JP5221280B2 - デンタルフロスおよびその製法 - Google Patents

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Description

本発明は、歯間の清掃に用いられるデンタルフロスおよびその製法に関するものである。
歯と歯の間はプラーク(歯垢)がつきやすく虫歯や歯周病になりやすい部位である。このプラークは、水分と有機質でできており、有機質の大半は細菌(口腔常在菌)とその代謝物であり、口腔内の衛生状態によって細菌が変化し、口臭や歯周疾患の原因となる。そこで、上記プラークを除去して口腔内を清浄に保つために、従来から正しい歯磨きが奨励されている。しかし、歯と歯の隙間には歯ブラシが届きにくく、プラークをより効果的に落とすためには、デンタルフロスの使用が有効である。
このようなデンタルフロスとしては、従来から、丸断面のナイロン繊維を束ねたものや、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)モノフィラメントヤーンを用いたテープ状のもの等が多く用いられている。しかし、前者のものは、糸が太いため、使用感が悪く、何より歯間へ挿入しづらく、プラークの清拭が充分にできないという問題がある。また、後者のものは、歯間への挿入はしやすいが、歯間の歯の表面も平らではなく、細い溝があるため、フロスをピンと張って歯間に挿入すると、フロスが直線化して、上記溝内に入り込みにくく、やはり歯間のプラークの清拭が充分にできないという問題がある。
そこで、本出願人は、歯間の清拭効果に優れ、歯や歯茎への当たりが柔らかく良好な使用感をもつデンタルフロスを開発し、すでに出願している(特許文献1、2参照)。
特開2007−215702 特開2007−215703
これらのデンタルフロスは、清拭効果や使用感に優れるとして、高い評価を得ているが、叢生(乱杭歯)や齲蝕治療後の修復物の変形等によって、歯間が極端に狭くなっている部分において、フロスに一定の張力をかけながら清掃を繰り返すと、歯の表面の凹凸に、糸材である極細繊維マルチフィラメントが繰り返し当たるため、一定のプラーク清拭効果は得られるものの、上記極細繊維マルチフィラメントに毛羽立ちや糸切れが発生して使用感を損なうおそれがあることが判明した。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、極細繊維マルチフィラメントを用い、優れた清拭効果と使用感を備え、しかも毛羽立ちや糸切れが発生することのないデンタルフロスとその製法の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、平均単糸繊度1.1dtex以下の極細繊維マルチフィラメントからなる芯糸の周囲に、熱融着糸を主成分とし、上記芯糸より平均単糸繊度が太く、かつ芯糸より熱収縮率が高い鞘糸が、50〜500T/mの巻き数となるよう隙間をあけてらせん状に巻回されており、上記芯糸と鞘糸とが、熱融着によって部分的に固定されているデンタルフロスを第1の要旨とし、そのなかでも、特に、上記極細繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状が、エッジを有する異型であるデンタルフロスを第2の要旨とする。
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記極細繊維マルチフィラメントが、分割型複合繊維を分割して得られるものであり、分割後の繊維横断面形状が放射形となるセグメントと、同じくその繊維断面形状が上記放射形セグメントを補完する扇形となるセグメントとで構成されているデンタルフロスを第3の要旨とし、上記鞘糸が、芯糸より乾熱収縮率が5%以上高く設定されているデンタルフロスを第4の要旨とする。
さらに、本発明は、平均単糸繊度1.1dtex以下の極細繊維マルチフィラメントからなる芯糸の周囲に、熱融着糸を主成分とし、上記芯糸より平均単糸繊度が太く、かつ芯糸より熱収縮率が高い鞘糸を、50〜500T/mの巻き数となるよう隙間をあけてらせん状に巻回巻回する工程と、得られた糸状体に対して熱セットを行うことにより、上記芯糸と鞘糸とを、熱融着によって部分的に固定する工程とを備えたデンタルフロスの製法を第5の要旨とする。
そして、本発明は、そのなかでも、特に、上記熱セットが、200〜230℃の乾熱処理であるデンタルフロスの製法を第6の要旨とする。
すなわち、本発明のデンタルフロスは、特定の極細繊維マルチフィラメントを芯糸とし、その周囲に、熱融着糸を主成分とする特定の鞘糸をらせん状に巻回し、熱融着によって両者を部分的に固定するようにしたものである。このデンタルフロスによれば、芯糸として用いられる極細繊維マルチフィラメントの周囲に巻回された鞘糸によって、糸全体の強度が高められており、強い張力をかけて丁寧に歯間を清掃することができ、過度の歯間コンタクト下で使用しても、毛羽立ちや糸切れが生じない。
