JP5737198B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、セル積層体をケースに収容した燃料電池に関する。
従来から、複数のセルを積層したセル積層体を箱状のケースの内側に収容した燃料電池が知られている(特許文献1)。この燃料電池の多くは、セル積層体が積層方向に圧縮された状態でケース内に収容されている。この燃料電池のケースに関して、製造時にセル積層体をケースの内側に引き込むためのシャフトを挿通させる開口部が設けられたケースが知られている。
特開2002−358985号公報
しかし、シャフトを挿通させるための開口部は、数が多くなるとケースの強度が低下する問題があった。一方、数が少ないと、セル積層体を安定してケースの内側に引き込むことができなくなる問題があった。このように、セル積層体を収容するケースにおいて、シャフトを挿通させるための開口部の位置や構成については、なお改善の余地があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ケースの強度の低下を抑制しつつ、セル積層体を安定してケースの内側に引き込むことが可能なケースを提供することを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本願発明は、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
(1)燃料電池であって、複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、前記セル積層体を内部に収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記セル積層体を載置するための載置面であって、前記セル積層体の積層方向に沿った側面と接触する載置面と、前記セル積層体の積層方向における端面と対向する対向面と、前記対向面に設けられ、前記ケースの外部から前記セル積層体の端面を支持するためのシャフトを挿通させる開口部と、を備え、前記開口部は、前記対向面に2つのみ形成されており、2つの前記開口部は、前記2つの開口部それぞれの中心点を通る直線が前記載置面に対して傾斜するように配置されている、燃料電池。
この態様によれば、ケースに設けられた2つの開口部は、お互いの中心点を通る直線がセル積層体の載置面に対して傾斜するように配置されているため、ケースの強度の低下を抑制しつつ、セル積層体を安定してケースの内部に引き込むことができる。
[適用例1]
燃料電池であって、
複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、
前記セル積層体を内部に収容するケースと、を備え、
前記ケースは、
前記セル積層体を載置するための載置面であって、前記セル積層体の積層方向に沿った側面と接触する載置面と、
前記セル積層体の積層方向における端面と対向する対向面と、
前記対向面に設けられ、前記ケースの外部から前記セル積層体の端面を支持するためのシャフトを挿通させる2つの開口部と、を備え、
前記2つの開口部は、前記2つの開口部の中心点を通る直線が前記載置面に対して傾斜するように配置されている、燃料電池。
この構成によれば、ケースに設けられた2つの開口部は、お互いの中心点を通る直線がセル積層体の載置面に対して傾斜するように配置されているため、ケースの強度の低下を抑制しつつ、セル積層体を安定してケースの内部に引き込むことができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、燃料電池用ケース、燃料電池の製造方法、燃料電池用ケースの製造方法などのほか、これらの方法を装置に実行させるための制御プログラムなどの形態で実現することができる。
第1実施例の燃料電池の概略構成を説明するための説明図である。 ケースの概略構成を説明するための説明図である。 単セルの概略構成を説明するための説明図である。 ケースの後側面部におけるシャフト用開口部の位置を説明するための説明図である。 単セルをガイド部材上に載置する工程を例示した説明図である。 単セルをケースの内側に収容する工程を例示した説明図である。 単セルを加圧する工程を例示した説明図である。 板状部材を前側面部に固定する工程を例示した説明図である。 従来例におけるシャフト用開口部の位置を説明するための説明図である。 従来例において単セルをガイド部材上に載置する工程を例示した説明図である。 従来例において単セルをケースの内側に収容する工程を例示した説明図である。
A.第1実施例:
