以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<実施形態1>
まず、本実施形態の電子機器の全体構成について説明する。
図1は本実施形態の電子機器の一例を模式的に示す斜視図である。図示するように、本実施形態の電子機器は、第1の筺体10と、第2の筺体20と、を有する。第1の筺体10は第1の電子部品(電子回路)を有し、第2の筺体20は第2の電子部品(電子回路)を有する。第1の筺体10および第2の筺体20は、例えばヒンジ50により連結される。
図2は、図1に示す電子機器の内部構造の一例を模式的に示す透過図である。図3は、第1の筺体10および第2の筺体20を除いた状態の電子機器を模式的に示す平面図および側面図である。図示するように、本実施形態の電子機器は、第1の筺体10が有する第1の電子部品11と、第2の筺体20が有する第2の電子部品21と、アンテナ30と、第1の電子部品11および第2の電子部品21を電気的に接続する接続体40と、を有する。
図4は、図3の状態の電子機器からさらにアンテナ30を除いた状態の一例を模式的に示す斜視図である。図示するように、接続体40は、ヒンジ50の内部を通ってもよい。
以下、各構成について説明する。
第1の筺体10は、第1の電子部品11を備える。また、第2の筺体20は、第2の電子部品21を備える。本実施形態において、第1の筺体10、第2の筺体20、第1の電子部品11、および、第2の電子部品21の構成(筺体の形状および材料、電子部品の種類など)は特段制限されず、従来技術に準じたあらゆる構成とすることができる。
アンテナ30は、第1の筺体10の端部に設けられる。第1の筺体10の端部とは、第1の筺体10を平面視した際における第1の筺体10の外周沿い付近のことである。アンテナ30は、アンテナ特性を考慮した設計上、第1の筺体10の端部に設けられる。例えば、アンテナ30は、図2に示すように、第1の筺体10の端部、かつ、第2の筺体20の端部となる位置に設けられてもよい。かかる場合、アンテナ30は、ヒンジ50と平面視で一部または全部が重なる場合がある。なお、アンテナ30の構成(形状、材料、第1の筺体10の端部上における位置など)は特段制限されず、従来技術に準じたあらゆる構成とすることができる。
接続体40は、第1の筺体10が備える第1の電子部品11と、第2の筺体20が備える第2の電子部品21とを電気的に接続する。このような機能を有する接続体40は、第1の筺体10と第2の筺体20に跨って設けられる。その配置方法は様々であるが、接続体40は、設計上、アンテナ30が設けられている第1の筺体10の端部を通るように設けられる場合がある。「第1の筺体10の端部を通る」とは、平面視で、接続体40の少なくとも一部が第1の筺体10の端部と重なることを意味する。
このような本実施形態の電子機器の場合、アンテナ30と、接続体40との位置関係は、例えば図2に示すように近接した状態となることがある。そして、アンテナ30と接続体40とが平面視で互いに重なる場合もある。かかる場合、アンテナ30から発信した電波が接続体40の導体に干渉して電流を生じさせたり、または、接続体40の導体を流れるノイズ電流がアンテナ30に影響したりすることで、アンテナ特性が劣化してしまう恐れがある。そこで、本実施形態の接続体40は、上記不都合を回避するための構造を有する。以下、本実施形態の接続体40の構造の一例について説明する。
図5は、本実施形態の接続体40の断面構造の一例を模式的に示す図である。図示するように、接続体40は、積層構造を有する第1の構造体60と、第1の構造体60の最外層(61Aおよび61B)に接して設けられる第2の構造体70と、を有する。
第1の構造体60は、導電体と誘電体とを含む積層構造を有し、最外層(61Aおよび61B)が導電体層となっている。第1の構造体60の層構成は、最外層(61Aおよび61B)が導電体層となっていること以外は特段制限されず、層の数も特段制限されない。このような第1の構造体60は、従来技術に準じたあらゆる構成のフレキシブル基板とすることができる。第1の構造体60の一例としては、例えば、図5に示すように、導電体層61A、誘電体層62、導電体および絶縁体からなる層63、誘電体層64、導電体および絶縁体からなる層65、誘電体層66、および、導電体層61Bがこの順に積層した積層構造であってもよい。この構成の場合、導電体および絶縁体からなる層63、および、導電体および絶縁体からなる層65が信号線を有する層となっている。最外層(導電体層61Aおよび61B)は、例えば、銅などの材料で形成された層であってもよいし、または、銀ペーストで形成された層であってもよい。最外層(導電体層61Aおよび61B)は、GND層を構成していてもよい。
第2の構造体70は、第1の構造体60の最外層(導電体層61Aおよび61B)の少なくとも1つの外表面に接して設けられる。図5に示す例では、第1の構造体60の2つの最外層(導電体層61Aおよび61B)の外表面それぞれに接して、第2の構造体70Aおよび70Bが設けられている。また、第2の構造体70は、第1の構造体60の最外層(導電体層61Aおよび61B)の外表面全面に設けられてもよいし、一部領域に設けられてもよい。一部領域に設けられる場合の好ましい位置は、以下で説明する。なお、「最外層(導電体層61Aおよび61B)の外表面全面に設ける」とは、設計上配置可能な箇所全面に設けるという意味であり、最外層(導電体層61Aおよび61B)の外表面に他の構成(第1の電子部品11または第2の電子部品21と接続するための構成など)が存在する場合には、その構成を除いた全面に設ければよい。
ここで、図6に、第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の断面図を模式的に示す。図6に示す最外層61は、例えば図5に示す最外層61Aおよび61Bなどが該当する。
図6に示すように第2の構造体70は、第1導体71と、接続部材73と、誘電体層75と、を有する。
誘電体層75は、第1の構造体60の最外層61と接して設けられる。そして、誘電体層75は、少なくとも一部が、第1の構造体60の最外層61と接着する接着層75Bを構成している。例えば図6に示すように、誘電体層75は、誘電体で構成される層75Aと、接着層75Bと、からなる積層構造であってもよい。層75Aは、例えばフレキシブル性を有する基板であってもよい。さらに具体的には、層75Aは、例えばガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板等であってもよい。層75Aは、単層であってもよいし、複層であってもよい。次に、接着層75Bは、例えば接着剤で構成することができる。接着剤の原料としては特段制限されず、例えば天然ゴム、アクリル樹脂、シリコーン等を用いることができる。なお、層75Aおよび接着層75Bの厚さは設計事項である。
第1導体71は、誘電体層75の表面であって、第1の構造体60の最外層61と接する面77と反対側の面76上に、最外層61と対向するように設けられる。なお、第1導体71は、誘電体層75の内部に、最外層61と対向して設けられてもよい。このような第1導体71は、少なくとも一部領域に繰り返し構造、例えば周期的な構造を有している。繰り返し構造としては、図6に示すように、互いに分離した複数の島状導体71Aが繰り返し、例えば周期的に設けられた構造が考えられる。
なお、島状導体71Aにおける「繰り返し」には、島状導体71Aが部分的に欠落している場合も含まれる。また「周期的」には、一部の島状導体71Aそのものの配置がずれている場合も含まれる。すなわち厳密な意味での周期性が崩れた場合においても、島状導体71Aが繰り返し配置されている場合には、島状導体71Aを構成要素の一部とするEBG構造(以下で説明する)のメタマテリアルとしての特性を得ることができるため、「周期性」にはある程度の欠陥が許容される。
島状導体71Aの原料は特段制限されず、例えば銅等を選択できる。島状の形状についても特段制限されず、三角形、四角形、五角形、それ以上の頂点を有する多角形、円形等、あらゆる形状を選択できる。なお、大きさおよび/または形状が異なる2種類以上の島状導体71Aを繰り返し配置することもできる。かかる場合、2種類以上の島状導体71Aは、各種それぞれ周期的に配列されるのが望ましい。島状導体71Aの大きさ、相互間隔等は、島状導体71Aを構成要素の一部とするEBG構造(以下で説明する)に設定する所望のバンドギャップ帯域に応じて定められる。
接続部材73は、誘電体層75の内部に設けられ、一部または全部の島状導体71Aと、第1の構造体60の最外層61とを、電気的に接続する。すなわち、接続部材73は、少なくとも誘電体層75の面77(第1の構造体60の最外層61と接する面)側で露出し、最外層61と接するとともに、一部または全部の島状導体71Aと接する。なお、一部の島状導体71Aと最外層61とを電気的に接続するよう接続部材73が設けられる場合、この接続部材73は、周期的に設けられてもよいし、周期的に設けられなくてもよい。しかし、接続部材73を周期的に設けた場合、接続部材73を構成要素の一部とするEBG構造(以下で説明する)は、Bragg反射を起こしてバンドギャップ帯域が広がるため、周期的であるのが望ましい。ここでの「周期的」には、一部の接続部材73そのものの配置がずれている場合も含まれる。このような接続部材73は、例えば銅、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成することができる。
