JP6763568B2 - 歯間ブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、ワイヤ間にフィラメントを挟み込み、ワイヤを撚り合わせることでフィラメントをワイヤ周りに固定した歯間ブラシに関し、特に、ワイヤが樹脂製の材料で形成されている歯間ブラシに関する。
従来、歯間ブラシは、歯と歯の間に挟まった食べ粕や歯垢を清掃するために用いられる。そのような歯間ブラシには、2本のワイヤ間にフィラメントを挟み込み、撚り合わせることでフィラメントをワイヤ周りに固定したものがある。
このような歯間ブラシの多くは、特許文献1に示すように、金属製のワイヤが撚り合わせられて、軸方向に並ぶ複数の交叉部を備えるワイヤ部を形成し、樹脂製のフィラメントが前記交叉部に挟み込まれて固定されることでブラシ部が形成されている。これらワイヤ部とブラシ部とからなるワイヤブラシ部が歯間に挿入されて、歯間が清掃される。
しかし、歯間ブラシのワイヤブラシ部は、口内に導入され、歯間に通されるため、金属製のワイヤによりワイヤ部を形成された歯間ブラシでは、金属が怖い、ガルバニー電流による刺激を避けたい等の不満を持たれることがあり、また、金属アレルギーの場合は、使用すること自体が不可能となる。
そのような問題を解消すべく、特許文献2に代表されるような、ワイヤ部を樹脂製材料により形成する歯間ブラシも開発されている。特許文献2は、樹脂製材料のワイヤ部にフィラメントを静電植毛することによりブラシ部を形成した歯間ブラシについて、主に記載されている。また、特許文献2には、樹脂製材料を捻り植毛した歯間ブラシも記載されている。このようにワイヤ部およびブラシ部が樹脂製材料で形成された歯間ブラシは、金属製のワイヤでワイヤ部が形成された歯間ブラシを使用する上での問題を解消することができる。
特開2015−217135号公報 特開2006−110169号公報
しかし、静電植毛によってワイヤブラシ部を形成するには、接着剤をワイヤ部に塗布し、ブラシ部を形成するフィラメントをワイヤ部に固着させる必要がある。歯間ブラシは口内に導入されるもので、接着剤のような溶剤は、可食性のものであっても、使用を敬遠される。また、歯間ブラシのような微細な器具の先端に、接着剤を適切に塗布し、フィラメントを固着することは、静電植毛のような方法を用いたとしても容易ではない。
なお、特許文献2には、樹脂製材料を捻り植毛した歯間ブラシも記載はされているが、詳細な説明がなく、どのようにブラシ部を形成するフィラメントを捻り植毛するのか判然とせず、この歯間ブラシは、フィラメントの抜けを防止するために接着剤により固着されていると考えられる。
本発明は、樹脂製材料でワイヤ部が形成された歯間ブラシの問題を解決すべくなされたもので、ワイヤ部およびブラシ部が樹脂製材料で形成された安全性の高い歯間ブラシであるにもかかわらず、接着剤を用いない手段によってブラシ部をワイヤ部に強固に固定する歯間ブラシを提供できる。
本発明に係る歯間ブラシは、撚り合わせられ、軸方向に並ぶ複数の交叉部を形成された線状材料と、前記交叉部に挟み込まれた多数の繊維状材料とを備え、前記線状材料は、樹脂製の樹脂線材料であり、前記繊維状材料は、挟み込まれることにより前記樹脂線材料に固定されていることを特徴とする。
この歯間ブラシによれば、繊維状材料が、挟み込まれることにより樹脂線材料に固定されているため、接着剤を用いることなく、ワイヤ部とブラシ部とが樹脂製材料で形成されている。したがって、本発明によれば、従来の金属製のワイヤ部を備える歯間ブラシと同様の製造方法で、安全性の高い歯間ブラシを提供できる。
さらに、本発明に係る歯間ブラシは、撚り合わせられ、軸方向に並ぶ複数の交叉部を形成された樹脂線材料と、前記交叉部に挟み込まれた多数の繊維状材料とを備え、前記樹脂線材料は、粒状の添加剤が表出していてもよい。
樹脂線材料は、金属線に比較して、繊維状材料に対する摩擦が低く、樹脂線を撚り合わせて交叉部に維状材料を挟んで固定すると、繊維状材料が抜けやすいという課題が見いだされた。しかし、この歯間ブラシによれば、樹脂線材料は、粒状の添加剤の一部が表出することで、繊維状材料との摩擦を高められ、繊維状材料が抜けてしまうことを抑止できる。
