以下、本発明の一実施形態を図1〜図30に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換器などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、色毎に変調された4つの光束で、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
この光走査装置2010は、一例として図2及び図3に示されるように、2つの光源ユニット(LU1、LU2)、2つのシリンドリカルレンズ(121、122)、ポリゴンミラー14、2つの走査レンズ(151、152)、2つの光束分離素子(161、162)、2つの反射ミラー(171、172)、4つの折り返しミラー(18a、18b、18c、18d)、及び不図示の走査制御装置などを有している。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源ユニットLU1は、一例として図4に示されるように、2つの光源(10a1、10b1)、2つのコリメートレンズ(11a、11b)、及び光合成素子131などを有している。
光源10a1は、該光源10a1を駆動する光源駆動回路を含む駆動用チップ10a2とともに回路基板10a3に実装されている。光源10b1は、該光源10b1を駆動する光源駆動回路を含む駆動用チップ10b2とともに回路基板10b3に実装されている。
光源10a1は、一例として図5に示されるように、1つの半導体レーザ101aを含んでいる。該半導体レーザ101aは、偏光方向がZ軸に平行な直線偏光が射出されるように設置されている。なお、以下では、便宜上、偏光方向がZ軸に平行な直線偏光を「縦偏光」という。そして、半導体レーザ101aから射出された縦偏光を光束LBaと表記する。
ところで、半導体レーザ101aの設置角度を調整する代わりに、半導体レーザ101aと光合成素子131との間に、半導体レーザ101aから射出された光束の偏光方向を縦偏光の方向にするための1/2波長板等の光学素子を配置しても良い。
光源10b1は、一例として図6に示されるように、1つの半導体レーザ101bを含んでいる。該半導体レーザ101bは、偏光方向がZ軸に直交する直線偏光が射出されるように設置されている。なお、以下では、便宜上、偏光方向がZ軸に直交する直線偏光を「横偏光」という。そして、半導体レーザ101bから射出された横偏光を光束LBbと表記する。
ところで、半導体レーザ101bの設置角度を調整する代わりに、半導体レーザ101bと光合成素子131との間に、半導体レーザ101bから射出された光束の偏光方向を横偏光の方向にするための1/2波長板等の光学素子を配置しても良い。
コリメートレンズ11aは、光源10a1からの光束LBaの光路上に配置され、該光束LBaを略平行光とする。
コリメートレンズ11bは、光源10b1からの光束LBbの光路上に配置され、該光束LBbを略平行光とする。
光合成素子131は、コリメートレンズ11aを介した光束LBa及びコリメートレンズ11bを介した光束LBbの光路上に配置されている。この光合成素子131は、縦偏光を反射し、横偏光を透過させる面を有しており、光束LBaの主光線と光束LBbの主光線がZ軸方向に関して重なるように、光束LBaと光束LBbを合成する(図7参照)。光合成素子131から射出される光束LBaと光束LBbが、光源ユニットLU1から射出される。
光源ユニットLU2は、一例として図8に示されるように、2つの光源(10c1、10d1)、2つのコリメートレンズ(11c、11d)、及び光合成素子132などを有している。
光源10c1は、該光源10c1を駆動する光源駆動回路を含む駆動用チップ10c2とともに回路基板10c3に実装されている。光源10d1は、該光源10d1を駆動する光源駆動回路を含む駆動用チップ10d2とともに回路基板10d3に実装されている。
光源10c1は、一例として図9に示されるように、1つの半導体レーザ101cを含んでいる。該半導体レーザ101cは、横偏光が射出されるように設置されている。なお、半導体レーザ101cから射出された横偏光を光束LBcと表記する。
ところで、半導体レーザ101cの設置角度を調整する代わりに、半導体レーザ101cと光合成素子132との間に、半導体レーザ101cから射出された光束の偏光方向を横偏光の方向にするための1/2波長板等の光学素子を配置しても良い。
光源10d1は、一例として図10に示されるように、1つの半導体レーザ101dを含んでいる。該半導体レーザ101dは、縦偏光が射出されるように設置されている。なお、半導体レーザ101dから射出された縦偏光を光束LBdと表記する。
