JP5730868B2 - 金型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金型の製造方法に関する。
結晶性熱可塑性樹脂は、非晶性熱可塑性樹脂と比較して、機械的強度等の物性が優れる傾向にあり、家電製品の外板、自動車の外装、及び、内装部品等の広い分野で用いられている。
上記の通り、結晶性熱可塑性樹脂は、物性面で優れるものの、結晶化速度が遅く、またガラス転移温度が高い。このため、局部的に不均一な結晶構造となりやすい。このため、成形品表面は外観的にも構造的にもムラが生じやすい。
結晶性熱可塑性樹脂を原料とする成形品を、安定した品質で、安定して連続成形を行うためには、結晶化を促進する必要がある。この結晶化の促進のために、例えば、100℃を超える高い金型温度の条件で、成形品が製造される。
しかし、金型温度が高いと、金型合わせ面等に大量のバリが発生するため問題となる。低い金型温度(例えば100℃以下)で成形を行う場合は、バリ発生の問題を解消できるだけでなく、さらに、オイルによる温調を使わず、水による温調が可能となり煩雑さが解消される。このため、金型温度の条件を100℃以下にすることが好ましい。
ところで、低い金型温度の条件で成形を行うと、成形品表面の結晶化が進まないため、表面硬度が上がらず金型からの突き出しが困難になる問題や、後収縮が大きくなるため、成形後に使用されている環境温度により表面荒れや寸法変化・反り等の問題が起きる。
例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂では、結晶化速度を向上させて、上記の問題を解消するために、各種結晶化促進剤・可塑剤を配合する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、金型温度を100℃以下に設定して、結晶化を充分に促進させる技術が存在しないのが現状である。
特開2003−335945号公報
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、結晶性熱可塑性樹脂を成形する際の金型温度をTc2−100℃以下に設定して、バリの発生を抑えるとともに、表面の結晶化を充分に促進させた成形品を製造するための金型の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係に基づいて、成形品表面の結晶化度が所望の範囲になるような、金型に充填された結晶性熱可塑性樹脂の金型キャビティ表面近傍での結晶化速度が十分速い温度と、該結晶性熱可塑性樹脂が金型内で結晶化速度が十分速い温度以上を保持する保持時間とを導出し、金型温度がTc2−100℃以下で、金型キャビティ表面近傍温度が導出した温度以上を保持する時間が、導出した保持時間を満たすように断熱層を金型に設ければ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1) 結晶性熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる成形品を成形するための金型の製造方法であって、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係に基づいて、前記成形品表面の結晶化度が所望の範囲になるような、金型に充填された結晶性熱可塑性樹脂の金型キャビティ表面近傍での結晶化速度が十分速い温度と、該結晶性熱可塑性樹脂が金型内で結晶化速度が十分速い温度以上を保持する保持時間とを導出し、金型温度がTc2−100℃以下で、金型キャビティ表面近傍温度が導出した温度以上を保持する時間が、導出した保持時間を満たすような断熱層を設ける金型の製造方法。
(2) 前記金型温度は、100℃以下であり、前記結晶性熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンサルファイド系樹脂の場合に、前記キャビティ表面近傍温度は、150℃以上であり、前記保持時間は、0.1秒以上である(1)に記載の金型の製造方法。
(3) 前記断熱層は、前記キャビティ表面近傍温度と前記保持時間との関係を熱伝導解析により導出して、該関係に基づいて断熱層の材料、設置位置、形状が決定され、前記熱伝導解析は、キャビティの表面に断熱層が形成された金型を用い、金型を構成する材料及びの前記結晶性熱可塑性樹脂の、比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率をパラメータとして行う(1)又は(2)に記載の金型の製造方法。
