JP4628956B2 - 歯ブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなるフィラメントを刷毛として用いた歯ブラシに関するものである。
一般に、歯ブラシの刷毛としては、ナイロン(6−12ナイロン、6−10ナイロン)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などの合成樹脂が用いられている。これに対し、近時、耐久性に優れたポリエステル樹脂として、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなるフィラメントもしくはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするフィラメント(以下、これらを総称して「PTT毛」という)を用いた歯ブラシ(特許文献1〜4参照)が提案されているが、原料が高価であるため、これまで市販されていなかった。しかし、近年原料が安価に供給されるようになり、PTT毛を用いた歯ブラシもコスト的に実用化のレベルにまでなって来ている。なお、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)は、その分子構造からポリプロピレンテレフタレート(PPT)と呼ばれることもある。
PTTは、n−プロパンジオールとテレフタル酸の重縮合体であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)とPBTの中間の直鎖炭素鎖を持つポリマーであり、その立体的な分子構造から伸長・回復性に優れ、小さな応力で伸びるとともに回復力も大きいため、歯ブラシの刷毛として用いた場合、毛の開き耐久性が向上し、歯ブラシとしての高い耐久性が予測された。
しかし、実際にPTT毛を歯ブラシに用いてみると、単にPTT毛を用いただけでは当初予測されたような高い耐久性を得ることは難しいことが判明した。そこで、例えば特許文献3では、PTT毛の単糸繊度を50dtex以上、極限粘度を0.8〜1.3dl/g、沸水収縮率を2%以下とすることが提案され、沸水収縮率としては、表1中の実施例1〜10に示された範囲(最大1.8%〜最小0.5%)が適性である旨が記載されている(23頁2〜8行参照)。
しかしながら、本発明者らの実験・研究によれば、必ずしも上記熱水収縮率の範囲が毛開き耐久性において最も優れているとは言い切れず、充分な検討がなされているとは言えなかった。なお、上記特許文献3における「沸水収縮率」とは、JIS L 1013(1999年)に規定の「熱水収縮率」と同義語と解釈される。
また、一般的に歯ブラシの形状は使いやすくて歯垢除去効果が高いものがよく、口腔内の隅々まで毛先が届くように植毛部はコンパクトなものが望まれる。このような歯ブラシとして、従来、例えば、植毛面積を1.0〜1.7cmとするとともに、首部のたわみ量を5.0〜10.0mm/kgとした歯ブラシ(特許文献5参照)、植毛穴の穴面積を1.2mm以下、植毛密度を25〜35%とした歯ブラシ(特許文献6参照)など、種々の仕様からなる歯ブラシが提案されている。
しかしながら、上記仕様の歯ブラシは、刷毛としてナイロン毛やポリブチレンテレフタレート(PBT)毛を用いた歯ブラシに対するものであり、PTT毛を用いた歯ブラシにそのまま適用しても、PTT毛との物性の違いのために充分な効果を挙げることはできない。
特開平8−173244号公報(全文) 特表2001−511379号公報(全文、全図) 国際公開WO 01/75200号パンフレット(全文、全図) 特開2003−245133号公報(全文、全図) 特開平8−70632号公報(全文、全図) 特開2003−9951号公報(全文、全図)
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、PTT毛の熱水収縮率およびヒステリシス特性を種々検討することにより、PTT毛の毛開き耐久性をさらに向上し、より耐久性に優れた歯ブラシを提供することを第1の目的とするものである。さらに、PTT毛特有の植毛部仕様とすることにより、毛開き耐久性の向上に加え、歯ブラシとしての操作性、刷掃実感、使用感もより向上させることを第2の目的とするものである。
本発明者らは、上記第1の目的を達成するため、PTT毛を用いた歯ブラシにおけるPTT毛の熱水収縮率とヒステリシス特性について種々検討を行なった。その結果、熱水収縮率とヒステリシス特性を最適な値に設定することにより、毛開き耐久性をさらに向上し、より耐久性に優れた歯ブラシを得たものである。
すなわち、請求項1記載の発明は、刷毛の全部または一部にPTT毛を用いた歯ブラシにおいて、PTT毛の熱水収縮率を0.4%以下、より好ましくは0〜0.3%以下としたものである。
なお、本発明でいう熱水収縮率とは、JIS L 1013(1999)で規定されているフィラメント収縮率(B法)を指すものであって、PTT毛を熱水中に30分間浸漬した後、次式によって算出した値である。
Figure 0004628956
また、請求項2記載の発明は、上記請求項1の歯ブラシにおいて、PTT毛として、刷毛の伸長・回復時の伸度と荷重を測定したヒステリシス曲線において、伸長時と回復時の荷重の差が最大となる伸度TΔmaxが、最大伸度Tmaxに対して50%以下であるフィラメントを用いたことを特徴とするものである。
