JP5731467B2 - 化学状態測定方法 - Google Patents

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本発明は、ゴム材料表面の化学状態、特に劣化などの表面から生じる化学状態の変化を正確に調べることが可能な化学状態測定方法に関する。
ジエン系ゴムなどのゴム成分を含むゴム材料の化学状態の変化、特に劣化などのゴム材料表面から生じる化学状態の変化を調べる方法として、X線光電子分光法(XPS法)、高輝度X線を用いて着目している特定元素の吸収端付近のX線吸収スペクトルを測定する方法(NEXAFS(吸収端近傍X線吸収微細構造、Near Edge X−ray Absorption Fine Structure)法)など、X線を使用する手法が知られている(特許文献1参照)。
XPS法やNEXAFS法は、検出深度が表面〜数十nmである表面敏感な測定手法であり、例えば、ポリマーの化学状態を調べるためには、XPS法では炭素1s軌道付近のスペクトル、NEAXFS法では炭素K殻吸収端近傍のスペクトルのように、一般に炭素に着目した測定が実施される。
しかしながら、従来の評価方法では、劣化ゴム材料などの表面における化学状態の変化を正確に測定することが困難であるため、正確に表面状態の変化を測定できる評価方法を提供することが望まれている。
特開2012−141278号公報
本発明は、前記課題を解決し、ゴム材料表面の化学状態、特に劣化などの表面から生じる化学状態の変化(ゴム材料の劣化状態)を正確に測定できる化学状態測定方法を提供することを目的とする。
本発明は、ゴム材料表面におけるブルーム物を除去した後、X線を用いた表面分析法を適用することにより、ゴム材料表面における化学状態を測定する化学状態測定方法に関する。
前記化学状態測定方法は、ゴム材料の表面から生じる化学状態の変化を調べ、ゴム材料の劣化状態を測定する方法であることが好ましい。
また、前記化学状態測定方法は、溶媒を用いてゴム材料表面におけるブルーム物を除去する方法であることが好ましく、該溶媒としては、有機溶媒を好適に使用できる。
前記化学状態測定方法は、溶媒抽出法を用いてゴム材料表面におけるブルーム物を除去する方法であることが好ましい。
本発明によれば、ゴム材料表面におけるブルーム物を除去した後、X線を用いた表面分析法を適用することにより、ゴム材料表面における化学状態を測定する化学状態測定方法であるので、ゴム材料表面の正確な化学状態を測定できる。従って、特に劣化などの表面から生じる化学状態の変化を正確に測定でき、ゴム材料の劣化状態を評価できる。
ゴム材料のC1sにおけるXPSスペクトル(拭き取り処理の有無)。 炭素K殻吸収端近傍のNEXAFSスペクトル(実施例1及び比較例)。
本発明の化学状態測定方法は、ゴム材料表面におけるブルーム物を除去した後、X線を用いた表面分析法を適用することにより、ゴム材料表面における化学状態を測定する方法である。
ジエン系ゴムなどを含むゴム材料の表面状態を調べる方法として、XPS法やNEXAFS法などの表面敏感な手法を用いて炭素1s軌道付近のスペクトル、炭素K殻吸収端近傍のスペクトルなどを測定すること、すなわち、炭素に関するスペクトル測定が用いられているが、このようなゴム材料には、一般にワックスや老化防止剤などの薬品が配合されており、これらの薬品が表面に析出(ブルーム)することで劣化抑制作用が発揮されている。
ここで、ブルームするワックスは炭化水素で、ゴムと同様炭素から構成されているため、表面敏感な手法を用いて、劣化などで化学状態の変化が生じたゴム材料表面のゴムの正確な化学状態を調べるためには、スペクトルに悪影響を及ぼすと考えられるブルーム物(ワックスや老化防止剤などからなる表面析出物)を除去しておくこと、すなわち、予めゴム以外の他の炭素成分を除去することが必要であると推察される。
これまでは、劣化などで化学状態が変化したゴム材料表面をXPS法などで調べる場合、測定に先立って、ゴム材料の表面を、キムワイプ(日本製紙クレシア(株)製)などの紙製のウエスをアセトンで湿らせたもので拭き取ること、等の前処理が実施されている。