(4) 前記断熱層は、熱伝導率が0.3W/m・K以下、厚みが60μm以上である(1)から(3)のいずれかに記載の金型の製造方法。
(5) 前記断熱層は、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド及びポリエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む(1)から(4)のいずれかに記載の金型の製造方法。
(6) 前記断熱層は、表面に金属層を有する(1)から(5)のいずれかに記載の金型の製造方法。
(7) 前記断熱層は、セラミックを含む(1)から(6)のいずれかに記載の金型の製造方法。
(8) 前記セラミックは、二酸化ケイ素である(7)に記載の金型の製造方法。
(9) 前記セラミックは、多孔質ジルコニアから構成される(7)に記載の金型の製造方法。
(10) 前記金型温度はTc1以下である(1)から(9)のいずれかに記載の金型の製造方法。
(11) (1)から(10)のいずれかの方法で作成した金型を用いて得られる、結晶化度が30%以上である、ポリアリーレンサルファイド系樹脂の成形品。
本発明で製造された金型を用いることで、結晶性熱可塑性樹脂を成形する際の金型温度をTc2−100℃以下に設定して、バリの発生を抑えることができるとともに、成形品表面の結晶化を充分に促進させることもできる。
キャビティ表面近傍の樹脂温度と金型内で樹脂が保持される保持時間との関係を示す図である。 断熱層が形成された金型の断面を模式的に表す図であり、(a)はキャビティ表面全体に断熱層が形成された分割金型の断面の模式図であり、(b)はキャビティ表面の一部に断熱層が形成された分割金型の断面の模式図であり、(c)は断熱層上に金属層が形成された分割金型の断面の模式図である。 断熱層の厚み、キャビティの厚み、金型の厚みを説明するための、断熱層が形成された分割金型の断面の模式図である。 実施例で使用した結晶性樹脂の結晶化速度と温度との関係を示す図である。 実施例で使用した金型の断面の模式図である。
以下、本発明の実施形態についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明の金型の製造方法は、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係に基づいて、成形品表面の結晶化度が所望の範囲になるような、金型に充填された結晶性熱可塑性樹脂の金型キャビティ表面近傍での結晶化速度が十分速い温度と、該結晶性熱可塑性樹脂が金型内で結晶化速度が十分速い温度以上を保持する保持時間とを導出し、金型温度がTc2−100℃以下、より好ましくはTc1以下で、金型キャビティ表面近傍温度が導出した温度以上を保持する時間が、導出した保持時間を満たすように金型に断熱層を設けることである。ここで、Tc2とは、溶融状態から冷却し固化する際の結晶化温度、Tc1とは、結晶が不充分な状態で成形された樹脂を昇温した場合に結晶化する温度のことを指す。
本発明の方法で得られる金型を用いれば、金型温度をTc2−100℃以下に設定しても、成形品表面の結晶化度を所望の値に高められる。結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係に基づいて、上記のような効果を得るための、金型に充填された結晶性熱可塑性樹脂の金型キャビティ表面近傍温度と、該結晶性熱可塑性樹脂が金型内で結晶化速度が十分速い温度以上を保持する保持時間とを導出できるからである。
以下、本発明の金型の製造方法についてさらに詳細に説明する。
<樹脂材料等の決定>
先ず、成形する樹脂材料を選択する必要がある。樹脂材料は結晶性熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、従来公知のものを選択することができる。
結晶性熱可塑性樹脂の中でもポリアリーレンサルファイド樹脂(特にポリフェニレンサルファイド樹脂)は、バリの問題、成形品表面の結晶化度が低い問題が特に大きい。つまり、100℃以下の金型温度に設定して、成形品表面の結晶化度が充分に高まるように、ポリアリーレンサルファイド樹脂を成形することは困難である。しかし、本発明の方法で得られる金型を用いれば、樹脂材料としてポリアリーレンサルファイド樹脂を使用しても、100℃以下の金型温度に設定して、成形品表面の結晶化度を充分に高めることができる。ここで、ポリアリーレンサルファイド樹脂としては、例えば、特開2009−178967号公報に記載のポリアリーレンサルファイド樹脂及びポリアリーレンサルファイド樹脂の変性物が挙げられる。
