JP4238430B2 - 繊維融着塊状物およびそれを用いたマット状物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフィブリルを有する繊維融着塊状物、それを不織布に包み込んだマット状物等に関し、更に詳しくは水中に存在する微量の油を吸着可能な油吸着性に優れた繊維融着塊状物、及びその塊状物を不織布等に包み込んだ油吸着材等のマット状物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維を用いた油吸着材等として、その立体形状から分類して大略二種が知られれいる。その一種は不織布等のような比較的平板状の物で、他の一種は繊維棒等のような繊維が立体的に成型された物等である。
特開平9−234179号公報にウールノイルと低融点ポリエステル繊維やポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維等とを混合し、熱融着処理した油吸着マットが開示されている。このマットは家庭用油等の吸着マットに使用されるとしている。又特公昭50−5154号公報にポリプロピレン系複合繊維をニードルパンチ等により不織布としたものや、ロープ状にした油類捕集材等が開示されている。
又特開平7−100376号公報には、外周部がシールされた二層の疎水性不織布の間に油吸着剤が少量づつ分離されて充填されており、点状シールにより区画され、油吸着剤が分離されている油吸着マットが開示されている。前記油吸着材等は、家庭用食用油等の吸着や、海、河川等で油汚染された場合、河川等に投入して使用される物であり、それなりの効果があるとしている。しかし前記油吸着材等は、不織布を基本としたものであり、吸着すべき油が不織布の孔を通過することがあり、微量の油を吸着することが困難である。特に、この傾向は工場等で各種機械の冷却水等として用いた水を前記油吸着材の使用により浄化後排水する場合、微量の油が除去しきれないという課題があった。同様に、車両修理工場等で発生する微量の油が、前記油吸着材の使用により除去しきれずに雨水等と一緒に排水溝に混じることがあるという問題がある。
【0003】
特開平7−155519号公報に繊維長5mm程度の鞘芯型熱融着性短繊維を水中で絡合して繊維塊とし、更に熱処理して、繊維が融着した繊維塊が開示されている。この繊維塊は繊維全体が熱融着された繊維脱落のしない多孔質の物で、活性汚泥等で微生物固定化媒体等として用いられるとしている。しかしここにはフィブリルについての示唆がない。従って、前記のような、微量の油が除去しきれないという課題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記課題を解決するものであり、少量の油汚染や、軽質油等を確実に吸着可能である繊維融着塊状物からなる油吸着材やその塊状物を不織布に包みこんだマット状物からなる油吸着材を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために研究した結果、繊維融着塊状物に微細繊維であるフィブリルを多量に発生させた物が有効であることを知り、本発明を完成したものである。即ち本発明の構成は以下の通りである。
(1) 熱可塑性繊維が融着された塊状物であって、該塊状物の表面及び/又は内部にフィブリルが存在することを特徴とする繊維融着塊状物。
(2) 熱可塑性繊維が、10℃以上の融点差を有する低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂からなり、且つ該低融点熱可塑性樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成する熱融着性複合繊維である前記(1)項記載の繊維融着塊状物。
(3) 熱融着性複合繊維表面の少なくとも一部を形成する低融点熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする前記(2)項記載の繊維融着塊状物。
(4) 繊維融着塊状物が切断及び/又は破砕されてなる成形体であって、該成形体の長軸方向の長さが3〜150mmの範囲にある前記(1)〜(3)項の何れか1項記載の繊維融着塊状物。
(5) 繊維融着塊状物が複数の繊維融着塊状物層からなる扁平状の複層繊維融着塊状物であって、該繊維融着塊状物層間の一部が剥離しており、且つ該繊維融着塊状物層間にフィブリルが存在する前記(1)〜(4)項の何れか1記載の繊維融着塊状物。
