JP5724806B2 - セラミック多層基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック多層基板及びその製造方法に関し、詳しくは、セラミック材料粉末が焼結した基材層と、焼成時の基材層の収縮を抑制する拘束層とが積層されたセラミック多層基板及びその製造方法に関する。
セラミック材料からなる複数の基材層を備えたセラミック多層基板は、セラミック材料粉末を含む未焼結の基材層を積層した積層体を焼成することにより作製される。未焼結の基材層は焼成時に収縮するため、基板の反り等の不具合が発生しやすい。そこで、焼成時の基材層の収縮を抑制する拘束層と未焼結の基材層とを積層した積層体を焼成し、焼成時に基材層の面方向の収縮を拘束層によって抑制することによって、基材層と拘束層とが積層されたセラミック多層基板を作製することが提案されている。
例えば、特許文献1に開示されたセラミック多層基板は、第1のセラミック材料粉末とガラス材料粉末とを含む未焼結の基材層と、第1のセラミック材料粉末の焼結温度では焼結しない第2のセラミック材料粉末を含む未焼結の拘束層とを積層した積層体を、第1のセラミック材料粉末は焼結するが第2のセラミック材料粉末は焼結しない条件で焼成することにより作製される。基材層中のガラス材料粉末は、焼成時に流動化し拡散し、焼成後には拘束層の第2のセラミック材料粉末を固着する。
特許文献2には、例えば図2に示すように、厚みの異なる基材層を含むセラミック多層基板について、相対的に厚い基材層に接する拘束層は相対的に厚く、相対的に薄い基材層に接する拘束層は相対的に薄くすることによって、セラミック多層基板の反りを抑制することが開示されている。すなわち、図2は、セラミック多層基板1の断面図である。図2に示すように、基材層3(a)は拘束層4(a)に接し、基材層3(b)は拘束層4(b)に接し、基材層3(c)は拘束層4(c)に接している。符号3(a)、3(b)、3(c)を付した基材層の厚みが、3(a)、3(b)、3(c)の順に大きくなるように、未焼結の基材層の厚みを選択する。また、符号4(a)、4(b)、4(c)を付した拘束層の厚みが、4(a)、4(b)、4(c)の順に大きくなるように、未焼結の拘束層の厚みを選択する。セラミック多層基板1には、導電性ペーストを用いて、内部導体6、外部導体7、ビアホール導体8,9を含む配線導体5が形成され、セラミック多層基板1の内部に電気回路が構成されている。セラミック多層基板1は、例えば、その下面の外部導体7を用いてマザーボード10に実装され、その上面の外部導体7に半導体やチップ部品(図示せず)が実装される。
ガラス材料粉末が未焼結の基材層に含有されている場合、拘束層の厚みを大きくすると、基材層から拘束層にガラス成分が十分に拡散しない。そこで、未焼結の拘束層に予めガラス材料粉末を含有させておくことが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第3601671号公報 特許第3633435号公報 特開2002−368421号公報
セラミック多層基板には、半導体やチップ部品が実装される。また、セラミック多層基板は、マザーボード等に実装される。実装精度を確保するため、セラミック多層基板の反りは、極力小さくする必要がある。
セラミック多層基板は、種々の用途に対応するためには、厚みの異なる基材層が積層された構造にすることが必要となる場合がある。しかし、厚みの異なる基材層が積層された構造にすると、基板の反りが大きくなる。
基板の反り抑制のため、単に、「相対的に厚い基材層には相対的に厚い拘束層が接し、相対的に薄い基材層には相対的に薄い拘束層が接する」だけの構造では、基板の反り抑制の要求を十分に満足できない場合がある。すなわち、拘束層の厚みを相対的に決めただけでは、基板の反り抑制の要求を十分に満足することができない場合がある。
本発明は、かかる実情に鑑み、厚みの異なる基材層を備えても、基板の反り抑制の要求を十分に満足することができるセラミック多層基板及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したセラミック多層基板を提供する。
