JP7354928B2 - 燃料電池用のガス拡散層 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用のガス拡散層に関する。
水素等のアノードガスと、酸素等のカソードガスとを、化学反応させることによって発電を行う、燃料電池が知られている。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に、それぞれ、水素等のアノードガス(燃料ガス)と酸素等のカソードガス(酸化剤ガス)を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する。
アノードガスとして水素が供給されたアノード(燃料極)では、下記式(1)の反応が進行する。
→ 2H + 2e ・・・(1)
上記式(1)で生じる電子(e)は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後に、カソード(酸化剤極)に到達する。他方で、上記式(1)で生じたプロトン(H)は、水と水和した状態で、電気浸透により、アノードとカソードとに挟まれた電解質膜内を、アノード側からカソード側に移動する。
一方、カソードでは、電解質膜を通過した上記式(1)で生じたプロトン(H)と、カソードガスとして供給された酸素と、外部回路を経由した上記式(1)で生じた電子(e)とが、下記式(2)の反応を進行させる。
2H + 1/2O + 2e → HO ・・・(2)
したがって、電池全体では下記式(3)に示す化学反応が進行し、起電力が生じて、外部負荷に対して電気的仕事がなされる。
+ 1/2O → HO ・・・(3)
このような燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜電極接合体を基本構造とする単セルを、複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、等の利点を有することから、特にモバイル機器等の携帯用、あるいは電気自動車等の移動体用の電源として期待されている。
ここで、固体高分子電解質型燃料電池の単セルの構成としては、例えば、アノード側セパレーター、アノード側ガス拡散層、アノード側触媒層、電解質膜、カソード側触媒層、カソード側ガス拡散層、及びカソード側セパレーターが、この順に積層された積層体が知られている。
そして、ガス拡散層は、カーボンペーパーやカーボンクロス等の導電性多孔質の拡散層基材の表面に、マイクロポーラス層(MPL)が積層された積層体となっている。マイクロポーラス層(MPL)は、拡散層基材の表面に、材料となるペーストを塗工することで形成される。MPLが形成されたガス拡散層は、優れたガス拡散性を有する。
また、燃料電池のセパレータはガス流路を備えており、ガス流路内を流れるガスに生じる圧損は、発電性能に影響を与えることが知られている。圧損が生じる一因としては、アノード側ガス拡散層、アノード側触媒層、電解質膜、カソード側触媒層、及びカソード側ガス拡散層からなる膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)を、セパレータで挟持して積層して、燃料電池セルとして組み付けるときの締め付け力(締結荷重)が挙げられる。締め付けにより、ガス拡散層の一部がセパレータのガス流路内に撓み込み、ガス流路の断面積が縮減する。
これに対して、燃料電池セルにおいて、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)の曲げ弾性率の範囲を特定することで、組み付け後の燃料電池セルのガス流路に生じる圧損を低減する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、アノード側ガス拡散層、アノード触媒層、電解質膜、及びカソード触媒層からなる形態の試験体について、ガス流路においてガスが流れる方向に対して垂直な方向の曲げ弾性率を7GPa以上とすることで、アノード側セパレータのガス流路に生じる圧損を、効果的に小さくできるとされている。
特開2019-192353号公報
しかしながら、本発明者は、セルの圧損を低減するために積層体の弾性率を高くする技術においては、ガス拡散層に求められるガス拡散性や排水性が悪化してしまい、燃料電池の高い性能を確保することが難しい場合があるとの知見を得た。
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、セパレータに形成されたガス流路内へのガス拡散層の撓み込みを抑制し、ガス流路の断面積の縮減による燃料電池セルの圧損を低減することのできる、燃料電池用のガス拡散層を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った。そして、燃料電池を構成するガス拡散層の拡散層基材層を、基材充填率が高い面(第1の面)と、基材充填率が低い面(第2の面)として、基材充填率が高い面(第1の面)を、ガス流路が形成されたセパレータに面するように配置すれば、ガス拡散層のセパレータへの撓み込みを抑制し、ガス流路の断面積の縮減を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
燃料電池用のガス拡散層であって、
前記ガス拡散層は、拡散層基材層とマイクロポーラス層とが積層された積層体であり、
前記拡散層基材層は、燃料電池の単セルを構成するときにセパレーターに面するように配置される第1の面と、前記マイクロポーラス層が積層された第2の面とを有し、
前記第1の面の基材充填率が、前記第2の面の基材充填率よりも大きい、
燃料電池用のガス拡散層。
本発明の燃料電池用のガス拡散層によれば、セパレータに形成されたガス流路内へのガス拡散層の撓み込みを抑制し、ガス流路の断面積の縮減による燃料電池セルの圧損を低減し、その結果、燃料電池の性能を維持することができる。
一実施形態に係る燃料電池用のガス拡散層の断面図である。 一実施形態に係る本発明の燃料電池用のガス拡散層の拡大図である。 実施例及び比較例で作製した積層体の圧損を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、種々変形して実施することができる。
.
