JP2012015368A - 補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法 - Google Patents

補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本願発明の課題は、感光性樹脂組成物上に補強板を貼り付けても、リフロ−実装時に膨れ等の不良が発生しないことを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法を提供することである。
【解決手段】 (A)感光性樹脂組成物を(B)フレキシブルプリント基板上に塗布し、硬化して得られた感光性樹脂組成物の硬化膜上に(C)補強板を順番に積層してなることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板を製造方法であって、該(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有していることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法により上記課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

本願発明は感光性樹脂組成物上に補強板を貼り付けても、リフロ−実装時に膨れ等の不良が発生しないことを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法に関するものである。
一般的にプリント配線板の製造においては、従来から種々の基板保護手段が用いられており、例えば、エッチング工程ではレジスト、はんだ付け工程ではソルダーレジスト等が用いられている。また、小型機器等に搭載されるフィルム状のプリント配線板(以下、フレキシブルプリント基板と略記する。)の製造においても、部品搭載のためのはんだ付け工程において、該工程と無関係な配線を保護するためにソルダーレジストが用いられる。このようなレジストまたはソルダーレジスト等の基板保護手段においては、具体的には、ポリイミドフィルムを所定の型に打ち抜いたものをフレキシブルプリント基板に積層するカバーレイ、または、耐熱性材料で構成されたインクをフレキシブルプリント基板に印刷するカバーコートが用いられてきている。カバーレイ、カバーコートは、はんだ付け後においては配線の保護膜も兼ねるため、UL規格に定める難燃性に加え、耐ブリードアウト性、柔軟性、密着性、基板組み込み時の折り曲げでクラックが入らない耐折性および可撓性、はんだ付け時における耐熱性、耐湿性、絶縁性が必要とされる。
ポリイミドフィルムを打ち抜いて形成されるカバーレイは、これら要求特性を満足するものであり、現在最も広く用いられているが、型抜きに高価な金型が必要な上、打ち抜いたフィルムを人手によって位置合わせおよび貼り合わせを行うために、基板の製造コストが高くなり、さらに、微細パターンの形成が困難であるという問題点がある。
一方、カバーコートは、スクリーン印刷のため乾燥工程が必要とされるために、基板の製造コストが高くなり、さらに、作業性が悪いという問題点がある。
これらの問題点を解決する方法として、基板上に感光性樹脂組成物を液状で塗布またはフィルム状で貼付する方法が提案されている。この方法によれば、基板上に該感光性樹脂組成物の皮膜を形成した後、写真技術により露光、現像、加熱を行えば、微細なパターンを容易に形成することができるため、これまでに種々の感光性樹脂組成物が開発されてきている。
例えば、ハロゲンフリーかつ高水準の難燃性を備え、硬化後の低反り性に富み、可塑性、解像性、はんだ耐熱性、耐薬品性等に優れた被膜を形成できる分子中に(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有し、希アルカリ溶液に可溶な樹脂成分と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光重合開始剤と、有機リン化合物と、希釈剤と、所定の構造を有するポリイミド樹脂と、を含有するアルカリ現像型の感光性熱硬化型樹脂組成物(特許文献1)、可撓性を十分に満足するとともに、難燃性及び耐熱プレス性も十分に優れた特性を持つカルボキシル基を有するポリマー、エチレン性不飽和結合を有し、ハロゲン原子を含有しない光重合性化合物、光重合開始剤、フェノキシフォスファゼン化合物、リン酸エステル化合物、及びハロゲン系難燃剤を含有する感光性熱硬化型樹脂組成物(特許文献2)が提案されている。
一方で、フレキシブルプリント基板は数十μmから数百μm厚さの配線板であるため、部品を実装する場合には、実装部の支持性を確保するために0.5〜2.0mmの補強板がフレキシブルプリント基板面上に部分的に貼り付けられる。
特開2010−032743号公報 特開2007−304543号公報
一方、フレキシブルプリント基板の実装部の支持性を目的とした補強板の貼り付けを保護膜面上に実施する場合もある。この場合、特許文献1では、補強板貼り付け後に実施する部品実装のためのリフロー実装工程において、補強板もしくは熱硬化性接着剤と感光性樹脂組成物との密着性が不十分なためリフロー実装工程において膨れる等の問題(以下該問題をリフロー耐熱性と表記する)が発生する。
また、特許文献2でも同様に、熱プレス耐性はあるものの十分なリフロー耐性を得られない懸念がある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、(A)感光性樹脂組成物を(B)フレキシブルプリント基板上に塗布し、硬化して得られた感光性樹脂組成物の硬化膜上に(C)補強板を順番に積層してなることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法であって、該(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有していることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法をとることにより、感光性樹脂組成物上に補強板を貼り付けても、リフロー耐熱性を確保していることを見出した。
すなわち、本願発明にかかる補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法は、(A)感光性樹脂組成物を(B)フレキシブルプリント基板上に塗布し、硬化して得られた感光性樹脂組成物の硬化膜上に(C)補強板を順番に積層してなることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法であって、(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有していることを特徴としている。また、(A)感光性樹脂組成物が(F)カルボキシル基含有ポリマー、(G)不飽和二重結合含有樹脂、及び(H)光重合開始剤からなることが好ましく、更には(A)感光性樹脂組成物が、(F)成分、(G)成分、及び(H)成分を合計した量を100重量部とした場合に(D)反応性表面調整剤を0.01から5重量部含有していることが好ましい。
また、上記(A)感光性樹脂組成物は、ポリイミドフィルム表面上に30μmの厚みでスクリーンメッシュ:ポリエステル100メッシュ、スキージ:平型、硬度70°、印刷速度:100mm/secのスクリーン印刷条件にてスクリーン印刷して塗膜形成後、1分間放置した後に塗膜が実質的に気泡を含有しないものであることが好ましい。
また、上記(A)感光性樹脂組成物と(C)補強板の間に(E)熱硬化性接着剤が存在していることが好ましい。
本願発明は以上のように、(A)感光性樹脂組成物を(B)フレキシブルプリント基板上に塗布し、硬化して得られた感光性樹脂組成物の硬化膜上に(C)補強板を順番に積層してなることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法であって、(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有しているため、感光性樹脂組成物上に補強板を貼り付けても、リフロ−実装時に膨れ等の不良が発生しないという効果を奏するものである。
補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法一例を示す図である。 フィルムの反り量を測定している模式図である。
以下で本願発明について詳細に説明する。
本願発明の補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法は、(A)感光性樹脂組成物を(B)フレキシブルプリント基板上に塗布し、硬化して得られた感光性樹脂組成物の硬化膜上に(C)補強板を順番に積層してなる製造方法であって、(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有していることを特徴としている。
