JP5745885B2 - 新規な白色感光性樹脂組成物及びその利用 - Google Patents

新規な白色感光性樹脂組成物及びその利用 Download PDF

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Description

この発明は、感光性を有するため微細加工が可能であり、希アルカリ水溶液で現像可能であり、得られる硬化膜が反射率に優れ、柔軟性に富み、ハンダ耐熱性、耐有機溶剤性、難燃性に優れ、硬化後の基板の反りが小さく、高温熱履歴又は光照射後の反射率・色相変化の少ない白色感光性樹脂組成物、樹脂フィルム、絶縁膜、絶縁膜付きプリント配線板に関するものである。
ポリイミド樹脂は、耐熱性、電気絶縁信頼性や耐薬品性、機械特性に優れることから電気・電子用途に広く使用されている。例えば、半導体デバイス上への絶縁フィルムや保護コーティング剤、フレキシブル回路基板や集積回路等の基材材料や表面保護材料、更には、微細な回路の層間絶縁膜や保護膜を形成させる場合に用いられる。
特に、フレキシブル回路基板用の表面保護材料として用いる場合には、ポリイミドフィルム等の成形体に接着剤を塗布して得られるカバーレイフィルムが用いられてきた。このカバーレイフィルムをフレキシブル回路基板上に接着する場合、回路の端子部や部品との接合部に予めパンチングなどの方法により開口部を設け、位置合わせをした後に熱プレス等で熱圧着する方法が一般的である。
しかし、薄いカバーレイフィルムに高精度な開口部を設けることは困難であり、また、張り合わせ時の位置合わせは手作業で行われる場合が多いため、位置精度が悪く、張り合わせの作業性も悪く、コスト高となっていた。
一方、回路基板用の表面保護材料としては、ソルダーレジストなどが用いられる場合もあり、特に感光性機能を有するソルダーレジストは、微細な加工が必要な場合には好ましく用いられている。この感光性ソルダーレジストとしては、エポキシ樹脂等を主体とした感光性樹脂組成物が用いられるが、この感光性ソルダーレジストは、絶縁材料としては電気絶縁信頼性に優れるが、屈曲性等の機械特性が悪く、硬化収縮が大きいためフレキシブル回路基板などの薄くて柔軟性に富む回路基板に積層した場合、基板の反りが大きくなり、フレキシブル回路基板用に用いるのは難しかった。また、難燃性にも乏しく、難燃性を付与する目的で難燃剤を添加した場合に、物性低下や硬化膜から難燃剤がしみ出すブリードアウトによる接点障害や工程汚染が問題であった。
この感光性ソルダーレジストとして、柔軟性や難燃性を発現することができる種々の提案がされている。
例えば、難燃性及び耐めっき性に優れ、ソルダーレジストに要求される諸特性を備えた硬化膜を形成可能な、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を含有する重合性化合物、重合開始剤、ホスフィン酸塩を含有する感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、近年、発光ダイオード(LED)は低消費電力、長寿命、小型化・薄膜化・軽量化が可能な点で携帯機器、パソコン、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト、照明装置への応用が実用化されており、LEDチップを実装するプリント配線板は、LEDチップからの光を効率的に活用するために、プリント配線板の絶縁保護膜である感光性ソルダーレジストにも高反射率が求められている。
このような高反射率のソルダーレジストとして、コーティング性、光硬化性、現像性、はんだ耐熱性、密着性、電気絶縁性などの特性を有し、経時による反射率の低下および劣化による着色を抑えた高反射率のソルダーレジスト組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、半田リフロー時の高温に晒されたり、または光が照射されたりしたときに、白色から変色し難く、かつ反射率が低下し難い、シロキサンポリマー、白色フィラー、酸無水物基又はカルボキシル基と、不飽和二重結合を有する樹脂を含有するレジスト材料が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2009−294319号公報 特開2007−322546号公報 国際公開第2009/090867号
上記特許文献では、感光性ソルダーレジストの課題を解決する種々の方法が提案されている。しかし、特許文献1に記載されている感光性樹脂組成物は、リン含有化合物であるホスフィン酸塩を含有するため難燃性、耐めっき性、はんだ耐熱性、HAST耐性等には優れるものの、反射率が低く、高温に晒されたり、光が照射されたときの変色が大きいという問題がある。特許文献2に記載されているソルダーレジスト組成物は、芳香環を有さないカルボキシル基含有樹脂、ルチル型酸化チタンを含有するため高反射率であり経時による反射率の低下および劣化による着色が抑えられているものの、難燃性、柔軟性に乏しく硬化時の収縮が大きいため、フレキシブルプリント配線板の絶縁保護膜として利用した場合、難燃性、耐折れ性に乏しく反りが大きい問題があった。特許文献3に記載されているレジスト材料は、シロキサンポリマー、白色フィラー、酸無水物基又はカルボキシル基と、不飽和二重結合とを有する樹脂とを含有するため、半田リフロー時の高温に晒されたり、または光が照射されたりしたときに、白色から変色し難く、かつ反射率が低下し難いものの、フレキシブルプリント配線板の絶縁保護膜として利用した場合、シロキサンポリマーによる接着不良、工程汚染、不純物のブリードアウトによる接点障害が問題となり、また難燃性、耐折れ性に乏しく反りが大きい問題があった。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、少なくとも、(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂、(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂、(C)ラジカル重合性化合物、(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物、(E)光重合開始剤、(F)ルチル型酸化チタン、(G)ホスフィン酸塩を含有し、ケイ素含有有機化合物を実質的に含有しないことを特徴とする白色感光性樹脂組成物から、感光性を有するため微細加工が可能であり、希アルカリ水溶液で現像可能であり、得られる硬化膜が反射率に優れ、柔軟性に富み、ハンダ耐熱性、耐有機溶剤性、難燃性に優れ、硬化後の基板の反りが小さく、高温熱履歴又は光照射後の反射率・色相変化が少ない白色感光性樹脂組成物、樹脂フィルム、絶縁膜、絶縁膜付きプリント配線板が得られる知見を得、これらの知見に基づいて、本発明に達したものである。本発明は以下の新規な構成の白色感光性樹脂組成物により上記課題を解決しうる。
すなわち、本願発明は、少なくとも、(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂、(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂、(C)ラジカル重合性化合物、(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物、(E)光重合開始剤、(F)ルチル型酸化チタン、(G)ホスフィン酸塩を含有し、ケイ素含有有機化合物を実質的に含有しないことを特徴とする白色感光性樹脂組成物である。
また、本願発明にかかる白色感光性樹脂組成物では、前記(D)が、分子内に芳香環を実質的に含有しないエポキシ樹脂であることが好ましい。
また、本願発明にかかる白色感光性樹脂組成物では、前記(D)が、前記(A)及び前記(B)を合計した100重量部に対して、1〜100重量部となるように配合されていることが好ましい。
また、本願発明にかかる白色感光性樹脂組成物では、前記(F)が、前記(A)、前記(B)、前記(C)及び前記(D)を合計した100重量部に対して、10〜150重量部となるように配合されていることが好ましい。
また、本願発明にかかる白色感光性樹脂組成物では、前記(G)が、前記(A)、前記(B)、前記(C)及び前記(D)を合計した100重量部に対して、1〜50重量部となるように配合されていることが好ましい。
また、本願発明にかかる白色感光性樹脂組成物では、更に(H)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有することが好ましい。
また、本願発明にかかる白色感光性樹脂組成物では、前記(H)が、前記(A)、前記(B)、前記(C)及び前記(D)を合計した100重量部に対して、0.001〜1重量部となるように配合されていることが好ましい。
また、本願発明にかかる樹脂フィルムは、上記白色感光性樹脂組成物を基材表面に塗布した後、乾燥して得られるものである。
また、本願発明にかかる絶縁膜は、上記樹脂フィルムを硬化させて得られるものである。
また、本願発明にかかる絶縁膜付きプリント配線板は、上記絶縁膜をプリント配線板に被覆してなるものである。
本願発明の白色感光性樹脂組成物は、以上のように、少なくとも、(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂、(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂、(C)ラジカル重合性化合物、(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物、(E)光重合開始剤、(F)ルチル型酸化チタン、(G)ホスフィン酸塩を含有し、ケイ素含有有機化合物を実質的に含有しない構成を備えているので、本願発明の白色感光性樹脂組成物は、感光性を有するため微細加工が可能であり、希アルカリ水溶液で現像可能であり、得られる硬化膜が反射率に優れ、柔軟性に富み、ハンダ耐熱性、耐有機溶剤性、難燃性に優れ、硬化後の基板の反りが小さく、高温熱履歴又は光照射後の反射率・色相変化が少ない。従って、本願発明の白色感光性樹脂組成物は、種々の回路基板の保護膜等に使用でき、優れた効果を奏するものである。
フィルムの反り量を測定している模式図である。
