JP5743784B2 - Rna検出用試薬およびrna検出方法 - Google Patents

Rna検出用試薬およびrna検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法によってウイルスRNAを検出する方法において使用されるRNA検出用試薬、およびこれらの試薬を用いてPCR法によってRNAを検出するRNA検出方法に関する。
近年、感染性ウイルスのスクリーニングや、疾患患者のウイルス感染の有無を判断する場合にウイルス中のRNAを検出する方法として、RT−PCR(Reverse TranscriptionPCR)を含むPCR法(以下、単にPCR法と記載する)が広く用いられている。
PCR法によって試料中のウイルスのRNAを検出するには、フェノール・クロロホルム法などによって試料から抽出されたRNAを逆転写して相補的DNA(cDNA)を得、得られたcDNAをPCR法によって増幅させてその増幅産物を測定する事で、試料中にウイルスが含まれていたかどうかを検出するものである。
PCR法の中でも、リアルタイム(Real−time)PCR法では、RNAの増幅を蛍光色素存在下で行い蛍光増幅をリアルタイムで測定しながら増幅率を測定するために高感度の検出が行うことができる。
このようにリアルタイムPCR法は通常のPCR法に比べるとRNAを高感度で検出できるが、それでも、例えば感染初期の患者から試料を採取してRNAの検出を行った場合には、ウイルスの量が少ないため、RNAを検出できず、実際には感染していたとしても陰性と判断されることがある。
また、RNAはRNA分解酵素で分解されやすいため、少量の場合には特に検出が困難になる。
さらには、DNAを検出する場合と比べてRNAを逆転写する工程が増えるため試料のロスも生じやすい。
従って、感染の初期における病原性ウイルス等、少量のRNAウイルスのRNA検出についてはさらに高感度の検出方法が望まれている。
従来、RNAの検出感度を向上させるためには、試料中のMgイオン濃度を調整することなどが行われているが、十分ではなかった。
あるいは、微量のRNAを確実に沈殿させるために、RNAの抽出工程においてRNAの沈殿を促す共沈剤を添加することで、抽出効率を向上させることが特許文献1乃至7に記載されている。
しかしながら、前記のような共沈剤を用いるいずれの方法においても、核酸、特にウイルスRNAのRNA検出感度を十分に向上させうるものではない。
特開平7−238101号公報 特開平7−59572号公報 特開2001−17173号公報 特開2003−248号公報 特開2006−87394号公報 特許第4264133号公報 特許第3108105号公報
そこで、本発明は、PCR法によるRNA検出方法において、検出感度を向上させることのできるRNA検出用試薬、およびRNA検出方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、RNAウイルスを含む試料から前記RNAウイルスのRNAを抽出し、PCR法により前記抽出されたRNAを検出する際に、前記RNAウイルスのRNAを抽出するために前記試料に添加されるRNA検出用試薬であって、動物糞の水溶性抽出液を含むことを特徴とするRNA検出用試薬を提供する。
また、本発明にかかるRNA検出用試薬は、pHが5〜9であることが好ましい。
また、本発明者らは、前記課題を解決するために、RNAウイルスを含む試料からRNAウイルスのRNAを抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出されたRNAをPCR法によって増幅するPCR反応工程とを実施するRNA検出方法において、前記抽出工程において、前記試料に請求項1または請求項2に記載のRNA検出用試薬を添加してからRNAの抽出を行うことを特徴とするRNA検出方法を提供する。
本発明に係るRNA検出用試薬を、ウイルスRNAを含む試料中に所定量添加して試料からRNAを抽出し、その後PCR法によりRNA検出を行うと、RNAの検出感度を向上させることができる。
