以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明のタッチスクリーンを備えた電子機器の実施形態に係るグラフ関数電卓10の外観構成を示す正面図である。
このグラフ関数電卓10は、その携帯性の必要からユーザが片手で十分把持し片手で操作可能な小型サイズからなり、この電卓10の本体正面にはキー入力部11および液晶ドットマトリクス型の表示部16が設けられる。
キー入力部11には、数字・文字・各種算術記号を入力したり計算の実行を指示したりするための数字・文字・演算記号キー群12、各種の関数機能を設定したりメモリ機能を設定したりするための計算機能設定キー群13、演算モードや図形描画モードなど、各種の動作モードを設定したりメニュー画面を表示させたりするためのモード設定キー群14、表示部16に表示されたカーソルCuの移動操作やデータ項目の選択操作などを行うためのカーソルキー15、表示部16の下端に沿ってメニュー表示される各種の機能を選択的に指定するためのファンクションキー[F1]〜[F4]などが備えられる。
前記数字・文字・演算記号キー群12としては、「0」〜「9」(数字)キー、「+」「−」「×」「÷」(算術記号)キー、「DEL」(削除)キー、「EXE」(実行)キー、「AC」(クリア)キーなどが配列される。
前記計算機能設定キー群13としては、「log」(対数)キー、「√」(平方根)キー、三角関数の「sin」キー、「cos」キー、「tan」キーなどが配列される。
前記モード設定キー群14としては、「Menu」(メニュー)キー、「Set up」(設定)キー、「Graph」(グラフ)キー、「Trac」(トレース)キー、「EXIT」(終了)キーなどが配列される。
前記表示部16は、ドットマトリクス型の液晶表示ユニットからなり、その表示画面には透明タブレットのタッチパネル17が重ねて設けられ、タッチスクリーン18として機能する。
図2は、前記グラフ関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図である。
このグラフ関数電卓10は、コンピュータである制御部(CPU)21を備えている。
制御部(CPU)21は、記憶装置(フラッシュROM)22に予め記憶されている電卓制御プログラム、あるいはメモリカードなどの外部記憶媒体23から記憶媒体読み取り部24を介して記憶装置22に読み込まれた電卓制御プログラム、あるいは通信ネットワークN上のWebサーバ(プログラムサーバ)30から通信制御部25を介してダウンロードされ前記記憶装置22に読み込まれた電卓制御プログラムに従い、RAM26を作業用メモリとして回路各部の動作を制御する。そして、前記記憶装置22に記憶された電卓制御プログラムは、キー入力部11からのキー入力信号やタッチスクリーン(タッチパネル17)18からのタッチ位置検出信号に応じて起動される。
記憶装置22には、電卓10の全体を統括的に制御する前記電卓制御プログラムの他、ユーザ操作に応じて各種の数式を演算処理するための演算プログラム22a、ユーザ操作に応じて各種の図形を描画するための図形描画プログラム22bなどが記憶される。
また記憶装置22には、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cが記憶される。このドラッグ操作/演算対応テーブル22cには、タッチスクリーン18に数式を表示させた状態で、ユーザにより行われるタッチ→ドラッグ→解除の一連の位置およびその軌跡からなるドラッグ操作の種々の形態と、前記数式を当該ドラッグ操作の形態に応じた数式に変換するための演算の種類とが対応付けられて記憶される。
さらに、前記ドラッグ操作/演算対応テーブル22cには、タッチスクリーン18に図形を表示させた状態で、ユーザにより行われるタッチ→ドラッグ→解除の一連の位置およびその軌跡からなるドラッグ操作の種々の形態と、前記図形を当該ドラッグ操作の形態に応じた図形に変形するための演算の種類とが対応付けられて記憶される。
前記制御部(CPU)21には、前記記憶装置22、記憶媒体読み取り部24、通信制御部25、RAM26、キー入力部11が接続される他に、液晶表示部(LCD)16およびタッチパネル17からなるタッチスクリーン18が接続される。
RAM26には、モードデータメモリ26a、表示データメモリ26b、式データメモリ26c、演算データメモリ26d、図形データメモリ26e、変形データメモリ26f、タッチ位置データメモリ26g、選択式データメモリ26hの他、各種の演算処理、描画処理に伴い制御部21に入出力される種々のデータが必要に応じて記憶される。
モードデータメモリ26aには、前記モード設定キー群14の操作に基づき設定された通常演算モード、式変換演算モード、図形変換演算モード、プログラム演算モード、グラフモードなど、現在設定中の動作モードを示すデータが記憶される。
表示データメモリ26bには、表示部16に表示させるための表示画面サイズで生成されたビットマップパターンのデータが記憶される。
式データメモリ26cには、キー入力部11やタッチスクリーン18のユーザ操作に応じて入力された数式のデータが記憶される。
演算データメモリ26dには、前記式データメモリ26cから読み出されてタッチスクリーン18に表示された数式を対象とした演算処理に伴うデータが記憶される。
図形データメモリ26eには、キー入力部11やタッチスクリーン18のユーザ操作に応じて入力された図形のデータが記憶される。
変形データメモリ26fには、前記図形データメモリ26eから読み出されてタッチスクリーン18に表示された図形を対象とする演算処理により変形された図形のデータが記憶される。
タッチ位置データメモリ26gには、前記タッチスクリーン(タッチパネル17)18に対するユーザのタッチ操作に応じて検出されたタッチ位置の座標データが記憶される。
選択式データメモリ26hには、タッチスクリーン18において表示されている数式が1つの場合には、当該数式がアクティブな式として記憶され、複数ある場合には、キー操作またはタッチ操作に応じて選択された数式がアクティブな式として記憶される。また、タッチスクリーン18において表示されている数式を構成する個々の数字,文字,記号がキー操作またはタッチ操作により選択された場合には、当該選択された個々の数字,文字,記号が記憶される。
次に、前記構成のグラフ関数電卓10の動作について説明する。
(式変換演算機能)
図3は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その1)を示すフローチャートである。
図4は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その1)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて逆数変換された数式の表示状態を示す図である。
例えばキー入力部11のユーザ操作に応じて、図4(A)に示すように、タッチスクリーン18に分数式[5/3]が表示された状態で、図4(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの2本の指F1,F2により上下の2点P1,P2がタッチされると、タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標データに基づき、その2点P1,P2がタッチされたと判断されると共に(ステップS1(YES))、同2点P1,P2が上下に位置していると判断される(ステップS2(YES))。