また、ポリアリーレンサルファイド樹脂以外では、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等も、結晶化が遅く、成形品表面の結晶化度が高まりにくいが、本発明の方法により得られる金型を用いれば、Tc2−100℃以下の金型温度に設定して、成形品表面の結晶化度を充分に高めることができる。
結晶性熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物中の、結晶性熱可塑性樹脂の含有量が多いほど、バリの問題、成形品表面の結晶化度が低い問題が大きいが、本発明は、このような場合であっても、Tc2−100℃以下の金型温度に設定して、成形品表面の結晶化度を充分に高めることができる。例えば、結晶性熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を用いても、Tc2−100℃以下の金型温度に設定して、成形品表面の結晶化度を充分に高めることができる。
なお、結晶性熱可塑性樹脂に、その他の樹脂、酸化防止剤、無機充填剤、安定剤等の従来公知の添加剤を配合した結晶性熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を原料に用いてもよい。
樹脂材料が決定した後、成形品表面の所望の結晶化度を決定する。所望の結晶化度は、例えば成形品の用途等に応じて好ましい値を任意に決定することができる。
<断熱層の設置>
断熱層の設置は、先ず、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係に基づいて、成形品の結晶化度が所望の範囲を満たすような、金型に充填された結晶性熱可塑性樹脂の金型キャビティ表面近傍での結晶化速度が十分速い温度と、該結晶性熱可塑性樹脂が金型内で結晶化速度が十分速い温度以上を保持する保持時間とを導出する(第一工程)。
次いで、金型温度がTc2−100℃以下で、導出された温度以上を保持する時間が、導出した保持時間を満たすような断熱層を金型に設ける(第二工程)。
以下、第一工程と第二工程とに分けて、本発明の金型の製造方法について説明する。
<第一工程>
第一工程では、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係に基づいて、特定の条件を満たすような、上記キャビティ表面近傍での結晶化速度が十分速い温度と、上記金型内で結晶化速度が十分速い温度以上を保持する保持時間とを導出できれば、導出方法は特に限定されない。例えば、以下の方法で導出することができる。
結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係から、結晶化速度が十分速い温度を決定する。結晶化速度が十分速い温度とは、結晶化速度が最も速い結晶化速度の1/1000より速い最低樹脂温度、好ましくは、1/100より早い最低樹脂温度を言う。なお、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係が未知の場合には、従来公知の方法で導出する必要がある。
次いで、保持時間の導出について説明する。金型に充填された結晶性熱可塑性樹脂のキャビティ表面近傍温度が、上記の結晶化度が十分速い温度にある状態で、金型内で保持される保持時間と、成形品表面の結晶化度との関係を導出する。この導出結果から、所望の結晶化度を実現するために、必要な保持時間を決定する。
ここで、保持時間の決定は例えば以下の方法で行うことができる。
先ず、Tc2−100℃を超えTc2−100℃に近い温度(例えばTc2−90℃)に金型温度を設定して、上記キャビティ表面近傍の樹脂温度と上記金型内で保持時間との関係を求め、結晶化度を確認する。図1に上記キャビティ表面近傍の樹脂温度と上記金型内で樹脂が保持される保持時間との関係を示した(実線P)。ここでは、成形品表面の結晶化度が所望の範囲まで達しなかったとする。
次いで、キャビティ表面近傍の樹脂温度の低下を抑えて、成形品表面の結晶化度を高めるために、金型温度をより高い温度に変更するか、又は断熱層を金型に形成する。そして、上記と同様にして、上記キャビティ表面近傍の樹脂温度と上記金型内での樹脂の保持時間との関係を求め、結晶化度を確認する。図1に上記キャビティ表面近傍の樹脂温度と上記金型内で樹脂が保持される保持時間との関係を示した(実線Q)。ここで、成形品表面の結晶化度が所望の範囲まで達したとする。