ところで、半導体レーザ101dの設置角度を調整する代わりに、半導体レーザ101dと光合成素子132との間に、半導体レーザ101dから射出された光束の偏光方向を縦偏光の方向にするための1/2波長板等の光学素子を配置しても良い。
コリメートレンズ11cは、光源10c1からの光束LBcの光路上に配置され、該光束LBcを略平行光とする。
コリメートレンズ11dは、光源10d1からの光束LBdの光路上に配置され、該光束LBdを略平行光とする。
光合成素子132は、コリメートレンズ11cを介した光束LBc及びコリメートレンズ11dを介した光束LBdの光路上に配置されている。この光合成素子132は、縦偏光を反射し、横偏光を透過させる面を有しており、光束LBcの主光線と光束LBdの主光線がZ軸方向に関して重なるように、光束LBcと光束LBdを合成する(図11参照)。光合成素子132から射出される光束LBcと光束LBdが、光源ユニットLU2から射出される。
図2に戻り、シリンドリカルレンズ121は、光源ユニットLU1から射出された光束LBa及び光束LBbの光路上に配置され、光束LBa及び光束LBbを、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ122は、光源ユニットLU2から射出された光束LBc及び光束LBdの光路上に配置され、光束LBc及び光束LBdを、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー14は、一例として4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー14は、Z軸方向に平行な軸まわりに等速回転し、シリンドリカルレンズ121からの光束LBa及び光束LBb、シリンドリカルレンズ122からの光束LBc及び光束LBdを、Z軸に直交する平面内で等角速度的に偏向する。
光束LBa及び光束LBbはポリゴンミラー14の−X側に偏向され、光束LBc及び光束LBdはポリゴンミラー14の+X側に偏向される。
なお、ポリゴンミラー14の偏向反射面で偏向された光束が経時的に形成する光線束面は、「偏向面」と呼ばれている(特開平11−202252号公報参照)。ここでは、偏向面はXY面に平行である。
図3に戻り、走査レンズ151は、ポリゴンミラー14の−X側であって、ポリゴンミラー14で偏向された光束LBa及び光束LBbの光路上に配置されている。
走査レンズ151を通過した光束は、光束分離素子161に入射し、その偏光方向に応じて透過し、もしくは反射される。
光束分離素子161を透過した光束は、折り返しミラー18a及び射出窓19aを介して光走査装置2010から射出され、感光体ドラム2030aの表面を照明する。
光束分離素子161で−Z方向に反射された光束は、反射ミラー171で+X方向に反射された後、折り返しミラー18b及び射出窓19bを介して光走査装置2010から射出され、感光体ドラム2030bの表面を照明する。
走査レンズ152は、ポリゴンミラー14の+X側であって、ポリゴンミラー14で偏向された光束LBc及び光束LBdの光路上に配置されている。
走査レンズ152を通過した光束は、光束分離素子162に入射し、その偏光方向に応じて透過し、もしくは反射される。
光束分離素子162で−Z方向に反射された光束は、反射ミラー172で−X方向に反射された後、折り返しミラー18c及び射出窓19cを介して光走査装置2010から射出され、感光体ドラム2030cの表面を照明する。
光束分離素子162を透過した光束は、折り返しミラー18d及び射出窓19dを介して光走査装置2010から射出され、感光体ドラム2030dの表面を照明する。
各感光体ドラム上の光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラムの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
走査レンズ151と光束分離素子161と折り返しミラー18aは、「Kステーション」の走査光学系である。また、走査レンズ151と光束分離素子161と反射ミラー171と折り返しミラー18bは、「Cステーション」の走査光学系である。ここでは、走査レンズ151と光束分離素子161は、2つの画像形成ステーションで共用されている。
走査レンズ152と光束分離素子162と反射ミラー172と折り返しミラー18cは、「Mステーション」の走査光学系である。また、走査レンズ152と光束分離素子162と折り返しミラー18dは、「Yステーション」の走査光学系である。ここでは、走査レンズ152と光束分離素子162は、2つの画像形成ステーションで共用されている。