A−1.燃料電池の構成:
図1は、第1実施例の燃料電池の概略構成を説明するための説明図である。図1は、燃料電池10の断面構成を例示している。燃料電池10は、水素と酸素の供給を受けて発電する固体高分子型燃料電池である。燃料電池10は、例えば、車両等の移動体に搭載されて、移動体の動力源として使用される。また、定置型の電源等としても使用される。燃料電池10は、セル積層体100と、一対のターミナルプレート203a,203bと、一対のインシュレータプレート202a,202bと、スタックマニホールド201と、圧力プレート200と、ケース300と、ガイド部材500と、を備えている。
セル積層体100は、単セル105を複数積層した構成を備えている。単セル105の形状や構成については、図3を用いて後述する。なお、以後の説明では、このセル積層体100の積層方向に沿った方向をx方向と呼び、x方向に直交し、単セル105の長手方向に沿った方向をy方向と呼び、x方向とy方向に直交する方向をz方向と呼ぶ。セル積層体100の両側には、電極板としてのターミナルプレート203a,203bが配置され、さらに、ターミナルプレート203a,203bの両側にインシュレータプレート202a,202bが配置されている。インシュレータプレート202bの外側には、スタックマニホールド201が配置され、ケース300の外部とセル積層体100との間の反応ガス(燃料ガスや酸化剤ガス等)や冷却媒体の流通経路を構成する。インシュレータプレート202aとケース300との間には、セル積層体100を押圧するための圧力プレート200が配置されている。
ケース300は、鋼等の金属により形成され、セル積層体100を積層方向(x方向)に圧縮した状態で内側に収容している。ケース300は、前方側(図1の左側)に、前面側開口部311が形成された前側面部310を備えている。前側面部310には、ボルト411によって略矩形形状の板状部材410が取り付けられ、前面側開口部311が塞がれている。板状部材410には、補機450が取り付けられている。補機450には、外部からの反応ガスをマニホールドに供給するための配管452,454や、燃料ガス(水素)を送り出すポンプ453などが含まれている。ガイド部材500は、ケース300の内側において、セル積層体100のy方向の移動を規制するための部材であり、x方向に延設されている。ケース300とガイド部材500の詳細については、図2を用いて後述する。
圧力プレート200は、単セル105と同じ形状を有する平板状の外形を備え、ケース300の後側面部320とセル積層体100との間に配置されている。圧力プレート200、スタックマニホールド201および板状部材410は、セル積層体100を一部に含んで構成される燃料電池スタックの構成部材(例えば、エンドプレート)として用いられていてもよい。
セル積層体100は、圧力プレート200と板状部材410によって挟持され、所定の荷重がかけられた状態でケース300の内側に収容されている。すなわち、本実施例のセル積層体100は、x方向に圧縮された状態でケース300の内側に収容されている。
図2は、ケースの概略構成を説明するための説明図である。図2(A)は、図1に示したケース300の前方側(図1の左側)を例示した斜視図である。図2(B)は、ケース300の後方側(図1の右側)を例示した斜視図である。ケース300は、略直方体の箱状の外形を備え、前側面部310と、後側面部320と、上面部330と、下面部340と、右側面部350と、左側面部360と、を備えている。ケース300の内壁面は、図示しない絶縁性の部材(例えば、樹脂)により被覆されている。
前側面部310は、上面部330、下面部340、右側面部350、および、左側面部360と概ね直交している。前側面部310は、上面部330、下面部340に対してフランジ状に突出した端辺部310fを備え、中央部分には、前面側開口部311が形成されている。後側面部320は、前側面部310と対向する位置に形成されている。後側面部320には、複数のシャフト用開口部322が形成されている。ここでは2つのシャフト用開口部322(右側シャフト用開口部322r、および、左側シャフト用開口部322l)が形成されている。シャフト用開口部322は、後述するシャフト部材622を挿通するための貫通孔であり、本実施例では、円形状の外形を有している。シャフト用開口部322の位置の詳細については図4を用いて後述する。
上面部330および下面部340は、互いに対向している。また、右側面部350および左側面部360は、互いに対向している。本実施例では、前側面部310と後側面部320は、法線方向がx方向に沿うように形成され、上面部330、下面部340、右側面部、および、左側面部は、x方向と平行に形成されている。
