JP5726625B2 - 光学フィルムとその製造方法、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
[2] 前記脆性改良剤が、繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記脆性改良剤が、多価アルコールと多塩基酸との縮合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記多価アルコールとして炭素数3〜12の多価アルコールを少なくとも含み、前記多塩基酸として炭素数5〜12の多塩基酸を少なくとも含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[5] 前記脆性改良剤がアクリル酸エステルの付加物であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[6] 前記コア層において、前記脆性改良剤が前記アクリル樹脂に対して0.1〜50質量%含まれていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[7] フィルム長手方向および幅方向の少なくとも一方に5%以上延伸されてなることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[8] 前記コア層に主成分として用いられる前記アクリル樹脂が、ポリメチルメタクリレートからなることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[9] 下記式(I)で定義される面内方向のレターデーションRe及び下記式(II)で定義される膜厚方向のレターデーションRthが、25℃相対湿度60%環境下で波長590nmにおいて下記式(III)及び下記式(IV)を満たすことを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか一項のいずれか一項に記載の光学フィルム。
式(I) Re=(nx―ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) |Re|<10nm
式(IV) |Rth|<25nm
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(μm)である。)
[10] 光弾性係数の値が−5.0×10-12Pa-1〜5.0×10-12Pa-1であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[11] セルロースアシレートおよび有機溶媒を含有するドープ(A)、ならびに、重量平均分子量が100万を超えるアクリル樹脂、該アクリル樹脂に対して0.1〜50質量%の脆性改良剤および有機溶媒を含有するドープ(B)の少なくとも2種のドープを流延基材側から(A)−(B)の順番に同時又は逐次に流延基材上に流延する工程と、前記有機溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
[12] 共流延法により、前記ドープ(A)およびドープ(B)を同時に流延製膜することを特徴とする[11]に記載の光学フィルムの製造方法。
[13] フィルム長手方向および幅方向の少なくとも一方に5%以上延伸することを特徴とする[11]または[12]に記載の光学フィルムの製造方法。
[14] 偏光子と、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
[15] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の光学フィルム、または[14]に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
[16] IPSモードであることを特徴とする[15]に記載の液晶表示装置。
本発明の光学フィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、重量平均分子量が100万を超えるアクリル樹脂と脆性改良剤を含むコア層と、該コア層の少なくとも片側に、セルロースアシレートを含む外層を有し、ヘイズが1.0%以下で、JIS P8115に従いMIT試験機によって測定した耐折回数が15回以上であることを特徴とする。
また、該コア層に脆性改良剤を添加することによってMIT試験機によって測定した耐折回数を改良することができる。
ここで、明細書中、脆性改良剤とはアクリル樹脂100質量部に対して10質量部添加したときの50μm未延伸フィルムの折り曲げ回数が無添加の未延伸フィルムに対して1回以上増加する添加剤のことを言う。
本発明では、このような脆性改良剤を、該アクリル樹脂を含むコア層に添加することで、コア層および積層体全体の脆性を改良でき、その結果、いかなる理論に拘泥するものでもないが、フィルムの搬送中に裂けてしまう等の問題を解消することができる。
以下、本発明のフィルムの好ましい態様について説明する。
(外層とコア層の比率)
本発明のフィルムは、前記アクリル樹脂を含むコア層の膜厚が20〜60μmであることが好ましく、前記セルロースアシレートを含む外層の膜厚が(複数の外層を含む場合はいずれの外層も)1〜10μmであることが好ましい。
また、前記セルロースアシレートを含む外層の膜厚は1層当り1〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましく、1〜5μmであることが特に好ましい。前記アクリル樹脂を含むコア層の膜厚は20〜60μmであることが好ましく、25〜55μmであることがより好ましく、25〜50μmであることが特に好ましい。