従って、微量のウイルスが含まれる試料からもRNAを検出することができ、ウイルス検査等において微量のウイルスの有無を判定することができる。
また、本発明に係るRNA検出用試薬は、動物糞の抽出液を含むため、廃棄物である家畜糞等の動物糞を原料とすることができ、製造コストが安価である。
(ア)豚糞由来のRNA検出試薬の分画時間とウイルス量の関係、(イ)豚糞由来のRNA検出試薬の分子量とウイルス量の関係 (ア)鶏糞由来のRNA検出試薬の分画時間とウイルス量の関係、(イ)鶏糞由来のRNA検出試薬の分子量とウイルス量の関係
以下に、本実施形態のRNA検出用試薬およびこれらの試薬を用いたPCR法によるRNA検出方法について具体的に説明する。
本実施形態のRNA検出用試薬は、RNAウイルスを含む試料から前記RNAウイルスのRNAを抽出し、PCR法により前記抽出されたRNAを検出するために用いられるRNA検出用試薬であって、動物糞の抽出液を含むものである。
前記動物糞としては、家畜糞(鶏糞、豚糞、牛糞など)、やペット(イヌ、ネコ、ウサギ、ネズミ、カメ)等の糞等の動物糞に抽出用の液体を添加して遠心分離した上澄み液から作製される。
家畜糞としては、養鶏、養豚場などから回収されてくる一般的な家畜飼養場からの廃棄物を利用することができる。
尚、本実施形態のRNA検出用試薬において、前記動物糞に含まれるどのような成分がRNA検出の検出感度を向上させるのに有効なのかについては、詳細は不明であるが、各試験結果より、一般的な動物糞を水溶性の抽出液で抽出した成分中に有効成分が含まれていることは明らかである。
また、それらの有効成分は一般的なたんぱく質が変性する温度(100℃)程度ではその活性を失わないことも明らかである。
動物糞に含まれるRNA検出の検出感度を向上させる有効成分の一つは、多糖類の一種であると考えられる。
ヒトを含む哺乳類、鳥類、爬虫類などの動物の糞であって、エサ由来の多糖類を含む糞であれば、本実施形態のRNA検出用試薬の材料として用いることが可能であると考えられる。
本実施形態のRNA検出用試薬は、前記動物糞に緩衝液などの液体を添加して得られる抽出液から作製される。前記抽出するための液体としては緩衝液の他、水、酸、アルカリ水溶液、その他の液体を用いてもよい。
前記緩衝液を抽出液とした場合には液のpHを調整可能であり好ましい。
前記抽出液のpHを調整する場合、pH5〜9、好ましくはpH6〜8に調整することが好ましい。
この範囲であれば生体材料に対する影響が少なく且つ後で行うPCR反応への影響も少ない。
本実施形態のRNA検出用試薬には、さらに抗生物質などを添加して、雑菌を除去してもよい。使用可能な抗生物質としては、例えば、ペニシリンやストレプトマイシンなどが挙げられる。
さらには、本実施形態のRNA検出用試薬には、抽出性を高めるために界面活性剤などが添加されていてもよい。
前記のような本実施形態のRNA検出用試薬は、PCR法においてRNAを抽出する前の試料に添加することで、PCR法によるウイルスRNAの検出感度が10〜1000倍向上する。
以下に、本実施形態のRNA検出用試薬を用いてPCR法でウイルスRNAの検出を行う手順を説明する。
本実施形態のRNA検出方法は、RNAウイルスを含む試料からRNAウイルスのRNAを抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出されたRNAをPCR法によって増幅するPCR反応工程とを実施するRNA検出方法において、前記抽出工程の前に、前記試料に前記RNA検出用試薬を添加してRNAの検出を行うものである。
(1)試料の準備
血液などのRNA検出用の試料を準備する。前記試料は、通常の検出方法で使用する場合と同様に必要に応じて適当な倍率に希釈されたものでもよい。
また、前記試料としては、血液の他、咽頭ぬぐい液や気管吸引液(例:インフルエンザウイルス)、血清(例:C型肝炎ウイルス)、組織、細胞の他に、尿・便(例:ノロウイルス)等の排泄物、環境試料(下水、河川水等)を用いることが可能である。
(2)RNAの抽出工程
前記試料からRNAを抽出する工程を実施する。