ここで、前記2本の指F1,F2による2点のタッチ位置P1,P2を、図4(C)の矢印R1,R2に示すように、タッチスクリーン18上でそのままひねるようにしてドラッグした後に離すと、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS3,S4)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS5(YES))、「ひねり」のドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS6(YES))。
すると、前記タッチスクリーン18上にアクティブな数式があるか否かが、選択式データメモリ26hに記憶される式データに基づき判断される(ステップS7)。
この場合、前記タッチスクリーン18上には、アクティブな分数式[5/3]があると判断されるので(ステップS7(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「上下2点のマルチタッチ+ひねり」に対応付けられた演算の種類「逆数」が読み出され、前記アクティブな分数式[5/3]を逆数に変換する演算処理が実行される(ステップS8)。
すると、図4(D)に示すように、前記逆数演算処理により逆数に変換された分数式[3/5]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS9)。
なお、前記ステップS8において、タッチスクリーン18上のアクティブな数式を「逆数」に変換する演算処理が不可能な場合には、当該タッチスクリーン18にエラーメッセージが表示される(ステップS9)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、上下2点P1,P2にマルチタッチした指F1,F2を、ひねってドラッグ操作することで、当該数式を直ちに逆数に変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図5は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その2)を示すフローチャートである。
図6は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その3)を示すフローチャートである。
図7は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その2)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて小数変換された数式の表示状態を示す図である。
図8は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その3)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて分数変換された数式の表示状態を示す図である。
例えば図7(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に分数式[1/4]が表示された状態で、図7(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの2本の指F1,F2により上下の2点P1,P2をタッチした後に(ステップS1(YES)→S2(YES))、その2点のタッチ位置P1,P2を、図7(C)の矢印I1,I2に示すように、タッチスクリーン18上で近付ける方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS3,S4)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS5(YES))、「2点の距離が近付いた」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS10(YES))。
ここで、前記タッチスクリーン18上に、アクティブな分数式[1/4]があると判断されるので(ステップS11(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「上下2点マルチタッチ+2点の距離が近付いた」に対応付けられた演算の種類「小数化」が読み出され、前記アクティブな分数式[1/4]を小数に変換する演算処理が実行される(ステップS12)。
すると、図7(D)に示すように、前記小数化演算処理により小数に変換された小数式[0.25]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS13)。
なお、前記ステップS12において、タッチスクリーン18上のアクティブな数式を「小数」に変換する演算処理が不可能な場合には、当該タッチスクリーン18にエラーメッセージが表示される(ステップS13)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、上下2点P1,P2にマルチタッチした指F1,F2を、相互の距離を近付ける内側の方向にドラッグ操作することで、当該数式を直ちに小数に変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
また、例えば図8(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に小数式[0.25]が表示された状態で、図8(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの2本の指F1,F2により上下の2点P1,P2をタッチした後に(ステップS1(YES)→S2(YES))、その2点のタッチ位置P1,P2を、図8(C)の矢印O1,O2に示すように、タッチスクリーン18上で遠ざける方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS3,S4)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS5(YES))、「2点の距離が遠ざかった」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS14(YES))。
ここで、前記タッチスクリーン18上に、アクティブな小数式[0.25]があると判断されるので(ステップS15(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「上下2点マルチタッチ+2点の距離が遠ざかった」に対応付けられた演算の種類「分数化」が読み出され、前記アクティブな小数[0.25]を分数に変換する演算処理が実行される(ステップS16)。
すると、図8(D)に示すように、前記分数化演算処理により分数に変換された分数式[1/4]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS17)。
なお、前記ステップS16において、タッチスクリーン18上のアクティブな数式を「分数」に変換する演算処理が不可能な場合には、当該タッチスクリーン18にエラーメッセージが表示される(ステップS17)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、上下2点P1,P2にマルチタッチした指F1,F2を、相互の距離を遠ざける外側の方向にドラッグ操作することで、当該数式を直ちに分数に変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