(6) 繊維融着塊状物がフィブリルを1本/4mm2以上存在する前記(1)〜(5)項の何れか1項記載の繊維融着塊状物。
(7) 前記(1)〜(6)に記載された少なくとも1種の繊維融着塊状物からなる油吸着材。
(8) 前記(1)〜(6)に記載された少なくとも1種の繊維融着塊状物が通気性のシートに包み込まれたマット状物。
(9) 通気性のシートが、少なくとも180cm3/cm2/秒の通気度及び、少なくとも1500g/5cmの破断強度を有しており、且つ繊維が融着された不織布であって、繊維融着塊状物を包み込んでいる前記不織布の周囲の上面と下面が融着されている前記(8)項記載のマット状物。
(10) 不織布が、10℃以上の融点差を有する低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とからなり、且つ該低融点熱可塑性樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成する熱融着性複合繊維が使用された不織布である前記(9)項記載のマット状物。
(11) 前記(8)〜(10)項に記載された少なくとも1種のマット状物からなる油吸着材。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明で繊維融着塊状物に使用される繊維は、熱可塑性繊維である。この繊維は熱可塑性樹脂を繊維化した物であれば、レギュラー繊維、複合繊維等何れも使用可能である。又長繊維、短繊維何れも使用可能である。
本発明に用いられる熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂として、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらアルファ−オレフィンの2種以上のランダム若しくはブロック共重合体、又はこれらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。又ナイロン4、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ポリメタキシアジパミド等のポリアミド等や、又ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、低融点ポリエステル樹脂等のポリエステル等を挙げることができる。
【0007】
本発明で繊維融着塊状物に使用される繊維がレギュラー繊維の場合、前記熱可塑性樹脂単独又は混合して繊維化されたものが使用可能である。とりわけポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン系繊維が低比重でしかも吸油性であるという点で好ましく用いられる。又熱接着性及び繊維塊状物の微多孔性が優れるという点で熱融着性複合繊維が好ましく用いられる。この熱融着性複合繊維の例として、10℃以上の融点差を有する低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とからなり、かつ該低融点熱可塑性樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成する熱融着性複合繊維を例示できる。この融点差は10〜200℃あればよい。例えば、組み合わせを低融点熱可塑性樹脂/高融点熱可塑性樹脂で示せば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のアルファ−オレフィンとの二元共重合体又は三元共重合体/ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低融点ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6/ナイロン66等の組み合わせを例示することができる。このとき、熱融着性複合繊維表面の少なくとも一部を形成する低融点熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、低温熱接着性の点で好ましく、さらに熱融着性複合繊維表面のほとんどを占める場合には、繊維耐薬品性に優れる。複合形状は、低融点熱可塑性樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成するような形状の物、例えば鞘芯型、並列型、偏芯鞘芯型、海島型等の形状の熱融着性複合繊維を例示することができる。
