JP5597438B2 - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
近年液晶表示装置はその普及にともない、更なる薄層化、大型化、また高性能化が求められている。
セルロースエステルフィルムは透過率が高く、アルカリ水溶液に浸漬させてその表面を鹸化し親水化することで、偏光子との優れた密着性を実現している。しかしながら、温湿度変化により吸湿又は脱水により寸法変化しやすいという問題があった。
そこで、それぞれのフィルムの課題をこれらフィルムを積層することにより解決しようという技術が提案された。
また、特許文献2では、アクリル樹脂及びセルロースエステル樹脂の少なくとも1種ずつを含有するアクリル樹脂含有フィルムとセルロースエステルフィルムを積層した光学フィルムを、溶融共押出製膜方法によって製造する方法が開示されている。
また、特許文献3では、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を特定の割合で相溶状態で含有する光学フィルムの溶液流延の製造方法が開示されている。
また、特許文献4では、アクリルなどの樹脂を有するコア層とセルロースエステル樹脂からなる表層を溶液共流延して積層フィルムを作成することが開示されている。この製法によるフィルムは、偏光子との接着性に優れ、寸度変化の少ないことが記されている。
また、本発明の別の目的は、アクリル系樹脂とセルロースアシレート系樹脂との界面密着性に優れ、低吸湿性で温湿度変化による寸度変化が少なく、偏光子との密着性に優れた光学フィルムを提供することである。また、該光学フィルムを有する偏光板、及び画像表示装置を提供することを目的とする。
<1>
熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも3種のドープ(A)、(B)、及び(C)を流延基材側からこの順番に同時または逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、
ドープ(A)は、セルロースアシレート系樹脂PAを含有し、
ドープ(B)は、セルロースアシレート系樹脂PBを含有し、
ドープ(C)は、アクリル系樹脂PCを含有し、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロースアシレート系樹脂の置換度が以下の条件を満たし、
前記アクリル系樹脂が、重量平均分子量80000以上であり、分子内にメチルメタアクリレート単位を50質量%以上99質量%以下有するアクリル系樹脂である光学フィルムの製造方法。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0
<2>
前記セルロースアシレート系樹脂PA及びPBの置換度が更に以下の条件を満たす<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
2.5≦TA全≦3.0
2.4≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.1
2.5≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
2.0≦TB3≦3.0
<3>
ドープ(A)とドープ(B)が共通の可塑剤を含有する<1>又は<2>に記載の光学フィルムの製造方法。
<4>
前記可塑剤が、ポリエステル系化合物又は糖エステルである<3>に記載の光学フィルムの製造方法。
<5>
前記アクリル系樹脂が、共重合成分として脂環式アルキル基を含有するか、または分子内環化により形成された分子主鎖に環状構造を有するアクリル系樹脂である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
<6>
前記ドープ(A)〜(C)に含有される有機溶媒のいずれもが、少なくともハロゲン原子を含む有機溶媒を60〜99質量%、炭素数が5以下のアルコールを1〜40質量%含む有機溶媒からなる<1>〜<5>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
<7>
前記ドープ(A)から形成される層の厚みをLA、前記ドープ(B)から形成される層の厚みをLB、前記ドープ(C)から形成される層の厚みをLCとした場合に、これらの厚みが以下の関係を満たす<1>〜<6>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
LA<LC
LB<LC
<8>
(LA+LB)<LCを満たす<7>に記載の光学フィルムの製造方法。
<9>
前記ドープ(C)上に流延基材から遠い側に更に、ドープ(B)を同時または逐次に流延する<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<10>
前記ドープ(C)上に更に、ドープ(B)及び(A)をこの順番に同時または逐次に流延する<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<11>
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された光学フィルム。
<12>
少なくともセルロースアシレート系樹脂PA、セルロースアシレート系樹脂PB及びアクリル系樹脂PCがこの順に積層されてなる光学フィルムであって、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロース樹脂の置換度が以下の条件を満たし、
前記アクリル系樹脂が、重量平均分子量80000以上であり、分子内にメチルメタアクリレート単位を50質量%以上99質量%以下有するアクリル系樹脂である光学フィルム。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0
<13>
偏光膜と、少なくとも1枚の<11>又は<12>に記載の光学フィルムとを有する偏光板。
<14>
<11>若しくは<12>に記載の光学フィルム、又は<13>に記載の偏光板を少なくとも1枚有する画像表示装置。
本発明は上記<1>〜<14>に関するものであるが、参考のためその他の事項(たとえば下記1〜15に記載した事項)についても記載した。
熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも3種のドープ(A)、(B)、及び(C)を流延基材側からこの順番に同時又は逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、
ドープ(A)は、セルロースアシレート系樹脂PAを含有し、
ドープ(B)は、セルロースアシレート系樹脂PBを含有し、
ドープ(C)は、アクリル系樹脂PCを含有し、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロースアシレート系樹脂の置換度が以下の条件を満たす光学フィルムの製造方法。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0
2.