以上図5〜図8によれば、タッチ操作の形態が、上下2点にマルチタッチした指を、相互の距離を近付ける内側の方向にドラッグ操作すること、及び相互の距離を遠ざける外側の方向にドラッグ操作すること、という対になる逆の形態である場合に、分数から小数への変換及び小数から分数への変換という互いに逆の経路となる演算処理が実行されるので、より直感的な学習が可能になる。
図9は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その4)を示すフローチャートである。
図10は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その4)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて因数分解により変換された数式の表示状態を示す図である。
例えばキー入力部11のユーザ操作に応じて、図10(A)に示すように、タッチスクリーン18に二次式[x2+7x+10]が表示された状態で、図10(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの2本の指F1,F2により左右の2点P1,P2がタッチされると、タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標データに基づき、その2点P1,P2がタッチされたと判断されると共に(ステップS1(YES))、同2点P1,P2が左右に位置していると判断される(ステップS18(YES))。
ここで、前記2本の指F1,F2による2点のタッチ位置P1,P2を、図10(C)の矢印O1,O2に示すように、タッチスクリーン18上で遠ざけるようにしてドラッグした後に離すと、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS19,S20)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS21(YES))、「2点の距離が遠ざかった」のドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS22(YES))。
すると、前記タッチスクリーン18上にアクティブな数式があるか否かが、選択式データメモリ26hに記憶される式データに基づき判断される(ステップS23)。
この場合、前記タッチスクリーン18上には、アクティブな二次式[x2+7x+10]があると判断されるので(ステップS23(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「左右2点のマルチタッチ+2点の距離が遠ざかった」に対応付けられた演算の種類「因数分解(素因数分解)」が読み出され、前記アクティブな二次式[x2+7x+10]を因数分解(素因数分解)により変換する演算処理が実行される(ステップS24)。
すると、図10(D)に示すように、前記因数分解(素因数分解)の演算処理により変換された数式[(x+2)(x+5)]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS25)。
なお、前記ステップS24において、タッチスクリーン18上のアクティブな数式を「因数分解(素因数分解)」により変換する演算処理が不可能な場合には、当該タッチスクリーン18にエラーメッセージが表示される(ステップS25)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、左右2点P1,P2にマルチタッチした指F1,F2を、相互の距離を遠ざける外側の方向にドラッグ操作することで、当該数式を直ちに因数分解(素因数分解)して変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図11は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その5・その6)を示すフローチャートである。
図12は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その5)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて展開により変換された数式の表示状態を示す図である。
例えば図12(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に数式[(x+2)(x+5)]が表示された状態で、図12(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの2本の指F1,F2により左右の2点P1,P2をタッチした後に(ステップS1(YES)→S18(YES))、その2点のタッチ位置P1,P2を、図12(C)の矢印I1,I2に示すように、タッチスクリーン18上で近付ける方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS19,S20)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS21(YES))、「2点の距離が近付いた」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS26(YES))。
ここで、前記タッチスクリーン18上に、アクティブな数式[(x+2)(x+5)]があると判断されると(ステップS27(YES))、前記2点のタッチ位置P1,P2は、当該アクティブな数式[(x+2)(x+5)]の内部において検出されているか否か判断される(ステップS28)。
この場合、前記図12(B)(C)で示したように、今回の2点のタッチ位置P1,P2は、前記アクティブな数式[(x+2)(x+5)]の内部において検出されたものではないと判断されるので(ステップS28(NO))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「左右2点マルチタッチ+2点の距離が近付いた」に対応付けられた演算の種類「展開」が読み出され、前記アクティブな数式[(x+2)(x+5)]を展開により変換する演算処理が実行される(ステップS29)。
すると、図12(D)に示すように、前記展開演算処理により展開されて変換された二次式[x2+7x+10]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS31)。
なお、前記ステップS29において、タッチスクリーン18上のアクティブな数式を「展開」して変換する演算処理が不可能な場合には、当該タッチスクリーン18にエラーメッセージが表示される(ステップS31)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、左右2点P1,P2にマルチタッチした指F1,F2を、相互の距離を近付ける内側の方向にドラッグ操作することで、当該数式を直ちに展開して変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
以上図9〜図12によれば、タッチ操作の形態が、左右2点にマルチタッチした指を、相互の距離を遠ざける外側の方向にドラッグ操作すること、及び相互の距離を近付ける内側の方向にドラッグ操作すること、という対になる逆の形態である場合に、因数分解及び式の展開という互いに逆の経路となる演算処理が実行されるので、より直感的な学習が可能になる。