部品実装時の補強を目的としたフレキシブルプリント基板の従来の補強技術は、フレキシブルプリント基板のベース材面上もしくはカバーレイフィルム材面上に補強板を貼り合わせることが一般的であったが、一方で感光性樹脂組成物面上に補強板を貼り合わせる技術も出てきている。上記後者技術の場合、補強板もしくは熱硬化性接着剤と感光性樹脂組成物との密着性が不十分なためリフロー実装工程においてリフロー耐熱性の低下が確認された。
ここで、本願発明の補強板一体型フレキシブルプリント基板は、感光性樹脂組成物上に補強板を貼り付けているにも関わらず、リフロー実装時に膨れ等の不良が発生しないことを見出したが、これは以下の理由によるものと推測している。つまり、(D)反応性表面調整剤が(A)感光性樹脂組成物の構成要素のいずれかとUV照射時もしくは熱硬化時に反応することにより硬化膜表面上への表面調整剤成分のブリードアウトが抑制され、リフロー耐熱性を阻害する層の形成を抑制でき、リフロー耐熱性が良好になるのではないかと推測している。
ここで、本願発明の補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法は、感光性樹脂組成物上に補強板を貼り付けているにも関わらず、リフロ−実装時に膨れ等の不良が発生しないことを見出したが、これは以下の理由によるものと推測している。つまり、(D)反応性表面調整剤が(A)感光性樹脂組成物の構成要素のいずれかとUV照射時もしくは熱硬化時に反応することにより硬化膜表面上への表面調整剤成分のブリードアウトが抑制され、リフロー耐熱性を阻害する層の形成を抑制でき、リフロー耐熱性が良好になるのではないかと推測している。
以下、本願発明の補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法について説明する。また、(A)感光性樹脂組成物、(B)フレキシブルプリント基板、(C)補強板、及びその他成分についても説明する。
[補強板一体型フレキシブルプリント基板]
本願発明の補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法を図1に示すが、限定されるものではない。ベース基材(2)および導体回路(3)からなる(B)フレキシブルプリント基板(1)上に(A)感光性樹脂組成物(4)を塗工<工程1>し、露光<工程2>・現像<工程3>・硬化<工程4>を経て(A)感光性樹脂組成物の硬化膜を作製する。その後、(C)補強板(6)を(A)感光性樹脂組成物(4)面上に貼り合わせて、加熱加圧成形することにより補強板一体型フレキシブルプリント基板を作製する。この際、(E)熱硬化性接着剤を用いる場合は、まず(E)熱硬化性接着剤(5)を(A)感光性樹脂組成物(4)面上に仮圧着する<工程5>。この時(E)熱硬化性接着剤(5)は半硬化の状態である。その後(E)熱硬化性接着剤(5)面上に(C)補強板(6)を貼り合わせて、加熱加圧成形して補強板一体型フレキシブルプリント基板を作製する<工程6>。この工程において、(E)熱硬化性接着剤(5)は完全に硬化されて十分な接着性を確保できる。上記構成をとることにより、部品実装時におけるフレキシブルプリント基板の補強を行うことができ、且つリフロー実装工程時のリフロー耐熱性の低下を防ぐことができる。ここで、(E)熱硬化性接着剤の仮圧着条件としては、適宜選択することができるが、例えば、加熱温度が80℃から180℃かつ加圧が0.1MPaから10MPaが好ましく、加熱温度が100℃から150℃かつ加圧が0.1MPaから1.0MPaがより好ましい。仮圧着条件が上記範囲より下回った場合、(E)熱硬化性接着剤と(A)感光性樹脂組成物との十分な接着性が得られないとった問題点が起こる場合がある。一方、仮圧着条件が上記範囲より上回った場合、(E)熱硬化性接着剤の熱硬化が進行してしまい(C)補強板との加熱加圧成形時に十分な接着性が確保できなくなる場合がある。また、(C)補強板の貼り合わせにおける加熱加圧成形条件としては、適宜選択することができるが、例えば、加熱温度条件が100℃から200℃かつ加圧条件が0.5MPaから10MPaが好ましく、加熱条件が150℃から180℃かつ加圧条件が0.5MPaから1MPaがより好ましい。加圧成形条件が上記範囲より下回った場合、十分な密着性が得られないもしくは加熱加圧成形に時間がかかるといった問題点が起こる場合がある。一方、加熱加圧成形条件が上記範囲より上回った場合、加熱成形後の補強板一体型フレキシブルプリント基板の反りが大きくなる懸念がある。
[(A)感光性樹脂組成物]
本願発明における(A)感光性樹脂組成物とは、(D)反応性表面調整剤を含有しており、現像、露光により配線パターンを描けて、絶縁保護膜として求められる機能を果たすことが出来る材料であり、且つ(A)感光性樹脂組成物上に(C)補強板を貼り付けても、リフロ−実装時に膨れ等の不良が発生しなければ限定されるものではない。ここで、上記求められる機能としては、微細加工が可能であり、希アルカリ水溶液で現像可能であり、低温(200℃以下)で硬化可能であり、得られる硬化膜が柔軟性に富み、電気絶縁信頼性、ハンダ耐熱性、耐有機溶剤性、難燃性に優れ、硬化後の基板の反りが小さい事が挙げられる。
上記求められる機能を果たすことが出来る材料としては、(A)感光性樹脂組成物が、(D)反応性表面調整剤、(F)カルボキシル基含有ポリマー、(G)不飽和二重結合含有樹脂、及び(H)光重合開始剤を含むものであることが挙げられる。以下、(D)反応性表面調整剤、(F)カルボキシル基含有ポリマー、(G)不飽和二重結合含有樹脂、及び(H)光重合開始剤について説明する。
<(D)反応性表面調整剤>
本願発明における(D)反応性表面調整剤とは、本願発明における(A)感光性樹脂組成物を基材上に塗布した際に発生する泡に対して、少なくとも破泡作用、抑泡作用、脱気作用のいずれか作用を示し、感光性樹脂組成物の(F)〜(H)のいずれかと反応しうることを特徴とする化合物である。本願発明における破泡作用、抑泡作用、脱気作用は以下の意味を持つ。破泡作用とは、表面張力の小さい消泡剤成分が泡膜に侵入してその部分の表面張力が局部的に低下し、この部分が表面張力の高い周囲の泡膜から引かれ泡が破壊する作用のことである。抑泡作用とは、表面張力が小さく発泡液に不溶な消泡剤成分が、泡を形成しようとする発泡液表面に点在することで表面張力が均一な泡を形成できず、発泡を抑える作用のことである。脱気作用とは、消泡剤成分が発泡液内部中の気泡同士をくっつける接着剤的な役割を果たし、接合された内部気泡は一つの大きな泡となりその浮力によって液面に上昇し、小さな気泡の状態より大きな気泡の方がより速く液面に上昇すると考えられ、液の表面に出てきた泡は先に述べた2つの相互作用により破泡する作用のことである。
上記(D)反応性表面調整剤は、適宜選択することができるが、好ましくは構造中の側鎖または末端に少なくとも一つのエポキシ基を有するポリマーを用いることができ、例えば(メタ)アクリル酸エステルとエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−オクトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ラウロキシエチル(メタ) アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。それ以外にも多種のモノマーがあるが、重合可能で表面調整剤の物性を損なわない限り、使用するモノマーの数、種類に限定されない。エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルアクリレートが挙げられる。それ以外にも多種のモノマーがあるが、重合可能で表面調整剤の物性を損なわない限り、使用するモノマーの数、種類に限定されない。上記(D)反応性表面調整剤は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いればよい。
本願発明における(D)成分の好ましい含有量は、(F)成分、(G)成分、及び(H)成分を合計した量を100重量部とした場合に、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは、0.01〜1重量部、特に好ましくは、0.01〜0.5重量部である。
上記範囲内に(D)成分の量を調整することにより、(A)感光性樹脂組成物を基材に塗工する際に発生する泡の消泡効果を十分に発揮でき、更には硬化させることにより得られる硬化膜のリフロー耐熱性を向上することができるので好ましい。(D)成分が上記範囲よりも少ない場合には、十分な消泡効果を発揮することができず、塗工面の外観不良により生産効率が悪くなる場合がある。また、(D)成分が上記範囲よりも多い場合には、UV照射後もしくは熱硬化時でも未反応の(D)反応性消泡剤が存在しているため、接着阻害層を形成しリフロー耐熱性の低下につながる場合がある。そのため、塗工時の外観及び生産効率そしてリフロー耐熱性を保持するためには上記範囲内に調整することが好ましい。