以下本願発明について、(I)白色感光性樹脂組成物、(II)白色感光性樹脂組成物の使用方法の順に詳細に説明する。
(I)白色感光性樹脂組成物
本願発明の白色感光性樹脂組成物とは、少なくとも、(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂、(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂、(C)ラジカル重合性化合物、(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物、(E)光重合開始剤、(F)ルチル型酸化チタン、(G)ホスフィン酸塩を含有し、ケイ素含有有機化合物を実質的に含有しなければよい。
また、本願発明のケイ素含有有機化合物を実質的に含有しないとは、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(G)成分がケイ素含有有機化合物を含有せず、また、本願発明の白色感光性樹脂組成物に配合されるその他の成分にもケイ素含有有機化合物が含有されないということである。但し、無機フィラーなどを表面処理する目的で使用されるシランカップリング剤は含有していてもよい。
ここで、本願発明の白色感光性樹脂組成物は、各種特性に優れる事を、本発明者らは見出したが、これは、以下の理由によるのではないかと推測している。つまり、(A)成分である分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂は、分子中にカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液に代表される現像液に可溶となり、露光・現像により微細加工が可能となる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来のアルキル基が柔軟性成分として機能し、更に分子内に感光性基であるラジカル重合性基を実質的に含有しないため、感光性基の反応に伴う架橋密度の向上が見られず、柔軟性成分が束縛されない。よって、これを用いた白色感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は柔軟性に優れる。
また、(B)成分である分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂は、分子中にカルボキシル基を有するためアルカリ現像性に優れ、ラジカル重合性基を有するため感光性に優れる。更に、ラジカル重合性基を実質的に含有しない(A)成分と組み合わせることにより、ラジカル重合性基濃度を最適な範囲に調整することが可能となるため、露光・現像による微細加工性と硬化膜の柔軟性を高いレベルで両立することが可能となる。
また、(C)成分であるラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性に優れるため、ラジカル重合性基の反応の架橋点間距離を最適な範囲に調整することが可能となる。
また、(D)成分である分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物は、(A)成分及び(B)成分に含有されるカルボキシル基と反応して架橋構造をとるため得られる硬化膜の耐熱性、耐薬品性に優れ、また分子内に芳香環を実質的に含有しないため熱や紫外線などのエネルギーに対して安定であり、着色し難い。
また、(F)成分であるルチル型酸化チタンは、酸化チタンの光触媒活性能が抑制されているため本願発明の白色感光性樹脂組成物に配合された場合に、得られる硬化膜が熱や紫外線などのエネルギーに対して安定となり着色し難く、高温熱履歴又は光照射後の反射率・色相変化が少ない。更に充填材(フィラー)として扱うことができるため、得られる硬化膜のガラス転移温度の低下や硬化塗膜の表面硬度の低下が発生せず、比較的低添加量で充分な反射率が得られ反射率変化も少ない。
また、(G)成分であるホスフィン酸塩は、本願発明の白色感光性樹脂組成物に配合された場合に、充填材(フィラー)として扱うことができるため、得られる硬化膜からの難燃剤成分のブリードアウトが発生し難く、ガラス転移温度の低下や硬化塗膜の表面硬度の低下が発生せず、耐熱性や耐加水分解性に優れた硬化膜が得られる。更に、驚くべきことに、本願発明の白色感光性樹脂組成物は(F)成分や(G)成分などのフィラー成分を含有しているにも拘らず硬化膜の脆化が見られず、柔軟性や耐折れ性に富んだ硬化膜が得られる。これは、(A)成分の分子内にラジカル重合性基が実質的に含有されないため、硬化膜の架橋点間距離が大きくなり柔軟な架橋構造となり、更に(A)成分及び(B)成分に含有されるカルボキシル基とホスフィン酸塩との親和性が高いため、界面の接着力が向上しているためではないかと推測している。
また、本願発明の白色感光性樹脂組成物は、ケイ素含有有機化合物を実質的に含有しないため、得られる硬化膜からのケイ素含有有機化合物由来の不純物のブリードアウトが発生しないため、硬化膜をプリント配線板の絶縁膜として用いた場合、ブリードアウトが原因となる接点障害や実装部品の動作不良を誘発せず、また加工工程をケイ素含有有機化合物が残留することによる工程汚染の懸念がない。
以下(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂、(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂、(C)ラジカル重合性化合物、(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物、(E)光重合開始剤、(F)ルチル型酸化チタン、(G)ホスフィン酸塩、(H)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤及び/又は光安定剤、その他の成分、及び、(A)〜(G)成分又は(A)〜(H)成分の混合方法について説明する。
<(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂>
本願発明の(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂とは、分子内にラジカル重合性基を実質的に含有せず、少なくとも1つのカルボキシル基を有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で、3,000以上300,000以下の少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるポリマーである。
ここで、分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しないとは、分子内に(メタ)アクリロイル基やビニル基等のラジカル重合性基を全く含有しなくてもよいし、本願発明の効果の発現を損なわない範囲であれば含有していてもよい。本願発明の効果の発現を損なわない範囲とは、(A)成分の分子内のラジカル重合性基をヨウ素価として測定することにより定量した値が5未満である。ヨウ素価とは、試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した値であり、JIS K0070で規定された方法で測定することができる。
本願発明の(A)成分のカルボキシル基含有量は、酸価として測定できる。ここで、酸価とは試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、例えば、JIS K5601−2−1で規定された方法で測定することができる。
本願発明で用いられる(A)成分の酸価は、50〜200mgKOH/gとすることが好ましく、50〜150mgKOH/gとすることがより好ましい。酸価が50mgKOH/gより小さい場合では白色感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が低下する場合があり、200mgKOH/gより大きい場合では硬化膜の吸湿性が高くなり電気絶縁信頼性が低下する場合がある。
本願発明の(A)成分の分子量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
上記範囲内に重量平均分子量を制御することにより、白色感光性樹脂組成物のアルカリ現像性、得られる硬化膜の柔軟性、耐薬品性が優れるため好ましい。重量平均分子量が3,000以下の場合は、柔軟性や耐薬品性が低下する場合があり、重量平均分子量が300,000以上の場合はアルカリ現像性が低下し、白色感光性樹脂組成物の粘度が高くなる場合がある。
本願発明で用いられるカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルとは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル鎖に少なくとも一つのカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチルテトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチルテトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルテトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチルヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチルヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ハイミック酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ハイミック酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ハイミック酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチルハイミック酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチルハイミック酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルハイミック酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。これらカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルの中でも、特にフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが、白色感光性樹脂組成物の硬化膜の柔軟性と耐薬品性の観点から好ましい。