図13は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その6)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて展開により変換された数式の表示状態を示す図である。
例えば図13(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に数式[2+23×5×7×11]が表示された状態で、図13(B)に示すように、当該数式の中で展開したい数式部分[23×5×7]の両端の2点P1,P2を、ユーザの2本の指F1,F2によりタッチした後に(ステップS1(YES)→S18(YES))、その2点のタッチ位置P1,P2を、図13(C)の矢印I1,I2に示すように、タッチスクリーン18上で近付ける方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS19,S20)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS21(YES))、「2点の距離が近付いた」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS26(YES))。
ここで、前記タッチスクリーン18上に、アクティブな数式[2+23×5×7×11]があると判断されると(ステップS27(YES))、前記図13(B)(C)で示したように、今回の2点のタッチ位置P1,P2は、前記アクティブな数式[2+23×5×7×11]の内部において検出されたと判断される(ステップS28(YES))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「左右2点マルチタッチ+2点の距離が近付いた」に対応付けられた演算の種類「展開」が読み出され、前記2点のタッチ位置P1,P2を両端とする数式部分[23×5×7]を展開により変換する演算処理が実行される(ステップS30)。
すると、図13(D)に示すように、前記展開演算処理により展開されて変換された数式[2+280×11]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS31)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、当該数式の中で展開したい範囲の数式部分の両端の2点P1,P2をマルチタッチすると共に、相互の距離を近付ける内側の方向にドラッグ操作することで、当該数式部分を直ちに展開して変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図14は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その7)を示すフローチャートである。
図15は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その7)に伴うシングルタッチの操作状態およびその操作形態に応じて逆数変換された数式の表示状態を示す図である。
例えばキー入力部11のユーザ操作に応じて、図15(A)に示すように、タッチスクリーン18に数式[2]が表示された状態で、図15(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの指Fにより1点Pがタッチされると、タッチ位置データメモリ26gに記憶されるタッチ位置の座標データに基づき、その1点Pがタッチされたと判断される(ステップS32(YES))。
ここで、前記指Fによる1点のタッチ位置Pを、図15(C)の矢印Rに示すように、タッチスクリーン18上で円を書くようにドラッグした後に離すと、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶されるタッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS33,S34)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS35(YES))、「1点の円」のドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS36(YES))。
すると、前記タッチスクリーン18上にアクティブな数式があるか否かが、選択式データメモリ26hに記憶される式データに基づき判断される(ステップS37)。
この場合、前記タッチスクリーン18上には、アクティブな式[2]があると判断されるので(ステップS37(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「シングルタッチ+円」に対応付けられた演算の種類「逆数」が読み出され、前記アクティブな式[2]を逆数に変換する演算処理が実行される(ステップS38)。
すると、図15(D)に示すように、前記逆数演算処理により変換された分数式[1/2]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS39)。
なお、前記ステップS38において、タッチスクリーン18上のアクティブな数式を「逆数」に変換する演算処理が不可能な場合には、当該タッチスクリーン18にエラーメッセージが表示される(ステップS39)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、1点Pにシングルタッチした指Fを、円を書くようにドラッグ操作することで、当該数式を直ちに逆数に変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図16は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その8)を示すフローチャートである。
図17は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その9)を示すフローチャートである。
図18は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その8)に伴うシングルタッチの操作状態およびその操作形態に応じて因数分解(素因数分解)により変換された数式の表示状態を示す図である。
図19は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その9)に伴うシングルタッチの操作状態およびその操作形態に応じて展開により変換された数式の表示状態を示す図である。
例えば図18(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に数式[280]が表示された状態で、図18(B)に示すように、当該数式[280]の中で因数分解(素因数分解)したい始点[2]をタッチしてカーソルCuを表示させる。
そして、図18(C)に示すように、前記タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの指Fにより1点Pをタッチした後に(ステップS32(YES))、その1点のタッチ位置Pを、矢印Oに示すように、前記カーソルCuによる選択表示位置(数式中の始点[2])から当該数式に沿った反対の方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶されるタッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS33,S34)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS35(YES))、今回のドラッグ操作が左右方向に為されたと判断されると共に(ステップS40(YES))、前記カーソルCuによって前記数式[280]中の始点[2]が選択されていると判断される(ステップS41(YES))。