ケース300の内側には、一対のガイド部材500と、モニタ基盤550が配置されている。ガイド部材500は、それぞれ金属などによって形成され、L字状の断面を有している。ガイド部材500は、前側面部310の両側にそれぞれ配置されている。具体的には、一方のガイド部材500は、下面部340と右側面部350との交線付近に配置され、他方のガイド部材500は、下面部340と左側面部360との交線付近に配置されている。各ガイド部材500は、セル積層体100を載置するための座面部510と、セル積層体100の左右方向の移動を規制するための側面部520と、を備えている。座面部510には、セル積層体100を載置するための載置面511が形成されている。載置面511は、セル積層体100の積層方向(x方向)に沿った側面と接触する。モニタ基盤550は、セル積層体100のセル電圧を監視するための装置であり、左側面部360に沿って配置されている。
図3は、単セルの概略構成を説明するための説明図である。単セル105は、シール一体型膜電極接合体150と、シール一体型膜電極接合体150を両側から挟むように配置される一対のセパレータ160、180(以後「第1のセパレータ160」「第2のセパレータ180」とも呼ぶ)を備えている。シール一体型膜電極接合体150およびセパレータ160、180は、それぞれ略矩形の平板形状を有している。
シール一体型膜電極接合体150は、膜電極接合体151の周縁部にシールガスケット158が形成された構成を有している。膜電極接合体151は、固体高分子電解質膜152の両側にアノード153とカソード154が配置され、アノード153とカソード154の外側に一対のガス拡散層157を配置した構成を備えている。
固体高分子電解質膜152は、フッ素系樹脂材料や炭化水素系樹脂材料で形成され、湿潤状態において良好なプロトン導電性を有している。アノード153とカソード154は、それぞれ、電気化学反応を進行する触媒金属(例えば白金)を担持したカーボン粒子(触媒担持担体)とプロトン伝導性を有する高分子電解質(例えばフッ素系樹脂)を含んで構成されている。ガス拡散層157は、カーボンペーパー等のガス透過性の導電性部材により成形されている。シールガスケット158は、合成樹脂等を膜電極接合体151の周縁部に射出成形することによって形成されている。第1のセパレータ160と第2のセパレータ180は、板状の外形を備え、ガス不透過な導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、焼成カーボン、あるいはステンレス鋼などの金属材料により形成されている。
シール一体型膜電極接合体150とセパレータ160、180の各周縁部には、貫通孔が形成され、各単セル105が積層されることによって反応ガス(燃料ガスや酸化ガス)や冷却媒体(例えば、水)を積層方向(x方向)に流通させるためのマニホールドM1〜M6が形成される。具体的には、マニホールドM1には外部から供給された酸化剤ガス(カソード供給ガス)が流通し、マニホールドM2には膜電極接合体151を通過した酸化剤ガスを含むガス(カソード排ガス)が流通する。また、マニホールドM3には外部から供給された燃料ガス(アノード供給ガス)が流通し、マニホールドM4には膜電極接合体151を通過した燃料ガスを含むガス(アノード排ガス)が流通する。また、マニホールドM5には外部から供給された冷却媒体が流通し、マニホールドM6には冷却に供された冷却媒体が流通する。
第1のセパレータ160が備える2つの主面のうち、膜電極接合体151に対向する一方の主面には、マニホールドM3を流通する燃料ガス(アノード供給ガス)が流れ込む図示しない流路溝が形成されている。また、第1のセパレータ160の他方の主面には、マニホールドM5を流通する冷却媒体が流れ込む流路溝161が形成されている。第2のセパレータ180が備える2つの主面のうち、膜電極接合体151に対向する一方の主面には、マニホールドM1を流通する酸化剤ガス(カソード供給ガス)が流れ込む流路溝181が形成されている。また、第2のセパレータ180の他方の主面には、マニホールドM5を流通する冷却媒体が流れ込む図示しない流路溝が形成されている。
図4は、ケースの後側面部におけるシャフト用開口部の位置を説明するための説明図である。図4は、燃料電池10の後側面部320側をx方向から見た状態を例示している。また、図4は、セル積層体100の位置とガイド部材500とモニタ基盤550の位置を破線で示している。セル積層体100と圧力プレート200とは、x方向から見たときの形状がほぼ等しいため、図4の破線は、圧力プレート200の位置も示している。