歯ブラシの使用によって刷毛に曲げ力が繰り返し作用すると、刷毛は徐々に湾曲して毛先が開いていく。その際に、刷毛の湾曲の外周側では引張力と回復力が繰り返し作用していると考えられる。そのような刷毛の引張および回復時の特性を表すには、刷毛の伸長・回復時の伸度と荷重を測定した図1に示すようなヒステリシス曲線が適切である。
このヒステリシス曲線において、伸長時と回復時の軌跡が同一である場合、伸長・回復に伴うひずみが残らないことになり、理想的であるが、実際の高分子素材の刷毛では難しく、伸長時と回復時の軌跡に差があり、図1に示すようにいわゆるヒステリシスを描く。このヒステリシス曲線で囲まれた部分の面積は伸長のために加えられたエネルギーのロスとなり、刷毛にひずみの形で残留することになる。そこで、PTT毛について歯ブラシの刷毛として毛の開き耐久性に優れた特性を得るためには、この伸長・回復の軌跡の差を極力小さくすることが望ましい。
本発明者らの実験と検討の結果、図1のヒステリシス曲線において、伸長時と回復時の荷重の差が最大となる伸度TΔmaxが、最大伸度Tmaxに対して50%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下とすることによって、毛の開き耐久性が極めて高い歯ブラシが得られることが分かった。このような伸度TΔmaxからなるPTT毛を採用すれば、単なるPTT毛を用いた歯ブラシに比べて、毛の開き耐久性を格段に向上することができる。
なお、一般に、伸長時と回復時では、同じ伸度を与える荷重は伸長時のほうが大きく、伸長時荷重>回復時荷重、である。したがって、伸長時と回復時の荷重の差が最大となる伸度TΔmaxができるだけゼロに近くなるようにすれば、伸長時と回復時の軌跡の乖離差を小さくすることができ、毛の開き耐久性をそれだけ高めることができる。差をゼロにできれば理想的であるが、上述のように実際の高分子素材ではヒステリシスがあるためにこの差をゼロにすることは困難であり、現実的には少なくとも1%以上である。
また、請求項3記載の発明は、上記請求項2の歯ブラシにおいて、PTT毛として、伸長時と回復時の同一伸度における荷重の最大差ΔFmaxが、最大伸度における最大荷重Fmaxに対して70%以下であるフィラメントを用いたことを特徴とするものである。
伸長時と回復時の軌跡の差をさらに小さくするには、上記請求項2の歯ブラシの構成に加え、伸長時と回復時の同一伸度における荷重の最大差ΔFmaxが、最大伸度における最大荷重Fmaxに対して70%以下、好ましくは60%以下の刷毛とすれば、刷毛の開き耐久性をさらに向上できることが分かった。この特性についても、理想的には0%まで小さくできればよいが、上述のように実際の高分子素材ではこの差をゼロにすることは困難であり、現実的には少なくとも1%以上となる。
また、請求項4記載の発明は、上記請求項2または3の歯ブラシにおいて、PTT毛として、回復時に荷重がゼロに戻る伸度T0の最大伸度Tmaxに対する伸長回復率={(Tmax−T0)/Tmax}×100が、50%以上であるフィラメントを用いたことを特徴とするものである。
伸長時と回復時の軌跡の差をさらに小さくするには、上記請求項1または2の歯ブラシの構成に加え、さらに、回復時に荷重がゼロに戻る伸度T0の最大伸度Tmaxに対する比率、すなわち伸長回復率を50%以上、好ましくは60%以上とすれば、毛の開き耐久性がさらに向上することが分かった。この特性については、理想的には100%であるが、上述のように実際の高分子素材ではゼロにすることは困難であり、現実的には最大でも99%以下である。
また、請求項5記載の発明は、上記請求項4の歯ブラシにおいて、PTT毛として、少なくとも最大伸度25%時のヒステリシス曲線における伸長回復率が50%以上、好ましくは60%以上であるフィラメントを用いたことを特徴とするものである。
このように、少なくとも最大伸度25%時のヒステリシス曲線において、伸長回復率が50%以上、好ましくは60%以上となるようにすれば、さらに優れた毛の開き耐久性を得ることができる。
さらに、本発明者らは、上記のようなPTT毛を用いた歯ブラシにおいて、どのような植毛部仕様の歯ブラシが操作性、歯垢除去効果、刷掃実感、使用感において最も優れるか、種々の実験と検討を行なった。その結果、次のような植毛部仕様を採用すれば、前記毛開き耐久性に加え、操作性、歯垢除去効果、刷掃実感、使用感も向上することを見出した。
すなわち、請求項6記載の発明は、上記請求項1〜5の歯ブラシにおいて、ヘッド部植毛面における刷毛の植毛面積を0.8〜1.5cm、植毛密度を35〜45%としたことを特徴とするものである。
刷毛の植毛面積とは、図2に示すように、歯ブラシヘッド部1の植毛面2の外周に並ぶ植毛穴3の外側を直線で結び、この直線によって囲まれた部分の面積Sを指すものである(JIS S 3016(1995)参照)。
また、植毛密度とは、上記植毛面積Sに対する各植毛穴3の断面積の総和の比を指すものである。植毛穴の断面積としては、平線植毛法および熱融着法(特開昭60−241404号公報参照)の場合は植毛穴3の断面積をそのまま採り、植毛穴の存在しないインモールド法(特開昭61−268208号公報、特表平9−512724号公報参照)の場合や、熱融着法の場合でも予めヘッド部に植毛穴を形成しない場合には、毛束(または刷毛)を保持するために金型内に設けられた毛束保持具の貫通孔の孔断面積を採るものとする。
