JP5742763B2 - 熱延鋼板の製造方法および熱延鋼板の製造装置 - Google Patents
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Description
ここで、仕上圧延機においては、熱延鋼板の板厚を精度良く調整するために、ロールギャップの設定が重要となる。
また、特許文献2には、圧延スタンド間の板厚計により測定した板厚と実績ゲージメータ板厚との誤差、及び、実測板厚からマスフローにより算出した実績先進率とモデル式から計算した先進率との誤差から、次材圧延時の圧下及び周速を補正する技術が開示されている。
これら特許文献1,2に記載された発明においては、過去の圧延実績を元にして、次材の圧延時のロールギャップ等の圧延条件を調整することにより、熱延鋼板の最先端部の板厚が目標値となるように制御しているのである。
ここで、特許文献1,2に記載されたように、過去の最先端部の圧延実績のみを元にして、次材の圧延時のロールギャップを調整し、最先端部のみの板厚が目標値となるように制御した場合には、図7に示すように、先端部の熱延鋼板の板厚変動により大きい公差外れが発生する可能性があった。このため、板厚が公差から外れて除去すべき板厚外れ長さL(熱延鋼板の先端からの長さL)が長くなり、製品歩留まりが大きく低下してしまう。
図1に示す熱延鋼板の製造装置10は、スラブ1を加熱する加熱炉11と、加熱されたスラブ1を粗圧延して粗圧延材3とする粗圧延機13と、粗圧延材3を再加熱する誘導加熱装置15と、粗圧延材3を圧延して所定厚さの熱延鋼板5を製出する仕上圧延機20と、仕上圧延後の熱延鋼板5を冷却する冷却スタンド17と、冷却された熱延鋼板5を巻き取るコイラー30と、を備えている。
この仕上圧延機20には、ロールギャップの調整を行う制御部22が備えられている。本実施形態においては、制御部22は、最終圧延スタンド21gのロールギャップを調整する構成とされている。
さらに、本実施形態では、最終圧延スタンド21gの上流側、図2では、第4圧延スタンド21dと、第5圧延スタンド21eと、の間に、最終圧延スタンド21gでの圧延前の熱延鋼板の板厚を測定する入側板厚計28が配設されている。
まず、スラブ1が、加熱炉11に装入されて入口側から出口側に向けて搬送されるとともに加熱される(加熱工程S01)。
加熱されたスラブ1が粗圧延機13に装入される。粗圧延機13によって粗圧延がなされ、粗圧延材3が製出される(粗圧延工程S02)。
次に、粗圧延材3が誘導加熱装置15に装入され、再加熱される。(再加熱工程S03)。
そして、誘導加熱装置15を通過した粗圧延材3が仕上圧延機20に装入される。仕上圧延機20によって仕上圧延がなされ、所定厚さの熱延鋼板5が製出される(仕上圧延工程S04)。
仕上圧延機20から製出された熱延鋼板5は、冷却スタンド17において冷却され(冷却工程S05)、冷却された熱延鋼板5がコイラー30に巻き取られる(巻き取り工程S06)。
まず、出側板厚計29によって、最終圧延スタンド21gの出側において熱延鋼板5の先端部板厚を測定し、鋼種及び板厚区分別に、熱延鋼板5の先端部板厚チャートを記憶部25に予め記録しておく(先端部板厚チャート記録工程S11)。なお、この先端部板厚チャート記録工程S11においては、熱延鋼板5の先端から板厚制御が開始するまでの範囲内の板厚チャートを記録することが好ましい。熱延鋼板5の先端から板厚制御が開始するまでは、圧延状況が安定しておらず、大きな板厚変動が発生するおそれがある。一方、熱延鋼板5の先端から板厚制御が開始となると、圧延状況が安定することから、その後の板厚変動が小さいため記録する必要はない。
また、板厚差算出部23によって、圧延前の熱延鋼板5の先端部板厚と目標の板厚との板厚差を算出する(目標板厚差算出工程S14)。
さらに、板厚偏差予測部24によって、算出された板厚差から最終圧延スタンド21gの出側での板厚偏差を予測する(出側板厚偏差予測工程S15)。
これにより、熱延鋼板5の先端からの板厚外れ長さLが確実に短くなり、熱延鋼板5の製造歩留まりの向上を図ることが可能となる。