しかも、上記芯糸と鞘糸には収縮差があり、熱セットによって鞘糸が大きく収縮し、収縮率の小さい芯糸が、比較的ふっくらした状態を維持したままで、上記鞘糸にらせん状に締め込まれ、その鞘糸と鞘糸の間から、嵩高い芯糸が飛び出した状態になる。このため、フロスをピンと張っても、鞘糸に張力がかかるだけで、芯糸は完全に伸びきることがなく、鞘糸と鞘糸の間から芯糸が飛び出した形状を維持する。この張力がかかって比較的固いらせん状の鞘糸と、比較的柔軟で自由度の高い芯糸とが組み合わせられた特殊な形状によって、従来は掻き取ることが困難であった、歯間の歯の表面の溝内のプラークを、効率よく掻き取ることができる。そして、芯糸である極細繊維マルチフィラメントは適度にばらけて隙間を有するため、比較的硬く締まった鞘糸に沿って掻き出されたプラークを、極細繊維マルチフィラメントの隙間に順次とり込むことができ、歯への再付着を防ぐことができる。そして、デンタルフロスをピンと張っても、芯糸である極細繊維マルチフィラメントには、自由度があるため、これらが毛羽立ったり切れたりすることがなく、しかも歯間を通すときに糸の収束がばらけて、歯間に挿入しやすいという利点がある。
また、本発明において、特に、上記極細繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状が、エッジを有する異型であるものは、上記エッジ部分によってプラークを掻き取る効果が高く、好適である。そして、そのなかでも、上記極細繊維マルチフィラメントが、分割型複合繊維を分割して得られるものであり、分割後の繊維横断面形状が放射形となるセグメントと、同じくその繊維断面形状が上記放射形セグメントを補完する扇形となるセグメントとで構成されているデンタルフロスであると、上記2種類のセグメントのエッジが歯の凹凸にフィットしやすく、プラークをより確実に捕捉できる。しかも、歯の表面から掻き取ったプラークを放射状セグメントの間隙に収納して保持しやすいため、プラークが再付着しにくく、清拭効果がより優れたものとなる。
さらに、本発明において、特に、上記鞘糸が、芯糸より乾熱収縮率が5%以上高く設定されているデンタルフロスであると、とりわけ、熱セット後に発現する糸のねじれが大きく、より優れた清拭効果を得ることができる。
そして、本発明のデンタルフロスの製法によれば、特殊な装置を用いることなく、効率よく上記デンタルフロスを製造することができる。
また、上記製法において、上記熱セットが、200〜230℃の乾熱処理であるものは、鞘糸による熱融着と、芯糸および鞘糸の熱収縮の発現が良好に行われるため、より優れた性能のデンタルフロスを得ることができる。
つぎに、本発明のデンタルフロスの最良の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のデンタルフロスは、例えば図1(a)(模式的な拡大図)に示すように、極細繊維マルチフィラメントからなる芯糸Xの周囲に、熱融着糸を主成分とする鞘糸Yが、適宜の隙間をあけてらせん状に巻回された構成になっている。そして、上記芯糸Xと鞘糸Yの接触部の少なくとも一部が、鞘糸Yの部分的な溶融によって、固定されている。
上記芯糸Xに用いられる極細繊維マルチフィラメントは、その単糸繊度が1.1dtex以下のものでなければならない。上記「単糸繊度」とは、マルチフィラメントを構成する1本1本の繊維の繊度をいい、後述するように、極細繊維マルチフィラメントとして複合繊維マルチフィラメントを割繊したもの(割繊糸)を用いる場合には、割繊した後の各セグメントのセグメント繊度を示す。
上記単糸繊度が1.1dtexを超えて太い場合は、デンタルフロスの単位繊維表面積が小さくなり、デンタルフロス自体を太くしないと、充分な清拭性を得ることが難しく、充分な清拭効果を得ようとすれば、デンタルフロス自体が太くなって歯と歯の間への挿入に困難を伴う。そのうえ、一旦、プラ−クや食物片を掻き取っても、繊維間に取り込むことができず、再度プラークが歯や歯茎などの口腔内に付着することになる。
一方、単糸繊度が1.1dtex以下の極細繊維であれば、多数の細い繊維でそぎ取るようにプラ−クを掻き取り、繊維群に押し上げて捕捉していく。そして、捉えたプラ−クは繊維同士の間隙の多数の細い空間に大量に収納されて、再付着が防止され、通常のマルチフィラメント使用のフロスでは得られない良好な掻き取り効果が得られる。また、歯間への挿入時には、極細繊維の集合体であることにより、自由に断面形状を変えて狭い歯と歯の間に入ることができるため、一定の嵩高さを有していても、歯間へのフロスの挿入が非常に容易である。
なお、従来のデンタルフロスでは、比較的嵩高いデンタルフロスの場合、歯間への挿入しやすさを得るために、通常、ワックスコーティング処理等を施すことが行われるが、本発明のデンタルフロスでは、嵩高くて太くても、ワックスコーティングを施さずとも歯間にスムーズに挿入することができる。もちろんワックスコーティングを施しても構わない。
