JP5725333B2 - 木造部材 - Google Patents
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Description
しかし、近年では、木造部材に対して、火災時の燃え止まり性能が求められているため、木材に不燃性の薬液等を含浸定着させて燃え止まり性能を付与した木造部材を用いることが提案、実施されている。ところが、薬液等を木材に含浸定着させて木造部材を形成した場合には、一般的な木材の良さである調湿性、香り、見た目、肌触り等が失われてしまうという問題があった。
このような木造部材は、通常時には、上述したような木材の良さを確保でき、また、火災により表面木材部が燃えた場合には、不燃材が本体木材部への熱気流の侵入を抑制することができるとともに、発泡層が発泡することによって断熱性を確保することができる。
このため、この亀裂から本体木材部へ熱気流が侵入し、燃焼が促進されることが懸念される。
また、表面には、表面木材部が配されていることにより、通常時に木材の良さを確保することができる。
このように構成されていることにより、発泡層が発泡し、伸長部が伸長したときに、発泡層を介して隣り合う膜状の不燃材が、この発泡層の発泡に追従して移動することができるため、発泡層の発泡を安定させることができる。
このように構成されていることにより、伸長部が容易に伸長可能となるため、発泡層の発泡に容易に追従することができる。
このように構成されていることにより、膜状の不燃材から発泡層に均等に熱を伝えることができるため、発泡層を均一に発泡させることができる。
このように構成されていることにより、火災時に確実に発泡層が発泡して遮熱性能を発揮させることができるとともに、コストを低減させることができる。
また、表面には、表面木材部が配されていることにより、通常時に木材の良さを確保することができる。
図1に示すように、本実施形態による木造部材1は、内部に配される本体木材部2と、表面に配される表面木材部3と、本体木材部2と表面木材部3との間に介装された遮熱部4と、を備えている。
ここで、木造部材1の表面木材部3側において火災が生じた場合を火災時とし、火災時以外を通常時として以下説明する。
表面木材部3は、その表面が木造部材1の化粧面となる部材で、その厚さd2(図1(a)参照)は、例えば、数mmに形成されている。また、表面木材部3は、火災時には炭化し、亀裂が生じて脱落するように構成されている。このため、表面木材部3は、火災時に所定時間で炭化して脱落可能な厚さに形成されている。
本実施形態では、2つの発泡層11a,11bと、3つの金属膜12a,12b,12cを備えていて、遮熱部4の本体木材部2側および表面木材部3側の厚さ方向両面に金属膜12が配されるように、発泡層11と金属膜12とが交互に積層されている。
なお、発泡層11および金属膜12の積層数は、任意に設定されてよい。
また、金属膜12と本体木材部2および表面木材部3とは耐熱性のある接着剤または木工用の接着剤によって接着されている。
なお、この接着剤は、発泡層11を保護し、発泡層11の含水率を保つ役割も果たしている。
発泡層11は、通常時において厚さd3(図1(a)参照)が2〜3mm程度とされ、100℃前後で加熱されると発泡してその厚さd4(以下、発泡厚d4とする。図3参照)が数cmとなり、さらに発泡とともに略透明から白色に近い色に変色するように構成されている。
なお、発泡層11は、有機剤を珪酸ソーダに混入したものとしてもよく、また、珪酸ソーダに代わって、例えば珪酸カリウム、珪酸リチウムなどの珪酸塩を備えて形成してもよい。
なお、発泡層11は、その厚さによって遮熱性能を調整することができるため、火災時の非加熱側の温度を調整することができる。
金属膜12は、約1000℃の高温で加熱されても溶融しないような耐熱性を有し、火災時に溶融による亀裂やひび割れが発生しにくいものとされている。
図1(c)には、伸長部13を説明するために、発泡層11は発泡させず伸長部13を少し伸長させた様子を示している。
ここで、伸長部13のうち、金属膜12の表面木材部3側に連結されたものを伸長部(第1伸長部)13aとし、本体木材部2側に連結されたものを伸長部(第2伸長部)13bとして以下説明する。そして、伸長部13aは、表面木材部3側へ伸長可能に構成され、伸長部13bは、本体木材部2側へ伸長可能に構成されている。
なお、伸長部13a,13bは、発泡層11が発泡する時に伸長可能に構成されていれば、金属膜12に対して形成される位置は上記以外としてもよい。