本願発明で用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル鎖に炭素数1〜20のアルキル基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルを用いることが、白色感光性樹脂組成物の硬化膜の柔軟性と耐薬品性の観点から好ましい。
上記、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させる反応は、例えば、ラジカル重合開始剤によりラジカルを発生させることにより進行させることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸価水素等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記、ラジカル重合開始剤の使用量は、使用するモノマー100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましく、0.01〜1重量部とすることがより好ましい。0.001重量部より少ない場合では反応が進行しにくく、5重量部より多い場合では分子量が低下する場合がある。
上記反応は、無溶媒で反応させることもできるが、反応を制御する為には、有機溶媒系で反応させることが望ましく、例えば有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
更に、例えばメチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2-(2-メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2-ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2-エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2-ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n―プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールものエチルエーテル等のエーテル類の溶媒を用いることもできる。中でも、副反応が生じにくいことから、対称グリコールジエーテル類を用いることが好ましい。
反応の際に用いられる溶媒量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが好ましく、20重量%以上70重量%以下とすることがより好ましい。溶液濃度が5%より少ない場合では重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があり、また、溶液濃度が90重量%より多い場合では反応溶液が高粘度となり反応が不均一となる場合がある。
上記反応温度は、20〜120℃とすることが好ましく、50〜100℃とすることがより好ましい。20℃より低い温度の場合では反応時間が長くなり過ぎ、120℃を超えると急激な反応の進行や副反応に伴う三次元架橋によるゲル化を招く恐れがある。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。
<(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂>
本願発明の(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂とは、少なくとも1つのラジカル重合開始剤により重合反応が進行するラジカル重合性基及びカルボキシル基を含有している重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で、1,000以上100,000以下のポリマーである。その中でも分子内に少なくとも1つの不飽和二重結合及びカルボキシル基を含有する樹脂であることが好ましい。さらには、上記不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイル基、もしくはビニル基であることが好ましい。
本願発明の(B)成分のラジカル重合性基含有量は、上記(A)成分と同様にヨウ素価として測定できる。(B)成分のヨウ素価は、10〜200とすることが好ましく、50〜150とすることがより好ましい。ヨウ素価が10より小さい場合では白色感光性樹脂組成物の感光性が低下する場合があり、200より大きい場合では感光性基が多すぎるために架橋密度が高くなり、得られる硬化膜の柔軟性が悪化し、反りが大きくなる場合がある。
本願発明の(B)成分のカルボキシル基含有量は、上記(A)成分と同様に酸価として測定できる。(B)成分の酸価は、50〜200mgKOH/gとすることが好ましく、50〜150mgKOH/gとすることがより好ましい。酸価が50mgKOH/gより小さい場合では白色感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が低下する場合があり、200mgKOH/gより大きい場合では硬化膜の吸湿性が高くなり電気絶縁信頼性が低下する場合がある。
また、重量平均分子量を上記範囲内に制御することにより、白色感光性樹脂組成物のアルカリ現像性、得られる硬化膜の柔軟性、耐薬品性が優れるため好ましい。重量平均分子量が1,000以下の場合は、柔軟性や耐薬品性が低下する場合があり、重量平均分子量が100,000以上の場合はアルカリ現像性が低下し、白色感光性樹脂組成物の粘度が高くなる場合がある。
本願発明の(B)成分としては、例えば、酸変性ビニルエステル樹脂、エポキシ変性(メタ)アクリル樹脂の酸付加物、ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂の酸付加物、ポリエステル変性(メタ)アクリル樹脂の酸付加物、(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の酸付加物、酸基含有ウレタン変性エポキシ(メタ)アクリレート、酸基含有アクリル化アクリレート等どのような分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂を用いてもよい。
かかる(B)成分としては、例えば、日本化薬株式会社製の商品名KAYARAD CCR−1159H、CCR−1171H、CCR−1216H、PCR−1160H、PCR−1169H、PCR−1170H、PCR−1173H、ZAR−1035、ZAR−1395H、ZAR−1494H、ZAR−2000、ZAR−2001H、ZFR−1401H、ZFR−1491H、ZFR−1492H、ZCR−1361、ZCR−1569H、ZCR−1601H、UXE−3000、UXE−3024、ダイセルサイテック株式会社製の商品名サイクロマー ACA200M、ACA230AA、ACAZ250、ACAZ251、ACAZ300、ACAZ320などが挙げられる。
<(C)ラジカル重合性化合物>
本願発明の(C)ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合開始剤により重合反応が進行するラジカル重合性基を分子内に含有する化合物である。その中でも分子内に不飽和二重結合を少なくとも1つ有する樹脂であることが好ましい。さらには、上記不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイル基、もしくはビニル基であることが好ましい。
かかる(C)成分としては、例えば、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1 − アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等が好ましいが、これらに限定されない。特に、ジアクリレートあるいはジメタクリレートの一分子中に含まれるEO(エチレンオキサイド)の繰り返し単位が、2〜50の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは2〜40である。EOの繰り返し単位が2〜50の範囲の物を使用することにより、白色感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液に代表される水系現像液への溶解性が向上し、現像時間が短縮される。更に、白色感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜中に応力が残りにくく、例えばプリント配線板の中でも、ポリイミド樹脂を基材とするフレキシブルプリント配線板上に積層した際に、プリント配線板のカールを抑えることができるなどの特徴を有する。
特に、上記EO変性のジアクリレート或いは、ジメタクリレートと、アクリロイル基もしくは、メタクリロイル基を3以上有する化合物を併用することが感光性を高める上で特に好ましく、例えばEO変性イソシアヌル酸トリアクリレート、EO変性イソシアヌル酸トリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルコハク酸、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸、プロポキシ化ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、下記一般式(1)
Figure 0005745885
(式中、a+b=6、n=12である。)
で表される化合物、下記一般式(2)
Figure 0005745885