【0008】
熱融着性繊維の単糸繊度は特に限定されない。スパンボンド法等のような長繊維や、ある長さに切断された短繊維等の場合、約0.1〜1000デシテックスの単糸繊度が、又メルトブロー法繊維の場合約0.1ミクロン〜10000ミクロンの単糸繊度が好ましい。又熱融着性繊維は捲縮があってもよいし、無捲縮であってもよい。
【0009】
本発明の繊維融着塊状物は、熱融着性繊維集合体に熱処理を施すことで繊維交点を熱融着させて繊維成形体とし、さらにこの繊維成形体を破砕機等により切断及び/又は破砕されることで成形体とし、得られた成形体に懐柔処理を行うことで得られる。なお、この塊状物表面には多数のフィブリルが存在し、これは切断時の摩擦や、切断された多数の成形体同士が破砕機の内部で懐柔等されることにより生成する。このフィブリルは毛羽状の繊維であり、該塊状物の表面に存在するか、又は表面と内部に存在している。又表面に存在せずその内部だけに存在していてもよい。例えば繊維融着塊状物が略四角柱状の場合、6面のうち少なくとも1面にフィブリルが存在すればよい。
又フィブリルの繊維径は繊維融着塊状物の原料繊維である熱融着性繊維と略同程度又はそれ以下であればよい。又このフィブリルは該塊状物いずれかの表面、又は内部に1個/4mm2以上存在すればよい。又このフィブリルの長さは特に限定されない。しかし繊維塊状物の自由移動性等の点で約0.5〜10mmが好ましい。
【0010】
又本発明のマット状物はこのような繊維融着塊状物を通気性のシートに包みこんで、マット状に成形した物である。使用可能なシートは通気性があり、且つ強度が高いシートであれば特に限定されない。このシートは通気度が180cm3/cm2/秒以上あるものが水透過性等に優れるので好ましく用いられる。又破断強度の縦方向又は横方向の低い方の破断強度で1500g/5cm以上あるものが好ましく用いられる。又シートの目付は約5〜1000g/m2程度あればよい。例えばスパンボンド法長繊維不織布、カード法短繊維不織布、高圧水流絡合不織布、ニードルパンチ法不織布等の不織布や、繊維を編織した物、ネット状物等、通気性と強度がある物が使用可能である。とりわけ熱可塑性樹脂をスパンボンド法で不織布化したものや、熱可塑性樹脂を短繊維とし、これを更にカードウエブ等とし、これを熱処理した短繊維不織布等が好ましく用いられる。
又、本発明の繊維融着塊状物およびそれを用いたマット状物は、単独で又は他の不織布等と併用し、液体処理材、断熱材、吸音材、床材等の材料としても用いることができる。
【0011】
以下図面を参照し本発明を詳細に説明する。
図1〜6はフィブリルが存在する様々な繊維融着塊状物の概略斜視図、及び概略断面図等である。図1は、フィブリルが存在する略扁平状の繊維融着塊状物の概略斜視図である。図2は、フィブリルが存在する略多角柱状の繊維融着塊状物の概略斜視図である。図3は層間でずりが発生し且つフィブリルが存在する略扁平状の繊維融着塊状物の概略斜視図である。図4は層間の一部が剥離し、且つフィブリルが存在し略扁平状の繊維融着塊状物の概略斜視図である。図5は層間が剥離し且つ剥離した層間にフィブリルと小径の繊維融着塊状物が存在する繊維融着塊状物の概略斜視図である。図6は層間が剥離し且つ剥離した層間に小径の繊維融着塊状物が存在する繊維融着塊状物の概略断面図である。図6において、第1層の繊維融着塊状物101、第2層の繊維融着塊状物102、第3層の繊維塊103、第4層の繊維融着塊状物104等が多数層間剥離した状態で一個の繊維融着塊状物1を形成している。又、各層の間に繊維融着空間部8が存在し、且つ、その繊維融着塊状物102と繊維融着塊状物103との間に小繊維融着物7がその両層を結合するように存在している。又、各層の層間剥離空間8に、その層を結合するようなフィブリル2が多数発生している。
このような繊維融着塊状物は、前記熱融着性繊維集合体を熱処理し繊維同士の交点が融着した繊維成形体とし、これを粉砕処理、切断処理、打ちつけ処理、懐柔処理等のいずれかを行うことにより得られる。繊維融着塊状物の原料としては、例えば熱融着性繊維が融着された繊維棒、熱融着性繊維が融着された中空円筒状成形体、熱融着性繊維が融着されかつ立体的に成形された排水材、熱融着性繊維が融着された板状物、熱融着性繊維が融着された成形体と他のシートや他の成形体等が併用された物等を例示できる。又、図7はフィブリルが存在する繊維融着塊状物を不織布に包み込んで、不織布の端部を融着したマット状物の一部切欠概略斜視図である。