まず、前記試料に前記のRNA検出用試薬を添加する。
試料に対するRNA検出用試薬の添加量は、試料の濃度や、ウイルスの種類などによって適宜調整可能である。
例えば、家畜糞を用いた前記試薬であれば、家畜糞1gに対して水溶性抽出液5〜20mlに混合し、遠心分離した上澄み液を採取したものを、試料1mlに対して0.1〜160μl程度、好ましくは、1〜80μl、さらに好ましくは、5〜50μl程度、添加することが好ましい。
尚、前記RNA検出用試薬の添加量は、RNA検出用試薬の原料の糞の種類によっても異なる。
例えば、前記家畜糞のうち鶏糞を用いたものの場合には、試料1mlに対して0.1〜40μl、好ましくは1〜20μl程度、さらに好ましくは5〜20μl程度添加することが好ましく、豚糞を用いたものの場合には、試料1mlに対して0.5〜160μl、好ましくは5〜80μl程度、さらに好ましくは10〜50μl程度添加することが好ましい。
さらに他の動物糞を用いたものの場合には、試料1mlに対して0.2〜300μl、好ましくは、2〜100μlさらに20〜100μl程度添加することが好ましい。
前記RNA検出用試薬を添加した試料からRNAを抽出するには、公知の手法、例えばフェノール・クロロホルム抽出法によって行うことができる。
RNA抽出には市販のRNA抽出用試薬キット、例えば、TRIZOL試薬(インビトロジェン社製)等を、添付のプロトコールに従って使用することができる。
例えば、下記のような手順でRNA抽出を行なう。
まず、試料をTRIZOL試薬に溶解する。試料が血清など溶液の場合や、血液や培養細胞などの細胞浮遊液の場合には、適宜希釈した液を、また試料が組織などの場合には予めホモジナイズしておいたものを、TRIZOL試薬に混合して溶解する。
TRIZOL試薬に試料を溶解した液を15分間静置して、クロロホルムを添加し、チューブに入れ遠心分離(12000×g、15分間、4℃)する。
遠心分離後、RNAを含む上澄みと、その他の成分(タンパク質、炭水化物など)を含む沈殿とに分離し、前記上澄みを取り出すことでRNA成分を含む水溶液を抽出する。
さらに、前記上澄みを別のチューブにいれて、イソプロパノールを添加し、10分間静置した後、遠心分離(12000×g、15分間、4℃)した上澄みを除去するとRNAの沈殿が生成される。その沈殿にエタノール(75%)を添加しさらに遠心分離(7500×g、5分間、4℃)することでRNAを洗浄する。
沈殿・洗浄したRNAを乾燥後、RNaseフリー水(DEPC処理水)に再溶解させることで、RNAを抽出する。
(3)逆転写工程
前記のように試料から抽出されたRNAを用いて、逆転写によって相補的DNA(cDNA)を合成する逆転写工程を実施する。
逆転写は、市販の逆転写酵素用試薬キット、例えば、High Capacity cDNA逆転写キット(アプライドバイオシステムズ社製)等を、添付のプロトコールに従って使用して行なうことができる。
例えば、逆転写酵素、ランダムプライマー、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、RNA分解酵素阻害剤(RNase inhibitor)、付属のバッファーおよびRNase−フリー水をプロトコールに従って調製し(1試料あたり全量で10μlとなるように調製)、前記抽出したRNAを前記調製した試薬に同量(10μl)添加してピペッティングで混合する。
混合後、10分間室温で静置し、37℃で2時間逆転写を行い、cDNAを合成する。
逆転写反応後のcDNAは、85℃で10秒保温することで、酵素を不活化させておく。
(4)PCR反応工程
次に、前記逆転写工程で生成されたcDNAをPCR反応によって増幅させて検出を行うPCR反応工程を実施する。
PCR反応によるcDNAの検出は、公知のPCR法を用いたPCR装置を適宜用いて行うことができる。
PCR装置で検出されるデータはcDNAの量であるため、これを元の試料中に含まれるRNA量に換算することで、試料中に含まれていたRNA量およびRNAウイルスの検出が可能となる。
