JP2011236259A - 光学フィルムの製造方法、及び光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも2種のドープ(A)、及び(B)を流延基材側から(A)−(B)−(A)の順番に同時または逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、流延基材表面の温度が5℃以下であり、ドープ(A)はアシル基の置換度が1.2以上3.0以下であるセルロースアシレート系樹脂を含有し、ドープ(B)はアクリル系樹脂を含有する光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
近年液晶表示装置はその普及にともない、更なる薄層化、大型化、また高性能化が求められている。
セルロースエステルフィルムは透過率が高く、アルカリ水溶液に浸漬させてその表面を鹸化し親水化することで、偏光子との優れた密着性を実現している。しかしながら、温湿度変化により吸湿又は脱水により寸法変化しやすいという問題があった。
そこで、それぞれのフィルムの課題をこれらフィルムを積層することにより解決しようという技術が提案された。
また、特許文献2では、セルローストリアセテートを溶液流延法にて製膜する場合には、流延したドープを冷却することによりゲル化を速め、剥ぎ取りまでの時間を短縮できる技術が開示されている。
また、特許文献3では、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を特定の割合で相溶状態で含有する光学フィルムの溶液流延の製造方法が開示されている。
熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも2種のドープ(A)、及び(B)を流延基材側から(A)−(B)−(A)の順番に同時又は逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、流延基材表面の温度が5℃以下であり、ドープ(A)はアシル基の置換度が1.2以上3.0以下であるセルロースアシレート系樹脂を含有し、ドープ(B)はアクリル系樹脂を含有する光学フィルムの製造方法。
2.
ドープ(B)において、アクリル系樹脂の重量平均分子量が80000以上300000以下である上記1に記載の光学フィルムの製造方法。
3.
ドープ(B)において、アクリル系樹脂の重量平均分子量が250000以上600000以下である上記1に記載の光学フィルムの製造方法。
4.
ドープ(A)、及び(B)に含有される有機溶媒に含まれるアルコールの割合が、有機溶媒全体の10質量%以上50質量%以下である上記1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
5.
ドープが流延基材上を搬送される時間が60秒以内である上記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
6.
ドープ(B)の固形分濃度が16〜50質量%である上記1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
7.
ドープ(B)の固形分濃度が16〜30質量%であり、かつ、ドープ(B)とドープ(A)の固形分濃度の差が10質量%以内である上記1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
8.
上記1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で製造された光学フィルム。
本発明における光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも2種のドープ(A)、及び(B)を流延基材側から(A)−(B)−(A)の順番に同時又は逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、流延基材表面の温度が5℃以下であり、ドープ(A)はアシル基の置換度が1.2以上3.0以下であるセルロースアシレート系樹脂を含有し、ドープ(B)はアクリル系樹脂を含有する光学フィルムの製造方法である。
前記2つのドープ(A)は同じ組成でも異なる組成でもよい。
ドープ(A)、及び(B)に含まれる好ましい熱可塑性樹脂としては、それぞれセルロースアシレート系樹脂、及びアクリル系樹脂が挙げられる。
本発明に係るドープ(A)に含有されるセルロースアシレート系樹脂は、アシル基の総置換度が1.2以上3.0以下であれば特に定めるものではない。原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
2.5≦TA全≦3.0
2.4≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.1
本発明に係るドープ(B)に含有されるアクリル系樹脂には、メタクリル系樹脂も含まれ、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体がよく知られている。アクリル系樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが、光弾性係数の小さいフィルムを得るために好ましい。
また、ドープ(B)の固形分濃度を前記ドープ(A)の固形分濃度と同程度としたときに、ドープ(B)の粘度を前記ドープ(A)より高い粘度とすることで、優れた面状の光学フィルムが得られるという理由からはアクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が250000以上600000以下であることが好ましく、400000以上550000以下であることがより好ましい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
アクリル系樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル系樹脂は2種以上を併用することもできる。