前記セルロースアシレート系樹脂PA及びPBの置換度が更に以下の条件を満たす上記1に記載の光学フィルムの製造方法。
2.5≦TA全≦3.0
2.4≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.1
2.5≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
2.0≦TB3≦3.0
3.
ドープ(A)とドープ(B)が共通の可塑剤を含有する上記1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
4.
前記可塑剤が、ポリエステル系化合物又は糖エステルである上記3に記載の光学フィルムの製造方法。
5.
前記アクリル系樹脂が、重量平均分子量80000以上であり、分子内にメチルメタアクリレート単位を50質量%以上99質量%以下有するアクリル系樹脂である上記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
6.
前記アクリル系樹脂が、共重合成分として脂環式アルキル基を含有するか、又は分子内環化により形成された分子主鎖に環状構造を有するアクリル系樹脂である上記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
7.
前記ドープ(A)〜(C)に含有される有機溶媒のいずれもが、少なくともハロゲン原子を含む有機溶媒を60〜99質量%、炭素数が5以下のアルコールを1〜40質量%含む有機溶媒からなる上記1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
8.
前記ドープ(A)から形成される層の厚みをLA、前記ドープ(B)から形成される層の厚みをLB、前記ドープ(C)から形成される層の厚みをLCとした場合に、これらの厚みが以下の関係を満たす上記1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
LA<LC
LB<LC
9.
(LA+LB)<LCを満たす上記8に記載の光学フィルムの製造方法。
10.
前記ドープ(C)上に更に、ドープ(B)を同時又は逐次に流延する上記1に記載の光学フィルムの製造方法。
11.
前記ドープ(C)上に更に、ドープ(B)及び(A)をこの順番に同時又は逐次に流延する上記1に記載の光学フィルムの製造方法。
12.
上記1〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された光学フィルム。
13.
少なくともセルロースアシレート系樹脂PA、セルロースアシレート系樹脂PB及びアクリル系樹脂PCがこの順に積層されてなる光学フィルムであって、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロース樹脂の置換度が以下の条件を満たす光学フィルム。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0
14.
偏光膜と、少なくとも1枚の上記12又は13に記載の光学フィルムとを有する偏光板。
15.
上記12若しくは13に記載の光学フィルム、又は上記14に記載の偏光板を少なくとも1枚有する画像表示装置。
本発明に係る光学フィルムは、特定の構造のセルロースアシレート系樹脂2種とアクリル系樹脂を積層することにより、吸湿性が低く、光学特性に優れ、アクリル系樹脂とセルロースアシレート系樹脂の界面密着性に優れる。
本発明における光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも3種のドープ(A)、(B)、及び(C)を流延基材側からこの順番に同時又は逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、
ドープ(A)は、セルロースアシレート系樹脂PAを含有し、
ドープ(B)は、セルロースアシレート系樹脂PBを含有し、
ドープ(C)は、アクリル系樹脂PCを含有し、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロースアシレート系樹脂の置換度が以下の条件を満たす光学フィルムの製造方法である。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0
ドープ(A)、(B)、及び(C)に含まれる好ましい熱可塑性樹脂としては、それぞれセルロースアシレート系樹脂PA、セルロースアシレート系樹脂PB、アクリル系樹脂PCが挙げられる。
本発明に係る光学フィルムに用いられるセルロースアシレート系樹脂は、アシル基の総置換度が前記式を満たすものであれば特に定めるものではない。原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
セルロースアシレート系樹脂PAの総置換度(TA全)が2.2を下回る場合には、セルロースアシレート系樹脂PAと流延時の流延基材の剥離性の悪化が顕著であり、フィルムのカールが悪化する傾向にある。
2.5≦TA全≦3.0
2.4≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.1
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0
セルロースアシレート系樹脂PBの総置換度(TB全)が2.2を下回る場合や、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度(TB3)が1.2を下回る場合には、積層したフィルムの密着性が悪化する。
2.5≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
2.0≦TB3≦3.0