また、上記範囲で(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有している場合、下記条件によるスクリーン印刷性が良好であり且つ、リフロー耐熱性が良好である。ここで、印刷性が良好になるとは、スクリーン印刷による塗膜形成後、1分間放置した後においても塗膜が実質的に気泡を含有しないことである。
スクリーン印刷条件
使用装置:スクリーン印刷機((株)ミノグループ社製ミノマット5575)
基材:ポリイミドフィルム((株)カネカ社製、アピカル25NPI、厚み25μm)
塗工厚み:30μm
スクリーンメッシュ:ポリエステル100メッシュ
スキージ:平型、硬度70°
印刷速度:100mm/sec
<(F)カルボキシル基含有ポリマー>
本願発明における(F)カルボキシル基含有ポリマーとは、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で、3,000以上300,000以下のポリマーである。ここで、(F)カルボキシル基含有ポリマーの分子量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H (6.0mmI.D×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW―H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
上記範囲内に重量平均分子量を制御することにより、(A)感光性樹脂組成物のアルカリ現像性、得られる硬化膜の柔軟性、耐薬品性が優れるため好ましい。重量平均分子量が3,000以下の場合は、柔軟性や耐薬品性が低下する場合があり、重量平均分子量が300,000以上の場合はアルカリ現像性が低下し、(A)感光性樹脂組成物の粘度が高くなる場合がある。
本願発明における(F)カルボキシル基含有ポリマーの酸価は、例えば、JIS K5601−2−1で規定された方法で測定することができ、50〜200mgKOH/gとすることが好ましく、50〜150mgKOH/gとすることがより好ましい。酸価が50mgKOH/gより小さい場合では(A)感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が低下する場合があり、200mgKOH/gより大きい場合では硬化膜の吸湿性が高くなり電気絶縁信頼性が低下する場合がある。
より具体的には、本願発明における(F)カルボキシル基含有ポリマーとしては、特に限定はされないが、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合体、カルボキシル基含有ビニル系共重合体、酸変性ポリウレタン、酸変性ポリエステル、酸変性ポリカーボネート、酸変性ポリアミド、酸変性ポリイミド等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明における(F)カルボキシル基含有ポリマーは、上記構造を有しているものであれば特に限定はされるものではないが、より好ましくは、少なくとも(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させたものが用いられる。このような構造とすることにより、感光性に優れ、得られる硬化膜の柔軟性、耐薬品性に優れる感光性樹脂組成物となるため好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル鎖に炭素数1〜20のアルキル基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルを用いることが、(B)感光性樹脂組成物の硬化膜の柔軟性と耐薬品性の観点から好ましい。
上記、少なくとも(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させる反応は、例えば、ラジカル重合開始剤によりラジカルを発生させることにより進行させることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸価水素等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記、ラジカル重合開始剤の使用量は、使用するモノマー100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましく、0.01〜1重量部とすることがより好ましい。0.001重量部より少ない場合では反応が進行しにくく、5重量部より多い場合では分子量が低下する場合がある。
上記反応は、無溶媒で反応させることもできるが、反応を制御する為には、溶媒系で反応させることが望ましく、例えば溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
更に、例えばメチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2-(2-メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2-ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2-エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2-ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n―プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールものエチルエーテル等のエーテル類の溶剤を用いることもできる。中でも、副反応が生じにくいことから、対称グリコールジエーテル類を用いることが好ましい。
反応の際に用いられる溶剤量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが好ましく、20重量%以上70重量%以下とすることがより好ましい。溶液濃度が5%より少ない場合では重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があり、また、溶液濃度が90重量%より多い場合では反応溶液が高粘度となり反応が不均一となる場合がある。
上記反応温度は、20〜120℃とすることが好ましく、50〜100℃とすることがより好ましい。20℃より低い温度の場合では反応時間が長くなり過ぎ、120℃を超えると急激な反応の進行や副反応に伴う三次元架橋によるゲル化を招く恐れがある。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。
<(G)不飽和二重結合含有樹脂>
本願発明における(G)不飽和二重結合含有樹脂とは、(H)光重合開始剤により化学結合が形成される樹脂である。さらには、上記不飽和二重結合は、アクリル基(CH=CH−基)、メタアクリロイル基(CH=C(CH)−基)もしくはビニル基(−CH=CH−基)であることが好ましい。本願発明で用いられる(G)不飽和二重結合含有樹脂としては、例えばビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1 − アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート、等が好ましいが、これらに限定されない。特に、ジアクリレートあるいはメタアクリレートの一分子中に含まれるEO(エチレンオキサイド)の繰り返し単位が、2〜50の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは2〜40である。EOの繰り返し単位が2〜50の範囲の物を使用することにより、(A)感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液に代表される水系現像液への溶解性が向上し、現像時間が短縮される。更に、(A)感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜中に応力が残りにくく、(B)フレキシブルプリント基板上に積層した際に、(B)フレキシブルプリント基板のカールを抑えることができるなどの特徴を有する。
特に、上記EO変性のジアクリレート或いは、ジメタクリレートと、アクリル基もしくは、メタクリル基を3以上有するアクリル樹脂を併用することが現像性を高める上で特に好ましく、例えばエトキシ化イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸EO変性トリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルコハク酸、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸、プロポキシ化ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、下記一般式(1)