アクリル系樹脂は、更に別の熱可塑性樹脂を含むことができる。本発明において熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が100℃以上、全光線透過率が85%以上の性能を有するものが、前記アクリル系樹脂と混合してフィルム状にした際に、耐熱性や機械強度を向上させる点において好ましい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体としては、具体的には、その共重合比がモル単位で、1:10〜10:1の範囲のものが有用に使用される。
好ましくは、これら成分の構成質量比率が、40〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。
本発明においては、光学フィルムに柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために可塑剤を用いてもよい。
これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
また、耐揮発性、ブリードアウト、低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、例えば特開2009−98674号公報に記載の両末端が水酸基であるポリエステルジオールを用いるのが好ましい。また、光学フィルムの平面性や低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、WO2009/031464号公報に記載の糖エステル誘導体も好ましい。
本発明の光学フィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
フィルムの表面に凹凸を与えたりフィルム内部に光散乱性を付与するために粒子を添加することもでき、その場合には、粒子の粒径は1〜20μmであるのが好ましく、添加量は2〜30質量%好ましい。これら粒子屈折率は本発明のポリマーフィルムの屈折率との差が0〜0.5であるのが好ましく、例えば、無機材料の粒子の例には、酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粒子が含まれる。有機材料の粒子の例には、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が含まれる。粒子により光学フィルムに光拡散性を付与する際には、ヘイズの値に制限はないが、後方散乱性が高くなり全光透過率の低下が大きくなり過ぎない範囲に設定することが好ましい。具体的には、ヘイズは1〜60%が好ましく、更に好ましくは3〜50%である。
本発明の熱可塑性樹脂を溶解しドープを形成する有機溶媒について記述する。用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「PolymerHandbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報 段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
前記ドープ(A)及び(B)に含有される有機溶媒のうちアルコールの割合が有機溶剤全体の10〜50質量%であることが製膜後の支持体(流延基材)上での乾燥時間を短縮し、早く剥ぎ取って乾燥することができるという理由から好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。
本発明の光学フィルムに用いる熱可塑性樹脂の溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、室温溶解法、冷却溶解法又は高温溶解方法により実施され、更にはこれらの組合せで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にはセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。これらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明の熱可塑性樹脂に対しても、これらの技術を適宜適用できるものである。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。更に熱可塑性樹脂のドープ溶液は、溶液濃縮、濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、前記少なくとも2種のドープ(A)、(B)を流延基材側からこの順番に同時に流延基材上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムから剥ぎ取り、更に100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
本発明の目的である支持体離型性、界面密着性、低カールを達成するために、少なくともドープ(A)、(B)中の熱可塑性樹脂の組成は、以下の条件を満たすことが好ましい。ドープ(A)中の熱可塑性樹脂中セルロースアシレート系樹脂の占める割合は、50〜100質量%が好ましく、更に好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。またドープ(B)中の熱可塑性樹脂中アクリル系樹脂の占める割合は、30〜100質量%が好ましく、更に好ましくは50〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。
一方、共流延製膜にて良好な面状のフィルムを得るためには、ドープ(B)とドープ(A)の固形分濃度の差が10質量%以内であることが好ましく、5質量%以内であることがより好ましい。
特に、ドープ(B)において、乾燥後固体となる成分の和の濃度が16〜30質量%であり、かつ、ドープ(B)とドープ(A)の濃度の差が10質量%以内であることが好ましい。
また、絶対膜厚としては、LAは1層当り0.5〜20μmが好ましく、更に好ましくは0.5〜15μmであり、最も好ましくは1〜10μmである。LBは1層当り10〜200μmが好ましく、更に好ましくは15〜100μmであり、最も好ましくは20〜60μmである。