ここで、各光束分離素子について説明する。なお、光束分離素子161と光束分離素子162は、同じ構成であり、同じ機能を有しているため、ここでは、光束分離素子161を代表として説明する。
光束分離素子161は、一例として図12に示されるように、透明基板の一側の面に形成されたビーム分離面を有している。このビーム分離面は、縦偏光の大部分を透過させ、横偏光の大部分を反射するように設定されている。そして、透明基板の他側の面には、反射防止膜が形成されている。ビーム分離面及び反射防止膜は、一例として図13に模式的に示されるように、複数の透明な誘電体が積層された誘電体多層膜である。
そして、一例として図14に示されるように、光束分離素子161に向かう光束の進行方向とX軸方向とのなす角を「偏向角」といい、ビーム分離面の法線とX軸方向とのなす角を「設置角」という。なお、ビーム分離面の法線はXZ面に平行である。
また、一例として図15に示されるように、ビーム分離面の法線と入射光の入射方向とが含まれる平面を「入射面」といい、ビーム分離面の法線と入射光の入射方向とのなす角を「入射角θ」という。さらに、偏光方向が入射面に平行な偏光を「p偏光」、偏光方向が入射面に直交する偏光を「s偏光」という。また、ビーム分離面におけるp偏光の透過率を「透過率Tp」、p偏光の反射率を「反射率Rp」、s偏光の透過率を「透過率Ts」、s偏光の反射率を「反射率Rs」という。透過率Tp、反射率Rp、透過率Ts、反射率Rsは、ビーム分離面の構造の他に、入射光の波長及び入射角により異なる。
ビーム分離面において、上記有効走査領域に対応する光束の走査範囲を「有効走査範囲」という。この有効走査範囲内では、入射角θは、入射光の進行方向がXZ面に平行となるときに最小値θ0となり、入射光が有効走査範囲の一端に入射するときに最大値θ1となる。
入射面とZ軸方向のなす角(以下では、「回転角φ」という)は、ビーム分離面における光の入射位置によって異なっている(図15参照)。すなわち、光束分離素子では、入射光の偏向角に応じて入射面が回転している。一例として、光束分離素子の設置角が45°のときの、入射光の偏向角と回転角φとの関係(計算結果)が図16に示されている。
入射面が回転することにより、仮に透過率Tp、反射率Rp、透過率Ts及び反射率Rsが入射角によらず一定であったとしても、縦偏光が入射したときの透過率、及び横偏光が入射したときの反射率は、偏向角によって変化する。なお、縦偏光が入射したときの透過率、及び横偏光が入射したときの反射率は、それぞれ光利用効率に対応している。
縦偏光の透過率Tvは次の(1)式で表され、横偏光の反射率RHは次の(2)式で表される。
Tv=Tp・cos2φ+Ts・sin2φ ・・・・・・(1)
RH=Rs・cos2φ+Rp・sin2φ ・・・・・・(2)
図17には、Tp=Rs=1、Ts=Rp=0とし、光束分離素子の設置角が45°、50°、55°、60°のときの、縦偏光の透過率Tvと偏向角との関係が示されている。偏向角が0°では、縦偏光はp偏光と等価であるため透過率は1(=100%)であるが、偏向角の増加とともにs偏光成分が増加しp偏光成分が減少するため、透過率が低下する。
例えば、上記有効走査範囲に対応する偏向角が±30°のとき、設置角が45°での透過率Tvの最小値は0.800であり、設置角が50°での透過率Tvの最小値は0.85であり、設置角が55°での透過率Tvの最小値は0.891である。設置角が大きいほど、透過率Tvの低下を抑制することができる。これは設置角が大きいほど、回転角φの増大を抑えられるからである。
上記(1)式と上記(2)式とを比較すると明らかなように、横偏光の反射率RHについても縦偏光の透過率Tvと同じことが言える。そこで、以下では、主に縦偏光の透過率Tvについて説明を進める。
光束分離素子の光利用効率としては、通常0.8(=80%)以上が求められる。ところで、光束分離素子では、射出面での裏面反射、内部での光吸収及び光散乱などによって光利用効率が低下するため、その低下分を考慮して、ビーム分離面での光利用効率は、少なくとも0.85が必要である。そこで、有効走査範囲に対応する偏向角が±30°のとき、光束分離素子の設置角は、50°より大きくするのが好ましい。
また、光束分離素子の光利用効率は、偏向角によらず一様であることが好ましい。すなわち、透過率Tv及び反射率RHが偏向角によらず一定であることが好ましい。仮に偏向角によって光利用効率が異なると、主走査方向に関して画像の濃度ムラが発生する。