また、積層体としての光学フィルム全体の膜厚は、11〜240μmが好ましく、より好ましくは15〜150μmであり、特に好ましくは20〜80μmであり、より特に好ましくは、20〜50μmである。
本発明のフィルムは、前記外層の膜厚が、1μm〜10μmであり、フィルム全体の膜厚が20μm〜80μmであることが好ましい。
これらの関係を満たすことで、流延時の面状がより良好となる傾向にある。さらに、得られる光学フィルムの界面密着性、カール性、吸水量低減などを好ましく調整することができる。
本発明のフィルムは、膜厚の最大高低差(P−V値)が小さいことを特徴とする。
前記膜厚の最大高低差(P−V値)は、公知の方法を用いて測定することができ、例えば、縞解析装置、レーザー変位計、接触式膜厚計などを用いて測定することができる。
縞解析装置を用いる方法としては、例えば、FUJINON 縞解析装置(FX−03)を用いて、測定することができる。また、前記縞解析装置を用いる以外の方法としては、例えばフィルム内の任意の点を中心として、直径60mmの範囲内の膜厚をレーザー変位計、接触式膜厚計などを用いて測定し、膜厚の最大高低差を求めることができる。
本発明のフィルムは、膜厚の最大高低差(P−V値)が3.0μm以下であることが好ましく、1.1μm以下であることがより好ましく、0.9μm以下であることが特に好ましい。
光弾性係数は物質固有の性質であり、光弾性係数をほとんど発現しない物質はむしろまれである。例えば、高分子樹脂の多くは、外部応力や熱応力により複屈折を発現する。光弾性係数は、印加される応力の方向に関連して符号を定義することができる。即ち、媒体(高分子樹脂)に引っ張り応力を加えた場合、引っ張り応力と平行な方向に偏光面を有する偏光に対する屈折率nparaと、それに直交する方向に偏光面を有する偏光に対する屈折率に対して、下記(1B)式で表される光弾性係数cの正負で光弾性係数の符号が表現される。
c=Δn/σ=(npara−nperp)/σ ・・・・・(1B)
つまり、nparaの方がよりnperpも大きい場合に光弾性係数は正、小さい場合は負となる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。本願明細書においては、特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。
式(11)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
式(12)
Rth={(nx+ny)/2−nz}xd
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) |Re|<10nm
式(IV) |Rth|<25nm
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
また、本発明のフィルムは、Rth<25nmを満たすことが好ましく、−15≦Rth≦5nmであることがより好ましく、−10≦Rth≦0nmであることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、ヘイズが1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることが特に好ましい。ヘイズを1.0%以下とすることでフィルムの透明性がより高くなり、光学フィルムとしてより用いやすくなる。
本発明のフィルムは、フィルム幅が400〜2500mmであることが好ましく、1000mm以上であることがより好ましく、1500mm以上であることが特に好ましく、1800mm以上であることがより特に好ましい。
本発明のフィルムは、前記コア層の片側にセルロースアシレートを含む外層を有する。
本発明に用いられる外層用ドープ(A)に含有されるセルロースアシレートは、特に定めるものではない。原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
さらに、本発明に用いられるセルロースアシレートはアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3としたときに、以下の条件を満たすことが好ましい。以下の範囲にすることで、隣接層との密着性、ドラム剥離性、フィルムのカール低減の観点で優れた光学フィルムを得ることができる。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.5≦TA全≦3.0
2.4≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.1
本発明のフィルムは、アクリル樹脂と脆性改良剤を含む前記コア層を有し、前記コア層に主成分として用いられる前記アクリル樹脂の重量平均分子量が100万を超える。
本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル系樹脂も含まれ、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体がよく知られている。前記コア層に主成分として用いられる前記アクリル樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜100質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位0〜50質量%からなるものが、光弾性係数の小さいフィルムを得るために好ましく、メチルメタクリレート単位100質量%からなるポリメチルメタクリレートであることがより好ましい。
本発明のフィルムでは、前記コア層に主成分として用いられる前記アクリル樹脂の重量平均分子量が100万を超える。前記コア層に主成分として用いられる前記アクリル樹脂の重量平均分子量は100万を超え300万以下であることが好ましく、100万を超え180万以下であることがより好ましく、110万を超え180万以下であることが特に好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