セラミック多層基板は、(a)セラミック材料が焼結した、厚みが互いに異なる基材層と、未焼結の無機材料粉末が、溶融後に固化したガラス材料を介して固着された、厚みが互いに異なる拘束層とを備え、互いに積層された各1層の前記基材層及び前記拘束層からなる複数の積層要素が、互いに積層されている。互いに積層されたすべての前記積層要素について、前記積層要素のうち最も厚みの薄い基材層を含む前記積層要素の焼成後の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、他の前記積層要素の焼成後の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、(T/D)と(T/D)のうち小さい方をKとすると、
|(T/D)−(T/D)|≦0.2×K
である。
上記構成によれば、各積層要素における拘束層に対する基材層の厚み比率の差を、最も厚みの薄い基材層を含む積層要素の厚み比率に対して±20%以内に抑制する。拘束層の厚みを相対的に決めるのではなく、基材層と拘束層の厚み比率の範囲を規定することにより、基板の反り抑制の要求を十分に満足することができる。
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したセラミック多層基板の製造方法を提供する。
セラミック多層基板の製造方法は、(i)未焼結のセラミック材料粉末を含み、厚みが互いに異なる未焼成の基材層と、前記セラミック材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末と前記セラミック材料粉末の焼結温度で溶融するガラス材料粉末とを含み、厚みが互いに異なる未焼成の拘束層とを準備し、互いに積層された各1層の前記基材層及び前記拘束層からなる複数の積層要素が互いに積層された積層体を形成する第1の工程と、(ii)未焼成の前記積層体を、前記基材層中の前記セラミック材料粉末は焼結するが、前記拘束層中の前記無機材料粉末は焼結しない条件下で焼成する第2の工程とを備える。前記第2の工程で焼成された後に、互いに積層されたすべての前記積層要素について、最も厚みの薄い基材層を含む前記積層要素の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、他の前記積層要素の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、(T/D)と(T/D)のうち小さい方をKとすると、
|(T/D)−(T/D)|≦0.2×K
となるようにする。
上記方法において、ガラス材料粉末は、第2の工程により溶融した後に固化し、拘束層の無機材料粉末を固着する。
上記方法によれば、焼成後の各積層要素における拘束層に対する基材層の厚み比率の差を、それ自体の反り量が最も小さくなる積層要素の厚み比率に対して±20%以内に抑制する。拘束層の厚みを相対的に決めるのではなく、基材層と拘束層の厚み比率の範囲を規定することにより、基板の反り抑制の要求を十分に満足することができる。
また、ガラス材料粉末が未焼成の拘束層に含まれているので、拘束層が厚くなっても、焼成により、拘束層の無機材料粉末が、溶融後に固化したガラス材料を介して固着されるようにすることができる。
本発明によれば、厚みの異なる基材層を備えても、基板の反り抑制の要求を十分に満足することができる。
セラミック多層基板の要部断面図である。(実施例1) セラミック多層基板の断面図である。(従来例)
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明のセラミック多層基板11の要部断面図である。図1に示すように、セラミック多層基板11は、同数の第1の基材層12a〜12jと第1の拘束層14a〜14jとが交互に積層された第1の積層部11aと、同数の第2の基材層16a〜16eと第2の拘束層18a〜18eとが交互に積層された第2の積層部11bとを備える。第1の積層部11aと第2の積層部11bとは、第1の積層部11aの一方の主面11s(すなわち、第1の基材層12a)と第2の積層部11bの一方の主面11t(すなわち、第2の基材層16a)とが互いに接した状態で、接合されている。
第1の基材層12a〜12jと第2の基材層16a〜16eとは、セラミック材料粉末が焼結した層である。第1の基材層12a〜12jのそれぞれの厚みは互いに等しく、第2の基材層16a〜16eのそれぞれの厚みは互いに等しい。第2の基材層16a〜16eのそれぞれの厚みは、第1の基材層12a〜12jのそれぞれの厚みよりも大きい。
