JP5741790B2 - 永久磁石同期電動機の駆動装置 - Google Patents
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Description
まず、図3における主回路は、直流電源11と、直流母線12と、直流電源電圧を所定の大きさ及び周波数の交流電圧に変換するインバータ20と、回転子位置や相電流の検出器を持たない永久磁石同期電動機30と、から構成されている。
ところで、電動機30の負荷の急変等により、インバータ20から電動機30に印加する電圧の位相と回転子位置の位相とのずれが過大になると、いわゆる脱調状態になって電動機30を制御できなくなり、電動機30が組み込まれている装置の運転に支障をきたす。この場合、電動機30の回転子位置を位置検出器によって検出できれば、脱調を容易に検出することができるが、図3に示したように電動機30が回転子の位置検出器を持たない場合には、脱調を検出することが困難である。
まず、図3において、電動機30によりファン、ポンプ等の負荷を駆動した場合、正常運転時には、直流母線12に脈動成分のない直流電流が流れる。
一方、脱調が生じると、インバータ20の出力電圧と電動機30の誘起電圧とが非同期となり、互いに異なる周波数の電圧が電動機30のインピーダンスを介して接続されるため、これが擾乱となって電動機30の相電流が乱れ、インバータ20の母線電流に振動成分となって現れる。
電動機30の負荷として、例えば、レシプロコンプレッサが接続されている場合を考える。レシプロコンプレッサは、シリンダー内をピストンが往復運動することによって気体の吸気及び圧縮排気を行うものであり、気体の圧縮時と吸気時とで、コンプレッサを駆動するのに必要なトルクが異なる。この場合、電動機30の1回転におけるコンプレッサを駆動するためのトルクが変動するので、瞬時電力も変動することとなり、電流検出器42により検出した母線電流Idc0をフィルタ51にて処理した電流Idfには、脱調状態でなくとも振動成分が現れる。また、この振動成分の振幅は、レシプロコンプレッサの負荷条件(気体の圧力条件)によって変動する。
従って、図4に示した従来技術では、電動機30の負荷によっては脱調を誤検出してしまうことがあり、電動機30の脱調を正確に検出することが困難であった。
また、請求項2に係る発明は、永久磁石同期電動機をインバータにより駆動するための駆動装置であって、前記インバータの直流母線を流れる直流電流に基づいて前記電動機の脱調を検出するようにした永久磁石同期電動機の駆動装置において、前記直流電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段の出力の平均値から前記インバータの出力電流の有効電流を求める有効電流演算手段と、前記有効電流の振動成分を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出した振動成分の振幅を演算する演算手段と、当該演算手段により演算した振動成分の振幅が所定の基準値よりも小さくなったときに前記電動機が脱調状態にあることを検出する脱調検出手段と、を備えたものである。
図1は、本発明の第1実施形態を示す構成図であり、図4と同一の構成要素には同一の番号を付して説明を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
以下、上記構成により、同期電動機30の脱調を検出できる理由について説明する。
つまり、この実施形態は、電動機30が脱調して回転子が停止している状況では、脱調せずに正常に運転されている状況と比べてインバータ20の母線電流Idc0の様子が異なることを利用しており、脱調状態では振動成分振幅演算器54の出力が基準値よりも小さくなるため、脱調検出手段52Aによって脱調を検出することが可能である。
この第2実施形態は、振動成分振幅演算器54によって演算する対象となる電流が第1実施形態と異なっている。すなわち、図1の第1実施形態では、母線電流Idc0をフィルタ51により処理した電流Idfの振幅から脱調を検出していたのに対し、図2の第2実施形態では、母線電流Idc0の平均値Idcから求めたインバータ出力電流の有効電流Iδの振動成分ΔIδに基づいて脱調を検出するようにした。
インバータ20の直流電圧をEdcとすると、インバータ20の出力電力Winvは、母線電流Idc0からインバータ20のスイッチングに伴う高周波成分を除去した平均値Idcを用いて、数式1により表すことができる。
[数式1]
Winv=Edc×Idc
[数式2]
Wm=3×(V/√2)×Irms×cosφ
[数式3]
Iδ=Irms×cosφ
[数式4]
Winv=Wm
[数式5]
Edc・Idc=3・V/√2・Iδ
[数式6]
Iδ=√2・Edc・Idc/(3・V)
こうして有効電流Iδが求められたら、ハイパスフィルタ45にて有効電流Iδの振動成分ΔIδを抽出し、その振幅を振動成分振幅演算器54にて求め、後は、第1実施形態と同様にして脱調を検出する。
一方、この第2実施形態では、有効電流Iδに含まれる振動成分ΔIδの振幅から脱調を検出しているので、第1実施形態において生じる問題を回避することができる。
なお、振動成分の振幅は状況に応じて変化するから、得られた振幅を電気角2周期毎に更新すればよい。
12:直流母線
20:インバータ
30:永久磁石同期電動機
41:周波数指令部
42:電流検出器
43:ローパスフィルタ
44:有効電流演算器
45:ハイパスフィルタ
46:比例演算器
47:減算器
48:f/V変換器
49:積分器
51:フィルタ
52A:脱調検出手段
53:上位制御器
54:振動成分振幅演算器
Claims (2)
- 永久磁石同期電動機をインバータにより駆動するための駆動装置であって、前記インバータの直流母線を流れる直流電流に基づいて前記電動機の脱調を検出するようにした永久磁石同期電動機の駆動装置において、
前記直流電流を検出する電流検出手段と、
前記電動機が脱調して回転子が停止している状態で前記電流検出手段の出力から振動成分を含まない直流電流を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出した直流電流の振幅を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算した直流電流の振幅が所定の基準値よりも小さくなったときに前記電動機が脱調状態にあることを検出する脱調検出手段と、
を備えたことを特徴とする永久磁石同期電動機の駆動装置。 - 永久磁石同期電動機をインバータにより駆動するための駆動装置であって、前記インバータの直流母線を流れる直流電流に基づいて前記電動機の脱調を検出するようにした永久磁石同期電動機の駆動装置において、
前記直流電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段の出力の平均値から前記インバータの出力電流の有効電流を求める有効電流演算手段と、
前記有効電流の振動成分を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出した振動成分の振幅を演算する演算手段と、
当該演算手段により演算した振動成分の振幅が所定の基準値よりも小さくなったときに前記電動機が脱調状態にあることを検出する脱調検出手段と、
を備えたことを特徴とする永久磁石同期電動機の駆動装置。
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