結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係から導出した、結晶化速度が十分速い温度をTとし、図1に示した。このキャビティ表面近傍の樹脂温度がT以上で保持される時間は、金型温度をより高い温度に変更するか、又は断熱層を金型に形成することで長くなる(Δt>Δt)。このΔtを上記の保持時間として採用することができる。つまり、保持時間がΔt以上であれば、成形品表面の結晶化度が所望の範囲を満たす。なお、結晶化度が所望の範囲になるか否かの、保持時間の閾値は、Δt〜Δtとの間にある。
<第二工程>
第二工程では、上記のキャビティ表面近傍の樹脂温度がT以上で保持される保持時間を満たすような断熱層を金型に配置する。断熱層の材料、形状、配置場所等はどのように決定してもよいが、例えば、以下の方法で決定することができる。
断熱層の材料、設置位置、形状は、上記キャビティ表面近傍の樹脂の温度と上記保持時間との関係を熱伝導解析により導出して、該関係に基づいて導出することができる。
ここで、熱伝導解析は、キャビティの表面に断熱層が形成された金型を用い、金型を構成する材料及び結晶性熱可塑性樹脂の、比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率をパラメータとして行われる。
先ず、熱伝導解析を行う際に用いるパラメータについて説明する。上記の通り、キャビティ表面近傍の樹脂温度の低下を抑えるために断熱層を用いる。ここで、金型内に流れ込んだ樹脂の熱の移動を考慮するには、断熱層等の熱伝導率及び熱容量を考慮する必要がある。したがって、金型を構成する材料及び結晶性熱可塑性樹脂の、比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率の熱物性をパラメータとする必要がある。熱伝導解析を行う際にはこれらのパラメータを入力する。
次いで、キャビティの表面に断熱層が形成された金型について説明する。金型内にどのように断熱層が設けられるかを予め決めて熱伝導解析を行う必要がある。断熱層の設けられ方によって、熱の移動の程度が異なるからである。ただし、金型内にどのように断熱層が設けられるかを、どの程度まで具体的に決めるかは、求める精度等に応じて適宜変更可能である。
以下、断熱層の配置、材料等の決定について、より具体的に説明する。
例えば、キャビティの表面全体に断熱層が形成されている金型が挙げられ、図2(a)には断熱層がキャビティの表面全体に形成された分割金型の断面の模式図を示す。このようにキャビティ全体に断熱層を設けることで、成形品表面全体を所望の結晶化度にすることができる。また、分割金型の合わせ面において、断熱層と金型の金属とが接するようにすることで(図2(a)中で、下側の金型の断熱層が上側の金型の金属と接していることにあたる。)、金型の合わせ面に入り込んだ樹脂は、直ちに固まるため、バリが生じない。
図2(a)のような金型を用いた熱伝導解析を行うと決めたとすると、断熱層の厚みL(分割金型の併せ面に垂直な方向)、断熱層の厚み方向の金型の厚みL、断熱層の厚み方向のキャビティの厚みLが決まる。これらの値も熱伝導解析の際に入力する。なお、図3には、L、L、Lの位置を示した。
なお、図2(a)では、キャビティの表面全体に断熱層が形成されているが、図2(b)に示すように、キャビティ表面の一部に断熱層が形成されていてもよい。
他の例としては、上記キャビティの表面全体に断熱層が形成されている金型の断熱層上に金属層が形成された金型が挙げられ、図2(c)にはこの断熱層上に金属層が形成された分割金型の断面の模式図を示す。
断熱層上に金属層を形成することで、キャビティ表面の耐摩耗性が向上する。特に、ガラス繊維等の無機充填剤を配合した場合に、キャビティの表面が摩耗しやすくなる。したがって、ガラス繊維等を配合した樹脂組成物を用いる場合には、図2(c)に示すような金型を使用することが好ましい。
キャビティの表面全体に金属層が存在すると、金属層の熱伝導率が高いため、断熱層を厚くする等の必要が生じる。
図2(c)に示すような金型を用いた熱伝導解析を行うと決めたとすると、断熱層の厚みL(分割金型の併せ面に垂直な方向)、断熱層の厚み方向の金型の厚みL、断熱層の厚み方向のキャビティの厚みL、断熱層の厚み方向の金属層の厚みLHIが決まる。これらの値は、熱伝導解析の際に入力する。