第1の拘束層14a〜14jと第2の拘束層18a〜18eとは、未焼結の無機材料粉末が、溶融後に固化したガラス材料を介して固着された層である。第1の拘束層14a〜14jのそれぞれの厚みは互いに等しく、第2の拘束層18a〜18eのそれぞれの厚みは互いに等しい。第2の拘束層18a〜18eのそれぞれの厚みは、第1の拘束層14a〜14jのそれぞれの厚みよりも大きい。
第1の積層部11aは、互いに積層された各1層の第1の基材層12a〜12j及び第1の拘束層からなる第1の積層要素11xが、表裏が同じ向きになるように積層されている。第2の積層部11bは、互いに積層された各1層の第2の基材層16a〜16e及び第2の拘束層18a〜18eからなる第2の積層要素11yが、表裏が同じ向きになるように積層されている。
図示していないが、セラミック多層基板11には、必要に応じて、図2と同様に、導電性ペーストを用いて、内部導体、外部導体、ビアホール導体を含む配線導体が形成され、内部に電気回路が構成される。セラミック多層基板11は、例えば、その下面の外部導体がマザーボードに実装され、その上面の外部導体に半導体やチップ部品が実装される。
セラミック多層基板11は、例えば以下の工程で作製することができる。
まず、第1及び第2の基材層12a〜12j,16a〜16eを形成するための基材層用セラミックグリーンシートを用意し、基材層用セラミックグリーンシート上に第1及び第2の拘束層14a〜14j,18a〜18eを形成するための拘束層用スラリーをドクターブレード法により塗布することにより拘束層用セラミックグリーンシートを形成し、互いに接する各1層の基材層用セラミックグリーン及び拘束層用セラミックグリーンシートからなる積層要素を作製する。
必要に応じて、拘束層用スラリーを塗布する前の基材層用セラミックグリーンシート又は積層要素の適宜位置にレーザー加工やパンチング加工等により貫通孔を加工し、この貫通孔に導体ペーストを印刷等により埋め込むことによって、焼成後にビアホール導体となる部分を配置する。また、拘束層用スラリーを塗布する前の基材層用セラミックグリーンシートの主面に、あるいは拘束層用セラミックグリーンシートの主面に、導体ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属箔を転写する等によって、内部導体や外部導体を形成する。
次いで、積層要素を適宜な順序で積層し、積層方向に圧力を加えて圧着し、図1に示す層構造になる未焼成の積層体を作製する。例えば、第1の積層部と第2の積層部とに分けて積層要素を積層し、仮圧着した後、第1の積層部と第2の積層部とを重ね合わせて圧着する。あるいは、所定の順序で積層要素を一括して積層し、圧着してもよい。
なお、積層体は、他の方法で作製してもよい。例えば、基材層用セラミックグリーンシートと拘束層用セラミックグリーンシートとを別々に作製しておき、基材層用セラミックグリーンシートと拘束層用セラミックグリーンシートとを積層してもよい。あるいは、基材層用セラミックグリーンシート上に拘束層用セラミックグリーンシートを形成した後、基材層用セラミックグリーンシートを積層し、さらに、その上に拘束層用セラミックグリーンシートを形成し、拘束層用セラミックグリーンシートの形成と基材層用セラミックグリーンシートの積層とを繰り返すことにより、基材層用セラミックグリーンシートと拘束層用セラミックグリーンシートとを積層してもよい。
次いで、未焼成の積層体を焼成する。焼成は、第1及び第2の基材層を形成するためのセラミックグリーンシートに含まれるセラミック材料粉末を焼結させ、第1及び第2の拘束層を形成するためのセラミックグリーンシートに含まれる無機材料粉末は焼結させない条件下で行う。すなわち、第1及び第2の基材層を形成するための基材層用セラミックグリーンシートの焼成温度よりは高く、かつ、第1及び第2の拘束層を形成するための拘束層用セラミックグリーンシートの焼成温度よりは低い温度で、焼成する。
次いで、必要に応じて、焼成済みの積層体の主面に形成された外部導体にメッキを行う。
複数個分を含む集合状態でセラミック多層基板を作製する場合には、焼成の前に、あるいは焼成後に、セラミック多層基板の個片に分割する。
<作製例>
SiO:51.9重量%、BaCO:36.7重量%、Al:10.9重量%、ZrO:0.5重量%の混合粉末に、バインダ、可塑剤、溶剤を加えたスラリーを用い、ドクターブレード法によりシート成型することにより、第1及び第2の基材層を形成するための基材層用セラミックグリーンシート(以下、「第1のシート層」という。)を作製した。