本実施形態の第2の構造体70は接着層75Bを有するシートであり、フレキシブル基板である第1の構造体60の外表面に第2の構造体70(シート)を貼り付けることで、本実施形態の接続体40が得られる。
ここで、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、EBG構造が構成される。図7および8に、本実施形態の第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより構成されるEBG構造の一例を模式的に示す。図7は、EBG構造の構成を模式的に示す斜視図であり、図8は、図7のEBG構造の断面図である。
図7および図8に示すEBG構造は、シート状導体2と、互いに分離した複数の島状導体1と、複数の接続部材3と、を有する。シート状導体2は第1の構造体60の最外層61に対応し、島状導体1は第2の構造体70の島状導体71Aに対応し、接続部材3は第2の構造体70の接続部材73に対応する。
複数の島状導体1は、平面視でシート状導体2と重なる領域であって、シート状導体2から離れた位置に、誘電体層(図示せず)を挟んで配置されている。また、複数の島状導体1は、周期的に配列されている。接続部材3は、複数の島状導体1のそれぞれを、シート状導体2と電気的に接続している。このEBG構造は、1つの島状導体1と、当該島状導体1に対応して設けられた接続部材3と、シート状導体2の中の当該島状導体1に対向する領域と、によって単位セルAが構成されている。そして、この単位セルAが繰り返し、例えば周期的に配置されることにより、この構造体はメタマテリアル、例えばEBG(Electromagnetic Band Gap)として機能する。このEBG構造は、いわゆるマッシュルーム構造を有するEBG構造である。
ここで、単位セルAの「繰り返し」には、いずれかの単位セルAにおいて構成の一部が欠落している場合も含まれる。また単位セルAが2次元配列を有している場合には、「繰り返し」には単位セルAが部分的に欠落している場合も含まれる。また「周期性」には、一部の単位セルAにおいて構成要素(島状導体1、接続部材3)の一部がずれている場合や、一部の単位セルAそのものの配置がずれている場合も含まれる。すなわち厳密な意味での周期性が崩れた場合においても、単位セルAが繰り返し配置されている場合には、メタマテリアルとしての特性を得ることができるため、「周期性」にはある程度の欠陥が許容される。なお、これらの欠陥が生じる要因としては、単位セルAの間に配線やビアを通す場合、既存の配線レイアウトにメタマテリアル構造を追加する場合において既存のビアやパターンによって単位セルAが配置できない場合、製造誤差、及び既存のビアやパターンを単位セルの一部として用いる場合などが考えられる。上述の前提は、以下のすべての実施形態において同様である。
図9は、図8に示した単位セルAの等価回路図である。図9に示すように、この単位セルAは、隣り合う島状導体1間に生じるキャパシタンスC、および、接続部材3がつくるインダクタンスL、からなる。
このEBG構造によれば、シート状導体2の表面におけるノイズの伝播を抑制できる。また、隣り合う島状導体1どうしがキャパシタンスCを構成することで、EBG構造体付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
すなわち、第1の構造体60の最外層61と第2の構造体70とにより上記のようなEBG構造を構成している本実施形態の接続体40は、第2の構造体70が設けられている領域において、第1の構造体60の最外層61の表面におけるノイズの伝播を抑制でき、また、接続体40付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
ここで、上記EBG構造は、複数の島状導体1とシート状導体2との間隔、接続部材3の太さ、複数の島状導体1の相互間隔等を調節することで、バンドギャップとなる周波数帯を調節することができる。すなわち、EBG構造により伝播を抑制されるノイズの周波数を調節することができる。
例えば、図8に示すEBG構造の場合、隣り合う2つの島状導体1と、各島状導体1それぞれに接続した2つの接続部材3と、この島状導体1と対向するシート状導体2とは、図10に示す等価回路図で示すことができる。このような等価回路図で示されるEBG構造のバンドギャップ帯域fは、図11に示す式により算出することができる。この式に従い、EBG構造を構成するキャパシタンスCおよび/またはインダクタンスLを適当に調節することで、所望のf値を設定することができる。さらに具体的には、例えば隣り合う島状導体1間の距離を変更したり、島状導体1の大きさを変更したり、接続部材3の長さを変更したりすることで、キャパシタンスCおよび/またはインダクタンスLを適当に調節し、所望のf値を設定することができる。なお、以下の実施形態で説明する他の構成のEBG構造の場合も同様に、それぞれのEBG構造により定まるバンドギャップ帯域fを算出するための式に基づき、キャパシタンスCおよび/またはインダクタンスLを適当に調節することで、所望のf値を設定することができる。
ここで、第2の構造体70を設けることによる上記作用効果を前提にして、第2の構造体70を設ける好ましい位置について説明する。
上述の通り、第2の構造体70は、第1の構造体60の最外層61の少なくとも1つの外表面に接して設けられる。しかし、上記作用効果を考慮すると、第2の構造体70は、第1の構造体60の両方の最外層61(図5の場合、61Aおよび61B)の外表面に設けられるのが好ましい。なお、いずれか一方のみに設けられる場合、第2の構造体70は、アンテナ30と相互作用しやすい面に設けられるのが好ましい。例えば、アンテナ30と対峙する側の面に設けられてもよい。
また、上述の通り、第2の構造体70は、最外層61の外表面全面に設けられてもよいし、一部領域に設けられてもよい。しかし、上記作用効果を考慮すると、第2の構造体70は、最外層61の外表面全面に設けられるのが好ましい。なお、一部領域に設けられる場合は、少なくとも、(1)アンテナの給電点から最も近い箇所、および/または、(2)平面視でアンテナと重なる箇所、に設けられるのが好ましい。給電点から近い場所とは、例えばアンテナの給電点が設けられている筐体(電子部品)とフレキが接続している点である。その際、上記に記載した箇所は本実施形態における適した場合ではあるが、筐体(電子部品)、アンテナ、フレキの接続関係が異なる場合は、これに限定されない。以下、上記した箇所に設けるのが望ましい理由について説明する。
図12に、本実施形態の接続体40から第2の構造体70を除いた状態の電子機器において、アンテナ30に885MHzの電流を流した時の電流分布を示す。図中、黒い部分ほど電流密度が高いことを示す。図示するように、アンテナ30から、接続体40の表面に電流が流れていることが分かる。特に、給電点(図中、Bで示す箇所)から最も近い箇所、および、アンテナ30と平面視で重なる箇所から、接続体40の表面に電流が流れていることが分かる。すなわち、(1)アンテナの給電点から最も近い箇所、および/または、(2)平面視でアンテナと重なる箇所、に第2の構造体70を設け、上記作用効果を有するEBG構造を構成することで、アンテナ30から接続体40の表面に電流が流れることを効果的に抑制できる。例えば、アンテナ30の給電点(図中、Bで示す箇所)から最も近い箇所を含めるように、図13中、Cで示す領域内に第2の構造体70を設けてもよい。そして、これに加えてまたは代えて、平面視でアンテナ30と重なる箇所を含めるように、図13中、Dで示す領域内に第2の構造体70を設けてもよい。なお、アンテナ30から接続体40に流れる電流をEBG構造により抑制するためには、伝播を抑制したい電流の周波数をEBG構造のバンドギャップ帯域に含める必要がある。すなわち、図10の例の場合、885MHzをEBG構造のバンドギャップ帯域に含める必要がある。当該手段は、上述した通りである。
本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。
フレキシブル基板(接続体40)に不要な(想定していない)電流が生じると、アンテナ設計時には想定していない電流が近傍に流れるため、アンテナ30の放射効率や指向性に影響を与えアンテナ特性の劣化を生じてしまう。本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な(想定してない)電流が生じることを防ぐことができるため、放射効率や指向性などアンテナ特性の劣化を防ぐことができる。すなわち、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造が構成され、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
