以下、本発明の一実施形態を図1〜図22に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及びプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2に示されるように、光源装置2200、2つのカップリングレンズ(2201A、2201B)、2つの開口板(2202、2205)、ハーフミラーHM、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、2つのミラー(M1、M2)、ポリゴンミラー2104、2つの走査レンズ(2105A、2105B)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2107a、2107b、2107c、2107d)、2つの同期検知センサ(2206、2111)、NDフィルタ2110、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
光源装置2200は、一例として図3に示されるように、2つの光源(2200A、2200B)を有している。各光源は、端面発光型半導体レーザであり、共通の回路基板(図示省略)に実装されている。また、該回路基板には、各光源から後方に射出される光束をそれぞれ個別に受光する2つのモニタ用受光素子(図示省略)が実装されている。各モニタ用受光素子は、受光光量に対応した信号を走査制御装置に出力する。
カップリングレンズ2201Aは、光源2200Aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201Bは、光源2200Bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
なお、以下では、光源2200Aから射出された光束を光束LB1ともいい、光源2200Bから射出された光束を光束LB2ともいう。
開口板2202は、2つの開口を有している。+Z側の開口はカップリングレンズ2201Aを介した光束を整形し、−Z側の開口はカップリングレンズ2201Bを介した光束を整形する。
ハーフミラーHMは、開口板2202の各開口を通過した光束LB1及び光束LB2の光路上に配置されている。ハーフミラーHMは、一例として図4に示されるように、入射された光束を透過光束と反射光束とに分割する分割面を有している。該分割面は、透過光束の光量と反射光束の光量の割合が1:1となるように設定されている。なお、分割面の設定は、各感光体ドラム表面での光量が略等しくなるように、ハーフミラーHMと感光体ドラムとの間に配置されている光学系の特性に応じて決定され、本実施形態と異なっていても良い。
ここでは、ハーフミラーHMを透過した光束LB1を光束LBa、ハーフミラーHMを透過した光束LB2を光束LBbという。また、ハーフミラーHMで反射された光束LB2を光束LBc、ハーフミラーHMで反射された光束LB1を光束LBdという。
さらに、光束LBaと光束LBbを区別する必要がないときは、それらを総称して「HM透過光束」ともいい、光束LBcと光束LBdを区別する必要がないときは、それらを総称して「HM反射光束」ともいう(図5参照)。
シリンドリカルレンズ2204aは、ハーフミラーHMから射出された光束LBaの光束の光路上に配置され、該光束をミラーM1を介して、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍でZ軸方向に関して集光する。
シリンドリカルレンズ2204bは、ハーフミラーHMから射出された光束LBbの光束の光路上に配置され、該光束をミラーM1を介して、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍でZ軸方向に関して集光する。
シリンドリカルレンズ2204cは、ハーフミラーHMから射出された光束LBcの光束の光路上に配置され、該光束をミラーM2を介して、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍でZ軸方向に関して集光する。
シリンドリカルレンズ2204dは、ハーフミラーHMから射出された光束LBdの光束の光路上に配置され、該光束をミラーM2を介して、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍でZ軸方向に関して集光する。
光源とポリゴンミラー2104との間に配置されている光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。
ポリゴンミラー2104は、4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー2104は、Z軸方向に平行な軸まわりに時計方向に等速回転し、シリンドリカルレンズ2204aからの光束LBa、シリンドリカルレンズ2204bからの光束LBb、シリンドリカルレンズ2204cからの光束LBc、及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束LBdを、それぞれZ軸に直交する平面内で等角速度的に偏向する。
ミラーM1を介した光束LBaと光束LBbは、ポリゴンミラー2104の回転軸の+X側に位置する同一の偏向反射面に入射する。
ミラーM2を介した光束LBcと光束LBdは、ポリゴンミラー2104の回転軸の−X側に位置する同一の偏向反射面に入射する。
そして、平面視では、ポリゴンミラー2104に入射するミラーM1を介した光束と、ミラーM2を介した光束とのなす角は、略90°である(図5参照)。
光束LBa及び光束LBdは、Z軸に直交する平面(XY面に平行な平面)に対して+Z側に傾斜した方向から偏向反射面に入射する(図6(A)及び図6(B)参照)。
光束LBb及び光束LBcは、Z軸に直交する平面(XY面に平行な平面)に対して−Z側に傾斜した方向から偏向反射面に入射する(図6(A)及び図6(B)参照)。
なお、以下では、光束が偏向反射面に入射する際に、回転軸に直交する面に対して副走査対応方向に傾斜した方向から入射することを「斜入射」といい、回転軸に直交する面に平行な方向から入射することを「水平入射」という。そして、斜入射の際の、入射角を「斜入射角」という。