前記コア層は、前記アクリル樹脂以外に、更に別の熱可塑性樹脂を含むことができる。本発明においてアクリル樹脂と併用できる他の熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が100℃以上、全光線透過率が85%以上の性能を有するものが、前記アクリル樹脂と混合してフィルム状にした際に、耐熱性や機械強度を向上させる点において好ましい。
本発明のフィルムは、前記コア層に脆性改良剤を含む。前記脆性改良剤としては、特に制限はないが、例えば下記のような化合物を挙げることができる。
以下に、本発明で好ましく用いられる繰り返し単位を有する化合物である多価アルコールと多塩基酸との縮合物、および、アクリル酸エステルの付加物について種類別に記述する。
まず、本発明で用いられる多価アルコールと多塩基酸との縮合物について説明する。好ましい多価アルコールと多塩基酸との縮合物としては、特に限定されないが、二塩基酸とグリコールの反応によって得られるものであることが好ましい。前記二塩基酸とグリコールの反応によって得られる反応物の両末端は反応物のままでもよいが、更にモノカルボン酸やモノアルコールを反応させて、所謂末端の封止を実施すると湿熱環境下で保持した場合のレタデーション変化を抑制することができ好ましい。このような縮合物では、末端が未封止の縮合物と比較して水酸基価が低下し、水酸基価が40mgKOH/g未満以下であることが好ましく、20mgKOH/g以下であることがより好ましく、10mgKOH/g以下であることが更に好ましい。本発明で使用される多価アルコールと多塩基酸との縮合物は、炭素数3〜12のグリコールと炭素数5〜12の二塩基酸とから合成することが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が挙げられる。なかでも、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を含むことが脆性向上の観点から好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5―ナフタレンジカルボン酸、1,4―ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。なかでも、フタル酸及びテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。
本発明に用いる二塩基酸の炭素数は、5〜12であることが好ましく、6〜10であることがより好ましく、6〜8であることが特に好ましい。本発明では2種以上の二塩基酸の混合物を用いてもよく、この場合、2種以上の二塩基酸の平均炭素数が上記範囲となることが好ましい。 脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを併用することも好ましい。具体的には、アジピン酸とフタル酸との併用、アジピン酸とテレフタル酸との併用、コハク酸とフタル酸との併用、コハク酸とテレフタル酸のとの併用が好ましく、コハク酸とフタル酸との併用、コハク酸とテレフタル酸との併用がより好ましい。脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを併用する場合、両者の比率(モル比)は特に限定されないが、95:5〜40:60が好ましく、55:45〜45:55がより好ましい。
脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えば、エチレングリコール(エタンジオール)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
好ましい脂肪族ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくは、1,4−ブタンジオール及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種である。2種用いる場合は、エチレングリコール及び1,5−ペンタンジオールを用いることが好ましい。
グリコールの炭素数は、3〜12であることが好ましく、4〜10であることがより好ましく、4〜8であることが特に好ましい。2種以上のグリコールを用いる場合には、該2種以上の平均炭素数が上記範囲となることが好ましい。
その場合、モノアルコール残基としては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコール残基が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
このとき、両末端のモノカルボン酸残基の炭素数が3以下であると、揮発性が低下し、該多価アルコールと多塩基酸との縮合物の加熱による減量が大きくならず、工程汚染の発生や面状故障の発生を低減することができる。このような観点からは、封止に用いるモノカルボン酸類としては脂肪族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸が炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸であることがより好ましく、炭素数2〜3の脂肪族モノカルボン酸であることが更に好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸残基であることが特に好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体等が好ましく、酢酸又はプロピオン酸がより好ましく、酢酸(末端がアセチル基となる)が最も好ましい。封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。