例えば、本実施形態では、仕上圧延機が7つの圧延スタンドを有するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の構成の仕上圧延機であってもよい。
また、本実施形態では、最終圧延スタンド21gのロールギャップ量を調整するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の圧延スタンドに適用してもよい。
3 粗圧延材
5 熱延鋼板
10 熱延鋼板の製造装置
11 加熱炉
13 粗圧延機
15 誘導加熱装置
17 冷却スタンド
20 仕上圧延機
21g 最終圧延スタンド(圧延機)
22 制御部
23 板厚差算出部
24 板厚偏差予測部
25 記憶部
26 ロールギャップ量設定部
28 入側板厚計
29 出側板厚計
30 コイラー
Claims (4)
- 仕上圧延機の出側において熱延鋼板の先端部板厚を測定し、鋼種及び板厚区分別に前記熱延鋼板の先端部板厚チャートを予め記録しておく工程と、
熱延鋼板の仕上圧延を実施する際に、予め記録された当該熱延鋼板と同鋼種及び同板厚区分の先端部板厚チャートを読み出す工程と、
読み出した先端部板厚チャートと当該熱延鋼板の板厚公差とを考慮して前記熱延鋼板の先端からの板厚外れ長さが短くなるように前記圧延機のロールギャップ調整を行う工程と、
を備えており、
前記圧延機のロールギャップ調整を行う工程においては、前記熱延鋼板の板厚の最大値と先端からの長さ位置、前記熱延鋼板の板厚の最小値と先端からの長さ位置から、先端からの長さ位置が大きい側の板厚が公差の範囲内となるように板厚の目標値を偏差させて、前記圧延機のロールギャップ調整を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 - 前記圧延機の入側で、圧延前の熱延鋼板の先端部板厚を測定する工程と、
圧延前の熱延鋼板の先端部板厚と目標の板厚との板厚差を算出する工程と、
算出された前記板厚差から前記圧延機の出側での板厚偏差を予測する工程と、
前記熱延鋼板の先端が前記圧延機に噛みこむ前に、前記圧延機出側の板厚偏差の予測値と予め記録された当該熱延鋼板と同鋼種及び同板厚区分の先端部板厚チャートと当該熱延鋼板の板厚公差とを考慮して前記熱延鋼板の先端からの板厚外れ長さが短くなるように前記圧延機のロールギャップ調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。 - 圧延機と、圧延機の出側に設けられた出側板厚計と、を有し、
前記圧延機には、ロールギャップを調整する制御部が備えられており、
前記制御部は、前記出側板厚計によって測定された熱延鋼板の先端部板厚チャートを鋼種及び板厚区分別に記録しておく記憶部と、この記憶部に予め記録された当該熱延鋼板と同鋼種及び同板厚区分の先端部板厚チャートと当該熱延鋼板の板厚公差とを考慮して前記熱延鋼板の先端からの板厚外れ長さが短くなるように前記圧延機のロールギャップ調整量を決定するロールギャップ量設定部と、を備えており、
前記ロールギャップ量設定部は、前記熱延鋼板の板厚の最大値と先端からの長さ位置、前記熱延鋼板の板厚の最小値と先端からの長さ位置から、先端からの長さ位置が大きい側の板厚が公差の範囲内となるように板厚の目標値を偏差させて、前記圧延機のロールギャップ調整を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造装置。 - 前記圧延機の入側に設けられた入側板厚計を有し、
前記制御部は、前記入側板厚計によって測定された圧延前の熱延鋼板の先端部板厚と目標の板厚との差を算出する板厚差算出部と、算出された前記板厚差から前記圧延機の出側での板厚偏差を予測する板厚偏差予測部と、を備えており、
前記ロールギャップ量設定部では、前記圧延機出側の板厚偏差の予測値と当該熱延鋼板と同鋼種及び同板厚区分の先端部板厚チャートと当該熱延鋼板の板厚公差とを考慮して前記熱延鋼板の先端からの板厚外れ長さが短くなるように前記圧延機のロールギャップ調整量を設定することを特徴とする請求項3に記載の熱延鋼板の製造装置。
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