一般的に、歯ブラシの操作性を上げるには、前記植毛面積Sを小さくすることが有効であるが、従来のナイロン毛やPBT毛などを用いた歯ブラシの場合、あまりに植毛面積を小さくすると、毛開き耐久性が悪くなって直ぐに毛先が開いてしまう。その結果、毛先が歯面に当たらなくなり、使い始めの頃の歯垢除去力を長く維持することができない。
これに対し、PTT毛は毛開き耐久性が非常に優れているため、これまで毛開き耐久性の悪化を懸念してあまりコンパクトにできなかった植毛面積を小さくすることができ、歯間部などの隙間への毛先到達性と口腔内操作性を向上できるとともに、歯垢除去効果も長期間にわたって持続する高品質な歯ブラシを作ることができる。
しかし、操作性向上の面からは植毛面積Sが小さい方がよいとは云え、極端に小さくしすぎると、刷掃に時間と手間がかかり、かえって操作性が悪くなってしまう。本発明者らの実験と検討によれば、PTT毛を用いた歯ブラシの場合、植毛面積Sは0.8〜1.5cmの範囲が最も優れていることが分かった。
一方、植毛密度は、歯ブラシの刷掃実感と磨き心地に大きく関係する。植毛密度が低いとヘッド部植毛面は疎毛となり、刷掃実感の低い歯ブラシとなる。逆に、植毛密度を高くするとヘッド部植毛面は密毛となり、刷掃実感は高くなるが、全体的に硬くなるとともに、毛束が歯間部などの細かい隙間に入りにくくなる。本発明者らの実験と検討によれば、PTT毛を用いた歯ブラシの場合、植毛密度は35〜45%の範囲が最も優れていることが分かった。
本発明で用いる熱水収縮率0.4%以下のPTT毛は、PTTからなるフィラメントの紡糸工程において、延伸加工を行なった後、フィラメント内の残留ひずみを取り除くための熱処理(エージング)を施すことによって得ることができる。この場合、紡糸工程のオンラインで熱処理することによって得ることができるし、また、オンラインで熱水収縮率が2.0〜1.0%程度となるように熱処理した後、一旦フィラメントを巻き取り、一定の長さにカットして一定本数を真っ直ぐに束ねた後、オフラインで熱水収縮率0.4%以下となるように熱処理することによっても得ることができる。
熱処理温度は120〜160℃が好ましいが、100℃以下でも可能である。特に、オフラインの場合、60〜80℃でも時間をかければ熱水収縮率0.4%以下とすることができる。
紡糸は、単一素材であっても、芯鞘のような複合構造であっても、一般に用いられている方法を用いればよく、刷毛素材となる樹脂を溶融あるいは溶媒に溶解して流動状態にし、これを所望の刷毛断面構成となるように設計した紡糸口金の細孔から気体中または液体中に押し出して冷却・固化させることにより、未延伸刷毛とし、次いで温水浴中またはスチーム浴中で延伸や弛緩処理を行った後、ボビンなどに巻き取る方法が好適である。さらに、工程中で帯電防止剤、潤滑剤などの仕上げ剤を表面処理することもできる。
使用するPTT毛の用毛径(直径)としては、特に限定されるものではないが、通常使用されているストレート毛では、例えば断面が円形をした円柱状の場合、使用感、歯茎への当たり心地、耐久性の点から3〜12mil(0.076〜0.305mm)、好ましくは5〜11mil(0.127〜0.279mm)程度がよい。刷毛先端が細くなったテーパー毛(テーパー部先端径0.01〜0.08mm程度)の場合、テーパーの施されていない基部側の刷毛径を5〜12mil(0.127〜0.305mm)程度とすることが好ましい。テーパー毛は、アルカリや酸を用いて化学的に溶解処理することで製造できるが、作業性の点からアルカリを用いる方法が好ましい。
刷毛の断面形状は、円形が一般的であるが、特に限定されるものではなく、円形の他、楕円形、三角形,四角形,五角形などの多角形、星形、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形、直線や曲線からなる不定形など、必要に応じて任意の形状が選択されるが、物理的強度の点から円形が好ましい。
通常、刷毛の外観形状は毛先丸め部を除いて根元部から先端まで同一径のストレート状であるが、刷毛の長軸方向に向けて所定のピッチで螺旋状にねじられていたり、ウェーブ処理、クリンプ処理を加えるなどしてもよい。また、先端に向かって径が細くなっていくテーパー毛の形態(例えば、先端部分の径が0.01〜0.08mm)であってもよい。さらに、刷毛先端をヘラ状、スクレイパー状、球状に加工してもよい。
刷毛断面を多層構造とする場合には、通常の歯ブラシで使用されている、ポリアミド(例:ナイロン6−12、ナイロン6−10、12ナイロンなど)、ポリエステル(例:ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリプロピレンなどの硬質樹脂や、熱可塑性エラストマーのような軟質樹脂を用い、PTTとこれらを組み合わせた複合フィラメントとしてもよい。PTTの耐久性を生かすために、最も構成比率の高い素材、いわゆる主成分がPTTとなるようにする。
刷毛の着色については、透明(ナチュラル)のままとすることもできるし、歯ブラシ外観の商品性を考慮して、顔料や染料による透明系着色あるいは不透明系着色(白色を含む)を施してもよい。さらに、必要に応じて、透明毛や着色毛を2種あるいはそれ以上、毛束単位あるいは毛束内の刷毛単位で組み合わせて使用してもよく、また、刷毛断面を多重芯鞘構造とする場合には、部分的に異なる素材や着色のものと組み合わせて用いることもできる。