尚、RNA量とcDNA量とは同量となるが、生データとして得られるcDNA量は、最終的にPCR反応させたcDNA量であるため、元の試料中に含まれるRNA量に換算する場合には、試料の希釈を考慮して換算する。
前記のようなPCR法において試料中に含まれるウイルスRNAを検出する場合、血液などの試料に含まれている不純物が残存物質として各工程における酵素反応などを阻害している可能性があり、これらの残存物質が、最終的なウイルスRNAの検出感度に悪影響を及ぼしていると考えられる。
本発明のRNA検出用試薬が実際にどのような作用でRNA検出の感度を向上させているのか、その詳細な原理は不明だが、おそらく、前記RNA抽出工程における抽出効率を向上させること、または、各工程における残存物質の阻害作用を低下させること等に効果があると思われる。
本実施形態のRNA検出用試薬は、種々のRNAウイルスから抽出されるRNAの検出に有用であるが、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、デングウイルス等のエンベロープを有するウイルス、ノロウイルスの実験室での代替ウイルスとして用いられることが多いネコカリシウイルス等のエンベローブを有しないウイルス等のウイルスRNAの検出感度の向上に効果が高い。これらのウイルスの中でも、特に前記エンベロープを有する各ウイルスに対する検出感度向上効果が高い。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔1〕 RNA検出感度試験
(RNA検出用試薬)
乳鉢で粉砕した家畜糞(鶏糞、豚糞等)1g(鶏糞の含水率:28%,豚糞の含水率:23%)に対して、抗生物質(製品名:ペニシリン・ストレプトマイシン)0.1mlおよび緩衝液(トリス塩酸緩衝液、pH7.5)9.9mlを添加した液を、遠心分離(13000×g、10分間 4℃ )後、上澄み液をとり、これをRNA検出用試薬とした。
尚、前記含水率は、各家畜糞を試料としておよそ1g採取したものを105℃で1時間保持し、質量の減少から算出した。以下の各試験で用いた糞の含水率については同様に算出した。
(試料の調整)
各ウイルス液5μl、前記RNA検出用試薬2.5μl、MEM培地、ウシ胎児血清、L−グルタミン、非必須アミノ酸及び炭酸水素ナトリウム(pH調整用)からなる培養液242.5μlを混合した実施例の液と、各ウイルス液5μlと培養液245μlとからなる比較例の液を250μlずつ準備した。
尚、前記培養液の成分のうちウシ胎児血清は、下記実施例1、4および比較例1、4にのみ使用した。
本実施例で使用したウイルスは下記の4種類であり、ウイルス液の濃度を、250μl中に1.0×104、1.0×103、1.0×102、1.0×101、1.0×100、1.0×10-1PFUとなるように6段階の濃度段階に調整した(初期調整ウイルス量)。
実施例1および比較例1:ネコカリシウイルス(株:FCV−2280)
実施例2および比較例2:B型インフルエンザウイルス(株:B/Lee/40)
実施例3および比較例3:A型インフルエンザウイルス(株:A/PR/8/34)
実施例4および比較例4:デングウイルス(株:New Guinea C)
(抽出工程)
各実施例および比較例250μlに対し、TRIZOL(商品名、インビトロジェン社製)を750μl添加する。
この溶液をよく混合し、15分間室温で静置した後、200μlのクロロホルムを添加して、遠心分離(12000×g、15分間、4℃)する。
その後、水層を回収する。
回収した水層約700μlあたり500μlのイソプロパノールを添加して、10分間室温で静置し、遠心分離(12000×g、15分間、4℃)して、RNA成分を沈殿させ、上澄みを除去する。
残ったRNA沈殿物に、75%エタノールを 1ml添加し、ボルテックス後、5分間室温で静置し、さらに遠心分離(9000×g、5分間、4℃)することによってRNA沈殿を洗浄する。
一度、上澄みを除去した後、さらに遠心分離(9000×g、2分間、4℃)し、残存している上澄みを除去する。上澄み除去後のRNA沈殿物を、15分間風乾させ、エタノールを除去する。