(式中、a+b=4、n=4である。)
で表される化合物、下記式(3)
Figure 0005745885
で表される化合物、下記一般式(4)
Figure 0005745885
(式中、m=1、a=2、b=4もしくは、m=1、a=3、b=3もしくは、m=1、a=6、b=0もしくは、m=2、a=6、b=0である。)
で表される化合物、下記一般式(5)
Figure 0005745885
(式中、a+b+c=3.6である。)
で表される化合物、下記式(6)
Figure 0005745885
で表される化合物、下記一般式(7)
Figure 0005745885
(式中、m・a=3、a+b=3、ここで「m・a」は、mとaとの積である。)
で表される化合物等が好適に用いられる。
また、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、アクリル酸ダイマー、ペンタエスリトールトリ及びテトラアクリレート等の分子構造骨格中にヒドロキシル基、カルボキシル基を有する化合物も好適に用いられる。
尚、(C)成分としては、1種を使用することも可能であるが、2種以上を併用することが、硬化膜の耐熱性を向上させる上で好ましい。
本願発明の白色感光性樹脂組成物における(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合割合は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分及び(C)成分の合計が50〜150重量部となるように配合されていることが好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計が上記範囲よりも少ない場合には、白色感光性樹脂組成物を光硬化した後の硬化被膜の耐アルカリ性が低下すると共に、露光・現像したときのコントラストが付きにくくなる場合がある。また、(B)成分及び(C)成分の合計が上記範囲よりも多い場合には、白色感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、溶媒を乾燥させることにより得られる塗膜のべたつきが大きくなるため生産性が低下し、また架橋密度が高くなりすぎることにより硬化膜が脆く割れやすくなる場合がある。そのため、上記範囲内にすることで露光・現像時の解像度を最適な範囲にすることが可能となる。
<(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物>
本願発明の(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物とは、分子内に芳香環を実質的に含有せず、少なくとも1つのカルボキシル基と反応する反応性基を含有する化合物である。
ここで、分子内に芳香環を実質的に含有しないとは、分子内に芳香環を全く含有しなくてもよいし、本願発明の効果の発現を損なわない範囲であれば含有していてもよい。本願発明の効果の発現を損なわない範囲とは、(D)成分の分子内の芳香環に由来する不飽和二重結合をヨウ素価として測定した値が5未満である。ヨウ素価とは、試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した値であり、JIS K0070で規定された方法で測定することができる。本願発明の(D)成分は分子内に芳香環を実質的に含有しないため熱や紫外線などのエネルギーに対して安定であり、着色し難い。
かかる(D)成分としては、例えば、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物及びこれらイソシアネート化合物のブロック体、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が好ましいが、これらに限定されない。特に、分子内に芳香環を実質的に含有しない分子内にエポキシ基を少なくとも1つ有する樹脂であることが、白色感光性樹脂組成物の硬化膜の耐熱性、難燃性、電気絶縁信頼性を向上させる点で好ましい。
本願発明の白色感光性樹脂組成物における(D)成分の配合割合は、(A)成分、(B)成分を合計した100重量部に対して、1〜100重量部となるように配合されていることが好ましい。
(D)成分が上記範囲よりも少ない場合には、白色感光性樹脂組成物の硬化膜の耐熱性、電気絶縁信頼性が低下する場合があり、また、(D)成分が上記範囲よりも多い場合には、架橋密度が高くなりすぎることにより硬化膜が脆く割れやすくなる場合がある。
<(E)光重合開始剤>
本願発明における(E)光重合開始剤とは、UVなどのエネルギーによって活性化し、ラジカル重合性基の反応を開始・促進させる化合物である。かかる(E)成分としては、例えば、ミヒラ−ズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’,4’’−トリス(ジメチルアミノ)トリフェニルメタン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、アセトフェノン、ベンゾイン、2−メチルベンゾイン、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインエチルエ−テル、ベンゾインイソプロピルエ−テル、ベンゾインイソブチルエ−テル、2−t−ブチルアントラキノン、1,2−ベンゾ−9,10−アントラキノン、メチルアントラキノン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジアセチルベンジル、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジルジエチルケタ−ル、2(2’−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2[2’(5’’−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、ジ(テトラアルキルアンモニウム)−4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルフォネ−ト、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、ビス(n5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、ヨード二ウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシオム)などが挙げられる。上記光重合開始剤は適宜選択することが好ましく、1種以上を混合させて用いることが好ましい。
本願発明の白色感光性樹脂組成物における(E)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部対して、0.1〜50重量部となるように配合されていることが好ましい。
上記配合割合にすることで白色感光性樹脂組成物の感光性が向上するので好ましい。(E)成分が上記範囲よりも少ない場合には、光照射時のラジカル重合性基の反応が起こりにくく、硬化が不十分となる場合がある。また、(E)成分が上記範囲よりも多い場合には、光照射量の調整が難しくなり、過露光状態となる場合がある。そのため、光硬化反応を効率良く進めるためには上記範囲内に調整することが好ましい。
<(F)ルチル型酸化チタン>
本願発明における(F)ルチル型酸化チタンとは、正方晶系の結晶構造を持つチタンの酸化物であり組成式TiOで表される無機化合物である。
本願発明における(F)成分の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、硫酸チタン溶液を加水分解し、得られた含水酸化チタンを焼成するいわゆる硫酸法や、ハロゲン化チタンを気相酸化するいわゆる塩素法で製造することができる。尚、前記硫酸法の酸化チタンにあっては、その製造工程でたとえば亜鉛、カリウム、アルミニウム、リチウム、ニオブ、マグネシウムなどの金属またはリンなどの化合物を焼成処理剤として添加することもでき、また塩素法酸化チタンにあっては、その製造工程における四塩化チタンの酸化過程でたとえばアルミニウム、カリウムなどの化合物を処理剤として添加してもよい。特に、塩素法で製造された酸化チタンの場合、白色感光性樹脂組成物の硬化膜の反射率、隠蔽性が良好であり、高温時又は光照射時の変色、反射率の低下が起こり難い点で好ましい。
上記(F)成分としては、具体的には、石原産業株式会社製の商品名タイペークR−550、R−580、R−630、R−670、R−680、R−780、R−780−2、R−820、R−830、R−850、R−855、R−930、R−980、CR−50、CR−50−2、CR−57、CR−58、CR−58−2、CR−60、CR−60−2、CR−63、CR−67、CR−Super70、CR−80、CR−85、CR−90、CR−90−2、CR−93、CR−95、CR−953、CR−97、PF−736、PF−737、PF−742、PF−690、PF−691、PF−711、PF−739、PF−740、PC−3、S−305、CR−EL、PT−301、PT−401M、PT−501A、PT−501R、堺化学工業株式会社製の商品名R−3L、R−5N、R−7E、R−11P、R−21、R−25、R−32、R−42、R−44、R−45M、R−62N、R−310、R−650、SR−1、D−918、GTR−100、FTR−700、TCR−52、テイカ株式会社製の商品名JR、JRNC、JR−301、JR−403、JR−405、JR−600A、JR−600E、JR−603、JR−605、JR−701、JR−800、JR−805、JR−806、JR−1000、MT−01、MT−05、MT−10EX、MT−100S、MT−100TV、MT−100Z、MT−100AQ、MT−100WP、MT−100SA、MT−100HD、MT−150EX、MT−150W、MT−300HD、MT−500B、MT−500SA、MT−500HD、MT−600B、MT−600SA、MT−700B、MT−700HD、チタン工業株式会社製の商品名KR−310、KR−380、KR−380N、富士チタン工業株式会社製の商品名TR−600、TR−700、TR−750、TR−840、TR−900等が挙げられるが、これらに限定されない。