そこで、一例として、設置角が55°の場合について説明する。この場合は、図18に示されるように、透過率Tvがすべての偏向角で0.891となるような、透過率Tp、及び反射率Rsを求める。
透過率Tv及び反射率RHを偏向角によらず一定値とするとともに、該一定値を最大値とすることを考慮すると、透過率Tpと反射率Rsは等しい値となる。そこで、便宜上、透過率Tpと反射率Rsの平均値である(Tp+Rs)/2を用いて説明する。なお、反射率Rpについては、Rp=1−Tpから求めることができる。また、透過率Tsについては、Ts=1−Rsから求めることができる。
図19には、(Tp+Rs)/2と入射角との関係が示されている。入射角と偏向角及び入射位置は、互いに関連している。例えば、入射角θが最小値θ0となる入射位置P0は、光の入射方向がX軸方向に平行となる位置であり、偏向角が0°のときの入射位置に対応する。ここでの入射角(=θ0)は55.0°である。入射位置P0における透過率TpをTp0、反射率RsをRs0とすると、Tp0=Rs0=0.891であり、(Tp0+Rs0)/2=0.891である。
また、入射角θが最大値θ1となる入射位置P1は、偏向角が最も大きい位置であり、偏向角が±30°のときの入射位置に対応する。ここでの入射角(=θ1)は60.2°である。入射位置P1における透過率TpをTp1、反射率RsをRs1とすると、Tp1=Rs1=1であり、(Tp1+Rs1)/2=1である。
最適な透過率Tpを得るための、各入射角における(Tp+Rs)/2は、(Tp0+Rs0)/2、と(Tp1+Rs1)/2を結ぶ直線で近似できる。すなわち、最適な(Tp+Rs)/2は、入射角が大きくなるにつれて単調に増加する。
図20には、市販されている偏光ビームスプリッタとしてメレスグリオ社製のレーザライン偏光キューブビームスプリッタ(市販品)における入射角と(Tp+Rs)/2との関係(実測値)が示されている。この市販品では、(Tp+Rs)/2は、入射角が増加するにつれ単調に減少する。また、(Tp+Rs)/2は、入射角が55°から57.4°までは0.98以上の高い値を示すが、入射角が57.4°より大きくなると急激に低下する。
図21には、上記市販品における偏向角と縦偏光の透過率との関係(実測値)が示されている。市販品では、縦偏光の透過率は、偏向角が増加するとともに低下する。偏向角が30°のとき、縦偏光の透過率は0.694である。なお、最適な縦偏光の透過率は、偏向角によらず0.891である。
図22には、上記市販品における偏向角と横偏光の反射率との関係(実測値)が示されている。市販品では、横偏光の反射率は、偏向角が増加するとともに低下する。偏向角が30°のとき、横偏光の反射率は0.891である。なお、最適な横偏光の透過率は、偏向角によらず0.891である。
このような市販品を用いる場合に、全ての偏向角での光利用効率を一様にするには、NDフィルタ等を用いて光学的に、あるいは光源の発光パワーを制御して電気的に、最も小さい光利用効率に合せる必要がある。この光利用効率は、偏向角が30°のときの縦偏光の透過率0.694に対応する。
光束分離素子では、有効走査範囲内で、次の(3)式が満足されるのが好ましい。
(Tp0+Rs0)/2<(Tp1+Rs1)/2 ・・・・・・(3)
さらに、(Tp+Rs)/2は、入射角θが大きくなるにつれて単調増加することが好ましい。
そこで、本実施形態における光束分離素子について、最適な光利用効率を達成するための設計例として、材料、構造及び動作を説明する。
各光源から射出される光束の波長は655nmであり、透明基板の屈折率は1.5138とした。ビーム分離面の誘電体多層膜を構成する誘電体としては、二酸化チタンTiO2と二酸化ケイ素SiO2の2種を選定した。
設計では、上記最適なTp及びRsを目標にして、光学シミュレータを用い、各誘電体の膜数及び膜厚を求めた。その結果の一例が図23に示されている。ここでは、ビーム分離面の誘電体多層膜は、透明基板側からSiO2、TiO2の順に31層が積層されている。図23では、横軸の層番号の奇数がSiO2に対応し、偶数がTiO2に対応する。なお、例えば光学的膜厚がλ/4のとき、その膜の実際の厚さDは、D=λ/4n(但し、nはその膜の媒質の屈折率)である。
図23の誘電体多層膜について、入射角と(Tp+Rs)/2との関係(計算値)が図24に示されている。ここでは、(Tp0+Rs0)/2<(Tp1+Rs1)/2の関係が満足され、かつ入射角θが大きくなるにつれて(Tp+Rs)/2が単調増加している。以下では、入射角と(Tp+Rs)/2との関係を表す曲線を「設計曲線」ともいう。