Figure 2012015368
(式中、a+b=6、n=12である。)で表される化合物、下記一般式(2)
Figure 2012015368
(式中、a+b=4、n=4である。)で表される化合物、下記式(3)
Figure 2012015368
で表される化合物、下記一般式(4)
Figure 2012015368
(式中、m=1、a=2、b=4もしくは、m=1、a=3、b=3もしくは、m=1、a=6、b=0もしくは、m=2、a=6、b=0である。)で表される化合物、下記一般式(5)
Figure 2012015368
(式中、a+b+c=3.6である。)で表される化合物、下記式(6)
Figure 2012015368
で表される化合物、下記一般式(7)
Figure 2012015368
(式中、m・a=3、a+b=3、ここで「m・a」は、mとaとの積である。)で表される化合物等のアクリル樹脂が好適に用いられる。
また、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、アクリル酸ダイマー、ペンタエスリトールトリ及びテトラアクリレート等の分子構造骨格中にヒドロキシル基、カルボニル基を有する物も好適に用いられる。
この他、エポキシ変性のアクリル(メタクリル)樹脂や、ウレタン変性のアクリル(メタクリル)樹脂、ポリエステル変性のアクリル(メタクリル)樹脂等どのような(G)不飽和二重結合含有樹脂を用いてもよい。
尚、(G)不飽和二重結合含有樹脂としては、1種を使用することも可能であるが、2種以上を併用することが、光硬化後の硬化膜の耐熱性を向上させる上で好ましい。
本願発明における(G)不飽和二重結合含有樹脂は、(F)成分100重量部に対して、10〜200重量部となるように配合されていることが、(A)感光性樹脂組成物の感光性が向上する点で好ましい。
(G)成分が上記範囲よりも少ない場合には、(A)感光性樹脂組成物を光硬化した後の硬化被膜の耐アルカリ性が低下すると共に、露光・現像したときのコントラストが付きにくくなる場合がある。また、(G)成分が上記範囲よりも多い場合には、(A)感光性樹脂組成物の溶液を基材上に塗布し、溶媒を乾燥させることにより得られる塗膜のべたつきが大きくなるため生産性が低下し、また架橋密度が高くなりすぎることにより硬化膜が脆く割れやすくなる場合がある。上記範囲内にすることで露光・現像時の解像度を最適な範囲にすることが可能となる。
<(H)光重合開始剤>
本願発明における(H)光重合開始剤とは、UVなどのエネルギーによって活性化し、(G)不飽和二重結合含有樹脂の反応を開始・促進させる化合物である。かかる(H)光重合開始剤としては、例えば、ミヒラ−ズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’,4’’−トリス(ジメチルアミノ)トリフェニルメタン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、アセトフェノン、ベンゾイン、2−メチルベンゾイン、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインエチルエ−テル、ベンゾインイソプロピルエ−テル、ベンゾインイソブチルエ−テル、2−t−ブチルアントラキノン、1,2−ベンゾ−9,10−アントラキノン、メチルアントラキノン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジアセチルベンジル、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジルジエチルケタ−ル、2(2’−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2[2’(5’’−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、ジ(テトラアルキルアンモニウム)−4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルフォネ−ト、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、ビス(n5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、ヨード二ウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシオム)などが挙げられる。上記(H)光重合開始剤は適宜選択することが望ましく、1種以上を混合させて用いることが望ましい。
本願発明における(H)光重合開始剤は、(F)成分及び(G)成分の合計100重量部対して、0.1〜50重量部となるように配合されていることが好ましい。
上記配合割合にすることで(A)感光性樹脂組成物の感光性が向上するので好ましい。
(H)成分が上記範囲よりも少ない場合には、光照射時のラジカル重合性基の反応が起こりにくく、硬化が不十分となることが多い場合がある。また、(H)成分が上記範囲よりも多い場合には、光照射量の調整が難しくなり、過露光状態となる場合がある。そのため、光硬化反応を効率良く進めるためには上記範囲内に調整することが好ましい。
<その他の成分>
本願発明における(A)感光性樹脂組成物には、更に必要に応じて、熱硬化性樹脂、難燃剤、着色剤、密着性付与剤、重合禁止剤、溶媒等の添加剤を用いることができる。
本願発明における熱硬化性樹脂とは、加熱により架橋構造を生成し、熱硬化剤として機能する化合物である。 例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂;高分子鎖の側鎖または末端にアリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子等を用いることができる。上記熱硬化性成分、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いればよい。熱硬化性樹脂としては、この中でも、エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。エポキシ樹脂成分を含有することにより、(A)感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜に対して耐熱性を付与できると共に、金属箔等の導体や回路基板に対する接着性を付与することができる。上記エポキシ樹脂とは、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含む化合物であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER828、jER1001、jER1002、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4100E、アデカレジンEP−4300E、日本化薬株式会社製の商品名RE−310S、RE−410S、大日本インキ株式会社製の商品名エピクロン840S、エピクロン850S、エピクロン1050、エピクロン7050、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER806、jER807、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4901E、アデカレジンEP−4930、アデカレジンEP−4950、日本化薬株式会社製の商品名RE−303S、RE−304S、RE−403S,RE−404S、DIC株式会社製の商品名エピクロン830、エピクロン835、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001、ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−1514、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX8000、jERYX8034,jERYL7170、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4080E、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−7015、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−3000、エポトートYD−4000D、ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX4000、jERYL6121H、jERYL6640、jERYL6677、日本化薬株式会社製