アクリル酸エステルの付加物の組成は、脂肪族のアクリル酸エステルモノマー、芳香族環を有するアクリル酸エステルモノマー又はシクロへキシル基を有するアクリル酸エステルモノマーを主成分として含むことが好ましく、脂肪族のアクリル酸エステルモノマーを主成分として含むものがより好ましい。主成分とは、(共)重合体中で他の共重合可能な成分よりも構成質量比率が高いことをいう。
好ましくは、これら成分の構成質量比率が、40〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。
本発明では、前記脆性改良剤の添加量はアクリル樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部使用することができ、1〜45質量部が好ましく、5〜40質量部がさらに好ましい。
本発明の光学フィルムには、前記コア層および前記外層のそれぞれにおいて、主原料となる1種又は2種以上の熱可塑性樹脂とともに、前記脆性改良剤以外の添加剤を、本発明の趣旨に反しない限りにおいて含有させてもよい。
本発明においては、光学フィルムに柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために可塑剤を用いてもよい。
これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
また、耐揮発性、ブリードアウト、低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、例えば特開2009−98674号公報に記載の両末端が水酸基であるポリエステルジオールを用いるのが好ましい。また、光学フィルムの平面性や低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、WO2009/031464号公報に記載の糖エステル誘導体も好ましい。
本発明の光学フィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線吸収剤を添加してもよい。
フィルムの表面に凹凸を与えたりフィルム内部に光散乱性を付与したりするために粒子を添加することもでき、その場合には、粒子の粒径は1〜20μmであるのが好ましく、添加量は2〜30質量%好ましい。これら粒子屈折率は本発明のポリマーフィルムの屈折率との差が0〜0.5であるのが好ましく、例えば、無機材料の粒子の例には、酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粒子が含まれる。有機材料の粒子の例には、アクリル樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が含まれる。
本発明では、前記有機系の光弾性係数低減剤を用いることで、従来の無機微粒子を多量に用いて光弾性係数を低減させる方法に比べて、本発明のフィルムのヘイズを小さくすることができる。前記無機微粒子は、本発明の上記趣旨に反しない限りにおいて、添加することが好ましい。
本発明の光学フィルムは、例えば、その上に更に0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を設けてもよい。また、本発明の光学フィルムは、該硬化性樹脂層の上に、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層等の光学機能層を設けることもできる。また、硬化性樹脂層が帯電防止層や高屈折率層を兼ねることもできる。
硬化性樹脂層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を光透過性基材上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、硬化性樹脂層には、公知のレベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、屈折率調節用無機フィラー、散乱粒子、チキソトロピー剤等の添加剤を用いることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)は、セルロースアシレートおよび有機溶媒を含有するドープ(A)、ならびに、重量平均分子量が100万を超えるアクリル樹脂、該アクリル樹脂に対して0.1〜50質量%の脆性改良剤および有機溶媒を含有するドープ(B)の少なくとも2種のドープを流延基材側から(A)−(B)の順番に同時又は逐次に流延基材上に流延する工程と、前記有機溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする。
ここで、前記ドープ(B)中における、前記脆性改良剤の前記アクリル樹脂に対する添加量が50質量%以下であることで、得られる光学フィルムのヘイズを大幅に低減することができる。前記脆性改良剤のドープ(B)中における添加量の好ましい範囲は、前記光学フィルムの説明中における好ましい範囲と同様である。