本願発明の白色感光性樹脂組成物における(F)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を合計した100重量部に対して、10〜150重量部となるように配合されていることが好ましい。
上記配合割合にすることで白色感光性樹脂組成物の反射率、遮蔽性、白色度が向上するので好ましい。(F)成分が上記範囲よりも少ない場合には、充分な反射率が得られ難い場合がある。また、(F)成分が上記範囲よりも多い場合には、白色感光性樹脂組成物の硬化膜が脆くなりやすく、耐折れ性が低下する場合がある。
<(G)ホスフィン酸塩>
本願発明における(G)ホスフィン酸塩とは、下記一般式(8)で示される化合物である。
Figure 0005745885
(式中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖状または枝分かれした炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を示し、Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及びKからなる群の少なくとも1種より選択される金属類を示し、nは1〜4の整数である。)。
上記(G)成分としては、例えば、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも特にトリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウムを用いた場合、高い難燃性が得られるため好ましい。
本願発明における(G)成分の平均粒子径は、好ましくは、0.5μm以上20μm以下、さらに好ましくは、1.0μm以上15μm以下、特に好ましくは、1.0μm以上10μm以下である。
上記範囲内に(G)成分の平均粒子径を調整することにより、白色感光性樹脂組成物の粘度や粘性をスクリーン印刷などの塗工に適切な範囲内に調整することができるので好ましい。
(G)成分の平均粒子径が上記範囲よりも小さい場合には、白色感光性樹脂組成物の粘度や粘性が増大し、塗工時の泡の巻き込み、レベリング性に劣る場合がある。また、(G)成分の平均粒子径が上記範囲よりも大きい場合には、白色感光性樹脂組成物の硬化膜中に存在する(G)成分の均一性が低下し、硬化膜の外観の悪化を招く場合がある。
本願発明における、(G)成分の熱分解開始温度は、好ましくは、280℃以上、更に好ましくは、300℃以上、特に好ましくは、320℃以上である。熱分解開始温度が280℃よりも低い場合には、(G)成分を含む白色感光性樹脂組成物の硬化膜をプリント配線板の絶縁保護膜として用いた場合、ハンダリフロー工程において、260℃程度の高温に硬化膜が晒された場合、硬化膜中に含まれるホスフィン酸塩が分解ガスを放出し、硬化膜表面の膨れや剥がれの原因になる場合がある。
本願発明における(G)成分は、表面処理剤による表面処理が成されたものを使用することもできる。表面処理剤としては、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。
本願発明の白色感光性樹脂組成物における(G)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を合計した100重量部に対して、1〜50重量部となるように配合されていることが好ましい。
上記配合割合にすることで白色感光性樹脂組成物に充分な難燃性を付与し、感光性樹脂組成物の粘度及び粘性をスクリーン印刷などの塗工に適切な範囲内に調整することができるので好ましい。(G)成分が上記範囲よりも少ない場合には、充分な難燃性が得られ難い場合がある。また、(G)成分が上記範囲よりも多い場合には、白色感光性樹脂組成物の粘度が非常に高くなってしまい、塗工が困難となる場合がある。また、白色感光性樹脂組成物の硬化膜が脆くなりやすく、耐折れ性が低下する場合がある。
<(H)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤及び/又は光安定剤>
本願発明における酸化防止剤とは、物質の熱や光、その他エネルギーによる酸化を抑制する機能を持つ化合物であり、ラジカル捕捉作用を持つフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、過酸化物分解作用を持つ硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
本願発明における紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収し他のエネルギーに変換する機能を持つ化合物であり、連鎖開始阻害作用を持つベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
本願発明における光安定剤とは、自身は紫外線をほとんど吸収しないが発生したラジカルを効率よく捕捉することにより安定化させる機能を持つ化合物であり、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。
本願発明の白色感光性樹脂組成物における(H)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を合計した100重量部に対して、0.001〜1重量部となるように配合されていることが好ましい。
上記配合割合にすることで白色感光性樹脂組成物の硬化膜の高温熱履歴又は光照射後の反射率・色相変化を抑制できるので好ましい。(H)成分が上記範囲よりも少ない場合には、充分な変色防止効果が得られ難い場合がある。また、(H)成分が上記範囲よりも多い場合には、白色感光性樹脂組成物の感光性が低下し、硬化が不十分となる場合がある。
<その他の成分>
本願発明の白色感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じて充填剤、接着助剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、重合禁止剤等の各種添加剤を加えることができる。上記充填剤としては、シリカ、マイカ、タルク、硫酸バリウム、ワラストナイト、炭酸カルシウムなどの微細な無機充填剤、微細な有機ポリマ−充填剤を含有させてもよい。また、上記消泡剤としては、例えば、アクリル系化合物、ビニル系化合物、ブタジエン系化合物等を含有させることができる。また、上記レベリング剤としては、例えば、アクリル系化合物、ビニル系化合物等を含有させることができる。また、上記着色剤としては、例えば、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、カーボンブラック等を含有させることができる。また、上記接着助剤(密着性付与剤ともいう。)としては、シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、トリアジン系化合物等を含有させることができる。また、上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等を含有させることができる。また、本願発明の白色感光性樹脂組成物は、ホスフィン酸塩を含むため難燃性に優れているが、より高い難燃効果を得るために他の難燃剤を加えてもよい。難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系化合物、含ハロゲン系化合物、金属水酸化物、有機リン系化合物等を添加することができる。上記各種添加剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。また、それぞれの含有量は適宜選定することが望ましい。
<(A)〜(G)成分又は(A)〜(H)成分の混合方法>
本願発明の白色感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(G)成分又は(A)〜(H)成分を粉砕・分散させて混合し、得られることができる。粉砕・分散方法としては、特に限定されるものではないが、例えばビーズミル、ボールミル、3本ロール等の一般的な混練装置を用いて行われる。この中でも、特にビーズミルを用いて粉砕・分散させて混同した場合、微粒子として存在する(F)成分、(G)成分の粒度分布が均一になるため好ましい。
ビーズミルで粉砕・分散する例を挙げると、上記(A)〜(G)成分又は(A)〜(H)成分、必要に応じて溶媒を混合し、ビーズと混合して、所定の装置で攪拌することで、煎断をかけることで微粒子を粉砕・分散させて混合することができる。ビーズの種類はジルコニア、ジルコン、ガラス、チタニアなどを使用し、目標とする粒径や用途に適したビーズを使用すればよい。また、ビーズの粒径は、目標とする粒子径に適したものを使用すればよく、特に限定されるものではない。攪拌速度(周速)は、装置によって異なるが、100〜3000rpmの範囲で攪拌すればよく、高速になれば、温度が上昇するので、適宜、冷却水又は冷媒を流すことで、温度上昇を抑えればよい。所望の粒子径が得られれば、ビーズを濾別し、本願発明の白色感光性樹脂組成物を得ることができる。微粒子の粒子径はJIS K 5600−2−5で規定されたゲージを用いる方法で測定することができる。また粒度分布測定装置を使用すれば、平均粒子径、粒子径、粒度分布を測定することができる。
(II)白色感光性樹脂組成物の使用方法
本願発明の白色感光性樹脂組成物を直接に用いて、又は、白色感光性樹脂組成物溶液を調製した後に、以下のようにして硬化膜又はレリーフパターンを形成することができる。先ず、上記白色感光性樹脂組成物、又は、白色感光性樹脂組成物溶液を基板に塗布し、乾燥して有機溶媒を除去する。基板への塗布はスクリ−ン印刷、カ−テンロ−ル、リバ−スロ−ル、スプレーコーティング、スピンナーを利用した回転塗布等により行うことができる。塗布膜(好ましくは厚み:5〜100μm、特に10〜100μm)の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。