なお、本実施形態の第2の構造体70は、以下の実施形態で説明する他の構造の第2の構造体70に比べて構成が比較的シンプルである。このため、製造工程を少なくすることができるほか、製造コストの面でも優れている。
次に、本実施形態の接続体40の製造方法の一例について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態の接続体40の製造工程の一例を示す断面図である。
最初に、第2の構造体70の製造方法について説明する。
まず、(1)に示すように、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板等の基板(層75A)の第1の面(図中、上側の面)に、銅箔71を形成する。次に、(2)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、銅箔71の一部を選択的にエッチングすることでパターン(互いに分離した複数の島状導体71A)を形成する。その後、(3)に示すように、ドリルにより、島状導体71Aと層75Aを貫通する穴を形成する。
次に、(4)に示すように、(3)で形成した穴に、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成された貫通ピン(接続部材73)を挿入する。
その後、(5)に示すように、層75Aの第2の面(図中、下側の面)に接着層75Bを形成する。この接着層75Bは、接続部材73が接着層75Bを貫通し、露出するように形成される。このように形成する具体的手段としては特段制限されないが、以下のような手段であってもよい。例えば、(4)で挿入する接続部材73の長さを、挿入した状態で層75Aの第2の面(図中、下側の面)から一端が露出する程度の長さに構成する。そして、接着層75Bをシート状接着剤で構成し、シート状接着剤(接着層75B)を層75Aの第2の面に形成する際に、シート状接着剤(接着層75B)を強く押し込むことで、接続部材73の一端をシート状接着剤(接着層75B)の表面から露出させることで実現してもよい。または、接着層75Bを、流動性を有する接着剤で構成するようにし、層75Aの第2の面(図中、下側の面)にこの接着剤を塗布した後、スキージを用いて、接続部材73の表面に塗布された接着剤を取り除くことで、接続部材73を接着層75Bの表面から露出させてもよい。次に、必要に応じて、互いに分離した複数の島状導体71Aおよび層75Aの第1の面を覆う、非導電性の表面層(図示せず)を設ける。
その後、図5に示すように、従来技術に準じて製造した第1の構造体60(フレキシブル基板)の所望の位置に、接着層75Bが第1の構造体60の最外層61A(または61B)に接するように第2の構造体70を貼り付ける。この時、接続部材73が第1の構造体60の最外層61A(または61B)と接するように貼り付ける。
ここで、図7および8に示すようなEBG構造を有するシートを単に第1の構造体60(フレキシブル基板)の外表面に貼り付けただけでは、上述の効果を実現することはできない。以下、図42を用い、この理由を説明する。
図42は、図7および8に示すEBG構造を有するシート700を、第1の構造体610(フレキシブル基板)の外表面に貼り付けた状態を示す断面図である。図42に示すシート700は、シート状導体702と、互いに分離した複数の島状導体701と、複数の接続部材703と、を有している。
図42に示すように、通常、シート700は、被接着体との接着性を確保するため、絶縁性の接着剤による層704を有する。この接着剤による層704は、図42に示すように、EBG構造を有するシート700を第1の構造体610(フレキシブル基板)に貼り付けた状態において、シート状導体702と第1の構造体610(フレキシブル基板)との間に位置し、これらを互いに電気的に分離した状態とする。このように、第1の構造体610(フレキシブル基板)とEBG構造とが電気的に分離された状態においては、第1の構造体610(フレキシブル基板)の表面におけるノイズの伝播を抑制することはできない。
本実施形態の電子機器は、上述の課題を解決している。具体的には、本実施形態の電子機器は、図6に示すように、第1の構造体60(フレキシブル基板)の最外層61がEBG構造の一部を構成する。かかる場合、上述のように、第1の構造体610(フレキシブル基板)とEBG構造とが電気的に分離した状態となることはない。
ここで、上記説明では、いわゆる折畳式の携帯電話を例に説明したが、本実施形態の電子機器は、これに限定されず、第1の電子部品を備える第1の筺体と、第2の電子部品を備える第2の筺体と、第1の筺体の端部に設けられるアンテナと、第1の電子部品と第2の電子部品とを電気的に接続する接続体と、を有し、アンテナと接続体とが近接する場合があり得るあらゆる電子機器が該当する。例えば、本実施形態の電子機器は、いわゆるスライド式の携帯電話であってもよい。
<実施形態2>
本実施形態の電子機器は、実施形態1の電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。他の構成については、実施形態1の電子機器と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図15は、本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図である。図示する第2の構造体70は、実施形態1の第2の構造体70(図6参照)を基本とし、接続部材73(73A、73B、73C)の構成が異なる。他の構成については、実施形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の接続部材73は、導電性の第1接続部材73Aと、導電性の第2接続部材73Bと、導電性の第3接続部材73Cと、からなる。第1接続部材73Aは、一端が誘電体層75の面77を貫通し、第1の構造体60の最外層61と接するとともに、他端側を介して第2接続部材73Bと導通する。この第1接続部材73Aは、島状導体71Aに設けられた穴を島状導体71Aと非接触な状態で通過している。第2接続部材73Bは、第1接続部73Aと導通し、島状導体71Aと対向するように設けられる。この第2接続部材73Bの平面形状は、直線であってもよいし、曲線であってもよいし、スパイラル形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。第3接続部材73Cは、一端側を介して第2接続部材73Bと導通し、誘電体層75の面77方向に伸びた他端側を介して島状導体71Aと導通している。ここで、第2接続部材73Bをスパイラル形状にした場合の一例を、図16および17に示す。図16は、図17のイ−イ´の断面図であり、図17は、図16を図中上から下に見た平面図である。なお、図16および17においては、構成をより明確にするため、他の図とは異なるハッチングを使用している。
ここで、図15および16に示すような本実施形態においても、第1の構造体60の最外層61と、第2の構造体70とにより、EBG構造が構成されている。しかし、本実施形態において構成されるEBG構造は、実施形態1で説明したEBG構造と異なる。
本実施形態において構成されるEBG構造は、1つの島状導体71Aと、当該島状導体71Aに対応して設けられた接続部材73(73A、73B、73C)と、第1の構造体60の最外層61の中の当該島状導体71Aに対向する領域と、によって単位セルAが構成されている。このEBG構造は、接続部材73Bを含んで形成されるマイクロストリップ線路がショートスタブとして機能するショートスタブ型のEBG構造である。詳細には、接続部材73Aはインダクタンスを形成している。また、接続部材73Bは、対向する島状導体71Aと電気的に結合することで島状導体71Aをリターンパスとするマイクロストリップ線路を形成している。前記マイクロストリップ線路の一端は第3接続部材73Cによってショート端となっており、ショートスタブとして機能するように構成されている。
図18は、図15および16に示した単位セルAの等価回路図である。図18に示すように、この単位セルAは、インピーダンス部Xとアドミタンス部Yとで構成される。インピーダンス部Xは、隣り合う島状導体71A間に生じるキャパシタンスC、および、島状導体71AがつくるインダクタンスL、からなる。アドミタンス部Yは、第1の構造体60の最外層61と島状導体71AとがつくるキャパシタンスC、および、第1接続部材73AがつくるインダクタンスL、および、第2接続部材73B(伝送線路)と第3接続部材73Cとを含んでなるショートスタブ、からなる。
一般に、EBG構造は、インピーダンス部Xがキャパシタンス性でありかつ、アドミタンス部Yがインダクタンス性となる周波数領域で電磁バンドギャップを生じることが知られている。図15および16に示すようなショートスタブ型EBG構造では、ショートスタブのスタブ長を長くすることによって、アドミタンス部Yがインダクタンス性となる周波数帯域を低周波化することができる。このため、バンドギャップ帯域を低周波化することが可能である。ショートスタブ型EBG構造はバンドギャップ帯域の低周波化にスタブ長が必要であるが必ずしも面積を必要としないため、単位セルの小型化を図ることができる。
