JP5735766B2 - 吸油マット - Google Patents
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Description
一方、近年、老年人口の増大と共に、紙おむつや吸収パッド等の吸水性物品が普及している。この吸水性物品は、フラッフパルプと吸水性ポリマーからなる芯材を、疎水性の合成樹脂の不織布からなる表面材で覆った構成となっている。ところが、この吸水性物品の製造工程で、表面材の端材や廃材が大量に発生するという問題がある。
すなわち、本発明は、吸水性物品の表面材の端材及び/又は廃材を有効に再利用すると共に、吸油性に優れ、高強度で使い勝手も良い吸油マットの提供を目的とする。
前記吸油材中の、前記吸水性物品に由来する吸水性ポリマーの混入割合が0.1質量%以下であると好ましい。
図1は、本発明の実施形態に係る吸油マット10の平面図を示す。吸油マット10は、合成繊維不織布からなる外装袋4と、吸水性物品の表面材の端材及び/又は廃材からなる吸油材2(図2参照)とを備え、吸油材2を解繊及び圧縮せずに外装袋4に袋詰めしてなる。断面図2に示すように、吸油材2はシート状のものを、適宜丸めて外装袋4に袋詰めされ、吸油材2が外装袋4内で動かないよう、適宜外装袋4の表裏の所定位置のボンド部4bを超音波シール等によって互いに接着し、座布団状に構成している。又、吸油材2を袋詰めした後、外装袋4の開口部分が熱シールや超音波シール等によってシールされてシール部4aが形成されている。ボンド部4bは例えば、0.1〜1cm2程度の円形とすることができる。また、ボンドの面積率は、吸油マット10の平面200〜500cm2につき、1個の割合とするとよい。
シート状の端材や廃材を丸めたり折って袋詰めすることで、吸油材2が嵩高くなり、吸油マットを持ち易くなるので、漏油の拭き取りがし易くなる。又、吸水性物品の表面材の端材及び/又は廃材はシート状のままでも吸油量が多いため、これら端材や廃材を解繊(粉砕、破砕して繊維状にすること)する必要がなく、生産性が向上する。
吸油材は、吸水性物品の表面材の端材及び/又は廃材であり、これら端材や廃材は合成樹脂の不織布を主体とする。吸水性物品は、フラッフパルプと吸水性ポリマーからなる芯材を、疎水性の合成樹脂の不織布からなる表面材(トップシート)やバックシートで覆った構成となっていて、製造工程で最終製品の寸法等に裁断したり、不良品が生じた際、表面材(トップシート)の端材や廃材が大量に発生する。本発明は、この端材や廃材を有効に再利用するものである。端材や廃材はシート状の不織布であり、その寸法は特に限定されないが、例えば1〜300cm2程度のものが例示される。
又、これら端材や廃材を構成する合成樹脂の不織布としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、又はこれら繊維の混合繊維からなるものが例示される。
吸油材の密度は0.04〜0.1 g/cm3とすることが好ましい。密度が0.04 g/cm3未満の場合、吸油材が嵩張りすぎて、吸油性能(吸油量と吸油速度)が低下する傾向にある。密度を0.1 g/cm3より大きくする場合は、ある程度吸油材を圧縮することが必要になるので、密度を0.1 g/cm3以下として圧縮を不要とすればその設備と手間が省略でき、生産性が向上する。
この実験は、吸油材(吸水性物品の表面材の廃材)として使用される不織布(日本製紙クレシア株式会社製の製品名「アクティはけるパンツ」)を用いて行った。なお、この吸水性物品の表面材は素材、密度等を変更したものが用いられており、表1に示すように、それぞれ種類の異なる廃材を用いて実験を行った。この不織布を10cm×10cmの試験片に切断して20℃の機械油(ISO VG100相当ギヤー油)に浮かべて10分静置した。その後、試験片を金網(7mmメッシュ、直径1mmの針金を編んだもの)の上に5分間放置した後の重量を測定し、試験片1gあたりの吸油量gを算定した。吸油量測定結果を表1に示す。