図1は、このようなゴム材料表面の拭き取り処理を行った試料と行っていない試料のC1sにおけるXPSスペクトルを示しており、これにより、拭き取りの有無によるスペクトルの違いを確認できるが、ここに示されているように、XPS法では、ワックスのC−C結合、C−H結合と、ゴムのC=C結合が同じピークで出現する。そのため、拭き取り処理の有無により、スペクトルの強度は変化するものの、その形状は変化しないため、ワックスなどのブルーム物を充分に除去できたか否かを正確に確認できることなく、測定しているのが実状である。
このように、従来の手法では表面の正確な化学状態を測定できないのに対し、本発明の方法では、XPS法やNEXAFS法などの表面分析を実施する前に、予め溶媒などを用いてゴム表面のブルーム物を除去することで、ゴム以外のワックス等の炭素成分による影響をなくすことが可能となるため、ゴム材料表面の正確な化学状態を測定できる。従って、XPSスペクトルやNEXAFSスペクトルにより正確な化学状態を測定できるとともに、劣化前後のスペクトルを対比することで、劣化状態(劣化度合)も正確に測定可能である。
本発明では、先ず、ゴム材料の表面におけるブルーム物が除去される。
本発明に供するゴム材料としては特に限定されず、従来公知のゴム組成物を使用でき、例えば、ゴム成分、ワックス、老化防止剤などを含むゴム組成物などが挙げられる。
ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などのジエン系ゴムなどが挙げられる。また、ゴム成分は、水酸基、アミノ基などの変性基を1つ以上含むものでもよい。
更にゴム成分としては、前記ゴム成分と1種類以上の樹脂とが複合された複合材料も使用できる。上記樹脂としては特に限定されず、例えば、ゴム工業分野で汎用されているものが挙げられ、例えば、C5系脂肪族石油樹脂、シクロペンタジエン系石油樹脂などの石油樹脂が挙げられる。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられる。石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックスなどの植物系ワックス、ミツロウ、ラノリンなどの動物系ワックス、オゾケライトなどの鉱物系ワックスなどが挙げられる。
老化防止剤としては特に限定されず、ゴム分野で使用されているものが使用可能であり、例えば、アミン系(ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系など)、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、フェノール系(モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系など)、チオビスフェノール系、イミダゾール系(ベンゾイミダゾール系など)、チオウレア系、亜リン酸系、有機チオ酸系老化防止剤、カルバミン酸金属塩などが挙げられる。
ゴム材料には、カーボンブラック、シリカなどの充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、オイル、加硫剤、加硫促進剤、架橋剤など、従来公知のゴム分野の配合物を適宜配合してもよい。このようなゴム材料(ゴム組成物)は、公知の混練方法などを用いて製造できる。このようなゴム材料としては、例えば、タイヤ用ゴム材料(タイヤ用ゴム組成物)などが挙げられる。
ブルーム物の除去方法としては、ワックス、老化防止剤などからなるブルーム物を除去できる方法であれば特に限定されず、例えば、溶媒を用いる方法が挙げられる。なお、除去方法として、へらなどの道具を用いる方法も考えられるが、前述のウエスなどで表面を拭き取る方法と同様に、完全にブルーム物を除去することが困難と考えられ、また、ゴム自体の化学状態を変化させることも考えられるため、この方法は適さない。
溶媒を用いてブルーム物を除去する方法としては、室温や加熱状態など、所定条件下において、溶媒への湿潤(含浸)する方法、ソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて溶媒抽出を実施する等の抽出法(溶媒抽出法)などが挙げられる。なかでも、ブルーム物を効率的に除去できる点から、ソックスレー抽出などの抽出法が好ましく、ソックスレー抽出が特に好ましい。