また、光束が偏向反射面に斜入射されるように設定された光源と偏向器前光学系とからなる構成は、「斜入射光学系」とも呼ばれている。
この場合は、光偏向器として汎用のポリゴンミラーを用いることができ、さらにZ軸方向に関する寸法(高さ)を小さくすることができるので、低コスト化を図ることができる。
光束LBaと光束LBbは、ポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。また、光束LBcと光束LBdは、ポリゴンミラー2104の−X側に偏向される。
走査レンズ2105Aは、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBa及び光束LBbの光路上に配置されている。
走査レンズ2105Bは、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBc及び光束LBdの光路上に配置されている。
折り返しミラー2106aは、走査レンズ2105Aを介した光束LBaの光路上に配置され、該光束の光路を−X方向に折り返す。
折り返しミラー2107aは、折り返しミラー2106aを介した光束の光路上に配置され、該光束の光路を感光体ドラム2030aに向かう方向に折り返す。
そこで、偏向反射面で偏向された光束LBaは、走査レンズ2105A、折り返しミラー2106a、及び折り返しミラー2107aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される(図7参照)。この光スポットは、偏向反射面の振動に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
折り返しミラー2106bは、走査レンズ2105Aを介した光束LBbの光路上に配置され、該光束の光路を−X方向に折り返す。
折り返しミラー2107bは、折り返しミラー2106bを介した光束の光路上に配置され、該光束の光路を感光体ドラム2030bに向かう方向に折り返す。
そこで、偏向反射面で偏向された光束LBbは、走査レンズ2105A、折り返しミラー2106b、及び折り返しミラー2107bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される(図7参照)。この光スポットは、偏向反射面の振動に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
折り返しミラー2106cは、走査レンズ2105Bを介した光束LBcの光路上に配置され、該光束の光路を+X方向に折り返す。
折り返しミラー2107cは、折り返しミラー2106cを介した光束の光路上に配置され、該光束の光路を感光体ドラム2030cに向かう方向に折り返す。
そこで、偏向反射面で偏向された光束LBcは、走査レンズ2105B、折り返しミラー2106c、及び折り返しミラー2107cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される(図7参照)。この光スポットは、偏向反射面の振動に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
折り返しミラー2106dは、走査レンズ2105Bを介した光束LBdの光路上に配置され、該光束の光路を+X方向に折り返す。
折り返しミラー2107dは、折り返しミラー2106dを介した光束の光路上に配置され、該光束の光路を感光体ドラム2030dに向かう方向に折り返す。
そこで、偏向反射面で偏向された光束LBdは、走査レンズ2105B、折り返しミラー2106d、及び折り返しミラー2107dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される(図7参照)。この光スポットは、偏向反射面の振動に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
ポリゴンミラーと感光体ドラムとの間の光路上に配置されている光学系は、走査光学系とも呼ばれている。
ここでは、走査レンズ2105Aと2枚の折り返しミラー(2106a、2107a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。
また、走査レンズ2105Aと2枚の折り返しミラー(2106b、2107b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。
すなわち、走査レンズ2105Aは、2つのステーションで共用されている。
また、走査レンズ2105Bと2枚の折り返しミラー(2106c、2107c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。
また、走査レンズ2105Bと2枚の折り返しミラー(2106d、2107d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
すなわち、走査レンズ2105Bは、2つのステーションで共用されている。
ここでは、ポリゴンミラー2104における偏向反射面の数が4面であり、HM反射光束及びHM透過光束は、互いに異なる偏向反射面に入射する。そして、ポリゴンミラー2104に入射するHM反射光束とHM透過光束とのなす角が、平面視において、略90°となるように設定されている。そこで、光束LBaと光束LBd、及び光束LBbと光束LBcが、それぞれの対応する感光体ドラムにおける有効走査領域を同時に走査することはない。
例えば、図8に示されるように、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける書き込み開始位置に向かう時、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBdは、感光体ドラム2030dにおける書き込み終了位置よりも+Y側の位置に向かう。