以上のようにして決定したパラメータ等の入力条件を用いて、熱伝導解析を行う。樹脂温度、金型温度、射出速度等の成形条件を変更しながら、成形条件ごとに上記キャビティ表面近傍の樹脂温度と上記保持時間との関係を導出する。結晶化速度が十分速い温度以上に、キャビティ表面近傍の樹脂温度が保持される時間が上記のΔt以上であれば、成形品表面が所望の結晶化度になる。このようにして、特定の条件を満たす断熱層を決定することができる。
<断熱層>
上記のようにして、断熱層を決定することができるが、実際に断熱層を金型に形成する方法を説明する前に、上述の特定の条件を満たす断熱層等について簡単に説明する。
断熱層は、熱伝導率が0.3W/m・K以下、厚みが60μm以上であることが好ましい。これらの条件を満たす断熱層であれば、結晶化速度が速くなる温度で、樹脂が金型内で保持される時間が上記のΔt以上になりやすい。
熱伝導率が0.3W/m・K以下になり、且つ成形の際の高温に耐えることができる程度の耐熱性を備えた材料としては、エポキシ、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド及びポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。
上述の通り、断熱層上には、金属層を配置することができる。金属層としては、アルミ、SUS等の板が好ましく使用される。断熱層上に金属層を形成する方法としては、従来公知のラミネート方法等を採用することができる。金属層の厚みは、金属層に含まれる金属の種類にもよるが0.1mm以下であることが好ましい。また、上記のように金属板を用いる場合には、上述の通り、断熱層を厚くする必要があり、例えば10mm以上、より好ましくは20mm以上に設定する。
また、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の従来公知のメッキ膜形成方法を用いて、断熱層上に薄膜状の金属層を形成することができる。メッキ膜は、非常に薄いため、金属板を用いる場合とは異なり、断熱層の厚みは60μm以上あれば好ましい。
金型の金属部分の内表面に断熱層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法で断熱層を金型の内表面に形成することが好ましい。
高分子断熱層を形成しうるポリイミド前駆体等のポリマー前駆体の溶液を金型の金属部分の内表面に塗布し、加熱して溶媒を蒸発させ、さらに過熱してポリマー化することによりポリイミド膜等の断熱層を形成する方法、耐熱性高分子のモノマー、例えばピロメリット酸無水物と4,4−ジアミノジフェニルエーテルを蒸着重合させる方法、キャビティ表面に相当する部分が断熱板からなる駒型を作成し駒型を主型金型に装着する方法が挙げられる。又は、平面形状の金型に関しては、高分子断熱フィルムを用い適切な接着方法又は粘着テープ状の高分子断熱フィルムを用いて金型の所望部分に貼付し断熱層を形成する方法が挙げられる。また、断熱層の形成は、断熱層を形成する樹脂を金型に電着させる方法でもよい。なお、断熱層、断熱板表面に傷つき防止等耐久性を付与する目的で金属層を形成させることができる。
また、断熱層としては、セラミック材料を用いることもできる。セラミックの表面は、耐摩耗性に優れるため、上記のような金属層をセラミックからなる断熱層上に配置する必要はない。セラミックとしては、内部に気泡を含んだ多孔質ジルコニア、二酸化ケイ素の使用が好ましい。その中でも、多孔質ジルコニアから構成される断熱層は、主としてジルコニアから構成されるため、射出成形時に断熱層にかかる圧力に対する耐久性が高い。したがって、上記圧力が原因として発生する断熱層の不具合が生じにくくなる。このため、射出成形の途中で成形を中断する回数が減り、射出成形品の生産性が高まる。
ジルコニアとしては、特に限定されず、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、未安定化ジルコニアのいずれでもよい。安定化ジルコニアとは、立方晶ジルコニアが室温でも安定化されているものであり、強度及び靱性等の機械的特性や耐磨耗性に優れている。また、部分安定化ジルコニアとは、正方晶ジルコニアが室温でも一部残存した状態を指し、外部応力を受けると正方晶から単斜晶へのマルテンサイト変態が生じ、特に引張応力の作用によって進展する亀裂の成長を抑制し、高い破壊靭性を持つ。また、未安定化ジルコニアとは安定化剤で安定化されていないジルコニアを指す。なお、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、及び未安定化ジルコニアから選択される少なくとも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニアに含まれる安定化剤としては、従来公知の一般的なものを採用することができる。例えば、イットリア、セリア、マグネシア等が挙げられる。安定化剤の使用量も特に限定されず、その使用量は、用途、使用材料等に応じて適宜設定できる。