本発明に係る歯間ブラシは、撚り合わせられ、軸方向に並ぶ複数の交叉部を形成された樹脂線材料と、前記交叉部に挟み込まれた多数の繊維状材料とを備え、前記樹脂線材料は表面加工により表面が荒らされていてもよい。
樹脂線材料は、金属線に比較して、繊維状材料に対する摩擦が低く、樹脂線を撚り合わせて交叉部に繊維状材料を挟んで固定すると、繊維状材料が抜けやすいという課題が見いだされた。しかし、この歯間ブラシによれば、樹脂線材料は、表面が荒らされていることにより、繊維状材料との摩擦を高められ、繊維状材料が抜けてしまうことを抑止できる。
本発明に係る歯間ブラシは、撚り合わせられ、軸方向に並ぶ複数の交叉部を形成された樹脂線材料と、前記交叉部に挟み込まれた多数の繊維状材料とを備え、前記樹脂線材料は、異形断面を有していてもよい。
樹脂線材料は、金属線に比較して、繊維状材料に対する摩擦が低く、樹脂線を撚り合わせて交叉部に繊維状材料を挟んで固定すると、繊維状材料が抜けやすいという課題が見いだされた。しかし、この発明によれば、樹脂線材料は、異形断面を有することにより、繊維状材料との摩擦を高められ、繊維状材料が抜けてしまうことを抑止できる。
前記した歯間ブラシにおいて、前記樹脂線材料は、断面の最大径が0.38mm以上0.67mm以下に形成されており、前記交叉部は、ピッチが0.86mm以上1.00mm以下で形成されていてもよい。
歯間ブラシのワイヤ部は細すぎると剛性が不足して歯間への案内に支障をきたすが、太すぎると歯間に挿入できない。したがって、ワイヤ部の強度と太さの関係から、撚り合わされる樹脂線材料は、最大径が0.38mm以上0.67mm以下であることが好ましい。
ワイヤ部のピッチは樹脂線材料の太さに影響を受けるため、樹脂線材料の最大径が0.38mm以上0.67mm以下である場合に、繊維状材料に対して摩擦を高められた樹脂線材料は、ピッチを0.86mm以上1.00mm以下とすることで、繊維状材料の抜けを抑止されているにも関わらず、最適な柔軟性を有する。
また、そのような歯間ブラシは、前記樹脂線材料は、断面の最大径/交叉部のピッチの値が0.442以上かつ0.670以下であってもよい。そのようにすれば、繊維状材料の抜けを抑止しつつ、最適な撚り合わせピッチとなる。
さらに、前記した歯間ブラシにおいて、ワイヤブラシ部は、歯間に案内される先端部と、その反対側の基端部とを備え、前記基端部は、樹脂製の柄部にはめ込まれ、前記樹脂線材料と前記柄部とは同一材料で形成され、前記基端部と前記柄部は熱溶着されていてもよい。
この歯間ブラシによれば、基端部と柄部を同一材料で形成することで熱溶着が可能となり、樹脂線材料を柄部に強固に固定できる。
本発明は、ワイヤ部およびブラシ部が樹脂製の材料で形成された安全性の高い歯間ブラシであるにも関わらず、接着剤を用いない手段によってブラシ部をワイヤ部に強固に形成された歯間ブラシを提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係る歯間ブラシの全体の概略側面図を示す。 図1に示す歯間ブラシのワイヤブラシ部を拡大した概略側面図を示す。 図1に示す歯間ブラシの樹脂線材料を拡大した概略斜視図を示す。 図1の歯間ブラシにおいて、ワイヤ部を撚り合わせる前のワイヤブラシ部を示す。 図1の歯間ブラシのA−Aの断面図を示す。 図1の歯間ブラシの変形例の断面図を示す。 本発明の第2の実施の形態に係る歯間ブラシの樹脂線材料を拡大した概略斜視図を示す。 本発明の第3の実施の形態に係る歯間ブラシの樹脂線材料を拡大した概略斜視図を示す。 参考実験に用いる傾斜装置とソリの概略図を示す。 図9の傾斜装置とソリを用いた滑り実験の概要を示す。
本発明の実施の形態にかかる歯間ブラシについて、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
