JP2010143061A - 防火フィルムおよび防火ガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂系フィルム2の片面に、発泡性断熱材と弾力性付与材とを含み所定の含水率の発泡性断熱層3を一体に積層し、この発泡性断熱層3の樹脂系フィルム2と接していない側一面に剥離紙4を設けて防火フィルム1を形成する。そして、防火フィルム1の剥離紙4を剥がして、発泡性断熱層3側を、例えば既存建物のガラス窓やガラス扉、ガラス壁などのフロートガラスの両表面に貼り付ける。
【選択図】図1
Description
そこで、網目状のワイヤをガラスに埋設し、ガラスにひび割れが生じてもワイヤによってガラスが保持されて脱落しないようにした網入りガラスや、純粋な無水珪酸のみを成分として形成された耐熱強化ガラスなどが建物のガラス窓やガラス扉、またガラス壁等に使用されている。また、ガラスが破壊した際に飛散しないように飛散防止フィルムなどをガラスに貼り付ける方法も行われている。
そこで、複層ガラスの間に珪酸ソーダなどの透明の発泡性断熱材を配設して構成された防火ガラスが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。この防火ガラスにおいては、火災時に高温で加熱されると発泡性断熱材が発泡して遮炎性を発揮するため、特に非火災側のガラスが割れることを防止でき、火災の拡大を抑制することが可能になる。また、透明の発泡性断熱材が発泡すると共に、不透明に変化することで火災側から非火災側に放射熱が伝搬することを防止できて、非火災側への延焼を防ぎ、確実に火災の拡大を防止することが可能になる。
既存の建物のフロートガラスに耐火性能を付与するには、既存のフロートガラスを全て耐火性能の高いガラスに交換しなければならなかった。耐火性能の高い網入りガラスや耐火強化ガラス、また特許文献1、2、3による防火ガラスは、フロートガラスに比べて非常に高価であり経済的な負担が大きく、ガラスの交換や運搬、また既存のフロートガラスの処分に要する労力もかかるという問題があった。
また、特許文献1、特許文献2、特許文献3による防火ガラスでは、複数のガラスと、隣り合うガラスの間に設けられた発泡性断熱材とを備えて構成されているため、その厚さは、例えば二十数ミリと大きくなり、既存の建物に配設された数ミリの単層のフロートガラスに換えて設置することが困難な場合もあった。
本発明では、防火フィルムは樹脂系フィルムに発泡性断熱材と弾力性付与材とを含む発泡性断熱層が積層された構成なので、防火対象物に防火フィルムを貼り付けることで容易に防火性能を付与することができる。また、発泡性断熱層は弾力性付与材を含んでおり、防火フィルムは弾力性を有しているので、防火対象物への貼り付け作業や運搬が行い易い。
本発明では、発泡性断熱材に安価な珪酸ソーダを使用し、弾力性付与材に水酸化カリウム、または水酸化ナトリウム、または金属塩、またはこれらの混合物を使用することにより、経済的に弾力性を有する防火フィルムを形成することができる。また、いずれも有機化合物でないため、防火性が高い。
本発明では、樹脂系フィルムは発泡性断熱層との接着面に易接着処理が施されていることにより、樹脂系フィルムと発泡性断熱層の接着を容易に、また確実に行うことができて、防火フィルムの品質管理が行いやすい。
本発明では、ガラスの表面に防火フィルムを貼り付けることで、防火性能の優れた防火ガラスを形成することができる。また、発泡性断熱層には弾力性付与材が含まれているので防火フィルムには弾力性があり、ガラス面への防火フィルムの貼り付けが行いやすいと共に、防火ガラスの品質が安定する。
図1は本発明の実施の形態による防火フィルムの一例を示す図、図2は本発明の実施の形態による防火ガラスの一例を示す図である。
樹脂系フィルム2は発泡性断熱層3と密着するように、その表面にコロナ放電処理などの易接着処理がされている。
珪酸ソーダは、100℃前後の温度で加熱されると発泡して断熱性を発揮し、発泡すると共に透明の珪酸ソーダが不透明に変化し、厚みを増大させる。水酸化カリウムと硼砂は珪酸ソーダ層へ弾力性を付与するものである。
また、弾力性付与材として、水酸化カリウム、または水酸化ナトリウム、または硼砂などの金属塩、またはこれらの混合物を採用することができる。
A={SiO2 /[SiO2 ]}/{Na2 O/[Na2 O]+X/[X]+Y/[Y]} ・・・(1)
ここで、珪酸ソーダはSiO2(二酸化ケイ素)とNa2 O(酸化ナトリウム)に分けて設定され、Xは水酸化カリウム、Yは硼砂とし、SiO2 、Na2 O、X、Yはそれぞれの重量(g)または重量比(%)を示し、[SiO2 ]、[Na2 O]、[X]、[Y]はそれぞれの式量を表す。モル比Aは2.2〜2.3を中心に2.0〜3.0程度となるように設定される。