次いで、乾燥後、乾燥塗布膜にネガ型のフォトマスクを置き、紫外線、可視光線、電子線などの活性光線を照射する。次いで、未露光部分をシャワー、パドル、浸漬または超音波等の各種方式を用い、現像液で洗い出すことによりレリ−フパタ−ンを得ることができる。なお、現像装置の噴霧圧力や流速、エッチング液の温度によりパターンが露出するまでの時間が異なる為、適宜最適な装置条件を見出すことが望ましい。
上記現像液としては、アルカリ水溶液を使用することが好ましく。この現像液には、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒が含有されていてもよい。上記のアルカリ水溶液を与えるアルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭酸塩や炭酸水素塩、アミン化合物などが挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルジエタノ−ルアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロピルアミンなどを挙げることができ、水溶液が塩基性を呈するものであればこれ以外の化合物も当然使用することができる。本願発明の白色感光性樹脂組成物の現像工程に好適に用いることのできる、アルカリ性化合物の濃度は、0.01〜20重量%、特に好ましくは、0.02〜10重量%とすることが好ましい。また、現像液の温度は白色感光性樹脂組成物の組成や、アルカリ現像液の組成に依存しており、一般的には0℃以上80℃以下、より一般的には、10℃以上60℃以下で使用することが好ましい。
上記現像工程によって形成したレリ−フパタ−ンは、リンスして不用な残分を除去する。リンス液としては、水、酸性水溶液などが挙げられる。
次いで、上記得られたレリ−フパタ−ンの加熱処理を行う。加熱処理を行って、分子構造中に残存する反応性基を反応させることにより、耐熱性に富む硬化膜を得ることができる。硬化膜の厚みは、配線厚み等を考慮して決定されるが、2〜50μm程度であることが好ましい。このときの最終硬化温度は配線等の酸化を防ぎ、配線と基材との密着性を低下させないことを目的として低温で加熱して硬化できることが望まれている。
この時の硬化温度は100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。最終加熱温度が高くなると配線の酸化劣化が進むので望ましくない。
本願発明の白色感光性樹脂組成物から形成した硬化膜は、反射率、難燃性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁信頼性、柔軟性、低反り性に優れており、また、高温熱履歴又は光照射後の反射率・色相変化が少ない。
また、例えば、白色感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜は、好適には厚さ2〜50μm程度の膜厚で光硬化後少なくとも10μmまでの解像力、特に10〜1000μm程度の解像力のものである。このため白色感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜は、LED用途のフレキシブル基板の絶縁材料として特に適しているのである。また更には、光硬化型の各種配線被覆保護剤、感光性の耐熱性接着剤、電線・ケーブル絶縁被膜、等に用いられる。
尚、本願発明は上記白色感光性樹脂組成物、又は、白色感光性樹脂組成物溶液を基材表面に塗布し乾燥して得られた樹脂フィルムを用いても同様の絶縁材料を提供することができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(合成例1)
<(A)分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しない少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られるカルボキシル基含有樹脂>
攪拌機、温度計、滴下漏斗、および窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)100.0gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。これに、室温で予め混合しておいた、フタル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート39.0g(0.14モル)、メタクリル酸メチル16.0g(0.16モル)、メタクリル酸ブチル45.0g(0.32モル)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5gを80℃に保温した状態で3時間かけて滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、反応溶液を攪拌しながら90℃まで昇温し、反応溶液の温度を90℃に保ちながら更に2時間攪拌し、本願発明のカルボキシル基含有樹脂溶液を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂溶液の固形分濃度は50%、重量平均分子量は39,000、固形分の酸価は76mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は下記の方法で測定した。
<固形分濃度>
JIS K 5601−1−2に従って測定を行った。尚、乾燥条件は150℃×1時間の条件を選択した。
<重量平均分子量>
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
<酸価>
JIS K 5601−2−1に従って測定を行った。
(実施例1〜5)
<白色感光性樹脂組成物の調製>
合成例1で得られた(A)成分、(B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂、(C)ラジカル重合性化合物、(D)分子内に芳香環を実質的に含有しないカルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物、(E)光重合開始剤、(F)ルチル型酸化チタン、(G)ホスフィン酸塩、(H)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤及び/又は光安定剤、その他成分、及び有機溶媒をAIMEX社製ビーズミルに入れ、760rpmで混合攪拌した。次いで、粒径1mmのジルコニアビーズを充填率70%になるよう添加し、1000rpmで攪拌して分散した後にジルコニアビーズを濾別し、本願発明の白色感光性樹脂組成物溶液を取得した。白色感光性樹脂組成物中の微粒子の粒子径はJIS K 5600−2−5に従って測定した。それぞれの構成原料の種類及び樹脂固形分での配合量を表1に記載する。なお、表中の有機溶媒である1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタンは上記合成例1で用いた量及び調合時に用いた量等も含めた全量である。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して下記評価を実施した。
Figure 0005745885
<1>ダイセルサイテック株式会社製 酸基含有アクリル化アクリレートの製品名
<2>日本化薬株式会社製 酸基含有ウレタン変性エポキシ(メタ)アクリレートの製品名
<3>新中村化学株式会社製 EO変性イソシアヌル酸トリアクリレートの製品名
<4>新中村化学株式会社製 EO変性ビスフェノールAジアクリレートの製品名
<5>日産化学株式会社製 トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の製品名
<6>BASFジャパン株式会社製 光重合開始剤の製品名
<7>石原産業株式会社製 ルチル型酸化チタンの製品名
<8>クラリアントジャパン株式会社製 ホスフィン酸塩の製品名
<9>BASFジャパン株式会社製 フェノール系酸化防止剤の製品名
<10>共栄社化学株式会社製 ブタジエン系消泡剤の製品名
<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>
上記白色感光性樹脂組成物を、ベーカー式アプリケーターを用いて、25μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名25NPI)に最終乾燥厚みが20μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥した後、300mJ/cmの積算露光量の紫外線を照射して露光した。次いで、1.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃に加熱した溶液を用いて、1.0kgf/mmの吐出圧で60秒スプレー現像を行った。現像後、純水で十分洗浄した後、150℃のオーブン中で60分加熱硬化させてポリイミドフィルム上に白色感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。
<硬化膜の評価>
得られた硬化膜について、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表2に記載する。
(i)感光性評価
白色感光性樹脂組成物の感光性の評価は、乾燥後の塗膜上にライン幅/スペース幅=100μm/100μmのネガ型フォトマスクを置いて露光し、次いで上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の工程で硬化させ、得られた硬化膜の表面観察を行い判定した。
〇:ポリイミドフィルム表面に顕著な線太りや現像残渣無くライン幅/スペース幅=100/100μmの感光パターンが描けているもの。
×:ポリイミドフィルム表面にライン幅/スペース幅=100/100μmの感光パターンが描けていないもの。
(ii)硬化膜の密着性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目で得られた硬化膜の接着強度をJIS K 5600−5−6に従ってクロスカット法で評価した。
○:分類0(カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。)