先ず、図1〜図5を参照して、第1の実施の形態にかかる歯間ブラシ1について説明する。図1は歯間ブラシ1の全体の概略側面図を示し、図2は図1に示す歯間ブラシ1のワイヤブラシ部10を拡大した概略側面図を示し、図3は図1に示す歯間ブラシ1の樹脂線材料100を拡大した概略斜視図を示し、図4は図1の歯間ブラシ1において、ワイヤ部を撚り合わせる前のワイヤブラシ部を示し、図5は図1の歯間ブラシ1のA−Aの断面図を示す。
図1に示すように、歯間ブラシ1は、歯間に導入されるワイヤブラシ部10と、ワイヤブラシ部10を取り付けられ、指で把持される柄部20とを備える。本実施の形態において、ワイヤブラシ部10は、一部を柄部20に埋設され、柄部20から先端部120に向けて延びている。ワイヤブラシ部10は、軸方向に直線状に延びるワイヤ部12と、ワイヤ部12を基軸として軸方向に交差する径方向に延びる複数の繊維束142からなるブラシ部14とを備える。
歯間ブラシ1は、柄部20を指で摘ままれて、ワイヤブラシ部10を先端部120から口内の各歯間(隣り合う歯と歯との間に形成される空間)に挿入され、上下方向又は前後方向に移動される。これにより、歯間ブラシは各歯間に残留する食べ滓等を除去することができる。
図2に示すように、ワイヤブラシ部10は、ワイヤ部12とワイヤ部12に固定されたブラシ部14とを備える。ワイヤ部12は、1本の線材料が折り返され、折り返された部分を先端部120とし、後述する基端部130に向けて撚り合わせられている。これにより、ワイヤ部12では、樹脂線材料100が軸方向を中心とした回転方向に撚り合わされて、いわゆるツイストペアとなり、軸方向に並ぶ複数の交叉部122が形成されている。先端部120は、折り返されて概略楕円状に形成されているが、繊維束142を挟み込まれない。また、ワイヤ部12を形成する樹脂線材料100は、形状保持性を有し、撚り合わせた状態を維持される。
ワイヤ部12を形成する樹脂線材料100の1本の太さ(直径)rは0.36mmであり、この樹脂線材料100が折り返されて撚り合わされることで、ワイヤ部12は、径方向の最寸法sが0.72mmとなっている。
樹脂線材料100は、ポリエチレンで形成されている。しかし、樹脂線材料は、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、これらの混合物などを適宜、選択して形成してもよい。また、樹脂線材料は、芯鞘構造の複合構造であってもよい。
樹脂線材料100が撚り合わせられて形成される複数の交叉部122は、略同一のピッチpで形成されている。すなわち、1つの交叉部122は1ピッチに対応しており、複数の交叉部122は、連続して直線に並ぶように形成されてワイヤ部12を構成している。ここで、ピッチとは、撚り合わせの回転で軸方向に沿って線心が一回転する間に進む距離を意味する。本実施の形態において、各交叉部122は、ピッチpが約0.86mmで形成されている。
ブラシ部14では、繊維束142がワイヤ部12の各交叉部122に挟み込まれて固定されている。各交叉部122の繊維束142は、複数の繊維状部材400から形成されている。本実施の形態において、繊維束142は、18本〜26本程度の繊維状材料400からなる。しかし、繊維束142は、繊維状材料の太さや、ワイヤ部を形成する線材料の太さや材料により、最適な本数が調整される。
また、本実施の形態において繊維束142は、ブラシ部14の中央付近から基端部130側の終点までは繊維状材料400の長さが、17.0mmとなり、また、中央付近から先端部ほど短くなるように形成され、さらに、先端が螺旋を描くように、径方向に放射状に挟み込まれて固定される。これにより、ブラシ部14は、概略円柱錘型の形状を有する。なお、繊維状部材142は、それぞれ、円形の横断面を有する繊維状に形成されている。繊維状材料の長さは適宜調整できる。