このEBG構造によれば、第1の構造体60の最外層61の表面におけるノイズの伝播を抑制でき、また、接続体40付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
すなわち、本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。このため、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造が構成され、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
本実施形態の第2の構造体70により構成されるEBG構造は、特徴的な接続部材73(73A、73B、73C)の構成により、図18に示したように多様なインダクタンスLおよびキャパシタンスCを形成することができる。その結果、所望の周波数帯のノイズの伝播を抑制するために要求されるインダクタンスLおよびキャパシタンスCを、島状導体71Aや接続部材73(73A、73B、73C)の大きさを必要以上に大きくすることなく得ることが可能となる。すなわち、単位セルAの大きさを比較的小さくすることが可能となる。かかる場合、単位面積あたりの単位セルAの数を増やすことが可能となり、より効果的にノイズの伝播を抑制することが可能となる。
次に、本実施形態の電子機器の製造方法の一例について、図19を用いて説明する。図19は、本実施形態の第2の構造体70の製造工程の一例を示す断面図である。
最初に、第2の構造体70の製造方法について説明する。
まず、(1)に示すように、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板等の基板(層75A(1))の第1の面(図中、上側の面)に銅箔73Bを形成し、第2の面(図中、下側の面)に銅箔71を形成する。次に、(2)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、銅箔71の一部を選択的にエッチングすることでパターン(互いに分離した複数の島状導体71A)を形成する。また、フォトリソグラフィとエッチングにより、銅箔73Bの一部を選択的にエッチングすることでパターン(第2接続部材73B)を形成する。なお、島状導体71Aは、第1接続部材73Aを通過させるための穴を設けたパターンに形成される。この穴は、第1接続部材73Aの径より大きく設けられる。
その後、ドリルにより、第2接続部材73Bと層75A(1)と島状導体71Aとを貫通する穴を形成し、この穴に、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成された貫通ピン(第3接続部材73C)を挿入することで、(3)に示す状態を得る。
次に、(4)に示すように、層75A(1)の第2の面(図中、下側の面)の上に、さらに誘電体層75A(2)を形成する。例えば、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板等のフレキシブル性を有する新たな基板(層75A(2))を用意し、この基板(層75A(2))の第1の面(図中、上側の面)を、層75A(1)の第2の面(図中、下側の面)に貼り付けることで実現してもよい。このように、本実施形態では、島状導体71A(第1導体)は、層75A(1)および75A(2)で構成される誘電体層の内部に設けられる。
その後、(5)に示すように、ドリルを用いて、第2接続部材73Bと層75A(1)および75A(2)と島状導体71Aとを貫通する穴を形成する。この穴は、(2)で島状導体71Aに設けられた穴よりも径が小さく、かつ、島状導体71Aに非接触な状態で、この穴を通過するようにドリルを貫通させることで形成される。その後、(6)に示すように、(5)で形成した穴に、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成された貫通ピン(第1接続部材73A)を挿入する。
その後、(7)に示すように、層75A(2)の第2の面(図中、下側の面)に接着層75Bを形成する。この接着層75Bは、接続部材73Aが接着層75Bを貫通し、露出するように形成される。このように形成する具体的手段は、実施形態1で説明した手段と同様の手段を用いることができる。次に、必要に応じて、第2接続部材73Bおよび層75A(1)の第1の面を覆う、非導電性の表面層(図示せず)を設ける。
その後、図15に示すように、従来技術に準じて製造した第1の構造体60(フレキシブル基板)の所望の位置に、接着層75Bが第1の構造体60の最外層61A(または61B)に接するように第2の構造体70を貼り付ける。この時、第1接続部材73Aが第1の構造体60の最外層61A(または61B)と接するように貼り付ける。
<実施形態3>
本実施形態の電子機器は、実施形態1の電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。他の構成については、実施形態1の電子機器と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図20は、本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図である。図示する第2の構造体70は、実施形態1の第2の構造体70を基本とし、接続部材73(73A、73B)の構成が異なる。他の構成については、実施形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の接続部材73は、導電性の第1接続部材73Aと、導電性の第2接続部材73Bと、からなる。第1接続部材73Aは、一端が誘電体層75の面77を貫通し、第1の構造体60の最外層61と接するとともに、他端側を介して第2接続部材73Bと導通する。この第1接続部材73Aは、島状導体71Aに設けられた穴を島状導体71Aと非接触な状態で通過している。第2接続部材73Bは、第1接続部73Aと導通し、島状導体71Aと対向するように設けられる。この第2接続部材73Bの平面形状は、直線であってもよいし、曲線であってもよいし、スパイラル形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。第2接続部材73Bの他端は開放端となっている。ここで、第2接続部材73Bをスパイラル形状にした場合の一例を、図21および22に示す。図21は、図22のロ−ロ´の断面図であり、図22は、図21を図中上から下に見た平面図である。なお、図21および22においては、構成をより明確にするため、他の図とは異なるハッチングを使用している。
ここで、図20および21に示すような本実施形態においても、第1の構造体60の最外層61と、第2の構造体70とにより、EBG構造が構成されている。しかし、本実施形態において構成されるEBG構造は、実施形態1および実施形態2で説明したEBG構造と異なる。
本実施形態において構成されるEBG構造は、1つの島状導体71Aと、当該島状導体71Aに対応して設けられた接続部材73(73A、73B)と、第1の構造体60の最外層61の中の当該島状導体71Aに対向する領域と、によって単位セルAが構成されている。このEBG構造は、接続部材73Bを含んで形成されるマイクロストリップ線路がオープンスタブとして機能するオープンスタブ型のEBG構造である。詳細には、接続部材73Aはインダクタンスを形成している。また、接続部材73Bは、対向する島状導体71Aと電気的に結合することで島状導体71Aをリターンパスとするマイクロストリップ線路を形成している。前記マイクロストリップ線路の一端はオープン端となっており、オープンスタブとして機能するように構成されている。
図23は、図20および21に示した単位セルAの等価回路図である。図23に示すように、この単位セルAは、インピーダンス部Xとアドミタンス部Yとで構成される。インピーダンス部Xは、隣り合う島状導体71A間に生じるキャパシタンスC、および、島状導体71AがつくるインダクタンスL、からなる。アドミタンス部Yは、第1の構造体60の最外層61と島状導体71AとがつくるキャパシタンスC、および、第1接続部材73AがつくるインダクタンスL、および、第2接続部材73B(伝送線路)を含んでなるオープンスタブ、からなる。
一般に、EBG構造は、インピーダンス部Xがキャパシタンス性でありかつ、アドミタンス部Yがインダクタンス性となる周波数領域で電磁バンドギャップを生じることが知られている。図20および21に示すようなオープンスタブ型EBG構造では、オープンスタブのスタブ長を長くすることによって、アドミタンス部Yがインダクタンス性となる周波数帯域を低周波化することができる。このため、バンドギャップ帯域を低周波化することが可能である。オープンスタブ型EBG構造はバンドギャップ帯域の低周波化にスタブ長が必要であるが必ずしも面積を必要としないため、単位セルの小型化を図ることができる。