また、上記極細繊維マルチフィラメントの単糸繊度は、なかでも、0.01〜0.75dtexの範囲内であることが、効果の上で好適である。0.01dtex未満では、芯糸Xの強度が弱いものとなり、製造上好ましくない。
そして、本発明の極細繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状は、特に限定するものではないが、なかでも、エッジを有する異型のものであることが、極細繊維マルチフィラメントによるプラーク掻き取り効果が高く、好適である。
上記「エッジ」とは、繊維横断面の外形線が、なだらかな円弧状ではなく屈曲した角形状になっており、その角部によって形成される突出部位をいう。そして、上記角部の角度は、鈍角であっても差し支えないが、鋭角のほうがより優れた清拭性能を発揮する。ただし、上記繊維横断面の外形線において、上記角部を有する二辺は、それぞれ、必ずしも直線である必要はなく、円弧状になっていても差し支えない。このエッジは、鈍角でも直角でも、鋭角でも構わないが、プラークの掻き取り効果を効率的に得やすい点から、直角または鋭角、特に鋭角であるものが好ましい。
また、上記エッジは、デンタルフロスの表面に露出していることが好ましく、糸の表面に、そのエッジがランダムに露出していることが、清拭効果や清拭感の点から好ましい。
上記エッジを有する異型の繊維横断面形状としては、例えば図2に示すように、放射形セグメントAと、放射形セグメントAを補完する補完形セグメントBとからなるマルチフィラメントの繊維横断面をあげることができる。これらのセグメントA、Bには、繊維の長手方向に沿うエッジが多数形成されているため(図2においてPで示す部分、同形状の部分は省略)、プラークを効率よく掻きとり、プラークの再付着も防止されて、優れた清拭効果を得ることができる。
このような放射形セグメントAと補完形セグメントBとからなるものの場合、放射形セグメントAは、補完形セグメントBを3個以上に分割させたものが好ましい。なお上限は、16個程度が好ましい。特に好ましくは、4〜8個に分割させたものである。
このようなエッジを有する異型の極細繊維マルチフィラメントとしては、分割型複合繊維を割繊したものが好適である。例えば、上述した放射形セグメントAと補完形セグメントBからなるものは、図3(a)に示す分割型複合繊維を割繊して得ることができる。
また、同様に、エッジを有する異型の極細繊維マルチフィラメントを得ることのできる分割型複合繊維の他の例として、図3(b)〜(h)に示すような繊維横断面を有するものをあげることができる。なお、図3(g)のものは、複合繊維において外側の部分(C)を溶解除去することにより内側の成分(D:12本のセグメントからなる)のみからなる極細繊維マルチフィラメントを得ることができる。また、図3(h)のものは、易溶解成分Cを溶解除去してDの繊維形成性成分のみからなる極細繊維マルチフィラメントを得ることができる。
上記分割型複合繊維の割繊は、一方の成分を、溶解や分解によって除去したり、膨潤剤によって膨潤させたり、収縮剤によって収縮させたりすることによって行うことができる。また、複数成分を、摩擦や打撃によって物理的に分割する応力割繊を行うこともできる。本発明においては、応力割繊が好ましく、さらに具体的には、たとえば、叩いたり、もんだりすることによる割繊、水洗いすることによる割繊、染色工程での解燃による割繊、ギヤークリンプ,ニットデニット,仮撚等の加工を施すことによる割繊の方法等があげられる。なかでも、仮撚加工による割繊が好ましい。
なお、仮撚加工により応力割繊する場合には、各セグメントの型崩れの度合いが低く繊維断面の異型度を保ちやすく、デンタルフロスの清拭効果をより一層高めることができる。また仮撚の際に、撚りを加えた状態で熱セットし、その撚りが解除されるので、フィラメントに捲縮性を与えることができる。これにより、デンタルフロスにボリュームと伸縮性を持たせることができるので、歯や歯茎へのあたりが柔らかくなり、狭い歯間への挿入が容易になり使用感に優れたものとなる。さらに複雑な工程なく、容易に得ることができるので、余分な薬剤等の使用が少なくてすむ。
そして、本発明の芯糸Xとなる極細繊維マルチフィラメントを形成するためのポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポレオレフィン等があげられる。また、上記のように分割型複合繊維を用いて応力割繊する場合は、ポリエステルとポリアミド、ポリプロピレンとポリアミド、ポリエチレンとポリアミドなどのポリマーの組み合わせが好ましく用いられる。
