JP5744617B2 - 口腔内清掃用綿棒 - Google Patents
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Description
また、特許文献1は、先端をテーパー状に形成した綿棒により、口腔内清掃の際、前歯の裏面も容易に清拭することができることが記載されている。
特許文献2は、シャープエッジを有する0.0001から1.0デニールである極細繊維を一部に含む歯牙擦掃用清拭材が提案されている。
また特許文献3は、先端が実質的に広がっている棒状物の先端に、1〜0.00001デニールの極細合成繊維よりなる布帛からなる口腔粘膜を拭くための部材が付与された器具が提案されている。
特許文献4には、単糸繊度が0.7dtex以下のポリエステル及びポリアミドからなるフィブリル化型複合繊維を綿球に用いた清掃用綿棒が提案されている。
また特許文献2のものは、極細繊維を含んだ清掃具で一定の清掃効果はあるものの、口腔内の唾液で繊維集合体が解繊し易く、充分な清掃効果を得ることができない。
特許文献3の綿棒は、実質的に口腔内の汚れや口腔粘膜を拭き取るためのものであり、フラットな形状をしているため、歯間、歯と歯茎の間のプラーク等を掻き取るのは困難である。
また特許文献4に記載の綿棒は単糸繊度0.7デシテックス以下の、ポリエステルとポリアミドからなるフィブリル化型複合繊維である極細繊維からのみ構成されており、ナイロンの軟化点付近の高温で繊維同士が接着、固化されているので、湿潤変形率に優れステインを掻き取る能力は十分であるものの、プラークのような膨潤したジェル状の固まりを収納できる間隙が少なく、清掃効果が充分でない。
図1に、代表的な綿棒の模式図を示す。
図1の(1)は軸体であり、例えば、木材、プラスチック材料、紙等で形成することができる。
軸体(1)の一端には、綿体(2)を有し、綿体は、軸体の端部近傍に巻き付けるように形成されている。
すなわち、吸水率が50%未満であると、綿体に硬度があり、プラークの掻き取り性に優れるものの、繊維間の間隙が少なく、捉えたプラークを繊維同士の間隙の多数の細い空間に十分に収納できず、再付着し、清掃効果に劣るものとなる。また吸水率が200%を超えると、綿体の硬度が不足し、掻き取りの応力、圧力によって繊維間の間隙が潰れてしまい、プラークを空間の間隙に収納できず、清掃効果に劣るものとなる。
また上記湿潤変化率が5〜15%であれば、適度な硬度で掻き取り性能が優れるとともに、さらに捕らえたプラ−クを繊維同士の間隙の収納でき、再付着を防ぐことができ易くなり、より清掃効果に優れるものとなる。
綿棒の綿体を10分、水道水に浸漬した後に計量用天秤の上に綿体が天秤皿の上に綿棒を垂直に立て、天秤における重量が200±2gの荷重を加えた後と荷重を加える前の綿体の変形率について以下の式で算出する。なお、200gというのは、歯間の隙間に綿棒を這わせた際のプラークを掻き取る際に掛かる荷重のおおよその値である。
まず、割繊糸(A)について説明する。
上記割繊糸(A)は、二種以上の繊維形成性ポリマーからなる単糸繊度が3dtex以下の複合繊維を応力で割繊せしめたものである。
例えば、図2に示すように、放射形セグメントAと、放射形セグメントAを補完する補完形セグメントBとからなる。各セグメントA、Bには、長手方向に沿うエッジが多数形成されているため(図1においてPで示す部分、同形状の部分は省略)、プラークを効率よく掻きとり、プラークの再付着も防止されて、優れた清拭効果を得ることができる。
なかでも、放射形セグメントがポリアミドであり、補完形セグメントがポリエステルであるとポリアミドの部分が柔らかく、放射形セグメントが歯や歯茎への当たりを柔らかくし、硬い補完形のポリエステル部分がプラークを掻き取る役割を果たすので、より一層清掃効果に優れ、使用感に優れたものが得られる。
すなわち、単糸繊度が太すぎる場合は、綿体の単位繊維表面積が小さくなり、十分な清掃性を得るのが難しく、十分な清掃効果を得ようとすれば、綿体が大きくなってしまい、歯と歯の間の清掃が難しくなる。また、一旦、プラ−クや食物片を掻き取っても、繊維の間の間隙に取り込むことができず、再度プラークが歯や歯茎等の口腔内に付着するおそれがある。
上記熱融着繊維(B)は、上記割繊糸(A)を構成する繊維形成性ポリマーの軟化点または融点より、30℃以上低い軟化点または融点を有するポリマーから構成される。
なお、本発明の綿体は、上記熱融着繊維(B)は、熱処理により融解して、割繊糸(A)と融着していることが好ましい。