(逆転写工程およびPCR反応工程)
前記抽出されたRNAを、RNaseフリー水(DEPC処理水)15μlで溶解し、そのうちの10μlのRNAを用いて、20μlのcDNAを合成する(逆転写工程)。
合成したcDNAのうち5μlを使用し、下記のPCR装置を用いてRNA量を測定する(PCR反応工程)。
前記逆転写工程および、PCR反応の手順は、以下の試薬またはキットの方法に準拠した。
尚、逆転写に必要な各ウイルスのプライマーおよびプローブは、実施例1〜実施例3(比較例1〜比較例3)の各ウイルスについては各ウイルス株の遺伝子配列を基に、遺伝子解析ソフトウエアPrimer Express 3.0(アプライドバイオシステム社製)を用いて設計した。
実施例1及び2(比較例1及び2)のウイルスのプライマーおよびプローブは、アプライド社の設計ガイドラインに最も近くなり且つ前記Primer Express 3.0で示されるペナルティスコアが最も低くなるものを選定した。
実施例3については、A型インフルエンザウイルス株を141株抽出し、その中で相同性の高い共通プライマー、プローブとなるように選定した。
実施例4(比較例4)のウイルスのプライマーおよびプローブは、デングウイルス2型用の高感度検出用プライマーおよびプローブ(アプライドバイオシステム社製)を用いた。
各ウイルスにおいて同様にリアルタイムPCR装置で測定した生データと、この生データから換算した250μl中のRNA量(copy)を表1〜表4に示した。
換算値は、生データを0.167で除した数値である。
0.167で除する理由は、前記抽出したRNA15μlのうち、10μlをcDNA合成に使い、合成したcDNA20μlのうち、5μlをPCR装置にかけてPCR反応させたため、生データ(cDNA数)を0.167で除した値が250μlの検査用試料に含まれるRNA量となるためである。
尚、今回のPCR測定条件において、リアルタイムPCR装置の検出限界値は、いずれのウイルスも10copyであった。
Figure 0005743784
Figure 0005743784
Figure 0005743784
Figure 0005743784
表1〜表4からわかるように、いずれのウイルスについても、本発明のRNA検出用試薬を添加した各実施例では、リアルタイムPCR結果より算出したcopy数(ウイルス量)が増加していた。
すなわち、実施例1では比較例1に比べ約10〜100倍、実施例2では、比較例2に比べ約100〜1000倍 実施例3では、比較例3に比べ約1000倍、実施例4では、比較例4に比べ約100倍にcopy数が増加した。
また、いずれのウイルスについても、本発明のRNA検出用試薬を添加した各実施例では、検出限界が向上していた。
すなわち、実施例1では比較例1に比べ約10倍(1.0×102→1.0×101)、実施例2では比較例2に比べ1000倍(10×103→10×100)、実施例3では比較例3に比べ1000倍(10×104→10×101)、実施例4では比較例4に比べ100倍(10×103→10×101)に検出限界が向上した。
尚、検出限界値は、リアルタイムPCRの生データ値が10copy以下となった濃度段階の1段階高濃度の濃度段階の初期調製ウイルス量(PFU)とした。
〔2〕 糞の種類によるRNA検出感度の比較試験
次に、糞の種類を変えてRNA検出試薬を作製し、その効果を確認した。
乳鉢で粉砕した表5に記載の各動物糞を各1g準備し、抗生物質(製品名:ペニシリン・ストレプトマイシン)0.1mlおよび緩衝液(トリス塩酸緩衝液、pH7.5)9.9mlを添加した液を、遠心分離(13000×g、10分間 4℃ )後、上澄み液をとり、これをRNA検出用試薬する。
ウイルスとしてA型インフルエンザウイルス(株:A/PR/8/34)を用い、ウイルス液の濃度が、250μl中に1×104 PFUとなるように4段階の濃度段階に調整した(初期調整ウイルス量)。
前記RNA検出用試薬2.5μl〜25μlと前記培養液とを合わせて245μlとなるように混合した液と、前記各種ウイルス液5μlとからなる試験例1〜28を準備する。