本発明の光学フィルムに用いる熱可塑性樹脂の溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、室温溶解法、冷却溶解法または高温溶解方法により実施され、さらにはこれらの組合せで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にはセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。これらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明の熱可塑性樹脂に対しても、これらの技術を適宜適用できるものである。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。さらに熱可塑性樹脂のドープ溶液は、溶液濃縮、濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明において、前記セルロースアシレートおよび前記熱可塑性樹脂をそれぞれ溶解し、ドープを形成する有機溶媒について記述する。用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「PolymerHandbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報 段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
前記外層用ドープ(A)及びコア層用ドープ(B)に含有される有機溶媒のうちアルコールの割合が有機溶剤全体の10〜50質量%であることが製膜後の支持体(流延基材)上での乾燥時間を短縮し、早く剥ぎ取って乾燥することができるという理由から好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。
本発明における光学フィルム製膜の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)を用いる。本発明の製造方法は、セルロースアシレートおよび有機溶媒を含有するドープ(A)、ならびに、重量平均分子量が100万を超えるアクリル樹脂、該アクリル樹脂に対して0.1〜50質量%の脆性改良剤および有機溶媒を含有するドープ(B)の少なくとも2種のドープを流延基材側から(A)−(B)の順番に同時又は逐次に流延基材上に流延する工程を含む。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、前記少なくとも2種の外層用ドープ(A)、コア層用ドープ(B)を流延基材側からこの順番に同時に流延基材上に共流延することが好ましい。
本発明の製造方法は、前記有機溶媒を除去する工程を含む。
ドラムやバンド上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムやバンドが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量および乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
本発明の製造方法は、脆性を改良する観点より、前記製膜工程のあとに、製膜した前記積層フィルムを延伸する工程を含むことが望ましい。
本発明のフィルムの製造では、支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量の更に好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜35質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な脆性改良効果が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
また、延伸はフィルム搬送方向(縦方向)に行っても、フィルム搬送方向に直交する方向(横方向)に行っても、両方向に行ってもよい。
一方、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、可塑剤として揮散しやすい低分子可塑剤を用いる場合は、室温(15℃)〜145℃以下の範囲が好ましい。
同時2軸延伸する場合、延伸温度は110℃〜190℃で行った場合でも本発明のフィルムを得ることができ、同時2軸延伸する場合の延伸温度は、120℃〜150℃であることがより好ましく、130℃〜150℃であることが特に好ましい。また、同時2軸延伸することで、ヘイズはある程度高くなるものの、脆性を更に改良することができる。
一方、逐次2軸延伸する場合、先にフィルム搬送方向に平行な方向に延伸し、その次にフィルム搬送方向に直交する方向に延伸することが好ましい。前記逐次延伸を行う延伸温度のより好ましい範囲は上記同時2軸延伸を行う延伸温度範囲と同様である。
本発明のフィルムの製造方法は乾燥工程終了後に熱処理工程を設けることが好ましい。当該熱処理工程における熱処理は乾燥工程終了後に行われればよく、延伸/乾燥工程後直ちに行ってよいし、あるいは乾燥工程終了後に後述する方法で一旦巻き取った後に、熱処理工程だけを別途設けてもよい。
また、延伸処理されたフィルムは、その後、100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付けられる工程を経て製造されてもよい。
本発明の光学フィルムを、偏光板の保護フィルムとして使用し、偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理、アルカリ処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面を親水的にする処理を実施することが特に好ましい。
本発明の光学フィルムは、偏光子とその少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する偏光板において、その保護フィルムとして使用することができる。
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70°傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いられる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の光学フィルム、または本発明の偏光板を含むことを特徴とする