このEBG構造によれば、第1の構造体60の最外層61の表面におけるノイズの伝播を抑制でき、また、接続体40付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
すなわち、本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。このため、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造が構成され、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
本実施形態の第2の構造体70により構成されるEBG構造は、特徴的な接続部材73(73A、73B)の構成により、図23に示したように多様なインダクタンスLおよびキャパシタンスCを形成することができる。その結果、所望の周波数帯のノイズの伝播を抑制するために要求されるインダクタンスLおよびキャパシタンスCを、島状導体71Aや接続部材73(73A、73B)の大きさを必要以上に大きくすることなく得ることが可能となる。すなわち、単位セルAの大きさを比較的小さくすることが可能となる。かかる場合、単位面積あたりの単位セルAの数を増やすことが可能となり、より効果的にノイズの伝播を抑制することが可能となる。
本実施形態の電子機器の製造方法は、実施形態2で説明した電子機器の製造方法に準じて実現することができる。よって、ここでの説明は省略する。
<実施形態4>
本実施形態の電子機器は、実施形態1の電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。他の構成については、実施形態1の電子機器と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図24は、本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図である。図示する第2の構造体70は、実施形態1の第2の構造体70(図6参照)を基本とし、接続部材73(73A、73B)の構成が異なる。他の構成については、実施形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の接続部材73は、導電性の第1接続部材73Aと、導電性の第2接続部材73Bと、からなる。第1接続部材73Aは、一端が誘電体層75の面77を貫通し、第1の構造体60の最外層61と接するとともに、他端側を介して第2接続部材73Bと導通する。第1接続部材73Aは、島状導体71Aとは接触しない。第2接続部材73Bは、第1接続部73Aと導通し、島状導体71Aと対向するように設けられる。この第2接続部材73Bの平面形状は、直線であってもよいし、曲線であってもよいし、スパイラル形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。第2接続部材73Bの他端は開放端となっている。
ここで、図24に示すような本実施形態においても、第1の構造体60の最外層61と、第2の構造体70とにより、EBG構造が構成されている。しかし、本実施形態において構成されるEBG構造は、実施形態1乃至3で説明したEBG構造と異なる。
本実施形態において構成されるEBG構造は、1つの島状導体71Aと、当該島状導体71Aに対応して設けられた接続部材73(73A、73B)と、第1の構造体60の最外層61の中の当該島状導体71Aに対向する領域と、によって単位セルAが構成されている。このEBG構造は、接続部材73Bを含んで形成されるマイクロストリップ線路がオープンスタブとして機能するオープンスタブ型のEBG構造である。詳細には、接続部材73Aはインダクタンスを形成している。また、接続部材73Bは、対向する島状導体71Aと電気的に結合することで島状導体71Aをリターンパスとするマイクロストリップ線路を形成している。前記マイクロストリップ線路の一端はオープン端となっており、オープンスタブとして機能するように構成されている。
図24に示した単位セルAの等価回路図は、実施形態3において説明した等価回路図(図23)と同じである。よって、ここでの説明は省略する。
このEBG構造によれば、第1の構造体60の最外層61の表面におけるノイズの伝播を抑制でき、また、接続体40付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
すなわち、本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。このため、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造が構成され、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
本実施形態の第2の構造体70により構成されるEBG構造は、特徴的な接続部材73(73A、73B)の構成により、図23に示したように多様なインダクタンスLおよびキャパシタンスCを形成することができる。その結果、所望の周波数帯のノイズの伝播を抑制するために要求されるインダクタンスLおよびキャパシタンスCを、島状導体71Aや接続部材73(73A、73B)の大きさを必要以上に大きくすることなく得ることが可能となる。すなわち、単位セルAの大きさを比較的小さくすることが可能となる。かかる場合、単位面積あたりの単位セルAの数を増やすことが可能となり、より効果的にノイズの伝播を抑制することが可能となる。
次に、本実施形態の電子機器の製造方法の一例について、図25を用いて説明する。図25は、本実施形態の第2の構造体70の製造工程の一例を示す断面図である。
最初に、第2の構造体70の製造方法について説明する。
まず、(1)に示すように、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板等の基板(層75A(1))の第1の面(図中、上側の面)に銅箔73Bを形成する。また、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板等のフレキシブル性を有する他の基板(層75A(2))の第1の面(図中、上側の面)に銅箔71を形成する。次に、(2)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、銅箔73Bの一部を選択的にエッチングすることでパターン(第2接続部材73B)を形成する。また、フォトリソグラフィとエッチングにより、銅箔71の一部を選択的にエッチングすることでパターン(互いに分離した複数の島状導体71A)を形成する。
その後、(3)に示すように、ドリルにより、第2接続部材73Bと層75A(1)を貫通する穴を形成する。次に、(4)に示すように、(3)で形成した穴に、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成された貫通ピン(第1接続部材73A)を挿入する。
その後、(5)に示すように、層75A(1)の第1の面(図中、上側の面)に、層75A(2)の第2の面(図中、下側の面)が接するように貼り付ける。次に、(6)に示すように、層75A(1)の第2の面(図中、下側の面)に接着層75Bを形成する。この接着層75Bは、第1接続部材73Aが接着層75Bを貫通し、露出するように形成される。このように形成する具体的手段は、実施形態1で説明した手段と同様の手段を用いることができる。次に、必要に応じて、互いに分離した複数の島状導体71Aおよび層75A(2)の第1の面を覆う、非導電性の表面層(図示せず)を設ける。
その後、図24に示すように、従来技術に準じて製造した第1の構造体60(フレキシブル基板)の所望の位置に、接着層75Bが第1の構造体60の最外層61A(または61B)に接するように第2の構造体70を貼り付ける。この時、第1接続部材73Aが第1の構造体60の最外層61A(または61B)と接するように貼り付ける。
<実施形態5>
本実施形態の電子機器は、実施形態1の電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。他の構成については、実施形態1の電子機器と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図26は、本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図である。本実施形態の第2の構造体70は、誘電体層75と、誘電体層75の一方の面76(第1の構造体60の最外層61と接する面77と反対側の面76)上に形成され、少なくとも一部領域に繰り返し構造、例えば周期的な構造を有している第1導体71と、を備える。