また、本発明の効果を害さない範囲で、上記のジルコニア、安定化剤以外に従来公知の添加剤等をさらに含んでもよい。
上記の原料を用いて断熱層を形成する方法は特に限定されないが、溶射法を採用することが好ましい。溶射法を採用することで、多孔質ジルコニアの熱伝導率は所望の範囲に調整しやすくなる。また、多孔質ジルコニアの内部に気泡が形成され過ぎることにより断熱層の機械的強度が大幅に低下する等の問題も生じない。このように溶射により断熱層を形成することで、断熱層の構造は本発明の用途に適したものになる。
溶射による断熱層の形成は、例えば以下のようにして行うことができる。先ず、断熱層の原料を溶融させて液体とする。この液体を加速させキャビティの内表面に衝突させる。最後に、キャビティの内表面に衝突し付着した原料を固化させる。このようにすることで、非常に薄い断熱層が金型の内表面に形成される。この非常に薄い断熱層上にさらに溶融した原料を衝突させ固化させることで、断熱層の厚みを調整することができる。なお、原料を固化させる方法は、従来公知の冷却手段を用いてもよいし、単に放置することで固化させてもよい。なお、溶射方法は特に限定されず、アーク溶射、プラズマ溶射、フレーム溶射等の従来公知の方法から好ましい方法を適宜選択することができる。
上記の多層構造を有する断熱層は、断熱層の製造条件を調整することで製造することができる。例えば、溶射法により断熱層を形成する場合には、溶融させた原料を金型内表面に付着させる条件等を調整することで製造できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、以下の材料を使用した。
結晶性樹脂:ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)(ポリプラスチックス株式会社製、「フォートロン1140A64」Tc2;225℃)
上記結晶性樹脂の結晶化速度(LogK、(Kは速度))と樹脂温度(℃)との関係を図4に示す。結晶化速度が十分速い温度を150℃以上とする。また、所望の結晶化度は30%とした。
断熱層:ポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂ワニス(ファインケミカルジャパン社製)、熱伝導率0.2W/m・Kをスプレーし、250℃、1時間で焼付けした後、ポリイミド面を研摩した。)
c2の測定方法:示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、窒素雰囲気下で、熱可塑性樹脂を340℃で2分間保持した後、10℃/分の速度で降温し、得られたDSCチャートから発熱ピークの温度を読み取りすることによりTc2とした。
また、図5に示すような金型を用いた。L=10mm、L=0.7mm、L=0.06mmであった。
金型を構成する材料及び結晶性樹脂の、比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率は、以下の通りであった。熱伝導率はレーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定し算出した。比重は、アルキメデス法により測定し、比熱は、DSCにより測定した。
Figure 0005730868
Therm1(一次元熱伝導解析ソフトウェア)を用いて、キャビティ表面から7μmの深さでの樹脂の温度と、樹脂の金型内での保持時間との関係を、表2に示す金型温度の条件で導出した。
また、それぞれの成形条件での結晶化度の測定も行った。結晶化度の測定は、断熱層が形成されている側と、断熱層が形成されていない側とに分けて行った。結晶化度の結果も表2に示した。
Figure 0005730868
表3に、金型温度140℃、100℃、80℃について、樹脂温度150℃以上を保持した時間を示した。表2及び表3の結果から、金型温度の条件を100℃以下に設定しても、結晶化度を30%以上に調整できる保持時間は、0.1秒であることが確認された。