の商品名NC−3000、NC−3000H、フェノキシ型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER1256、jER4250、jER4275、ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4200、日本化薬株式会社製の商品名NC−7000L、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER152、jER154、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−201−L、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−740、エピクロンN−770、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDPN−638、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−660、エピクロンN−670、エピクロンN−680、エピクロンN−695、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名XD−1000、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−7200、アミン型エポキシ樹脂としては、東都化成株式会社の商品名エポトートYH−434、エポトートYH−434L、可とう性エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER871、jER872、jERYL7175、jERYL7217、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−4850、ウレタン変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPU−6、アデカレジンEPU−73、アデカレジンEPU−78−11、ゴム変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPR−4023、アデカレジンEPR−4026、アデカレジンEPR−1309、キレート変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−49−10、アデカレジンEP−49−20等が挙げられる。
本願発明における熱硬化性樹脂の硬化剤としては特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、アミノ樹脂、ユリア樹脂、メラミン、ジシアンジアミド等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;3級アミン系、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエタノールアミン等のアミン系化合物;1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート等のボレート系化合物等、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類;2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン等のアジン系イミダゾール類等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明における熱硬化性樹脂成分は、(F)成分、(G)成分、及び(H)成分を合計した100重量部に対して、好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは、1〜50重量部、特に好ましくは、5〜20重量部である。上記範囲内に熱硬化性樹脂成分の量を調整することにより、(A)感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化膜の耐熱性、耐薬品性、電気絶縁信頼性を向上することができるので好ましい。
熱硬化性樹脂成分が上記範囲よりも少ない場合には、(A)感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化膜の耐熱性、電気絶縁信頼性に劣る場合がある。また、熱硬化性樹脂成分が上記範囲よりも多い場合には、(B)感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化膜が脆くなり柔軟性に劣り、硬化膜の反りも大きくなる場合がある。
本願発明における難燃剤とは、(A)感光性樹脂組成物を難燃化するために用いられる化合物のことである。例えば、リン酸エステル系化合物、含ハロゲン系化合物、金属水酸化物、有機リン系化合物、シリコーン系等を用いることができ、使用方法としては添加型難燃剤、反応型難燃剤として用いることができる。また、難燃剤は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
難燃剤としては、この中でも、非ハロゲン系化合物を用いることが環境汚染の観点からより好ましく、特にリン系難燃剤が好ましい。
本願発明の(A)感光性樹脂組成物における難燃剤成分は、(F)成分、(G)成分、及び(H)成分の合計100重量部対して、1〜100重量部となるように配合されていることが好ましい。
上記配合割合にすることで(A)感光性樹脂組成物の現像性、感光性、得られる硬化膜の耐折れ性を損なうことなく、難燃性が向上するので好ましい。
難燃剤成分が上記範囲よりも少ない場合には、(A)感光性樹脂組成物の硬化膜の難燃性が不十分となる場合がある。また、難燃剤成分が上記範囲よりも多い場合には、(A)感光性樹脂組成物の現像性や感光性が低下する場合がある。
本願発明における着色剤としては、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、カーボンブラック、酸化チタン、密着性付与剤としては、シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、トリアジン系化合物、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。また、本願発明の(B)感光性樹脂組成物には、密着性、硬化膜の硬度を向上させる目的で、無機充填剤を用いることができる。無機充填剤としては、特に限定はされないが、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、タルク、超微粒子状無水シリカ、合成シリカ、天然シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明における溶媒としては、(F)〜(H)を溶解させることができる溶媒であれば良い。例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、メチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2-(2-メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2-ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2-エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2-ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、γ―ブチロラクトン、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n―プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本願発明における溶媒は、(F)成分、(G)成分、及び(H)成分を合計した100重量部に対して、10〜400重量部、より好ましくは、20〜200重量部、特に好ましくは、40〜100重量部である。
上記範囲内に溶媒の量を調整することにより、(B)感光性樹脂組成物の粘度や粘性をスクリーン印刷などの塗工に適切な範囲内に調整することができるので好ましい。
溶媒が上記範囲よりも少ない場合には、(A)感光性樹脂組成物の粘度が非常に高くなり、塗工が困難となり、塗工時の泡の巻き込み、レベリング性に劣る場合がある。また、溶媒が上記範囲よりも多い場合には、(B)感光性樹脂組成物の粘度が非常に低くなってしまい、塗工が困難となり、回路の被覆性に劣る場合がある。
本願発明における(A)感光性樹脂組成物は、前記各成分(F)〜(H)成分、(D)成分及びその他の成分を均一に混合して得られる。均一に混合する方法としては、例えば3本ロール、ビーズミル装置等の一般的な混練装置を用いて混合すればよい。また、溶液の粘度が低い場合には、一般的な攪拌装置を用いて混合してもよい。