また、図9に示されるように、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域の中央(像高0)位置に向かう時、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBdは、+Y方向に向かう。
また、図10に示されるように、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域の書き込み終了位置に向かう時、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBdは、感光体ドラム2030dにおける書き込み開始位置よりも−Y側の位置に向かう。
このように、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBdは、感光体ドラム2030dにおける有効走査領域内には向かわない。
逆に、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBdが、感光体ドラム2030dにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBaは、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域内には向かわない。
同様に、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBbが、感光体ドラム2030bにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBcは、感光体ドラム2030cにおける有効走査領域内には向かわない。
また、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBcが、感光体ドラム2030cにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で反射された光束LBbは、感光体ドラム2030bにおける有効走査領域内には向かわない。
なお、ポリゴンミラー2104に入射するHM反射光束とHM透過光束とのなす角は、平面視において、90°から少しずれていても良い。
そこで、光束LBaと光束LBdは、光源2200Aから射出される時点では、1つの光束として同一の変調がなされるが、光束LBaが感光体ドラム2030aにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、ブラックの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源2200Aを駆動し、光束LBdが感光体ドラム2030dにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、イエローの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源2200Aを駆動する(図11(A)参照)。
同様に、光束LBbと光束LBcは、光源2200Bから射出される時点では、1つの光束として同一の変調がなされるが、光束LBbが感光体ドラム2030bにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、シアンの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源2200Bを駆動し、光束LBcが感光体ドラム2030cにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、マゼンタの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源2200Bを駆動する(図11(B)参照)。
なお、各ステーション間において、光学素子の透過率及び反射率が相対的に異なる場合に、書き込み時の光源の発光光量を同じにすると、感光体ドラムに到達する光束の光量が相対的に異なってしまう。そこで、この場合には、各感光体ドラムに到達する光束の光量がそれぞれ等しくなるように、書き込み時の光源の発光光量を互いに異ならせても良い。
図12には、感光体ドラム2030aに書き込む時の光源2200Aの発光光量と、感光体ドラム2030dに書き込む時の光源2200Aの発光光量とを異ならせた一例が示されている。
ところで、画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って感光体ドラムを走査する光束の光量が変化し、最終的に出力される画像(出力画像)に濃度むらが発生するおそれがある。そこで、これを抑制するため、通常、光走査装置では、光源から射出される光束の一部をモニタ用受光素子で受光し、その結果に基づいて、光源の出力レベルを制御するAPC(Auto Power Contorol)が実施されている。
このとき、モニタ用受光素子にゴースト光が入射すると、モニタ用受光素子で検出される光量が増加し、出力画像の濃度むらを助長するおそれがある。
本実施形態では、走査制御装置において、各光源のモニタ用受光素子の出力信号に基づいて、各光源のAPCが行われる。なお、平面視において、偏向反射面への光束の入射角が0°のとき、その偏向反射面は光源方向に正対している。このときAPCを行なうと、偏向反射面で反射された光が光源側に戻り、モニタ用受光素子で検出される光量が増加する。そこで、本実施形態では、平面視において、偏向反射面への光束の入射角が0°となるタイミングでは、APCを行なわないように設定されている。なお、以下では、斜入射角と区別するため、便宜上、XY面内における偏向反射面への光束の入射角を「XY入射角」という。
次に、書込開始のタイミングを知るために、ポリゴンミラー2104で偏向され、感光体ドラムの有効走査領域外に向かう書込開始前の光束を検知する同期検知について説明する。2つの同期検知センサ(2206、2111)は、同期検知に用いられるセンサであり、受光光量に応じた信号を走査制御装置に出力する。
本実施形態では、ポリゴンミラー2104の−Y側では、感光体ドラムの有効走査領域外に同期検知センサを配置して、同期検知することが可能であるが、ポリゴンミラー2104の+Y側では、感光体ドラムの有効走査領域近傍を入射光が通過するため、同期検知センサを配置する余裕はない。