【0012】
以下本発明を実施例で説明する。
なお不織布物性等の測定は以下の通りとした。
(1)通気度:JIS L1096 A法に定める測定法に準じて、フラジール型試験機を用い通気度を測定した(単位 cm3/cm2/秒)。
(2)不織布破断強度:幅5cm長さ15cmの不織布を、不織布の縦方向及び横方向にそれぞれ5枚ずつ切り取り試料とした。不織布強度測定機を用い試長10cm引張速度10cm/分の条件で試験し、破断時の強度を求めた。それぞれ5個の平均を破断強度とした(単位 g/5cm)。
(3)油分:JIS−K0102の24に定めるヘキサン抽出物質の測定方法の抽出法に準じて測定した(単位 ミリグラム/リットル)。
【0013】
実施例1
鞘成分が線状低密度ポリエチレン(融点121℃)で芯成分がポリプロピレン(融点162℃)からなる単糸繊度3.2デシテックスの鞘芯型熱融着性複合繊維を用い、カード法により目付1600g/m2のウエブを作製した。このウエブを熱プレス機により、温度140℃でプレスし、該鞘芯型熱融着性複合繊維が熱融着した板状の繊維成形体を得た。この繊維成形体を破砕機により、切断及び懐柔処理しフィブリルを有する繊維融着塊状物を得た。破砕物は、図1、図2に示すような物及び他の各種形状の繊維塊状物が混合された物であった。
得られた繊維融着塊状物の一つが、図1に示した略扁平状の繊維融着塊状物であった。その長軸方向の長さが12mm(後記上部面の長さaに相当する)の物であった。そのサイズは上部面の長さaが12mm、下部面の長さdが10mm、幅bが8mm、厚さcが3mmであった。得られた繊維融着塊状物のうち、図2に示した他の形状の一つをピックアップした。これは、一個の大きさが約21mm×18mm×11mmであった。又長軸方向の長さが21mmであった。図1に示した略扁平状の繊維融着塊状物1は右側面以外の他の表面に多数の微細な毛羽状のフィブリル2を有していた。又図2に示した形状の繊維融着塊状物1は、何れもその表面に多数の微細な羽毛状のフィブリル2を有していた。又これらの繊維融着塊状物のフィブリルは、光学顕微鏡観察によると長さが約1mmであり、1個/4mm2以上存在していた。
【0014】
実施例2
中空円筒状繊維成形体を切断及び懐柔処理し、フィブリルを有する繊維融着塊状物を製造した。この中空円筒状繊維成形体は、熱融着性複合繊維ウエブが加熱され層状に多数捲回され、且つ繊維同士及び各層間が融着され、中空状に成形された物であった。使用した繊維は単糸繊度が2.1デシテックスで鞘成分が高密度ポリエチレン(融点133℃)で芯成分がポリプロピレン(融点162℃)からなる鞘芯型熱融着性複合繊維であった。この繊維をカード法により目付20g/m2のウエブとし、温度140℃で加熱しながら金属中芯に捲きつけ、外形70mm、内径30mmの中空円筒状に成形した物であった。
この成形体を破砕機により、切断及び懐柔処理を行い、フィブリルを有する繊維融着塊状物を得た。破砕物は、図3〜6に示すような物及び図1,2等に示すような各種形状の繊維塊状物が混合された物であった。
【0015】
得られた繊維融着塊状物の一つが図3に示した、形状が略扁平状であり、多数の繊維融着隗がややずれた状態で重なり、且つ多数のフィブリルを有する繊維融着塊状物のものであった。この例では上部繊維融着塊状物3、中間部繊維融着塊状物4、下部繊維融着塊状物5のようにずれたものであった。又この繊維融着塊状物1は一個の大きさが約18mm×13mm×8mmであった。この繊維融着塊状物1は長軸方向の長さが18mmであった。又繊維融着塊状物1はその表面に多数の微細な毛羽状のフィブリル2を有していた。このフィブリル2は光学顕微鏡観察によると長さが約1mmであり、1個/4mm2以上存在していた。
【0016】
得られた繊維融着塊状物の一つが図4に示した、その一方の部位即ち図4で言うその上部のみ層状に剥離し、剥離面等にフィブリルを有し、その手前側の面は鋭利に切断されフィブリルがほとんどない繊維融着塊状物のものであった。又この繊維融着塊状物1は一個の大きさが約20mm×14mm×8mmであった。長軸方向の長さが20mmであった。又繊維融着塊状物1はその手前側表面を除く他の面等に多数の微細な毛羽状のフィブリル2を有していた。このフィブリル2は光学顕微鏡観察によると長さが約1.5mmであり、1個/4mm2以上存在していた。
【0017】