繊維状材料400は、ナイロン6、ナイロン66等ポリアミド(PA)を材料とした合成樹脂製のモノフィラメントである。しかし、繊維状材料には、合成樹脂製のモノフィラメントの他に、芯鞘構造の複合構造のフィラメント等のような従来のフィラメントを使用でき、または天然毛を使用してもよい。合成樹脂製のフィラメントの素材としては、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、これらの混合物などを適宜、選択して使用できる。また、芯鞘構造のフィラメントの場合は、先の材料をエラストマーやゴム、シリコンで被覆したフィラメントが使用できる。また、繊維状材料を樹脂線材料と同一の合成樹脂製の材料で製造し、熱溶着するようにしてもよい。
繊維状材料の太さとしては、フィラメントの直径が1〜4mil(1mil=0.0254mm)であることが好ましく、2〜3milが最も好ましい。この場合において、フィラメントの横断面形状が円形でない場合の最適な太さは、フィラメントの横断面の形状により決定することが好ましい。
フィラメントの横断面の形状は円形だけでなく三角形や四角形などの多角形も使用でき、多角形形状のフィラメントをフィラメント円周方向に捻り、多角形の頂点に相当する部分がフィラメントの軸方向にフィラメントの外接円の円周付近に螺旋状を形成するフィラメントも使用することができる。
図3に示すように、樹脂線材料100は、概略円柱形状に形成されており、表面に多数の凸部100aが形成されている。本実施の形態において、この円柱形状の横断面の直径rが0.36mmである。樹脂線材料は、粒径は50μm以下の粒状添加剤を含有しており、この粒状添加剤の一部が表出して多数の凸部100aが形成されている。なお、粒状添加剤として、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪酸カルシウム等があり、これらを複合的に添加してもよい。ここで、表出とは、含有する添加剤の一部が樹脂線材料の表面に析出することを意味する。
樹脂線材料100を撚り合わせ、交叉部122に繊維状材料400を挟み込むと、樹脂線材料100の表面が、凸部のない滑面の場合に比較して、繊維状材料400に接触する接触面積が増加し、また挟み込まれる応力が凸部122に局所的に集中する部分が生じる。これらにより、樹脂線材料100の繊維状材料400に対する摩擦が高められる。
本実施の形態において、ワイヤ部12が樹脂線材料で形成されるため、樹脂線材料の製造過程で樹脂材料に添加剤を加えることで容易に凸部を形成ができる。一方、従来の歯間ブラシのワイヤ部を形成する金属線材料では、その製造過程で添加剤により凸部を形成することはできない。
図4に示すように、ワイヤブラシ部10は、折り返した1本のワイヤの間に複数(多数)の繊維状材料400からなる複数の繊維束142を挟み込み、樹脂線材料100を捻じることでワイヤの外周面上に複数の繊維状材料400を放射状に固定する。これにより、折り返されて捻じられた樹脂線材料はワイヤ部12として形成され、先端が螺旋を描くように放射状に延びる繊維状材料400を毛切りすることにより整形されたブラシ部14が形成される。
歯間ブラシ1は、繊維状材料400の太さ、本数、繊維状材料400の束の毛切り形状や大きさによって特徴づけられ、全日本ブラシ工業協同組合「歯間ブラシ1通過径サイズ自主規格」により、サイズ1〜6に分類され、例えば、SSS、SS、S、M、Lなどの記号で示されてもよい。ブラシ部12の外観形状が、円錐型、円柱錘形、円筒型の場合や、連玉型のように2つ以上の凸部を有する形状であってもよく、また、バレル型形状であってもよい。
図5に示すように、柄部20は、合成樹脂製の材料から円柱錘形状に形成されており、円形の横断面を有する柄部20の略中央にワイヤブラシ部10が取り付けられている。
歯間ブラシ1では、合成樹脂製の柄部20の先端部にワイヤブラシ部10のワイヤ基端部130が埋設されて保持されている。ワイヤブラシ部10は柄部20の成形時にインサートして保持される。ワイヤブラシ部10の基端部130は、一部をU字状に折り曲げられている。これにより、ワイヤブラシ部10の基端部130は、柄部20から抜けることを防止される。