着色方法としては、一般に行なわれるように紡糸する際の樹脂に着色剤を添加して着色するか、紡糸後あるいは紡糸工程に付随して、フィラメント表面から着色してもよい。また、歯ブラシへ植毛する前のカットピース状態(25〜35mm程度の刷毛長さからなる刷毛束)や植毛後に、刷毛の先端部分のみ、あるいは刷毛全体を着色することもできる。
さらに、刷毛の特性を損なわない範囲で、熱や光に対する安定化剤、難燃剤、フィラー、表面潤滑剤、帯電防止剤、殺菌素材(抗菌素材)、さらには他の硬質樹脂やエラストマーを適宜配合したり、塗布してもよい。
刷毛を束ねた毛束の断面形状は、通常は円形であるが、必ずしも円形である必要はなく、植毛部の設計に合わせて、三角形、四角形などの多角形、直線や曲線を組み合わせた不定形としてもよい。また、特に平線植毛の場合には、不定形断面の毛束と薄壁孔間植毛を組み合わせることにより、見かけ上全体が直線状あるいは曲線状に連続する毛束群とすることもできる。
毛束刷毛は、すべて同一の刷毛径や色である必要はなく、例えば、6mil(0.152mm)毛と7mil(0.178mm)毛、あるいは6mil(0.152mm)毛と8mil(0.203mm)毛といったように、外観、使用性、刷掃感、清掃効果などを考慮して適宜組み合わせることができる。さらに、PTT毛以外の他の材質の刷毛と組み合わせることもできるし、シリコーンやエラストマーのようなゴム様の刷毛やチップと組み合わせてもよい。
毛束先端の毛切り形状は、従来の歯ブラシと同じく、全体が1つの平面状をした平切り、頂部のある山切り、平面状部分が複数段ある段切りなどが適宜選択される。また、カッター形状の工夫や複数回の毛切り工程を重ねることにより、様々な形状の組み合わせとすることもできる。通常、毛束を構成する刷毛の先端部分は毛先丸め処理が施される。テーパー毛の場合には、毛先をできる限り細くするために毛切り工程を経ない場合もあり、その場合には毛先丸め処理は施さなくてもよい。
毛束の配列は、通常は円形断面の毛束として格子状や千鳥状に配列され、ヘッド部幅方向にわたって2〜6列程度(最大幅3〜13mm程度)、ヘッド部長手方向にわたって4〜12列程度(最大長さ5〜35mm程度)配列されるが、毛束断面形状や配列の組み合わせは刷掃目的や機能に応じて適宜選択すればよい。
刷毛または毛束を歯ブラシヘッド部の植毛面に固定する方法としては、従来公知の方法を利用することができ、例えば、平線と呼ばれる抜け止め部材(真鍮片、ステンレス片、硬質樹脂片など)で毛束を2つ折りにして植毛する平線植毛法、毛束の一端を熱などの手段によって溶融結合し、この結合部を金型内に臨ませた状態でヘッド部樹脂を充填して固定するインモールド植毛法(例えば、特開昭61−268208号公報、特表平9−512724号公報参照)、毛束の一端とヘッド部を熱などの手段で溶融結合する熱融着植毛法(例えば、特開昭60−241404号公報参照)などを利用すればよい。
刷毛を歯ブラシヘッド部に固定する場合、パッキングファクターが60〜100%、好ましくは70〜95%となるようにすると、毛立ちがよく、毛開き耐久性と外観に優れ、毛先を効率的に使用して清掃効果の高い歯ブラシとすることができる。また、歯ブラシヘッド部の一部に熱可塑性軟質樹脂やシリコーン樹脂などの軟質樹脂が使われている場合には、パッキングファクターが60〜120%となるようにすると上記と同様の良好な歯ブラシとすることができる。
なお、パッキングファクターとは、植毛穴1穴に植毛される刷毛の断面積の総和を当該植毛穴の断面積で除した値を100倍し、パーセント表示したものである。ただし、平線植毛法の場合、植毛穴内にある平線の面積を引いた値を植毛穴の断面積として用いる。また、植毛穴の存在しないインモールド法の場合や、熱融着法の場合でも予めヘッド部に植毛穴を形成しない場合には、ヘッド部に植毛する毛束(または刷毛)を保持するための金型治具の保持孔の孔断面積を植毛穴の断面積として用いる。
植毛された刷毛の毛丈(ヘッド部植毛面から刷毛先端までの高さ)は、毛束仕様や刷毛仕様、使用感、清掃効果などを考慮して適宜選択されるが、一般的には大人用として8〜12mm程度、子供用として6〜8mm程度とされる。
植毛された毛束または刷毛の植毛角度(ヘッド部植毛面に固定された毛束または刷毛と植毛面とのなす角度)は、必ずしもヘッド部植毛面に垂直でなくてもよく、例えば特定の方向の掻き取り効果を高める目的で、ヘッド部植毛面に対して15°〜20°程度傾斜させて植毛することもある。
植毛穴の穴形状は、円形のほか、三角形、四角形などの多角形や、楕円形、長方形、直線や曲線を組み合わせた不定形としてもよい。植毛穴の断面積は、0.75〜2.6mm程度に設定することが好ましい。植毛穴の断面積をこのような範囲とした場合、歯茎への当たり心地がよく、歯間部などの細かいすき間への毛先の挿入実感が高いブラシとすることができる。
植毛穴の深さ方向の形状については、穴径に変化のない円柱状穴でもよいが、下方に行くに従って穴径が細くなるようにテーパーを付けたものや、途中に段差を設けたもの、段差とテーパーとを組み合わせたものなども使用できる。これらの形状に加え、さらに穴底面の角隅部に0.3mm程度の面取り加工を施してもよい。
ヘッド部植毛面に形成される植毛穴の穴数は、10〜40穴程度であり、単一穴形状の植毛穴を単独で使用してもよいし、異なる穴形状の植毛穴を組み合わせてもよい。また、全植毛穴のうち、少なくとも60%程度以上が前記断面積0.75〜2.6mmの条件を満たしていれば、その他のさまざまな穴断面積を持つ植毛穴を組み合わせることも可能である。