ソックスレー抽出としては、JISK6229に準じたソックスレー抽出法による抽出操作などを実施できる。例えば、ソックスレー抽出器の最下部に設けた抽出フラスコに溶媒(溶剤)を満たし、中間部分に設けた紙又は焼結ガラス製容器内に、適当な大きさの試験片に調製した所定量のゴム材料を入れ、最上部に冷却管を結合することにより、実施できる。
ソックスレー抽出などの抽出時間は、ブルーム物を除去でき、ゴムの化学状態を変化させない時間であれば特に限定されず、本発明に適用するゴム材料の構成成分などに応じて適宜設定すればよい。例えば、ソックスレー抽出の抽出時間は、10〜36時間が好ましい。10時間未満であると、表面のブルーム物を充分に除去できないおそれがあり、36時間を超えると、劣化して短くなったゴム分子まで除去されてしまうおそれがある。
溶媒を用いて除去(湿潤、抽出)において、使用可能な溶媒としては、有機溶媒が好適である。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。なかでも、表面のワックスなどのブルーム物を充分に除去可能である点から、高極性有機溶媒が好ましく、アセトン、エタノールがより好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明では、予めゴム材料の表面におけるブルーム物を除去した後、得られた試料(除去処理を施したゴム材料)にX線を用いた表面分析法が適用される。このような表面分析法としては、ゴム材料表面の化学状態を正確に測定できるという点から、XPS法(X線光電子分光法)、NEXAFS法(吸収端近傍X線吸収微細構造)などが好ましい。
ここで、XPS法は従来公知の方法を使用でき、例えば、炭素1s軌道付近のスペクトルを測定することで表面の化学状態が調べられる。また、NEXAFS法は、例えば、特開2012−141278号公報記載の手法によって表面の化学状態を調べることが可能であり、具体的には、炭素K殻吸収端近傍のスペクトルなどを測定して調べられる。
本発明では、溶媒抽出などを用いて表面のブルーム物を充分に除去したゴム材料(試料)にXPS法を適用することで、ワックスや老化防止剤による影響を充分に抑制した正確な化学状態を測定できる。従って、劣化前及び劣化後のゴム材料のXPSスペクトルにおいて、ワックスに帰属されるC−C結合やC−H結合のピークが現れることなく、ゴムのC=C結合のピークが現れることから、劣化前後共、ゴム材料表面におけるゴムの正確な化学状態が調べられる。更に、劣化前後のC=C結合のピーク強度や面積の比較により、劣化状態(劣化度合)も調べられる。
また、同様に試料にNEXAFS法を適用しても表面の正確な化学状態を測定できる。従って、同様に劣化の前後共にゴム材料表面におけるゴムの正確な化学状態を調べることができ、劣化前後のピーク強度や面積の比較により劣化状態(劣化度合)を調べることも可能である。
なお、NEXAFS法は絶対値測定が困難であるため、試料間の測定結果を単純に比較できない。そのため、例えば、以下の手法により、電子収量法を用いてゴム材料のX線吸収スペクトル測定を行い解析することで、劣化度合(%)、酸素劣化及びオゾン劣化の寄与率(%)、酸素・オゾンが結合した量(劣化指標)を正確に分析できる。
詳しくは、上記高輝度X線のエネルギーを260〜400eVの範囲において炭素原子のK殻吸収端の必要な範囲を走査することによって得られるX線吸収スペクトルに基づいて下記(式1)により規格化定数α及びβを算出し、該規格化定数α及びβを用いて補正された炭素原子のK殻吸収端のX線吸収スペクトルを波形分離し、得られた285eV付近のπ遷移に帰属されるピーク面積を用いて下記(式2)により劣化度合を求めることが可能である。
(式1)
[劣化前の試料における測定範囲のX線吸収スペクトルの全面積]×α=1
[劣化後の試料における測定範囲のX線吸収スペクトルの全面積]×β=1
(式2)
[1−[(劣化後のπのピーク面積)×β]/[(劣化前のπのピーク面積)×α]]×100=劣化度合(%)