図25には、図23の誘電体多層膜について、偏向角と縦偏光の透過率との関係が示されている。上記市販品と比べると、偏向角に対する縦偏光の透過率の変化は少なく、透過率低下が抑制されている。
図26には、図23の誘電体多層膜について、偏向角と横偏光の反射率との関係が示されている。上記市販品と比べると、偏向角に対する縦偏光の透過率の変化は少なく、透過率低下が抑制されている。
図27は、図24に(Tp0+Rs0)/2と(Tp1+Rs1)/2を結ぶ直線Lを追加した図である。ここで、設計曲線における入射角が最大となる点での接線の傾きは、直線Lの傾きよりも大きい。
ビーム分離面の誘電体多層膜を設計する際、設計曲線を直線Lに近づけることが望ましいが、現実的には直線を得ることは不可能である。この場合、仮に設計曲線における入射角が最大となる点での接線の傾きが直線Lの傾きよりも小さいと、入射角θ1側で透過率が所望の透過率よりも小さくなるおそれがある。そこで、設計曲線における入射角が最大となる点での接線の傾きが直線Lの傾きよりも大きいことが好ましい。
次に、光束の波長変動に対応した光束分離素子の保持手段の例を述べる。
半導体レーザは、製造誤差や環境温度の変化等により、狙いの波長に対して、数nmから十数nm変動する場合がある。
図28には、図23の誘電体多層膜をビーム分離面とする光束分離素子に、波長650nmの光、波長655nmの光、波長660nmの光が入射したときの、入射角と(Tp+Rs)/2との関係が示されている。なお、該光束分離素子の設置角は55°である。設計波長の655nmに対し、短波長側の波長650nmでは最適値からの乖離が大きくなっている。
図29には、上記光束分離素子において、設置角を55°から55.6°に変更した場合に、波長650nmの光、波長655nmの光、波長660nmの光が入射したときの、入射角と(Tp+Rs)/2との関係が示されている。設置角変更によって、入射角θの最小値θ0は55.6°となり、最大値θ1は60.7°となる。
図29からわかるように、設置角を変更(増加)することで、入射光の波長が650nmに変化した場合でも最適値からの乖離を小さくすることができる。
ところで、設置角を変えると、それ以降の光路が変化し、被走査面での走査位置及び結像位置が所定位置からずれてしまう。そこで、設置角を増加させすぎると、被走査面での光スポットの位置が変化しやすくなるため、安易に増加することはできない。これを回避するためには、一例として図30に示されるように、光束分離素子のビーム分離面と該光束分離素子で反射された光束が最初に入射する折り返しミラーの反射面とが直交関係にあり、該ビーム分離面を延長した面と該反射面を延長した面との交線を軸に回転可能に保持されるよう構成すれば良い。
このように構成することにより、設置角を変化させても、光束分離素子に入射する入射光束と最初の折り返しミラーで反射された反射光束との間隔Dは維持される。この場合は、光路長が若干変化するが結像特性への影響はほとんどない。もし結像特性に影響するようであれば、上記交線が前後に移動可能となるように構成し、交線の位置を調整すれば良い。
走査制御装置は、ブラック画像情報に基づいて光源10a1から射出される光束を変調し、シアン画像情報に基づいて光源10b1から射出される光束を変調し、マゼンタ画像情報に基づいて光源10c1から射出される光束を変調し、イエロー画像情報に基づいて光源10d1から射出される光束を変調する。
そして、各感光体ドラムは、対応する光源から射出された光束によって、80%以上の光利用効率を維持しつつ、主走査方向に関して一様な光利用効率で走査される。
なお、本実施形態では、ビーム分離面が誘電体多層膜からなるものとしたが、ビーム分離面がワイヤグリッドからなる場合であっても、設置角を変化させることで光利用効率が変化するため、同様にして光束分離素子を設計することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの光源ユニット(LU1、LU2)、2つのシリンドリカルレンズ(121、122)、ポリゴンミラー14、2つの走査レンズ(151、152)、2つの光束分離素子(161、162)、2つの反射ミラー(171、172)、4つの折り返しミラー(18a、18b、18c、18d)などを有している。
光源ユニットLU1は、縦偏光の光束LBaと横偏光の光束LBbを射出し、光源ユニットLU2は、横偏光の光束LBcと縦偏光の光束LBdを射出する。そして、光束LBaと光束LBbは、光束分離素子161で分離され、光束LBcと光束LBdは、光束分離素子162で分離される。