なお、上記分割型複合繊維を用いる場合の、特に好適な組み合わせとしては、一方がポリエステル、他方がポリアミドである組み合わせである。すなわち、デンタルフロスとして用いた場合に、ポリマーの熱収縮率が大きいポリアミドが大きく収縮し、ポリエステルがそれほど収縮しないため、分割された各セグメント間に大きな隙間ができ、その隙間に、掻き取られたプラークが入り込みやすいため、清拭効果が優れたものとなる。また、応力による割繊が容易になり、繊維横断面形状の型崩れの度合いが低く、セグメントのエッジの部分の形状を保ちやすく、清拭効果の高いデンタルフロスを得られる。
なかでも、放射形セグメント(図2におけるA)がポリアミドであり、補完形セグメント(図2におけるB)がポリエステルであると、ポリアミドの部分が柔らかく、放射形セグメントが歯や歯茎への当たりを柔らかくし、硬い補完形のポリエステル部分がプラークを掻き取る役割を果たすので、より一層清拭効果に優れ、清拭感や使用感に優れたものが得られる。
また、本発明の芯糸Xとなる極細繊維マルチフィラメントには、歯や歯茎への当たりを柔らかくする点やプラークの掻き取りを効率的に行うことができる点から、嵩高性を付与する加工を行うことが好ましい。このような加工法としては、たとえば、加撚,熱固定,解撚法、仮撚法、擦過法、押込法、賦型法、空気噴射法、複合捲縮法などがあげられる。本発明においては、仮撚法により仮撚加工を施すことが好ましい。そして、上記極細繊維マルチフィラメントとして、前記分割型複合繊維を用いた場合は、上記仮撚加工時に、応力割繊を行うことができる。
さらに、本発明の芯糸Xとなる極細繊維マルチフィラメントは、これを複数本引き揃えて合糸したものを用いることができる。通常、合糸しただけでは、収束性がなくデンタルフロスとして使用しにくいものとなるため、複数本のマルチフィラメントを用いる場合、これらを合撚することが好ましいが、本発明では、この極細繊維マルチフィラメントを用いた芯糸Xの周囲に鞘糸Yを巻回して熱融着するため、合撚することは必要ではない。もちろん、合撚糸としても差し支えはない。
このように、本発明の芯糸Xは、上記極細繊維マルチフィラメントを、必要に応じて、仮撚加工等の嵩高加工を施し、これを単独で用いるか、複数本引き揃えて用いる。また、複数本用いる場合は、これを合撚してもよい。そして、上記仮撚加工や合糸、合撚の条件を適宜設定することによって、得られるデンタルフロスの外観や物性をコントロールすることができる。
ちなみに、芯糸Xとして、ポリアミドの放射形セグメントとポリエステルの補完形セグメントからなる分割型複合繊維由来の極細繊維マルチフィラメントを用いる場合、150〜185℃程度で、仮撚数2000〜5000T/Mにて仮撚加工を施し、得られた仮撚加工糸を複数本引き揃えて用いると、後述する鞘糸Yをらせん状に巻回することによって、清拭効果に優れたデンタルフロスを得ることができる。
さらに、本発明の芯糸Xに用いられる極細繊維マルチフィラメントは、その乾熱収縮率が、10%以下であることが好ましい。すなわち、芯糸Xの熱収縮率を低く抑え、後述するように、鞘糸Yの熱収縮率を、上記芯糸Xより高く設定することにより、その収縮差によって糸にねじれを与え、芯糸Xの極細繊維マルチフィラメントの各繊維をばらけさせることができ、プラークの取り込み効率を高めることができるからである。
そして、本発明において、上記芯糸Xのトータル繊度は、100〜1100dtexであることが好適である。なかでも、200〜900dtexであることがより好適であり、さらには、300〜700dtexである。すなわち、芯糸Xのトータル繊度が小さすぎると、極細繊維ならではの嵩高さが得られにくくなり、また鞘糸Xをらせん状に巻回して収縮させた際に、全体がギザギザに屈曲した形状になりにくいため、好ましくない。逆に、芯糸Xのトータル繊度が大きすぎると、鞘糸と組み合わせたものが太くなって歯間に入りにくくなるため、好ましくない。
一方、本発明の鞘糸Yに用いられる糸は、熱融着糸を主成分とするものでなければならい。上記「熱融着糸」とは、糸を構成する繊維表面の少なくとも一部に、低融点である熱融着成分が露出しており、その融点よりも高く加熱されることによって、上記熱融着成分が軟化もしくは溶融して、この部分に接する他の繊維を固定する機能を備えている糸である。そして、上記「熱融着糸を主成分とする」とは、上記熱融着糸を全体の50重量%以上用いることをいう。すなわち、上記熱融着糸が50重量%未満では、熱融着成分による芯糸Xの固定が不充分となり、繊維の毛羽立ちや糸切れが発生しやすくなるからである。
なお、上記「固定」は、上記熱融着成分が液状に融解して接着剤のように相手を完全に接着固定するのではなく、その表面の軟化もしくは部分的な溶融によって、互いの接触部の、限られた部分を固定し、他の部分では両者の自由度が保たれている程度に固定することが望ましい。
上記熱融着成分としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類およびそれらの共重合品があげられる。