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましく、IPSモードであることがより好ましい。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<重量平均分子量測定条件>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。測定条件は以下の通りである。
溶媒 テトラヒドロフラン
装置名 TOSOH HLC−8220GPC
カラム TOSOH TSKgel Super HZM−H(4.6mm×15cm)を3本接続して使用した。
カラム温度 25℃
試料濃度 0.1質量%
流速 0.35ml/min
校正曲線 TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000〜1050までの7サンプルによる校正曲線を使用した。
サンプルフィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃、相対湿度60%において、フィルム表面に対し垂直方向及び遅相軸を回転軸としてフィルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長590nmにおける位相差を測定して、面内レターデーション値(Re)と膜厚方向のレターデーション値(Rth)とを算出した。
ヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%でヘイズメーター“HGM−2DP”{スガ試験機(株)製}を用いJIS K−6714に従って測定した。
○:ヘイズが1.0%以下である。
×:ヘイズが1.0%を超える。
作製した光学フィルムから1cm×5cmのサンプルを切り出し、分光エリプソメーター(M−220、日本分光株式会社製)を用いて、サンプルに25℃で応力をかけながら、フィルム面内のレターデーション値を測定し、レターデーション値と応力の関数の傾きから算出した。
JIS P8115に従い、MIT試験機によって折り曲げ試験を行い、耐折回数を測定した。耐折回数は実用上、15回以上が必要である。
膜厚の最大高低差(P−V値)は、FUJINON 縞解析装置(FX−03)により測定した。この時、測定面積は直径φ=60mmの範囲とした。入力する屈折率の値としては、セルロースアシレートの平均屈折率1.48を用いた。また、本装置の解像度は512×512である。
○:膜厚の最大高低差(P−V値)が3.0μm以下
×:膜厚の最大高低差(P−V値)が3.0μmを超える。
<ドープの調製>
各層に用いるドープを下記組成に従って調製した。
セルロースアシレート1 100質量部
(アセチル置換度2.86、プロピオニル置換度0、全アシル置換度2.86)
メチレンクロライド 394質量部
メタノール 131質量部
アクリル樹脂1 100質量部
(ダイヤナールBR88 三菱レーヨン社製、重量平均分子量Mw=150万のポリメチルメタクリレート)
下記構造の脆性改良剤1 20質量部
メチレンクロライド 394質量部
メタノール 131質量部
上記のドープを用いて溶液流延製膜を行い、膜厚構成が外層(1)3μm/コア層44μm/外層(2)3μmとなるように光学フィルムを作製した。具体的には、3層共流延が可能な流延ギーサーを通して、表面温度を0℃に設定した金属ドラム支持体上に、表2に記載の層構成となるように流延した。このとき、ドラム支持体面側から順に外層(1)、コア層、外層(2)となるように流延した。膜厚構成は、各ドープ流量から均一厚みの膜が形成されたと仮定したときの換算膜厚である。ドラム支持体上にある間、ドープを40℃の乾燥風により乾燥してフィルムを形成した後に剥ぎ取り、フィルム両端をピンで固定し、その間を同一の間隔で保ちつつ105℃の乾燥風で5分間乾燥した。ピンを外した後、さらに130℃で20分間乾燥した。これを実施例1の光学フィルムとした。
実施例1において、コア層用ドープ(B)に用いた熱可塑性樹脂の種類、脆性改良剤の種類と添加量、フィルムを剥ぎ取った後にピンで固定した後の延伸倍率、層構成を変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例および比較例の光学フィルムを製造した。
なお、アクリル樹脂2は重量平均分子量Mw=10万のポリメチルメタクリレートであり、アクリル樹脂3は特開2008−242167号公報にAB1として記載の重量平均分子量Mw=6.5万の環構造を共重合成分として有するアクリル樹脂である。また、脆性改良剤2は以下の構造の化合物である。
各実施例及び比較例で作成した各光学フィルム及びフジタックTD60UL(富士フイルム(株)製)を37℃に調温した4.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み20μmの偏光子を調製した。
このようにして得た偏光子と、前記鹸化処理したフィルムのうちから2枚選び、これらで前記偏光子を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロールツーロールで貼り合わせて各実施例及び比較例の偏光板を作成した。ここで、偏光子の一方のフィルムは、下記表1に記載の各実施例または比較例の光学フィルムを鹸化したフィルムとし、他方のフィルムはフジタックTD60ULを鹸化したフィルムとした。
このとき、以下の基準でPVA偏光子への貼り合わせを評価した結果を下記表に記載した。
○:フィルムがポリビニルアルコールから剥離しない。
×:フィルムがポリビニルアルコールから容易に剥離する。
一方、比較例1の光学フィルムは、コア層用ドープ(B)に脆性改良剤を添加せずに製膜したものであり、得られたフィルムは脆性が悪いことが分かった。