第1導体71の繰り返し構造としては、互いに分離した複数の島状導体71Aが繰り返し、例えば周期的に設けられた構造が考えられる。そして、複数の島状導体71Aの一部または全部には、図27の拡大斜視図に示すように、開口71Bが設けられる。複数の島状導体71Aの一部に開口71Bが設けられる場合、開口71Bは、周期的に設けられるのが望ましい。この開口71Bの中には、一端が島状導体71Aと電気的に接続している配線71Cが設けられる。開口71Bの大きさ、配線71Cの長さ、太さなどは、伝播を抑制するノイズの周波数に応じて定められる設計事項である。このような第1導体71は、第1の構造体60の最外層61と対向して設けられる。なお、第1導体71は、誘電体層75の内部に、第1の構造体60の最外層61と対向して設けられてもよい。
誘電体層75の一部は第1の構造体60の最外層61に接着する接着層75Bで構成される。
ここで、図26および27に示すような本実施形態においても、第1の構造体60の最外層61と、第2の構造体70とにより、EBG構造が構成されている。しかし、本実施形態において構成されるEBG構造は、実施形態1乃至4で説明したEBG構造と異なる。
図28および29に、本実施形態の第1の構造体60の最外層61と、第2の構造体70とにより構成されるEBG構造を模式的に示す。図28は、EBG構造の構成を模式的に示す斜視図であり、図29は、図28のEBG構造の側面図である。
図28および29に示すEBG構造は、シート状導体2と、互いに分離した複数の島状導体1と、島状導体1に設けられた開口1Bと、開口1Bの中に設けられた配線1Cと、により構成される。複数の島状導体1は、平面視でシート状導体2と重なる領域であって、シート状導体2から離れた位置に、誘電体層(図示せず)を挟んで配置されている。また、複数の島状導体1は、周期的に配列されている。複数の島状導体1には開口1Bが設けられ、開口1Bの中には、一端が島状導体1と電気的に接続している配線1Cが設けられている。配線1Cはオープンスタブとして機能しており、シート状導体2のうち配線1Cに対向する部分及び配線1Cが、伝送線路、例えばマイクロストリップ線路を形成している。
このEBG構造体は、1つの島状導体1と、この島状導体1の開口1Bの中に設けられた配線1Cと、シート状導体2の中のこれらに対向する領域と、によって単位セルAが構成されている。この単位セルAが周期的に配置されることにより、この構造体はメタマテリアル、例えばEBGとして機能する。図28および29に示す例では、単位セルAは平面視において2次元配列を有している。
複数の単位セルAは互いに同一の構造を有しており、同一の向きに配置されている。島状導体1および開口1Bは正方形で、中心が互いに重なるように配置されている。配線1Cは開口1Bの一辺の略中央からこの辺に対して略垂直に延伸している。
図30は、図28および29に示した単位セルAの等価回路図である。図30に示すように、シート状導体2と島状導体1との間にはキャパシタンスCが形成される。また、隣り合う島状導体1の相互間にもキャパシタンスCが形成される。そして、開口1Bを有する島状導体1にはインダクタンスLが形成される。
また、上記したように配線1Cはオープンスタブとして機能しており、シート状導体2のうち配線1Cに対向する部分と配線1Cとが、伝送線路、例えばマイクロストリップ線路を形成している。伝送線路の他端は開放端になっている。
このEBG構造によれば、シート状導体2の表面におけるノイズの伝播を抑制できる。また、隣り合う島状導体1どうしがキャパシタンスCを構成することで、EBG構造体付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
第1の構造体60の最外層61と第2の構造体70とにより上記のようなEBG構造を構成している本実施形態の接続体40は、第2の構造体70が設けられている領域において、第1の構造体60の最外層61の表面におけるノイズの伝播を抑制でき、また、接続体40付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
このような接続体40を有する本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。すなわち、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造が構成され、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
本実施形態の第2の構造体70は、実施形態1乃至4の第2の構造体70と違い、接続部材73を有さないので、接続部材73と第1の構造体60の最外層61との導通を確保する手段を備える必要がない。その結果、品質安定性が高くなる。
次に、本実施形態の電子機器の製造方法の一例について説明する。
最初に、第2の構造体70の製造方法について説明する。
本実施形態の第2の構造体70は、図14の(1)に示すように、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板等の基板(層75A)の第1の面に、銅箔71を形成後、(2)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、銅箔71の一部を選択的にエッチングすることでパターン(互いに分離した複数の島状導体71A)を形成する。このフォトリソグラフィおよびエッチングにより、島状導体71Aは、図27に示すパターンに形成される。その後、層75Aの第2の面に接着層75Bを形成することで、第2の構造体70を得ることができる。接着層75Bは、実施形態1に準じて形成することができる。
上記のようにして第2の構造体70を製造した後、図26に示すように、従来技術に準じて製造した第1の構造体60(フレキシブル基板)の所望の位置に、接着層75Bが第1の構造体60の最外層61A(または61B)に接するように第2の構造体70を貼り付ける。
<実施形態6>
本実施形態の電子機器は、実施形態5の電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。具体的には、島状導体71Aの開口71Bの中の構成が異なる。他の構成については、実施形態5の電子機器と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図は、実施形態5(図26参照)と同様である。次に、図31に本実施形態の第2の構造体70の島状導体71Aの拡大斜視図を示す。本実施形態の第2の構造体70は、複数の島状導体71Aの一部または全部に、図31に示すような開口71Bが設けられ、一部または全部の開口71Bの中には、第2の島状導体71Dおよび配線71Cが設けられている。配線71Cは、島状導体71Aと第2の島状導体71Dとを電気的に接続する。
ここで、図26および31に示すような本実施形態においても、第1の構造体60の最外層61と、第2の構造体70とにより、EBG構造が構成されている。しかし、本実施形態において構成されるEBG構造は、実施形態1乃至5で説明したEBG構造と異なる。
図32に、本実施形態の第1の構造体60の最外層61と、第2の構造体70とにより構成されるEBG構造を模式的に示す。図32は、EBG構造の構成を模式的に示す斜視図である。このEBG構造の断面図は、実施形態5と同様である(図29参照)。
図29および32に示すEBG構造は、シート状導体2と、互いに分離した複数の島状導体1と、島状導体1に設けられた開口1Bと、開口1Bの中に設けられた配線1Cおよび第2の島状導体1Dと、により構成される。複数の島状導体1は、平面視でシート状導体2と重なる領域であって、シート状導体2から離れた位置に、誘電体層(図示せず)を挟んで配置されている。また、複数の島状導体1は、周期的に配列されている。複数の島状導体1には開口1Bが設けられ、開口1Bの中には、一端が島状導体1と電気的に接続している配線1Cが設けられている。さらに、開口1Bの中には、配線1Cの他端と電気的に接続している第2の島状導体1Dが設けられている。
このEBG構造は、1つの島状導体1と、この島状導体1の開口1Bの中に設けられた配線1Cおよび第2の島状導体1Dと、シート状導体2の中のこれらに対向する領域と、によって単位セルAが構成されている。この単位セルAが周期的に配置されることにより、この構造体はメタマテリアル、例えばEBGとして機能する。図32に示す例では、単位セルAは平面視において2次元配列を有している。
複数の単位セルAは互いに同一の構造を有しており、同一の向きに配置されている。島状導体1および開口1Bおよび第2の島状導体1Dは正方形で、中心が互いに重なるように配置されている。配線1Cは開口1Bの一辺の略中央からこの辺に対して略垂直に延伸している。そして、配線1Cは、第2の島状導体1Dの第1の辺の中央と、開口1Bのうち第2の島状導体1Dの第1の辺に対向する辺の中央と、を電気的に接続している。
図33は、図32に示した単位セルAの等価回路図である。図33に示すように、島状導体1とシート状導体2との間には、キャパシタンスCが形成される。また、隣り合う島状導体1の相互間にもキャパシタンスCが形成される。さらに、第2の島状導体1Dとシート状導体2との間にもキャパシタンスCが形成される。そして、開口1Bを有する島状導体1にはインダクタンスLが形成される。また、島状導体1と第2の島状導体1Dとを電気的に接続する配線1Cは、インダクタンスLを有する。