また、上記熱融着成分として好ましい共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とし、共重合成分として、酸成分であるシュウ酸、マロン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸とジエチルグリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、パラキシレングリコール、ビスヒドロキシエトキシフェニルプロパン等の脂肪族、脂環族または芳香族系ジオール類グリコールとを1種、もしくは2種以上組み合わせたものを所定割合で含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸類を50モル%以下の割合で添加した共重合エステルが好適である。
そして、本発明の鞘糸Yとして用いられる熱融着糸としては、繊維全体が上記熱融着成分で構成された合成繊維からなるマルチフィラメントや、熱融着成分と、非熱融着成分(上記熱融着成分より軟化点が30℃以上高いもの)とを複合した複合繊維からなるマルチフィラメント等があげられる。。ただし、上記「軟化点」とは、合成繊維を構成する樹脂が軟化し始める温度をいい、具体的には、JISK7196法の「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って測定される軟化点をいう。
上記繊維全体が熱融着成分で構成された合成繊維としては、例えば、特開2004−232159に記載されている高収縮ポリエステル繊維等が好適である。より具体的には、イソフタル酸と2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンを共重合してなるポリエチレンテレフタレートを、SPD法によって紡糸した熱収縮性のポリエステル繊維等があげられる。
また、上記イソフタル酸と2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンに、さらに第3成分を共重合した共重合ポリエステルマルチフィラメントであってもよく、通常、軟化点が200℃以下、熱水収縮率(BWS)が10〜40%のポリエステルマルチフィラメント(高収縮ポリエステルマルチフィラメント)が好適である。ただし、高収縮ポリエステルマルチフィラメントは、夏場のトラックなど、高温での過酷な条件の輸送中にはボビン巻の場合にはボビンが変形しやすい場合があり、このような場合の取扱いが容易な点からは、BWSは、20%以下のものが好適に用いられる。
一方、熱融着成分と非熱融着成分とを複合した複合繊維としては、芯部が非熱融着成分からなり鞘部が熱融着成分からなる芯鞘型複合フィラメントを用いることが好適である。そして、完全な芯鞘構造になっているものの他、少なくとも熱融着成分の一部が表面に露出した構成になっている各種の複合形態のものがあげられる。例えば図4(a)〜(l)に示すような断面形状の複合繊維があげられる。なお、これらの図において、斜線部分が熱融着成分で形成されている部分を示し、白色部分が非熱融着成分で形成されている部分を示している。また、断面の輪郭形状も、必ずしも円形である必要はなく、楕円形、中空、三角形、四角形、星形等、各種の異形断面形状のものを用いることができる。
なお、これらの複合繊維のなかでも、特に、その熱融着成分が、繊維表面に40%以上露出しているものが好適である。そして、特に、芯糸Xを固着する効果の上で、図4(a)に示すような、鞘に熱融着成分を配し、芯に非熱融着成分を配した芯鞘型複合繊維を用いることが好適である。
このような芯鞘型複合繊維を用いる場合、鞘の熱融着成分としてイソフタル酸共重合ポリエテスルを用い、芯の非熱融着成分としてホモポリエステルを用いた芯鞘型複合ポリエステルマルチフィラメントが最適である。この場合、芯/鞘の比率は、容積基準で5/1〜1/5に設定することが好ましく、特に、3/1〜1/2に設定することが好ましい。
なお、本発明の鞘糸Yには、上記熱融着糸とともに、鞘糸Yの50重量%未満の割合で熱融着成分を含まない、非熱融着糸を組み合わせて用いることができる。このような非熱融着糸としては、前記ホモポリエステル等の非熱融着成分からなる各種のマルチフィラメントが好適に用いられる。
また、本発明の鞘糸Yは、前記芯糸Xより高い熱収縮率を備えている必要がある。すなわち、上記鞘糸と芯糸の熱収縮率の差をもたせることにより、熱セット後に、図1(b)に示すように、糸に規則的なねじれを発生させて、らせん状に巻回された鞘糸による外周面の凹凸と相俟って、従来にない、高い清拭効果を得ることができるからである。