得られた繊維融着塊状物の一つが図5に示した上部表面側にフィブリルのない上部繊維融着塊状物6と下部繊維融着塊状物5の間に層間剥離空間8を形成し、しかもその空間に小繊維融着塊状物7がその両層を結合するように存在する繊維融着塊状物のものであった。その上部繊維融着塊状物6は上部側表面が鋭利に切断されフィブリルがほとんどないものであった。又その層間剥離空間に両層を結合するよなフィブリル2が多数発生したものであった。又この繊維融着塊状物1は一個の大きさが約19mm×15mm×15mmであった。この繊維融着塊状物1は長軸方向の長さが19mmであった。このフィブリル2は光学顕微鏡観察によるとその層間剥離空間8に発生したものは長さが約3mmであり、1個/4mm2以上存在していた。又その側面に発生したものは、長さが約2mmで、1個/4mm2以上存在していた。
【0018】
得られた繊維融着塊状物の一つが図6に示した他の多層構造を有する繊維融着塊状物の断面を示す繊維融着塊状物のものであった。この繊維融着塊状物1は一個の大きさが52mm×43mm×41mmであった。この繊維融着塊状物1は長軸方向の長さが52mmであった。又この層剥離空間8の距離は約0.5〜8mmであった。又その上部繊維融着塊状物101の上部表面に発生したフィブリル2の長さが約2mmで、1個/4mm2以上存在していた。
【0019】
実施例3
図7に示したマット状物を製造した。不織布51は目付25g/m2のポリオレフィン系スパンボンド法長繊維不織布で、熱エンボス圧着された目付25g/m2、通気度が185cm3/cm2/秒、縦方向の破断強度が3280g/5cm、横方向の破断強度が2880g/5cmであった。この長繊維は鞘成分が線状低密度ポリエチレン(融点121℃)で芯成分がポリプロピレン(融点162℃)からなる熱融着性複合繊維で、単糸繊度が2.3デシテックスであった。この不織布に前記実施例2の繊維融着塊状物を充填し、不織布の端部をヒートシーラーにより熱圧着処理した。このマット状物は、長さが300mm、幅が220mm、厚さが50mm、繊維融着塊状物の充填密度が0.16g/cm3であった。このマット状物50は主として油吸着材として使用するものである。
【0020】
実施例4
前記実施例2で得た繊維融着塊状物を用い、油タンクの洗浄処理をした。このタンクはボイラー用重油タンクとして長期間使用された物であり、その底や壁面にはスラッジ等が付着していた。タンク底部から重油を抜き出し、予備洗浄作業として、ウエスでスラッジや付着重油の除去をした。予備洗浄作業で、タンク内面に付着した重油やスラッジがかなり除去されたが、まだ汚れた状態であった。このタンクに水を入れ更に前記実施例2で得た繊維融着塊状物を0.4kg投入し、その下部から空気を圧送しながら45分間撹拌洗浄処理をした。空気圧送停止後、タンク上部を覗きこんだところ、その上部に油を吸着した繊維融着塊状物が浮上していた。この繊維融着塊状物をすくい取った後、内部に残っている水を排水した。タンク内部の壁面等を確認したところ、完全にではないが、重油がほとんど除去され綺麗になっていた。又重油吸着後の繊維融着塊状物は焼却が可能であった。
【0021】
実施例5
前記実施例3で得たマット状成形物を用い、タンクに保存された機械油等で汚染された水を油吸着処理した。この水は油分が8ミリグラム/リットルであった。前記実施例3で得たマットを、その底部に金網を備えた金属製処理箱に充填固定し、油吸着装置を製造した。この油吸着装置に前記タンクに保存された油汚染水を通水し油の吸着処理をした。水の処理速度は2リットル/分であった。処理後の油分は0.5ミリグラム/リットルであった。
【0022】
比較例1
本発明の繊維融着塊状物以外の不織布を用い、前記実施例5同様の方法で油吸着処理した。処理した油汚染水は前記実施例5に記載した物と同じ、油分が8ミリグラム/リットルの汚染水であった。使用した不織布は、単糸繊度19デシテックスの高密度ポリエチレン(融点135℃)/ポリプロピレン(融点162℃)鞘芯型複合繊維集合体が熱処理され、その繊維交点が融着された不織布であった。この不織布は、厚さが54mm、密度が0.14g/cm3であった。この不織布を長さ300mm、幅が220mmに切断し、前記実施例5同様の金属製処理箱に充填固定し、油吸着装置を製造し、前記実施例5同様に油吸着処理した。処理後の油分は5ミリグラム/リットルであった。この不織布は前記実施例5の物に較べ、微量の油吸着性に劣るものであった。
【0023】
【発明の効果】