なお、発泡時に発泡層11から水蒸気やガスが発生することが無い場合は、伸長部13a,13bにガス抜き口15が形成されていなくてもよい。
連結部材16は、発泡層11の厚さ方向に延びる帯状の部材で、発泡層11の端面に沿って該発泡層11の厚さ方向に直交する方向に間隔をあけて複数配されている。連結部材16の厚さ方向両端にそれぞれ伸長部13a,13bが連結されている。
また、連結部材16は、金属膜12と同等の材料を帯状に加工したもので、発泡層11の端面に耐火性の接着剤などで接着されている。
木造部材1の表面木材部3側で火災が発生し、木造部材1に火が及ぶと、まず、表面木材部3が燃えて炭化し、亀裂が生じて金属膜12から脱落する。
これにより、表面木材部3側の金属膜12aが露出し、この金属膜12aと隣り合う発泡層11aへ火災の熱が伝達される。
そして、発泡層11aが加熱されて、その温度が100℃付近に到達すると、発泡層11は、発泡するとともに白色に近い色に変色する。また、発泡層11aが加熱されると、金属膜12bを介して隣り合う発泡層11bに熱が伝達し、発泡層11bも発泡層11aと同様に発泡する。
発泡層11a,11bが発泡することにより(図3の状態)遮熱層4が遮熱性能を発揮し、本体木材部2が燃焼する温度に加熱されることを防いでいる。
なお、発泡層11が本体木材部2側から加熱された場合は、表面木材部3側よりも本体木材部2へ多く発泡することになるが、発泡層11の両側(本体木材部2側および表面木材部3側)に伸長部13a,13bが配されているため、発泡層11の発泡に追従して伸長部13a,13bのいずれか1つ以上が伸長することができる。つまり、金属膜12が発泡層11の発泡に追従して移動できるようになっている。
本実施形態による木造部材1によれば、金属膜12が発泡層11の発泡に追従して移動できるようになっていることにより、発泡層11の発泡によって金属膜12に亀裂などの損傷が生じることがないため、金属膜12を介して発泡層11へ均等に熱が伝達されるとともに、亀裂からの熱侵入がなく、発泡層11が均等に発泡されて遮熱性能を確保することができる作用効果を奏する。
さらに、伸長部13には、ガス抜き口15が形成されていることにより、発泡層11が発泡したときに発生したガスや水蒸気を、ガス抜き口15から外方へ効果的に排出させることができる。
また、木造部材1は、表面木材部3を備えていることにより、通常時には、木材の良さを確保することができる。
例えば、上述した実施形態では、本体木材部2の片面側に遮熱部4および表面木材部3が積層されているが、本体木材部2の両面側に遮熱部4および表面木材部3が積層されていてもよい。
また、上述した実施形態では、木造部材1を壁材として用いているが、柱材や、建具などに適用することもできる。
2 本体木材部
3 表面木材部
4 遮熱部
11,11a,11b 発泡層
12,12a,12b,12c 金属膜(膜状の不燃材)
13 伸長部
13a 伸長部(第1伸長部)
13b 伸長部(第2伸長部)
15 ガス抜き口
16 連結部材(帯状の不燃材)
Claims (5)
- 内部に配された本体木材部と、
表面を覆うように配された表面木材部と、
前記本体木材部と前記表面木材部との間に介装され、加熱により発泡する発泡層と膜状の不燃材とが厚さ方向に積層された遮熱部と、を備え、
前記膜状の不燃材には、不燃材で形成され前記発泡層が発泡したときに該発泡層の発泡に追従して伸長する伸長部が連結されていて、
前記伸長部は、前記表面木材部側に伸長する第1伸長部と、前記本体木材部側に伸長する第2伸長部と、を備えていることを特徴とする木造部材。 - 前記遮熱部は、前記発泡層と前記膜状の不燃材とが交互に複数積層されていて、前記発泡層を介して隣り合う一方の膜状の不燃材と連結された前記第1伸長部は、他方の膜状の不燃材と連結された前記第2伸長部とが、帯状の不燃材で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の木造部材。
- 前記伸長部は、蛇腹状に折りたたまれていることを特徴とする請求項1または2に記載の木造部材。
- 前記膜状の不燃材は、金属膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の木造部材。
- 前記発泡層は、珪酸塩を材料として形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の木造部材。
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