後側面部320において、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lは、ガイド部材500の載置面511に対して斜めになるようにそれぞれ配置されている。すなわち、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lは、載置面511との間で以下の関係が成り立つ。まず、x方向と直交する平面において、右側シャフト用開口部322rの中心点を中心点Crとし、左側シャフト用開口部322lの中心点を中心点Clとし、中心点Crと中心点Clを通る直線を直線Lcとする。また、載置面511と平行の直線を直線Lsとする。すると、直線Lcと直線Lsが交点Pで交差する。ただし、直線Lcと直線Lsが直交することは好ましくない。このように、2つのシャフト用開口部322は、お互いの中心点を通る直線が載置面511に対して傾斜するように配置されている。これにより、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lにそれぞれシャフト部材を挿通させたときには、それぞれのシャフト部材は、圧力プレート200において、y方向とz方向の座標位置が互いに異なる部分に接触する。
なお、x方向と直交する平面において、セル積層体100(および、圧力プレート200)の重心位置を重心点GCとすると、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lは、直線Lcが重心点GCを通り、重心点GCから中心点Crまでの距離と、重心点GCから中心点Clまでの距離が等しくなるように配置されていてもよい。こうした場合には、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lにそれぞれシャフト部材を挿通させると、それぞれのシャフト部材は、圧力プレート200およびセル積層体100に対して、重心位置に合力を作用させることができる。
なお、2つのシャフト用開口部322は、お互いの中心点を通る直線が載置面511に対して傾斜するように配置されていれば、上述した構成に限定されない。すなわち、右側シャフト用開口部322rは、左側シャフト用開口部322lよりも相対的にガイド部材500側(図4下方側)にあってもよい。また、重心点GCから中心点Crまでの距離は、重心点GCから中心点Clまでの距離と異なっていてもよい。また、直線Lcは、重心点GCを通らなくてもよい。以下では、本実施例の燃料電池10の製造方法について説明する。
A−2.燃料電池の製造方法:
図5は、単セルをガイド部材上に載置する工程を例示した説明図である。燃料電池10を製造するにあたり、まず、ケース300を図示しない製造装置にセットする。このとき、製造装置が備える外部ガイド700とガイド部材500とが接続される。ケース300のセット後、単セル105をケース300の内側に収容する。具体的には、まず、図5に示すように、ガイド部材500の載置面511および外部ガイド700の上面に、圧力プレート200、インシュレータプレート202a,ターミナルプレート203a、単セル105(セル積層体100)、を順に配置する。このとき、右側シャフト用開口部322rに挿通された右側シャフト部材622rの端部と、左側シャフト用開口部322lに挿通された左側シャフト部材622lの端部をそれぞれ圧力プレート200に接触させることによって、圧力プレート200を支持する。こうすることで、圧力プレート200や単セル105などの後側面部320側への倒れ込みを抑制することができる。
図6は、単セルをケースの内側に収容する工程を例示した説明図である。圧力プレート200や単セル105などを載置面511に載置した後、これらをケース300の内側に引き込む。圧力プレート200や単セル105などの引き込みは、シャフト部材622r、622lによって圧力プレート200を支持しつつ、シャフト部材622r、622lをシャフト用開口部322r、322lから引き抜きながらおこなわれる。圧力プレート200や単セル105などを引き込む際、これらと載置面511との間に摩擦力が生じ、圧力プレート200や単セル105などには、これらを後側面部320側に倒す方向に力が作用する。しかし、2つシャフト部材622r、622lは、圧力プレート200においてz方向の座標位置が互いに異なる部分と接触しているため、y方向を回転軸とした圧力プレート200や単セル105などの後側面部320側への倒れ込みを抑制することができる。