柄部20は、ポリエチレンを材料として棒状に形成されている。しかし、柄部は、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド(PA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、又はこれらの組合せの合成樹脂製で形成されていてもよく、適度な剛性及び弾性を有していればよい。例えば、株式会社プライムポリマー、三井化学株式会社、三菱樹脂株式会社などから所望の性質を有するもの用いることができる。
歯間ブラシ1の変形例として、直線状の基端部230が柄部20に埋設された歯間ブラシを図6に示す。図6は、図5に対応する図1におけるのA−Aの断面図である。
本変形例において、柄部20とワイヤ部22とは、共に、ポリエチレンから形成されており、直線状の基端部230は、柄部20に熱溶着により結合されている。基端部230が直線状であると、柄部20から抜けやすくなるが、熱溶着されることにより、ワイヤ部22は柄部20に強固に固定される。しかし、基端部はU字状に曲げられた状態で、柄部に熱溶着されていてもよい。そのようにすれば、ワイヤ部22は柄部20にさらに強固に固定される。
ワイヤブラシ部10と柄部20の保持方法については、作製したワイヤブラシ部10を柄部20の成形時にインサートして保持させる他に、柄部20に取付孔を形成し、高周波加熱や超音波融着などによりワイヤ基端部を加熱した状態で取付孔に挿入して保持させる方法などが採用できる。
また、本実施の形態において、柄部は、円柱錘形状の棒状に形成されているが、L字状に屈曲したものでもよい。その他の例としては、ワイヤブラシ部の基端部を短軸状の柄部に埋設して固定した使い捨てタイプのものや、ワイヤブラシ部のブラシ基端部を棒状の柄部に埋設して固定し、その柄部を長軸ホルダーに脱着自在に装着するもの、長軸ホルダーの先端部を屈曲させたもの、長軸ホルダーが電動歯間ブラシであるものなど、種々の形態とすることが可能である。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成については、詳細な説明を省略し、主に第1の実施の形態と異なる部分について説明する。図7は、第2の実施の形態に係る樹脂線材料200を拡大した概略斜視図を示す。
図7に示すように、第2の実施の形態にかかる歯間ブラシのワイヤ部を形成する樹脂線材料200は、第1の実施の形態に係るワイヤ部12の樹脂線材料100と同様に円柱状に形成されているが、樹脂線材料100と異なり、表面加工により表面が荒らされている。本実施の形態において、樹脂線材料200は、プラズマ処理による表面加工が施されている。プラズマ加工は、樹脂線材料200の表面の全面に渡って微細な傷200aを形成する。これにより、傷200aが繊維状材料400に引っかかることにより繊維状材料との摩擦を高められる。
本実施の形態において、樹脂線材料200の表面加工にプラズマ処理を例示したが、サンドブラスト処理、研磨処理等の表面加工により樹脂線材料の表面に傷が形成されてもよい。
本実施の形態において、ワイヤ部12が樹脂線材料で形成されており、樹脂材料は形成後に容易に表面加工を施すことができる。これに対して、従来の歯間ブラシのワイヤ部を形成する金属線材料は、樹脂線材料に比較して表面加工が困難である。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成については、詳細な説明を省略し、主に第1の実施の形態と異なる部分について説明する。図8は、第3の実施の形態に係る樹脂線材料300を拡大した概略斜視図を示す。
第3の実施の形態にかかる歯間ブラシ1は、ワイヤ部12を形成する樹脂線材料が、第1の実施の形態に係るワイヤ部12の樹脂線材料と異なり、円形の横断面を有さず、歯車形状の異形断面を有する。本実施の形態において、樹脂線材料300は、異形孔のダイを経て押出成形されて、複数の角部300aを有する。これにより、異形断面の角部300aが繊維状材料400に引っかかることにより繊維状材料400との摩擦を高められる。また、異形断面は、歯車形状以外に角部を有するスター形状、三角形状等の他の断面形状であってもよい。さらに、異形断面は角部を有さないものであっても、円形の横断面を有する線材料に比較して、繊維状材料に接する面積が増加し、摩擦を高めることができる。