また、SiO:55モル%、Al:4モル%、B:10モル%、BaO:20モル%、CaO:5.5モル%、MgO:0.5モル%、SrO:5モル%のガラス材料粉末(軟化点670℃の非晶質ガラス):40重量%と、アルミナ粉末:60重量%の混合粉末に、バインダ、可塑剤、溶剤を加えたスラリーを用い、第1のシート層上にドクターブレード法でシート成型することにより、第1及び第2の拘束層を形成するための拘束層用セラミックグリーンシート(以下、「第2のシート層」という。)を作製した。
作製した未焼成の第1のシート層と第2のシート層の厚み(シート生厚/μm)の組み合わせ(シート(1)〜シート(8))を、次の表1に示す。
Figure 0005724806
表1のシート(1)〜シート(8)の厚みの組み合わせについて、各シート層をそれぞれ20枚積層し、中性雰囲気中で990℃×60minの条件で焼成した。焼成後の試料の断面観察により、第1セラミック層(第1のシート層から形成された絶縁層)と第2セラミック層(第2のシート層から形成された絶縁層)の厚み(焼成後セラミック層厚/μm)を測定し、厚み比率とその変化率を計算した結果を、次の表2に示す。
Figure 0005724806
表2中の「絶縁層(1)」〜「絶縁層(8)」は、シート(1)〜シート(8)の厚みの組み合わせに対応する測定結果を示している。
表2中の「厚み比率」は、(第1セラミック層の厚み)/(第2セラミック層の厚み)の値である。「変化率」は、絶縁層(1)の厚み比率との比較であり、{(対象絶縁層の厚み比率)−(絶縁層(1)の厚み比率)}/(対象絶縁層の厚み比率と絶縁層(1)の厚み比率とのうち低い方の値)の値である。対象絶縁層の厚み比率が絶縁層(1)の厚み比率より大きい場合は変化率をプラスとし、対象絶縁層の厚み比率が絶縁層(1)の厚み比率より小さい場合は変化率をマイナスとする。
次に、評価用の積層体の試料を作製し、焼成後の試料(基板)の反り量を測定した。具体的には、シート(1)〜(8)の厚みの組み合わせについて、150mm×150mmの矩形のシートを準備し、図1に示す層構成において、未焼成の第1の積層部11aの第1の基材層12a〜12j及び第1の拘束層14a〜14jについてはシート(1)の厚みの組み合わせを用い、未焼成の第2の積層部11bの第2の基材層116a〜16e及び第2の拘束層18a〜18eについてはシート(2)〜シート(8)のいずれかの厚みの組み合わせを用いて、未焼成の第1の積層部11aと未焼成の第2の積層部11bとが接合された未焼成の積層体の試料を作製した。作製した未焼成の積層体の試料を、中性雰囲気中で990℃×60minの条件(表2の試料と同じ条件)で焼成した。試料は、図1の下面11qに対応する面を下にして台座上に設置した状態と、上面11pに対応する面を下にして台座上に設置した状態とで焼成し、焼成後の試料の下面が凸になった方について、焼成後の試料(基板)の下面の四隅と台座面との間の隙間を測定し、平均値を反り量とした。
図1の下面11qに対応する面を下にして台座の上面に設置した状態で焼成したときに焼成後の試料(基板)の下面が凸になった場合は反り量をプラスとし、図1の上面11pに対応する面を下にして台座の上面に設置した状態で焼成したときに焼成後の試料(基板)の下面が凸になった場合は反り量をマイナスとした。
反り量が300μm以下をG(良)と判定し、反り量が300μmを越えるとNG(不良)と判定した。反り量評価結果を、次の表3に示す。
Figure 0005724806
表3中の「基板(1)」〜「基板(7)」は、第2の積層体(図1の上半分のシート)に用いるシート(2)〜シート(8)に対応する評価を示している。
表2及び表3から、第2の積層部に、シート(1)の厚み比率に対する厚み比率の変化率が±20%以内である厚みの組み合わせ(表2の絶縁層(3)〜絶縁層(7))を用いた場合(表3の基板(2)〜基板(6))は、基板の反りが抑制され(表3において判定が『G』)、150mm×150mm当りで反り量300μm以下の要求を満たすことが可能となることが分かる。
すなわち、第1の積層部の第1の基材層の厚みをT、第1の積層部の第1の拘束層の厚みをD、第2の積層部の第2の基材層の厚みをT、第2の積層部の第2の拘束層の厚みをD、(T/D)と(T/D)のうち小さい方をKとすると、
|(T/D)−(T/D)|≦0.2×K・・・(式1)
とすれば、基板の反りを所望範囲内に抑制することができる。
同一の積層要素だけを複数積層した積層体の焼成後の反り量と、一つの積層要素自体の焼成後の反り量とは、同じであるとみなせるので、(式1)は積層要素の積層数には関係しない。