また、熱伝導解析で設定した断熱層を金型に設ければ、金型温度100℃の条件に設定しても、成形品表面の結晶化度を所望の範囲に調整できることが確認された。
Figure 0005730868
<実施例2>
断熱層の材料をポリイミドから二酸化ケイ素(セラミック1)に変更し、L=2.5mm又は5mmである以外は、実施例1と同様にして、キャビティ表面から7μmの深さでの樹脂の温度と、樹脂の金型内での保持時間との関係を導出した。樹脂温度150℃以上を保持した時間と、それぞれの成形条件での、断熱層が形成されている側の結晶化度を表4に示した。なお、導出した関係式の成形条件は、金型温度が100℃、断熱層(セラミック1)2.5mmの条件、金型温度が100℃、断熱層(セラミック1)が5mmの条件である。
なお、セラミック1の比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率は、以下の通りであった。熱伝導率はレーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定し算出した。比重は、アルキメデス法により測定し、比熱は、DSCにより測定した。
比重;2520(kg/m
比熱;790(J/(kg・K))
熱伝導率;1.46(W/(m・K))
熱拡散率;7.33×10−7(m・s)
Figure 0005730868
<実施例3>
上記実施例により、金型に流れ込んだ樹脂が、150℃以上の状態を0.1秒以上保持することにより、結晶化度を30%以上に調整できることを確認できた。
実施例3では、断熱層をジルコニア溶射した多孔質ジルコニア層(セラミック2)に変更した場合における、金型に流れ込んだ樹脂が150℃以上の状態を0.1秒以上保持する断熱層の厚みを、Therm1(一次元熱伝導解析ソフトウェア)を用いて導出した。なお、金型は実施例1と同様、図5に示すような金型を想定した。つまり、L=10mm、L=0.7mmである。金型を構成する材料及び樹脂の比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率は、以下の表5に示す値を用いた。
Figure 0005730868
Therm1(一次元熱伝導解析ソフトウェア)を用いて、キャビティ表面から7μmの深さでの樹脂の温度と、樹脂の金型内での保持時間との関係を、断熱層の厚みを変えてそれぞれの厚みごとに、実施例1と同様に導出したところ、断熱層の厚みを500μmにすることにより、金型温度80℃の条件で、金型に流れ込んだ樹脂が、150℃以上の状態を0.1秒以上(推定結果;0.49秒)保持することが推定できた。そこで、実際に、L=10mm、L=0.7mm、L=500μmである図5に示すような金型を作製した。なお、断熱層の形成方法については後述する。
作成した金型を用いて、金型温度80℃の条件で、成形品を作製し、断熱層が形成されている側の結晶化度の測定を行った。結晶化度の結果を表6に示した。
Figure 0005730868
150℃以上の状態を0.1秒以上保持する断熱層の厚みを熱伝導解析で決定し、この厚みの断熱層を金型に設けて、成形用の金型を製造する。このようにして金型を製造し、設定した成形条件(例えば金型温度80℃)で成形を行えば、所望の結晶化度の成形品を得ることが可能となる。
<断熱層の形成>
主としてジルコニアから構成される原料を、溶射法にて上記金型の内表面に溶射した。断熱層の表面は密度が高くなるように調整し、多層構造の断熱層を金型内表面に形成した。断熱層の厚み500μmになるまで溶射を続けた。
実際に測定した結果、金型を構成する材料及び結晶性樹脂の、比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率は、表5の通りであった。ジルコニア断熱層の熱伝導率はレーザーフラッシュ法にて熱拡散率、DSCにて比熱、水中置換法(JIS Z8807固体比重測定方法に準拠)にて比重を測定し、[熱伝導率]=[熱拡散率×比熱×比重]により算出した。
なお、多層構造の断熱層の熱伝導率(λ)は密度の低い層と高い層のそれぞれの熱伝導率を求め、密度の低い層の熱伝導率(λl)、密度の高い層の熱伝導率(λh)、断熱層全体の厚さに対する密度の低い層の厚さ割合(t)とした場合、[1/λ]=[t/λl]+[(1−t)/λh]の式を用い計算により求めた。