比較する標準液としてはウイルス液5μlと培養液245μlとからなる液を250μl準備する。
前記RNA検出感度試験と同様の方法で各試験例および標準液中のcDNA量を測定し、そのPCR測定結果に基づき換算値を算出する。
結果を表5に示す。
Figure 0005743784
各試験例では、検出されたRNA量(copy数)が、いずれのRNA検出試薬においても標準液よりも多い値であった。
すなわち各種動物糞を材料としたRNA検出用試薬を用いることでRNAの検出感度が向上していた。
〔3〕 耐熱性試験
次に、本実施例のRNA検出用試薬の活性が加熱によって低下するかどうかの耐熱性試験を行った。
前記RNA検出感度試験に用いたRNA検出用試薬をヒートブロック恒温槽で100℃、10分間加熱した。
デングウイルス(No.29〜31)とA型インフルエンザウイルス(No.32〜34)を用いて、デングウイルスは250μl中に1.0×104、A型インフルエンザウイルスは1.0×103PFU含まれるようにそれぞれ調整したウイルス液を作製した。
これらの各ウイルス液に、前記試薬を添加したもの、加熱処理(100℃、10分)した試薬を添加したもの、試薬無添加のものを用いて、前記RNA検出感度試験と同様の方法で試料中のcDNA量を測定し、そのPCR測定結果に基づき換算値を算出した。
結果を表6に示す。
Figure 0005743784
表6の結果から、本実施例のRNA検出用試薬は、加熱しても活性は失われず、すなわち、試薬中の有効成分は前記条件の加熱によって変性しない成分であることがわかる。
〔4〕 不純物による影響
次に、本実施例のRNA検出用試薬が、雑多なRNAが混入している場合でも、目的とするRNAを高感度に検出させることが可能かどうかを試験した。
前記実施例1で使用したネコカリシウイルスを、単層に形成したネコ腎臓由来CRFK細胞(ECACC NO.86093002)に、細胞1個あたり0.1PFUのウイルスが感染するように接種する。
これを、37℃のインキュベーター内で15分毎にロッキングしながら、ウイルスを吸着させ、1時間後に前記実施例1で使用したものと同様の培養液を入れ、37℃で静置した。
翌日に細胞変性(CPE)が見られたため、感染細胞の回収を行った。
スクレーパーで細胞をはがしとり、細胞浮遊液を全量回収し、回収した細胞浮遊液を遠心分離(1500回転、5分)後、上澄みと細胞沈査に分離した。
上澄みを除去した後、細胞沈査に前記培養液を1ml添加し、ピペッティング後の細胞浮遊液を、247.5μl分取し測定液とした。
一方、前記実施例3で使用したA型インフルエンザウイルス(株:A/PR/8/34)を単層に形成したイヌ腎臓由来MDCK細胞(ECACC NO. 85011435)に、細胞1個あたり0.02PFUのウイルスが感染するように接種した。
これを、37℃のインキュベーター内で15分毎にロッキングしながら、ウイルスを吸着させ、1時間後にトリプシンと無血清培養液からなる維持培地を入れ、37℃で静置した。接種後2日目にCPEが確認できたため感染細胞の回収を行った。
上澄みを除去した後、細胞沈査に無血清培養液を1ml添加し、ピペッティング後の細胞浮遊液を、247.5μl分取し測定液とした。
前記細胞画分には、完全なウイルスの他に、不完全なウイルスまたは培養細胞自身のRNAなど目的とするRNA以外の雑多なRNAも混在している。
RNA検出用試薬Aとして鶏糞を使用したものと、試薬Bとして豚糞を使用したものを準備した。尚、RNA検出用試薬の調整方法は前記RNA検出感度試験と同様の方法で行った。
調製した測定液247.5μlにRNA検出用試薬2.5μl添加したものと、RNA検出用試薬の代わりに無血清培地を2.5μl添加したものについてPCR測定を実施した。
表7にネコカリシウイルスを用いた場合を、表8にA型インフルエンザウイルスを用いた試験結果について示す。
Figure 0005743784
Figure 0005743784
表7および8に示すように、いずれのウイルスを用いた場合も、RNA検出用試薬を添加した場合には、添加しない場合よりも、RNAの検出感度が向上した。