△:分類1(カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。)
×:分類2(塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。)。
(iii)耐溶剤性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目で得られた硬化膜の耐溶剤性の評価を行った。評価方法は25℃のメチルエチルケトン中に15分間浸漬した後風乾し、フィルム表面の状態を観察した。
○:塗膜に異常がない。
×:塗膜に膨れや剥がれなどの異常が発生する。
(iv)耐折れ性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に20μm厚みの白色感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。硬化膜積層フィルムの耐折れ性の評価方法は、硬化膜積層フィルムを50mm×10mmの短冊に切り出して、硬化膜を外側にして25mmのところで180°に折り曲げ、折り曲げ部に5kgの荷重を3秒間乗せた後、荷重を取り除き、折り曲げ部の頂点を顕微鏡で観察した。顕微鏡観察後、折り曲げ部を開いて、再度5kgの荷重を3秒間乗せた後、荷重を取り除き完全に硬化膜積層フィルムを開いた。上記操作を繰り返し、折り曲げ部にクラックが発生する回数を折り曲げ回数とした。
○:折り曲げ回数5回で硬化膜にクラックが無いもの。
△:折り曲げ回数3回で硬化膜にクラックが無いもの。
×:折り曲げ1回目に硬化膜にクラックが発生するもの。
(v)電気絶縁信頼性
フレキシブル銅貼り積層版(電解銅箔の厚み12μm、ポリイミドフィルムは株式会社カネカ製アピカル25NPI、ポリイミド系接着剤で銅箔を接着している)上にライン幅/スペース幅=100μm/100μmの櫛形パターンを作製し、10容量%の硫酸水溶液中に1分間浸漬した後、純水で洗浄し銅箔の表面処理を行った。その後、上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>方法と同様の方法で櫛形パターン上に20μm厚みの白色感光性樹脂組成物の硬化膜を作製し試験片の調整を行った。85℃、85%RHの環境試験機中で試験片の両端子部分に100Vの直流電流を印加し、絶縁抵抗値の変化やマイグレーションの発生などを観察した。
○:試験開始後、1000時間で10の8乗以上の抵抗値を示し、マイグレーション、デンドライトなどの発生が無いもの。
×:試験開始後、1000時間でマイグレーション、デンドライトなどの発生があるもの。
(vi)半田耐熱性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、75μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル75NPI)表面に20μm厚みの白色感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。
得られた硬化膜積層フィルムを260℃で完全に溶解してある半田浴に感光性樹脂組成物の硬化膜が塗工してある面が接する様に浮かべて10秒後に引き上げた。その操作を3回行い、フィルム表面の状態を観察した。
○:塗膜に異常がない。
×:塗膜に膨れや剥がれなどの異常が発生する。
(vii)反り
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に20μm厚みの白色感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。
得られた硬化膜積層フィルムを50mm×50mmの面積に切り出して平滑な台の上に塗布膜が上面になるように置き、フィルム端部の反り高さを測定した。測定部位の模式図を図1に示す。ポリイミドフィルム表面での反り量が少ない程、プリント配線板表面での応力が小さくなり、プリント配線板の反り量も低下することになる。反り量は5mm以下であることが好ましい。尚、筒状に丸まる場合は×とした。
(viii)燃焼性
プラスチック材料の燃焼性試験規格UL94VTMに従い、以下のように燃焼性試験を行った。上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名アピカル25NPI)両面に25μm厚みの白色感光性樹脂組成物硬化膜積層フィルムを作製した。 上記作製したサンプルを寸法:50mm幅×200mm長さ×75μm 厚み(ポリイミドフィルムの厚みを含む)に切り出し、125mmの部分に標線を入れ、直径約13mmの筒状に丸め、標線よりも上の重ね合わせ部分(75mmの箇所)、及び、上部に隙間がないようにPIテープを貼り、燃焼性試験用の筒を20本用意した。 そのうち10本は(1)23℃/50%相対湿度/48時間で処理し、残りの10本は(2)70℃で168時間処理後無水塩化カルシウム入りデシケーターで4時間以上冷却した。これらのサンプルの上部をクランプで止めて垂直に固定し、サンプル下部にバーナーの炎を3秒間近づけて着火する。3秒間経過したらバーナーの炎を遠ざけて、サンプルの炎や燃焼が何秒後に消えるか測定する。
○:各条件((1)、(2))につき、サンプルからバーナーの炎を遠ざけてから平均(10本の平均)で10秒以内、最高で10秒以内に炎や燃焼が停止し自己消火し、かつ、評線まで燃焼が達していないもの。
×:1本でも10秒以内に消火しないサンプルがあったり、炎が評線以上のところまで上昇して燃焼するもの。
(ix)ブリードアウト
上記電気絶縁信頼性試験後の試験片を観察し、試験片表面の微小な膨れ、銅配線上の膨れ、油状物質の染み出しなどを観察した。
○:試験開始後、1000時間で試験片表面及び銅配線上に膨れ、染み出しなどの異常が見られないもの。
×:試験開始後、1000時間で試験片表面及び銅配線上に膨れ、染み出しなどの異常が見られるもの。
(x)初期反射率
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に20μm厚みの白色感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。
得られた硬化膜積層フィルムを用いて、白色感光性樹脂組成物硬化膜層の初期反射率を下記方法で測定し、450nmにおける測定値を初期反射率とした。
使用装置:日本分光株式会社製 紫外可視分光光度計 V−650
測定波長領域:300〜800nm
標準白板:ラブスフェア社製 スペクトラロンTM
(xi)初期色相
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に20μm厚みの白色感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。
得られた硬化膜積層フィルムを用いて、白色感光性樹脂組成物硬化膜層のL、a、b値を下記装置で測定した。尚、Lは明度を、aは赤味を、bは黄味を示す。
使用装置:日本電色工業株式会社製 ハンディー色差計 NR−3000
(xii)高温熱履歴後の反射率変化
上記(x)初期反射率の測定に用いた硬化膜積層フィルムを下記条件でリフロー処理を1回行い、(x)初期反射率測定方法と同様の方法で反射率を測定した。
使用装置:CIF社製 IR併用式コンベア型ホットエアーリフロー炉 FC220
リフローピーク温度:260℃
リフローピーク時間:15秒
リフロー処理前の初期反射率からリフロー処理後の反射率への変化率を算出した。
○:反射率の変化率が5%未満のもの。
△:反射率の変化率が5%以上、10%未満のもの。
×:反射率の変化率が10%以上のもの。
(xiii)高温熱履歴後の色相変化
上記(xi)初期色相の測定に用いた硬化膜積層フィルムを(xii)高温熱履歴後の反射率変化と同様の条件でリフロー処理を1回行い、(xi)初期色相測定方法と同様の方法でL、a、b値を測定した。
○:L値が80以上、a値が1未満、b値が1未満のもの。
△:L値が80以上、a値が2未満、b値が2未満のもの。
×:L値が80以下、a値が2以上、b値が2以上のもの。
(xiv)光照射後の反射率変化
上記(x)初期反射率の測定に用いた硬化膜積層フィルムを下記条件で100J/cmのUVを照射し、(x)初期反射率測定方法と同様の方法で反射率を測定した。
使用装置:岩崎電気株式会社製 コンベア型UV照射器
出力:120W/cm
ランプ:メタルハライドランプ、6kW、2灯
照射器:コールドミラー集光型
光照射前の初期反射率から光照射後の反射率への変化率を算出した。
○:反射率の変化率が5%未満のもの。
△:反射率の変化率が5%以上、10%未満のもの。
×:反射率の変化率が10%以上のもの。
(xv)光照射後の色相変化
上記(xi)初期色相の測定に用いた硬化膜積層フィルムを(xiv)光照射後の反射率変化と同様の条件で100J/cmのUVを照射し、(xi)初期色相測定方法と同様の方法でL、a、b値を測定した。
○:L値が80以上、a値が1未満、b値が1未満のもの。
△:L値が80以上、a値が2未満、b値が2未満のもの。
×:L値が80以下、a値が2以上、b値が2以上のもの。
Figure 0005745885
(比較例1)
