもよい。
カップリング剤としては、シラン系、クロム系、チタン系等のカップリング剤等が挙げられ、中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリクロロシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン等のシラン系カップリング剤を含むものが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の無機充填材(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、5〜25質量部である。無機充填材(C)の量が5質量部未満では、機械的強度の改良効果が小さく、25質量部を越えると成形品の表面平滑性が低下し、流動性や外観が悪化するので好ましくない。無機充填材(C)の含有量は、好ましくは8質量部以上であり、20質量部以下である。
[不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)]
本発明における(D)成分である不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)は、スチレン系ゴム性重合体を不飽和カルボン酸でグラフト変性したゴム性重合体(エラストマー)である。
スチレン系ゴム性重合体としては、スチレンにジエン化合物、アクリロニトリル等を共重合したもの、さらにこれらのスチレンの一部、及びジエン化合物、アクリロニトリルの一部又は全部が、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチルなどのエステル化合物、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体等のスチレンと共重合可能なビニル系単量体で置換されているもの等が挙げられる。
スチレン系ゴム性重合体として具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体、ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水素添加スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン共重合体、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。スチレン系ゴム性重合体は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)は、上記したようなスチレン系ゴム性重合体のスチレン等の単量体の一部を不飽和カルボン酸単量体で置換したもの、あるいはスチレン系ゴム性重合体に不飽和カルボン酸をブロック共重合したもの等が挙げられる。
不飽和カルボン酸単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジエステル、フマル酸金属塩、フマル酸アンモニウム塩、フマル酸ハロゲン化物等のフマル酸誘導体が挙げられ、好ましくは無水マレイン酸である。これら不飽和カルボン酸単量体は1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)における不飽和カルボン酸変性度(未変性のスチレン系ゴム性重合体100質量%に対する不飽和カルボン酸の質量%)は、0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%、1〜5質量%であることが好ましい。
不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)としては、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)の不飽和カルボン酸変性物が好ましく、とりわけ無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(m−SEBS)が好ましい。
不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)は、その製造方法において何ら制限されるものではなく、公知の方法、例えば乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法等によって、またはこれらを組み合わせた方法により得ることができる。
また、このような不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)としては、市販品を用いることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体である旭ケミカルズ株式会社製の商品名「タフテックM1913」、台湾国TSRC社製の無水マレイン酸グラフト変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体である商品名「TAIPOL SEBS−7131」等が好適に使用できる。
不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、3〜15質量部である。このような量で無機充填材(B)とともに配合することで、無機充填材(C)の表面官能基を、スチレン系ゴム性重合体(D)にグラフトしているカルボン酸が化学的に捕捉することで接着効果がもたらされ、さらに、マトリックス樹脂である芳香族ポリカーボネート樹脂と、スチレン系ゴム性重合体(D)のハードセグメントであるポリスチレンブロックの相溶性により、通常は結晶核となってポリエステル樹脂(B)中に存在しやすい個々の無機充填材(C)が、不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)に包接される形で存在し、これがポリカーボネート樹脂マトリックス中に均一に分散することにより、界面密着性を格段に向上させ、また、良好な成形性、高度な流動性も達成することができるものと考えられる。このような効果は、不飽和カルボン酸変性されていてもスチレン系ゴム性重合体以外の他のエラストマーでは達成できないことが、後記した比較例からも確認できた。
不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)の含有量は、3.5質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、中でも4.5質量部以上、特に5質量部以上が好ましく、また、好ましくは12質量部以下、より好ましくは10質量部以下、特に好ましくは8質量部以下である。
[その他の添加剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、安定剤、酸化防止剤、離型剤、染顔料、着色剤、蛍光増白剤、難燃剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、難燃剤などが挙げられる。
[リン系安定剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスホナイト化合物、有機ホスファイト化合物、有機リン酸エステル化合物の亜鉛塩などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物、有機リン酸エステル化合物の亜鉛塩が特に好ましい。
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
有機リン酸エステル化合物の亜鉛塩としては、ビス(ジステアリルアシッドホスフェート)亜鉛塩、モノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩等のステアリルアシッドホスフェートの亜鉛塩が好ましく挙げられる。これらの市販のものとしては、城北化学工業社製「JP−518Zn」等がある。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
リン系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量以下、より好ましくは0.5質量部以下である。リン系安定剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、熱安定効果が不十分となる可能性があり、リン系安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[フェノール系安定剤]
本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール系安定剤を含有することも好ましい。フェノール系安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、BASF社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
フェノール系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。フェノール系安定剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、フェノール系安定剤としての効果が不十分となる可能性があり、フェノール系安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[離型剤]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤(滑剤)を含有することも好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[染顔料]
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料および有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;キノリン系、アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、カーボンブラック、酸化チタン、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系染顔料などが好ましい。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。また、染顔料は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
染顔料の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。染顔料の含有量が多すぎると耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、無機充填材(C)及び不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)、並びに、必要に応じて配合される上記したその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。無機充填材(C)は必要により、サイドフィードすることも好ましい。
なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
[成形方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、シートやフィルム、異型押出成形品、ブロー成形品あるいは射出成形品等にすることもできる。
成形方法の例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
[成形品]
本発明のポリカーボネート樹脂は、剛性・耐力と成形性・流動性の両方に優れるので、薄肉化や靭性、強度が要求される各種の成形品に好適であり、好ましい成形品としては、自動車等の内外装部品、例えばドアハンドル、ルーフレール、フェンダー等、各種携帯端末、パソコン、PDA、テレビ、ビデオ、カメラ、プリンター、FAX等の電気電子機器やOA機器等の筐体として特に好適に使用することができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例で使用した材料は、以下の表1及び表2に記載のとおりである。
(実施例1〜9、比較例1〜11)
上記表1及び表2に記載の各材料を以下の表に記載の含有量(全て質量部)で、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度270℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[試験片の成形]
得られたペレットを、120℃で5時間以上乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製「J55AD」)にて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片を作製した。
[測定・評価法]
<流動性評価>
得られたペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、JIS K7210 付属書Cに記載の方法にて高化式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgfの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cm/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。Q値が高いほど、流動性に優れていることを示す。
<剛性評価>
前記の方法で得られたISO多目的試験片を、ISO規定の方法で加工し、曲げ試験用の試験片を作製した。得られた試験片を用い、ISO178規格に準じて、曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
<靭性評価>
得られたISO多目的試験片を用い、ISO527−1&2規格に準じて、引張伸び率(単位:%)を測定した。
<耐熱性評価>
得られたISO多目的試験片を用い、ISO75−1&2に従い、荷重1.80MPaの条件(A法)にて、DTUL(荷重撓み温度、単位:℃)の測定を行った。
以上の評価結果を以下の表に示す。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、薄肉化や靭性、強度が要求される各種の成形品に好適であり、自動車等の内外装部品や電気電子機器やOA機器等の筐体としての広範囲の分野に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (6)

  1. 粘度平均分子量が18,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50質量%超〜90質量%以下および熱可塑性ポリエステル樹脂(B)10質量%以上50質量%未満を含有するポリカーボネート樹脂(A)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の合計100質量部に対し、無機充填材(C)を5〜25質量部、不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)を3〜15質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 無機充填材(C)が針状無機充填材である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 無機充填材(C)がウォラストナイトである請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 熱可塑性ポリエステル樹脂(B)がポリブチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 不飽和カルボン酸変性スチレン系ゴム性重合体(D)が、不飽和カルボン酸変性されたSEBS樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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