本願発明における(A)感光性樹脂組成物は、以下のようにしてパタ−ンを形成することができる。先ず上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥して溶媒を除去する。基板への塗布はスクリ−ン印刷、ローラーコーティング、カ−テンコーティング、スプレーコーティング、スピンナーを利用した回転塗布等により行うことができる。塗布膜(好ましくは厚み:5〜100μm)の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。乾燥後、乾燥塗布膜にネガ型のフォトマスクを置き、紫外線、可視光線、電子線などの活性光線を照射する。次いで、未露光部分をシャワー、パドル、浸漬または超音波等の各種方式を用い、現像液で洗い出すことによりパタ−ンを得ることができる。なお、現像装置の噴霧圧力や流速、現像液の温度によりパターンが露出するまでの時間が異なる為、適宜最適な装置条件を見出すことが好ましい。上記現像液としては、アルカリ水溶液を使用することが好ましく、この現像液には、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒が含有されていてもよい。上記のアルカリ性水溶液を与えるアルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭酸塩や炭酸水素塩、アミン化合物などが挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルジエタノ−ルアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロピルアミン等が挙げられ、水溶液が塩基性を呈するものであればこれ以外の化合物も使用することができる。
本願発明における(A)感光性樹脂組成物の現像工程に好適に用いることのできる、アルカリ性化合物の濃度は、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは、0.05〜5重量%とすることが好ましい。また、現像液の温度は(A)感光性樹脂組成物の組成や、現像液の組成に依存しており、一般的には0℃以上80℃以下、より一般的には、20℃以上50℃以下で使用することが好ましい。
上記現像工程によって形成したパタ−ンは、リンスして不用な現像液残分を除去する。リンス液としては、水、酸性水溶液などが挙げられる。
次に、加熱硬化処理を行うことにより耐熱性及び柔軟性に富む硬化膜を得ることができる。硬化膜は配線厚み等を考慮して決定されるが、厚みが2〜50μm程度であることが好ましい。このときの最終硬化温度は配線等の酸化を防ぎ、配線と基材との密着性を低下させないことを目的として低温で加熱して硬化させることが望まれている。この時の加熱硬化温度は100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であることが望ましく、特に好ましくは130℃以上190℃以下である。最終加熱温度が高くなると配線の酸化劣化が進む場合がある。
本願発明における(A)感光性樹脂組成物から形成した硬化膜からなるパタ−ンは、耐熱性、難燃性、電気的及び機械的性質に優れており、特に柔軟性に優れている。例えば、この発明の絶縁膜は、好適には厚さ2〜50μm程度の膜厚で光硬化後少なくとも10μmまでの解像性、特に10〜1000μm程度の解像性である。この為、本願発明の絶縁膜は高密度フレキシブルプリント基板の絶縁材料として特に適しているのである。また更には、光硬化型の各種配線被覆保護剤、感光性の耐熱性接着剤、電線・ケーブル絶縁被膜等に用いられる。
[(C)補強板]
本願発明における(C)補強板とは、フレキシブルプリント基板を補強する目的で用いられる材料であれば限定されるものではない。しかし、用途により使い分けされることがある。例えば、厚手の補強板材料としては、紙フェノール、ガラス・エポキシ板、薄型の補強板材料としては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルムなどがあり、その他、薄型の補強板材料としては、金属板(銅板、アルミ板)などがある。また、補強板にポリイミドフィルムを用いることにより、耐熱性、柔軟性に優れた補強板一体型配線板を得ることができる。ポリイミドフィルムとしては、適宜選択することができるが、厚み75μmから225μmが好ましく、例えば、株式会社カネカ製 商品名アピカル125NPI(厚み125μm)が挙げられる。上記ポリイミドフィルムの厚みが75μmよりも小さい場合、(B)フレキシブルプリント基板を支持するために必要な支持性が得られない場合がある。一方、厚みが225μmよりも大きい場合、補強板一体型フレキシブルプリント基板全体として厚みが大きくなり過ぎ、小型化、軽量化の傾向に反する懸念がある。
一方、(C)補強板を(A)感光性樹脂組成物に貼り合わせる場合、(E)熱硬化性接着剤を使用する場合がある。上記(E)熱硬化性接着剤としては、一般的な熱硬化性接着剤であれば適宜選択することができるが、例えば、エポキシ系またはアクリル系の熱硬化性接着剤が挙げられる。また、シート状及び溶液状のどちらでも使用しても良い。熱硬化性接着剤が溶液状の場合、(A)感光性樹脂組成物の硬化膜表面に塗布する場合もしくは(C)補強板に塗布する場合があるが適宜選択することができる。
以下本願発明を実施例により具体的に説明するが本願発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<(F)カルボキシル基含有ポリマー>
〔合成例1〕
攪拌機、温度計、滴下漏斗、および窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)100.0gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。これに、室温で予め混合しておいた、メタクリル酸12.0g(0.14モル)、メタクリル酸ベンジル28.0g(0.16モル)、メタクリル酸ブチル60.0g(0.42モル)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5gを80℃に保温した状態で3時間かけて滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、反応溶液を攪拌しながら90℃まで昇温し、反応溶液の温度を90℃に保ちながら更に2時間攪拌し、本願発明のカルボキシル基含有ポリマー溶液を得た(F−1)。得られたカルボキシル基含有樹脂溶液の固形分濃度は48%、重量平均分子量は48,000、酸価は78mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は下記の方法で測定した。
<固形分濃度>
JIS K 5601−1−2に従って測定を行った。尚、乾燥条件は150℃×1時間の条件を選択した。
<重量平均分子量>
合成した(F)カルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量を下記条件にて測定した。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM-H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW-H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
<酸価>
JIS K 5601−2−1に従って、合成した(F)カルボキシル基含有ポリマーの酸価の測定を行った。
<(D)反応性表面調整剤の合成>
〔合成例2〕
攪拌機、温度計、滴下漏斗、および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレン80.0gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら105℃まで昇温した。そこへ、ラウリルメタクリレート170.0g、2−エチルヘキシルアクリレート115.0g、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート15.0g、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサイト4.0gの混合溶液を滴下ロートにより、2時間で等速滴下した。滴下終了後、105で1時間反応させた後、115℃に昇温し、4時間反応させて重合物を得た(D−1)。この重合体の重平均分子量は30,000であった。尚、重量平均分子量は上記記載の装置及び方法で測定した。
〔合成例3〕