本発明に用いられるアクリル系樹脂PCには、メタクリル系樹脂も含まれ、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体がよく知られている。アクリル系樹脂PCとしては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが、吸湿性が低く、光学フィルムに製膜したときの透明性が高いという理由から好ましい。
アクリル系樹脂PCの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
アクリル系樹脂PCが、重量平均分子量80000以上であり、分子内にメチルメタアクリレート単位を50質量%以上99質量%以下有するアクリル系樹脂であることが特に好ましい。
アクリル系樹脂PCとしては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル系樹脂は2種以上を併用することもできる。
アクリル系樹脂PCは、更に別の熱可塑性樹脂PDを含むことができる。本発明において熱可塑性樹脂PDとしては、ガラス転移温度が100℃以上、全光線透過率が85%以上の性能を有するものが、本発明のアクリル系樹脂PCと混合してフィルム状にした際に、耐熱性や機械強度を向上させる点において好ましい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体としては、具体的には、その共重合比がモル単位で、1:10〜10:1の範囲のものが有用に使用される。
好ましくは、これら成分の構成質量比率が、40〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。
本発明においては、光学フィルムに柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために可塑剤を用いてもよい。
これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
また、耐揮発性、ブリードアウト、低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、例えば特開2009−98674号公報に記載の両末端が水酸基であるポリエステルジオールを用いるのが好ましい。また、光学フィルムの平面性や低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、WO2009/031464号公報に記載の糖エステル誘導体も好ましい。
本発明の光学フィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
フィルムの表面に凹凸を与えたりフィルム内部に光散乱性を付与するために粒子を添加することもでき、その場合には、粒子の粒径は1〜20μmであるのが好ましく、添加量は2〜30質量%好ましい。これら粒子屈折率は本発明のポリマーフィルムの屈折率との差が0〜0.5であるのが好ましく、例えば、無機材料の粒子の例には、酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粒子が含まれる。有機材料の粒子の例には、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が含まれる。粒子により光学フィルムに光拡散性を付与する際には、ヘイズの値に制限はないが、後方散乱性が高くなり全光透過率の低下が大きくなり過ぎない範囲に設定することが好ましい。具体的には、ヘイズは1〜60%が好ましく、更に好ましくは3〜50%である。
本発明の熱可塑性樹脂を溶解しドープを形成する有機溶媒について記述する。用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「PolymerHandbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報 段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
前記ドープ(A)〜(C)に含有される有機溶媒のいずれもが、少なくともハロゲン原子を含む有機溶媒を60〜99質量%、炭素数が5以下のアルコールを1〜40質量%含む有機溶媒からなることが特に好ましい。
本発明の光学フィルムに用いる熱可塑性樹脂の溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、室温溶解法、冷却溶解法又は高温溶解方法により実施され、更にはこれらの組合せで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にはセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。これらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明の熱可塑性樹脂に対しても、これらの技術を適宜適用できるものである。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。更に熱可塑性樹脂のドープ溶液は、溶液濃縮、濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、前記少なくとも3種のドープ(A)、(B)、(C)を流延基材側からこの順番に同時に流延基材上に流延することが好ましい。
本発明の目的であるバンド離型性、界面密着性、低カールを達成するために、少なくともドープ(A)、(B)、(C)中の熱可塑性樹脂の組成は、以下の条件を満たすことが好ましい。ドープ(A)中の熱可塑性樹脂中セルロースアシレート系樹脂PAの占める割合は、50〜100質量%が好ましく、更に好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。ドープ(B)中の熱可塑性樹脂中セルロースアシレート系樹脂PAの占める割合は、40〜100質量%が好ましく、更に好ましくは50〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。またドープ(C)中の熱可塑性樹脂中アクリル系樹脂の占める割合は、30〜100質量%が好ましく、更に好ましくは50〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。