植毛穴とヘッド部外周縁との距離は、強度が確保できる最低限の幅があればよく、0.5〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.0mmの範囲とする。
ヘッド部の厚さは、平線植毛法あるいは平線植毛法以外の植毛法によって若干の違いが見られるが、一般的には2〜6mm程度が望ましい。ヘッド部の厚さを薄くすれば口腔内の操作性は向上するが、一方において十分な植毛強度と耐折強度を確保するにはある程度の厚さが必要である。したがって、この両方の要望を兼ね備えるものとして、上記厚さ範囲とすることが望ましい。これによって、強度充分で操作性のよい歯ブラシとすることができる。
ヘッド部を含めて歯ブラシハンドルの構成樹脂としては、熱可塑性樹脂として、曲げ弾性率500〜3000MPa(JIS K 7203)のものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリカーボネート(ポリエステルとのブレンドを含む)、ポリアリレート(ポリエステルとのブレンドを含む)、ポリオキシメチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、セルロースプロピオネート、ポリアミド(ナイロン)、ポリウレタン、PMMA樹脂などを用いることができるが、価格や加工性の点からポリプロピレンが好ましい。
また、透明性を重視する場合には、米国イーストマン社製ポリエステルの一種であるPCTA樹脂がコストや耐歯磨剤性の点から好ましい。
また、上記の樹脂同士や熱可塑性エラストマー(オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ウレタン系、ナイロン系など)、シリコーン樹脂などと組み合わせ、多色成形ハンドルとすることも好ましい。さらに、弾性率の異なる2種以上の材質で構成し、歯ブラシハンドルの一部または全部に可撓性を持たせることもできる。
なお、実際に本発明の歯ブラシを製造するに際しては、例えば図3(a)〜(d)に示すように、PTT毛4からなる毛束の間に、ナイロン毛やPBT毛などの従来毛6からなる毛束(黒丸で示す)を適宜植毛するように構成すれば、この従来毛6からなる毛束に歯ブラシの取り替え時期を知らせるためのインジケータの役目を与えることができる。
すなわち、PTT毛は伸長・回復性に優れ、歯ブラシの刷毛として用いた場合、高い耐久性を有するが、逆に、長期間の使用によって毛先が摩耗したり、ささくれだってきたりしても、毛先が開かないために歯ブラシの取り替え時期が不明瞭となることがある。そこで、図3(a)〜(d)のように、PTT毛4からなる毛束と一緒にナイロン毛やPBT毛などの従来毛6からなる毛束を適宜植毛しておけば、この従来毛6の毛先の開き具合から歯ブラシの取り替え時期が近づいていることを知らせることができる。
本発明によれば、PTT毛の熱水収縮率やヒステリシス特性を最適な値に設定したので、PTT毛を用いた歯ブラシにおける刷毛の開き耐久性をさらに向上することができ、より耐久性に優れた歯ブラシを提供することができる。
さらに、刷毛の植毛面積と植毛密度をPTT毛に最適な仕様としたので、歯ブラシヘッド部の植毛部をコンパクトに構成することができ、上記毛開き耐久性の向上に加え、歯間部などの隙間への毛先の到達性と口腔内操作性に優れ、しかも、歯垢除去効果が長期間にわたって持続する、高品質な歯ブラシとすることができる。
刷毛の伸長・回復時のヒステリシス曲線の説明図である。 歯ブラシヘッド部の平面図である。 ナイロン毛またはPBT毛を歯ブラシ取り替え時期告知用のインジケータとして用いた場合の例を示す図である。 刷毛の熱水収縮率の違いによる毛開き耐久性の試験結果を示すグラフである。 歯垢除去試験の試験結果を示すグラフである。 本発明の歯ブラシの第1の具体例を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。 図6の歯ブラシの詳細図であって、(a)は図6(a)中のヘッド部の拡大平面図、(b)は図6(a)中の植毛穴の拡大断面図、(c)は図6(b)中のA−A’線位置における拡大断面図、(d)は図6(b)中のB−B’線位置における拡大断面図、(e)は図6(b)中のC−C’線位置における拡大断面図、(f)は図6(b)中のD−D’線位置における拡大断面図、(g)は図6(b)中のE−E’線位置における拡大断面図、(h)は図6(b)中のF−F’線位置における拡大断面図、(i)は図6(b)中のG−G’線位置における拡大断面図である。 本発明の歯ブラシの第2の具体例を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。 図8の歯ブラシの詳細図であって、(a)は図8(a)中のヘッド部の拡大平面図、(b)は図8(a)中の植毛穴の拡大断面図、(c)は図8(b)中のA−A’線位置における拡大断面図、(d)は図8(b)中のB−B’線位置における拡大断面図、(e)は図8(b)中のC−C’線位置における拡大断面図、(f)は図8(b)中のD−D’線位置における拡大断面図、(g)は図8(b)中のE−E’線位置における拡大断面図、(h)は図8(b)中のF−F’線位置における拡大断面図、(i)は図8(b)中のG−G’線位置における拡大断面図である。 