実施例2、実施例3より、熱伝導解析で設定した断熱層(セラミック)を金型に設ければ、金型温度100℃の条件に設定しても、成形品表面の結晶化度を所望の範囲にできることが確認された。

Claims (10)

  1. 結晶性熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる成形品を成形するための金型の製造方法であって、
    型に充填された結晶性熱可塑性樹脂のキャビティ表面近傍での結晶化速度が十分速い温度 と、該結晶性熱可塑性樹脂の金型内で結晶化速度が十分速い温度 以上を保持する保持時間とを導出する第1工程と、
    金型温度がTc2−100℃以下で、前記キャビティ表面近傍の温度が導出した温度以上を保持する時間が、導出した前記保持時間を満たすような断熱層を前記金型に設ける第2工程と、を有し、
    前記T c2 は、示差走査熱量計(DSC)を用い、窒素雰囲気下で、前記熱可塑性樹脂組成物を340℃で2分間保持した後、10℃/分の速度で降温し、得られたDSCチャートから読み取られる発熱ピークの温度であり、
    前記結晶化速度が十分速い温度T は、前記結晶性熱可塑性樹脂の前記結晶化速度と前記樹脂温度との関係に基づいて決定される温度であって、結晶化速度が最も速い結晶化速度の1/1000より速い最低樹脂温度であり、
    前記第1工程では、
    結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度と樹脂温度との関係に基づき、
    c2 −100℃を超えT c2 −100℃に近い金型温度にてそれぞれ測定される、前記キャビティ表面近傍の樹脂温度と前記金型内で樹脂が保持される保持時間との関係から導き出される曲線Pにおいて該樹脂温度がT となる保持時間をΔt とし、
    前記曲線Pを導き出す際の条件よりも前記キャビティ表面近傍の樹脂温度の低下が抑えられた条件でそれぞれ測定される、該キャビティ表面近傍の樹脂温度と前記金型内で樹脂が保持される保持時間との関係から導き出される曲線Qにおいて該樹脂温度がT となる保持時間をΔt とする場合に、
    前記Δt が前記Δt よりも大きい関係にあり、前記成形品表面の結晶化度が所望の範囲になるように、前記温度T と、前記結晶性熱可塑性樹脂の該温度T 以上を保持する保持時間とを導出する
    金型の製造方法。
  2. 前記金型温度は、100℃以下であり、
    前記結晶性熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンサルファイド系樹脂の場合に、
    前記キャビティ表面近傍の温度は、150℃以上であり、
    前記保持時間は、0.1秒以上である
    請求項1に記載の金型の製造方法。
  3. 前記断熱層は、前記キャビティ表面近傍の温度と前記保持時間との関係を熱伝導解析により導出して、該関係に基づいて断熱層の材料、設置位置、形状が決定され、
    前記熱伝導解析は、キャビティの表面に断熱層が形成された金型を用い、金型を構成する材料及びの前記結晶性熱可塑性樹脂の、比重、比熱、熱伝導率、熱拡散率をパラメータとして行う
    請求項1又は2に記載の金型の製造方法。
  4. 前記断熱層は、熱伝導率が0.3W/m・K以下、厚みが60μm以上である
    請求項1から3のいずれかに記載の金型の製造方法。
  5. 前記断熱層は、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド及びポリエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む
    請求項1から4のいずれかに記載の金型の製造方法。
  6. 前記断熱層は、表面に金属層を有する
    請求項1から5のいずれかに記載の金型の製造方法。
  7. 前記断熱層は、セラミックを含む
    請求項1から6のいずれかに記載の金型の製造方法。
  8. 前記セラミックは、二酸化ケイ素である
    請求項7に記載の金型の製造方法。
  9. 前記セラミックは、多孔質ジルコニアから構成される
    請求項7に記載の金型の製造方法。
  10. 前記金型温度は、前記金型温度は、結晶が不充分な状態で成形された樹脂を昇温した場合に結晶化する温度であるc1以下である
    請求項1から9のいずれかに記載の金型の製造方法。
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