LA<LC
LB<LC
更に好ましくは、
(LA+LB)<LCであり、
最も好ましくはLA<LB<LCである。
また、絶対膜厚としては、
LAは1層当り0.5〜20μmが好ましく、更に好ましくは0.5〜15μmであり、最も好ましくは1〜10μmである。LBは1層当り0.5〜20μmが好ましく、更に好ましくは0.5〜15μmであり、最も好ましくは1〜10μmである。LCは1層当り10〜200μmが好ましく、更に好ましくは15〜100μmであり、最も好ましくは20〜60μmである。
また、積層体としての光学フィルム全体の膜厚は、11〜240μmが好ましく、更に好ましくは15〜150μmであり、最も好ましくは20〜100μmであり、特に好ましくは、20〜50μmである。
この関係を満たすことで、流延時の面状が良好で、得られる光学フィルムの界面密着性、カール性、吸水量低減などを満足することができる。
ドラムやバンド上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
本発明の製造方法は、前記製膜工程のあとに、製膜した前記積層フィルムを延伸する工程を含んでもよい。
本発明のフィルムの製造では、支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量の更に好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜35質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
また、延伸はフィルム搬送方向(縦方向)に行っても、フィルム搬送方向に直交する方向(横方向)に行っても、両方向に行ってもよい。
一方、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、可塑剤として揮散しやすい低分子可塑剤を用いる場合は、室温(15℃)〜145℃以下の範囲が好ましい。
同時2軸延伸する場合、延伸温度は110℃〜190℃で行った場合でも本発明のフィルムを得ることができ、同時2軸延伸する場合の延伸温度は、120℃〜150℃であることがより好ましく、130℃〜 150℃であることが特に好ましい。また、同時2軸延伸することで、ヘイズはある程度高くなるものの、光学発現性を更に高めることができる。
一方、逐次2軸延伸する場合、先にフィルム搬送方向に平行な方向に延伸し、その次にフィルム搬送方向に直交する方向に延伸することが好ましい。前記逐次延伸を行う延伸温度のより好ましい範囲は上記同時2軸延伸を行う延伸温度範囲と同様である。
本発明のフィルムの製造方法は乾燥工程終了後に熱処理工程を設けることが好ましい。当該熱処理工程における熱処理は乾燥工程終了後に行われればよく、延伸/乾燥工程後直ちに行ってよいし、あるいは乾燥工程終了後に後述する方法で一旦巻き取った後に、熱処理工程だけを別途設けてもよい。本発明においては乾燥工程終了後に一旦、室温〜100℃以下まで冷却した後において改めて前記熱処理工程を設けることが好ましい。これは熱寸法安定性のより優れたフィルムを得られる点で有利であるからである。同様の理由で熱処理工程直前において残留溶媒量が2質量%未満、好ましくは0.4質量%未満まで乾燥されていることが好ましい。
熱処理は150〜200℃の温度で行うことが好ましく、160〜180℃の温度で行うことが更に好ましい。また、熱処理は1〜20分間行うことが好ましく、5〜10分間行うことが更に好ましい。
また、延伸処理されたフィルムは、その後、100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付けられる工程を経て製造されてもよい。この水蒸気の吹付け工程を経ることにより、製造される光学フィルムの残留応力が緩和されて、寸度変化が小さくなるので好ましい。水蒸気の温度は100℃以上であれば特に制限はないが、フィルムの耐熱性などを考慮すると、水蒸気の温度は、200℃以下となる。
本発明に係る光学フィルムは、
少なくともセルロースアシレート系樹脂PA、セルロースアシレート系樹脂PB及びアクリル系樹脂PCがこの順に積層されてなる光学フィルムであって、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロース樹脂の置換度が以下の条件を満たす光学フィルムである。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0
LA<LC
LB<LC
更に好ましくは、
(LA+LB)<LCであり、
最も好ましくは LA<LB<LCである。
また、絶対膜厚としては、
LAは1層当り0.5〜20μmが好ましく、更に好ましくは0.5〜15μmであり、最も好ましくは1〜10μmである。LBは1層当り0.5〜20μmが好ましく、更に好ましくは0.5〜15μmであり、最も好ましくは1〜10μmである。LCは1層当り10〜200μmが好ましく、更に好ましくは15〜100μmであり、最も好ましくは20〜60μmである。
少なくとも3種の樹脂を含む積層状態の光学フィルムにおいては、これら3種の樹脂を含む層の界面が必ずしも明確でなく、組成が徐変している態様も界面密着性の改良の点で好ましい。
また、積層体としての光学フィルム全体の膜厚は、11〜240μmが好ましく、更に好ましくは15〜150μmであり、最も好ましくは20〜100μmであり、特に好ましくは、20〜50μmである。
この関係を満たすことで得られる光学フィルムの界面密着性、カール性、吸水量低減などを満足することができる。
本発明の光学フィルムは、その上に更に0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を設けることができる。また、本発明の光学フィルムは、該硬化性樹脂層の上に、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層等の光学機能層を設けることもできる。また、硬化性樹脂層が帯電防止層や高屈折率層を兼ねることもできる。