また、2つシャフト部材622r、622lは、圧力プレート200において、y方向の座標位置についても互いに異なる部分と接触しているため、z方向を回転軸とした圧力プレート200や単セル105などのずれを抑制することができる。圧力プレート200や単セル105などの引き込みとあわせて、残りの単セル105(セル積層体100)や、ターミナルプレート203b,インシュレータプレート202b、スタックマニホールド201を順に載置面511に配置する。
図7は、単セルを加圧する工程を例示した説明図である。スタックマニホールド201の外側に補機450が取り付けられた板状部材410を配置した後、加圧機構460によって、板状部材410を押圧する。これによって、セル積層体100は、積層方向(X方向)に圧縮された状態でケース300の内側に収容される。このとき、板状部材410の押圧によって板状部材410が前側面部310に当接する。
図8は、板状部材を前側面部に固定する工程を例示した説明図である。板状部材410を前側面部310に当接させた状態で、ボルト411によって板状部材410を前側面部310に固定する。これにより、セル積層体100は、積層方向に所定の荷重が加えられた状態でケース300の内側に保持される。これにより、燃料電池10が完成する。なお、燃料電池10の製造工程には、上述した工程のほかに、圧力プレート200を押圧するための荷重調整ねじを後側面部320に取り付ける工程や、後側面部320と板状部材410との間に締結シャフトを取り付ける工程などが含まれていてもよい。また、上述した製造工程では、ガイド部材500は、外部ガイド700と接続されるものしたが、ガイド部材500が前面側開口部311からケース300の外側に延伸してもよい。
A−3.従来例:
図9は、従来例におけるシャフト用開口部の位置を説明するための説明図である。図9は、本実施例の図4に対応している。従来例の燃料電池15は、本実施例の燃料電池10と同様に、ケース305の後側面部320に2つのシャフト用開口部322を備えている。一方、従来例の燃料電池15は、本実施例の燃料電池10と異なり、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lが、ガイド部材500の載置面511に対して平行になるようにそれぞれ配置されている。すなわち、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lは、x方向と直交する平面において、直線Lcと直線Lsが平行となるように構成されている。そのため、右側シャフト用開口部322rと左側シャフト用開口部322lにそれぞれシャフト部材を挿通させると、それぞれのシャフト部材が圧力プレート200と接触する部分は、z方向の座標位置がほぼ等しくなる。以下では、従来例の燃料電池15の製造方法について説明する。
図10は、従来例において単セルをガイド部材上に載置する工程を例示した説明図である。図10は、本実施例の図5に対応している。本実施例の燃料電池10の製造工程と同様に、ケース305を図示しない製造装置にセットし、単セル105をケース305の内側に収容する。このとき、右側シャフト用開口部322rから挿通された右側シャフト部材622rと、左側シャフト用開口部322lから挿通された左側シャフト部材622lによって圧力プレート200を支持する。
図11は、従来例において単セルをケースの内側に収容する工程を例示した説明図である。図11は、本実施例の図6に対応している。圧力プレート200や単セル105などをケース300の内側に引き込む際、これらと載置面511との間に摩擦力が生じ、圧力プレート200や単セル105などには、これらを後側面部320側に倒す方向に力が作用する。2つシャフト部材622r、622lは、圧力プレート200においてz方向の座標位置がほぼ等しい部分と接触しているため、その2つの接触点を結んだ直線(ほぼy方向)を回転軸として圧力プレート200や単セル105などが後側面部320側に倒れ込むおそれがある。圧力プレート200や単セル105などがケース300の内部で倒れ込むと、セル積層体100の積層ずれなどが生じ、燃料電池10の性能が低下する。