そして、前記カーソルCuの表示された「選択点から遠ざかった」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS42(YES))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「選択点+シングルタッチ遠ざかる」に対応付けられた演算の種類「因数分解(素因数分解)」が読み出され、前記選択された始点[2]を一端とする式[280]を因数分解(素因数分解)して変換する演算処理が実行される(ステップS43)。
すると、図18(D)に示すように、前記因数分解(素因数分解)の演算処理により変換された数式[23×5×7]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS44)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、当該数式中の所望の始点を選択した後に、新たにシングルタッチした指Fを、前記選択した始点から遠ざける方向にドラッグ操作することで、当該数式中の選択した始点以降を直ちに因数分解(素因数分解)して変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
また、例えば図19(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に数式[(x+2)(x+5)]が表示された状態で、図19(B)に示すように、当該数式[(x+2)(x+5)]の中で展開したい始点[(]をタッチしてカーソルCuを表示させる。
そして、図19(C)に示すように、前記タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの指Fにより1点Pをタッチした後に(ステップS32(YES))、その1点のタッチ位置Pを、矢印Iに示すように、前記カーソルCuによる選択表示位置(数式中の始点[(])の方向へ、当該数式に沿いドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶されるタッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS33,S34)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS35(YES))、今回のドラッグ操作が左右方向に為されたと判断されると共に(ステップS40(YES))、前記カーソルCuによって前記数式[(x+2)(x+5)]中の始点[(]が選択されていると判断される(ステップS41(YES))。
そして、前記カーソルCuの表示された「選択点に近付いた」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS45(YES))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「選択点+シングルタッチ近付いた」に対応付けられた演算の種類「展開」が読み出され、前記選択された始点[(]を一端とする式[(x+2)(x+5)]を展開して変換する演算処理が実行される(ステップS46)。
すると、図19(D)に示すように、前記展開の演算処理により変換された数式[x2+7x+10]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS47)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、当該数式中の所望の始点を選択した後に、新たにシングルタッチした指Fを、前記選択した始点の方向へ近付けるドラッグ操作することで、当該数式中の選択した始点を一端とする式を直ちに展開して変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図20は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その10)を示すフローチャートである。
図21は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した式変換演算処理(その11)を示すフローチャートである。
図22は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その10)に伴うシングルタッチの操作状態およびその操作形態に応じて小数変換された数式の表示状態を示す図である。
図23は、前記グラフ関数電卓10の式変換演算処理(その11)に伴うシングルタッチの操作状態およびその操作形態に応じて分数変換された数式の表示状態を示す図である。
例えば図22(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に分数式[1/4]が表示された状態で、図22(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの指Fにより1点Pをタッチした後に(ステップS32(YES))、そのタッチ位置Pを、矢印Dに示すように、タッチスクリーン18上で下の方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶されるタッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS33,S34)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS35(YES))、「下方向」のドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS48(YES))。
ここで、前記タッチスクリーン18上に、アクティブな分数式[1/4]があると判断されるので(ステップS49(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「シングルタッチ+下方向」に対応付けられた演算の種類「小数化」が読み出され、前記アクティブな分数式[1/4]を小数に変換する演算処理が実行される(ステップS50)。
すると、図22(C)に示すように、前記小数化演算処理により小数に変換された小数式[0.25]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS51)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、1点Pにシングルタッチした指Fを、下方向にドラッグ操作することで、当該数式を直ちに小数に変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
また、例えば図23(A)に示すように、キー入力部11のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン18に小数式[0.25]が表示された状態で、図23(B)に示すように、当該タッチスクリーン18上の何れかの領域で、ユーザの指Fにより1点Pをタッチした後に(ステップS32(YES))、そのタッチ位置Pを、矢印Uに示すように、タッチスクリーン18上で上の方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶されるタッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップS33,S34)、タッチ操作の解除が判断され(ステップS35(YES))、「上方向」のドラッグ操作が為されたと判断される(ステップS52(YES))。