このEBG構造によれば、シート状導体2の表面におけるノイズの伝播を抑制できる。また、隣り合う島状導体1どうしがキャパシタンスCを構成することで、EBG構造体付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
第1の構造体60の最外層61と第2の構造体70とにより上記のようなEBG構造を構成している本実施形態の接続体40は、第2の構造体70が設けられている領域において、第1の構造体60の最外層61の表面におけるノイズの伝播を抑制でき、また、接続体40付近におけるノイズの伝播を抑制できる。
このような接続体40を有する本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。すなわち、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造が構成され、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
本実施形態の第2の構造体70は、実施形態1乃至4の第2の構造体70と違い、接続部材73を有さないので、接続部材73と第1の構造体60の最外層61との導通を確保する手段を備える必要がない。その結果、品質安定性が高くなる。
本実施形態の電子機器の製造方法は、実施形態5で説明した電子機器の製造方法に準じて実現できるので、ここでの説明は省略する。
<実施形態7>
本実施形態の電子機器は、実施形態1乃至6のいずれか1つの電子機器を基本とし、接続体40の構成が異なる。他の構成については、実施形態1乃至6のいずれかと同様であるので、ここでの説明は省略する。
実施形態1乃至6では、第1の構造体60は多層構造を有するフレキシブル基板であり、かつ、第2の構造体70は接着層75Bを有するシートであり、第1の構造体60の最外層61に接して第2の構造体70を貼り付けることで、接続体40が構成されていた。
これに対し、本実施形態では、第1の構造体60および第2の構造体70により多層構造を有するフレキシブル基板、すなわち接続体40を構成する。
このような本実施形態の電子機器の製造方法は特段制限されず、従来の層形成技術を利用して実現することができる。すなわち、例えば、CVD法(化学気相成長法)、CMP法(化学的機械的研磨法)、フォトリソグラフィ、エッチングなどを組み合わせることで、実施形態1乃至6で説明した構成の接続体40を製造することができる。
本実施形態の電子機器によれば、実施形態1乃至6で説明した効果に加えて、アンテナ特性劣化を抑制する機能の寿命を延ばす効果が得られる。
すなわち、実施形態1乃至6の場合、第2の構造体70(シート)の接着層75B(接着剤)の性能寿命や予期せぬ要因により、第2の構造体70(シート)が第1の構造体60(フレキシブル基板)から剥がれ落ちてしまう恐れがある。
これに対し本実施形態の場合、第1の構造体60と第2の構造体70との密着力が実施形態1乃至6に比べて強いので、上記のような不都合が生じにくい。
<実施形態8>
本実施形態の電子機器は、実施形態1乃至7のいずれか1つの電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。他の構成については、実施形態1乃至7のいずれかと同様であるので、ここでの説明は省略する。
図34は、本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図である。本実施形態の第2の構造体70は、例えば、第1の誘電体層78と、第1の誘電体層78の一方の面76上に第2導体72と対向して形成され、少なくとも一部領域に繰り返し構造、例えば周期的な構造を有している第1導体71と、第1の誘電体層78の面77(面76と反対側の面)上に形成された第2導体72と、第2導体72の上に形成された第2の誘電体層79と、第1の誘電体層78の内部に設けられ、第1導体71と第2導体72を電気的に接続する接続部材73と、を有する。なお、第1導体71は、第1の誘電体層78の内部に、第2導体72と対向して設けられてもよい。
図34に示す第1導体71の構成は、例えば実施形態1で説明した第1導体71と同様である。また、第1の誘電体層78の構成は、接着層を有さない点以外は実施形態1で説明した誘電体層75と同様である。
第2導体72は、平面視で複数の島状導体71Aと対向するように第1の誘電体層78の面77上に延伸したシート状導体である。例えば銅等の材料で構成することができる。
第2の誘電体層79は、第2導体72の面(第1の誘電体層78と接する面と反対側の面)上に設けられ、第1の構造体60の最外層61と接する。すなわち、第2の誘電体層79は、第1の構造体60の最外層61と、第2導体72との間に挟まれる。このような第2の誘電体層79は、天然ゴム、アクリル樹脂、シリコーン等で構成された接着層であってもよい。または、第1の構造体60の最外層61の上に例えばCVD法を用いて形成された誘電体層であってもよい。第2の誘電体層79の内部には、導通部材79Aが設けられる。
導通部材79Aは、第2導体72と、第1の構造体60の最外層61とを導通するように構成される。例えば、導通部材79Aは、第2の誘電体層79に混入された複数の導電性フィラーであってもよい。または、導通部材79Aは、図35に示すようなビアであってもよい。
ここで、本実施形態の接続部材73の構成は図34に示すものに限定されず、例えば、図15、16、20、21および24に示すような構成にすることができる。これらの図に示す接続部材73および第2の構造体70については、上記実施形態で説明したので、ここでの説明は省略する。
また、本実施形態では、接続部材73を設けなくてもよい。かかる場合、複数の島状導体71Aの一部または全部には、図27の拡大斜視図に示すような開口71Bおよび配線71Cが設けられる。また、複数の島状導体71Aの一部または全部には、図31の拡大斜視図に示すような開口71B、配線71Cおよび第2の島状導体71Dが設けられてもよい。これらの図に示す島状導体71Aおよび第2の構造体70については、上記実施形態で説明したので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の電子機器の製造方法は、上記実施形態に準じて実現することができる。よって、ここでの説明は省略する。
本実施形態の電子機器は、第2の構造体70がEBG構造を備えており、そして、このEBG構造と第1の構造体60の最外層61とが電気的に接続する手段を備えている。このような本実施形態の電子機器によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
<実施形態9>
本実施形態の電子機器は、実施形態1乃至7のいずれか1つの電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。他の構成については、実施形態1乃至7のいずれかと同様であるので、ここでの説明は省略する。
図36は、本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図である。本実施形態の第2の構造体70は、例えば、第1の誘電体層78と、第1の誘電体層78の一方の面76上に第1の構造体60の最外層61と対向して形成され、少なくとも一部領域に繰り返し構造、例えば周期的な構造を有している第1導体71と、第1の誘電体層78の面77(面76と反対側の面)上に形成された第2の誘電体層79と、第1の誘電体層78の内部に設けられ、第1導体71と第1の構造体60の最外層61とを電気的に接続する接続部材73と、を有する。なお、第1導体71は、第1の誘電体層78の内部に、第1の構造体60の最外層61と対向して設けられてもよい。
図36に示す第1導体71の構成は、例えば実施形態1で説明した第1導体71と同様である。また、第1の誘電体層78の構成は、接着層を有さない点以外は実施形態1で説明した誘電体層75と同様である。
第2の誘電体層79は、第1の誘電体層78の面77上に設けられ、第1の構造体60の最外層61と接する。すなわち、第2の誘電体層79は、第1の構造体60の最外層61と、第1の誘電体層78との間に挟まれる。このような第2の誘電体層79は、天然ゴム、アクリル樹脂、シリコーン等で構成された接着層であってもよい。または、第1の構造体60の最外層61の上に例えばCVD法を用いて形成された誘電体層であってもよい。第2の誘電体層79の内部には、導通部材79Aが設けられる。
導通部材79Aは、第1の誘電体層78の面77から露出している接続部材73と、第1の構造体60の最外層61とを導通するように構成される。例えば、導通部材79Aは、第2の誘電体層79に混入された複数の導電性フィラーであってもよい。
ここで、本実施形態の接続部材73の構成は図36に示すものに限定されず、例えば、図15、16、20、21および24に示すような構成にすることができる。これらの図に示す接続部材73および第2の構造体70については、上記実施形態で説明したので、ここでの説明は省略する。