また、積層体としての光学フィルム全体の膜厚は、11〜240μmが好ましく、更に好ましくは15〜150μmであり、最も好ましくは20〜100μmであり、特に好ましくは、20〜50μmである。
この関係を満たすことで、流延時の面状が良好で、得られる光学フィルムの界面密着性、カール性、吸水量低減などを満足することができる。
本発明では、ドープが流延基材上に流延され剥離される時間、すなわち、流延基材上を搬送される時間が60秒以内であることが好ましく、30秒以内であることがより好ましい。
ドラム上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
本発明の製造方法は、前記製膜工程のあとに、製膜した前記積層フィルムを延伸する工程を含んでもよい。
本発明のフィルムの製造では、支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量の更に好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜35質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
また、延伸はフィルム搬送方向(縦方向)に行っても、フィルム搬送方向に直交する方向(横方向)に行っても、両方向に行ってもよい。
一方、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、可塑剤として揮散しやすい低分子可塑剤を用いる場合は、室温(15℃)〜145℃以下の範囲が好ましい。
同時2軸延伸する場合、延伸温度は110℃〜190℃で行った場合でも本発明のフィルムを得ることができ、同時2軸延伸する場合の延伸温度は、120℃〜150℃であることがより好ましく、130℃〜150℃であることが特に好ましい。また、同時2軸延伸することで、ヘイズはある程度高くなるものの、光学発現性を更に高めることができる。
一方、逐次2軸延伸する場合、先にフィルム搬送方向に平行な方向に延伸し、その次にフィルム搬送方向に直交する方向に延伸することが好ましい。前記逐次延伸を行う延伸温度のより好ましい範囲は上記同時2軸延伸を行う延伸温度範囲と同様である。
本発明のフィルムの製造方法は乾燥工程終了後に熱処理工程を設けることが好ましい。当該熱処理工程における熱処理は乾燥工程終了後に行われればよく、延伸/乾燥工程後直ちに行ってよいし、あるいは乾燥工程終了後に後述する方法で一旦巻き取った後に、熱処理工程だけを別途設けてもよい。本発明においては乾燥工程終了後に一旦、室温〜100℃以下まで冷却した後において改めて前記熱処理工程を設けることが好ましい。これは熱寸法安定性のより優れたフィルムを得られる点で有利であるからである。同様の理由で熱処理工程直前において残留溶媒量が2質量%未満、好ましくは0.4質量%未満まで乾燥されていることが好ましい。
熱処理は150〜200℃の温度で行うことが好ましく、160〜180℃の温度で行うことが更に好ましい。また、熱処理は1〜20分間行うことが好ましく、5〜10分間行うことが更に好ましい。
また、延伸処理されたフィルムは、その後、100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付けられる工程を経て製造されてもよい。この水蒸気の吹付け工程を経ることにより、製造される光学フィルムの残留応力が緩和されて、寸度変化が小さくなるので好ましい。水蒸気の温度は100℃以上であれば特に制限はないが、フィルムの耐熱性などを考慮すると、水蒸気の温度は、200℃以下となる。
本発明に係る光学フィルムは前記本発明に係る製造方法により製造された光学フィルムである。
本発明の光学フィルムは、その上に更に0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を設けることができる。また、本発明の光学フィルムは、該硬化性樹脂層の上に、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層等の光学機能層を設けることもできる。また、硬化性樹脂層が帯電防止層や高屈折率層を兼ねることもできる。
硬化性樹脂層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を光透過性基材上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、硬化性樹脂層には、公知のレベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、屈折率調節用無機フィラー、散乱粒子、チキソトロピー剤等の添加剤を用いることができる。
本発明の光学フィルムを、偏光板の保護フィルムとして使用し、偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理、アルカリ処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面を親水的にする処理を実施することが特に好ましい。
[偏光板の構成]
本発明の光学フィルムは、偏光膜とその少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する偏光板において、その保護フィルムとして使用することができる。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
〔画像表示装置〕
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いられる。
前記光学フィルム、及び偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、バックライト側の最表層に用いることが好ましい。
表1に示したセルロースアシレート系樹脂、及び下記材料を使用して、表2に示す組成でドープを作製した。
・アクリル2:アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体、重量平均分子量28万、分子中のメタクリル酸メチル由来のモノマー単位の割合90質量%以上99質量%以下)