各光束分離素子のビーム分離面は、誘電体多層膜であり、(Tp0+Rs0)/2<(Tp1+Rs1)/2の関係が満足されている。この場合は、ビーム分離面における縦偏光の透過率及び横偏光の反射率を、いずれも0.89(=89%)以上とし、かつ入射角θに関係なくほぼ一定とすることができる。
また、各光束分離素子のビーム分離面は、入射角θが大きくなるにつれて(Tp+Rs)/2が単調増加するように設計されている。また、各光束分離素子のビーム分離面は、設計曲線における入射角が最大となる点での接線の傾きが直線Lの傾きよりも大きくなるように設計されている。これにより、入射角θによる光利用効率の変動をより小さくすることができる。そこで、電気的な補正(シェーディング補正)と組み合わせる場合、補正に必要なメモリ容量を低減することができる。
この場合は、光利用効率を高く維持しつつ、主走査方向に関する光利用効率のばらつきを抑制することができる。そこで、高コスト化を招くことなく、高精度の光走査を維持しつつ、小型の光走査装置を実現することができる。
また、シリンドリカルレンズが、同一の偏向反射面に向かう2つの光束で共用されているため、部品点数を減らすことができる。
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、その結果として、高コスト化を招くことなく、高い画像品質を維持しつつ、小型化を図ることができる。
なお、上記実施形態において、一例として図31に示されるように、光源ユニットLU1から射出される光束LBaと光束LBbがZ軸方向に関して離間するように、光源10a1と光源10b1のZ軸方向に関する位置を異ならしても良い。同様に、一例として図32に示されるように、光源ユニットLU2から射出される光束LBcと光束LBdがZ軸方向に関して離間するように、光源10c1と光源10d1のZ軸方向に関する位置を異ならしても良い。
この場合、ポリゴンミラー14に対する光束LBaと光束LBbの入射位置及び射出位置がZ軸方向に関して異なるため、ポリゴンミラー14で偏向された光束LBaと光束LBbの走査レンズ151における入射位置もZ軸方向に関して異なることとなる。走査レンズ151はZ軸方向に関して光束を収束させる光学的なパワーを持っているため、走査レンズ151を通過した光束LBaと光束LBbは、互いの主光線が非平行で、いずれも偏向面に対して傾斜した光束となる。すなわち、光束LBaと光束LBbは、互いの主光線が非平行で、いずれも偏向面に対して傾斜した状態で光束分離素子161に入射する。
このとき、光束分離素子161に対して、光束LBaの大部分(「光束LBa1」とする)は透過するが、一部(「光束LBa2」とする)は反射される。該光束LBa2はゴースト光である。また、光束分離素子161に対して、光束LBbの大部分(「光束LBb1」という)は反射されるが、一部(「光束LBb2」という)は透過する。該光束LBb2はゴースト光である。
同様に、ポリゴンミラー14に対する光束LBcと光束LBdの入射位置及び射出位置がZ軸方向に関して異なるため、ポリゴンミラー14で偏向された光束LBcと光束LBdの走査レンズ152における入射位置もZ軸方向に関して異なることとなる。走査レンズ152はZ軸方向に関して光束を収束させる光学的なパワーを持っているため、走査レンズ152を通過した光束LBcと光束LBdは、互いの主光線が非平行で、いずれも偏向面に対して傾斜した光束となる。すなわち、光束LBcと光束LBdは、互いの主光線が非平行で、いずれも偏向面に対して傾斜した状態で光束分離素子162に入射する。
このとき、光束分離素子162に対して、光束LBcの大部分(「光束LBc1」という)は反射されるが、一部(「光束LBc2」という)は透過する。該光束LBc2はゴースト光である。また、光束分離素子162に対して、光束LBdの大部分(「光束LBd1」という)は透過するが、一部(「光束LBd2」という)は反射される。該光束LBd2はゴースト光とである。
ここで、一例として図33に示されるように、射出窓19aの大きさ及び位置を、LBa1は透過できるが、LBb2は透過できないように設定することにより、LBb2を光学ハウジングで遮光することができる。また、射出窓19bの大きさ及び位置を、LBb1は透過できるが、LBa2は透過できないように設定することにより、LBa2を光学ハウジングで遮光することができる。
同じく、一例として図34に示されるように、射出窓19cの大きさ及び位置を、LBc1は透過できるが、LBd2は透過できないように設定することにより、LBd2を光学ハウジングで遮光することができる。また、射出窓19dの大きさ及び位置を、LBd1は透過できるが、LBc2は透過できないように設定することにより、LBc2を光学ハウジングで遮光することができる。