なお、図3に示すように、吸水性物品(紙おむつ)の構造体20は、尿等の液状物を吸収するコア部24と、コア部24を包む吸水紙23と、吸水紙23の表側(使用者側)を覆う表面材(不織布シート)21と、吸水紙23の裏側を覆うバックシート22と、使用者側にあって尿等の漏れを防止する立体ギャザー26とを備えている。コア部24は、綿状パルプ(フラッフパルプ)24aと高吸水性ポリマー24bとの混合体であり、吸収性物品の不良品を解体する際、誤ってフラッフパルプ24aや吸水紙23が不織布部分に付着混入する可能性がある。
外装袋は、坪量15 g/m2以上40g/m2以下、密度0.1〜0.3g/cm3で、MD及びCDの引張強度がW×10/102(N/25mm)以上(W:下記吸油マットの全重量(g))、かつJIS K2219のギヤー油規格ISO VG100に相当し動粘度90mm2/s以上110mm2/s以下のギヤー油の通油速度が300秒以下の合成繊維不織布からなり、この不織布シートを適宜シールして袋状に構成する。
外装袋を構成する合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系繊維;ナイロン繊維、などの疎水性繊維が挙げられ、これらの繊維を単体又は混合してスパンポンド、スパンレース、エアースルー等の方法で不織布とすることができる。
ここで、本発明においては、上記したように吸油材の吸油量が多く、吸油材の自重の約10倍の吸油量を有することが判明している。そこで、安全度を考え、吸油マットの自重の10倍の重量を吸油した後、吸油マットを吊り下げても外装袋が破れない引張強度(吸油後の自重を支える強度)として、引張強度がW×10/102(N/25mm)以上を設定する。外装袋の強度は、吸油後、指でつまんで吊り下げた場合に、袋が破れないことを条件とし、12.5mm巾×2(袋の表・裏)=25mm巾での縦横強度で下限値を求めたため、引張強度の単位をN/25mmとする。なお、25mm幅の外装袋の試験片を引張試験したとき、実際の吸油後の外装袋を吊り下げたときの破れの有無の結果と対応した。外装袋のMD及びCDの引張強度がW×10/102(N/25mm)以上であれば、吸油後の重量増により外装袋が破れることを防止できる。なお、数値102は、引張強度の単位をkgfからPaに換算するときの値である。
又、外装袋の密度を0.1〜0.3g/cm3とした理由は、密度が0.1g/cm3未満であると外装袋の強度が低下し、0.3g/cm3を超えると透油性が低下し吸油速度が低下するからである。
外装袋の上記通油速度を300秒以下とした理由は、通油速度が300秒を超えるものは、外装袋の坪量や密度が上記範囲未満となって外装袋の強度が低下し、拭き取り用途に使用するのが困難なためである。特に、通油速度が200秒以下であることが好ましい。但し、一般に通油速度が50秒未満であると、外装袋の坪量及び強度が低く拭き取り作業時に破れる場合がある。
なお、通油速度の測定方法は、図4に示すようにして行う。まず、直径30mmの2つの底無しシリンダー100、101を用意し、これらシリンダー100、101を軸方向に並べ、その間に外装袋の試験片Sを挟む。次に、試験片の上のシリンダーに機械油100mlを注ぎ入れ、全量が試験片を通過する時間を測定する。又、上記機械油は、JIS K2219のギヤー油規格ISO VG100に相当し、動粘度90mm2/s以上110mm2/s以下のものを用いる。このギヤー油としては、JX日鉱日石エネルギー社製のタービン油(型番FBK-100)が挙げられる。