《燃料電池用の積層体》
本発明の燃料電池用のガス拡散層を説明するにあたり、燃料電池を構成する積層体について説明する。
一般的な燃料電池セルに格納される積層体の構成としては、例えば、アノード側セパレーター、アノード側ガス拡散層、アノード側触媒層、電解質膜、カソード側触媒層、カソード側ガス拡散層、及びカソード側セパレーターが、この順に積層された積層体が挙げられ、この構成の積層体は、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)と呼ばれている。
本発明の燃料電池用のガス拡散層は、燃料電池セルを構成する膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)の一部であり、アノード側ガス拡散層であっても、カソード側ガス拡散であっても、両者であってもよい。
本発明においては、燃料電池を構成した場合により大きい効果を享受できることから、少なくともカソード側ガス拡散層であることが好ましい。燃料電池においては、カソード側セパレータにおける酸素等のカソードガス(酸化剤ガス)の流路で発生する圧損は、発電性能に大きな影響を与えるためである。
図1は、一実施形態に係る燃料電池用の積層体の断面図である。本発明の一実施形態に係る積層体100は、カソード側拡散層基材層11及びカソード側マイクロポーラス層12が積層されたカソード側ガス拡散層10、カソード側触媒層15、電解質膜30、アノード側触媒層25、並びに、アノード側拡散層基材層21及びアノード側マイクロポーラス層22が積層されたアノード側ガス拡散層20が、この順に積層された積層体である。
図1に示される積層体100においては、本発明の燃料電池用のガス拡散層となりうる、カソード側ガス拡散層10とアノード側ガス拡散層20とが示されている。そして、それぞれのガス拡散層においては、マイクロポーラス層が、触媒層に面している。
本発明の燃料電池用のガス拡散層は、基材充填率が高い面(第1の面)と、基材充填率が低い面(第2の面)とを有している。そして、基材充填率が高い面(第1の面)が、燃料電池の単セルを構成するときに、セパレータに面するように配置される。
本発明の燃料電池用のガス拡散層は、拡散層基材層において、基材充填率が高い面(第1の面)がセパレータに面するように配置されることにより、セパレータに形成されたガス流路内へのガス拡散層の撓み込みを抑制し、ガス流路の断面積の縮減による燃料電池セルの圧損を低減することができ、これにより、燃料電池の性能を維持することが可能となる。
図2は、図1に示される積層体100のカソード側ガス拡散層10の拡大図である。一実施形態に係る燃料電池用の積層体100においては、カソード側ガス拡散層10を構成するカソード側拡散層基材層11において、Aが、カソード側セパレータに面する面(第1の面)であり、Bが、マイクロポーラス層側の表面(第2の面)となる。
そして、本発明の燃料電池用のガス拡散層は、Aで示される、セパレーターに面するように配置される第1の面の基材充填率が、Bで示される、マイクロポーラス層が積層された第2の面の基材充填率よりも大きくなっている。
本発明において、「第1の面の基材充填率」及び「第2の面の基材充填率」とは、それぞれの面の最表面から50μmまでの深さの領域をX線CTにより観察し、得られた画像を二値化処理して算出した基材充填率をいう。すなわち、本発明において「基材充填率」とは、拡散層基材における「空隙率」と相反する指標であり、以下の関係が成り立つ。
基材充填率(%)=100-拡散層基材層の空隙率(%)
なお、図2におけるカソード側拡散層基材層11においては、領域A及び領域Bは、それぞれの表面から50μmまでの深さの領域となる。
<ガス拡散層>
本発明は、ガス拡散層に関する。ガス拡散層は、供給される反応ガスを拡散させて均一にし、燃料電池の単セルを構成する膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)において、触媒層にガスを行き渡らせる機能を有する。
本発明においてガス拡散層は、拡散層基材層、及びマイクロポーラス層が、積層された積層体となっている。そして、マイクロポーラス層は、燃料電池の単セルを構成する膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)において、触媒層に面するように配置される。
(拡散層基材層)
ガス拡散層における拡散層基材層は、燃料電池の単セルを構成する膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)において、隣接する触媒層に、反応ガスを供給する多孔質の層である。拡散層基材層は、ガス透過性を有するとともに、導電性を有する材料で構成されることが好ましい。