本発明の歯ブラシの第3の具体例を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。 図10の歯ブラシの詳細図であって、(a)は図10(a)中のヘッド部の拡大平面図、(b)は図10(a)中の植毛穴の拡大断面図、(c)は図10(b)中のA−A’線位置における拡大断面図、(d)は図10(b)中のB−B’線位置における拡大断面図、(e)は図10(b)中のC−C’線位置における拡大断面図、(f)は図10(b)中のD−D’線位置における拡大断面図、(g)は図10(b)中のE−E’線位置における拡大断面図、(h)は図10(b)中のF−F’線位置における拡大断面図、(i)は図10(b)中のG−G’線位置における拡大断面図である。 本発明の歯ブラシの第4の具体例を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。 図12の歯ブラシの詳細図であって、(a)は図12(a)中のヘッド部の拡大平面図、(b)は図12(a)中の植毛穴の拡大断面図、(c)は図12(b)中のA−A’線位置における拡大断面図、(d)は図12(b)中のB−B’線位置における拡大断面図、(e)は図12(b)中のC−C’線位置における拡大断面図、(f)は図12(b)中のD−D’線位置における拡大断面図、(g)は図12(b)中のE−E’線位置における拡大断面図、(h)は図12(b)中のF−F’線位置における拡大断面図、(i)は図12(b)中のG−G’線位置における拡大断面図である。
歯ブラシハンドルのヘッド部に、植毛面積S=0.8〜1.5cm、植毛密度35〜45%の条件を満たすように23穴の植毛穴(直径1.6mmの丸穴)を形成し、これら植毛穴のそれぞれに、8mil(0.203mm)の太さからなるPTT毛を平線(厚さ0.25mm)を用いて1穴当たり19本(折り返しで38本)ずつ植毛した後、毛丈が9.5mmとなるようにカッターで平切りし、本発明の歯ブラシを作製した(表1中の実施例1〜3)。
なお、表1中に示すように、実施例1は熱水収縮率0.03%、実施例2は熱水収縮率0.26%、実施例3は熱水収縮率0.34%に設定し、いずれも本発明の条件である熱水収縮率0.4%以下とした。また、パッキングファクターはいずれも76.5%である。
Figure 0004628956
上記実施例1〜3の各歯ブラシについて、毛開き耐久性試験(植毛部開き率)を行なった。その結果を表2および図4に示す。比較のため、熱水収縮率以外は実施例1〜3と同じ構成で、PTT毛の熱水収縮率だけを0.52%、0.74%、1.50%とした比較用の3種類の歯ブラシ(表1中の比較例1〜3)を作製し、同様の試験を行なった。さらに、参考例として、同じ刷毛径、同じ植毛本数からなるナイロン毛を用いた歯ブラシも作製し、同様の試験を行なった。これらの結果も表2および図4中に示した。
(試験方法)
上記各歯ブラシをモデル耐久性試験機にセットし、刷掃回数の増加による植毛部開き率を測定した。試験方法は、歯ブラシヘッド部を金属製の波板上に位置して刷毛先端が波板表面に接するように波板と平行に対向配置し、この状態で歯ブラシヘッド部と波板の全体を37℃(略口腔内温度)の温水中に浸漬し、歯ブラシヘッド部を波板の波と直交する向きに往復動する。試験条件は、歯ブラシヘッド部に300gの荷重をかけた状態で、往復速度150回/分、刷掃ストローク40mmで2万回まで刷掃し、1万回刷掃時点と2万回刷掃時点の2回、それぞれの歯ブラシについて植毛部開き率を測定した。
なお、植毛部開き率とは、使用開始前におけるヘッド部植毛面に植毛された刷毛群の植毛部幅(ハンドル長手方向と直交する向きに計った刷毛群の先端全幅)と、前記モデル耐久性試験機にて所定回数刷掃した後における植毛部幅を計測し、その差を使用開始前の植毛部幅で除して100倍し、パーセント表示したものである。その算出式を下に示す。
Figure 0004628956
Figure 0004628956
表2中のナイロン毛を用いた参考例の場合、1万回刷掃を行なった時点で植毛部開き率が50%を超えたため、2万回刷掃は行なわず、1万回刷掃で試験を打ち切った。
表2および図4の試験結果から明らかなように、熱水収縮率0.4%以下(実施例1〜3)、好ましくは熱水収縮率0.3%以下(実施例1、2)とすることにより、植毛部開き率を小さくすることができ、歯ブラシの毛開き耐久性を向上できることが確認された。
なお、上記モデル耐久試験機による毛開き耐久性の評価では、37℃の温水中で連続的に荷重をかけて刷掃運動を行なうため、吸水性の高いナイロン毛を用いた歯ブラシ(参考例)は、吸水性の低いPTT毛に比べて毛開き耐久性が低く出る傾向にある。そこで、この点については、実際に歯磨き耐久試験を行ない、PTT毛を用いた実施例1〜3の歯ブラシはナイロン毛を用いた参考例の歯ブラシに比べて約2倍の毛開き耐久性を有することを確認した。
次に、表3中に実施例4として示したPTT毛を用いた本発明の歯ブラシ(熱水収縮率0.03%)と、比較例4として示したナイロン毛を用いた従来の歯ブラシを作製し、これらを実際に歯磨きに使用して操作性の違いを評価した。その評価結果を表4に示す。評価は7段階絶対評価によった。
Figure 0004628956
Figure 0004628956
表4の評価結果から明らかなように、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシ(実施例4)の場合、歯間部への毛先の到達性および口腔内操作性のいずれにおいても、ナイロン毛を用いた従来の歯ブラシ(比較例4)よりも優れていることが確認された。