外装袋の伸び率は40%以下であることが好ましい。
例えば、図5に示すように、ボンド部4bを3個以上設けてもよい。
吸油材として、製品名「フリーダム アクティ大人用パンツ(Lサイズ・Mサイズ)」(日本製紙クレシア株式会社製の紙おむつ)の表面材の不織布部分の端材を用いた。この端材は、PPスパンポンド不織布からなる。そして、外装袋A,Bの開口からそれぞれ上記吸油材を充填し、袋の開口を超音波シールして吸油マットを作製した。吸油マット中の上記吸油材の充填量や吸油マットの寸法等を表2に示す。
なお、比較例3として、PPスパンポンド不織布からなる上記端材を88質量%、上記おむつに由来するフラッフパルプを12質量%混合したものを外装袋Bに充填した。
外装袋A,Bを構成する不織布を幅25mmの短冊状に切断し、引張試験機を用いてMD及びCDの引張強度を測定した。
直径30mmの底無しシリンダーを2つ用意し、これらシリンダーを軸方向に並べ、その間に外装袋A,Bを構成する不織布の試験片を挟んだ。次に、試験片の上のシリンダーに機械油(JX日鉱日石エネルギー社製のタービン油(型番FBK-100))100mlを注ぎ入れ、全量が試験片を通過する時間を測定し、通油速度とした。
60Lのポリバケツに水30L、及び上記機械油15L入れ、これに各吸油マットを浮かべて90秒浸漬した後、油切りせずに吸油マットの重量差から初期吸油量を求めた。
同様に、上記ポリバケツに各吸油マットを浮かべて10分浸漬した後、金網(7mmメッシュ、直径1mmの針金を編んだもの)上で5分油切り後の吸油マットの重量差から全吸油量を求めた。
又、上記ポリバケツに各吸油マットを浮かべて10分浸漬した後、上記金網上で5分油切り後、外装袋の1隅に針金を挿通して吊るした後5分以内の外装袋の破れの有無を目視判定した。
得られた結果を表1に示す。
なお、他の実施例より吸油材の量がやや少ない実施例2の場合、吸油マットの密度がやや低く、全吸油量もやや少なかったが実用上は問題ない。
又、他の実施例より外装袋の坪量を多くした実施例5の場合、通油速度がやや遅いので、初期吸油量が低かったが全吸油量は他の実施例と同等であり、実用上は問題ない。
外装袋の坪量が40 g/m2を超え、通油速度が300秒を超えた比較例2の場合、実施例に比べて初期吸油が低くなった。
なお、比較例3の場合、エアースルー不織布であるために、外装袋の坪量が15 g/m2以上であるにも関わらず強度が低いと考えられる。又、比較例3の場合、パルプ分に水が含まれた為に重くなり、上記した浸漬試験で吸油マット本体のほとんどが沈みかけていた。
4 外装袋
10 吸油マット
Claims (3)
- 坪量15 g/m2以上40g/m2以下、密度0.1〜0.3g/cm3で、MD及びCDの引張強度がW×10/102(N/25mm)以上(W:下記吸油マットの全重量(g))、かつJIS K2219のギヤー油規格ISO VG100に相当し動粘度90mm2/s以上110mm2/s以下のギヤー油の通油速度が300秒以下の合成繊維不織布からなる外装袋と、
吸水性物品の表面材の端材及び/又は廃材であって合成樹脂の不織布を主体とし、該吸水性物品に由来するパルプの混入割合が15質量%以下である吸油材と、を備え、
前記吸油材を解繊せずに前記外装袋に該吸油材の密度が0.04〜0.1 g/cm 3 となるようにそのまま袋詰めしてなる吸油マット。 - 前記外装袋の表面と裏面とが、200〜500cm2の表面積あたり0.1〜1cm2の面積で熱シール又は超音波シールにより接合固定されている請求項1記載の吸油マット。
- 前記吸油材中の、前記吸水性物品に由来する吸水性ポリマーの混入割合が0.1質量%以下である請求項1又は2記載の吸油マット。
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