本発明においては、拡散層基材層として一般的に用いられる材料であれば、特に限定されることなく用いることができ、例えば、カーボンペーパー若しくはカーボンクロス等のカーボン多孔質体、又は金属メッシュ若しくは発泡金属等の金属多孔質体等を挙げることができる。
本発明の燃料電池用のガス拡散層において、ガス拡散層を構成する拡散層基材層は、バインダーの炭化物を含んでいてよい。すなわち、拡散層基材層は、炭素繊維等がバインダーによって結着され、その後に焼成されることで、炭化物となったバインダーが炭素繊維とともに存在した多孔質材料となっていてもよい。
炭素繊維を結着するバインダーとしては、焼成により炭化する材料であれば、特に限定されるものではない。
そして、本発明の燃料電池用のガス拡散層において、拡散層基材層は、燃料電池の単セルを構成するときにセパレーターに面するように配置される第1の面と、マイクロポーラス層が積層される第2の面とを有し、第1の面の基材充填率が、第2の面の基材充填率よりも大きいものとなっている。すなわち、第1の面の空隙率が、第2の面の空隙率よりも小さいものとなっている。
基材充填率が大きい第1の面は、第2の面と比較して剛性が高く、変形しにくい。その結果、セパレータに形成されたガス流路内へのガス拡散層の撓み込みを抑制し、ガス流路の断面積の縮減による燃料電池セルの圧損を低減することができ、これにより、燃料電池の性能を維持することができる。
なお、本発明の燃料電池用のガス拡散層において、第1の面の基材充填率を、第2の面の基材充填率よりも大きくする方法としては、例えば、第1の面に存在するバインダー炭化物の量を、第2の面に存在するバインダー炭化物よりも、多くする方法が挙げられる。
具体的には、第1の面に用いるバインダーの量を、第2の面に用いるバインダーの量よりも多くして、焼成後のバインダー炭化物の量差により、第1の面の基材充填率を、第2の面の基材充填率よりも大きくする。
なお、本発明において、ガス拡散層を構成する拡散層基材層の細孔径、密度、厚み等は、特に限定されるものではなく、形成される燃料電池の要求性能に応じて、適宜設定することができる。
(マイクロポーラス層(MPL))
ガス拡散層におけるマイクロポーラス層は、拡散層基材層の上に存在し、燃料電池の単セルを構成する膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)において、触媒層と隣接する層となる。ガス拡散層にMPLが形成されることにより、燃料電池セルにおけるガス拡散性が向上する。
本発明の燃料電池用のガス拡散層においては、マイクロポーラス層は、基材充填率の小さい、第2の面の上い形成される。
マイクロポーラス層(MPL)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、拡散層基材層の表面に、MPL形成用スラリーをダイコータ等によって塗工し、あるいは、MPL形成用ペーストを塗工ヘッドから吐出して塗工し、その後、乾燥及び焼成する方法が挙げられる。
MPL形成用スラリー、又はMPL形成用ペーストは、特に限定されるものではないが、一般に、炭素粒子と撥水性樹脂とを、主成分として含む組成物である。したがって、MPLは、これらを主成分とする層となる。
炭素粒子としては、例えば、カーボンブラック、グラフェン、又は黒鉛等の粒子等を挙げることができる。
炭素粒子の平均一次粒子径は、25nm~70nmであってよい。炭素粒子の平均一次粒子径は、25nm以上、45nm以上、又は65nm以上であってよく、70nm以下、60nm以下、又は50nm以下であってよい。
なお、炭素粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した100個以上の粒子について定方向径(Feret径)を測定し、得られた測定値を算術平均した値である。
撥水性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系の高分子材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができる。
なお、本発明において、マイクロポーラス層(MPL)の厚みは、特に限定されるものではなく、形成される燃料電池の要求性能に応じて、適宜設定することができる。例えば、20μm以上であってもよい。
<その他の層>
本発明の燃料電池用のガス拡散層は、燃料電池セルを構成する膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)の一部であり、アノード側ガス拡散層であっても、カソード側ガス拡散であっても、両者であってもよい。