・アクリル3:アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体、重量平均分子量10万、分子中のメタクリル酸メチル由来のモノマー単位の割合90質量%以上99質量%以下)
・アクリル4:アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体、重量平均分子量4万、分子中のメタクリル酸メチル由来のモノマー単位の割合90質量%以上99質量%以下)
・添加剤A1:エチレングリコール/アジピン酸との縮合物(数平均分子量1000、水酸基価113)
・添加剤A2/A3としてはトリフェニルホスフェート/ビフェニルジフェニルホスフェート 2:1(質量比)混合物を用いた。
表2に記載のドープを用いて、ドラム流延方式にて流延製膜を行い、表3の構成となるように光学フィルムを作製した。具体的には、3層共流延が可能な流延ギーサーを通して、表3に記載した温度に冷却したドラム支持体上に、表3に記載の層構成となるように流延した。このとき、ドラム支持体面側から順に層1、層2、層3となるように流延した。膜厚構成は、各ドープ流量から均一厚みの膜が形成されたと仮定したときの換算膜厚である。ドラム支持体上にある間、ドープを40℃の乾燥風により乾燥してフィルムを形成した後に剥ぎ取り、フィルム両端をピンで固定し、その間を同一の間隔で保ちつつ105℃の乾燥風で更に乾燥した。各構成のフィルムについて、それぞれ流延速度を段階的に変更し、剥げ残りなどが発生することなく剥ぎ取ることのできる最も速い速度で製膜を行った。この時の流延から剥ぎ取りまでの時間を、乾燥時間として表3に記載した。
フィルム試料40mm×80mmを準備し、25℃,60%RHの環境下、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)により、JIS K−6714に従って全ヘイズ値を測定した。
得られたフィルムの平面性について、蛍光灯下で目視観察を行い、スジ状故障レベルを3段階で評価した。評価結果を表2に記載した。
○:スジ状故障が全く見えない
△:スジ状故障がわずかに見える箇所が存在する
×:スジ状故障が明確に視認できる箇所が存在する
(偏光板の作製)
上記のとおり作製したフィルムを、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥した。
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、アルカリけん化処理した実施例1のフィルムを1枚と、先述と同様にアルカリけん化処理した市販のセルロースアセテートフィルム(フジタック TD60UL;富士フイルム(株)製)を1枚用意して、偏光膜を間にして貼り合わせ、両面がセルロースアシレートフィルムよって保護された偏光板を得た。この際、両側のセルロースアシレートフィルムの遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。
実施例2〜15及び比較例1〜3のフィルムについても同様に処理してそれぞれ偏光板を作製した。
いずれも延伸したポリビニルアルコールとの貼合性は十分であり、優れた偏光板加工適性を有していた。
市販のIPS−TVの偏光板を注意して剥がし、上記のとおり作製した偏光板を粘着剤を介しIPSセルの両側に設置した。ここで、実施例1〜15及び比較例1〜3のフィルムがそれぞれIPSセルと偏光子との間に設置されるようにした。
以上のようにして作製した液晶表示装置の表示ムラについて、装置正面から観察した場合の黒表示時の輝度ムラを観察し、以下の基準で評価した。
◎ : 照度100lxの環境下でムラがほとんど視認されない
○ : 照度100lxの環境下で淡いムラが視認される
△ : 照度100lxの環境下で明確なムラが視認される
× : 照度300lxの環境下で明確なムラが視認される
評価結果を下記表3に示す。
102 ドラム
14 流延ダイ
12 ドープ
PS 流延開始位置
105 凝縮板
53 液受け
56 回収タンク
36 フィルム
37 剥ぎ取りローラ
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂と有機溶媒を含有する少なくとも2種のドープ(A)、及び(B)を流延基材側から(A)−(B)−(A)の順番に同時又は逐次に流延基材上に流延し、溶媒を除去し光学フィルムを製造する方法であって、流延基材表面の温度が5℃以下であり、ドープ(A)はアシル基の置換度が1.2以上3.0以下であるセルロースアシレート系樹脂を含有し、ドープ(B)はアクリル系樹脂を含有する光学フィルムの製造方法。
- ドープ(B)において、アクリル系樹脂の重量平均分子量が80000以上300000以下である請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- ドープ(B)において、アクリル系樹脂の重量平均分子量が250000以上600000以下である請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- ドープ(A)、及び(B)に含有される有機溶媒に含まれるアルコールの割合が、有機溶媒全体の10質量%以上50質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- ドープが流延基材上を搬送される時間が60秒以内である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- ドープ(B)の固形分濃度が16〜50質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- ドープ(B)の固形分濃度が16〜30質量%であり、かつ、ドープ(B)とドープ(A)の固形分濃度の差が10質量%以内である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で製造された光学フィルム。
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