比較例5の光学フィルムは、コア層用ドープ(B)に脆性改良剤を本発明で規定する範囲の上限値を超えて添加したものであり、得られたフィルムはヘイズが高いことが分かった。
比較例2の光学フィルムは、コア層用ドープ(B)に重量平均分子量が本発明で規定する範囲の下限値を下回るアクリル樹脂を用いたものであり、得られたフィルムは面状が悪いことが分かった。
比較例3および4の光学フィルムは、アクリル樹脂の単層フィルムに脆性改良剤を添加したものであり、得られたフィルムは従来のアルカリ鹸化の手法による偏光子との接着性が悪いことが分かった。
比較例6の光学フィルムは、特開2008−242167号公報の実施例に記載の単層フィルムを追試したものであり、得られたフィルムは従来のアルカリ鹸化の手法による偏光子との接着性が悪いことが分かった。
(IPS型液晶表示装置における表示性能評価)
市販の液晶テレビ(IPSモードのスリム型42型液晶テレビ)から、液晶セルを挟んでいる偏光板を剥がし取り、前記作製した各実施例及び比較例の偏光板を、表1に記載の各実施例及び比較例の光学フィルム側が液晶セル側に配置されるように、粘着剤を介して液晶セルに再貼合した。実施例に記載の光学フィルムを用いて作製した偏光板は良好な表示性能が得られた。
11 流延設備
12 ドープ
14 流延ダイ
31 バンド
32 バックアップローラ
33 バックアップローラ
36 フィルム
37 剥ぎ取りローラ
51 温調板
52 凝縮板
53 液受け
56 回収タンク
101 流延設備
102 ドラム
105 凝縮板
PS 流延開始位置
Claims (17)
- 重量平均分子量が110万を超え、180万以下であるアクリル樹脂と脆性改良剤を含むコア層と、該コア層の少なくとも片側に、セルロースアシレートを含む外層を有し、ヘイズが1.0%以下で、JIS P8115に従いMIT試験機によって測定した耐折回数が15回以上であることを特徴とする、光学フィルム。
- 前記アクリル樹脂の重量平均分子量が110万を超え、150万以下である請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記脆性改良剤が、繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
- 前記脆性改良剤が、多価アルコールと多塩基酸との縮合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 前記多価アルコールとして炭素数3〜12の多価アルコールを少なくとも含み、前記多塩基酸として炭素数5〜12の多塩基酸を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 前記脆性改良剤がアクリル酸エステルの付加物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 前記コア層において、前記脆性改良剤が前記アクリル樹脂に対して0.1〜50質量%含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- フィルム長手方向および幅方向の少なくとも一方に5%以上延伸されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 前記コア層に主成分として用いられる前記アクリル樹脂が、ポリメチルメタクリレートからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 下記式(I)で定義される面内方向のレターデーションRe及び下記式(II)で定義される膜厚方向のレターデーションRthが、25℃相対湿度60%環境下で波長590nmにおいて下記式(III)及び下記式(IV)を満たすことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学フィルム。
式(I) Re=(nx―ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) |Re|<10nm
式(IV) |Rth|<25nm
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(μm)である。) - 光弾性係数の値が−5.0×10-12Pa-1〜5.0×10-12Pa-1であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- セルロースアシレートおよび有機溶媒を含有するドープ(A)、ならびに、重量平均分子量が110万を超え、180万以下であるアクリル樹脂、該アクリル樹脂に対して0.1〜50質量%の脆性改良剤および有機溶媒を含有するドープ(B)の少なくとも2種のドープを流延基材側から(A)−(B)の順番に同時又は逐次に流延基材上に流延する工程と、
前記有機溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 共流延法により、前記ドープ(A)およびドープ(B)を同時に流延製膜することを特徴とする請求項12に記載の光学フィルムの製造方法。
- フィルム長手方向および幅方向の少なくとも一方に5%以上延伸することを特徴とする請求項12または13に記載の光学フィルムの製造方法。
- 偏光子と、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学フィルム、または請求項15に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
- IPSモードであることを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
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