図1の構成は、厚みの異なるセラミック層(基材層)を対極に配置したものであり、最も基板の反りが厳しくなる構成である。したがって、例えば図2のように、厚み比率が互いに異なる3種類以上の積層要素が積層された場合にも、(式1)の関係を満たせば、基板の反りを所望範囲内に抑制することができる。
以上のことから、一般に、互いに積層されたすべての積層要素について、積層要素のうち最も厚みの薄い基材層を含む積層要素の焼成後の基材層及び拘束層の厚みをT、Dとし、他の積層要素の焼成後の基材層及び拘束層の厚みをT、Dとし、(T/D)と(T/D)のうち小さい方をKとすると、
|(T/D)−(T/D)|≦0.2×K・・・(式2)
となるようすれば、基板の反りを所望範囲に抑制することができる。
拘束層の厚みを相対的に決めるのではなく、(式2)によって、基材層と拘束層の厚み比率の範囲を規定することにより、厚みの異なる基材層を備えても、基板の反り抑制の要求を十分に満足することができる。
<まとめ> 以上に説明したように、厚みが異なる基材層を備える場合に、基材層とその基材層に接する拘束層との厚み比率の範囲を規定することによって、基板の反り抑制の要求を十分に満足することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、第1の積層要素と第2の積層要素とが互いに積層される場合を例示したが、厚みが互いに異なる3種類以上の積層要素が互いに積層されてもよい。互いに積層される積層要素の積層方向の配置順序や数は、任意に選択することができる。また、積層要素ごとに、積層されるときの基材層と拘束層の上下関係を任意に選択でき、互いに接する積層要素は、一方の基材層と他方の拘束層とが接しても、基材層同士が接しても、拘束層同士が接してもよい。
11 セラミック多層基板
11a 第1の積層部
11b 第2の積層部
11p 上面
11q 下面
11s 主面
11t 主面
11x 第1の積層要素
11y 第2の積層要素
12a-12j 第1の基材層
14a-14j 第1の拘束層
16a-16e 第2の基材層
18a-18e 第2の拘束層

Claims (2)

  1. セラミック材料が焼結した、厚みが互いに異なる基材層と、
    未焼結の無機材料粉末が、溶融後に固化したガラス材料を介して固着された、厚みが互いに異なる拘束層と、
    を備え、
    互いに積層された各1層の前記基材層及び前記拘束層からなる複数の積層要素が互いに積層され、
    互いに積層されたすべての前記積層要素について、前記積層要素のうち最も厚みの薄い基材層を含む前記積層要素の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、他の前記積層要素の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、(T/D)と(T/D)のうち小さい方をKとすると、
    |(T/D)−(T/D)|≦0.2×K
    であることを特徴とする、セラミック多層基板。
  2. 未焼結のセラミック材料粉末を含み、厚みが互いに異なる未焼成の基材層と、前記セラミック材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末と前記セラミック材料粉末の焼結温度で溶融するガラス材料粉末とを含み、厚みが互いに異なる未焼成の拘束層とを準備し、互いに積層された各1層の前記基材層及び前記拘束層からなる複数の積層要素が互いに積層された積層体を形成する第1の工程と、
    未焼成の前記積層体を、前記基材層中の前記セラミック材料粉末は焼結するが、前記拘束層中の前記無機材料粉末は焼結しない条件下で焼成する第2の工程と、
    を備え、
    前記第2の工程で焼成された後に、互いに積層されたすべての前記積層要素について、最も厚みの薄い基材層を含む前記積層要素の焼成後の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、他の前記積層要素の焼成後の前記基材層及び前記拘束層の厚みをT、Dとし、(T/D)と(T/D)のうち小さい方をKとすると、
    |(T/D)−(T/D)|≦0.2×K
    となるようにすることを特徴とする、セラミック多層基板の製造方法。
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