ブルーム物を除去した試料を測定することで劣化前後共にゴム材料表面の正確な化学状態が調べられる。また、それぞれのスペクトルを比較することにより、劣化後のゴム材料の劣化度合(%)を算出でき、正確な劣化率の分析が可能になる。なお、具体的な解析は、特開2012−141278号公報記載の方法で実施できる。
また、上記高輝度X線のエネルギーを500〜600eVの範囲で走査することによって得られる酸素原子のK殻吸収端のX線吸収スペクトルを波形分離し、ピークトップのエネルギーが532〜532.7eVの範囲にある低エネルギー側ピークを酸素劣化、532.7〜534eVの範囲にある高エネルギー側ピークをオゾン劣化とし、下記(式3)によって酸素劣化とオゾン劣化の寄与率を算出することも可能である。
(式3)
[酸化劣化のピーク面積]/[(オゾン劣化のピーク面積)+(酸化劣化のピーク面積)]×100=酸素劣化寄与率(%)
[オゾン劣化のピーク面積]/[(オゾン劣化のピーク面積)+(酸化劣化のピーク面積)]×100=オゾン劣化寄与率(%)
劣化後の試料について、ブルーム物を除去した試料を測定することでゴム材料表面の正確な化学状態が調べられるので、劣化後のゴム材料における酸素劣化及びオゾン劣化の寄与率(%)を算出でき、それぞれの劣化要因の寄与率の正確な分析が可能になる。なお、具体的な解析は、特開2012−141278号公報記載の方法で実施できる。
更に、劣化後の炭素原子のK殻吸収端のX線吸収スペクトルに基づいて下記(式4)により規格化定数γを求め、該規格化定数γを用いて下記(式5)により酸素原子のK殻吸収端の全ピーク面積を補正することにより、酸素及びオゾンがゴム材料に結合した量を求めることも可能である。
(式4)
[炭素原子のK殻吸収端のX線吸収スペクトルの全面積]×γ=1
(式5)
[酸素原子のK殻吸収端のピーク面積]×γ=酸素及びオゾンが結合した量(指数)
劣化後の試料について、ブルーム物を除去した試料を測定することでゴム材料表面の正確な化学状態が調べられるので、劣化によりゴム材料に結合した酸素・オゾン量が正確に測定でき、劣化指標とすることが可能になる。なお、具体的な解析は、特開2012−141278号公報記載の方法で実施できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<実施例及び比較例>
(ゴム試料)
以下の配合内容に従い、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を充填率が58%になるように(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーに充填し、80rpmで140℃に到達するまで混練した(工程1)。工程1で得られた混練物に、硫黄及び加硫促進剤を以下の配合にて添加し、160℃で20分間加硫することでゴム試料を得た(工程2)。
(配合)
天然ゴム50重量部、ブタジエンゴム50重量部、カーボンブラック60重量部、オイル5重量部、老化防止剤2重量部、ワックス2.5重量部、酸化亜鉛3重量部、ステアリン酸2重量部、粉末硫黄1.2重量部、及び加硫促進剤1重量部(なお、比較例3は、ワックス及び老化防止剤を配合せず)
なお、使用材料は以下のとおりである。また、劣化ゴム試料は下記条件で劣化させたものである。
天然ゴム:TSR20
ブタジエンゴム:宇部興産(株)製BR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN351
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
ステアリン酸:日本油脂(株)製の椿
粉末硫黄(5%オイル含有):鶴見化学工業(株)製の5%オイル処理粉末硫黄(オイル分5質量%含む可溶性硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
(劣化条件)
オゾン劣化:40℃ 50pphm(24時間)
酸素劣化:80℃ 酸素:窒素=5:1(168時間)
作製したゴム試料に表1に記載した前処理を施した後に、炭素K殻吸収端近傍におけるNEXAFS測定を実施し、X線吸収スペクトル(NEXAFSスペクトル)を得た。なお、実施例4及び比較例6では、XPS測定を実施し、XPSスペクトルを得た。図2は、実施例1及び比較例1〜3で得られたNEXAFSスペクトルを示している。