換言すると、ポリゴンミラー2104で偏向された光のうち、入射光に対して遠い側に偏向された光の光路上には、同期検知センサを配置する空間的余裕があるが、入射光に対して近い側に偏向された光の光路上には、同期検知センサを配置する空間的余裕がない。
そこで、本実施形態では、感光体ドラム2030aについては、ポリゴンミラー2104で反射され、ミラーM1に戻る光を利用して、同期検知を行う。具体的には、XY入射角が−1°で偏向反射面に入射し、該偏向反射面で反射され、ミラーM1に戻ってきた光を利用して同期検知を行う。
同期検知センサ2206は、XY入射角が−1°で偏向反射面に入射し、該偏向反射面で反射され、ミラーM1に戻ってきた光であって、ハーフミラーHMの分割面で反射された光の光路上に配置されている(図13参照)。そして、開口板2205は、ハーフミラーHMと同期検知センサ2206との間に配置されている。なお、同期検知センサ2206は、平面視において、偏向反射面にXY入射角0°で入射し、該偏向反射面で反射されて戻ってきた光を受光しない位置に配置されている。
例えば、XY入射角が−1°で偏向反射面に入射し、該偏向反射面で反射され、ミラーM1に戻った光束LBaは、シリンドリカルレンズ2204aを介してハーフミラーHMに戻る。ハーフミラーHMに戻った光束は、光源2200Bに向かう光束と、同期検知センサ2206に向かう光束とに分割される。
同期検知センサ2206に向かう光束は、開口板2205で同期検知に不要な光を除去されて、同期検知センサ2206に入射する。
ここで、偏向反射面にXY入射角が0°で入射した光ではなく、XY入射角が−1°で入射した光を、同期検知に利用する光としたことの理由について説明する。
仮に、偏向反射面にXY入射角が0°で入射した光を同期検知に利用すると、例えば、感光体ドラム2030aにおける同期検知を行う場合、図14に示されるように、光束LBaのXY入射角が0°のタイミングと、光束LBdのXY入射角が0°のタイミングとは一致する。この場合、偏向反射面で反射され、ハーフミラーHMの分割面で反射された光束LBaの戻り光の光路と、偏向反射面で反射され、ハーフミラーHMの分割面を透過した光束LBdの戻り光の光路とは、重なることとなる。すなわち、光束LBaの戻り光のみを同期検知センサ2206で受光することはできない。従って、感光体ドラム2030aにおける正確な同期検知を行うことができない。
一方、偏向反射面にXY入射角が−1°で入射した光を同期検知に利用すると、一例として図15に示されるように、偏向反射面で反射され、ハーフミラーHMの分割面で反射された光束LBaの戻り光の光路と、偏向反射面で反射され、ハーフミラーHMの分割面を透過した光束LBdの戻り光の光路とは、異なることとなる。そこで、ハーフミラーHMの分割面で反射された光束LBaの戻り光の光路上に開口板2205及び同期検知センサ2206を配置することにより、光束LBaの戻り光のみを同期検知センサ2206で受光することができる。従って、感光体ドラム2030aにおける正確な同期検知を行うことができる。
走査制御装置は、同期検知センサ2206の出力信号に基づいて、感光体ドラム2030aにおける同期検知を行い、感光体ドラム2030aにおける書込開始のタイミングを決定する。そして、走査制御装置は、感光体ドラム2030aにおける書込開始のタイミングに基づいて、感光体ドラム2030bにおける書込開始のタイミングを決定する。
図2に戻り、同期検知センサ2111は、感光体ドラム2030dの有効走査領域外に配置され、ポリゴンミラー2104で偏向され、偏光器前光学系のミラーを介さない書き込み開始前の光束LBdを受光する。そして、NDフィルタ2110は、ポリゴンミラー2104で偏向され、同期検知センサ2111に向かう光束の光路上に配置されている。NDフィルタ2110は、同期検知センサ2111での受光光量が、同期検知センサ2206での受光光量と略一致するように設定されている。走査制御装置は、同期検知センサ2111の出力信号に基づいて、感光体ドラム2030dにおける同期検知を行い、感光体ドラム2030dにおける書込開始のタイミングを決定する。そして、走査制御装置は、感光体ドラム2030dにおける書込開始のタイミングに基づいて、感光体ドラム2030cにおける書込開始のタイミングを決定する。
なお、2つの同期検知センサにおいて、受光光量の範囲が概ね一致するため、走査制御装置では、同期検知を行う回路を共通化することができる。これにより、部品点数が減少し低コスト化を図ることができる。
次に、APC及び同期検知を行うタイミングについて説明する。なお、偏向反射面に光束がXY入射角0°で入射するタイミングを、便宜上、「XY入射角0°タイミング」と略述する。そして、書き込み終了からXY入射角0°タイミングまでの時間をt1、XY入射角0°タイミングから書き込み開始までの時間をt2とする。
従来の光走査装置では、一例として図16に示されるように、APC及び同期検知のタイミングは、XY入射角0°タイミングに対して同じ側にあった。
この場合は、図16の一部を拡大した図17に示されるように、t1=t2に設定されている。ここでは、時間t2だけ無用な時間が存在している。
そこで、一例として図18に示されるようにt2を短くすることが考えられる。この場合は、書込開始のタイミングが図17の場合よりも早くなり、一例として図19に示されるように、ポリゴンミラーを挟んで対向している2つの感光体ドラム間で、主走査方向に関して有効走査領域にずれを生じてしまう。このずれは、出力画像において色ずれとなる。このため、実際に画像形成に用いることができる実効書き込み領域は、主走査方向に関して2つの有効走査領域が重なっている領域となる。そこで、実効書き込み領域を最大とするには、t1=t2とすることが必要である。
本実施形態では、一例として図20に示されるように、APC及び同期検知のタイミングは、XY入射角0°タイミングを挟むように設定されている。この場合は、図20の一部を拡大した図21に示されるように、t1=t2を維持しつつ、t1及びt2を小さくすることが可能である。