また、上記実施形態において、一例として図35に示されるように、光源ユニットの数を1つ(光源ユニットLU3)とし、該光源ユニットLU3から射出される2つの光束(LB1、LB2)をそれぞれハーフミラーHMで2分割し、それら4つの光束で4つの感光体ドラムを個別に走査しても良い。
光源ユニットLU3は、一例として図36に示されるように、2つの光源(10A1、10B1)、2つのコリメートレンズ(11A、11B)、及び光合成素子13などを有している。
光源10A1は、該光源10A1を駆動する光源駆動回路を含む駆動用チップ10A2とともに回路基板10A3に実装されている。光源10B1は、該光源10B1を駆動する光源駆動回路を含む駆動用チップ10B2とともに回路基板10B3に実装されている。
光源10A1は、一例として図37に示されるように、1つの半導体レーザ101Aを含んでいる。該半導体レーザ101Aは、縦偏光が射出されるように設置されている。ここでは、半導体レーザ101Aから射出される縦偏光を「光束LB1」と表記する。
光源10B1は、一例として図38に示されるように、1つの半導体レーザ101Bを含んでいる。該半導体レーザ101Bは、横偏光が射出されるように設置されている。ここでは、半導体レーザ101Bから射出される横偏光を「光束LB2」と表記する。
コリメートレンズ11Aは、光源10A1からの光束LB1の光路上に配置され、該光束LB1を略平行光とする。
コリメートレンズ11Bは、光源10B1からの光束LB2の光路上に配置され、該光束LB2を略平行光とする。
光合成素子13は、コリメートレンズ11Aを介した光束LB1及びコリメートレンズ11Bを介した光束LB2の光路上に配置されている。この光合成素子13は、縦偏光を反射し、横偏光を透過させる面を有しており、光束LB1の主光線と光束LB2の主光線がZ軸方向に関して離間するように、光束LB1と光束LB2を合成する(図39参照)。光合成素子13から射出される光束LB1と光束LB2が、光源ユニットLU3から射出される。
ハーフミラーHMは、光源ユニットLU3から射出された光束LB1及び光束LB2の光路上に配置されている。ハーフミラーHMは、一例として図40に示されるように、入射された光束を透過光束と反射光束とに分割する分割面を有している。該分割面は、透過光束の光量と反射光束の光量の割合が1:1となるように設定されている。なお、分割面の設定は、各感光体ドラム表面での光量が略等しくなるように、ハーフミラーHMと感光体ドラムとの間に配置されている光学系の特性に応じて決定され、これに限定されるものではない。
ここでは、ハーフミラーHMで反射された光束LB1が感光体ドラム2030aに向かう光束LBaであり、ハーフミラーHMで反射された光束LB2が感光体ドラム2030bに向かう光束LBbである。また、ハーフミラーHMを透過した光束LB2が感光体ドラム2030cに向かう光束LBcであり、ハーフミラーHMを透過した光束LB1が感光体ドラム2030dに向かう光束LBdである。
なお、光束LBaと光束LBbを区別する必要がないときは、それらを総称して「HM反射光束」ともいい、光束LBcと光束LBdを区別する必要がないときは、それらを総称して「HM透過光束」ともいう。
シリンドリカルレンズ12Aは、ハーフミラーHMから射出された光束LBa及び光束LBbの光路上に配置されている。そして、シリンドリカルレンズ12Aは、光束LBa及び光束LBbを、それぞれミラーM1を介して、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍でZ軸方向に関して集光する。
シリンドリカルレンズ12Bは、ハーフミラーHMから射出された光束LBc及び光束LBdの光路上に配置されている。そして、シリンドリカルレンズ12Bは、光束LBc及び光束LBdを、それぞれミラーM2を介して、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍でZ軸方向に関して集光する。
平面視において、ポリゴンミラー14に入射するミラーM1を介した光束と、ミラーM2を介した光束とのなす角は、略90°である(図35参照)。
ここでは、ポリゴンミラー14における偏向反射面の数が4面であり、HM反射光束及びHM透過光束は、互いに異なる偏向反射面に入射する。そして、ポリゴンミラー14に入射するHM反射光束とHM透過光束とのなす角が、平面視において、略90°となるように設定されている。そこで、光束LBaと光束LBd、及び光束LBbと光束LBcが、それぞれの対応する感光体ドラムにおける有効走査領域を同時に走査することはない。