より詳しく説明すると、鞘糸Yと芯糸Xに熱収縮率の差をもたせると、熱セットによって鞘糸が大きく収縮し、収縮率の小さい芯糸Xが、比較的ふっくらした状態を維持したままで、上記鞘糸Yにらせん状に締め込まれ、その鞘糸Yと鞘糸Xの間から、嵩高い芯糸Xが飛び出した状態になる。このため、フロスをピンと張っても、鞘糸Yに張力がかかるだけで、芯糸Xは完全に伸びきることがなく、鞘糸Yと鞘糸Yの間から芯糸Xが飛び出した形状を維持する。この張力がかかって比較的固いらせん状の鞘糸Yと、比較的柔軟で自由度の高い芯糸Xとが組み合わせられた特殊な形状によって、従来は掻き取ることが困難であった、歯間の歯の表面の溝内のプラークを、効率よく掻き取ることができる。そして、芯糸Xである極細繊維マルチフィラメントは適度にばらけて隙間を有するため、比較的硬く締まった鞘糸Yに沿って掻き出されたプラークを、極細繊維マルチフィラメントの隙間に順次とり込むことができ、歯への再付着を防ぐことができる。そして、デンタルフロスをピンと張っても、芯糸Xである極細繊維マルチフィラメントには、自由度があるため、これらが毛羽立ったり切れたりすることがなく、しかも歯間を通すときに糸の収束がばらけて、歯間に挿入しやすいという利点がある。
そして、このような、熱収縮率の差に由来する効果を充分に発現させるには、鞘糸Yの乾熱収縮率を、芯糸Xの乾熱収縮率より5%以上高く設定することが、好適である。
そして、本発明の鞘糸Yは、前記芯糸Xより単糸繊度が太いことが必要である。すなわち、芯糸Xをらせん状に取り巻いて、これをばらけないよう保持し、かつ一定の強度をもって、プラークを剃刀のように削り取る役割を果たすために、デンタルフロスの柔軟な使用感を損なわない範囲で、芯糸Xよりも高い剛性が要求されるからである。
ちなみに、芯糸Xとして用いられる極細繊維マルチフィラメントの単糸繊度は、すでに述べたように、1.1dtex以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.75dtexであるが、鞘糸Yとして用いられる熱融着糸を主成分とする糸の単糸繊度は、上記芯糸Xより太いことを前提とし、特に、その1.5倍以上であることが好適である。そして、鞘糸Yがマルチフィラメントである場合、その単糸繊度は1〜6dtexであることが好適である。すなわち、鞘糸Yの単糸繊度が1dtex未満では、上述したプラークを削り取る効果が弱く、逆に6dtexを超えると、得られるデンタルフロスが太くなって、歯間に入り込みにくくなるからである。もちろん、上記鞘糸Yは、必ずしもマルチフィラメントである必要はなく、モノフィラメントであっても差し支えないが、その断面を潰しながら歯間に入り込む点や、プラークを削り取って取り込む点において、マルチフィラメントの方が好適である。
そして、上記鞘糸Yのトータル繊度は、50〜600dtex、なかでも90〜300dtexであることが、上記と同様の理由から、好適である。
本発明のデンタルフロスは、上記芯糸Xおよび鞘糸Yを用い、例えばつぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、前記極細繊維マルチフィラメントからなる芯糸Xを準備する。そして、上記芯糸Xの周囲に、鞘糸Yを、所定の巻き数となるよう隙間をあけてらせん状に巻回しながら巻き取った後、得られた糸状体に、所定の温度で熱セットを行い、芯糸Xと鞘糸Yの接触部の少なくとも一部を、熱融着によって固定する。このようにして、目的とするデンタルフロスを得ることができる。
このようにして得られた、本発明のデンタルフロスは、特定の極細繊維マルチフィラメントを芯糸Xとし、その周囲に、熱融着性を備えた特定の鞘糸Yをらせん状に巻回し、熱融着によって、両者が部分的に固定されている。したがって、このデンタルフロスによれば、芯糸Xである極細繊維マルチフィラメントの周囲に巻回された鞘糸Yによって、糸全体の強度が高められており、強い張力をかけて丁寧に歯間を清掃することができる。
そして、上記鞘糸Yの巻いた糸同士に隙間があいているため、極細繊維マルチフィラメントからなる芯糸Xの柔軟性が損なわれておらず、優れた使用感を備えている。しかも、上記鞘糸Yと芯糸Xの熱収縮率の差に由来して、鞘糸Yと芯糸Xに熱収縮率の差があるため、熱セットによって鞘糸が大きく収縮し、収縮率の小さい芯糸Xが、比較的ふっくらした状態を維持したままで、上記鞘糸Yにらせん状に締め込まれ、その鞘糸Yと鞘糸Xの間から、嵩高い芯糸Xが飛び出した状態になる。このため、フロスをピンと張っても、鞘糸Yに張力がかかるだけで、芯糸Xは完全に伸びきることがなく、鞘糸Yと鞘糸Yの間から芯糸Xが飛び出した形状を維持する。この張力がかかって比較的固いらせん状の鞘糸Yと、比較的柔軟で自由度の高い芯糸Xとが組み合わせられた特殊な形状によって、従来は掻き取ることが困難であった、歯間の歯の表面の溝内のプラークを、効率よく掻き取ることができる。そして、芯糸Xである極細繊維マルチフィラメントは適度にばらけて隙間を有するため、比較的硬く締まった鞘糸Yに沿って掻き出されたプラークを、極細繊維マルチフィラメントの隙間に順次とり込むことができ、歯への再付着を防ぐことができる。