なお、熱融着繊維を加熱融着した後に、表面積変化が少なく、綿体の空隙を確保しやすい理由から芯鞘構造の複合繊維が好ましい。
中でも鞘部がポリエチレン、芯部がポリプロピレンの芯鞘構造繊維が好ましい(ESファイバービジョン株式会社製ESファイバー等)。
この範囲であれば、繊維間の接着力と繊維間の空隙を適度に保ち、プラークの掻き取り効果に優れ、再付着を防止できる。なかでも2〜3dtexであれば、綿体先端の硬度と繊維間の間隙を適切に保持し易くなるため、より好ましい。
まず、上記割繊糸(A)と上記熱融着繊維(B)とを混用して綿体を作成する。
この混用する方法としては、それぞれの繊維をマルチフィラメントの状態で製編職して、織編物として、綿体としてもよいし、 それぞれの繊維にクリンプを付与したうえで、定長にカットし、ニードルパンチで不織布化して、綿体としてもよい。
次いで、軸体と綿体を接着する。
軸体と綿体の接着方法としては、水や洗浄液により接着力が低下しなければどのような接着剤でも構わないが、ホットメルトでの接着方法が作業の容易性や接着力の観点から好ましい。ホットメルトとして好適な材料としてはポリウレタン系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル系、共重合ポリアミド系、共重合ポリエステル系等やこれらのホットメルト混合品若しくは共重合品等が挙げられる。
割繊糸(A)には、融点253℃のポリエチレンテレフタレートと融点235℃のナイロン6の二成分から構成される複合繊維割繊糸(断面形状は図3−(b)、放射形のA成分:ナイロン6、単糸繊度2dtex、8個の補完形のB成分(扇形):ポリエステル単糸繊度0.2dtex)であるKBセーレン株式会社製ベリーマX(2.2dtex、カット長20mm)を70質量%用い、融着繊維(B)には、鞘成分がポリエチレン(融点120℃)、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)ESファイバービジョン株式会社製ESファイバー:ESC021(2.2dtex、カット長38mmのステープルファイバー)を30質量%混紡した2.7g/mのスライバーを作成した。
次に前記スライバーを0.07gに切断し、2.5mm径、長さ70mmの紙製棒に捲き付け、140℃において熱処理を行い、口腔内洗浄用綿棒を作成した。綿体の形状は円錐状で、先端部のRは0.5mm、底辺にあたる部分の最も大きい部位の半径は2.5mm、長さは11.5mm、綿体の吸水率は93%、200g荷重下の湿潤変形率は8%であった。
この条件で作成した綿棒は、掻き取り性能に優れ、歯茎と歯、歯間の間も効率よく掻き取り性に優れ、2本の綿棒で口腔内全体のプラークを清掃できた。尚、プラーク清掃効果の確認については歯垢染色液を用いて評価を行った。評価結果は後述する。
白十字株式会社製綿棒を準備した。
この綿棒は、綿体の形状は繭型で、先端部のRは1.5mm、最も大きい部位の半径は2.5mm、長さは15mm、半径2.5mm、長さ70mmの脱脂綿に使用された綿の繊度は1〜3dtex、繊維長は10〜25mmで、脱脂綿はポリビニルアルコールで接着されており、綿体の重量は0.026g、吸水率360%、200g荷重下の湿潤変形率は52%であった。
この綿棒は歯茎と歯、歯間の間も綿棒が奥まで挿入されない上に、唾液で容易に変形してしまい、口腔内全体のプラークを清掃することができず、拭き残しが多く見られた。
試験対象となる綿棒を一定圧力下でハネル精密咬合フォイル(片面12μm、赤、ドイツ製、輸入元:株式会社茂久商会)のインク面を上面にして平板に固定し、株式会社コマツ製歯磨き圧指指導機に歯ブラシの柄を切断して固定し、その柄に綿棒を固定した。綿棒とハネル精密咬合フォイルと接触圧は200gで行った。綿棒は10分間水道水で浸漬した後に垂れ落ちない状態になるまで余分な水を除去した上でハネル精密咬合フォイルインク除去性について評価を行った。
実施例1となる口腔内洗浄用綿棒が83%の面積で除去できたのに対し、比較例1となる綿棒は全く(0%)除去できていなかった。
株式会社ニッシン社製模型用人工歯垢(以下、人工プラークと記す)を松浪硝子工業株式会社製スライドガラスの片面に均一になるように塗布し乾燥した。綿棒は、シグマ光機株式会社製高性能・多機能プログラマブル2軸セテージコントローラ:SHOT−202AMでX軸とY軸方向にコントロールされたシグマ光機株式会社高剛性・精密型自動システム:SGAM26上の固定台に固定した。