一般に、燃料電池の単セルとなる積層体は、アノード側セパレーター、アノード側ガス拡散層、アノード側触媒層、電解質膜、カソード側触媒層、カソード側ガス拡散層、及びカソード側セパレーターが、この順に積層された構成となっている。
(セパレーター)
セパレーターは、本発明の燃料電池用のガス拡散層のうち、基材充填率が大きい第1の面に隣接するようにに配置される。セパレーターは、ガス流路となる凹凸を備えており、更に、ガス流路に連通する燃料ガス用マニホールドや酸化剤ガス用マニホールド等が形成されていてもよい。
セパレーターを形成する材料は、特に限定されるものではなく、燃料電池において用いられる公知の材料から適宜選択することができる。例えば、金属又はカーボン等が挙げられる。
セパレータに形成されるガス流路の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、互いに平行な複数の直線形状であってもよい。
また、ガス流路の幅も特に限定されるものではなく、形成される燃料電池の要求性能に応じて、適宜設定することができる。
(触媒層)
本発明の燃料電池用のガス拡散層とともに燃料電池の単セルを構成する触媒層としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒層を適用することができる。
アノード側触媒層は、反応ガスである水素(H)を、プロトン(H)と電子(e)に分解する機能を有する。一方で、カソード側触媒層は、プロトン(H)と電子(e)と酸素(O)から、水(HO)を生成する機能を有する。
アノード側及びカソード側の触媒層は、同様の材料で形成することができる。例えば、白金や白金合金等の触媒を担持した導電性の担体が用いられ、更に具体的には、例えば、導電性物質として機能するカーボンブラック等の炭素粒子に触媒が担持された、触媒担持炭素粒子と、上記した電解質膜の構成成分である、イオン交換基によりプロトン伝導性を発現する電解質成分と、から構成される層が挙げられる。触媒担持炭素粒子が、プロトン伝導性を有するアイオノマー等の電解質成分により被覆されて形成された層であってもよい。
燃料電池を構成する触媒層の厚みは、特に限定されるものではなく、形成される燃料電池の要求性能に応じて、適宜設定することができる。
(電解質膜)
本発明の燃料電池用のガス拡散層とともに燃料電池の単セルを構成する電解質膜は、電子及びガスの流通を阻止するとともに、アノードで発生したプロトン(H)を、アノード側触媒層からカソード側触媒層に移動させる機能を有する。
電解質膜としては、特に限定されるものではなく、燃料電池に用いられる電解質膜として公知の膜を用いることができる。電解質膜として固体高分子電解質膜を用いる固体高分子電解質型燃料電池の場合には、例えば、パーフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマー等のスルホン酸基を含む高分子電解質樹脂で形成された、イオン伝導性を有するイオン交換膜が挙げらる。なお、スルホン酸基に限定されるものではなく、例えば、リン酸基やカルボン酸基等、他のイオン交換基(電解質成分)を含む膜であってもよい。
市販されているイオン交換膜を適用してもよく、パーフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーなどの固体高分子材料である高分子電解質樹脂で形成されており、イオン伝導性を有する高分子膜を電解質とするイオン交換膜からなる。スルホン酸基を含むフッ素樹脂系イオン交換膜の市販品としては、例えば、デュポン社のナフィオン(登録商標)、旭化成(株)のアシプレックス(登録商標)、旭硝子(株)のフレミオン(登録商標)等が挙げられる。
燃料電池を構成する電解質膜の厚みは、特に限定されるものではなく、形成される燃料電池の要求性能に応じて、適宜設定することができる。電解質膜の厚みは、例えば、10μm以下であってもよい。
以下、実験結果を示して、本発明を更に詳細に説明する。
《実施例1》
実施例1においては、一方の面の基材充填率が、もう一方の面の基材充填率よりも大きい拡散層基材層を用いて、基材充填率が小さい面にマイクロポーラス層を形成し、ガス拡散層として用いた。
<燃料電池用の積層体の作製>
(ガス拡散層の作製)
多孔質基材として、一方の面の基材充填率が、もう一方の面の基材充填率よりも大きいカーボンペーパーを2枚準備した。
それぞれのカーボンペーパーにおいて、基材充填率が小さい面に、炭素粒子とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むマイクロポーラス層(MPL)形成用スラリーを、ダイコータによって塗工し、乾燥の後に焼成することで、基材充填率が小さい面にマイクロポーラス層(MPL)が積層されたガス拡散層を作製した。