硬化性樹脂層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を光透過性基材上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、硬化性樹脂層には、公知のレベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、屈折率調節用無機フィラー、散乱粒子、チキソトロピー剤等の添加剤を用いることができる。
本発明の光学フィルムを、偏光板の保護フィルムとして使用し、偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理、アルカリ処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面を親水的にする処理を実施することが特に好ましい。
[偏光板の構成]
本発明の光学フィルムは、偏光膜とその少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する偏光板において、その保護フィルムとして使用することができる。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
〔画像表示装置〕
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いられる。
本発明の光透過性基材、光学フィルム、及び偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、バックライト側の最表層に用いることが好ましい。
表1に示したセルロースアシレート樹脂、及び下記材料を使用して、表2に示す組成(質量%)でドープを作製した。また、表2に記載の各溶剤濃度になるように下記溶剤を添加した。なお、表2における溶剤濃度は、ドープ全質量に対する溶剤の濃度(質量%)を表す。
・Acryl−2:ラクトン環含有アクリル系樹脂(特開2009−127009号公報の合成例1の樹脂 (メチルメタアクリレート単位80質量%、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル単位20質量%の樹脂の脱アルコール反応率96.6%のラクトン環含有アクリル樹脂) Mw13.3万、Tg131℃)
・Acryl−3:グルタル酸無水物単位を有するアクリル系樹脂(特開2009−127009号公報の合成例2の樹脂 メチルメタアクリレート単位70質量%、グルタル酸無水物単位30質量% Mw18万、Tg145℃)
・可塑剤Add−1:エチレングリコールとアジピン酸との縮合物(数平均分子量1000、水酸基価113)
・可塑剤Add−2:糖エステル(国際公開第2009−031464号の例示化合物1と3の混合物(4:1質量比))
・添加剤Add−3:メチルメタアクリレートとメチルアクリレートの97:3モル比の共重合体(Mw7万)
・添加剤Add−4:アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂{東洋スチレン(株)製、「トーヨーAS AS20」(商品名)}
・溶媒:ジクロロメタンとメタノールの9対1(質量比)の混合物
[含水率]
含水率の測定法は、光学フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して質量%を算出した。
光学フィルムの表面にカッターナイフで碁盤目状に縦6本、横6本の切り込みを2mm間隔で入れて合計25個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、引き剥がす試験を行い、剥がれの有無を目視で観察した。この試験を4箇所で行い、合計100個の正方形の碁盤目のうち剥がれた升目の個数を評価値とした。この数値は、実用的には15以下が好ましく、更に好ましくは10以下であり、5以下が特に好ましい。
下記の評価方法に基づいて得られたフィルム試料の剥離性を評価した。
5:剥離性が非常に良く、剥離後にフィルムに光学的なムラがほとんど視認できなかった。
4:剥離性が良く、剥離後にフィルムに光学的なムラわずかに視認された。
3:剥離でき、剥離後にフィルムに段状の膜厚ムラは無いが、光学的なムラが視認できた。
2:剥離性が悪く、剥離後にフィルムに段状の膜厚ムラが視認できた。
1:剥離性が非常に悪く、段状の膜厚ムラに加え剥離時にフィルムが部分的に伸張された。
A5サイズにカットしたフィルム試料を第1層を下に向けて水平に静置し、水平面からカールして反り上がった様子を観察して、5段階相対評価を行った。最もカールが激しいものは、筒状に丸まったもので、1と評価し、殆どカールのないものを5とした。評価1と評価5のカール状態の間をほぼ4分割して5段階評価とした。
特に、第1層のセルロースアシレート系樹脂PAの総置換度が高く、炭素数が2のアシル置換度が高い樹脂と、第2層のセルロースアシレート系樹脂PBの炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度の高い樹脂を組み合わせて用いた場合に性能が優れることが分かる(試料101〜110の比較)。
また、全層に共通の可塑剤を含有させることで、カールの改良効果を有することが分かる(試料101、111、115、116、117の比較)。
また、ドープ(B)にセルロースアシレート系樹脂PBと共にアクリル系の樹脂を併用することでカールの低減が計れることが分かる(試料101と120の比較)。
また、表4によれば、ドープ(A)、ドープ(B)、ドープ(C)から形成される層の膜厚が、LA<LB<LCの構成や、更に、ドープ(C)から形成される層の上層にドープ(B)及び又はドープ(A)から形成される層を有する構成でカール改良効果がありことが分かる(試料126〜131の比較)。