以上説明した、本実施例の燃料電池10によれば、2つのシャフト用開口部322は、お互いの中心点を通る直線Lcが載置面511に対して傾斜するように配置されているため、ケース300の強度の低下を抑制しつつ、セル積層体100を安定してケース300の内部に引き込むことができる。具体的には、燃料電池10は、ケース300に設けたシャフト用開口部322の数が2つと少ないため、シャフト用開口部322によるケース300の強度の低下を抑制することができる。一方、2つのシャフト用開口部322を載置面511に対して斜めに配置することで、それぞれのシャフト用開口部322rを挿通するシャフト部材は、圧力プレート200において、y方向とz方向の座標位置が互いに異なる部分に接触することができる。これにより、引き込み時における圧力プレート200や単セル105などの倒れ込みを抑制することができる。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
B−1.変形例1:
実施例のシャフト用開口部322は、円形状の外径を備えているが、シャフト用開口部322は、多角形や楕円形など、円形状以外の形状であってもよい。また、2つのシャフト用開口部322は、互いに形状が異なっていてもよい。
B−2.変形例2:
本実施例のケース300は、後側面部320にシャフト用開口部322のみが形成されているが、後側面部320には、シャフト用開口部322以外の開口部が形成されていてもよい。例えば、後側面部320には、圧力プレート200を押圧する圧力調整ねじを取り付けるための開口部が形成されていてもよい。また、後側面部320と板状部材410との間に架設される締結シャフトを取り付けるための開口部が形成されていてもよい。
B−3.変形例3:
本実施例の燃料電池10は、ケース300の内側にガイド部材500を備えているが、燃料電池10は、ガイド部材500を備えていなくてもよい。例えば、燃料電池10は、ケース300の下面部340において、セル積層体100が載置される面を載置面としてもよい。
B−4.変形例4:
本実施例の燃料電池10は、セル積層体100とは別に圧力プレート200を備えているが、燃料電池10は、圧力プレートを備えていなくてもよい。また、セル積層体100と後側面部320との間に圧力プレート200以外の部材が配置されていてもよい。
B−5.変形例5:
本実施例では、ケース300を構成する各部位を、前側面部310、後側面部320、上面部330、下面部340、右側面部350、および、左側面部360と呼んで説明しているが、これらの名前は説明のためのものであり、燃料電池10の設置方向等とは関係ない。また、ケース300は、前側面部310、後側面部320、上面部330、下面部340、右側面部350、および、左側面部360の境界が明確に特定できない形状であってもよく、境界は任意に設定することができる。
B−6.変形例6:
本実施例では、燃料電池に固体高分子型燃料電池を用いたが、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物形燃料電池等、種々の燃料電池を用いることができる。
10、15…燃料電池
100…セル積層体
105…単セル
150…シール一体型膜電極接合体
151…膜電極接合体
152…固体高分子電解質膜
153…アノード
154…カソード
157…ガス拡散層
158…シールガスケット
160…第1のセパレータ
180…第2のセパレータ
200…圧力プレート
201…スタックマニホールド
202…インシュレータプレート
203…ターミナルプレート
300、305…ケース
310…前側面部
311…前面側開口部
320…後側面部
322…シャフト用開口部
330…上面部
340…下面部
350…右側面部
360…左側面部
410…板状部材
411…ボルト
450…補機
452…配管
453…ポンプ
460…加圧機構
500…ガイド部材
510…座面部
511…載置面
520…側面部
550…モニタ基盤
622…シャフト部材
700…外部ガイド

Claims (1)

  1. 燃料電池であって、
    複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、
    前記セル積層体を内部に収容するケースと、を備え、
    前記ケースは、
    前記セル積層体を載置するための載置面であって、前記セル積層体の積層方向に沿った側面と接触する載置面と、
    前記セル積層体の積層方向における端面と対向する対向面と、
    前記対向面に設けられ、前記ケースの外部から前記セル積層体の端面を支持するためのシャフトを挿通させる開口部と、を備え、
    前記開口部は、前記対向面に2つのみ形成されており、
    つの前記開口部は、前記2つの開口部それぞれの中心点を通る直線が前記載置面に対して傾斜するように配置されている、燃料電池。
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