ここで、前記タッチスクリーン18上に、アクティブな小数式[0.25]があると判断されるので(ステップS53(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「シングルタッチ+上方向」に対応付けられた演算の種類「分数化」が読み出され、前記アクティブな小数[0.25]を分数に変換する演算処理が実行される(ステップS54)。
すると、図23(C)に示すように、前記分数化演算処理により分数に変換された分数式[1/4]が、タッチスクリーン18に表示される(ステップS55)。
これにより、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18上において、1点Pにシングルタッチした指Fを、上方向にドラッグ操作することで、当該数式を直ちに分数に変換した数式として表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10による式変換演算機能によれば、任意の数式を表示させたタッチスクリーン18において、ユーザ操作によりマルチタッチ又はシングルタッチすると共に、そのタッチ位置を、当該数式の変換の内容に応じた直感的な形態でドラッグ操作する。すると、前記ユーザ操作によるタッチ位置とその軌跡からなるドラッグ操作の形態が判断され、当該ドラッグ操作の形態に応じて、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cにて予め設定された演算の種類が読み出される。そして、前記表示されている数式が、前記ドラッグ操作の形態に応じた演算処理により変換され、同タッチスクリーン18に表示される。
このため、メニューから項目を選択したり、コマンドを入力したりするなど、複雑な操作を覚える必要なく、表示されている数式を、ユーザの直感的な操作に応じた数式に変換して表示させることができ、低学年の学生に対しても効果的な学習が可能になる。
(図形変形演算機能)
図24は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した図形変形演算処理(その1)を示すフローチャートである。
図25は、前記グラフ関数電卓10の図形変形演算処理(その1)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて分割変形された図形の表示状態を示す図である。
例えばキー入力部11やタッチスクリーン18のユーザ操作に応じて、図形描画プログラム22bが起動され、図25(A)に示すように、タッチスクリーン18に円Z1と二等辺三角形Z2の図形が表示された状態で、図25(B)に示すように、円図形Z1の内側の領域で、ユーザにより2点P1,P2がタッチされると、タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標データに基づき、その2点P1,P2がタッチされたと判断されると共に(ステップT1(YES))、同2点P1,P2が円図形Z1の内側に位置していると判断される(ステップT2(YES))。
ここで、前記ユーザによる2点のタッチ位置P1,P2を、矢印O1,O2に示すように、円図形Z1内で相互に遠ざける方向にドラッグした後に離すと、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップT3,T4)、タッチ操作の解除が判断され(ステップT5(YES))、「2点の距離が遠ざかる」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップT6(YES))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「同一図形内マルチタッチ+2点の距離が遠ざかる」に対応付けられた描画演算の種類「分割」が読み出され、前記2点のタッチ位置P1,P2を内側に含む円図形Z1を対象に、当該ドラッグ操作に応じた方向に半分に分割して変形する演算処理が実行される(ステップT7)。
すると、図25(C)に示すように、前記円図形Z1を分割する演算処理により変形された半円図形Z1a,Z1bが、タッチスクリーン18に表示される(ステップT8)。
なお、前記ステップT7において、タッチスクリーン18上のドラッグ操作により対象とした図形を「分割」する演算処理が不可能な場合には、当該タッチスクリーン18にエラーメッセージが表示される(ステップS9)。
これにより、任意の図形を表示させたタッチスクリーン18上において、変形の対象としたい図形Znの内側の2点をマルチタッチすると共に、当該2点のタッチ位置P1,P2を遠ざかる方向にドラッグ操作することで、前記変形対象の図形を直ちに2分割した図形に変形して表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
一方、前記図25(C)で示したように、2分割した半円図形Z1a,Z1bが表示された状態で、各半円図形Z1a,Z1bそれぞれの内側をタッチすると共に、その2点のタッチ位置間の距離を近付ける方向にドラッグ操作して離す(ステップT1〜T5(YES))。
すると、マルチタッチされた2点の距離が近付いたと判断されることで(ステップT9(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「各図形に対するマルチタッチ+各点の距離が近付く」に対応付けられた描画演算の種類「結合」が読み出され、前記半円図形Z1a,Z1bを結合する演算処理が実行される(ステップT10)。
すると、前記半円図形Z1a,Z1bを結合してなる元の円図形Z1が、タッチスクリーン18に表示される(ステップT8)。
これにより、任意の図形を表示させたタッチスクリーン18上において、変形の対象としたい複数の図形Zn…それぞれの内側をマルチタッチすると共に、当該各タッチ位置Pn…を近付ける方向にドラッグ操作することで、前記変形対象の各図形を直ちに結合した1つの図形に変形して表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図26は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した図形変形演算処理(その2)を示すフローチャートである。
図27は、前記グラフ関数電卓10の図形変形演算処理(その2)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じて二等分変形された図形の表示状態を示す図である。
ユーザ操作に応じて図形描画プログラム22bが起動され、例えば図27(A)に示すように、タッチスクリーン18に三角形Zが表示された状態で、図27(B)に示すように、当該三角形Zの任意の一辺h1上の2点P1,P2がタッチされると、タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標データに基づき、その2点P1,P2がタッチされたと判断されると共に(ステップT1(YES))、同2点P1,P2が何れも三角形Zの一辺h1上に位置していると判断される(ステップT11(YES))。