そして、芯糸Xの極細繊維マルチフィラメントは、周囲に巻回された鞘糸Yによって、部分的に固定されており、デンタルフロスをピンと張っても、芯糸Xには、鞘糸Yに固定された部分と部分の間において、自由度があることから、これらが毛羽立ったり切れたりすることがなく、歯間を通すときも、糸の収束がばらけて、歯間に挿入しやすい。したがって、本発明のデンタルフロスは、気持ちよく最後まで使用することができる。
なお、上記製法において、鞘糸Yの巻き数は、50〜500T/mとなるよう設定することが必要である。すなわち、50T/m未満では、芯糸Xを束ねて固定する間隔があきすぎて、芯糸Xの毛羽立ちや糸切れを招くおそれがあり、逆に500T/mを超えると、表面に露出する芯糸Xの割合が少なくなり、極細繊維マルチフィラメント間へのプラーク取り込みが充分に行われなくなるとともに、全体の柔軟性が損なわれるからである。そして、上記巻き数は、そのなかでも、特に、200〜400T/mであることが、効果の上で好適である。
また、上記製法において、芯糸Xと鞘糸Yを熱融着によって固定するための熱セットの条件は、糸の種類や要求される特性に応じて、適宜に設定されるが、通常、200〜230℃の乾熱処理を行うことが好適である。上記範囲よりも熱セット条件が弱すぎると、芯糸Xと鞘糸Yの固着が不充分となるおそれがあり、逆に、強すぎると、固着面積が多くなって糸全体の剛性が高くなり、使用感が悪くなるからである。
そして、このようにして得られる本発明のデンタルフロスは、そのトータル繊度が、200〜1300dtexであることが好ましく、なかでも、300〜1000dtexであることがより好ましく、さらには、400〜900dtexである。すなわち、上記トータル繊度が小さすぎると、糸全体のボリュームに欠け、プラーク掻き取り効果が不充分になるおそれがあり、逆に、トータル繊度が大きすぎると、歯間に入りにくく、清拭効果が不充分になるおそれがあるからである。
さらに、本発明のデンタルフロスにおいて、そのフロス表面に露出する芯糸Xと鞘糸Yの面積の割合は、芯糸Xの面積:鞘糸Yの面積が、30:70〜80:20となるよう設定することが好適である。すなわち、芯糸Xの露出割合が少なすぎると、プラークの取り込み効果が弱くなるおそれがあり、逆に、その露出割合が多すぎると、鞘糸Yによるプラークの掻き取り効果が弱くなるおそれがあるからである。
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図2(a)の横断面形状の167dtex/56fの分割型複合繊維マルチフィラメント(放射形のA成分:ポリアミド、単糸繊度0.75dtex、4個の補完形のB成分〔扇形〕:ポリエステル単糸繊度0.56dtex)(KBセーレン社製 ベリーマ〔登録商標〕)を準備した。このフィラメントに、オーバーフィード率2%で供給し、スピンドル回転数40万rpm、仮撚数4700T/M、セット温度175℃の条件でS方向に仮撚を施して、仮撚加工糸(乾熱収縮率8.8%、168dtex/280f)を得た。
つぎに、上記仮撚加工糸を3本引き揃えて合糸したものを芯糸Xとして用い、84dtex/24fの芯鞘構造ポリエステルマルチフィラメント(芯部:高粘度ポリエステル、鞘部:低融点ポリエステル、乾熱収縮率17%)を2本引き揃えた糸を鞘糸Yとして用いて、上記芯糸Xの周囲に、鞘糸Yを、300T/mの巻き数となるよう隙間をあけてらせん状に巻回することによりカバリングを施した。そして、得られた糸状体を、セット温度210℃で熱セットを行いながら、巻き取り速度60m/分(糸への加熱時間1秒)で巻き取ることにより、目的とするデンタルフロスを得た。このデンタルフロスの横断面の顕微鏡写真(倍率:×50)を図5に示す。
〔比較例1〕
実施例1で用いた芯糸Xと同様の糸と、同じく鞘糸Yと同様の糸とを、互いに引き揃えて、Z方向に200T/mの撚りをかけて合撚し、セット温度210℃、巻き取り速度60m/分で熱セットして合撚糸を得た。この合撚糸をデンタルフロスとした。
〔比較例2〕
実施例1において、芯糸Xに用いた仮撚加工糸と同様の糸を、4本引き揃えて、Z方向に200T/mの撚りをかけて合撚糸を得た。この合撚糸をデンタルフロスとした。
〔実施例2〜4〕
上記鞘糸Yによるカバリングを行う際、その巻き数を、後記の表2に示すように変えた。それ以外は実施例1と同様にして、デンタルフロスを得た。
〔比較例3、4〕
鞘糸Yによるカバリングを行った後の熱セットの温度を、後記の表3に示すように変えた。それ以外は実施例1と同様にして、デンタルフロスを得た。
〔実施例5〕
図2(b)の横断面形状の110dtex/50fの分割型複合繊維マルチフィラメント(放射形のA成分:ポリアミド、単糸繊度2dtex、8個の補完形のB成分〔扇形〕:ポリエステル単糸繊度0.2dtex)を準備した。このフィラメントに、オーバーフィード率2%で供給し、スピンドル回転数40万rpm、仮撚数4000T/M、セット温度175℃の条件でS方向に仮撚を施して、仮撚加工糸(乾熱収縮率10%、110dtex/450f)を得た。