次に、表5中に実施例5として示したPTT毛を用いた本発明の歯ブラシ(熱水収縮率0.03%)と、比較例5,6として示したナイロン毛を用いた従来の歯ブラシを作製し、歯垢除去試験を行なった。その試験結果を表6および図5に示す。
(試験方法)
表5に示す各歯ブラシをモデル刷掃試験機にセットし、初期(使い始め)時の歯垢除去力と、モデル試験により2万回刷掃した後の歯垢除去力をそれぞれ測定し、歯垢除去力の低下率を比較した。
Figure 0004628956
Figure 0004628956
表6および図5の試験結果から明らかなように、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシ(実施例5)の場合、2万回刷掃後も使い始めとほぼ同等の歯垢除去力を維持していることが確認された。
次に、実施例6として、本発明で採用したヒステリシス特性からなるPTT毛を用いた歯ブラシの例を説明する。
この実施例6で用いたPTT毛としては、PTT樹脂を特許文献3に記載のような方法で紡糸し、一旦スプールに巻き取り、さらに、一定の長さにカットし、所定本数を真っ直ぐに束ねて外側を紙巻きした状態で熱処理を行ない、熱水収縮率0.03%とした直径8mil(0.203mm)のものを用いた。また、比較例として、直径8milのPBT毛を用いた歯ブラシ(比較例7)と、直径8milのナイロン(6−12ナイロン)毛を用いた歯ブラシ(比較例8)を用いた。
これら各歯ブラシに用いた刷毛を引張圧縮試験機にセットし、最大伸度を20%、22.5%、25%とした場合のそれぞれについて、伸長・回復時の伸度と荷重のヒステリシス曲線を求め、得られたヒステリシス曲線から以下に述べる各ヒステリシス特性を測定した。試験条件は、刷毛の固定距離100mm、伸長・回復速度100mm/分とした。
各歯ブラシに用いた刷毛のヒステリシス特性の測定結果を表7〜表9に示す。表7は最大伸度Tmax=20%時のヒステリシス特性、表8は最大伸度Tmax=22.5%時のヒステリシス特性、表9は最大伸度Tmax=25%時のヒステリシス特性である。
なお、表7〜表9中の記号Tmax、Fmax、TΔmax、ΔFmax、T0の意味は、次の通りである(図1参照)。
Tmax :最大伸度
Fmax :最大伸度Tmaxにおける最大荷重
TΔmax:伸長時と回復時の荷重の差が最大となる伸度
ΔFmax:伸長時と回復時の同一伸度における荷重の最大差
T0 :回復時に荷重がゼロになる伸度
Figure 0004628956
Figure 0004628956
Figure 0004628956
表7〜表9のヒステリシス特性からなる各刷毛を平線植毛法で植毛し、刷毛先端を平切りした後、毛先を丸め処理し、それぞれの歯ブラシを作製した。これらの歯ブラシについて毛開き耐久性試験(植毛部開き率)を行なった。その試験結果を表10に示す。なお、試験に用いた各歯ブラシの植毛部仕様は以下の通りである。
ハンドル材質(ヘッド部を含む):ポリプロピレン
植毛穴径:1.8mm(断面積2.54mm
植毛穴配列:先端2穴+3穴×6列
植毛穴数:20穴
植毛部幅:6.8mm
植毛部長さ:19.8mm
植毛面積S:1.28cm
植毛密度:39.7%
植毛本数(2つ折り前):23本/穴
平線厚み:0.25mm
毛丈:9.5mm
毛切り形状:平切り
(試験方法)
上記仕様で作製した各歯ブラシをモデル耐久性試験機にセットし、刷掃回数の増加による毛開き耐久性試験(植毛部開き率)を行なった。試験方法は、歯ブラシヘッド部を金属製の波板上に位置して刷毛先端が波板表面に接するようにして波板と平行に対向配置し、この状態で歯ブラシヘッド部と波板の全体を35℃の温水中に浸漬し、歯ブラシヘッド部を波板の波と直交する向きに往復動する。試験条件は、歯ブラシヘッド部に300gの荷重をかけた状態で、往復速度150回/分、刷掃ストローク40mmで2万回まで刷掃し、1万回刷掃時点と2万回刷掃時点の2回、それぞれの歯ブラシについて植毛部開き率を測定した。
Figure 0004628956
表10の試験結果から明らかなように、ヒステリシス特性を特定の範囲に設定した本発明の歯ブラシ(実施例6)は、PBT毛やナイロン毛を用いた従来の歯ブラシ(比較例7,8)に比べて植毛部開き率が格段に小さくなり、毛開き耐久性が極めて高くなることが確認された。
以下に、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシの具体的な構造例を示す。
図6および図7は、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシの第1の具体例である。この第1の具体例は、大人用の歯ブラシの例を示すもので、植毛部の仕様は以下の通りである。なお、図面を見やすくするため、植毛穴3に植毛されたPTT毛については図示を省略した。図中、符号7および8は、それぞれサイドゲートおよび型番表示部を示す。
刷毛材質:熱水収縮率0.03%のPTT毛
刷毛径:8mil(0.203mm)
刷毛本数(2つ折り前):18本/穴
植毛穴3の穴径:1.6mm(断面積2.01mm
植毛穴数:23穴
植毛面積S:1.18cm
植毛密度:39.2%
ハンドル5の材質(ヘッド部1を含む):PCTA樹脂