ここで、前記ユーザによる2点のタッチ位置P1,P2を、図27(C)の矢印O1,O2で示すように、同一辺h1上で相互に遠ざける方向にドラッグした後に離すと、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識された後(ステップT12,T13)、タッチ操作の解除が判断され(ステップT14(YES))、「2点の距離が遠ざかる」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップT15(YES))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「一辺上マルチタッチ+2点の距離が遠ざかる」に対応付けられた描画演算の種類「面積二等分」が読み出され、これに応じて、前記2点のタッチ位置P1,P2が有る辺h1の中点C、および当該中点Cを通って三角形Zを二等分する線Qを求める演算処理が実行される(ステップT16)。
すると、図27(D)に示すように、前記「面積二等分」の演算処理により求められた、前記三角形Zの一辺h1の中点Cおよび当該中点Cを通る二等分線Qが、等分記号K1,K2と共に、タッチスクリーン18に表示される(ステップT17)。
これにより、任意の図形を表示させたタッチスクリーン18上において、変形の対象としたい図形Znの一辺hn上の2点をマルチタッチすると共に、当該2点のタッチ位置P1,P2をその辺hnに沿って遠ざかる方向にドラッグ操作することで、前記変形対象の図形を直ちに面積2等分した二等分線Qを有する図形に変形して表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
一方、前記図27(D)で示したように、2等分線Qを有する三角形Zが表示された状態で、当該二等分線Qが通る中点Cの有る一辺h1上で、その中点Cを挟んだ2点をタッチすると共に、その2点のタッチ位置間の距離を近付ける方向にドラッグ操作して離す(ステップT1〜T5(YES))。
すると、マルチタッチされた2点の距離が近付いたと判断されることで(ステップT18(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「一辺上マルチタッチ+2点の距離が近付く」に対応付けられた描画演算の種類「二等分線消去」が読み出され、前記二等分線Qを消去する演算処理が実行される(ステップT19)。
すると、前記二等分線Qと共に、中点Cおよび等分記号K1,K2を消去してなる元の三角形Zが、タッチスクリーン18に表示される(ステップT17)。
これにより、二等分線Qを有する任意の図形を表示させたタッチスクリーン18上において、当該二等分線Qの通る一辺hnの中点Cを挟んだ2点をマルチタッチすると共に、当該各タッチ位置を近付ける方向にドラッグ操作することで、前記二等分線Qを解消した元の図形を直ちに表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図28は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した図形変形演算処理(その3)を示すフローチャートである。
図29は、前記グラフ関数電卓10の図形変形演算処理(その3)に伴うマルチタッチの操作状態およびその操作形態に応じた角度変更により変形された図形の表示状態を示す図である。
ユーザ操作に応じて図形描画プログラム22bが起動され、例えば図29(A)に示すように、タッチスクリーン18に三角形Zが表示された状態で、図29(B)に示すように、当該三角形Zの任意の頂点Aを挟む各辺h1,h2上の2点P1,P2がタッチされると、タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標データに基づき、その2点P1,P2がタッチされたと判断されると共に(ステップT1(YES))、同2点P1,P2が頂点Aを挟む各辺h1,h2上に位置していると判断される(ステップT20(YES))。
ここで、前記ユーザによる2点のタッチ位置P1,P2を、図29(C)の矢印I1,I2に示すように、相互に近付ける方向にドラッグすると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、当該ドラッグ動作が認識され(ステップT21,T22)、「2点の距離が近付く」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップT23(NO))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「頂点を挟む各辺マルチタッチ+2点の距離が近付く」に対応付けられた描画演算の種類「頂角縮小」が読み出され、これに応じて、前記頂点Aの角度rを縮小して変形した三角形を求める演算処理が実行される(ステップT24)。
すると、図29(D)に示すように、前記「頂角縮小」の演算処理により求められた、前記頂角rを縮小して変形した三角形Zaが、タッチスクリーン18に表示される(ステップT25)。
この後、前記図29(D)で示したように、頂角rを縮小した三角形Zaの頂点Aを挟む各辺h1,h2上の2点P1,P2のタッチ操作を維持したまま(ステップT26(NO))、当該2点のタッチ位置P1,P2を、前述とは逆に、相互に遠ざける方向にドラッグすると、「2点の距離が遠ざかる」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップT23(YES))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「頂点を挟む各辺マルチタッチ+2点の距離が遠ざかる」に対応付けられた描画演算の種類「頂角拡大」が読み出され、これに応じて、前記頂点Aの角度rを拡大して変形した三角形を求める演算処理が実行される(ステップT27)。
すると、前記図29(C)で示したように、前記「頂角拡大」の演算処理により求められた、前記頂角rを拡大して変形した元の三角形Zが、タッチスクリーン18に表示される(ステップT25)。
これにより、任意の図形を表示させたタッチスクリーン18上において、変形の対象としたい図形Zの任意の頂点Aを挟んだ各辺h1,h2上の2点P1,P2をマルチタッチすると共に、当該2点のタッチ位置P1,P2を相互に近付けたり遠ざけたりする方向にドラッグ操作することで、前記頂点Aの角度rを縮小したり拡大したりした図形に変形して表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図30は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した図形変形演算処理(その4)を示すフローチャートである。
図31は、前記グラフ関数電卓10の図形変形演算処理(その4)に伴うシングルタッチの操作状態およびその操作形態に応じた角度変更により変形された図形の表示状態を示す図である。
ユーザ操作に応じて図形描画プログラム22bが起動され、例えば図31(A)に示すように、タッチスクリーン18に三角形Zが表示された状態で、当該三角形Zの任意の一辺h1上の1点をタッチし、図31(B)に示すように、タッチされた辺h1を太線Bとして識別表示させる(ステップT28)。