本実施の形態において、ワイヤ部が樹脂線材料で形成されており、樹脂材料は、異形孔のダイを経て押出成形されることで、容易に異形の横断面を有する形状に形成される。しかし、これに対して、従来の歯間ブラシのワイヤ部を形成する金属線材料は、押出成形で形成されることはなく、容易に断面を変えることができない。
本発明の第1〜第3の実施の形態に係る樹脂線材料は、横断面の直径または最大径が0.36mmである。ここで、樹脂線材料の太さが太くなると、ワイヤ部の最大径も増加し、歯間への挿入が困難になる。一方、樹脂線材料の太さが細くなると、ワイヤ部の剛性が低下し、歯間ブラシとしての機能が低下する。
したがって、樹脂線材料として、例えば、1本の太さrが0.20mm〜0.67mmのワイヤを使用し、撚り合わせることで、ワイヤ部の径方向の最大寸法sが0.40mm〜1.34mmとすることができる。特に、歯間に容易に挿入でき、かつ剛性を維持するために、ワイヤ部の最大径が0.72mm〜1.34mmの範囲になるように、樹脂線材料の最大径を0.36mm〜0.67mmとしてもよい。
本実施の形態において、ピッチpは0.86mmで形成されている。しかし、ピッチが0.86mm以上1.00mm以下の範囲で形成されていることが好ましい。また、交叉部のピッチは樹脂線材料の太さにも影響を受ける。樹脂線材料は、太さ(直径)が0.36mm以上かつ0.67mm以下の円形の横断面を有し、交叉部は、ピッチが0.86mm以上かつ1.00mm以下で形成されていることが好ましい。したがって、樹脂線材料の横断面の最大径/交叉部のピッチの値は、0.360以上0.779となるが、0.442以上0.670以下であることが好ましい。
樹脂線材料の横断面の最大径/交叉部のピッチの値が0.442以上0.670以下であれば、金属線材料の歯間ブラシに比較して撚り合わせる力が弱いため、繊維状材料が抜けやすくなる。しかし、ワイヤ部を形成する樹脂線材料が、繊維状材料に対して摩擦を高められているため、抜けにくい。換言すると、弱い撚り合わせでも繊維状材料を保持できる。なお、交叉部のピッチは1.00mmを超えると、繊維状材料を保持することが困難になる。
樹脂線材料は、添加剤を含有したものを異形孔のダイにより押出成形し、表面加工してもよい。また、樹脂線材料は、添加剤を含有したものを異形孔のダイにより押出成形したものでもよい。さらに、樹脂線材料は、添加剤を含有したものに対して表面加工したものでもよい。また、樹脂線材料は、異形孔のダイにより押出成形したものを表面加工したものでもよい。すなわち、第1〜第3の実施の形態に係る樹脂線材料の特徴を適宜組み合わせることができる。
[参考実験]
本発明に係る実施の形態を実現する前に、ブラシ部を形成する繊維状材料400に対する、樹脂線材料と従来の歯間ブラシのワイヤ部を形成する金属線材料との滑りを比較する滑り実験を行った。図9は、滑り実験に用いる傾斜装置KとソリSの概略図を示し、図10は、滑り実験の概要を示す。
滑り実験は、図9に示すように、傾斜装置Kと滑りソリSを用いて行った。図9(A)は傾斜装置Kの平面図を示し、図9(B)は傾斜装置Kの側面図を示し、図9(C)はソリSの側面図を示し、図9(D)はソリSの底面図を示す。
傾斜装置Kは、平面台K1と、平面台K1の傾斜角度を調整する角度調整器K2とを備える。平面台K1には、ブラシ部14を形成する繊維状材料400がソリSの滑り方向に直行する方向に敷き詰められている。
また、ソリSは、箱状のベースBと、ベースBの底面に設けられる2つの刃Cとを備える。2つの刃Cは、樹脂線材料の束Rまたは金属線材料の束Mから形成されている。また、ベースBは所定の重量を有する。ソリSとして、刃Cが樹脂線材料Rで形成されたソリSRと、刃Cが金属線材料Mで形成されたソリSMとを準備した。樹脂線材料は、ポリエチレン材料からなり、金属線材料はステンレスからなり、それぞれ、円形の横断面を有し、側面が滑面となっている。