〔5〕分子量の測定
次に、各家畜糞中の抽出液をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分画し、RNA検出感度向上活性を示す分画液の平均重量分子量を測定した。
まず、各サンプルを準備した。豚糞および鶏糞(鶏糞の含水率:28%,豚糞の含水率:23%)をそれぞれ重量の10倍の水で抽出した抽出液を準備した。抽出液作製後翌日に、抽出液をGPCの測定範囲内となるよう鶏糞は1/10、豚糞は1/20に水で希釈し、後述するGPC法を用いて分画を行った。
尚、前記各サンプルの含水率は、豚糞および鶏糞を試料としておよそ1g採取したものを105℃で1時間保持し、質量の減少から算出した。
これらのサンプルをGPC法によって測定した。
測定は下記条件で行った。
使用装置;
恒温槽:昭和電工製 Shodex OVEN AO−30
送液ポンプ:昭和電工製 Shodex DS−4
検出器:昭和電工製 Shodex RI−101
デガッサー:昭和電工製 ERC−3115α
解析ソフト:システムインスツルメンツ社製 SIC 480II データステーション
使用カラム;SB−804HQ(高分子量用カラム)昭和電工社製
流量;1ml/分
溶媒;イオン交換水
カラム温度;40 ℃
GPCカラム用標準試料;ショウデックス社製
P800(分子量 708000)、
P100(分子量 107000)、
P50 (分子量 47100)、
P20 (分子量 21100)、
P10(分子量 9600)、
P5 (分子量 5900)、
DEG (分子量 106)
検出器;示差屈折率検出器
(A)分画方法:鶏糞抽出液(冷蔵庫保管品)の20倍希釈溶液、5〜15分までの1分きざみで分画した(各1ml、計10サンプル)。
(B)分画方法:豚糞抽出液(冷蔵庫保管品)の10倍希釈溶液、5〜15分までの1分きざみで分画した(各1ml、計10サンプル)。
次に、各分画液を前記実施例3で使用したA型インフルエンザウイルス(株:A/PR/8/34)を用いて前記(PCR法による測定)で行った方法と同様に、リアルタイムPCR測定を行った。
前記GPCによる測定で求めた各分画の保持時間あるいは重量平均分子量を横軸にとり、検出限界のウイルス量を縦軸にとったグラフを図1(ア)(イ)(豚糞由来のRNA検出試薬)および図2(ア)(イ)(鶏糞由来のRNA検出試薬)に示す。
鶏糞由来のサンプルではおよそ8分〜9分(プルランを較正曲線に用いた場合の換算平均重量分子量:85000〜23000)の分画で、豚糞由来のサンプルでは9分〜10分(プルランを較正曲線に用いた場合の換算平均重量分子量:23000〜4800)での分画でもっともRNAの検出感度が向上していた。
前記耐熱性試験及び前記分子量の測定の結果より、豚糞および鶏糞中に含まれる100℃程度の熱を加えても変性しない物質であって、且つ前記測定方法によって測定された平均重量分子量が数千から十万程度の高分子が、本実施例のRNA検出用試薬中の有効成分の一つであることがわかる。

Claims (3)

  1. RNAウイルスを含む試料から前記RNAウイルスのRNAを抽出し、PCR法により前記抽出されたRNAを検出する際に、前記RNAウイルスのRNAを抽出するために前記試料に添加されるRNA検出用試薬であって、
    動物糞の水溶性抽出液を含むことを特徴とするRNA検出用試薬。
  2. pHが5〜9である請求項1に記載のRNA検出用試薬。
  3. RNAウイルスを含む試料からRNAウイルスのRNAを抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出されたRNAをPCR法によって増幅するPCR反応工程とを実施するRNA検出方法において、
    前記抽出工程において、前記試料に請求項1または請求項2に記載のRNA検出用試薬を添加してからRNAの抽出を行うことを特徴とするRNA検出方法。
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