上記混合溶液をラウリルメタクリレート170.0g、2−エチルヘキシルアクリレート115.0g、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルアクリレート15.0g、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサイト4.0gに変更した以外は、〔合成例2〕と同様の合成方法で重合物を得た(D−2)。この重合体の重平均分子量は35,000であった。
(実施例1及び2)
<感光性樹脂組成物の調製>
合成例1で得られた(F)カルボキシル基含有ポリマー(G)感光性樹脂(H)光重合開始剤、合成例2、3で得られた(D)反応性表面調整剤、及びその他の成分を添加して感光性樹脂組成物を作製した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表1に記載する。なお、表中の溶媒である1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタンは上記合成例1で合成した樹脂溶液等に含まれる溶剤等も含めた全溶剤量である。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して下記評価を実施した。
Figure 2012015368
<1>新中村化学社製 製品名NKエステルA−9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)
<2>新中村化学社製 製品名NKエステルBPE−1300(ビスフェノールA EO変性ジアクリレート)分子量:1684
<3>チバ・スペシャルティーケミカルズ社製 光重合開始剤の製品名
<4>DIC株式会社製 クレゾールノボラック型の多官能エポキシ樹脂の製品名
<5>クラリアント社製 難燃剤(ホスフィン酸塩)の製品名 平均粒子径:2−3μm 熱分解開始温度:300℃以上
<6>日本アエロジル株式会社製 シリカ粒子の製品名
<7>共栄社化学株式会社製 消泡剤
<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>
上記感光性樹脂組成物を、ベーカー式アプリケーターを用いて、75μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名75NPI)に最終乾燥厚みが25μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥した後、50mm×50mmの面積のライン幅/スペース幅=100μm/100μmのネガ型フォトマスクを置いて300mJ/cmの積算露光量の紫外線を照射して露光した。次いで、1.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃に加熱した溶液を用いて、1.0kgf/mmの吐出圧で60秒スプレー現像を行った。現像後、純水で十分洗浄した後、160℃のオーブン中で90分加熱硬化させて感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。
<塗膜の評価>
感光性樹脂組成物の塗膜について、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表2に記載する。
(i)スクリーン印刷性
感光性樹脂組成物のスクリーン印刷性の評価は、下記評価方法で行った。
使用装置:スクリーン印刷機((株)ミノグループ社製ミノマット5575)
基材:ポリイミドフィルム((株)カネカ社製、アピカル25NPI、厚み25μm)
塗工厚み:30μm
スクリーンメッシュ:ポリエステル100メッシュ
スキージ:平型、硬度70°
印刷速度:100mm/sec
上記スクリーン印刷条件でスクリーン印刷し塗膜形成した後、1分間放置後の塗膜観察を行い判定した。
○:塗膜に泡が含有していない
×:塗膜に泡が含有されている
<硬化膜の評価>
得られた硬化膜について、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表3に記載する。
(ii)感光性評価
感光性樹脂組成物の感光性の評価は、上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目で得られた硬化膜の表面観察を行い判定した。
〇:ポリイミドフィルム表面にくっきりとしたライン幅/スペース幅=100/100μmの感光パターンが描けており、ライン部の剥離に伴うラインの揺れが発生しておらず、スペース部にも溶解残りが無いもの
△:ポリイミドフィルム表面にくっきりとしたライン幅/スペース幅=100/100μmの感光パターンが描けており、ライン部に剥離に伴うラインの揺れが発生しているが、スペース部には溶解残りが無いもの
×:ポリイミドフィルム表面にくっきりとしたライン幅/スペース幅=100/100μmの感光パターンが描けておらず、ライン部が剥離しており、しかも、スペース部には溶解残りが発生しているもの
(iii)耐溶剤性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目で得られた硬化膜の耐溶剤性の評価を行った。評価方法は25℃のメチルエチルケトン中に15分間浸漬した後風乾し、フィルム表面の状態を観察した。
○:塗膜に異常がない
×:塗膜に膨れや剥がれなどの異常が発生する
(iv)屈曲性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。硬化膜積層フィルムを30mm×10mmの短冊に切り出して、15mmのところで180°に10回折り曲げて塗膜を目視で確認してクラックの確認を行った。
○:硬化膜にクラックが無いもの
△:硬化膜に若干クラックがあるもの
×:硬化膜にクラックがあるもの
(v)絶縁信頼性
フレキシブル銅貼り積層版(銅箔の厚み12μm、ポリイミドフィルムは株式会社カネカ製アピカル25NPI、ポリイミド系接着剤で銅箔を接着している)上にライン幅/スペース幅=100μm/100μmの櫛形パターンを作製し、10容量%の硫酸水溶液中に1分間浸漬した後、純水で洗浄し銅箔の表面処理を行った。その後、上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>方法と同様の方法で櫛形パターン上に感光性樹脂組成物の硬化膜を作製し試験片の調整を行った。85℃、85%RHの環境試験機中で試験片の両端子部分に100Vの直流電流を印加し、絶縁抵抗値の変化やマイグレーションの発生などを観察した。
○:試験開始後、1000時間で10の8乗以上の抵抗値を示し、マイグレーション、デンドライトなどの発生が無いもの
×:試験開始後、1000時間でマイグレーション、デンドライトなどの発生があるもの
(vi)半田耐熱性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、75μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル75NPI)表面に感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。
上記塗工膜を260℃で完全に溶解してある半田浴に感光性樹脂組成物の硬化膜が塗工してある面が接する様に浮かべて10秒後に引き上げた。その操作を3回行い、硬化膜の接着強度をJIS K5400に従って碁盤目テープ法で評価した。
○:碁盤目テープ法で剥がれの無いもの
△:升目の95%以上が残存しているもの
×:升目の残存量が80%未満のもの
(vii)反り
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。
この硬化膜を50mm×50mmの面積のフィルムに切り出して平滑な台の上に塗布膜が上面になるように置き、フィルム端部の反り高さを測定した。測定部位の模式図を図2に示す。ポリイミドフィルム表面での反り量が少ない程、プリント配線板表面での応力が小さくなり、プリント配線板の反り量も低下することになる。反り量は5mm以下であることが好ましい。
(viii)難燃性
プラスチック材料の難燃性試験規格UL94に従い、以下のように難燃性試験を行った。上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)両面に感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。 上記作製したサンプルを寸法:50mm幅×200mm長さ×75μm 厚み(ポリイミドフィルムの厚みを含む)に切り出し、125mmの部分に標線を入れ、直径約13mmの筒状に丸め、標線よりも上の重ね合わせ部分(75mmの箇所)、及び、上部に隙間がないようにPIテープを貼り、難燃性試験用の筒を20本用意した。 そのうち10本は(1)23℃/50%相対湿度/48時間で処理し、残りの10本は(2)70℃で168時間処理後無水塩化カルシウム入りデシケーターで4時間以上冷却した。これらのサンプルの上部をクランプで止めて垂直に固定し、サンプル下部にバーナーの炎を10秒間近づけて着火する。10秒間経過したらバーナーの炎を遠ざけて、サンプルの炎や燃焼が何秒後に消えるか測定する。