つぎに、上記仮撚加工糸を4本引き揃えて合糸したものを芯糸Xとして用い、84dtex/24fの芯鞘構造ポリエステルマルチフィラメント(芯部:高粘度ポリエステル、鞘部:低融点ポリエステル、乾熱収縮率17%)を2本引き揃えた糸を鞘糸Yとして用いて、上記芯糸Xの周囲に、鞘糸Yを、300T/mの巻き数となるよう隙間をあけてらせん状に巻回することによりカバリングを施した。そして、得られた糸状体を、セット温度210℃で熱セットを行いながら、巻き取り速度60m/分(糸への加熱時間1秒)で巻き取ることにより、目的とするデンタルフロスを得た。
〔実施例6〕
図2(h)の横断面形状の167dtex/50fの分割型複合繊維マルチフィラメント(C成分:アルカリ易溶解ポリエステル、D成分:レギュラーポリエステル、C、Dの面積比は1:3)を準備した、このフィラメントを3本引き揃えて、S方向に50T/mで合撚し、70℃×20分にて撚り止めセットして、501dtex/150fの合撚糸を得た。この合撚糸を、25重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して減量し、アルカリ易溶解ポリエステルを除去して、得られた糸を芯糸X(乾熱収縮率10%、375dtex/1350f)に用いた。これを芯糸Xとして用いる以外は、実施例1と同様にして、デンタルフロスを得た。
これらの実施例品、比較例品について、専門モニター5名に、通常のデンタルフロスと同様に使用させ、その歯間への挿入容易性、清拭性、歯や歯茎への当たりのソフト感について、◎…非常に良好、○…良好、 △…やや不良、の3段階で評価した。これらの結果を、下記の表1〜表4に示す。なお、評価は、3名以上の評価が一致したものを、その評価とした(以下同じ)。
また、人工プラーク(ニッシン社製)を、円筒状のガラス瓶の側面に塗布し、20cmに切断したデンタルフロスの両端をもって左右方向にピンと張り、その状態で、上記人工プラークの塗布面を一往復させた。そして、ガラス瓶側面に残留する人工プラークの量を目視で観察し、◎…全く残留なし、○…やや残留するが概ね良好、△…残留する、の3段階で評価した。これらの結果も、下記の表1〜表4に併せて示す。
上記の結果から、実施例品は、どの評価項目においても、概ね優れた評価が得られていることがわかる。これに対し、比較例品は、評価項目に△が多く、実用上問題があることがわかる。
(a)は本発明の一実施の形態であるデンタルフロスを構成を示す説明図、(b)はその特徴の説明図である。 本発明の芯糸Xに用いられる極細繊維マルチフィラメントの一例を示す模式的な横断面図である。 (a)〜(h)は、いずれも上記極細繊維マルチフィラメントの他の例を示す横断面図である。 (a)〜(l)は、いずれも本発明の鞘糸Yに用いられる熱融着糸の例を示す横断面図である。 本発明の一実施例の横断面を示す電子顕微鏡写真である。
符号の説明
X 芯糸
Y 鞘糸

Claims (6)

  1. 平均単糸繊度1.1dtex以下の極細繊維マルチフィラメントからなる芯糸の周囲に、熱融着糸を主成分とし、上記芯糸より平均単糸繊度が太く、かつ芯糸より熱収縮率が高い鞘糸が、50〜500T/mの巻き数となるよう隙間をあけてらせん状に巻回されており、上記芯糸と鞘糸とが、熱融着によって部分的に固定されていることを特徴とするデンタルフロス。
  2. 上記極細繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状が、エッジを有する異型である請求項1記載のデンタルフロス。
  3. 上記極細繊維マルチフィラメントが、分割型複合繊維を分割して得られるものであり、分割後の繊維横断面形状が放射形となるセグメントと、同じくその繊維断面形状が上記放射形セグメントを補完する扇形となるセグメントとで構成されている請求項2記載のデンタルフロス。
  4. 上記鞘糸が、芯糸より乾熱収縮率が5%以上高く設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のデンタルフロス。
  5. 請求項1記載のデンタルフロスの製法であって、平均単糸繊度1.1dtex以下の極細繊維マルチフィラメントからなる芯糸の周囲に、熱融着糸を主成分とし、上記芯糸より平均単糸繊度が太く、かつ芯糸より熱収縮率が高い鞘糸を、50〜500T/mの巻き数となるよう隙間をあけてらせん状に巻回する工程と、得られた糸状体に対して熱セットを行うことにより、上記芯糸と鞘糸とを、熱融着によって部分的に固定する工程とを備えたことを特徴とするデンタルフロスの製法。
  6. 上記熱セットが、200〜230℃の乾熱処理である請求項5記載のデンタルフロスの製法。
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