例えば、図41に示されるように、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける書き込み開始位置に向かう時、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBdは、感光体ドラム2030dにおける書き込み終了位置よりも+Y側の位置に向かう。
また、図42に示されるように、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域の中央(像高0)位置に向かう時、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBdは、+Y方向に向かう。
また、図43に示されるように、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域の書き込み終了位置に向かう時、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBdは、感光体ドラム2030dにおける書き込み開始位置よりも−Y側の位置に向かう。
このように、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBaが、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBdは、感光体ドラム2030dにおける有効走査領域内には向かわない。
逆に、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBdが、感光体ドラム2030dにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBaは、感光体ドラム2030aにおける有効走査領域内には向かわない。
同様に、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBbが、感光体ドラム2030bにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBcは、感光体ドラム2030cにおける有効走査領域内には向かわない。
また、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBcが、感光体ドラム2030cにおける有効走査領域を走査している時には、ポリゴンミラー14の偏向反射面で反射された光束LBbは、感光体ドラム2030bにおける有効走査領域内には向かわない。
そこで、光束LBaと光束LBdは、光源10A1から射出される時点では、1つの光束として同一の変調がなされるが、光束LBaが感光体ドラム2030aにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、ブラックの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源10A1を駆動し、光束LBdが感光体ドラム2030dにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、イエローの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源10A1を駆動する。
同様に、光束LBbと光束LBcは、光源10B1から射出される時点では、1つの光束として同一の変調がなされるが、光束LBbが感光体ドラム2030bにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、シアンの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源10B1を駆動し、光束LBcが感光体ドラム2030cにおける有効走査領域を走査する時は、走査制御装置は、マゼンタの画像情報に応じて変調された光束が射出されるように光源10B1を駆動する。
この場合も、シリンドリカルレンズを、同一の偏向反射面に向かう2つの光束で共用することができ、部品点数を減らすことができる。
なお、ポリゴンミラー14に入射するHM反射光束とHM透過光束とのなす角は、平面視において、90°から少しずれていても良い。
また、上記実施形態では、光走査装置2010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。