人工プラークを塗布したスライドガラスを200gの負荷で綿棒に押し付け75mm/秒の速度で5mmの距離を一往復させた。試料となる綿棒は10分間水道水で浸漬した後に垂れ落ちない状態になるまで余分な水を除去した上で擦過試験を行った。擦過後のスライドガラスは株式会社ニコン社製D300にて撮影アドビシステムズ株式会社製PhotoShop CS3にて画像処理と画像濃度を読み取った。
その結果、実施例1となる口腔内洗浄用綿棒が27%の除去率できたのに対し、比較例1となる綿棒は13%の除去率であった。
割繊糸(A)と融着繊維(B)との比率をそれぞれ60%、40%に混紡した以外は実施例1同様に口腔内清掃用綿棒を作成した。綿体部の吸水率は60%、200g荷重下の湿潤変形率は5%であった。
この条件で作成した綿棒は、掻き取り性能に優れ、歯茎と歯、歯間の間も効率よく掻き取り性にも優れていたが、実施例1に比べプラークが再付着する傾向があり、口腔内全体のプラークを清掃するのに3本の綿棒が必要であった。
割繊糸(A)と融着繊維(B)との比率をそれぞれ90%、10%に混紡した以外は実施例1同様に口腔内清掃用綿棒を作成した。綿体の保水率は150%、200g荷重下の湿潤変形率は15%であった。
この条件で作成した綿棒は、掻き取り性能に優れ、歯茎と歯、歯間の間も効率よく掻き取り性にも優れていたが、実施例1に比べ綿体先端が潰れ易い傾向のため、口腔内全体のプラークを清掃するのに3本の綿棒が必要であった。
割繊糸(A)には、融点253℃のポリエチレンテレフタレートと融点235℃のナイロン6の二成分から構成される複合繊維割繊糸(断面形状は図3−(b)、放射形のA成分:ナイロン6、単糸繊度2dtex、8個の補完形のB成分(扇形):ポリエステル単糸繊度0.2dtex)であるKBセーレン株式会社製ベリーマX(2.2dtex、カット長20mm)のみで2.7g/mのスライバーを作成した。次に前記スライバーを0.07gに切断し、2.5mm径、長さ70mmの紙製棒に捲き付け、190℃において熱処理を行い、口腔内洗浄用綿棒を作成した。綿体の形状は円錐状で、先端部のRは0.5mm、底辺にあたる部分の最も大きい部位の半径は2.5mm、長さは11.5mm、綿体の吸水率は70%、200g荷重下の湿潤変形率は5%であった。
この条件で作成した綿棒は歯茎と歯、歯間の間も効率よく掻き取り性にも優れていたが、掻き取ったプラークが中まで取り込まれず、再付着してしまい口腔内全体のプラークを清掃することがでず、拭き残しがあった。
割繊糸(A)と融着繊維(B)との比率をそれぞれ50%、50%に混紡した以外は実施例1と同様に口腔内清掃用綿棒を作成した。綿体の吸水率は40%、200g荷重下の湿潤変形率は5%であった。
この条件で作成した綿棒は、掻き取り性は良好だったが、掻き取ったプラークが中まで取り込まれず、再付着してしまい口腔内全体のプラークを清掃することができず、拭き残しがあった。
綿体を整形する割繊糸(A)と融着繊維(B)とのスライバーの使用量を0.04g/mにした以外は実施例1同様に口腔内清掃用綿棒を作成した。綿体の保水率は220%、200g荷重下の湿潤変形率は28%であった。
この条件で作成した綿棒は歯茎と歯、歯間の間も効率よく掻き取り性にも優れていたが、容易に変形してしまうため、プラークを効率良く掻き取ることができずプラークの拭き残しがあった。
2 面体
A 放射形セグメント
B 補完形セグメント
Claims (2)
- 軸体と、軸体のすくなくとも一端に綿体を有した綿棒であって、綿体は、二種以上の繊維形成性ポリマーからなる単糸繊度が3dtex以下の複合繊維を応力で割繊せしめた割繊糸(A)と単糸繊度が1〜5dtexの熱融着繊維(B)とから先端に向かってテーパー形状に構成されてなり、熱融着繊維(B)は、割繊糸(A)を構成する繊維形成性ポリマーの融点または軟化点より、少なくとも30℃以上融点または軟化点が低いポリマーから構成され、熱処理により融解して割繊糸(A)と融着している、吸水率が50〜200%、200g荷重下での湿潤変形率が20%以下である口腔内清掃用綿棒。
- 割繊糸(A)はポリアミド及びポリエステルからなり、割繊糸(A)を構成する少なくとも一部のセグメントは、繊維横断面形状がエッジを有する異型である請求項1または2記載の口腔内清掃用綿棒。
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