この後、図31(C)に示すように、前記三角形Zの頂点Aを挟んだ他の辺h2上の1点Pをタッチすると共に、そのタッチ位置Pを、矢印Oに示すように、前記最初のタッチ操作により太線Bとして表示させた辺h1から遠ざける方向にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶される各タッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、そのドラッグ動作が認識された後(ステップT29,T30)、タッチ操作の解除が判断される(ステップT31(YES))。
そして、前記最初のタッチ位置とその後のタッチ位置Pとの2点が、1つの頂点Aを挟む各辺h1,h2上に存在すると判断されると共に(ステップT32(YES))、「2点の距離が遠ざかる」ドラッグ操作が為されたと判断される(ステップT33(YES))。
すると、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「頂点を挟む各辺上2点の距離が遠ざかる」に対応付けられた描画演算の種類「頂角拡大」が読み出され、これに応じて、前記頂点Aの角度rを拡大して変形した三角形を求める演算処理が実行される(ステップT34)。
すると、図31(D)に示すように、前記「頂角拡大」の演算処理により求められた、前記頂角rを拡大して変形した三角形Zaが、タッチスクリーン18に表示される(ステップT35)。
一方、前記最初のタッチ位置とその後のタッチ位置Pとの2点が、1つの頂点Aを挟む各辺h1,h2上に存在すると判断されると共に(ステップT32(YES))、「2点の距離が近付く」ドラッグ操作が為されたと判断された場合には(ステップT33(NO))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「頂点を挟む各辺上2点の距離が近付く」に対応付けられた描画演算の種類「頂角縮小」が読み出され、これに応じて、前記頂点Aの角度rを縮小して変形した三角形を求める演算処理が実行される(ステップT36)。
すると、前記「頂角縮小」の演算処理により求められた、前記頂角rを縮小して変形した三角形Zが、タッチスクリーン18に表示される(ステップT35)。
これにより、任意の図形を表示させたタッチスクリーン18上において、変形の対象としたい図形Zの任意の頂点Aを挟んだ各辺h1,h2上の点を、順番に1点ずつシングルタッチすると共に、その2点目のタッチ位置Pを、1点目のタッチ位置に対し遠ざけたり近付けたりする方向にドラッグ操作することで、前記頂点Aの角度rを拡大したり縮小したりした図形に変形して表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
図32は、前記グラフ関数電卓10におけるタッチスクリーン18を利用した図形変形演算処理(その5)を示すフローチャートである。
図33は、前記グラフ関数電卓10の図形変形演算処理(その5)に伴うシングルタッチの操作状態およびその操作形態に応じて二等分変形された図形の表示状態を示す図である。
ユーザ操作に応じて図形描画プログラム22bが起動され、例えば図33(A)に示すように、タッチスクリーン18に三角形Zが表示された状態で、当該三角形Zの任意の一辺h3上の1点をタッチし、図33(B)に示すように、タッチされた辺h3を太線Bとして識別表示させる(ステップT28)。
この後、図33(C)に示すように、前記最初のタッチ操作により太線Bとして選択表示させた辺h3の近傍の1点Pをタッチすると共に、そのタッチ位置Pを、矢印Wに示すように、前記辺h3と平行にドラッグした後に離す。
すると、前記タッチ位置データメモリ26gに記憶されるタッチ位置の座標およびその軌跡のデータに基づき、そのドラッグ動作が認識された後(ステップT29,T30)、タッチ操作の解除が判断される(ステップT31(YES))。
ここで、前記最初のタッチ操作により選択表示された辺h3に対して、その後のタッチ位置Pが平行にドラッグ操作されたと判断されることで(ステップT37(YES))、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cから前記ドラッグ操作の形態「選択辺と平行ドラッグ」に対応付けられた描画演算の種類「面積二等分」が読み出され、これに応じて、前記選択辺h3の中点C、および当該中点Cを通って三角形Zを二等分する線Qを求める演算処理が実行される(ステップT38)。
すると、図33(D)に示すように、前記「面積二等分」の演算処理により求められた、前記三角形Zの一辺h3の中点Cおよび当該中点Cを通る二等分線Qが、等分記号K1,K2と共に、タッチスクリーン18に表示される(ステップT39)。
これにより、任意の図形を表示させたタッチスクリーン18上において、変形の対象としたい図形Znの一辺hnを予めシングルタッチして選択した後に、その選択辺hnの近傍の他のタッチ位置Pを、当該選択辺hnと平行にドラッグ操作することで、前記変形対象の図形を直ちに面積2等分した二等分線Qを有する図形に変形して表示させることができ、直感的な学習が可能になる。
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10による図形変形演算機能によれば、任意の図形を表示させたタッチスクリーン18において、ユーザ操作により変形対象の図形の内側や各辺上あるいは辺近くをマルチタッチ又は順次シングルタッチすると共に、そのタッチ位置を、当該図形の変形の内容に応じた直感的な形態でドラッグ操作する。すると、前記ユーザ操作によるタッチ位置とその軌跡からなるドラッグ操作の形態が判断され、当該ドラッグ操作の形態に応じて、ドラッグ操作/演算対応テーブル22cにて予め設定された図形変形のための描画演算の種類が読み出される。そして、前記表示されている図形が、前記ドラッグ操作の形態に応じた描画演算処理により変形され、同タッチスクリーン18に表示される。
このため、メニューから項目を選択したり、コマンドを入力したりするなど、複雑な操作を覚える必要なく、表示されている図形を、ユーザの直感的な操作に応じた図形に変形して表示させることができ、低学年の学生に対しても効果的な学習が可能になる。
なお、前記各実施形態において記載したグラフ関数電卓(電子式計算機)10による各動作手法、すなわち、図3〜図23のフローチャートおよび数式表示動作で示す式変換演算処理(その1〜その11)、図24〜図33のフローチャートおよび図形表示動作で示す図形変形演算処理(その1〜その5)などの各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶媒体(23)に格納して配布することができる。そして、タッチスクリーン(18)を備えたグラフ関数電卓(電子式計算機)10のコンピュータ(21)は、この外部記憶媒体(23)に記憶されたプログラムを記憶装置(22)(26)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記実施形態において説明したユーザの直感的なタッチ&ドラッグ操作に応じた数式変換表示機能および図形変形表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)N上を伝送させることができ、この通信ネットワークNに接続された通信装置(25)によって、前記プログラムデータを、タッチスクリーン(18)を備えたグラフ関数電卓(電子式計算機)10のコンピュータ(11)に取り込み、前述した数式変換表示機能および図形変形表示機能を実現することもできる。
さらに、前記プログラムデータを、タッチスクリーンを備えたパーソナルコンピュータに取り込み、前述した数式変換表示機能および図形変形表示機能を実現することもできる。
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。