また、本実施形態では、接続部材73を設けなくてもよい。かかる場合、複数の島状導体71Aの一部または全部には、図27の拡大斜視図に示すような開口71Bおよび配線71Cが設けられる。また、複数の島状導体71Aの一部または全部には、図31の拡大斜視図に示すような開口71B、配線71Cおよび第2の島状導体71Dが設けられてもよい。これらの図に示す島状導体71Aおよび第2の構造体70については、上記実施形態で説明したので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の電子機器の製造方法は、上記実施形態に準じて実現することができる。よって、ここでの説明は省略する。
本実施形態の電子機器は、第1の構造体60の最外層61と第2の構造体70とによりEBG構造が構成されている。このような本実施形態の電子機器によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
<実施形態10>
本実施形態の電子機器は、実施形態1の電子機器を基本とし、第2の構造体70の構成が一部異なる。他の構成については、実施形態1の電子機器と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図37は、本実施形態の第1の構造体60の最外層61、および、第2の構造体70の一例を模式的に示した断面図である。本実施形態の第2の構造体70は、第1の誘電体層78と、第1の誘電体層78の一方の面76上に第2導体80と対向して形成され、少なくとも一部領域に繰り返し構造、例えば周期的な構造を有している第1導体71と、第1の誘電体層78の面77(面76と反対側の面)上に設けられた第2導体80と、第2導体80の上に設けられた第3の誘電体層81と、を有する。なお、第1導体71は、第1の誘電体層78の内部に、第2導体80と対向して設けられてもよい。
図37に示す第1導体71の構成は、接続部材73と接続しない点以外は、実施形態1で説明した第1導体71と同様である。また、第1の誘電体層78の構成は、接着層を有さない点以外は実施形態1で説明した誘電体層75と同様である。
ここで、図38に、第2導体80の平面形状の一例を模式的に示す。第2導体80は開口80Bを有する。この開口80Bは、繰り返し配列されている複数の島状導体71Aそれぞれと対向する位置に設けられる。また、この開口80Bの中には、一端が第2導体80と電気的に接続している配線80Aが設けられる。
図39に、第2導体80の平面形状の他の一例を模式的に示す。第2導体80は開口80Bを有する。この開口80Bは、繰り返し配列されている複数の島状導体71Aそれぞれと対向する位置に設けられる。また、この開口80Bの中には、配線80Aおよび第2の島状導体80Cが設けられる。なお、配線80Aは、第2導体80と第2の島状導体80Cとを電気的に接続する。
第3の誘電体層81は、第2導体80の面(第1の誘電体層78と接する面と反対側の面)上に設けられ、第1の構造体60の最外層61と接する。すなわち、第3の誘電体層81は、第1の構造体60の最外層61と、第2導体80との間に挟まれる。このような第3の誘電体層81は、天然ゴム、アクリル樹脂、シリコーン等で構成された接着層であってもよい。または、第1の構造体60の最外層61の上に例えばCVD法を用いて形成された誘電体層であってもよい。第3の誘電体層81の内部には、ビア82が設けられる。
ビア82は、第2導体80と第1の構造体60の最外層61とを電気的に接続する。なお、第2導体80の形状は、上述のように、開口80Bを有し、また、開口80Bの中に、配線80A、または、配線80Aおよび第2の島状導体80Cを有するが、ビア82は、配線80Aおよび第2の島状導体80Cでなく、第2導体80と電気的に接続するのが望ましい。このようにすれば、安定した接続が実現できる。
ここで、本実施形態においては、第2の構造体70がEBG構造を備えている。しかし、本実施形態の第2の構造体70が備えるEBG構造は、実施形態1乃至9で説明したEBG構造と異なる。
図40および41に、上述のような第2導体80と複数の島状導体71AとからなるEBG構造を模式的に示した斜視図を示す。図40のEBG構造の単位セルの等価回路図は、図28および29に示した単位セルAの等価回路図(図30参照)において、キャパシタンスC、インダクタンスLの位置を適当な位置に変更したものである。また、図41のEBG構造の単位セルの等価回路図は、図32に示した単位セルAの等価回路図(図33参照)において、キャパシタンスC、インダクタンスLの位置を適当な位置に変更したものである。よって、ここでの説明は省略する。
また、本実施形態の電子機器の製造方法は、上記実施形態に準じて実現することができる。よって、ここでの説明は省略する。
本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。すなわち、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70が備えるEBG構造は、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造であって、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
本実施形態の第2の構造体70は、実施形態1乃至4の第2の構造体70と違い、接続部材73を有さないので、接続部材73と第1の構造体60の最外層61との導通を確保する手段を備える必要がない。その結果、品質安定性が高くなる。
<実施形態11>
本実施形態の電子機器は、実施形態10の電子機器を基本とし、図40および41に示すようなEBG構造を構成する手段が異なる。他の構成については、実施形態1の電子機器と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態では、第1の構造体60の最外層61を図40および41に示すEBG構造の第2導体4とする。第1の構造体60の最外層61に図40および41に示す第2導体4のパターンを形成する手段は特段制限されず、例えばフォトリソグラフィとエッチングにより形成してもよい。また、最外層61を銀ペーストで構成する場合は、所定のパターンを形成したマスク越しに銀ペーストを塗布することで実現することができる。
本実施形態の第2の構造体70は、第1の構造体60の最外層61に接する誘電体層と、誘電体層の面(第1の構造体60の最外層61に接する面と反知側の面)上または内部に設けられる第1導体とを有する。第1導体は第1の構造体60の最外層61に対向し、少なくとも一部領域に繰り返し構造、例えば周期的な構造を有している。繰り返し構造としては、図40および41に示すように、互いに分離した複数の島状導体1が繰り返し、例えば周期的に設けられた構造が考えられる。
本実施形態の第1の構造体60の最外層61に接して第2の構造体70を設ける手段は特段制限されず、上記実施形態で説明したあらゆる手段を利用することができる。
本実施形態の電子機器によれば、接続体40の外表面に形成されるEBG構造により、アンテナ30から接続体40の外表面への電流の移動を抑制できるほか、接続体40の外表面(第1の構造体60の外表面)を伝播しているノイズがアンテナ30へ移動するのを抑制できる。すなわち、アンテナ付近にフレキシブル基板が配置される場合であっても、フレキシブル基板に起因してアンテナ特性が劣化するのを抑制できる。
また、フレキシブル基板(接続体40)は筐体内に収納されている電子回路と接続しているが、本実施形態の構造を用いた場合、フレキシブル基板(接続体40)に不要な電流が生じることを防ぐことで、他の回路に対する誤動作なども防ぐ効果も有する。
また、本実施形態ではEBG構造のバンドギャップ帯域を調節できるので、電子機器が利用する周波数に応じてEBG構造のバンドギャップ帯域を調節することで、効果的に、上記アンテナ特性の劣化を抑制できる。例えば、EBG構造のバンドギャップ帯域は、700MHz以上2.3GHz以下の一部または全部を含んでもよい。この数値範囲であれば、携帯電話で使用される周波数帯を包含することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2の構造体70と、第1の構造体60の最外層61とにより、バンドギャップ帯域が異なる2種類以上のEBG構造が構成され、それら各々が繰り返し、例えば周期的に配置されてもよい。このようにすれば、バンドギャップ帯域を広げることが可能となる。
本実施形態の第2の構造体70は、実施形態1乃至4の第2の構造体70と違い、接続部材73を有さないので、接続部材73と第1の構造体60の最外層61との導通を確保する手段を備える必要がない。その結果、品質安定性が高くなる。
この出願は、2010年3月19日に出願された日本特許出願特願2010−064759号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。