○:各条件((1)、(2))につき、サンプルからバーナーの炎を遠ざけてから平均(10本の平均)で5秒以内、最高で10秒以内に炎や燃焼が停止し自己消火したもの
×:1本でも10秒以内に消火しないサンプルがあったり、炎がサンプル上部のクランプのところまで上昇して燃焼するもの
(ix)ブリードアウト
上記絶縁信頼性試験後の試験片を観察し、試験片表面の微小な膨れ、銅配線上の膨れ、油状物質の染み出しなどを観察した。
○:試験開始後、1000時間で試験片表面及び銅配線上に膨れ、染み出しなどの異常が見られないもの
×:試験開始後、1000時間で試験片表面及び銅配線上に膨れ、染み出しなどの異常が見られるもの
(x)リフロー耐熱性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、両面に12μm電解銅箔を重なり合わせた全面銅箔付きフレキシブルプリント基板の片面銅箔をエッチアウトした試験片の残った銅箔表面に感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。また、ポリイミドフィルム(カネカ社製125NPI)上に熱硬化性接着剤(Dupont社製パイララックス LF0100)を185℃の熱ロールラミで仮圧着し、積層体1を作製する。その後、上記で作製した感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムの感光性樹脂組成物表面と積層体1の熱硬化性接着剤面とを熱プレスにて165℃/90minで圧着し、積層体2を作製する。作製した積層体2を260℃:ピークトップ260℃×20secのリフロー条件でリフロー処理した後の積層体の外観を観察する。
○:試験前後で外観に変化の無いもの
×:試験後、積層体の何れかの積層界面で膨れが発生するもの
Figure 2012015368
(比較例1)
合成例1で得られた(F)カルボキシル基含有ポリマー、(G)成分である不飽和二重結合含有樹脂、(H)成分である光重合開始剤、及びその他の成分を添加して感光性樹脂組成物を作製した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表1に記載する。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して、この組成物を実施例1〜2と同様の方法で物性値の評価を行った。その結果を表2に記載する。
(比較例2)
エポキシアクリレート化合物としてカヤラッド ZFRl122(日本化薬株式会社製、商品名)80質量部、希釈剤として光重合性モノマーであるカヤラッド DPHA(日本化薬株式会社製、商品名) 20質量部、光重合開始剤としてイルガキュア369(チバ・ガイギー社製、商品名;光重合開始剤1)7質量部及びカヤキュア DETXS(日本化薬株式会社製、商品名;光重合開始剤2)3質量部、熱硬化成分としてエポキシ樹脂(含有率:2.0%、エポキシ当量:300)20質量部、硬化剤としてイミダゾール系重合触媒(四国化成工業株式会社製、商品名:2E4MZ) 2質量部及びメラミン 2質量部、硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、商品名:B−30) 10質量部、フタロシアニンブルー 2質量部、微粉シリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名:アエロジルR972) 5質量部、フェノキシホスファゼンオリゴマー(融点:110℃) 5質量部並びにポリイミド樹脂 10質量部を配合し、3本ロールミルで混練することで感光性熱硬化型樹脂組成物を作製した。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して、この組成物を実施例1〜2と同様の方法で物性値の評価を行った。その結果を表2に記載する。なお、ここで用いたポリイミド樹脂は、次の合成方法により合成したものを用いた。また熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂も、その後に記載した合成方法により得られたエポキシ樹脂を用いた。
(ポリイミド樹脂の合成)
撹拌装置、温度計、コンデンサーを付けた20リットルのフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、EDGAと称する) 4951gと、イソホロンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート(ダイセル・ヒュルス社製、商品名:T1890/100;イソシアネート基含有率18.2%、イソシアヌレート環含有トリイソシアネート含有率85%、以下、IPDI−Nと称する。) 2760g(イソシアネート基として12モル)と、ポリテールHA(三菱化学株式会社製、商品名;両末端に水酸基を有する水素添加液状ポリブタジエン〔数平均分子量2100の線状炭化水素構造を有する〕、水酸基価51.2mgKOH/g)2191g(水酸基として2モル)を仕込み、撹拌を行いながら発熱に注意して80℃に昇温した後、3時間反応を行った。次いで、さらにEDGA 1536gと無水トリメリット酸(以下、TMAと称する) 1536g(8モル)を仕込み、160℃まで昇温した後、4時間反応させた。反応は発泡とともに進行した。系内は薄茶色のクリアな液体となり、ポリイミド樹脂の溶液を得た。
(エポキシ樹脂の合成)
非ハロゲン系エポキシ樹脂として、YDPN−638(東都化成株式会社製、商品名;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180.7)を481.7質量部、リン含有化合物としてHCA(三光株式会社製、リン含有量14.4%)を518.3質量部、触媒としてトリフェニルフォスフィン(北興化学工業株式会社製)1.04質量部を、攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに仕込み、常圧で、反応温度を160℃〜190℃に保ち8時間攪拌して、エポキシ当量 300、軟化点 130℃、リン含有量 2.0%のリン含有固形エポキシ樹脂 993質量部を得た。
1 (B)フレキシブルプリント基板
2 ベース基材
3 導体回路
4 (A)感光性樹脂組成物
5 (E)熱硬化性接着剤
6 (C)補強板
7 感光性樹脂組成物を積層したポリイミドフィルム
8 反り量
9 平滑な台

Claims (5)

  1. (A)感光性樹脂組成物を(B)フレキシブルプリント基板上に塗布し、硬化して得られた感光性樹脂組成物の硬化膜上に(C)補強板を順番に積層してなることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法であって、該(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有していることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法。
  2. (A)感光性樹脂組成物を(B)フレキシブルプリント基板上に塗布し、硬化して得られた感光性樹脂組成物の硬化膜上に(E)熱硬化性接着剤、(C)補強板を順番に積層してなることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法であって、該(A)感光性樹脂組成物が(D)反応性表面調整剤を含有していることを特徴とする補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法。
  3. 上記(A)感光性樹脂組成物は、ポリイミドフィルム表面上に30μmの厚みでスクリーンメッシュ:ポリエステル100メッシュ、スキージ:平型、硬度70°、印刷速度:100mm/secのスクリーン印刷条件にてスクリーン印刷して塗膜形成後、1分間放置した後に塗膜が実質的に気泡を含有しないものであることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法。
  4. 上記(A)感光性樹脂組成物が(F)カルボキシル基含有ポリマー、(G)不飽和二重結合含有樹脂、及び(H)光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法。
  5. 上記(A)感光性樹脂組成物が、上記(F)成分、上記(G)成分、及び上記(H)成分を合計した量を100重量部とした場合に上記(D)反応性表面調整剤を0.01から5重量部含有していることを特徴とする請求項4に記載の補強板一体型フレキシブルプリント基板の製造方法。
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