本発明の繊維融着塊状物は、微細な毛羽状のフィブリルが多数存在した物であることから、軽量で油吸着性に優れており、それ単独で又は他の不織布等の材料と併用し、油タンクの浄化時の油吸着材や、排水の油吸着材等として用いることで、水中に存在する微量な油までも吸着ができる。又、油吸着材等は比較的安価であることが要求されているので、各種繊維成形体の中間品や、廃材等を原料とすることで、比較的、低コストに製造ができる。又、他の不織布や、板状物、各種材料と併用等をし、防音材、クッション材、敷物材、濾過材、汚水浄化材等にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィブリルが存在する略扁平状の繊維融着塊状物の概略斜視図。
【図2】フィブリルが存在する略多角柱状の繊維融着塊状物の概略斜視図。
【図3】層間でズリが発生し且つフィブリルが存在する略扁平状の繊維融着塊状物。
【図4】層間の一部が剥離し、且つフィブリルが存在する略扁平状の繊維融着塊状物。
【図5】層間が剥離し、且つ剥離した層間にフィブリルと小径の繊維融着塊状物が存在する繊維融着塊状物。
【図6】層間が剥離し、且つ剥離した層間にフィブリルと小径の繊維融着塊状物が存在する繊維融着塊状物の概略断面図。
【図7】フィブリルが存在する繊維融着塊状物を不織布に包みこんだマット状物の一部切欠概略斜視図。
【符号の説明】
1:繊維融着塊状物
2:フィブリル
3:上部繊維融着塊状物
4:中間部繊維融着塊状物
5:下部繊維融着塊状物
6:上部表面側にフィブリルのない上部繊維融着塊状物
7:小繊維融着塊状物
8:層間剥離空間
50:マット状物
51:不織布
52:一部切欠部
53:融着シール部
101:第1層の繊維融着塊状物
102:第2層の繊維融着塊状物
103:第3層の繊維融着塊状物
104:第4層の繊維融着塊状物
a:上部面の長さ
b:幅
c:厚さ
d:下部面の長さ

Claims (10)

  1. 繊維集合体に熱処理を施すことで繊維交点を熱融着させた繊維成形体を破砕機により切断及び/又は破砕されることで得られる塊状物であって、該塊状物の表面及び/又は内部に0.5〜10mmの長さのフィブリルが1本/4mm 以上存在することを特徴とする繊維融着塊状物。
  2. 熱可塑性繊維が、10℃以上の融点差を有する低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂からなり、且つ該低融点熱可塑性樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成する熱融着性複合繊維である請求項1記載の繊維融着塊状物。
  3. 熱融着性複合繊維表面の少なくとも一部を形成する低融点熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項2記載の繊維融着塊状物。
  4. 繊維融着塊状物が切断及び/又は破砕されてなる成形体であって、該成形体の長軸方向の長さが3〜150mmの範囲にある請求項1〜3の何れか1記載の繊維融着塊状物。
  5. 繊維融着塊状物が複数の繊維融着塊状物層からなる扁平状の複層繊維融着塊状物であって、該繊維融着塊状物層間の一部が剥離しており、且つ該繊維融着塊状物層間にフィブリルが存在する請求項1〜4の何れか1記載の繊維融着塊状物。
  6. 請求項1〜に記載された少なくとも1種の繊維融着塊状物からなる油吸着材。
  7. 請求項1〜に記載された少なくとも1種の繊維融着塊状物が通気性のシートに包み込まれたマット状物。
  8. 通気性のシートが、少なくとも180cm/cm/秒の通気度及び、少なくとも1500g/5cmの破断強度を有しており、且つ繊維が融着された不織布であって、繊維融着塊状物を包み込んでいる前記不織布の周囲の上面と下面が融着されている請求項記載のマット状物。
  9. 不織布が、10℃以上の融点差を有する低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とからなり、且つ該低融点熱可塑性樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成する熱融着性複合繊維が使用された不織布である請求項記載のマット状物。
  10. 請求項7〜9に記載された少なくとも1種のマット状物からなる油吸着材。
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