ソリSは、平面台K1に載置された状態で、刃Cが繊維状材料400に直行し、刃Cのみが繊維状材料400に接触するように形成されている。したがって、本滑り実験において、ソリSが平面台K1に対して滑り易いほど、繊維状材料400に対して刃Cの線材料が滑りやすいことになる。
滑り実験では、図10に示すように、ソリSを平面台K1に載置した状態で、角度調整器K2を調整して徐々に平面台K1を傾斜させて実験を行った。図10(A)は、平面台K1を傾斜させる前の状態を示し、図10(B)は、ソリSRを平面台K1に載置し、傾斜角度を10度に調整した状態を示し、図10(C)は、ソリSMを平面台K1に載置し、傾斜角度を13度に調整した状態を示す。
刃Cが樹脂線材料の束RのソリSRは、傾斜角が10度の状態で滑り始めた(図10(B)を参照)。これに対して、刃Cが金属線材料の束MのソリSMは、傾斜角が13度の状態で滑り始めた(図10(C)を参照)。これにより、樹脂線材料のソリSRの方が、ソリSMに対して滑りやすい(傾斜角が小さくても滑り始める)ことが明らかとなった。
したがって、樹脂線材料は、金属線材料に比較して、繊維状材料に対して滑りやすいことが明らかとなった。これら実験装置は、既存の装置を組み合わせて製作したもので、専用の実験装置ではない。すなわち、本実験は本発明者が独自に行ったものである。
この実験により、樹脂線材料をワイヤ部に用いて撚り合わせ型の歯間ブラシを製造すると、金属線材料をワイヤ部に用いた場合に比較して、ブラシ部を形成する繊維状材料が抜けやすくなることが見いだされた。これを解消すべく、前述した第1、第2、第3の実施の形態に示す樹脂線材料をワイヤ部に用いることで、繊維状材料を樹脂線材料から形成されるワイヤ部から抜けることを防止できる。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、歯間ブラシに使用できる。
1:歯間ブラシ
10:ワイヤブラシ部
12:ワイヤ部
14:ブラシ部
20:柄部
100:樹脂線材料(第1の実施形態)
120:先端部
130:基端部
142:繊維束
200:樹脂線材料(第2の実施形態)
300:樹脂線材料(第3の実施形態)
400:繊維状材料
r:断面の最大径(樹脂線材料)
p:ピッチ

Claims (4)

  1. 撚り合わせられ、軸方向に並ぶ複数の交叉部を形成された線状材料と、
    前記交叉部に挟み込まれた多数の繊維状材料とを備え、
    前記線状材料は、樹脂製の樹脂線材料であり、
    前記樹脂線材料は、粒状の添加剤が表出し、
    前記繊維状材料は、挟み込まれることにより前記樹脂線材料に固定されていることを特徴とする、歯間ブラシ。
  2. 前記樹脂線材料から形成されたワイヤブラシ部は、歯間に案内される先端部と、その反対側の基端部とを備え、
    前記基端部は、樹脂製の柄部にはめ込まれ、
    前記樹脂線材料と前記柄部とは同一材料で形成され、
    前記基端部と前記柄部は熱溶着されている、請求項1に記載の歯間ブラシ。
  3. 撚り合わせられ、軸方向に並ぶ複数の交叉部を形成された線状材料と、
    前記交叉部に挟み込まれた多数の繊維状材料とを備え、
    前記線状材料は、樹脂製の樹脂線材料であり、
    前記樹脂線材料は表面加工により表面が荒らされ、
    前記繊維状材料は、挟み込まれることにより前記樹脂線材料に固定されていることを特徴とする、歯間ブラシ。
  4. 前記樹脂線材料から形成されたワイヤブラシ部は、歯間に案内される先端部と、その反対側の基端部とを備え、
    前記基端部は、樹脂製の柄部にはめ込まれ、
    前記樹脂線材料と前記柄部とは同一材料で形成され、
    前記基端部と前記柄部は熱溶着されている、請求項3に記載の歯間ブラシ。
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