このとき、防火フィルム1は、表面G1、G2に散水されたフロートガラスGに水貼りされる。そして、発泡性断熱層3は防火フィルム1をフロートガラスGに接着させるための接着剤の役割をする。
フロートガラスGは、既存建物のガラス窓やガラス扉、ガラス壁などの既設のフロートガラスである。
なお、防火ガラス10では、フロートガラスGの両表面G1、G2にそれぞれ防火フィルム1を貼り付けているが、どちらか片面に貼り付けてもよい。
防火フィルム1は剥離紙4を剥がしてフロートガラスGに水貼りするだけで、フロートガラスGに防火性能を付与することができて、また発泡性断熱層3には弾力性付与材の水酸化カリウムおよび硼砂が含まれているので、弾力性を有して施工や運搬が行い易いという作用効果を奏する。また、既存のフロートガラスGを網入りガラスや耐熱強化ガラスなどへ交換する従来の方法に比べ、既存のフロートガラスGを交換せずに、安価な珪酸ソーダや樹脂系フィルム2で形成された防火フィルム1を既存のフロートガラスGに貼り付けることで防火性能を付与できるので、コストや労力を低減することができる
。
また、防火フィルム1には有機物が含まれていない構成なので、防火性能を高めることができる。
さらに、防火フィルム1が透明であるため、従来の網入りガラスのようにガラスに埋設した網目状のワイヤが見えてしまい建物のガラス窓、ガラス扉、ガラス壁などに求められる空間の開放感や空間同士の連続感などを損なうようなこともなく、好適にフロートガラスGに防火性能を付与することが可能になる。また、防火フィルム1は、フロートガラスGの表面G1、G2を被覆するように貼り付けられることで、火災時の防火性能のみならず、地震発生時などフロートガラスGが割れた場合に、このフロートガラスGの飛散を防止することができる。
防火ガラス20は、図2に示す防火ガラス10と同様の構造で、厚さ6mmのフロートガラスGの両面に発泡性断熱層3の厚みが1mmの防火フィルム1が貼り付けられている構成である。そして、防火ガラス20の非火災側の防火フィルム1表面の温度計測点P1〜P10にて時間の経過と共に温度を計測した。
図4(a)では加熱時の炉内温度の変化を示し、図4(b)では各温度計測点の温度変化を示す。図4では、炉内の4つの異なる高さごとに4箇所ずつ計16箇所の測定点での温度変化を示している。
また、目視によって、防火ガラス10の非火災側へ火煙の噴出が無いことや、防火ガラスの脱落が防止されていることを確認した。
例えば、上述した実施の形態では、発泡性断熱材を珪酸ソーダとしているが、珪酸ソーダに代わって、例えば窒素りん酸化合物などの火災時の加熱によって発泡し、断熱性を発揮するものとしてもよい。また、上述した実施の形態では、弾力性付与材を水酸化カリウムと硼砂としているが、水酸化カリウムや硼砂に代えて水酸化ナトリウムや、硼砂以外の金属塩としてもよい。あるいはこれらの任意の1種、または任意の2種以上を含む混合物でもよい。
また、上記の実施の形態では、既存の建物のフロートガラスGに防火フィルム1を貼り付けているが、新設のフロートガラスGへ防火フィルム1を貼り付けてもよく、また、フロートガラスG以外の防火対象物に防火フィルム1を貼り付けてもよい。また、工場などで予め形成された防火ガラス10を既存や新設の建物などに取り付けてもよい。また、防火フィルム1には必ずしも剥離紙4が備えられていなくてもよい。
要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
2 樹脂系フィルム
3 発泡性断熱層
4 剥離紙
10、20 防火ガラス
G フロートガラス
G1、G2 表面
Claims (4)
- 防火対象物の表面に貼り付けて前記防火対象物に防火性能を付与するための防火フィルムであって、
発泡性断熱材と弾力性付与材とを含む発泡性断熱層が樹脂系フィルムに積層されていることを特徴とする防火フィルム。 - 前記発泡性断熱材は珪酸ソーダであり、前記弾力性付与材は水酸化カリウム、または水酸化ナトリウム、または金属塩、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の防火フィルム。
- 前記樹脂系フィルムは発泡性断熱層との接着面に易接着処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防火フィルム。
- 発泡性断熱材と弾力性付与材とを含む発泡性断熱層が樹脂系フィルムに積層されている防火フィルムを、ガラスの表面に貼り付けて構成されていることを特徴とする防火ガラス。
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