特開2009−98674号公報の実施例2の偏光板P−1の作成において、セルロースアセテートフィルム(フジタックTD60UL;富士フイルム(株)製)の代わりに、本実施例で作製した光学フィルム101〜131を用いる以外は同様にして偏光板(Pol−1)〜(Pol−131)を作製した。
本発明の光学フィルムを用いた偏光板の場合には、偏光子の密着性に優れ、低カールの偏光板が作製できた。
市販のIPS−TVの偏光板を注意して剥がし、本発明の偏光板Pol−111を粘着剤を介し偏光子の外側に本発明のフィルムが設置されるように、IPSセルの両側に設置した。このようにして作製した液晶表示装置において、装置正面の極角方向70度で、方位角0〜180度での色味の変化を観察した結果、いずれも色味の変化が小さいことが確認できた。
12 ドープ
14 流延ダイ
31 バンド
32 バックアップローラ
33 バックアップローラ
36 フィルム
37 剥ぎ取りローラ
51 温調板
52 凝縮板
53 液受け
56 回収タンク
101 流延設備
102 ドラム
105 凝縮板
PS 流延開始位置
Claims (14)
- 熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも3種のドープ(A)、(B)、及び(C)を流延基材側からこの順番に同時または逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、
ドープ(A)は、セルロースアシレート系樹脂PAを含有し、
ドープ(B)は、セルロースアシレート系樹脂PBを含有し、
ドープ(C)は、アクリル系樹脂PCを含有し、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロースアシレート系樹脂の置換度が以下の条件を満たし、
前記アクリル系樹脂が、重量平均分子量80000以上であり、分子内にメチルメタアクリレート単位を50質量%以上99質量%以下有するアクリル系樹脂である光学フィルムの製造方法。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0 - 前記セルロースアシレート系樹脂PA及びPBの置換度が更に以下の条件を満たす請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
2.5≦TA全≦3.0
2.4≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.1
2.5≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
2.0≦TB3≦3.0 - ドープ(A)とドープ(B)が共通の可塑剤を含有する請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記可塑剤が、ポリエステル系化合物又は糖エステルである請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記アクリル系樹脂が、共重合成分として脂環式アルキル基を含有するか、または分子内環化により形成された分子主鎖に環状構造を有するアクリル系樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ドープ(A)〜(C)に含有される有機溶媒のいずれもが、少なくともハロゲン原子を含む有機溶媒を60〜99質量%、炭素数が5以下のアルコールを1〜40質量%含む有機溶媒からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ドープ(A)から形成される層の厚みをLA、前記ドープ(B)から形成される層の厚みをLB、前記ドープ(C)から形成される層の厚みをLCとした場合に、これらの厚みが以下の関係を満たす請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
LA<LC
LB<LC - (LA+LB)<LCを満たす請求項7に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ドープ(C)上に流延基材から遠い側に更に、ドープ(B)を同時または逐次に流延する請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ドープ(C)上に更に、ドープ(B)及び(A)をこの順番に同時または逐次に流延する請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された光学フィルム。
- 少なくともセルロースアシレート系樹脂PA、セルロースアシレート系樹脂PB及びアクリル系樹脂PCがこの順に積層されてなる光学フィルムであって、
セルロースアシレート系樹脂PAのアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3とし、
セルロースアシレート系樹脂PBのアシル基の総置換度をTB全、炭素数が2のアシル基の置換度をTB2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度TB3とした場合に、これらセルロース樹脂の置換度が以下の条件を満たし、
前記アクリル系樹脂が、重量平均分子量80000以上であり、分子内にメチルメタアクリレート単位を50質量%以上99質量%以下有するアクリル系樹脂である光学フィルム。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.2≦TB全≦3.0
0.0≦TB2≦1.0
1.2≦TB3≦3.0 - 偏光膜と、少なくとも1枚の請求項11又は12に記載の光学フィルムとを有する偏光板。
- 請求項11若しくは12に記載の光学フィルム、又は請求項13に記載の偏光板を少なくとも1枚有する画像表示装置。
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