(使用装置)
NEXAFS:佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターのBL12ビームライン付属のNEXAFS測定装置
XPS:Kratos社製 AXIS Ultra
〔NEXAFS測定〕
NEXAFSを使用して、各試料について、以下の劣化率分析、劣化寄与率分析、劣化指標測定の実施により劣化度合(%)、酸素及びオゾン劣化寄与率(%)、劣化指標(指数)を測定した。また、以下のゴム情報の実施により得られたスペクトルにおけるブルーム物の影響の有無を評価した。結果を表1に示した。なお、NEXAFSの測定条件は以下のとおりで、測定に際し、ゴム試料をミクロトームで100μm以下の厚みになるように加工し、その後、真空デシケータに保存した。
(NEXAFSの測定条件)
輝度:5×1012photons/s/mrad/mm/0.1%bw
光子数:2×10photons/s
(劣化率分析)
高輝度X線のエネルギーを260〜400eVの範囲で走査し、炭素原子のK殻吸収端のX線吸収スペクトルを得た。このスペクトルにおいて必要な範囲である260〜350eVの範囲をもとに(式1)から規格化定数α、βを算出し、この定数を用いてスペクトルを規格化(補正)した。規格化後のスペクトルを波形分離し、285eV付近のπ遷移に帰属されるピーク面積をもとに(式2)から劣化度合(%)を求めた。
(劣化寄与率分析)
高輝度X線のエネルギーを500〜600eVの範囲で走査し、酸素原子のK殻吸収端のX線吸収スペクトルを得た。このスペクトルを波形分離し、ピークトップが532〜532.7eVにある低エネルギー側ピークを酸素劣化、532.7〜534eVにある高エネルギー側ピークをオゾン劣化として、(式3)から酸素劣化及びオゾン劣化の寄与率を算出した。
(劣化指標測定)
前記劣化率分析で得られた劣化後の炭素原子のK殻吸収端のX線吸収スペクトルをもとに(式4)から規格化定数γを求めた。この定数を用いて酸素原子のK殻吸収端の全ピーク面積を補正(規格化)し、(式5)から酸素及びオゾンがゴム材料に結合した量(劣化指標)を求めた。
(ゴム情報)
得られたNEXAFSスペクトル、XPSスペクトルについて、ワックス等、他の炭素汚染の影響なく、ゴムの情報を得られたか否かについて、以下の基準で評価した。
○:ゴム材料表面における正確な情報が得られた。
×:ゴム材料表面における正確な情報が得られなかった。
Figure 0005731467
図2の比較例3のスペクトルでは、試料表面に炭素汚染物がブルームしない配合で製造したサンプルの測定であるため、ゴムのC=C結合が検出された。一方、前処理を施さなかった比較例1では、C=C結合が検出されず、その代わりにC−H結合が大きくなっており、この結果から、表面に覆われているワックスのC−H結合が検出され、ゴムのC=C結合は検出されないことが明らかとなった。ウエスで試料表面を拭いた比較例2では、C=C結合が若干増加し、C−H結合が若干減少したものの、比較例3に比べて検出されたC=C結合量が少ないため、表面にブルームしたワックスを取り除くことができず、正確な測定はできなかった。
これに対し、実施例1では、C=C結合及びC−H結合量が比較例3と同程度検出されていたため、表面にブルームしたワックスを充分に取り除くことができ、ゴム表面の化学状態を正確に測定できることが明らかとなった。また、実施例4のXPS測定でも同様に正確に測定できた。更に、前処理を施さなかった比較例4〜5の劣化ゴム試料では、劣化度合等を算出できなかったのに対し、前処理でブルーム物を除去した実施例2〜3の劣化ゴム試料では、算出が可能であった。

Claims (3)

  1. ソックスレー抽出を用いてゴム材料表面におけるブルーム物を除去した後、X線を用いた表面分析法を適用することにより、ゴム材料表面における化学状態を測定する化学状態測定方法。
  2. ゴム材料の表面から生じる化学状態の変化を調べ、ゴム材料の劣化状態を測定する請求項1記載の化学状態測定方法。
  3. 抽出溶媒が有機溶媒である請求項1又は2記載の化学状態測定方法。
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