(積層体の作製)
上記で得られたガス拡散層をアノード側及びカソード側のガス拡散層として用いて、アノード側ガス拡散層/アノード側触媒層/電解質膜/カソード側触媒層/カソード側ガス拡散層が、この順に積層された膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)を構成し、一対のセパレータで挟み込むことで、燃料電池となる積層体を作製した。
なお、アノード側及びカソード側ガス拡散層は、それぞれが隣接するアノード側及びカソード側触媒層に、それぞれのマイクロポーラス層(MPL)が面するように配置した。
したがって、実施例1で作製した燃料電池用の積層体は、ガス拡散層を構成する拡散層基材層において、セパレーターに面するように配置された第1の面の基材充填率が、マイクロポーラス層が積層された第2の面の基材充填率よりも、大きいものとなっている。
<圧損の測定>
作製した燃料電池について、圧損の測定を実施した。圧損は、アノードガス(燃料ガス)として水素を供給し、カソードガス(酸化剤ガス)として空気を供給することで、燃料電池セルを実際に運転し、そのときに生じたカソード側セパレータでのカソードガス(酸化剤ガス)流路側の圧損(空気圧損)[kPa]を測定した。結果を、図3に示す。
《比較例1》
比較例1においては、実施例1と同様に、一方の面の基材充填率が、もう一方の面の基材充填率よりも大きい拡散層基材層を用いたが、実施例1とは異なり、基材充填率が大きい面にマイクロポーラス層を形成した。
<燃料電池用の積層体の作製>
(ガス拡散層の作製)
実施例1と同様のカーボンペーパーを、2枚準備した。
それぞれのカーボンペーパーにおいて、基材充填率が大きい面に、実施例1と同様のマイクロポーラス層(MPL)形成用スラリーを、ダイコータによって塗工し、乾燥の後に焼成することで、基材充填率が大きい面にマイクロポーラス層(MPL)が積層されたガス拡散層を作製した。
(積層体の作製)
上記で得られたガス拡散層をアノード側及びカソード側のガス拡散層として用いて、実施例1と同様にして膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)を作製し、一対のセパレータで挟み込むことで、燃料電池となる積層体を作製した。
したがって、比較例1で作製した燃料電池用の積層体は、ガス拡散層を構成する拡散層基材層において、セパレーターに面するように配置された第1の面の基材充填率が、マイクロポーラス層が積層された第2の面の基材充填率よりも、小さいものとなっている。
<圧損の評価>
作製した燃料電池について、実施例1と同様にして、圧損の測定を実施した。結果を、図3に示す。
(評価結果)
図3は、実施例1及び比較例1で作製した燃料電池セルの圧損を示すグラフである。グラフの横軸は、圧損の相対値を示す。
図3より、拡散層基材層において、セパレーターに面するように配置された第1の面の基材充填率が、マイクロポーラス層が積層された第2の面の基材充填率よりも、大きいものとなっている実施例1の燃料電池は、その逆の構成となっている比較例1の燃料電池と比較して、圧損が小さいことが判る。
100 積層体
10 カソード側ガス拡散層
11 カソード側拡散層基材層
12 カソード側マイクロポーラス層
15 カソード側触媒層
20 アノード側ガス拡散層
21 アノード側拡散層基材層
22 アノード側マイクロポーラス層
25 アノード側触媒層
30 電解質膜
A 第1の面
B 第2の面

Claims (1)

  1. 燃料電池用のガス拡散層であって、
    前記ガス拡散層は、拡散層基材層とマイクロポーラス層とが積層された積層体であり、
    前記拡散層基材層は、焼成により炭化したバインダーであるバインダー炭化物により結着した炭素繊維からなる1つの層からなり、燃料電池の単セルを構成するときにセパレーターに面するように配置される第1の面と、前記マイクロポーラス層が積層された第2の面とを有し、
    前記第1の面の表面から50μmまでの深さにおいて存在するバインダー炭化物の量が、前記第2の面の表面から50μmまでの深さにおいて存在するバインダー炭化物の量よりも多く、
    前記第1の面の表面から50μmまでの深さにおける基材充填率が、前記第2の面の表面から50μmまでの深さにおける基材充填率よりも大きい、
    燃料電池用のガス拡散層。
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