図8および図9は、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシの第2の具体例である。この第2の具体例も大人用の歯ブラシの例を示すもので、植毛部の仕様は以下の通りである。なお、植毛穴3に植毛されたPTT毛については図示を省略した。
刷毛材質:熱水収縮率0.03%のPTT毛
刷毛径:8mil(0.203mm)
刷毛本数(2つ折り前):18本/穴
植毛穴3の穴径:1.6mm(断面積2.01mm
植毛穴数:30穴
植毛面積S:1.42cm
植毛密度:42.5%
ハンドル5の材質(ヘッド部1を含む):PCTA樹脂
図10および図11は、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシの第3の具体例である。この第3の具体例は、乳歯生え替わり時期用の歯ブラシの例であって、植毛部の仕様は以下の通りである。なお、植毛穴3に植毛されたPTT毛については図示を省略した。図10中、符号9はピンゲートを示す。
刷毛材質:熱水収縮率0.03%のPTT毛
刷毛径:8mil(0.203mm)
刷毛本数(2つ折り前):20本/穴
植毛穴3の穴径:1.7mm(断面積2.27mm
植毛穴数:20穴
植毛面積S:1.14cm
植毛密度:39.8%
ハンドル5の材質(ヘッド部1を含む):ポリプロピレン(PP)樹脂
図12および図13は、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシの第4の具体例である。この第4の具体例は、乳歯期用の歯ブラシの例であって、植毛部の仕様は以下の通りである。なお、植毛穴3に植毛されたPTT毛については図示を省略した。
刷毛材質:熱水収縮率0.03%のPTT毛
刷毛径:7mil(0.178mm)
刷毛本数(2つ折り前):28本/穴
植毛穴3の穴径:1.7mm(断面積2.27mm
植毛穴数:17穴
植毛面積S:0.96cm
植毛密度:40.2%
ハンドル5の材質(ヘッド部1を含む):ポリプロピレン(PP)樹脂
以上、PTT毛を用いた本発明の歯ブラシについて詳述したが、PTT毛以外の従来毛であっても、熱水収縮率および/またはヒステリシス特性が本発明で採用したPTT毛と同等の特性を備えることができる場合には、上述したPTT毛に代えて当該従来毛を用いることもできる。
符号の説明
1 ヘッド部
2 植毛面
3 植毛穴
4 PTT毛
5 ハンドル
6 従来毛
7 サイドゲート
8 型番表示部
9 ピンゲート
S 植毛面積

Claims (6)

  1. 刷毛の全部または一部に、ポリトリメチレンテレフタレートからなるフィラメントもしくはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするフィラメントを用いた歯ブラシにおいて、
    前記ポリトリメチレンテレフタレートからなるフィラメントもしくはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするフィラメントの熱水収縮率を0.4%以下としたことを特徴とする歯ブラシ。
  2. 請求項1記載の歯ブラシにおいて、
    前記ポリトリメチレンテレフタレートからなるフィラメントもしくはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするフィラメントとして、刷毛の伸長・回復時の伸度と荷重を測定したヒステリシス曲線において、伸長時と回復時の荷重の差が最大となる伸度TΔmaxが、最大伸度Tmaxに対して50%以下であるフィラメントを用いたことを特徴とする歯ブラシ。
  3. 請求項2記載の歯ブラシにおいて、
    前記ポリトリメチレンテレフタレートからなるフィラメントもしくはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするフィラメントとして、伸長時と回復時の同一伸度における荷重の最大差ΔFmaxが、最大伸度における最大荷重Fmaxに対して70%以下であるフィラメントを用いたことを特徴とする歯ブラシ。
  4. 請求項2または3記載の歯ブラシにおいて、
    前記ポリトリメチレンテレフタレートからなるフィラメントもしくはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするフィラメントとして、回復時に荷重がゼロに戻る伸度T0の最大伸度Tmaxに対する伸長回復率={(Tmax−T0)/Tmax}×100が、50%以上であるフィラメントを用いたことを特徴とする歯ブラシ。
  5. 請求項4記載の歯ブラシにおいて、
    前記ポリトリメチレンテレフタレートからなるフィラメントもしくはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするフィラメントとして、少なくとも最大伸度25%時のヒステリシス曲線における伸長回復率が50%以上であるフィラメントを用いたことを特徴とする歯ブラシ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の歯ブラシにおいて、
    ヘッド部植毛面における刷毛の植毛面積を0.8〜1.5cm、植毛密度を35〜45%としたことを特徴とする歯ブラシ。
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