不揮発分としての配合量であり、アクリル樹脂であって、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルの共重合体(メタクリル酸:メタクリル酸メチル:アクリル酸ブチル=17重量%:62重量%:21重量%)で重量平均分子量100000、酸価110mgKOH/gのもの30重量部、ポリウレタン化合物(日本化薬株式会社社製、サンプル名UXE−3024、重量平均分子量:10000) 40重量部、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(日立化成工業株式会社製、製品名FA−321M)30重量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1(チバジャパン株式会社製、製品名IRGACURE 369)5重量部、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン(旭電化工業株式会社製、製品名N-1717)3重量部、ホスフィン酸塩(クラリアントジャパン株式会社製、製品名EXOLIT OP935、リン含有量=23質量%)30重量部、硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、製品名バリエースB-30)60重量部、ブロック型イソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、製品名スミジュールBL−3175)30重量部、黄色系顔料(ピグメントイエロー)0.5重量部混合し、希釈剤としてのメチルエチルケトンとともに不揮発分が50質量%となるように混合することにより、感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、FA−321M及びOP−935の両方を用いている場合においては、FA−321MとOP−935とを混合した後に、ビーズミル処理して得られたスラリーを使用した。スラリー中でのOP−935の粒子径はその80質量%以上が1um以下であった。粒度分布はCOULTER社製の粒度分布計(LS−230)を用いて測定した。この組成物を実施例1〜5と同様の方法で物性値の評価を行った。その結果を表2に記載する。
(比較例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルセパラブルフラスコに、溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル900g、および重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 製品名パーブチルO)21.4gを加えて90℃に加熱した。加熱後、ここに、メタクリル酸309.9g、メタクリル酸メチル116.4g、およびラクトン変性2−ヒドロキシエチルメタクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 製品名プラクセルFM1)109.8gを、重合開始剤であるビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(日本油脂株式会社製 製品名パーロイルTCP)21.4gと共に3時間かけて滴下して加え、さらに6時間熟成することにより、カルボキシル基含有共重合樹脂を得た。なお、反応は、窒素雰囲気下で行った。次に、得られたカルボキシル基含有共重合樹脂に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学株式会社製 製品名サイクロマーA200)363.9g、開環触媒としてジメチルベンジルアミン3.6g、重合抑制剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル1.80gを加え、100℃に加熱し、攪拌することによりエポキシの開環付加反応を行った。16時間後、固形分の酸価が108.9mgKOH/g、重量平均分子量が25,000の、芳香環を有さないカルボキシル基含有樹脂を53.8重量%(不揮発分)含む溶液を得た。この溶液186重量部、ルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製 製品名タイペークR820)180重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学株式会社製 製品名TEPIC−S)19重量部、光重合開始剤(チバジャパン株式会社製 製品名IRGACURE 907)19重量部、増感剤(日本化薬株式会社製 製品名KAYACURE DETX)0.3重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート15重量部、シリコーンオイル(信越シリコーン株式会社製 製品名KS−66)3重量部を配合・攪拌して3本ロールにて分散させてソルダーレジスト組成物とした。この組成物を実施例1〜5と同様の方法で物性値の評価を行った。その結果を表2に記載する。
(比較例3)
冷却管が取り付けられた1000mlのフラスコに、3−(グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン 0.16molと、メチルトリメトキシシラン0.24molと、ジメチルジメトキシシラン0.6molと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87.4mlとを加え、溶液を得た。半円形型のメカニカルスターラーを用いて、上記溶液を撹拌しながら、水43.2mlに水酸化カリウム0.28gを溶解させた水溶液をゆっくりと滴下した。その後、溶液をマントルヒーターにより、50℃で3時間反応させた。次に、エバポレーターを用いて、2000Paの圧力、40℃及び1時間の条件で、水との縮合反応で生成したメタノールと残留水とを除去した。その後、フラスコを室温になるまで放置し、シロキサンポリマーを含む溶液を得た。得られたシロキサンポリマーを含む溶液の固形分濃度は50重量%、シロキサンポリマーの重量平均分子量は5500、エポキシ当量は546であった。この溶液72重量部と、カルボキシル基と、側鎖に不飽和二重結合とを有する(メタ)アクリル樹脂(ダイセル化学工業株式会社製 製品名サイクロマーP(ACA)Z300)100重量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量部と、ルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製 製品名タイペークCR−58)120重量部と、コンパウンド型消泡剤(信越シリコーン株式会社製 製品名KS−69)5重量部と、光重合開始剤(日本シイベルヘグナー株式会社製 製品名TPO)9重量部とを配合し、混練機(シンキー株式会社製 製品名練太郎SP−500)にて2分間混合した後、3本ロールにて混合した。その後、SP−500を用いて、混合物を3分間脱泡することにより、樹脂組成物としてのレジスト材料を得た。 この組成物を実施例1〜5と同様の方法で物性値の評価を行った。その結果を表2に記載する。
1 感光性樹脂組成物を積層したポリイミドフィルム
2 反り量
3 平滑な台

Claims (10)

  1. 少なくとも、
    (A)少なくともカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることにより得られる、分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しないカルボキシル基含有樹脂(分子内にラジカル重合性基を実質的に含有しないとは、分子内にラジカル重合性基を全く含有しないか、又は前記(A)の分子内のラジカル重合性基をヨウ素価として測定することにより定量した値が5未満であることをいう。)
    (B)分子内にラジカル重合性基を含有するカルボキシル基含有樹脂、
    (C)ラジカル重合性化合物、
    (D)水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物及びこれらイソシアネート化合物のブロック体、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂から選ばれる、カルボキシル基と反応性を有する反応性基含有化合物、
    (E)光重合開始剤、
    (F)ルチル型酸化チタン、
    (G)ホスフィン酸塩を含有し、
    ケイ素含有有機化合物を実質的に含有しないことを特徴とする白色感光性樹脂組成物(ケイ素含有有機化合物を実質的に含有しないとは、前記(A)、前記(B)、前記(C)、前記(D)、前記(E)、前記(F)及び前記(G)がケイ素含有有機化合物を含有せず、また、前記白色感光性樹脂組成物に配合されるその他の成分にもケイ素含有有機化合物が含有されないということである。但し、無機フィラーを表面処理する目的で使用されるシランカップリング剤は含有していてもよい。また前記(G)として、シランカップリング剤による表面処理が成されたものを使用することもできる。)
  2. 前記(D)が、分子内に芳香環を実質的に含有しないエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記載の白色感光性樹脂組成物(分子内に芳香環を実質的に含有しないとは、分子内に芳香環を全く含有しないか、又は分子内の芳香環に由来する不飽和二重結合をヨウ素価として測定した値が5未満であることをいう。)
  3. 前記(D)が、前記(A)及び前記(B)を合計した100重量部に対して、1〜100重量部となるように配合されていることを特徴とする請求項1または2記載の白色感光性樹脂組成物。
  4. 前記(F)が、前記(A)、前記(B)、前記(C)及び前記(D)を合計した100重量部に対して、10〜150重量部となるように配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の白色感光性樹脂組成物。
  5. 前記(G)が、前記(A)、前記(B)、前記(C)及び前記(D)を合計した100重量部に対して、1〜50重量部となるように配合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の白色感光性樹脂組成物。
  6. 更に(H)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の白色感光性樹脂組成物。
  7. 前記(H)が、前記(A)、前記(B)、前記(C)及び前記(D)を合計した100重量部に対して、0.001〜1重量部となるように配合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の白色感光性樹脂組成物。
  8. 少なくとも請求項1〜7のいずれか1項に記載の白色感光性樹脂組成物を基材表面に塗布した後、乾燥して得られた樹脂フィルム。
  9. 請求項8記載の樹脂フィルムを硬化させて得られる絶縁膜。
  10. 請求項9記載の絶縁膜をプリント配線板に被覆した絶縁膜付きプリント配線板。
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