そこで、本実施形態では、一例として図22に示されるように、従来例に比べて、書き込みに利用できる時間を長くとることができる。従って、本実施形態では、走査光学系の画角を従来例よりも広くすることが可能となり、その結果、光走査装置を小型化することができる。
なお、ここでは、APCの後に同期検知を行っているが、これに限定されるものではなく、同期検知の後にAPCを行っても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、光源装置2200、偏向器前光学系、ポリゴンミラー2104、4つの走査光学系、2つの同期検知センサ(2206、2111)などを備えている。
光源装置2200は2つの光源を有し、偏向器前光学系は、2つの光源からの各光束を分割し、4つの光束をポリゴンミラー2104に向けて射出する。
そして、APCのタイミング及び同期検知のタイミングは、偏向反射面へのXY入射角度が0°となるタイミングを挟んでいる。
この場合は、大型化及び走査精度の低下を招くことなく、低価格化を図ることができる。
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、大型化及び画像品質の低下を招くことなく、低価格化を図ることができる。
なお、上記実施形態では、XY入射角が−1°で入射した光を、同期検知に利用する光とする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、光束LBaの戻り光のみを同期検知センサ2206で受光することができれば良い。
また、上記実施形態において、感光体ドラム2030dでの書き込み開始タイミングを、一例として図23に示されるように、5画像前の感光体ドラム2030aにおける同期検知の結果に基づいて求めても良い。
連続して書き込みが行われるブラック画像とイエロー画像は、互いに異なる偏向反射面で偏向された光束が用いられている。そのため、直前の感光体ドラム2030aにおける同期検知の結果を、感光体ドラム2030dにおける同期検知に利用することはできない。そこで、偏向反射面が同じである5画像前の感光体ドラム2030aにおける同期検知の結果を、感光体ドラム2030dにおける書込開始タイミングの決定に利用している。この場合は、同期検知センサ2111がなくても、感光体ドラム2030dにおける書き込み開始タイミングを精度良く求めることができる。
そして、同期検知センサ2111及びNDフィルタ2110が不要となり、部品点数を更に低減することができる。
また、光束が同期検知センサ2111に入射されるタイミングを確保する必要がないため、t1及びt2の大きさを上記実施形態よりも小さくすることができ、更なる広画角化が可能となる。
また、上記実施形態では、ポリゴンミラー2104に入射する各光束が、偏向反射面に対して斜入射される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、偏向反射面に対して水平入射されても良い(図24参照)。この場合、図25に示されるように、前記走査レンズ2105Aに代えて、走査レンズ2105aと走査レンズ2105bが用いられ、前記走査レンズ2105Bに代えて、走査レンズ2105cと走査レンズ2105dが用いられる。また、ポリゴンミラー2104では、偏向反射面のZ軸方向に関する寸法(高さ)が、上記実施形態よりも大きくなる。
そして、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBaの光路上に走査レンズ2105aが配置され、光束LBbの光路上に走査レンズ2105bが配置されている。また、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBcの光路上に走査レンズ2105cが配置され、光束LBdの光路上に走査レンズ2105dが配置されている。
この場合においても、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、2つの光源を有し、各光源から射出された光束をハーフミラーHMで2分割する場合について説明したが、一例として、図26〜図28に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)を有していても良い。この場合は、前記ハーフミラーHM、ミラーM1、ミラーM2は不要である。また、前記カップリングレンズ2201A及びカップリングレンズ2201Bに代えて、カップリングレンズ2201a、カップリングレンズ2201b、カップリングレンズ2201c、カップリングレンズ2201dが用いられる。また、前記開口板2202に代えて、開口板2202a、開口板2202b、開口板2202c、開口板2202dが用いられる。
この場合においても、XY入射角0°タイミングを挟んで、APC及び同期検知のタイミングを設定することにより、走査光学系の画角を従来よりも大きくすることが可能であり、光走査装置の小型化を図ることができる。
また、上記実施形態では、トナー像が感光体ドラムから転写ベルトを介して記録紙に転写される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、トナー像が記録紙に直接転写されても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光プロッタやデジタル複写装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で転写対象物としての印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、像担持体としてビームスポットの熱エネルギにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)を用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により可視画像を直接、像担持体に形成することができる。
要するに、上記光走査装置2010を備えた画像形成装置であれば、結果として、大型化及び画像品質の低下を招くことなく、低価格化を図ることができる。